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〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第16回】「税理士の説明義務とそれにまつわる注意点」

〔一問一答〕 税理士業務に必要な契約の知識 【第16回】 「税理士の説明義務とそれにまつわる注意点」   虎ノ門第一法律事務所 弁護士 川上 邦久   〔質 問〕 ①説明義務が認められる法的根拠は何ですか。 ②説明義務の実質的根拠は何ですか。どのような場合に問題となりますか。 ③契約書での対応としてはどのようなものがありますか。 〔回 答〕 ①委任契約において受任者が法律上当然に負う善管注意義務(民法644条)の一形態として「助言・指導義務」「調査・確認義務」などと並んで認められます。 ②顧客に自己決定の機会を与えるということが実質的根拠とされています。「選択の余地のある税務処理をする場合」に、顧客から、きちんと説明を受けていれば別の選択をしていたと結果的に思われてしまった場合に問題となります。 ③いわゆる免責規定を設けることには懸念点がありますが、少なくとも委任事務の対象を特定することで、説明義務が生じる対象を限定することが考えられます。 ◆◆◆◆ 解 説 ◆◆◆◆ 1 善管注意義務の一形態としての説明義務 税理士と顧客との間で締結される税務顧問契約その他の業務委託契約は、原則として委任契約と考えられている(本連載【第14回】参照)。 委任契約において、受任者は、法律上当然に「委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」(いわゆる善管注意義務)を負う(民法644条)。 受任者の善管注意義務は、受任者が「委任事務の処理」を行う全ての局面で問題になるが、どのような局面を想定するかによって、受任者に求められる義務の具体的な中身は異なる。本稿で扱う説明義務も、(広義の)善管注意義務の一形態ということになる。 ここで、税理士による「委任事務の処理」の流れを単純化すると、以下のように整理することができる(なお、実際には、各段階がこのように明確に区別できるわけではないし、各段階で問題となる義務の呼称についても、用法が確立しているわけではないので、あくまでも1つの整理としてご参照いただきたい)。 (1)は、いわゆる「事前税務相談」である。これは、どのような事実を発生させれば顧客にとって有利となるかを助言・指導するというもので、未発生の事実を対象とした委任事務であるという点で、既発生の事実を前提とした(2)以下の委任事務と区別されることになる(税理士職業賠償責任保険でも、「事前税務相談」に関する保険は「特約」として設計されている)。ここで問題となるのが「助言・指導義務」である。 (2)については、税理士においてどのような資料・情報が必要になるかを指示する必要はあるが、基本的には顧客の責任で行うべきものである。顧客が資料・情報を提供しなかったために顧客に損害が生じたとしても、原則として税理士が責任を負うことはない。 (3)について問題となるのが「調査・確認義務」である。必要な資料・情報の提供は、原則として顧客の責任で行うべきものであるが、「顧客から提供された資料・情報」に誤り・虚偽があることに税理士が気づいており、あるいは容易に気づくことができた場合には、税理士においても調査・確認を行う義務があるとされることがある。 (4)は、税理士による「委任事務の処理」の根幹であり、ここで税理士が果たすべき義務を指して単に「善管注意義務」ということもある。確定された事実を前提として、適法かつ顧客の利益となるように法律を適用し税務処理を行うことは、税務専門家である税理士に当然に求められる責務である。 (5)は、税務処理を行うにあたって付随的になすべき事項であり、ここで問題となるのが本稿で扱う「説明義務」である。   2 説明義務が問題となる場面 「説明義務」とは、税務処理の内容について顧客に説明し、その承諾を得る義務である。 この点、もちろん「顧客サービス」として顧客への説明を行うことが望ましいことは理解できるが、日々の研鑽を怠らず、税法や通達の改正にもキャッチアップし、税務専門家として「誤り」のない処理をしてさえいれば、顧客への説明を「法的な義務」とする必要まではないのではないか、との疑問も生じるかもしれない。 しかしながら、税務処理の結果に対する評価は、絶対的に定まるものではなく、相対的なものである。 