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《速報解説》グローバル・ミニマム課税への対応~令和7年度税制改正大綱~

《速報解説》 グローバル・ミニマム課税への対応 ~令和7年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士 霞 晴久   政府与党(自由民主党・公明党)が昨年12月20日に公表した「令和7年度税制改正大綱」では、前年に「国際的な議論を踏まえ、令和7年度以降の法制化を検討する」とされていたグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)の3つのルールの内の残りの2つ(※1)、①軽課税国ルール及び②国内ミニマム課税が導入されることとなった。 (※1) 3つのルールのうちの所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)は、令和5年度税制改正で国際最低課税額に対する法人税として導入され、2024(令和6)年4月1日以降開始会計年度から適用されている。 1 軽課税国ルール(UTPR:Undertaxed Profits Rule)(※2) (※2) 多国籍企業グループの親会社等の所在地国における実効税率が最低税率を下回る場合に、子会社等の所在地国でその税負担が最低税率相当に至るまで課税する仕組みであり、令和5年度の改正で導入された所得合算ルール(IIR)を補完する機能を果たすといわれている。 (1) 概要 ① 名称 国際最低課税残余額に対する法人税(仮称) ② 納税義務者 特定多国籍企業グループ等(※3)に属する内国法人及び外国法人の恒久的施設等 (※3) 特定多国籍企業グループ等とは、多国籍企業グループ等のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が連結ベースで7億5,000万ユーロ以上であるものをいう。 ③ 国際最低課税残余額 (a) 内国法人に係る国際最低課税残余額 内国法人に係る国際最低課税残余額は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(※4)である内国法人の各対象会計年度に係る国内グループ国際最低課税残余額(下記(b)参照)に、当該内国法人の従業員数及び有形資産の額を勘案して計算した一定割合(※5)を乗じて計算した金額をいう。 (※4) 構成会社等とは、①企業グループ等に属する会社等、②企業集団に属さない会社等で恒久的施設等がその会社等の所在地国以外の国又は地域にあるもの、及び③上記①及び②の会社等の恒久的施設等をいう(法82十三参照)。 (※5) 従業員数の割合及び有形資産の額の割合はそれぞれ50%で加重平均される。 (b) 国内グループ国際最低課税残余額 国内グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税残余額(下記(c)参照)に、我が国を所在地国とする構成会社等の従業員数及び有形資産の額を勘案して計算した一定割合を乗じて計算した金額をいう。ここでいう構成会社等には、UTPRを導入する一定の国若しくは地域に所在するものを含む。 (c) グループ国際最低課税残余額 グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額から、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等に係る国際最低課税額(共同支配会社に係るものを含む)等を控除した残額となる。 ④ 税額の計算 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国際最低課税残余額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額となる。 (2) 必要事項の見直し UTPR導入に伴い、特定基準法人税額(※6)に対する地方法人税及び特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度(※7)について、所要の措置が講じられる。 (※6) 特定基準法人税額とは、国際最低課税額確定申告書を提出すべき内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の額をいう。 (※7) 拙稿「《速報解説》 グローバル・ミニマム課税に関する様式として、国税庁が「特定多国籍企業グループ等報告事項等の記載要領」を公表~GIRにおける報告様式は主に3つのセクションから構成~」を参照 (3) 適用関係(申告及び納付等) 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(上記(2)も同様)は、法人の令和8年4月1日以降開始する対象会計年度から適用され、同申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3ヶ月(一定の場合は1年6ヶ月)以内に行うこととされる。 ただし、当該対象会計年度の国際最低課税残余額がない場合は、申告を要しないほか、適用免除基準として、特定多国籍企業グループ等の判定対象会計年度が、特定多国籍企業グループ等に該当することとなった最初の対象会計年度開始の日以後5年以内に開始し、かつ、国際的な事業活動の初期の段階にあるものとされる対象会計年度に該当する場合には、その対象会計年度に係るグループ最低課税残余額は、零とされる。   2 国内ミニマム課税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)(※8) (※8) 多国籍企業グループに属する会社等について、その所在地国における実効税率が最低税率を下回る場合に、当該所在地国において当該会社に対して、その税負担が最低税率に至るまで課税する仕組みであり、我が国でQDMTTが課税された場合、IIRやUTPRの課税はされないことになる。 (1) 概要 ① 名称 国内最低課税額に対する法人税(仮称) ② 納税義務者 ③ 構成会社等に係る国内最低課税額 国内最低課税額の対象となる事業体には特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人(※9)又は過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等の属する構成会社等であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものが含まれ(以下「ケースE」という)、次の各区分に応じそれぞれ次に定める金額とされる。なお、特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がない場合は、紙面の都合上割愛する。 (※9) 構成会社等に係る国内最低課税額の分類のほか、共同支配会社等に係る国内最低課税額というカテゴリーも存在するが、基本的に構成会社等に係る国内最低課税額と同様に計算した金額となる。 (a) 国内実効税率が基準税率(15%)を下回り、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合:次の(イ)~(ハ)の合計額(ケースEは(ロ)の金額) (※10) 用語の意義等は大綱では明示されていない。 (b) 国内実効税率が基準税率以上であり、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合:次の(イ)~(ロ)の合計額(ケースEは(イ)の金額) ④ 税額の計算 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国内最低課税額(課税標準)に100分の75.3の税率を乗じて計算した金額となる。 (2) 国内最低課税制度に係る特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の創設 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である法人又は共同支配会社等である法人の各課税対象会計年度の国内最低課税額に係る特定基準法人税額には、753分の247の税率で国内最低課税制度に係る特定基準法人税額に対する地方法人税が課せられる。 (3) グループ国内最低課税額報告事項等の提供制度の創設 グループ国内最低課税額報告対象法人は、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の名称、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の所在地国の名称、その特定多国籍企業グループ等に係る国内最低課税額に関する事項等を、下記(4)に定める期間内に、e-taxにより、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 (4) 適用関係(申告及び納付等) 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税(上記(2)及び(3)も同様)は、法人の令和8年4月1日以降開始する対象会計年度から適用され、同申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3ヶ月(一定の場合は1年6ヶ月)以内に行うこととされる。また、上記1のUTPR同様、国際的な事業活動の初期の段階における適用免除基準が設けられている。 (了)

