検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 11359 件 / 4991 ~ 5000 件目を表示

〔これなら作れる ・使える〕中小企業の事業計画 【第2回】「事業計画の概要と損益計画・資金計画の作成手順(後編)」

〔これなら作れる ・使える〕 中小企業の事業計画 【第2回】 「事業計画の概要と損益計画・資金計画の作成手順(後編)」   税理士・中小企業診断士・ITストラテジスト 高畑 光伸   (2) 損益計画の作成・検証 ① 損益計画の作成 前期以前の損益計算書をベースに、損益計画(予想損益計算書)を作成する。顧客からの情報をもとに個別計画を作成、あるいは顧客から個別計画自体を入手して、作成できる項目から固めていく。個別計画とは、売上計画、経費計画、借入計画などを意味する。 留意点としては、すべての情報を集めてから作成に着手するのではなく、事業計画の作成期間を定めて作成に着手するのがよい。すべての情報が集まらず、事業計画の作成自体が頓挫する場合もある。手許にある情報から作成して、最後に調整するという流れが望ましい。 〈予想損益計算書(例)(単位:万円)〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 個別計画のうち、売上計画が最も重要である。予想損益計算書の根幹となる部分であり、販売現場の状況を踏まえて、事業者の経営陣を中心にトップダウンで作成される。あるいは、売上計画の作成・見直しを求められることもある。 次に人員計画や経費計画を作成する。人員計画においては、法定福利費(健康保険料・厚生年金保険料など)、賞与の支給額・支給日などを考慮する。役員報酬の場合は、事前確定届出給与の有無などを確認する。また、経費計画では、変動費と固定費を区分する点に注意する。 一般的に損益計算書の販売費及び一般管理費(給与・地代家賃など)は固定費に該当するが、変動費に該当するものがあれば区分する必要がある。これら人員計画や経費計画などは、顧客の中である程度数値を想定しているはずである。その数値と乖離しないよう、顧客から採用方針(新入社員、退職者の人数など)や特別な支出(オフィスの改装など)がないかどうかをヒアリングする必要がある。 借入計画(返済計画)をもとに、支払利息・社債利息を把握する。新たな借入計画などがある場合は、計画値に盛り込む。 最後に、納税計画を作成する。納税項目には、消費税、法人税・住民税・事業税(法人税等)、源泉所得税、償却資産税などがある。特に消費税、法人税等は中間申告の納付額も考慮する。消費税の納税額を計算するため、項目ごとに課税あるいは対象外などの税区分を把握する。 ② 損益計画の検証 予想損益計算書を作成後、営業利益の計画値が黒字か赤字になっているかを確認する。 ここでは販売費及び一般管理費が固定費と等しいと仮定する。 営業利益の計画値が赤字の場合は、売上総利益が販売費及び一般管理費を下回っているため、販売計画を見直すか、人員計画及び経費計画を見直す(固定費を削減する)必要がある。 (3) 資金計画の作成・検証 ① 資金計画の作成 (2)で作成した予想損益計算書をベースに、資金計画を作成する。最終利益である当期純利益に減価償却費を足し戻した金額が、営業キャッシュフロー(本業のキャッシュフロー)になる。 減価償却費以外に、貸倒引当金繰入額、繰延資産償却などがある場合は、減価償却費と同様に当期純利益に足し戻す。 〈資金計画表(例)(単位:万円)〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ② 資金計画の検証 資金計画を作成後、営業キャッシュフローの計画値が財務CF(元金返済額)を上回っているかどうかを確認する。 営業キャッシュフローが年間の要返済額(元金)を超えていれば計画として問題ないが、下回る場合は、(2)の損益計画に戻って販売計画あるいは経費計画の見直し、又は返済計画を見直さなければならない。 (4) 損益計画・資金計画の統制 当初作成した事業計画をベースに、計画値と実績値の比較・検証を継続的に行う。環境変化により当初のシナリオと乖離する場合、計画期間の中途であっても事業計画を見直すことが望ましい。 《当初のシナリオを固定した場合》 《計画期間の中途で見直しを図る場合》 上記では、年次単位での事業計画の作成を確認したが、月次の変動が大きい業種の場合には、四半期単位、月次単位で数値を把握する必要がある。 (了)