すなわち、ある面で顧客に有利な税務処理であっても他の面では不利になることもあれば(例えば、課税の繰延は一般的には顧客に有利な処理といい得るが、それでさえ、ライフサイクル等に照らして早期の課税を希望する顧客にとっては不利な処理になり得る)、顧客に関する将来の見通しによって有利不利が決まることもある(例えば、消費税の還付を受けることができるのであれば、免税事業者となることは不利である。消費税課税事業者選択届書の提出に関する裁判例は非常に多い)。 税務処理の結果により利益を享受し、不利益を被るのは顧客本人であるから、顧客に自己決定の機会が与えられるべきである。しかしながら、税務の素人である顧客本人は、そもそも判断するために必要な情報を持っていない。したがって、専門家である税理士から顧客に情報を提供させることで、顧客に自己決定の機会を与えるべきである。これが「説明義務」の実質的な根拠である。 このように、客観的に見て税務処理が「誤り」であったとまではいえなかったとしても、顧客からその税務処理が「誤り」であった(説明を受けていれば別の選択をしていた)と結果的に思われてしまうと、「説明義務」違反が問題となり得ることになる。 特に、「否認リスクがある税務処理をする場合」は危険である。否認リスクがあるものの税務上有利な税務処理をとるか、税務上不利であっても否認リスクのない税務処理をとるか、という「選択の余地のある税務処理をする場合」にあたるうえ、結果的に否認された場合には、顧客に損害が発生したことが分かりやすいためである。 大阪高判平成10年3月13日判例時報1654号54頁(TAINSコード:Z999-0018)で問題となったのは、バブル崩壊後における異常な経済状態を理由に基本通達と異なる確定申告をすることを積極的に指導した結果、更正処分を受け、過少申告加算税を賦課されたという事案である。 同判決は、「確定申告をするに当たり形式上基本通達に反する税務処理をすることが直ちに許されないというものではない」として、「基本通達に反する税務処理」自体が客観的に「誤り」であるとはしなかった。 そのうえでなお、同判決は、「税務行政が基本通達に基づいて行われている現実からすると、当該具体的事案について基本通達と異なる税務処理をして確定申告をすることによって、当初の見込に反して結局のところ更正処分や過少申告加算税の賦課決定を招くことも予想されることから、依頼者にその危険性を十分に理解させる義務がある」として税理士の説明義務違反を認めたのである。 こうした危険を避けるために、「否認リスクがある税務処理をする場合」や、その他の「選択の余地のある税務処理をする場合」には、各選択の内容及びリスクを顧客に説明したうえで、その承諾を得ることとし、その経過をできる限り記録に残すべきである。   3 契約書の規定について 最近では、契約書にも、説明義務に関する規定が含まれていることが多い。日本税理士会連合会が提供している業務契約書のひな形にも、以下のような規定が含まれている。 この規定は、①「とるべき処理の方法が複数存在し、いずれかの方法を選択する必要があるとき」、あるいは②「相対的な判断を行う必要があるとき」の説明義務を定めるものである。顧客に対して説明を行い、顧客がこれを承諾した場合には免責されるというもので、基本的には法律上当然の事柄を定めたものといえる。 さらに一歩進めて、契約書において、説明義務を排除することができるか、ということについては、消費者契約法との関係等が問題となる。 消費者契約法では、故意又は重過失がある場合の免責は一切認められておらず、軽過失しかない場合であっても、一部の免責しか認められていない。したがって、「損害賠償の額は、対応する期間の業務委託料を上限とする。ただし、故意又は重過失のある場合はその限りではない」といった規定であれば、消費者契約法上は許容されることになる。 ただし、税理士が締結する契約書に関しては、このような規定は一般的なものではないと思われ、このような規定を入れることが顧客との関係に悪影響を及ぼす懸念もある。また、結局は、重過失の有無が争いになるだけで、紛争予防につながらない、という懸念もある。さらに、税理士職業賠償責任保険が存在する状況で、顧客の保護をあえて限定するべきなのかという問題もある。 現実的な対応としては、少なくとも、個別の事案ごとに委任事務の対象をしっかり特定することで、説明義務が生じる対象を限定することが考えられる。 (了)