#霞 晴久
2025/01/07

《速報解説》 スピンオフ等に伴うグループ通算離脱時の分配割合等の計算の見直し~令和7年度税制改正大綱~

 《速報解説》 スピンオフ等に伴うグループ通算離脱時の分配割合等の計算の見直し ~令和7年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   令和6年12月20日(金)に与党(自由民主党・公明党)より令和7年度税制改正大綱(以下「大綱」という)が公表され、グループ通算制度については、スピンオフ等に伴うグループ通算離脱時の分配割合等の計算の見直しが明記された。 大綱によると、この改正内容は次のとおりであるが、簡潔に述べると、通算法人の株主がその通算法人の行った株式分配により完全子法人の株式等の交付を受けた場合の所有株式の譲渡損益の計算の基礎となる完全子法人株式対応帳簿価額等について、株式分配の直前の所有株式の帳簿価額に乗ずる割合等につき、その分母及び分子に簿価修正相当額の金額を加減算する等の見直しを行うというものである(分割型分割についても同様の見直しを行うことになる)。 [スピンオフ等に伴うグループ通算離脱時の分配割合等の計算の見直し] これは、次の[ケース1][ケース2]のように、スピンオフのために行われる株式分配又は分割型分割で、完全子法人株式又は分割承継法人株式が通算子法人株式であり、株式分配又は分割型分割直後にその通算子法人が通算グループから離脱する場面で適用される取扱いとなる。 [ケース1]通算親法人が通算子法人株式を株式分配(スピンオフ)するケース [ケース2]通算親法人が通算子法人に分割型分割を行うケース(分割対価が分割承継法人株式のケース) そして、現行法令では、株式分配([ケース1])について、被株式分配法人(株式分配法人の株主)及び株式分配法人において次のような税務仕訳で処理されることになる(法法23①、24①三、61の2⑧、62の5③④、法令8①十五・十六・十七、9①十一、23①二・三、119①八、119の3㉔、119の4①、119の8の2①②)。 なお、ここでは、金銭等不交付株式分配を対象とする(この場合、被株式分配法人において株式分配法人株式の譲渡損益は発生しない)。また、パーシャルスピンオフには該当しないものとする。   (1) 被株式分配法人(株式分配法人の株主) ① 非適格株式分配 (注1) 完全子法人株式対応帳簿価額は、次の計算による。 (※1) 分配割合(※2)=完全子法人株式の帳簿価額(※3)/株式分配法人の簿価純資産総額(※4) (※2) 分配割合は、分子が0を超え、かつ、分母が0以下である場合には1とし、その割合に小数点以下3位未満の端数があるときはこれを切り上げる。なお、株式分配法人から被株式分配法人に対して分配割合は通知される。 (※3) 株式分配法人の株式分配の直前の完全子法人の株式の帳簿価額(その金額が0以下である場合には0とし、その金額が分母の金額を超える場合(分母の金額が0に満たない場合を除く)には分母の金額)とする。 (※4) 株式分配法人の簿価純資産総額とは、株式分配法人の株式分配の日の属する事業年度の前事業年度(その株式分配の日以前6ヶ月以内に仮決算による中間申告書を提出し、かつ、その提出の日からその株式分配の日までの間に確定申告書を提出していなかった場合には、その中間申告書に係る期間)終了時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む)の帳簿価額を減算した金額(その終了時からその株式分配の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(当期の所得金額等に基づく留保金額に係るもの及び投資簿価修正額を除く)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)をいう。 (注2) みなし配当の額は、次の計算による。 (※5) 株式分配法人の分配資本金等の額は、次の計算による。 株式分配法人の分配資本金等の額=株式分配の直前の資本金等の額×分配割合(※6) (※6) 分配割合(※7)=完全子法人株式の帳簿価額(※8)/株式分配法人の簿価純資産総額(※8) (※7) 分配割合は、株式分配の直前の資本金等の額が0以下である場合には0と、株式分配の直前の資本金等の額及び分子の金額が0を超え、かつ、分母の金額が0以下である場合には1とし、その割合に小数点以下3位未満の端数があるときはこれを切り上げる。なお、株式分配法人から被株式分配法人に対して分配割合は通知される。 (※8) (注1)の(※3)(※4)と同じ。 ② 適格株式分配 (注1) 完全子法人株式対応帳簿価額は、上記①と同様の計算方法による。また、適格株式分配の場合には所得税の源泉徴収は要しない(所法24①、174①二、212③)。   (2) 株式分配法人 ① 非適格株式分配 (注1) 資本金等の額の減少額は、次の計算による。 (※1) 分配割合は、上記(1)①と同様の計算方法とする。 ② 適格株式分配 (注1) 適格株式分配の場合には所得税の源泉徴収は要しない(所法24①、174①二、212③)。 上記のとおり、分配割合は、被株式分配法人(株式分配法人の株主)におけるみなし配当の額や交付を受ける完全子法人株式の帳簿価額(金銭等交付株式分配に該当する場合、株式分配法人株式の譲渡損益を含む)、株式分配法人における資本金等の額から減算する金額の計算要素になるものであり、今回の改正は、この分配割合の計算において、分子及び分母に離脱法人となる完全子法人の株式に係る簿価修正相当額を加減算するという内容となっている。 なお、「簿価修正相当額」については、離脱法人株式を有する通算法人の株式分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時(前期期末時)における離脱法人の簿価純資産価額を基礎に計算される点で、離脱法人株式の投資簿価修正額とは相違することになる。 そして、『[ケース2]通算親法人が通算子法人に分割型分割を行うケース(分割対価が分割承継法人株式のケース)』においても分割割合の計算において同様の取扱いとなる。 以上が大綱からわかる[スピンオフ等に伴うグループ通算離脱時の分配割合等の計算の見直し]の改正内容となる。 この改正については、執筆時点で、大綱以外の情報が公表されていないため、最終的に改正法令が公表された場合、上記と異なる取扱いが生じる可能性もあるため、その点、留意してほしい。   (了)

