公開日: 2017/06/15 (掲載号:No.222)
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税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第11回】「死後に婚姻・養子縁組の無効が争われるケース(その1)」

筆者: 栗田 祐太郎

税理士が知っておきたい
[認知症]相続問題

〔Q&A編〕
【第11回】

「死後に婚姻・養子縁組の無効が争われるケース(その1)」

 

クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎

 

[設問11]

先月、自宅近くの介護付き有料老人ホームに長年入居していた私の父が、95歳で亡くなりました。父には私を含めて3人の娘がおります。父の妻、つまり私の母親は既に10年前に亡くなっています。

父は、資産家である名門の一族に生まれた長男でしたから、実家の土地建物以外にも都内に多くの不動産を所有し、預貯金もそれなりの金額がありました。これらすべてが父の遺産ということになります。

四十九日が過ぎてから父の遺品を整理しましたが、遺言書は特に見つかりませんでした。そのため、私たち姉妹3人で遺産分割の協議をしようと思っていた矢先、予想もしなかった連絡が入ったのです。

◆  ◆  ◆

その連絡は、父がお世話になっていた老人ホームで父の担当をしてくれていた50代の女性Aさんからのものでした。Aさんいわく、父が亡くなる1ヶ月前に、父のたっての希望ということで、父と入籍したというのです。しかも、離婚歴のあるAさんには既に成人している2人の子供がいるそうですが、入籍と同時に、この2人の子供が父と養子縁組をしたというのです。

Aさんは、自分と子供たちも法定相続人となるため、遺産分割協議に加わりたいという申し入れをしてきました。

Aさんのことは、私も何度か老人ホームでお会いしています。そのときは私たち家族に対しても感じが良く、父の面倒もよく見てくれていて大変ありがたく感じていたのですが、裏でこのようなことになっていたとは全く知りませんでした。もちろん、父からも入籍のことを聞いたことはありません。

◆  ◆  ◆

入籍した頃の父の様子と言えば、周囲の人と会話が全くできないわけではありませんでしたが、それでも相当身体も判断能力も弱っていて、短い会話をするのがやっとという状態でした。このような状態の父が、Aさんとの入籍やAさんのお子さん方との養子縁組を了解したとは到底思えません。

私たち3人姉妹としては、Aさんとお子さん方が相続人であることについて強く争いたいのですが、どのように進めていけば良いのでしょうか。

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[認知症]相続問題

〔Q&A編〕
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「死後に婚姻・養子縁組の無効が争われるケース(その1)」

 

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弁護士 栗田 祐太郎

 

[設問11]

先月、自宅近くの介護付き有料老人ホームに長年入居していた私の父が、95歳で亡くなりました。父には私を含めて3人の娘がおります。父の妻、つまり私の母親は既に10年前に亡くなっています。

父は、資産家である名門の一族に生まれた長男でしたから、実家の土地建物以外にも都内に多くの不動産を所有し、預貯金もそれなりの金額がありました。これらすべてが父の遺産ということになります。

四十九日が過ぎてから父の遺品を整理しましたが、遺言書は特に見つかりませんでした。そのため、私たち姉妹3人で遺産分割の協議をしようと思っていた矢先、予想もしなかった連絡が入ったのです。

◆  ◆  ◆

その連絡は、父がお世話になっていた老人ホームで父の担当をしてくれていた50代の女性Aさんからのものでした。Aさんいわく、父が亡くなる1ヶ月前に、父のたっての希望ということで、父と入籍したというのです。しかも、離婚歴のあるAさんには既に成人している2人の子供がいるそうですが、入籍と同時に、この2人の子供が父と養子縁組をしたというのです。

Aさんは、自分と子供たちも法定相続人となるため、遺産分割協議に加わりたいという申し入れをしてきました。

Aさんのことは、私も何度か老人ホームでお会いしています。そのときは私たち家族に対しても感じが良く、父の面倒もよく見てくれていて大変ありがたく感じていたのですが、裏でこのようなことになっていたとは全く知りませんでした。もちろん、父からも入籍のことを聞いたことはありません。

◆  ◆  ◆

入籍した頃の父の様子と言えば、周囲の人と会話が全くできないわけではありませんでしたが、それでも相当身体も判断能力も弱っていて、短い会話をするのがやっとという状態でした。このような状態の父が、Aさんとの入籍やAさんのお子さん方との養子縁組を了解したとは到底思えません。

私たち3人姉妹としては、Aさんとお子さん方が相続人であることについて強く争いたいのですが、どのように進めていけば良いのでしょうか。

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連載目次

税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

〔解説編〕

〔Q&A編〕

筆者紹介

栗田 祐太郎

(くりた・ゆうたろう)

弁護士
クレド法律事務所 パートナー弁護士(東京弁護士会所属)

複雑に利害が対立する相続・労働・契約紛争につき、これまで数多く取り扱う。示談交渉のほか、調停・審判・民事訴訟等の各種法的手段を効果的に利用しながら依頼者の納得いく解決を目指す姿勢に、感謝の声が寄せられることも多い。(元 駒澤大学法科大学院 非常勤講師(家事紛争法実務)〔在職期間:2013年9月~2019年8月〕)

【主な著書】
税理士が知っておきたい「認知症」と相続・財産管理の実務』(清文社)
平成25年9月改訂 Q&A遺産分割の実務』(共著、清文社)等

 

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