#No. 414(掲載号)
#川上 邦久
2021/04/08

《速報解説》 会計士協会が「監査報告書の文例」等の改正を確定~強制適用は2022年3月31日以後修了する連結会計年度及び事業年度に係る監査から~

《速報解説》 会計士協会が「監査報告書の文例」等の改正を確定 ~強制適用は2022年3月31日以後修了する連結会計年度及び事業年度に係る監査から~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年4月7日、日本公認会計士協会は、「「監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」及び関連する監査・保証実務委員会報告」の改正について」を公表した。 これにより、2021年1月19日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。なお、公開草案に対するコメントは寄せられなかったとのことである。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(2020年11月6日、企業会計審議会)及び「監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」」(2021年1月14日)等を受けたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 「監査基準の改訂に関する意見書」において、監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容、すなわち「その他の記載内容」について、監査人の手続を明確にするとともに、 監査報告書に必要な記載を求める改訂が行われた。 監査報告書では、「その他の記載内容」又は他の適切な見出しを付した区分を設けて記載する(監基報720第20項)。 「その他の記載内容」には、監査報告書日以前に監査人が入手したその他の記載内容、監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、監査人は意見を表明するものではなく、また、表明する予定もない旨などの所要の事項を記載する。 各文例において、「その他の記載内容」の文例を示すとともに、文例6として、「監査報告書日以前に全てのその他の記載内容を入手し、またその他の記載内容に関して重要な誤りが存在すると結論付けた場合における、無限定適正意見の監査報告書」が追加されている。   Ⅲ 適用時期等 2022年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度に係る監査から適用する。 ただし、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度に係る監査から適用することができる。 (了)

#No. 413(掲載号)
#阿部 光成
2021/04/07

《速報解説》 国税庁、4月16日(金)以降の個別指定による申告・納付期限延長手続に関しコロナFAQを更新~申告書の余白記載による簡易的方法は認められず申請書が必要~

《速報解説》 国税庁、4月16日(金)以降の個別指定による申告・納付期限延長手続に関しコロナFAQを更新 ~申告書の余白記載による簡易的方法は認められず申請書が必要~   Profession Journal編集部   令和2年分の所得税等の確定申告・納付期限は全国一律、令和3年4月15日(木)まで延長されているが、最近の第4波ともいわれる新型コロナウイルス感染再拡大もあり、この延長期限をもってしても申告・納付が間に合わないケースも想定される。 このように、新型コロナウイルス感染症の影響によって期限までに申告・納付することができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し承認を受けることで、その理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲(所轄の税務署長が指定した日)で、個別指定による期限延長が認められる。 来週にもこの延長期限を迎える中、国税庁は4月6日(火)付けで、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」において、個別指定に係る問答を追加・更新した。 これまでは、新型コロナウイルスの影響により個別指定による期限延長を申請する場合、期限までに申告・納付ができない理由について、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」等と記載する簡易な方法が認められていたが、今回追加された問答(問1-3 簡易な方法による個別延長)では、令和3年4月16日(金)以降に個別延長を申請する場合には、上記の簡易な方法による申請ではなく、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成・提出する必要があるとしている(法人税・相続税等の税目についても同様(問1-5))。 なお、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は郵送で提出できるほか、「e-Taxソフト」を利用して申請することもできる(ただし国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から申請することはできない)。 また、延長後の納付期限までに納付することが困難な場合には、納税についての猶予制度を適用できる場合がある。 (了)

#No. 413(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/04/07

《速報解説》 金融庁、「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」と題する提言を公表~取締役会の機能発揮や中核人材の多様性の確保等に係る改訂を予定~

《速報解説》 金融庁、「コーポレートガバナンス・コードと投資家と 企業の対話ガイドラインの改訂について」と題する提言を公表 ~取締役会の機能発揮や中核人材の多様性の確保等に係る改訂を予定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年4月6日、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議は、「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」と題する提言を公表した。 これは、取締役会の機能発揮、企業の中核人材における多様性の確保などや、2022年4月から東京証券取引所において新市場区分の適用が開始となることを踏まえて、コーポレートガバナンス・コードを改訂するものである。あわせて、投資家と企業の対話ガイドラインも改訂する。 今後、本提言に沿って、すみやかに東京証券取引所においてコーポレートガバナンス・コードの改訂が行われ、金融庁において対話ガイドラインの改訂が行われることが期待されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ コーポレートガバナンス・コードの改訂 主に次の改訂が記載されている。 1 取締役会の機能発揮 2 企業の中核人材における多様性の確保 3 サステナビリティを巡る課題への取組み 4 その他   Ⅲ 投資家と企業の対話ガイドラインの改訂 主に次の改訂が記載されている。   (了)