#足立 好幸
2025/01/07

《速報解説》 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し~令和7年度税制改正大綱~

《速報解説》 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し ~令和7年度税制改正大綱~   税理士 石川 幸恵   消費税の外国人旅行者向け免税制度(輸出物品販売場制度)については、免税購入品が国外に持ち出されず、国内で横流しされたと疑われる事例が多発している。この問題を受け、令和6年度の税制改正大綱においてリファンド方式への見直しが示されており、令和7年度税制改正大綱(令和6年12月27日閣議決定)に具体的な内容が盛り込まれた。 本稿では大綱で示されたリファンド方式の内容及び施行までのスケジュールについて概説する。   1 背景 (1) 輸出物品販売場(以下「免税店」と表記する場合も同じ意味である)の不正事例 令和4年4月から令和6年3月における免税購入額と税関の検査状況の資料によると、1億円以上の免税高額購入者が690人いたことがわかっている。この全ての者が不正を行っているとまでは言えないが、税関や国税当局で捕捉し、検査を行ったほぼ全ての者について免税品の持ち出しが確認されず、国内での横流しが疑われる。購入者にはこの時点で消費税が賦課決定されるが、賦課した消費税のほぼ全てが滞納のまま海外へ出国されているのが現状である。 (2) 海外の対応 欧州連合(EU)や韓国をはじめ、海外では出国時に免税分を後から払い戻すリファンド方式が主流である。   2 現行の輸出物品販売場制度 (1) 現行制度では購入時に消費税が免税 現行制度では以下の手続きにより免税販売が行われている。 (2) 免税販売手続の電子化 ① 免税販売手続の電子化 令和3年10月1日に免税販売手続が電子化された。購入記録情報の送信については、自社でシステムを構築する自社送信と承認送信事業者(※)に委託する他社送信があり、他社送信が大半である。 (※) 承認送信事業者とは、一定の承認要件を満たしたうえで輸出物品販売場を経営する事業者が行うべき購入記録情報の提供を行うことにつき、納税地の所轄税務署長の承認を受けた事業者をいう(輸出物品販売場に関するQ&A問104)。電子化に対応した免税システム事業者情報は国土交通省のホームページにリストが掲載されている。 ② 免税販売手続システムの基本的な機能 承認送信事業者各社が免税販売手続のシステムを提供しているが、いずれも次の機能を基本的な機能として備えており、付加価値としてPOSシステムとの連動、誘客プロモーションなどのサービスを提供している。   3 リファンド方式 (1) リファンド方式の概要 リファンド方式とは出国時に税関において持ち出しが確認された場合に免税販売が成立する制度である。実務上、免税店を経営する事業者が消費税相当額を含めた価格で販売(下図①)し、出国時に持ち出しが確認(下図③)された場合に免税店を経営する事業者から免税購入対象者に対し消費税相当額を返金(下図⑦)する。返金手続きは承認送信事業者等に委託され、クレジットカード等でキャッシュレス返金をしたり、空港で現金で返金することが想定されている。 また、購入日から90日内に税関での確認を受けることとされる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋 (2) リファンド方式に向けたシステム対応のスケジュール 制度の詳細が確定後、国税庁が免税販売管理システムの使用を公表する予定である。公表後に承認送信事業者や免税店がシステム改修を進める。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和6年12月12日)より抜粋 (3) 免税販売要件の見直し等 リファンド方式への見直しと併せて、一般物品と消耗品の区分の廃止、購入上限額及び特殊包装の廃止が予定されている。これは、免税店の事務負担軽減、外国人旅行者の利便性向上といった観点によるものである。 ただし、「別送」(免税購入対象者が免税店で購入した免税対象物品を郵便局等から国外へ配送し、配送に係る書類により輸出したことを確認する取扱い)は不正に多用されていることから廃止する。   4 適用時期 システム改修等の準備期間を考慮し、令和8年11月1日以後に行われる免税対象物品の譲渡等について適用とされている。 上記3(3)の「別送」のみ前倒しで、令和7年3月31日をもって廃止する。 (了)

