ハラスメント発覚から紛争解決までの 企 業 対 応 【第51回】 「ハラスメント防止対策の強化等の内容及び企業対応」 弁護士 柳田 忍 【Question】 ハラスメント対策の強化を義務付ける改正法が成立したと聞きました。企業が対応すべき事項について教えてください。 【Answer】 既存のハラスメント防止措置の対象にカスハラや就活等セクハラを追加したうえで、カスハラについては、各社ごとに定義を整理し、また、従業員への研修などを通じて、消費者の権利や、障害者への合理的配慮の提供に関して、従業員の理解を深めておく必要があると思われます。 就活セクハラについては、求職者等との面談等のルールなどをあらかじめ定めておく必要があります。また、従業員に対して、就活等セクハラが職場のセクハラと同様に許されざるものであることを周知徹底し、厳しい処罰の対象とするべきだと思われます。 ● ● ● 解 説 ● ● ● 1 はじめに 本国会において、事業主にハラスメント対策の強化を義務付ける改正法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律。以下「本改正法」という。)が成立した。施行日は公布から1年6月以内の日とされており、2026年中の施行が予定されている。 本改正法によるハラスメント対策の強化の概要は、(1)職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成、(2)カスタマーハラスメント(カスハラ)防止対策の義務付け、(3)求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活等セクハラ)防止対策の義務付け、(4)パワーハラスメント防止指針(※1)への「自爆営業」(企業等が従業員に対してノルマ達成等の名目で商品やサービスの購入を強要する行為)禁止の明記の4点であるが、これらのうち企業等において特に影響があるものは(2)および(3)であると思われることから、以下、これらについて論じるものとする。 (※1) 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号) なお、(2)および(3)の詳細については厚生労働大臣が今後定める指針において規定される予定であるが、当該指針において定められる事項等については当該指針の骨子案(※2)及び「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について」(※3)に示されていることから、以下、これらに基づき説明する。 (※2) 「職場におけるカスタマーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の骨子(案)」(以下「カスハラ防止指針の骨子案」という。)及び「求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の骨子(案)」(以下「就活セクハラ防止指針の骨子案」という。)(第85回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(2025年10月27日)の資料2-2及び2-3) (※3) 厚生労働省労働政策審議会「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について」 2 カスハラ防止対策義務 本改正法により、事業主はカスハラにつき雇用管理上の措置義務を負うことになる。カスハラの定義を各社ごとに整理したうえで、①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④これらの措置と併せて講ずべき措置等を講じる必要がある。 (1) カスハラの定義 カスハラとは、職場において行われる以下の3つの要素をいずれも満たすものとされている。 カスハラ該当性を判断する際には、以下に注意する必要がある。 ■ 顧客や法令上の利害関係者だけでなく、事実上の利害関係者によるものもカスハラに該当し得ること 「顧客」には潜在的な顧客も含まれる。また、「利害関係者」は、顧客、取引先、施設利用者等の例示している者に限らず、様々な者が行為者として想定されることを意図するものであり、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民等、事実上の利害関係がある者も含まれる。 ■ 発言の内容や手段・態様に照らし、広くハラスメントの観点から問題のある言動が対象となり得ること 定義ⅱの「社会通念上相当な範囲を超えた言動」とは、権利の濫用・逸脱に当たるようなものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が相当でないものが考えられるとされている。 「権利の濫用・逸脱に当たる『ようなもの』」とされているのは、権利の概念に照らしてどういう位置付けになるかということに必ずしも捉われることなく、ハラスメントという観点から問題があるものと捉えて是正を図っていくためである(※4)。 (※4) 第79回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(2024年12月26日)議事録2頁(岡野雇用機会均等課長発言) ■ 性的な言動等も対象となり得ること パワハラだけでなく、セクハラやマタハラ等に該当する言動もカスハラ防止措置の対象となり得る。 ■ 各業法等や障害者に対する合理的配慮提供義務に違反しないかに留意すること カスハラ行為者に対してサービスの提供を停止することがカスハラの対策となり得るが、各業法等によりサービスの提供が義務付けられている場合、そのような対策をとれないことがあるため、注意が必要である。 また、事業主は、障害者から申出(意思表明)があり、過重な負担に当たらない場合には、合理的配慮提供義務を負うことから(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律8条2項)、顧客等への対応がこれに違反しないよう気を付ける必要がある。 ■ 「労働者の就業環境が害される」かどうかは、平均的な労働者の感じ方を基準とすること 「労働者の就業環境が害される」とは、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味する。 「労働者の就業環境が害される」か否かは、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当である。もっとも、個別の受け止めに留意しなければならない。 (2) 講ずべき措置の内容 指針の骨子案が挙げる事業主がカスハラ防止対策のために講ずべき措置の内容は以下のとおりである。 (3) 他の事業主から協力を求められた場合の対応 他の事業主から協力を求められた場合、事業主は以下の点に留意する必要がある。 カスハラについて、事業主は、ほかの事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない。 上記協力を求められたことを理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくない。 協力を求められた事業主は、事実関係の確認に協力した労働者に対して不利益取扱いを行わないことを周知する。 当該事業主の労働者がカスハラを行っていた場合、就業規則等に基づき適正な措置を講ずることが望ましい。 (4) 事業主における対応 カスハラの定義は上記のとおりであるが、まず、どのような言動がカスハラに該当するかは「その雇用する労働者が従事する業務の性質」等に照らして判断する必要があることから、各社ごとに整理しておく必要がある。 また、従業員の顧客対応上の問題がカスハラの端緒となっている側面があることを考慮し、例えば、従業員への研修などを通じて、消費者の権利や、障害者への合理的配慮の提供に関して、従業員の理解を深めておく必要があると思われる。 さらに、上記講ずべき措置の内容は、雇用管理上の措置義務が課されているハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ等)防止のために講ずべき措置の内容と同様であることから、各社において実施済みの措置を踏まえて対策を講じることになると思われる。 上記措置義務に違反した事業主は行政指導や企業名公表の対象となる。カスハラ被害が生じてこれらが公表された場合、企業にとっては大きなイメージダウンとなることが予想されることから、早急な対策が必要である。 3 就活等セクハラ防止対策義務 本改正法により、事業主は就活等セクハラにつき雇用管理上の措置義務を負うことになる。①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④これらの措置と併せて講ずべき措置を講じる必要がある。 (1) 定義 就活等セクハラは以下のとおり定義されている。 (2) 講ずべき措置の内容 指針の骨子案が挙げる事業主が就活等セクハラ防止のために講ずべき措置の内容は以下のとおりである。 (3) 就活等パワハラの取扱い 求職者等に対するパワーハラスメントに類する行為等については、どこまでが相当な行為であるかという点についての社会的な共通認識が必ずしも十分に形成されていない現状に鑑み、パワーハラスメント防止指針等において記載の明確化等を図りつつ、周知を強化することを通じて、その防止に向けた取組を推進するとともに、社会的認識の深化を促していくことが適当である、として、措置義務の対象とされていない。 (4) 情報開示の促進 求職者等に対して防止措置の内容を公表すること等が推奨されている。 (5) 事業主における対応 防止措置について、既存のハラスメント防止措置を踏まえて対策を講じるべきであることについては、カスハラ防止措置と同様である。 また、厚生労働省が公表した調査結果(※5)によると、就活中にセクハラを受けた者は3割超に上り、勤務先で労働者がセクハラを受けた者の割合(6.3%)と比較して非常に高くなっている。 (※5) 令和5年度 厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」 求職活動等(特にインターンシップ)においては、以下のとおり、求職者等の立場や属性等に照らしてもともとセクハラが起きやすいうえ、セクハラが起きた場合に発覚しにくいという事情が、さらに就活等セクハラの発生に拍車をかけているといえる(※6)。 (※6) ①~③につき、第75回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(2024年11月8日)議事録13頁以下(小畑委員発言) すなわち、職場のセクハラと同様に就活等セクハラも許されない旨を十分に認識しているにもかかわらず、就活等セクハラが発覚する可能性が低いことに乗じて就活等セクハラに及んでいる層が存在することも考えられる。 就活等セクハラ防止措置義務違反についても、行政指導や企業名公表の対象となる。就活等セクハラが発覚した場合、企業にとって大きなイメージダウンとなるおそれがあるだけでなく、人員確保に支障が生じたり、セクハラが起きやすい環境が温存されてしまうなどの問題も生じうる。 よって、職場のセクハラと同様に就活等セクハラも許されない旨を社内研修等を通じて周知徹底するだけでなく、就活等セクハラを行った者に対しては厳正な措置がとられることも周知したうえで、求職者等に対するアンケートを実施するなどして実態の把握に努め、発覚したケースに対しては実際に厳正な措置を講じる等の対応をとることが望まれる。 (了)
〔業種別Q&A〕 労使間トラブル事例と会社対応 【第9回】 「コンビニ店主の労働者性」 〈流通・小売業・卸売業〔Q4〕〉 弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所 パートナー弁護士 織田 康嗣 【Q】 当社はフランチャイズ契約によって、コンビニエンスストアを運営しています。今般加盟店主らがユニオンを結成し、会社に団体交渉を求めてきましたが、これに応じる必要はあるのでしょうか。 【A】 労働委員会で判断は分かれていましたが、近時の裁判例では、コンビニのフランチャイジーの加盟店主について、労組法の労働者性を消極に解する傾向が見られます。事案ごとの判断になりますが、労組法の労働者性が認められなければ、団体交渉に応じる義務はありません。 ▲ ▼ ▲ 解 説 ▲ ▼ ▲ 1 労組法の労働者性 (1) 定義 労働組合法上の労働者は、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」と定義されている(労組法3条)。 労働基準法や労働契約法上の労働者のように「使用される者」という文言を含んでいないため(労働基準法9条、労働契約法2条1項)、より広い概念と解釈されている。これは、労働組合法の趣旨が、経済的に劣位に置かれる者に団体交渉を行うことを認め、使用者と対等な関係で労働条件を決定できるよう促す点にあることから、労働基準法のような使用従属性が問われていないものと理解されているためである。したがって、失業者であっても、労働組合法上の労働者に該当する場合がある。 (2) 判断基準 労働組合法上の労働者に係る判断基準については、2つの最高裁判決(国・中労委(新国立劇場運営財団)事件・最判平成23年4月12日民集65巻3号943頁、国・中労委(INAXメンテナンス)事件・最判平成23年4月12日労判1026号27頁)を経て、厚生労働省の研究会において、以下のようなとりまとめが行われた(厚生労働省労使関係法研究会報告書「労働組合法上の労働者性の判断基準について」)。 ア 事業組織への組み入れ 会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として、組織内に位置付けられているかが問題となる。例えば、名刺の記載内容等から第三者に対して組織の一部として扱っていることや、会社の名称が記載された制服の着用、受託業務に類する業務を事実上、他の者から受託することが禁止されている場合には、本要素が充足される方向に働くこととなる。 イ 契約内容の一方的・定型的決定 契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を一方的、定型的に決定しているかが問題となる。例えば、労働条件が一方的に決定され、事実上、個別交渉の余地がない場合や、定型的な契約様式が使用されている場合等は、本要素が充足される方向に働くといえる。 ウ 報酬の労務対価性 報酬が労務供給に対する対価としての性格を有するかが問題となる。報酬が仕事の完成というより、業務量や時間に応じて算出されていたり、一定額の支払が保証されている場合等では、本要素が充足される方向に働くものといえよう。 エ 業務の依頼に応ずべき関係 会社からの個々の業務の依頼に対して、応じるべき関係にあるか否かが問題となる。依頼を拒否すれば不利益な取扱いを受けたり、事実上個別の業務依頼を拒否できなかったり、実際に個別の業務依頼を拒否する者がほとんどいない等の事情がある場合には、本要素が充足される方向に働くものと考えられる。 