#No. 413(掲載号)
#阿部 光成
2021/04/07

《速報解説》 国税庁、キャリード・インタレストの税務上の取扱いに係る金融庁からの照会への回答(情報)を公表~金融庁HPでは特設ページを開設、今後チェックシートや所得計算書を公表予定~

《速報解説》 国税庁、キャリード・インタレストの税務上の取扱いに係る金融庁からの照会への回答(情報)を公表 ~金融庁HPでは特設ページを開設、今後チェックシートや所得計算書を公表予定~   Profession Journal編集部   令和3年度与党大綱では、「国際金融都市に向けた税制上の措置」、すなわち、わが国の国際金融センターとしての地位の確立に向けて海外から事業者や人材、資金を呼び込むための諸課題の解決を目的に、以下の措置を講じるとしていた。 ファンドマネージャーが受け取るキャリード・インタレストについては、現行制度上、総合課税(地方税含め最高税率55%)とされるリスクがあるため、海外の運用会社にとって日本進出へのネックとなっていたことから、株式譲渡益等として分離課税の対象となる場合の要件を明確化する必要があった。 このたび国税庁は、組合事業に係る利益等の帰属について定めた所得税基本通達36・37共-19(以下、本通達)の適用に関し、金融庁からの照会への回答(以下、本情報)を公表した。 本情報では、組合事業に係る利益等について、分配割合に応じた構成員課税(組合事業に係る利益等が株式等の譲渡に基づくものである場合には、株式等の譲渡による所得として分離課税)とする本通達の適用に必要な「経済的合理性」等の要件について、金融庁は、次の要件に該当する場合には、一般的には経済的合理性等を有しているとの見解を示し、国税庁は貴見のとおりで差し支えないとしている(各項目の詳細については本情報Ⅱ、具体的事例については本情報Ⅲを参照)。 また、合わせて金融庁ホームページでは「キャリード・インタレストの税務上の取扱いについて」と題する特設ページを公表、国税庁への照会・回答について周知したうえで、今後、キャリード・インタレストを受け取るファンドマネージャーが所得税の確定申告を行う際に確定申告書の添付書類として利用可能なチェックシートや所得の計算書を公表する予定としている。 なお、冒頭の「国際金融都市に向けた税制上の措置」としては他に、相続税・贈与税の納税義務者・課税財産の見直しや、特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入特例の創設なども織り込まれているが、金融庁ホームページではこちらの施策についてまとめた特設ページも新設している。 (了)

#No. 413(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/04/05

《速報解説》 税務関係書類の押印義務廃止、正式にスタート~様式を定めた通達の改正も相次ぎ公表~

《速報解説》 税務関係書類の押印義務廃止、正式にスタート ~様式を定めた通達の改正も相次ぎ公表~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正では、国税・地方税の税務関係書類について、原則として押印義務を廃止することとされ、既報のとおり、国税庁ホームページでは昨年12月に「押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない」とする取扱いが示されていた。 この押印義務廃止については、昨日(令和3年4月1日)以後に提出する税務関係書類から適用がスタートしたわけだが、国税庁は同日付で上記のホームページを更新、4月1日以降の手続等について周知を図っている。 同ホームページではまず、令和3年4月1日以降も押印(実印)及びその印鑑証明書の添付を要する書類(①担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類、②相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類)について、税務上、どの制度(特例)を適用する手続において必要となるか、一覧表で明らかにされている。 令和3年4月1日以降の手続における留意点としては、現在国税庁ホームページに掲載している申告書等の様式については、順次、押印欄のない様式へ更新する予定だが、まだホームページ上や税務署の窓口で配布されている押印欄の残っている様式についても、引き続き使用でき、その際も押印欄への押印は不要としている。また、押印が不要となった税務書類へ任意で押印することは問題ないものの、その押印の有無によって効力に影響が生じるものではないとしている。 なお、大綱の記載では明らかになっていなかったが、申告書等への税理士の押印については、所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)では第9条関係として税理士法33条《署名押印の義務》が改正され、こちらも押印の義務が廃止されている。 今回の様式見直しに伴い、下記の通り、各様式を定めた通達の改正も順次行われている。 (了)

#No. 413(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/04/02

《速報解説》 令和3年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律」が3月31日付官報:特別号外第30号にて公布~施行日は原則4月1日~