#石川 幸恵
2025/01/06

《速報解説》 中小企業向け設備投資減税の延長・拡充等~令和7年度税制改正大綱~

《速報解説》 中小企業向け設備投資減税の延長・拡充等 ~令和7年度税制改正大綱~   Profession Journal編集部   令和6年12月27日に閣議決定された令和7年度税制改正大綱では、中小企業関連税制として既報のとおり中小企業に対する軽減税率が対象の一部見直しとともに2年延長された他、令和7年3月31日に適用期限を迎える各設備投資減税制度について、下記の改正案が示されている。 まず中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却(30%)又は税額控除(7%)(措法42の6))は、一部見直しとともに(※)、適用期限が令和9年3月31日まで2年延長される。 (※) 関係法令の改正を前提に、みなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、「その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社(農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法に規定する承認会社のうち地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会、農林中央金庫又は株式会社日本政策金融公庫がその総株主の議決権の過半数を有しているもの)がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式又は出資」が除外される。 【参考図①】 (※) 経済産業省ホームページ 次に中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却(即時償却)又は税額控除(7%又は10%)(措法42の12の4))についても適用期限が令和9年3月31日まで2年延長される他、下記の見直しが行われる。 【参考図②】 (※) 経済産業省ホームページ 【参考図③】 (※) 経済産業省ホームページ また、中小企業防災・減災投資促進税制(特定事業継続力強化設備等の特別償却(16%)(措法44の2))は、対象資産から「感染症の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有する減価償却資産(サーモグラフィ装置)」を除外した上で、適用期限が令和9年3月31日まで2年延長される。 【参考図④】 (※) 経済産業省ホームページ 最後に先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業者に対する固定資産税の軽減措置(地法附15㊹)については、対象資産を「雇用者給与等支給額の引上げの方針を位置づけた同計画に基づき取得する一定の機械・装置等」に限定し(現行は賃上げ方針表明により軽減の上乗せ)、軽減割合の見直しを行った上で、適用期限が令和9年3月31 日まで延長される。 【参考図⑤】 (※) 経済産業省ホームページ (了)

#Profession Journal 編集部
2025/01/06

《速報解説》 金融庁、法人税等会計基準等の改正案を受け、「財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表

《速報解説》 金融庁、法人税等会計基準等の改正案を受け、「財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024(令和6)年12月27日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。財務諸表等規則ガイドライン及び連結財務諸表規則ガイドラインも改正する。 これは、2024年11月21日に公表された「2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正(案)」において、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第82号。企業会計基準第27号の改正案)等が示されたことを受けたものである。 意見募集期間は2025年1月27日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 財務諸表等規則等の主な改正 主に次の改正を行う(連結財務諸表規則も同様)。   Ⅲ 施行日等 企業会計基準委員会において、公開草案の結果を踏まえ公表される「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用日を踏まえて、財務諸表等規則等を施行する予定である。 (了)

#阿部 光成
2025/01/06

《速報解説》 「財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等が金融庁から公表される~新リース会計基準等を受け、リースに関する注記について新たに規定~

《速報解説》 「財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等が金融庁から公表される ~新リース会計基準等を受け、リースに関する注記について新たに規定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024(令和6)年12月24日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。「財務諸表等規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」等の一部改正(案)も公表されている。 これは、「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)等を受けたものである。 意見募集期間は2025年1月24日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 財務諸表等規則等の主な改正 財務諸表等規則8条の6を改正し、「リースに関する注記」として、以下のように規定する。 下記のほか、財務諸表等規則8条の6第1項1号ロ及びハ、2号並びに3号に掲げる事項は、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、当該事項の記載を省略することができるなどを規定する。 1 借手のリースに関する注記事項 2 貸手のファイナンス・リースに関する注記事項 3 貸手のオペレーティング・リースに関する注記事項 4 その他 上記のほか、例えば、次の改正事項がある。 第一種中間財務諸表及び第二種中間財務諸表の規定や、連結財務諸表規則についても、リースに関連する改正が行われている。   Ⅲ 財務諸表等規則ガイドラインの主な改正 「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」についても改正されている。 例えば、重要な会計方針の記載に関して、「ファイナンス・リース取引に係る収益及び費用の計上基準等」から「リースに係る収益及び費用の計上基準等」へ改正する(財務諸表等規則ガイドライン、8の2の3、3(6)➀)。 また、企業会計の基準の指定については、適用時期も含めて行われるものであることから、個々の企業会計の基準の適用時期については、特段の定めのない限り、個々の企業会計の基準の規定に従うものとする(財務諸表等規則ガイドライン1-3、2(1))。 販売費及び一般管理費に属する費用の例示から、「不動産賃借料」が削除されている(財務諸表等規則ガイドライン84)。 「「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(連結財務諸表規則ガイドライン)」も改正されている。   Ⅳ 施行日等 公布の日から施行する予定である(経過措置に注意)。 (了)

