常識としてのビジネス法律
【第19回】
「独占禁止法《平成25年改正対応》(その4)」
弁護士 矢野 千秋
《(その1)はこちら》
【第16回】 独占禁止法《平成25年改正対応》(その1)
第1 独占禁止法の目的・規制と基本概念
1 独占禁止法の立法目的
2 3つの規制内容
3 独占禁止法の基本概念
第2 独占および集中の規制
1 総説
2 市場集中の規制
3 一般集中の規制
《(その2)はこちら》
【第17回】 独占禁止法《平成25年改正対応》(その2)
第3 共同行為の規制
1 総説
2 不当な取引制限
第4 不公正な取引方法の禁止
1 総説
2 差別的取扱い(独2条9項6号イ)
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【第18回】 独占禁止法《平成25年改正対応》(その3)
3 不当対価
4 不当な顧客誘引・取引の強制
5 事業活動の不当拘束
6 取引上の地位の不当利用
(1) 総説
独禁法2条9項6号ホは「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること」と規定し、これに基づいて一般指定13項が定められている。平成21年改正により、旧14項「優越的地位の濫用」中の「取引の相手方の役員選任への不当干渉」以外が独禁法2条9項5号に規定された。そして、法定された行為に対しては課徴金が課されることになった(独20条の6)。
これら不当利用の公正競争阻害性は、独禁研報告(※)の③「自由競争基盤の確保」に当たるとするのが通説である。
(※) 独占禁止法研究会報告「不公正な取引方法に関する基本的な考え方」(昭和57年7月8日)(『公正取引』382号・383号)
(2) 優越的地位の濫用(一般指定13項および独2条9項5号)
(ⅰ) 意義
「取引上の地位の不当利用」の内容が列挙されている。
自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、
① 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む)に対し、当該取引に係る商品または役務以外の商品または役務を購入させること
② 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む)に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
③ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後、当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること(独2条9項5号)
④ 取引の相手方である会社に対し、当該会社の役員の選任についてあらかじめ自己の指示に従わせ、または自己の承認を受けさせること(一般指定13項)
である。
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