《速報解説》 令和3年度税制改正に係る 「所得税法等の一部を改正する法律」が 3月31日付官報:特別号外第30号にて公布 ~施行日は原則4月1日~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正関連法が3月26日(金)の参議院本会議で可決・成立し、3月31日(水)の官報特別号外第30号にて「所得税法等の一部を改正する法律」が公布された(法律第11号)。施行日は原則令和3年4月1日(法附則第1条)。地方税関係の改正法である「地方税法等の一部を改正する法律」も官報同号にて公布されている(法律第7号)。なお特別号外第30号は、同日付けの他の官報から遅れ夜の公表となった。 今年度改正では、デジタルトランスフォーメーション(DX)やカーボンニュートラルの取組みを行う企業に対する税制措置や中小企業のM&Aを促進する各施策が創設された他、令和4年からの電子帳簿等保存制度の大幅緩和が実現する。なお、電子帳簿保存法の一部改正は上記所得税法等の一部を改正する法律に織り込まれているが(第12条関係)、DX投資促進税制等に係る「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」については、法案ミスの問題もあり、本稿公開時点では衆議院での審議中となっている。 *  *  * 以下では主な法律、政令、省令等の官報該当ページへのリンクを紹介する。 なお本誌では例年同様、主要な改正事項については毎週木曜日公開号において、専門家による解説記事を順次掲載するとともに、各府省庁・主な団体等より公表された令和3年度税制改正関連の情報については「令和3年度税制改正に関する《資料リンク集》」及び「新着情報」を随時更新していくので、そちらを併せて参照いただきたい。 また、税制改正大綱を受けた主な改正情報については、すでに本誌掲載済みの「令和3年度税制改正大綱」に関する《速報解説》 をご覧いただきたい。 官報:令和3年3月31日付(特別号外第30号)で公布された主な税制改正関連法令 法令のあらまし ◆所得税法等の一部を改正する法律 附則:施行期日・経過措置など 所得税法の一部改正(第1条関係) 所得税法施行令の一部を改正する政令 所得税法施行規則の一部を改正する省令 法人税法の一部改正(第2条関係) 法人税法施行令の一部を改正する政令 法人税法施行令等の一部を改正する政令の一部を改正する政令 法人税法施行規則の一部を改正する省令 法人税法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令 相続税法の一部改正(第3条関係) 相続税法施行令の一部を改正する政令 相続税法施行規則の一部を改正する省令 消費税法の一部改正(第4条関係) 消費税法施行令等の一部を改正する政令 消費税法施行規則等の一部を改正する省令 国税通則法の一部改正(第5条関係) 国税通則法施行令の一部を改正する政令 国税通則法施行規則の一部を改正する省令 国税徴収法の一部改正(第6条関係) 国税徴収法施行令の一部を改正する政令 国税徴収法施行規則の一部を改正する省令 租税特別措置法の一部改正(第7条関係) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・登録免許税関係 ・消費税関係 ・酒税関係 ・たばこ税関係 ・揮発油税・地方揮発油税関係 ・石油石炭税関係 ・航空燃料税関係 ・自動車重量税関係 ・国際観光旅客税関係 ・印紙税関係 ・利子税等関係 租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(附則) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・地価税関係 ・登録免許税関係 ・消費税等関係 租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(附則) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・地価税関係 ・登録免許税関係 ・消費税等関係 ・延滞税関係 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部改正(第8条関係) 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令の一部を改正する政令 税理士法の一部改正(第9条関係) 税理士法施行規則の一部を改正する省令 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部改正(第10条関係) 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令の一部を改正する政令 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の一部改正(第11条関係) 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令の一部を改正する政令 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正(第12条関係) 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行令 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正(第13条関係) 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部改正(第14条関係) 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正(第15条関係) 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令 平成27年所得税法等の一部を改正する法律の一部改正(第16条関係) 平成28年所得税法等の一部を改正する法律の一部改正(第17条関係) 平成30年所得税法等の一部を改正する法律の一部改正(第18条関係) 令和2年所得税法等の一部を改正する法律の一部改正(第19条関係) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行令の一部を改正する政令 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 復興特別所得税に関する政令の一部を改正する政令 復興特別所得税に関する省令の一部を改正する省令 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令 相続税の物納財産収納後の手続等に関する省令の一部を改正する省令 国税質問検査章規則の一部を改正する省令 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令の一部を改正する省令 地方税法等の一部を改正する法律  ( 附 則 ) ・1条関係 ・2条関係 地方税法施行令等の一部を改正する政令(一〇七) 地方税法施行令の一部を改正する政令(一〇八) 地方税法施行規則等の一部を改正する省令(総務三四) 地方税法施行規則の一部を改正する省令(総務三五) ▷その他の主な関係法令・告示 ※告示については国税庁ホームページ等をご覧ください。 