#阿部 光成
2025/01/06

《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2024(第3弾)」を公表~人的資本、多様性及び人権に係る好事例を追加~

《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2024(第3弾)」を公表 ~人的資本、多様性及び人権に係る好事例を追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024(令和6)年12月27日、金融庁は、「記述情報の開示の好事例集2024(第3弾)」を公表した。 これは、2024年11月8日の「記述情報の開示の好事例集2024(第1弾)」、2024年12月5日の「記述情報の開示の好事例集2024(第2弾)」に続くものであり、サステナビリティに関する考え方及び取組の開示③(人的資本、多様性及び人権)について議論したものである。「定量分析」も更新している。 今後、第4回勉強会以降のテーマを追加して、公表、更新することを予定しているとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の全般的な開示のポイント サステナビリティ情報に関する重要な情報は、有価証券報告書に記載することが期待されていること、非財務情報と財務情報の開示のタイミングが同じであることが重要であることが追加されている。   Ⅲ 人的資本、多様性等の開示例 主な開示のポイントとして、経営戦略と人材戦略が関連した開示が重要であり、人材戦略がどのように企業価値向上につながるかについて開示することが有用であること、人的資本に関する財務データを開示することが有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組みが記載されている(一貫した価値創造ストーリーや持続的成長の道筋がより効果的に伝わるよう工夫していることなど)。 「人材育成方針、社内環境整備方針等」の好事例のポイントとして次のことが記載されている。 「従業員の状況」の好事例のポイントとして次のことが記載されている。   Ⅳ 人権の開示例 主な開示のポイントとして、サプライチェーン上の人権に関する取組みとして、現地訪問によりセルフチェックを行っている場合には、訪問頻度や訪問先の選定基準、選定理由を開示することが有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組みが記載されている(重要課題ごとの記載内容の粒度をそろえるため、フレームワークに沿った開示とすることを心掛けたことなど)。 「人権」の好事例のポイントとして次のことが記載されている。 (了)