オ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束 相手方の指揮監督の下で労務提供を行っているといえるか、労務提供にあたり、日時や場所について一定の拘束を受けているか否かが問題となる。 労務供給の内容につき詳細な指示がなされていたり、定期的な報告が要求されていたり、業務量や労務提供する日時、場所について裁量の余地がない等の事情がある場合には、本要素が充足される方向に働くこととなる。 カ 顕著な事業者性 消極的な判断要素であるから、顕著な事業者性が認められる場合には、労働者性が否定される方向に働くものである。 業務における損益を負担したり、他人の労働力を利用する可能性や実態があったり、機材や材料の経費を負担している等の事情がある場合には、本要素が充足される方向に働くといえる。 2 コンビニのフランチャイズ契約 フランチャイズ契約に基づくコンビニ店主(オーナー)については、独立した小売業者のようであるものの、店舗レイアウトや営業時間等、フランチャイザー(本部)から一定の制約を受ける状況にもある。また、店主自らも店舗に出勤し、長時間労働をしなければならないケースもあり、労働者性を有するか否かを巡って紛争になることがある。 コンビニ店主の労働者性を検討するうえで、フランチャイズ契約の一例について、簡単に紹介しておきたい(橋本陽子『コンビニ・オーナーの労働者性─フランチャイズ契約と労働法』独立行政法人労働政策研究・研修機構・日本労働研究雑誌2017年1月号(No.678)参照)。 コンビニ店主になるためのフランチャイズ契約には、店舗を加盟者自らが提供する場合と、本部が提供する場合の2種類があり、店舗を加盟者自らが提供する場合であっても、店舗の使用基準及びレイアウトは本部の指示に従う内容になっていることがある。販売用の什器や機器等は、本部が貸与する形になっていることがある。 フランチャイズ契約締結にあたっては、加盟金等を支払い、本部が実施する研修を受け、店舗経営に必要な事項を学ぶこととなる。 店舗の経営にあたっては、外観、内装、レイアウトについて、本部の基準に従う必要があったり、年中無休・24時間営業が求められる場合もある。店舗は会社が運用する情報システム及び物流システムによって運営されており、商品とその仕入先が推奨されていることがある。 一部のコンビニでは、オープンアカウントという仕組みが採られていることがあり、①毎日の売上を加盟店が本部に送金し、②そこから本部が一ヶ月単位で本部と加盟店間の債権債務を相殺し、③ロイヤルティを引き、④残りの金額を加盟店側に支払うといった相殺勘定が行われることがある。店舗の売上金が低い場合には、本部から最低保証金が支給されることもあるようである。 3 コンビニ店主の労働者性 上記のようなフランチャイズ契約の特殊性がある状況下で、コンビニ店主の労働者性が争われた事例がある。 過去に、岡山県や東京都の労働委員会がコンビニ店主の労組法上の労働者性を肯定する判断を示した例があるが(岡山県労委平成26年3月13日命令、東京都労委平成27年3月1日命令)、その後の中労委の命令では、労働者性が否定されている(セブン‐イレブン・ジャパン(中労委)事件・中労委平成31年2月6日労経速2377号3頁、ファミリーマート(中労委)事件・中労委平成31年2月6日労働委員会命令データベース)。 さらに、中労委の判断を適法とした裁判例として、以下の事例が挙げられる。 ① 国・中労委(セブン‐イレブン・ジャパン)事件(東京高判令和4年12月21日労判1283号5頁、令和5年7月12日上告不受理決定) 一審判決(東京地判令和4年6月6日労判1271号5頁)を概ね維持する形で、労働者性を否定する判断をしている。一審判決において考慮された事情として、以下のような事情が挙げられる。 ② 国・中労委(ファミリーマート)事件(東京高判令和6年3月13日労判1326号66頁) 以下のような事情を考慮し、労働者性を否定している。 4 おわりに このように、近時の裁判例の傾向においては、コンビニ店主の労働組合法上の労働者性を否定する事例が散見される。フランチャイズ契約において、本部が加盟者に対し、一定の制約を課すことは少なくないが、この制約をもって、直ちに指揮命令と評価することは容易ではない。また、消極的判断要素ではあるものの、コンビニ店主によっては、多店舗展開し、多くの従業員(アルバイト)を雇用するなど、経営者としての側面が強い場合もあるだろう。 とはいえ、一律にコンビニ店主の労働者性が否定されるということではなく、個別判断にはなる。仮に、フランチャイズビジネスとして説明しきれないほどの制約を課し、実質的に指揮命令を行っているに等しいケースがあるのであれば、労働者性が認められる可能性も否定はできない。 なお、労働組合法上の労働者ではなく、労働基準法及び労働契約法上の労働者性が争われたケースもあるが、こちらも労働者性は否定されている(セブン‐イレブン・ジャパン事件・東京地判平成30年11月21日労判1204号83頁)。 (了)
事例で検証する 最新コンプライアンス問題 【第35回】 「信用組合による不正融資と、その後の第三者委員会への調査妨害(下)」 弁護士 原 正雄 前回に続き、第三者委員会の調査報告書が報告するI信用組合の不正のうち、①約250億円の不正融資、②約2億円の横領とその隠蔽、③I信用組合による第三者委員会の調査への妨害の3つを中心に論ずる。 3 第三者委員会の調査への妨害 I信用組合の問題は、前回の①不正融資や②横領に尽きるものではなかった。むしろ、第三者委員会の調査が開始した後こそ、I信用組合の抱える問題が顕在化した。 調査報告書によれば、③I信用組合が第三者委員会の調査に対して徹底的に抵抗した様子がうかがえる。第三者委員会は「不祥事に伴う第三者委員会の調査実務でも前例のない状況」「当組合が意図的に不祥事件を矮小化しようとしているのではないか」と評価している。具体的な状況は、以下のとおりである。 (1) 消極的な協力姿勢 I信用組合は、第三者委員会の調査に対し、一貫して消極的な協力姿勢をとり続けた。第三者委員会は、旧経営陣を含めI信用組合から積極的に情報が提供されることはなかったとしている。以下のとおりである。 ① 資料の不提供 I信用組合は、当然に保有しているはずの重要な資料を提供しなかった。 例えば、I信用組合は、無断借名融資をした際、名義人氏名、金額、期日等をまとめたリストを作成していた。しかし、本件の調査において第三者委員会に提供したのは、そのうちのごく一部の期間のものだけであった。 ② 消極的な説明 事実の解明に対して消極的・否定的な態度をとる役職員が多数を占めていた。大半の関係者が一致して、当初は極めて限定された内容のみ説明し、第三者委員会の理解が深まると、やっと当初の説明を翻して新たな説明を行うということを繰り返した。 例えば、I信用組合は「借名融資で累積した約18億円が不正融資金額の合計である。うち約11億円はXグループに提供され、約2億円はY氏の横領の穴埋めに用いられ、残額の約4億円は利払いに充てられた」と説明していた。 しかし、第三者委員会の調査の結果、不正融資金額として、上記約18億円とは別に、さらに約10億円が存在していたが、直接償却をしたことで消滅させていたことが判明した。 I信用組合は当該償却に関して自発的な説明を一切せず、第三者委員会から指摘を受けてようやく事実を認めたとのことである。当該約10億円は外部流出したようだが、その行方は明らかではない。 (2) 積極的な調査妨害 I信用組合は、第三者委員会の調査に対して消極的であったばかりでなく、さらに積極的な調査妨害も行ったとのことである。