中小企業等経営強化法施行規則の一部を改正する省令 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令 租税特別措置法施行規則第二十三条の三第二項に規定する設立団体等の証明に関する手続を定める件及び租税特別措置法施行令第四十条の四第二項及び第三項に規定する主務大臣の証明及び認定に関する手続を定める件の一部を改正する件 租税特別措置法施行規則第二十条第二十六項第一号又は第二十二条の二十三第二十六項第一号に規定する試験研究機関等の長又は当該試験研究機関等の属する国家行政組織法第三条の行政機関に置かれる地方支分部局の長の行う認定に関する手続に関する告示等の一部を改正する件 平成八年自治省告示第八十三号(地方税法施行令第五十二条の十の四に規定する研究開発を定める件)の一部を改正する件 地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律第二十五条の規定に基づく地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして主務大臣が定める基準等に関する告示の一部を改正する件 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の効力発生に関する件 所得税法施行規則第百二条第一項に規定する総収入金額及び必要経費に関する事項の簡易な記録の方法を定める件の一部を改正する件 所得税法第百八十九条第一項の規定に基づき、同項に規定する所得税法別表第二の甲欄に掲げる税額が算定された方法に準ずるものとして財務大臣が定める方法を定める件の一部を改正する件 所得税法施行規則第六十三条第五項に規定する保存の方法を定める件の一部を改正する件 法人税法施行規則第八条の三の十第三項(同令第二十六条の三第四項及び第三十七条の三の二第三項において準用する場合を含む。)及び第五十九条第三項(同令第二十六条の三第三項、第二十六条の五第二項、第三十七条の三の二第四項、第六十二条及び第六十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、これらの規定に規定する保存の方法を定める件の一部を改正する件 地価税法施行規則第十条第三項に規定する保存の方法を定める件の一部を改正する件 登録免許税法別表第三の十九の二の項の規定に基づき、自己のために受ける登記等につき登録免許税を課さない独立行政法人等を指定する件の一部を改正する件 消費税法施行令第五十条第三項、第五十四条第五項、第五十八条第三項、第五十八条の二第三項及び第七十一条第五項並びに消費税法施行令等の一部を改正する政令附則第六条第二項並びに消費税法施行規則第五条第三項及び第十六条第三項の規定に基づき、これらの規定に規定する保存の方法を定める件の一部を改正する件 租税特別措置法第十一条第一項及び第四十三条第一項の規定の適用を受ける期間を指定する件を廃止する件 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法第二十九条第一項第二号の規定に基づき、同号に規定する所得税法第百八十九条第一項に規定する財務大臣が定める方法及び復興特別所得税の額の計算を勘案して財務大臣が定める方法を定める件の一部を改正する件 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第三条第五項第六号ニに規定する国税庁長官が定めるところを定める件の一部を改正する件 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第三条第六項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則に基づく国税関係手続に係る個人番号利用事務実施者が適当と認める書類等を定める件の一部を改正する件 国税通則法施行規則第十五条第一項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件(同八)659 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第一項第二号に規定する国税庁長官が定める者を定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第二項第三号に規定する国税庁長官が定める添付書面等及び国税庁長官が定めるものを定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第二項第四号に規定する国税庁長官が定める添付書面等を定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第三項、法人税法施行規則第三十六条の三の二第六項及び第三十七条の十五の二第六項、地方法人税法施行規則第八条第六項並びに消費税法施行規則第二十三条の四第五項の規定に基づき国税庁長官が定めるファイル形式を定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第四項に規定する国税庁長官が定める添付書面等を定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第四項に規定する国税庁長官が定める期間を定める件の一部を改正する件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第九条第二項に規定する国税庁長官が定める処分通知等を定める件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第七項に規定する国税庁長官が定める者を定める件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条第七項に規定する国税庁長官が定める場合を定める件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条の二第一項に規定する国税庁長官が定める申請等を定める件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条の二第二項に規定する国税庁長官が定めるファイル形式を定める件 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条の二第三項に規定する国税庁長官が定める期間を定める件 租税特別措置法施行令第六条の四第二項第一号及び第二十八条の十第二項第一号に規定する厚生労働大臣が定める要件等の一部を改正する件 租税特別措置法第十二条の二第一項及び第四十五条の二第一項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件の一部を改正する件 消費税法施行令第十四条の三第七号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する資産の譲渡等の一部を改正する件 租税特別措置法施行令第二十二条の八第十八項第一号イ⑷及びロ⑷並びに第三十九条の五第十九項第一号イ⑷及びロ⑷の規定に基づく経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準の一部を改正する件 租税特別措置法第十一条第一項の表の第四号及び第四十三条第一項の表の第四号の規定の適用を受ける機械その他の減価償却資産を指定する件を廃止する告示 租税特別措置法第十条の二第一項各号及び第四十二条の五第一項各号の規定の適用を受ける機械その他の減価償却資産を指定する件を廃止する告示 租税特別措置法施行令第二十条の二第九項等の規定に基づく国土交通大臣が財務大臣と協議して定める基準の一部を改正する件 租税特別措置法第十一条第一項の表第二号及び第四十三条第一項の表第二号の規定の適用を受ける船舶を指定する告示の一部を改正する告示 租税特別措置法第三十七条第一項の表第八号及び第六十五条の七第一項の表第八号の規定の適用を受ける船舶を指定する告示の一部を改正する告示 地方税法施行規則の規定に基づき、国土交通大臣が総務大臣と協議して定める書類を定める件 地方税法施行規則の規定に基づき、国土交通大臣が総務大臣と協議して定める書類を定める件 地方税法施行規則の規定に基づき、国土交通大臣が総務大臣と協議して定める書類を定める件 地方税法施行規則附則第三条の二の二十第一項の規定に基づき、平成三十年国土交通省告示第九百十三号の一部を改正する告示を定める件 租税特別措置法施行令に規定する国土交通大臣の証明に関する手続を定める告示の一部を改正する件 地方税法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴い、令和二年国土交通省告示第八百五十号の一部を改正する告示を定める件 (了)