#阿部 光成
2025/01/06

プロフェッションジャーナル第600号公開に向けたお祝いの言葉

◆◇◆ はじめに ◆◇◆ 資格の学校TACと出版社の清文社が合弁会社として立ち上げた株式会社プロフェッションネットワークは、2012年5月に創業を開始しました。同社が運営する税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナルは同年10月から12月における5回の準備号を経て2013年1月10日に創刊、毎週木曜日の公開を継続し、2024年12月26日をもって第600号を公開させていただく運びとなりました。 本誌が10年以上にわたり運営を継続できましたのは、ひとえに会員読者の皆様及び本誌へご寄稿いただいた多くの先生方のご支援によるものであり、あらためまして深く感謝申し上げます。 創刊当時はまだWeb情報誌という存在が数えるほどしかなく、スマートフォンの普及率も低いなか、本誌はTACによるシステム・サービス開発力、清文社による編集技術をそれぞれ活かし、当初よりWebのみの公開、かつ、スマホ閲覧最適化のシステムを織り込んでまいりました。ここまで公開・蓄積された解説記事は約9,500、実務家にとっての情報データベースとしての有効性を日々更新しております。 そしてこのたび、平時より本誌へご寄稿いただいている筆者の先生方より、ご多用の中、第600号公開を記念し温かいお言葉を頂戴しましたので、下記の通り公開させていただきます。 今後もより良い媒体を目指し尽力いたしますので、本誌を引き続きご愛読、ご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。 プロフェッションジャーナル編集部一同 ※掲載順は順不同です。 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ 「プロフェッションジャーナルへの期待-貴重なアーカイブ」 東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹 プロフェッションジャーナル600号の公開、おめでとうございます。 私は、プロフェッションジャーナル創刊の2013年1月以来、毎月一度「monthly Tax views」という連載を続けており、すでに10年以上が経過しました。私にとって生活の一部となっている寄稿を通して感じたことを記して、プロフェッションジャーナルへの期待の言葉に代えたいと思います。 執筆の際、私が最も苦労するのはテーマの選定です。読者は、ほとんどが税務や会計のプロの方であり、税制の個別テーマについては、私より詳しい方々が大勢いらっしゃるため、私としては、専門分野である租税政策や財政の話題を取り上げ、差別化を図ることにしています。 その際に気を付けることとして、プロフェッションジャーナルがWebメディアだという点です。ほぼリアルタイム、同時進行なので、即時性の高い「旬の課題」を取り上げることとしています。最近は政治情勢が変わり、税制の議論も利害が複雑化してきました。またSNSでは、注目を集めようと不確かな事実関係をもとにした極端な意見が幅を利かせています。そのような状況の中、自分なりに少し世の中の議論の先を見ながらテーマを選んでいます。 また、毎年暮れには編集部の方々と、私が取り上げたテーマの記事のアクセス状況などを参考にしながら、どのテーマが読まれたのかなどについて検討会を行っています。税制は最も政治性の高い話題なので、なるべく中立的な立場で、そうはいっても自らの考え方をわかりやすく発信していきたいと考えています。 最後に、Webメディアのメリットの1つは、検索の容易性にあると思っています。プロフェッションジャーナルは、税務・会計の諸問題についての情報提供や各部門の専門家による程度の高い解説や意見がアーカイブとして蓄積されており、貴重な財産となっています。折に触れその中から興味のある記事を検索して学び直すことは、大きな楽しみの1つです。 プロフェッションジャーナルの益々の発展をお祈りします。 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ 「プロが読むべき情報誌」 中央大学法科大学院教授・法学博士 酒井 克彦 プロフェッションジャーナル600号公開とのこと誠におめでとうございます。 ご縁をいただき、2013年創刊の本誌に同年から連載を始めたことが、つい最近のことのようです。思うに小職の連載スタートの第1回は、馬券訴訟をテーマにしたものでした。当時、同訴訟には刑事事件のものと民事事件のものがありましたが、いずれの納税者も外れ馬券の購入費用を必要経費として雑所得の金額の計算上控除されるべきだと主張していました。しかしながら、国税庁は所得税基本通達34-1において、競馬の馬券の払戻金に係る所得区分を一時所得と通達していたため、いわば通達に反する処理を求めた訴訟だったわけです。小職は、このうちの民事事件において雑所得該当性を主張する鑑定意見書を提出したところ、最高裁で納税者勝訴となった小職にとってとても思い出深い事件が、本誌の連載の出発点であったのです。その後も、事件に直接携わった長崎年金二重課税訴訟、LLP事件、LPS事件など、多くの事例を本誌において紹介させていただきました。 もっとも、小職の関心事項は、これまで携わってきた多数の租税訴訟の紹介そのものよりも解釈論の方にシフトしてきており、連載のコンテンツは変容してまいりました。 さて、プロフェッションジャーナルはその名のとおり、プロフェッション向けの情報誌ですが、プロフェッションの仕事には何が求められているのでしょうか。 小職のまったくの私見として常に思っていることなのですが、プロフェッションにとって、十分な情報収集なくして盤石な仕事はできないと思っております。やや強調する別言を許してもらえるとすれば、正確なエビデンスなくしてプロフェッションは生き残れないということを意味しています。この文脈で小職が強調したいことは、プロフェッションに求められているのは、情報のリサーチ力と読書量だということです。 プロフェッションジャーナルがそのプロフェッションのための重要な情報獲得ツールであることは言を俟たないと思います。今後も、これまで同様、このようなWEB情報誌が情報収集の中心になることは間違いないでしょう。 