国税審査官エイトの勤務日誌
~ある国税不服審判所の記録~
お天気の葛本審査官②

公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
職員の食堂は、合同庁舎の14階にある。永途は、黒田と一緒にやってきた。まだ、正午前なので、人は少ない。あじのフライとサラダ、冷や奴、味噌汁とご飯で、500円である。
永途は、味噌汁をこぼさないように、お盆を持ち、座席を探していると、窓際で、葛本審査官が一人で食べている。
「・・・葛本さん・・・ここで食べても良いですか?」
永途が声をかける。
黙々とカレーライスを食べていた葛本は、驚いたように顔を上げる。
永途の後ろに立っている黒田に気がつき、大きく頷く。
「良い天気だね」
黒田は笑いながら、葛本に言う。
葛本は、大きく頷く。
「・・・今回の人事異動で、審判所の第二部に来た・・・新人の永途君だ」
黒田は、永途の横に座りながら、紹介する。
葛本は、永途をちらっと見て、頷く。
「・・・ところで、近ごろ、事件が増えたので審理部がとても忙しいと聞いているが・・・どうだい?」
黒田は、年下の葛本に尋ねる。
「・・・そうですね・・・一般事件が増加したため・・・審理に要する時間が増えました・・・何故か、法人税の事案が多くあります・・・」
葛本はカレーライスを食べながら言う。
「・・・法人の事案って・・・どんな内容のものが多いのですか?」
横から、永途が尋ねる。
「・・・そうですねえ・・・いろいろとあるのですが・・・」
葛本は、口の中のカレーを咀嚼しながら、考える。
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