以下のとおりである。 ① 共有サーバからのデータの消去 調査当時、I信用組合の共有サーバには、本件不正融資に関する資料は保管されていなかった。しかし、第三者委員会の調査で、バックアップデータには同資料が保存されていることが判明した。バックアップデータには保存されているのに共有サーバに保管されていないということは、役職員の何者かが共有サーバから同資料を消去した可能性が疑われる状況であった。 ② 調査が完了したとの虚偽説明 I信用組合は、第三者委員会に組織的に虚偽の説明をした。 例えば、I信用組合は「他に借名融資が存在しないかの内部調査」を実施していなかったが、第三者委員会には「内部調査は完了した」とする虚偽の説明を行った。かつ、複数の支店長に電話と文書で依頼して、当該虚偽説明に沿った説明をするようにとの「口裏合わせ」を行った。これには役員クラスが関与していた可能性が高いとされている。 ③ 現金勘定の流用に関する虚偽説明と虚偽資料 Y氏の横領による損失は、本部の現金勘定を流用して穴埋めしたようである。 しかし、I信用組合はこの事実をすぐには第三者委員会に報告しなかった。第三者委員会の調査中の2024年11月、I信用組合においては、当時の会長が第三者委員会に対して「新たな不祥事と捉えられかねない報告をするわけにはいかないから、役員個人が用立てたことにしたらどうか」と提案し、旧経営陣が全員同意し、当該事実を隠蔽することを決定した。 その結果、I信用組合は、役職員に対して、虚偽供述すべき内容を記載したメモを渡して第三者委員会に対して「横領の損失は役員個人が用立てて穴埋めした」とする虚偽説明をさせた。また、その説明と整合させるための虚偽の資料を作成し、第三者委員会に提出した。 4 不正の原因と再発防止策 上述のとおり、調査報告書は、①不正融資、②横領、③調査妨害という3つの大きな問題を報告している。こうした不正の原因と再発防止策は、以下のとおりとされている。 (1) コンプライアンス意識の根本的な欠如 調査報告書は、I信用組合の隠蔽体質こそが不祥事発生の温床になっていたとも評価する。 I信用組合では、会長と専務理事が人事権を掌握していたところ、両名はパワーハラスメントを行っていた者としても名前が挙がっていた。人事権とパワーハラスメントが相まって、他の役職員は会長や上司に意見することが難しい状況に追い込まれていった。 一部の者が人事権を掌握する状況は不当であり、是正が必要である。第三者委員会は、人事考課については、従来どおりの役員をはじめとする上司からの評価だけでなく、同僚や部下など立場の異なる複数の者からの評価(360度評価)を実施するなどして、多角的視点からの評価を検討すべき、と提言している。 (2) 内部統制システムの機能不全 本件では、内部統制システムが機能しなかった。不正の中心にいた特定の職員がコンプライアンス業務を専属に近い形で担当していたことや、不正に関与していた者が監査部長に代々就任して内部監査で不正を黙認させていたことが、その理由であった。 役員会も大半が不正に関与していたうえ、会長には逆らえないとの意識があり、相互監督は全く機能していなかった。員外監事は本件について情報を与えられておらず、不正を疑う端緒に接していなかった。 そこで、第三者委員会は、外部からの監督・監視を強化するため、常勤の員外監事を選任し、員内監事や監査部等との密な情報共有による連携を強化し、一切のデータや資料類へのアクセス権を確保した体制を構築すべきと提言している。また、常勤の員内監事も増員し、その発言力を高めることなども求めている。 (3) 内部通報制度の機能不全 I信用組合では通報窓口として内部通報窓口と外部通報窓口が設置され、窓口の存在自体は周知されていた。また、以前から本件不正について認識していた職員も多数いた。 しかし、本件に関する通報がなされたことは一切なかった。そもそも、同窓口に通報がなされたこと自体が過去に一度もなかったとのことである。 内部通報窓口は、人事権を有していた総務部長が担当していたため、人事上の不利益を恐れて通報されなかった可能性がある。外部通報窓口は、員外監事である顧問弁護士が窓口になっていたことが、通報を躊躇する要因の1つになっていた可能性がある。 そこで、通報窓口の機能不全を是正すべきとして、専門的知見を有する外部の第三者を外部窓口とし、通報による不利益がないことを改めて周知徹底すべきことが提言されている。外部窓口担当者と職員との接点を作るために以下の施策を実施し、職員の信頼や期待を醸成すべきとも提言されている。 5 結語 I信用組合は不正融資に手を染め、震災の被害回復に用いられるべき資金までをも不正の隠蔽のために流用してしまった。役職員は不正を認識していたが、誰も声を上げなかった。不正が発覚した後も、反省して信頼回復に努めるどころか、第三者委員会の調査を組織的に妨害する有様であった。第三者委員会は「当組合という組織の抱える根深い問題」と評価している。今後、I信用組合が信頼を回復する道程は、容易なものではないだろう。 しかし、地域においては、金融仲介機能を果たす金融機関が不可欠である。I信用組合がなくなってよいとはいえない。とはいえ、地域が必要としているという一事をもって、十分な反省もないままI信用組合が存続することもまた許されない。私たちは、I信用組合が地域のために正しい道を歩めるようになるまで、見守り続けなければならない。 (了)
2025年10月23日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.641を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正 -防衛特別法人税等の企業への影響- 【第7回】 公認会計士・税理士 荒井 優美子 22 防衛特別法人税の申告書を提出した場合の税額の還付 法人税の確定申告書を提出した場合に、法人税の額の計算上、控除しきれなかった外国税額、所得税額及び中間納付額等については、還付される(法法78①、79①)が、防衛特別法人税についても、外国税額及び中間納付額について同様の制度が設けられている。所得税については法人税の確定申告書により還付されるため、防衛特別法人税の申告書の提出による還付の対象とされていない。 23 外国税額の還付 防衛特別法人税確定申告書に外国税額控除により控除されるべき金額で防衛特別法人税の額の計算上控除しきれなかった金額の記載があるときは、その金額に相当する税額が還付される(防衛財確法31①)。 ただし、防衛特別法人税確定申告書に係る課税事業年度の防衛特別法人税で未納額及び滞納処分費(以下、「未納額等」)がある場合には、還付金は未納額等に充当される(防衛特法令11一)(注)。 (注) 防衛特別法人税確定申告書に係る課税事業年度の防衛特別法人税で、修正申告書の提出又は更正による納付額がある場合は、まず当該納付額に充当される。 還付金等の発生の基因となる納付に関して納税者の責任がない場合には、還付加算金も加算して還付される。還付加算金の年率は法人税等の還付加算金の場合と同様である(注)。 (注) 本則では7.3%、還付加算金特例基準割合は、平均貸付割合(令和7年分は0.4%)+ 0.5% 還付加算金の計算期間は、防衛特別法人税確定申告書の提出期限(期限後申告書である場合には、当該防衛特別法人税確定申告書を提出した日)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなった日がある場合には、その適することとなった日)までの期間とされる(防衛財確法31②)。 