プロフェッションのための情報誌として、今後も大いに期待するとともに、小職も、出し惜しみをせず、これまで関わってきた「超」がつくほど重要な租税事件について、いわば当事者的目線で紹介していこうと思います。プロフェッションの仕事に役立つ情報を提供することで、少しでも読者の皆さんの盤石な仕事のお役に立てれば幸甚の極みです。 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ 「プロフェッションジャーナル600号公開に寄せて」 大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫 プロフェッションジャーナル600号公開、誠におめでとうございます。2013年1月10日の創刊号から12年間の長きにわたり「税務・会計Web情報誌」としての評価を高め社会におけるその地位を確立してこられたことに、心よりお慶びを申し上げます。 さて、私がプロフェッションジャーナルに初めて寄稿させていただいたのは2018年8月16日の281号であり、その後2020年12月24日の400号まで50回にわたって「谷口教授と学ぶ『税法の基礎理論』」を連載させていただきました。この連載に先立ち、清文社の小泉定裕社長とプロフェッションジャーナルの坂田啓編集長からご依頼の趣旨等の説明を受けテーマ等を検討した結果、私が税法の研究において常に念頭に置いてきた「税法の基礎理論」とりわけ租税法律主義論を中心に原則1回読み切りの「読み物」を執筆させていただくことにしました。 その旨を坂田編集長にお伝えしたところ、「谷口教授と学ぶ」をいわば枕詞として付けることを提案していただき、「谷口教授と学ぶ『税法の基礎理論』」として連載を始めました。その際、「谷口教授と学ぶ」に相応しい内容にするにはどのような「読み物」にすればよいか思案した結果、学説や判例を引用・参照するに当たりその要点・要旨を述べるだけでなく、できるだけ原典をそのまま引用することによって、学説・判例について私が理解したところを、読者には原典に当たって検討しながら読んでもらうことができるようにすることを、執筆の基本方針とすることにしました。 連載を始めその基本方針に徐々に慣れてきたことから、当初は月1回であった公開を月2回の公開とする連載に切り替え、「谷口教授と学ぶ『税法の基礎理論』」の連載終了後は「谷口教授と学ぶ」をシリーズ化し、2021年4月22日の416号から「谷口教授と学ぶ『税法基本判例』」を、2022年4月14日の465号からは「谷口教授と学ぶ『国税通則法の構造と手続』」をそれぞれ月1回ずつ公開させていただいております(2024年11月末時点で前者は第44回、後者は第32回)。 このように私のこれまで40数年に及ぶ研究生活の中で経験したことのない長期間にわたる連載を続けてこられたのは、「谷口教授と学ぶ」という坂田編集長から提案していただいた枕詞のお陰であると心より感謝しております。その枕詞の趣旨を私なりに理解して立てた基本方針に従い「谷口教授と学ぶ」というスタイルで原稿の執筆を続けることを通じて、個人的な思いとしては研究の「新境地」を開くことができたと考えております。 このようなスタイルでの原稿執筆を可能にしてくれたのは、紙ベースの伝統的な雑誌とは異なり字数制限がさほど厳格でないWeb雑誌の特性・優位性であると考えるところであり、その意味でも、プロフェッションジャーナルには今後更なる飛躍・発展の可能性が大いにあると確信しております。 プロフェッションジャーナルの今後更なるご継続とご発展を祈念申し上げます。 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ 「〈小説〉『所得課税第三部門にて。』」 大阪学院大学法学部教授 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 現在、第87話まで「〈小説〉『所得課税第三部門にて。』」の連載を行っている。このシリーズは、2013年1月10日に「〈小説〉『法人課税第三部門にて。』」を第1話として掲載したのがスタートである。この『法人課税第三部門にて。』は、第23話まで執筆し、次回作として、「〈小説〉『資産課税第三部門にて。』」を第24話まで執筆したうえで、新シリーズとして、現在の「小説『所得課税第三部門』にて。」へと続いている。 これらを通算すると、早いもので執筆期間は、10年を優に過ぎていることになる。当初の「〈小説〉『法人課税第三部門にて。』」は、『入門税務調査~小説でつかむ改正国税通則法の要点と検証』(2014)として、法律文化社から書籍として出版され、さらに、清文社からも『マンガでわかる税務調査』(2016)としてマンガ本になっている。これまで、マンガ本は、2冊(『入門税務訴訟』(2003)『マンガでわかる遺産相続』(2011))清文社から出版しているので、『マンガでわかる税務調査』は、3冊目となっている。 プロフェッションジャーナルでの税務署(法人課税部門、資産課税部門、所得課税部門)シリーズは、税務署内で、主として統括官と調査官の2人が、日常の税務の問題について議論するというスタイルを採っている。もちろん、多くは筆者の想像の下で、書いているが、一部、知人の元税務職員らに確認をしていることもある。ちなみに、筆者は、国税(大阪国税不服審判所も含めて)に10年間勤務した経験を有しているので、ある程度、昔の税務署内部の状況は理解している。 税法は、その条文を読んでもその理解の内容が異なることがよくある。特に、納税者と課税庁では、条文の解釈が異なることが多々ある。租税法律主義を強調する納税者と租税公平主義を維持しようとする課税庁では、本質的に、条文の読み方が異なるのかもしれない。ともあれ、このシリーズでは、統括官と調査官の会話を通じて、それぞれの考え方を分かりやすく理解できるように執筆することを心がけている。 ところで、このような会話における議論は、その会話の展開によって、当初考えていた結論と異なることが起こる。一人の人間が二役を演じるのであるから、このような執筆形式では当然のことで、筆者としては面白い体験になっている。 また、税務署内部の取扱いについても、いろいろな人に取材し、情報を収集し、できるだけ興味深いテーマを議論できるようにしている。 税金は、難解なものでないということを読者に伝えることを、筆者はモットーとしている。その意味で、600号公開を迎えるプロフェッションジャーナルにおいて、このようなシリーズを続けさせてもらえることに、感謝したい。