#No. 413(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/04/01

プロフェッションジャーナル No.413が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年4月1日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.413を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/04/01

monthly TAX views -No.99-「デリバティブ取引と租税回避」

monthly TAX views -No.99- 「デリバティブ取引と租税回避」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   本連載のNo.96で「2021年度税制改正、キャリードインタレストの取扱いに注目」と題し、国際金融都市に向けたわが国金融所得税制の整備について取り上げたところだが、今回も長年議論が続いている金融所得税制の課題について触れたい。 2021年度与党税制改正大綱の「検討事項」には、以下のような記述がある。 与党大綱の「検討事項」に「早期に検討する」と記されるのは異例ともいえ、本件の重要性や緊急性を物語っている。 *  *  * 金融所得一体課税は、上場株式の譲渡損と配当の損益通算から始まったが、2016年には、特定公社債の利子も損益通算ができるように拡充された。これにより、株式譲渡益、配当、利子所得の一体課税が、まがりなりにも完成した。 一方、デリバティブ取引については、雑所得として申告分離課税が認められたものの、上場株式など他の金融所得との損益通算・一体課税は認められていない。 その理由として、これまでの税制改正大綱は、「多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある方式の必要性」を挙げてきた。 デリバティブ取引は、売りと買いを両建てにして期末に損失の出ている方を実現させ他の譲渡益と相殺するストラドル取引を行うことによって、容易に租税回避が行われるということへの懸念である。 *  *  * このような租税回避に対して米国は、「ポジションを時価評価する」という制度を導入している。具体的には、期末の時点で決済されたものとして含み損益を認識させる制度で、これによりストラドル取引による租税回避を防止することが可能となる。 つまり、「時価評価課税」が、租税回避防止の実効性ある具体的方策に当たるのではないか、というのが上記与党大綱の意味するところである。 金融所得を幅広く損益通算して金融所得一体課税を進めていくことは、個人投資家のリスクテイクを促進する効果があり、広く国民の資産形成を支援していくことにもつながる。 ぜひ年末の税制改正で実現してほしい項目である。 (了)

#No. 413(掲載号)
#森信 茂樹
2021/04/01
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