還付金が未納額等に充当される場合は、充当される金額には還付加算金が付されず、充当される防衛特別法人税についても、延滞税及び利子税が免除される(防衛財確法31③)。 24 中間納付額の還付 中間申告には、「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」と「仮決算に基づく中間申告」の2種類があり、いずれかを選択できる。前年度実績を基準とする中間納付額が仮決算による中間納付額を上回る場合には、企業の手元資金の確保等の観点から仮決算による中間申告を行うことが考えられる。 ところが2008年から2009年にかけて、経済環境の悪化から仮決算による中間納付額の還付が増大しているとの会計検査院の指摘を受け、平成23年税制改正により、仮決算をした場合の中間納付額が前年度実績を基準とする中間納付額を超える場合には仮決算による中間申告はできないこととされた(法法72①)。防衛特別法人税の中間申告についても同様である(防衛財確法22①)。 防衛特別法人税確定申告書に、その防衛特別法人税中間申告書に係る中間納付額で防衛特別法人税の額の計算上控除しきれなかった金額の記載があるときは、その金額に相当する中間納付額が還付される(防衛財確保法32①)。外国税額の還付の場合と同様に、中間納付額に係る課税事業年度の防衛特別法人税で未納額等がある場合には、還付金は未納額等に充当される(防衛特法令13②)(注)。 (注) 防衛特別法人税確定申告書に係る課税事業年度の防衛特別法人税で、修正申告書の提出又は更正による納付額がある場合は、まず当該納付額に充当される。 外国税額の還付と中間納付額の還付を受ける場合において、これらの還付金をその課税事業年度の防衛特別法人税の未納額に充当するときは、以下の区分の還付金から充当される(防衛特法令13②)。 還付金の還付において、防衛特別法人税の中間納付額(注1)について納付された延滞税があるときは、納付された延滞税の合計額から、当該課税事業年度の防衛特別法人税確定申告書に記載された防衛特別法人税の額(注2)に達するまでの延滞税の額の合計額を控除した残額も併せて還付される(防衛財確保法32②、防衛特法令14①)。 (注1) 還付金により充当をされる部分の金額は除かれる。 (注2) 還付金及びその還付加算金が充当をされる同じ課税事業年度の防衛特別法人税で修正申告書の提出又は更正により増加した防衛特別法人税の額がある場合には、その防衛特別法人税の額を加算した後の金額。 還付加算金の計算期間は、還付をすべき中間納付額の納付の日(期限後申告書である場合には、当該防衛特別法人税確定申告書を提出した日)の翌日から、その還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日までの期間とされる(防衛財確保法32③)。中間納付額がその納期限前に納付された場合には、この期間は、その納期限の翌日から起算され、充当をする場合に、充当をする日より前に充当をするのに適することとなった日があるときは、その日までの期間となる。中間納付額に係る延滞税の還付については、還付加算金は付されない(防衛財確保法32⑤)。 25 欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の還付 欠損金の繰戻しによる法人税の還付制度(以下、「欠損金の繰戻し還付制度」)には、青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付(中小企業者等以外の法人の2026年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用停止)、解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付、災害損失欠損金額の繰戻しによる還付があり(法法80、144の13)、地方法人税法と同様に、防衛特別法人税でも同じ制度を設けている(防衛財確保法33)。 法人税の欠損金の繰戻し還付の請求により、請求額に相応する(法人税の還付金額の4%)確定防衛特別法人税(注)の還付が受けられる(防衛財確保法33①)。 (注) 課税事業年度の防衛特別法人税の額でその還付の時において確定しているもの。 還付の算定の基礎となる防衛特別法人税の額は、①外国税額控除、又は仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除により控除された金額がある場合には、その控除前の金額とされ、②外国税額控除制度における税額控除超過額相当額の加算措置により加算された金額がある場合はその加算前の金額とされる。 防衛特別法人税額の基準法人税額(課税標準法人税額を算定する金額で基礎控除額控除前の金額)に加算された金額(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例、土地の譲渡等がある場合の特別税率等)がある場合は、還付金額は以下の算式による金額控除後の金額である(防衛財確保法43㉕、防衛特法令19②二)。 欠損金の繰戻し還付制度による還付金も、還付加算金が付される(通法58)。還付加算金の計算の基礎となる期間は、還付請求書に係る還付の請求がされた日の翌日以後3月(防衛特別法人税確定申告書が期限後申告で、3月経過日以後に提出された場合は提出された日までの日数を除く)を経過した日から、還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日までの期間である(防衛財確保法33②)。 (続く)
「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例151(贈与税)】 税理士 齋藤 和助 《基礎知識》 ◆相続時精算課税制度(相法21の9~21の18) 生前の贈与について、納税者の選択により、暦年課税制度に代えて、相続時精算課税制度の適用を受けることができる。相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対し一定の贈与税(基礎控除110万円及び特別控除額2,500万円を超えた部分に20%の税率で課税)を支払い、相続開始時にその贈与財産(基礎控除部分を控除した残額)を相続財産に持ち戻して相続税を計算し、支払った贈与税を精算する制度である。 基礎控除110万円及び特別控除額の2,500万円までは贈与税はかからず、さらに相続開始時にこれらの生前贈与財産(基礎控除部分を控除した残額)をプラスしても相続税がかからない場合には、贈与税の負担なしで生前贈与が可能となる。この制度の適用を受ける場合には、期限内に相続時精算課税選択届出書及び贈与税申告書を提出しなければならない。 ◆相続時精算課税選択届出書(相法21の9②) 相続時精算課税制度の適用を受けようとする者は、その年の翌年2月1日から3月15日までに贈与者からその年中に贈与により取得した財産について相続時精算課税制度の適用を受けようとする旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 ◆暦年課税制度(相法21~21の8) 暦年課税制度は、1暦年(1月1日から12月31日まで)に贈与により受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残額に累進税率を適用して贈与税を計算する。相続時精算課税選択届出書を提出していない場合には、暦年課税制度で申告することになる。 ◆相続開始前7年以内に暦年課税制度による贈与があった場合の相続税額(相法19①) 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前7年以内に当該相続に係る被相続人から暦年課税制度による贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額(改正による延長期間の4年間は100万円を控除)を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなして相続税が課税される。 ◆相続時精算課税制度と暦年課税制度における生前贈与加算 相続時精算課税制度を選択した場合には相続時精算課税制度を使って生前贈与を受けた財産は全て持ち戻しの対象とされるが、暦年課税制度により生前贈与を受けた財産は相続開始前7年超のものは生前贈与加算の対象にならず、相続財産から切り離すことができる。 (了)
