固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第34回】
「一括取得した土地・建物の売買代金の按分方法として、
鑑定評価に基づく積算価格比率による按分が認められた事例」
税理士 菅野 真美
▷土地と建物を一括取得した場合の取得価額の按分方法
土地と建物を一括取得して、それぞれの価額がいくらなのかが契約書に記載されていない取引がある。この場合、売買代金をなんらかの基準で土地と建物に配賦することになる。
建物を事業の用に供する場合は、減価償却費を通じて長期間にわたって購入対価を必要経費処理できるが、土地は必要経費処理をすることができない。毎期の所得税や法人税の納税負担を軽減したいならば、減価償却費を増額させるために建物の取得価額により多くの売買代金を負担したいと考える傾向がある。しかし、いきすぎた建物への取得価額の配賦については、否認されるケースがある。
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