ファーストステップ
管理会計
【第6回】
「ABCの考え方」
~カレーパンはオーブンの償却費を負担するべきか~
〔原価管理編⑤〕
公認会計士 石王丸 香菜子
【第5回】では、標準原価計算による製造間接費の管理に限界があることを説明しました。
これを克服するべく考案されたのが、「活動基準原価計算(Activity Based Costing)」です。頭文字を取ってABCと呼ばれます。
◆食パンとカレーパン、それぞれの言い分
あるベーカリーで、食パンとカレーパンを作っているとします。
ベーカリーでの製造間接費には、オーブンの減価償却費や、揚げ油代などの補助材料費、その他さまざまな費用が含まれています。これらをひとまとめにして、作業時間など1つの配賦基準を用いて、半ば強引に、食パンとカレーパンに配賦しているのが、従来の原価計算です。
ここで食パンとカレーパンの気持ちになってみると、どう思うでしょうか。
食パンとしては「自分は揚げられていないのに、油代を負担するのはおかしい!」と思うでしょうし、カレーパンとしても「自分は焼かれていないのだから、オーブンの減価償却費は負担したくない!」と主張しそうですね。
◆従来の原価計算の考え方
【第3回】で解説したように、従来の原価計算では、種々雑多な製造間接費を1つにまとめ、配賦基準を用いて製品に配賦します。概ね以下のような構造です(単純化のため、部門別計算を省略しています)。
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