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第53回】 「マンションの売却時に買主が負担すべき修繕積立基金を売主が負担したことによる経済的利益は、雑所得ではなく、一時所得と判断された事例」 税理士 菅野 真美 ▷マンションの管理費や修繕積立金 居住用家屋に関連する支出のうちマンション所有者特有のものとして、管理費や修繕積立金の支払いがある。管理費とは、マンションの共用部分の維持管理のための費用であり、修繕積立金は、マンションの共用部分の大規模修繕に備えて、定期的に積み立てるものである。これらはいったん支払うとマンション所有者に返金されることはない。 管理費や修繕積立金は、一般的には、前払いであることから、中古マンションの売買時には、売主が支払った管理費等のうち、買主が所有する期間に対応する部分について精算が行われる。 新築マンションを購入する際は、一時金としてまとまったお金の管理準備金や修繕積立基金を支払うことが一般的である。 新築マンションの販売が不調の場合、売主としては、早く販売して投下資本を回収したいことから、たとえば、モデルルームで使用した家具付きで販売すること等、様々な方法で販売活動をする。マンションの価額を値引き販売する方法が潜在的な買主に訴求しやすいが、既にそのマンションを購入した人と、購入価額に差があるとトラブルの原因になりかねないことから、値引きを明らかにすることは控えられる傾向にある。 ところで、マンションの値引きの方法として、マンション自体の値引きはしないが、マンションに関連したサービスとして入居時に買主に支払い義務のある修繕積立基金部分を売主がサービスすることも考えられる。修繕積立基金の負担がなくなった部分については、買主である個人の所得が生じないのか、それとも所得が発生するのか、所得が発生した場合、その所得は一時所得になるのか、雑所得になるのか。 今回の事例は、裁決書においてマスキング部分が多いことから新築のマンションかどうかは明確ではないが、修繕積立基金の負担部分についての課税関係が争われた事案を検討する。 ▷どのような事案か 納税者は、39,880,000円のマンションを値引きして購入しようと交渉をしたが、販売担当者が、値引きはできないが、諸費用のうち、修繕積立基金(修繕積立一時金)であれば売主負担をすることにより実質的な値引きとしてサービスができると提案したことから納税者は購入を申し込んだ。 平成30年3月21日に納税者は売買契約を締結した。これは以下のような内容である。 同日、売買契約書とは別に覚書を取り交わした。内容は次のとおりである。 平成30年9月21日に残代金を支払い、引渡しを受けた。 平成30年10月19日に売主は、本件合意に基づき、本件販売代理会社を経由して修繕積立基金を支払った。 納税者は平成30年分の所得税の確定申告をしたが、修繕積立基金の負担を受けたことによる経済的利益を申告に含めなかった。 令和4年6月29日、処分庁は、納税者が負担すべき修繕積立基金を売主が負担したことによる経済的利益は、雑所得に該当するとして更正処分等をした。 令和4年8月15日に納税者は、処分を不服として審査請求をした。 ▷争点 争点は、2つある。 ▷裁決 裁決では、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益が生じており、本件経済的利益は一時所得に該当するから、雑所得とした更正処分等は違法であり取り消すべきであるとした。 ① 所得税法36条1項括弧書きに規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」が生じているか。 売買契約書には、売買代金として、39,880,000円が記載されており、売買の目的物として、本件物件のみが記載されている。 覚書においては、費用負担に関し、修繕積立基金を売主の負担とするという記載はあるが、費用負担が、上記売買代金39,880,000円と対価関係を有することをうかがわせる記載はない。 本件売買契約及び本件合意において、本件費用負担は、本件売買契約の目的物である本件物件とは別に、無償で納税者に提供されたというべきである。 そうすると、請求人には、本件合意により外部から本件費用負担に係る経済的利益の流入があったというべきであり、所得税法36条1項括弧書に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」が生じていたと認められる。 ② 仮に「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」が生じている場合、本件経済的利益は一時所得又は雑所得のいずれに該当するか。 本件経済的利益が、「営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の一時の所得」(以下「非継続要件」)であるか否か、「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」(以下「非対価要件」)であるか否かを検討する。 納税者は、本件売主との間で、本件売買契約及び本件合意をし、居住用マンションである本件物件を購入するとともに、本件売主から無償で本件費用負担を受けたにすぎず、本件費用負担により請求人に生じた本件経済的利益は、営利を目的とする継続的行為から生じたものとは認められない。 本件経済的利益は、本件合意により納税者が無償で本件費用負担を受けたことによって生じたものであり、本件費用負担に係る給付が納税者の何らかの具体的な役務提供行為に関連してなされたものとは認められず、また、抽象的な又は一般的な役務行為に密接に関連するものとも認められない。 以上からすれば、本件経済的利益は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得であり、非継続要件及び非対価要件を満たしていることから一時所得に該当する。 このように修繕積立基金の売主負担は一時所得と判断された。この裁決について、渡辺充明治学院大学法学部教授は「「請求人と本件売主との間でなされた私法上の合意内容を検討しても、本件物件に加えて本件費用負担をも対象とした上で、本件物件及び本件費用負担の対価として39,880,000円を支払う旨の合意をしたとはいえない。」と実質的事実を曲解しているが、まさに契約の実態に干渉する結果となり、適当ではないと考える。」(※1)と批判している。なるほど、契約書自体には、修繕積立基金の売主負担について一言も記載されていないが、同日付の覚書に記載されていることから考えると、契約書と覚書は一体のものであり、形式基準で、別のものであるとして、費用負担について経済的利益を認めることについては疑問がある。 (※1) 渡辺充「ブラッシュアップ判例・裁決例 マンション購入時に売主が負担した修繕積立基金と課税関係」(税理2025.8 108頁) しかし、一時所得であると判断したことから、マンション購入時の値引きによる経済的利益が50万円以下の場合は課税されないということが示された。これは、ふるさと納税の返礼品に対する課税(※2)と整合をとったと考える。 (※2) 国税庁「「ふるさと納税」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係」 (了)
