税理士が知っておきたい
[認知症]と相続問題
【第5回】
「『判断能力・意思能力』の判定方法」
-証拠になり得るもの-
クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎
1 証拠収集の必要性
判断能力の有無につき当事者間で主張が対立した場合、通常、お互いにそれぞれの手持ち証拠を相手方に示したうえで示談交渉し、それでも解決できなければ民事訴訟を提起し、裁判所に公的に判断してもらうという流れとなる。
この場合、証拠裁判主義の下ではどのような証拠が存在するのかが決定的に重要であるから、紛争となる前から自己に有利な証拠につき関心を持ち、予め入手を試みておくということが非常に重要である。
そこで、今回は、判断能力について争いが生じた場合、どのような資料が証拠となり得るのかについて説明したい。
2 代表的な証拠(その1):長谷川式テスト(HDS-R)の判定結果
(1) 長谷川式テストの判定結果は証拠となり得るか
【第4回】では、わが国で広く用いられている「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」(長谷川式テスト)の内容について説明した。
当事者間で有効性が争われている行為(例えば、売買契約)と近接する時期に長谷川式テストが実施されている場合には、この点数が非常に有力な証拠の一つとなる。
この点、医学上は、長谷川式テストだけでは認知症の確定診断はできないとされている。
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