#Profession Journal 編集部
2024/12/26

プロフェッションジャーナル No.600が公開されました!~今週のお薦め記事~

2024年12月26日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.600を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2024/12/26

日本の企業税制 【第134回】「令和7年度税制改正大綱がまとまる」

日本の企業税制 【第134回】 「令和7年度税制改正大綱がまとまる」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   12月20日、与党(自由民主党・公明党)の「令和7年度税制改正大綱」が公表された。 今回の税制改正プロセスにおいては、従来の自由民主党と公明党の両党による与党税制協議の枠組みに加えて、与党と国民民主党との3党間での税制協議も併行して行われた。11月20日から開始した3党間での税制協議は12月17日までの間に計6回開催された。いわゆる「103万円の壁」を巡っては、12月13日の協議において、与党側から給与所得控除と基礎控除をそれぞれ10万円ずつ令和7年から引き上げる提案があったものの、それに続く12月17日の協議において、与党側からのさらなる提案がなかったことから、国民民主党が協議を打ち切るという展開となっていた。 12月20日に公表された与党大綱では、12月11日の3党の幹事長間での合意(①いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる、②いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する)が改めて引用され、「引き続き、真摯に協議を行っていく」ことが表明された。   〇「103万円の壁」の見直し 今回の3党協議の焦点となった「103万円の壁」の見直しについては、大綱では、12月13日の与党提案ベースの内容となった。 物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応の観点から、1995年以来の物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除を最大48万円から最大58万円に10万円引き上げることとした。なお、基礎控除の金額が減少し始めるのが現行制度では合計所得金額が2,400万円のところであったのが、2,350万円からに引下げも併せて行われる。また、給与所得控除の最低保障額も同様に、55万円から65万円に10万円引き上げられる。 加えて、大学生のアルバイトの就業調整への対応として、19歳~22歳の子の給与収入が150万円までは親が所得控除(63万円)を受けられる特別控除を創設することとし、さらに、子の給与収入が150万円を超えた場合でも控除額は段階的に逓減する仕組みも併せて講じることとされている。これは配偶者特別控除と同様の措置である。 これらの見直しは、令和7年末の年末調整から適用される。 一方、個人住民税に関しては、国税規定がそのまま参照される給与所得控除については、最低保証額が65万円に引き上げられることとなる一方、基礎控除(43万円)については、見直しは見送られた。19歳~22歳の子への対応については国税同様である(最大45万円)。個人住民税の見直しは令和8年度分からの実施となる。   〇確定拠出年金の拠出限度額の見直し 老後に向けた資産形成の支援の観点から、確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo(個人型確定拠出年金))について、企業年金の有無等によるiDeCoの拠出限度額の差異を解消する。賃金上昇の伸びを踏まえ、会社員(2号被保険者)の共通拠出限度額(企業型DC+iDeCo)を7,000円引き上げる(月額5.5万円 ➡ 6.2万円)。この結果、企業年金のない会社員のiDeCoの拠出限度額が2.7倍になる(月額2.3万円 ➡ 6.2万円)。また、個人事業主(1号被保険者)についても会社員と同額引き上げる(月額6.8万円 ➡ 7.5万円)。   〇子育て支援措置 子育て支援に関する政策税制として、令和6年度税制改正で先行的に1年限りの措置として行われている住宅ローン控除・住宅リフォーム税制については、引き続き令和7年限りの時限措置として継続することとされた。また、23歳未満の扶養親族を有する場合に生命保険料控除の拡充(新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について適用限度額の上乗せを行う(4万円 ➡ 6万円))を令和8年限りの時限措置として行うこととされた。 また、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、「こども未来戦略」の集中取組期間(令和8年度まで)の最中であることから、令和9年3月31日まで2年延長となった。 なお、令和6年度税制改正大綱では、高校生年代の扶養控除等の令和8年分からの見直し(38万円 ➡ 25万円)が示唆されていたが、今回の大綱では、令和8年分の所得税及び令和9年度分の個人住民税については、現行制度を維持し、「令和8年度以降の税制改正において、各種控除のあり方の一環として検討し、結論を得る」こととなった。   〇中小企業税制 リーマンショックの際に導入され現在まで継続している中小企業者等の軽減税率の特例(15%)については令和9年3月31日まで2年延長されたが、所得10億円超の企業には適用税率を17%にするなどの見直しが行われる。 一方、このような所得の高い中小企業に対しては、さらに業績の拡大を後押しすべく、売上高100億円超を目指す中小企業を対象に、中小企業経営強化税制を拡充し、対象資産に「建物」を追加するとともに、給与増加割合に応じた償却率・税額控除率を設定した(給与増加割合2.5%以上の場合に償却率15%又は税額控除率1%、給与増加割合5%以上の場合に償却率25%又は税額控除率2%)。 また、法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件が見直され、現行では贈与の日まで引き続き3年以上特例認定贈与承継会社の役員等に就任していることが求められていたところ、贈与の直前において特例認定贈与承継会社の役員等であることでよいこととなる(令和7年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する)。   〇スタートアップ投資、NISA エンジェル税制について、再投資期間を最大で2年間に延長(繰戻し還付制度の創設)する。 NISAについて、つみたて投資枠のETFの最低取引単位の見直し(1,000円以下 ➡ 10,000円以下)や金融機関変更時の即日買付を可能とする等により、利便性を向上させることとした。   〇防衛力強化に係る財源確保のための税制措置 安全保障環境が厳しさを増す中、わが国の防衛力の抜本的な強化を行うために安定的な財源を確保するという観点から、令和5年度税制改正大綱において、防衛力強化に係る財源の一部(1兆円程度)を法人税・所得税・たばこ税により賄う大枠が示されていたところであったが、その開始時期や制度の詳細については未定であった。 今回の大綱では、その詳細が明らかとなった。 法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税額から500万円を控除した上で、税率4%(法人税率換算1%程度)の新たな付加税を創設する。 一方、所得税は、令和5年度大綱等を踏まえつつ、「103万円の壁」の引上げ等の影響も勘案しながら、引き続き検討することとなった。 また、加熱式たばこの課税について、紙巻たばことの間の税負担差を解消するため、2段階で適正化(令和8年4月、令和8年10月)した上で、国のたばこ税率を3段階で引上げる(令和9年4月、令和10年4月及び令和11年4月に0.5円/1本ずつ)こととなった。   〇国際課税 「法人税引下げ競争」に歯止めをかける観点から、G20・OECDの国際合意に則り、グローバル・ミニマム課税(最低税率15%)の導入が進められており、わが国では令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から、所得合算ルール(IIR)の適用が開始したところであるが、それを補完する制度として、今回の大綱では、軽課税所得ルール(UTPR)及び国内ミニマム課税(QDMTT)を法制化することとされた。 (了)

#No. 600(掲載号)
#小畑 良晴
2024/12/26
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