常識としてのビジネス法律
【第13回】
「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その1)」
弁護士 矢野 千秋
1 代金はいつどのように請求するか
債権の請求をする際には、まず請求する債権が確実に存在することを証明できる資料を揃えておく。次いで継続取引なら過去にさかのぼって個別取引の一覧表を作成しておく。これらは債務者の信用に問題が生じた緊急時に限らず、通常取引時においても継続して整理しておくべきである。
請求は原則として、請求書を交付して行う。請求書を交付する目的は、後日の証拠とするためである(時効中断、遅延損害金の発生、契約解除等)。請求により、期限の定めのない債務は請求時点から期限が到来し(民法412条2項)、債権の消滅時効が中断し(ただし、裁判外の請求の場合は、6ヶ月内に裁判上の請求をしないと、中断しなかったことになる。筆者の勝手な造語であるが、「仮中断」と呼ぶ)、支払期限に支払いがなければ遅延損害金が発生する。利率の約定があればそれに従い、なければ商事法定利率6%である(民事は5%であるが、会社の取引であれば商事になる)。
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