〔実務で差がつく!〕 相続時精算課税制度Q&A 【第3回】 「特定贈与者より先に相続時精算課税適用者が死亡し、相続税申告で相続時精算課税適用財産の申告漏れがあった場合の対応と加算税の取扱い」 税理士 徳田 敏彦 【Q】 父Aから子Bへ令和2年1月に贈与があり、子Bは相続時精算課税を適用した。 令和4年2月に子Bが父Aより先に死亡した。子Bの相続人はBの子である孫Cの1名である。 令和6年6月に父Aが死亡し、相続財産は代襲相続人である孫Cが1名で全て相続した。 孫Cは父Aに係る相続税の期限内申告で、子Bの相続時精算課税適用財産を申告漏れしていた(子Bの氏名等を相続税の期限内申告書に記載していない)。 このような場合に申告期限後に相続時精算課税適用財産の申告漏れを是正するために孫Cはどのように申告すべきか。また、加算税はどうなるのか(この申告漏れを是正する申告は更正決定等を予知してされたものではない)。 【A】 申告への対応及び加算税の取扱いは次のとおりとなる。 ◆ ◇ ◆ 解 説 ◆ ◇ ◆ 相続税法第21条の17(相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等)は、特定贈与者の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、当該相続時精算課税適用者の相続人は、相続時精算課税適用者の納税に係る権利又は義務を承継すると規定している。 この規定は、あくまで相続時精算課税適用者の権利又は義務をその相続人が承継するという規定であり、当該権利又は義務を承継した相続人を相続時精算課税適用者と同視するものでない。 そうすると、孫Cは「子Bの代襲相続人としての申告」と「子Bの納税義務を承継した者としての申告」をそれぞれ行う必要がある。 本事例では、孫Cは子Bの代襲相続人として当初申告をしているものの、その申告には子Bの氏名等の記載をしていないため、子Bの納税義務を承継した者としての申告をしたとは認められない。 そのため、孫Cは納税義務を承継した者としての申告が無申告となっており、期限後申告が必要となる。この場合の加算税は無申告加算税となる。 また、代襲相続人としての修正申告は自主修正申告であることから過少申告加算税は課されない。 孫Cが代襲相続人として期限内申告をしていることをもって、子Bの納税義務承継人として期限内申告を行っていると考え、無申告加算税は賦課されないのではないか、という点について、東京国税局資産課税課情報 第13号(令和6年7月)の「質疑応答事例集」では次のように見解を表明している。 上記のように表明し、無申告加算税を賦課する取扱いとしている。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第99回】 「電子契約に係る契約金額等を記載した変更契約書の記載金額」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は建設業者です。当初、電子契約により建築工事請負契約を受注先との間で締結しました。その後、当初契約の請負金額を増額する際に、書面にて変更契約書を取り交わすこととなりました。 変更契約書には、当初契約である電子契約の契約日や表題を引用し、変更前の契約金額及び増額金額を記載しています。この場合、変更契約書の記載金額はどのようになりますか。 〈当初契約(電子契約)〉 〈変更契約書(書面作成)〉 記載金額6,500万円の第2号文書(請負に関する契約書)に該当し、印紙税額30,000円(軽減税率適用)となる。 [検討1] 契約金額を変更する場合の記載金額 事例のように契約金額を増額する場合、変更前の契約金額等を記載した文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更契約書に増加金額が記載されている場合には、増加金額が記載金額となるとされている。 また、変更後の金額(当初契約金額と変更金額が記載されているなどして、変更後の金額がわかる場合も含む)が記載されていて、変更前の契約金額等を記載した文書が作成されていることが明らかでない場合には、変更後の金額が課税文書の記載金額とされる。 [検討2] 電磁的記録(電子契約)は文書にあたるか 印紙税法8条1項によると課税文書の作成者は、課税文書の作成の時までに、その文書に印紙を貼り付ける方法により、印紙税を納めなければならないとされており、その「作成」については印紙税法基本通達第44条では法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいうとされている。 印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書には含まれないとされている。 したがって、変更契約書において当初契約(電子契約)の契約日や表題を引用しているが、印紙税法上、当初契約である電子契約は文書には含まれないことから、変更前の契約金額等を記載した文書が作成されていることが明らかである場合には該当しない。 よって、変更契約書には変更前の契約金額6,000万円及び増加金額500万円を記載していることから、変更後の金額である、6,500万円が記載金額となる。 (了)
〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第81回】 「三井住友信託銀行特定民間国外債事件 -政令委任による解除条件付利子非課税規定の解釈について- (地判令2.12.1、高判令3.9.30、最判令4.5.26)(その1)」 税理士 畠山 和夫 【裁決・判決】 【関係法令の定め】(①は項数、❶は号数をいう) 【定義】 Ⅰ はじめに 本事件は、民間国外債の利子の非課税の規定により三井住友信託銀行(以下「X」という)が特定民間国外債利子の支払い時に源泉所得税の徴収を行っていなかったところ、課税庁より非居住者等の本人確認書類である利子受領者確認書の提出が期限内に行われなかったため利子の非課税措置が受けることができないとして、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分を行った事案である。 第1審及び第2審とも利子受領者確認書の期限内提出が非課税措置の適用を受けるための要件であるとして、原告敗訴の判決を行った。その後上告棄却、上告受理申立不受理決定により判決が確定した。 しかしながら、利子受領者確認書の提出義務の期限は措置法施行令第3条の2の2で規定されたものであるため、判決通り利子受領者確認書の期限内提出が非課税措置の適用を受ける要件であるとすると、期限後提出を行った場合、利子の支払時に自動確定すべき源泉所得税(以下「源泉所得税の基本構造」という)の非課税要件に政令委任により解除条件附款を付すことと同じことになる。そうすると、憲法第84条の租税法律主義(課税要件法定明確主義)に反するのではないかという疑問が生じる。 ついては、このような疑問に対し「政令委任による解除条件付利子非課税規定の解釈について」という副題を付して検討を行いたい。 Ⅱ 事案の概要 【概要図】 Ⅲ 原告(X)、被告(Y)の主張と裁判所(地裁・高裁)の判断 一 裁判に表れた争点 二 争点ごとの原告、被告の主張と裁判所の判断(以下、TAINSの判決文を要約した) 1 地裁 (1) 被告Yの主張 ◆ ❷非課税要件 ◆ ❹論理解釈 納税徴収義務者が法定納期限までに納付を行わない場合、税務署長は「納税の告知」を行わなければならないが、仮に、利子受領者確認書を所定の提出期限を徒過した後に提出した場合であっても措法第6条⑦が適用されるとすると、提出期限がないことと同義となり、措法第3条の2の2㉗は死文化してしまう。 また、いつ提出されるか分からない利子受領者確認書のために徴収手続きを行うことができず、手続後利子受領者確認書が提出されれば徴収手続が違法となり得るので、法律関係が確定しないという問題が生じてしまう。 ◆ ❺政令委任 利子受領者確認書の提出に関する事項は技術的細目的事項であり委任の内容が措置法において明確にされているといえる。 ◆ ❶利子受領者確認書提出期限の非課税要件性:肯定 (2) 原告Xの主張 ◆ ❷非課税要件 ◆ ❸文理解釈:措法6条⑥の「みなし提出時期」 非課税適用申告書又は利子受領者確認書が利子支払者によって提出された場合には、提出の時期を問わず、あまねく同項の「みなし提出時期(利子支払者に受理された時に提出があったものとみなす。)」が適用されるというのが文理に沿った解釈である。 ◆ ❹論理解釈:措法6条⑥の規定は同条⑦にも適用されること ◆ ❺政令委任:包括委任規定により要件を加重することはできない 政令で定めた期日までに利子受領者確認書の提出を措法6条⑦の要件とすることは、政令により法律に定めのない新たな要件を追加するものであり認められない。 ◆ ❻立法趣旨 民間国外債に関する非居住者等の確認手続は、非居住者等による外国投資家へのなりすましによる非課税措置の濫用を防ぐための手続的規制として導入されたものであるが、利子の支払時までに利子支払者が利子受領者情報を受領していれば、非居住者等確認手続の目的は達成されているといえるのであり、措法6条⑦は適用要件としてあえて提出期限を設けなかったと解するのが合理的である。 ◆ ❼結果妥当性 「みなし提出時期」の規定が提出の時期を問わず適用されると解釈することは、源泉税の負担者である非居住者等が、非課税適用申告書又は利子受領者情報の利子支払者への提出という自ら行うべきことをすべて完了しているにもかかわらず、たまさか利子支払者が税務署長への提出を失念していたために極めて多額の源泉税を課されるという公平を欠く事態の発生を阻止できるものであって、実質的な公正にも合致し、その立法趣旨に忠実な解釈である。 ◆ ❶利子受領者確認書提出期限の非課税要件性:否定 (3)裁判所の判断 ◆ ❷非課税要件 利子受領者確認書を施行令第3条の2の2㉗所定の期日までに税務署に提出することが、非課税規定である措法6条⑦の適用を受ける要件となっている。 ◆ ❸文理解釈 措法6条⑬は利子受領者確認書の提出に関する事項その他同条⑦の適用に関し必要な事項につき政令で定める旨規定し、これを受けて施行令3条の2の2㉗を規定しているところ、上記❷非課税要件の通り解するのが「文理」に沿った解釈であるといえる。 ◆ ❹論理解釈:被告Yの主張に同意 措法6条⑦の適用要件として提出期限を設ける必要があり、同項自体がそのことを「当然に予定」しているといえる(以下「当然予定説」という)。 ◆ ❺政令委任:一般的包括的委任の禁止(技術的細目的事項説) 憲法の採用する租税法律主義の趣旨からすれば、課税要件の定めを「一般的又は包括的に」委任することは許されず、課税要件等に係る基本的な事項については法律において定めることを要し、政令に委任することが許されるのは「技術的細目的事項」に限られると解するのが相当である。 措法6条⑦自体がその適用要件として利子受領者確認書の提出に期限を設けることを当然に予定しているといえることからすると、措法6条⑬は、⑦の適用要件として、利子受領者確認書の提出という基本的事項が法律で定められていることを前提に、その提出の時期等の手続の細目的事項について、政令に委任する趣旨の規定であると解される。 ◆ ❼結果妥当性:原告Xに対する反論 利子支払者が非課税規定に係る手続を履践しなかった結果、原則通り所得税が課されることとなったとしても、やむを得ないものである。 ◆ ❶利子受領者確認書提出期限の非課税要件性:肯定 2 高裁 (1) 控訴人Xの補足的主張 ◆ ❷非課税要件 ◆ ❹論理解釈 ◆ ❺政令委任:措法6条の非居住者等本人確認書類提出期限の政令委任の可否 措法6条⑬は、「利子受領者確認書の提出期限に関する事項」とは規定していない。同項の「利子受領者確認書の提出に関する事項」や「措法6条の・・・規定の適用に関し必要な事項」もその文理上、政令において、新たに同条の非課税措置の適用要件を設けることを一般的に認めるものとは考えられない。 ◆ ❼結果妥当性 事務的な書面の提出遅延が、所得税本税の100%の課税を招き、かつ、それを本来の納税義務者ではない源泉徴収義務者が負担しなければならないという結論は、租税法における他の書面との関係でも明らかに均衡を欠いている。 (2) 被控訴人Yの補足的主張:控訴人Xへの反論 ◆ ❷非課税要件:当然予定説 ◆ ❹論理解釈:特定民間国外債の「みなし遡及提出解釈」 同条⑦の「その利子の支払を行う際」とは、利子支払者が利子受領者確認書を作成する時期を定めるものであり、利子受領者確認書の税務署への提出時期を定めるものではない。仮に利子受領者確認書の提出が利子の支払いの後であったとしても、同条⑦に基づき利子支払者が利子受領者確認書を施行令で定める期限までに税務署に提出した場合は、利子の支払いを受ける非居住者等は、その利子の支払を受ける際に、非課税適用申告書を税務署に提出したものとみなされ、同条④⑦に基づき非課税措置を受けることとなるのであるから、同条⑦の場合に同条⑥を適用する必要性は全くない。 ◆ ❺政令委任 措法6条⑦が利子受領者確認書の提出期限をその適用要件とすることを当然に予定しているということは、その提出期限を法律で定めなければならない理由とはならない。同条⑬の規定はその文理上、同条⑦の適用要件として利子受領者確認書の提出期限を定めることが、同項の規定の適用に関し必要な事項に含まれることは明らかである。 ◆ ❼結果妥当性 利子受領者確認書の提出期限も含めた措法6条⑦の適用要件を全て充足することによって初めて例外的に非課税とされるのであるから、当該各要件が一つでも充足されなければ、非居住者等はその利子について、原則通り源泉税を課されることは法律が当然に予定するところであり、何ら不当ではない。 (3) 裁判所の判断 ◆ ❺立法趣旨:一般民間国外債の「みなし遡及提出規定」と特定民間国外債の「みなし遡及提出解釈」の関係 ◆ ❸文理解釈 措法6条⑥⑦は非課税適用申告書又は利子受領者確認書の税務署への提出期限を明文をもって規定していない。 ◆ ❹論理解釈:当然予定説 しかし、同法の立法趣旨のとおりその提出は非課税措置適用のための手続要件であることから、源泉所得税等に関する法律関係が確定しない状況が生じることとなるため、利子支払の時から一定の合理的期間内に法律関係が確定される必要がある。 措法6条⑥⑦において、その適用要件として、一定の合理的期間内に非課税適用申告書又は利子受領者確認書が提出されるべきことが当然に予定されているというべきであり、その具体的期間については、施行令に委ねたものと解される。 ◆ ❺政令委任:技術的細目的事項説 ((その2)へ続く)