#No. 368(掲載号)
#高畑 光伸
2020/05/07

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第32話】「新型コロナウイルスと税務調査」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第32話】 「新型コロナウイルスと税務調査」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「しかし・・・大変なことになったな・・・」 中尾統括官は、新聞を見ながら、深くため息をつく。 浅田調査官は、机上にある書類を神妙な顔つきで整理している。 「こんな時に・・・税務調査などできませんよね・・・」 浅田調査官は、机の隅に積まれている確定申告書を横目で見ながら、つぶやく。 「・・・確定申告の期日も延長されたが・・・新型コロナウイルスの影響を受ける納税者に対しては・・・さらに申告期限について柔軟に対応することになっている。」 中尾統括官は、国税庁の「緊急のお知らせ」のチラシを見る。 「こうなると、申告期限なんて・・・無いのと同じですね。」 浅田調査官は不満そうに言う。 「それは仕方がないことだ。」 中尾統括官は頷く。 「それに、こんな緊急事態宣言が出ているときに、税務調査などの連絡をしたら・・・納税者はもちろん、世間からもバッシングを受けるでしょうね。」 浅田調査官は、ペロッと舌を出す。 「もちろんだ・・・新型コロナウイルスの感染を考えると、当分の間、納税者と接触するような税務調査は実施できないことになるだろう・・・」 中尾統括官は、浅田調査官を見る。 「ということは・・・納税者と直接、接触しなければ、税務調査はできるのですか・・・」 浅田調査官が尋ねる。 「もちろん・・・接触しなければ感染しないし・・・税務調査は可能だろう。」 中尾統括官は憮然と答える。 「じゃあ、遠隔調査であれば・・・可能ですね。」 一瞬、浅田調査官は閃く。 「遠隔・・・調査?」 中尾統括官は思案顔になる。 「最近では、大学でも新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、遠隔授業の導入を行っているでしょう。」 浅田調査官は、雄弁になる。 「Zoom(ズーム)ですよ。」 「Zoom?」 中尾統括官は、きょとんとした表情になる。 「統括官・・・Zoomを知らないのですか?」 浅田調査官は、驚いたような表情になる。 「インターネット電話の元祖といわれるスカイプのようなものですが・・・スカイプって・・・知ってます?」 中尾統括官は素直に頸を横に振る。 「それではZoomについて説明しますが、Zoomはウェブ会議を利用するためのサービスで、ウェブカメラ内蔵のパソコンさえあれば、利用できるんです。」 浅田調査官は中尾統括官を見る。 「中尾統括官はスマートホンを持っていますよね・・・それでもZoomは使えます・・・なんなら今、Zoomのインストールをしましょうか?」 中尾統括官は、怯えたような表情になる。 「まだ十分に理解していないから・・・結構だ。」 浅田調査官は、頷きながら、言葉を続ける。 「ところで、会社法369条3項の規定による議事録の作成については、それを受けて、会社法施行規則101条3項1号で、次のように規定しています。」 「・・・そして、法務省の「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」(平成8年4月19日)では、取締役会のテレビ会議が容認されているのです。」 浅田調査官の言葉は、自信に溢れている。 「ということは・・・君は、会社法も取締役会のテレビ会議を容認しているから、Zoomを利用すれば、税務調査もテレビ会議で代替できるのではないか・・・ということを言いたいのか?」 中尾統括官は、疑わしそうに見る。 「ええ、そうです・・・今回の新型コロナウイルスを契機として、税務調査も見直したらよいと思うのです・・・」 浅田調査官は、微笑む。 「それにしても・・・パソコンの前で、納税者に対して税務調査を行うということは・・・私のような年老いた税務調査官には、なかなかイメージが湧かないが・・・」 中尾統括官は苦笑する。 「しかし・・・慣れれば、どうってことはないですよ。Zoomを使えばウイルスの感染の心配もありませんから、税務調査はいつでも行えると思うのですが・・・」 なぜか浅田調査官の声は弾んでいる。 (つづく)

#No. 368(掲載号)
#八ッ尾 順一
2020/05/07

《速報解説》 金融庁含む3省庁より「継続会(会社法317条)」開催に当たっての留意事項が示される~定時株主総会と継続会の間の合理的期間は3ヶ月を超えないことが一定の目安~

《速報解説》 金融庁含む3省庁より「継続会(会社法317条)」開催に当たっての留意事項が示される ~定時株主総会と継続会の間の合理的期間は3ヶ月を超えないことが一定の目安~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020(令和2)年4月28日、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」に係る3省庁によるガイダンスとして、金融庁、法務省、経済産業省の連名による「継続会(会社法317条)について」が公表された。 これは、株主総会の対応に関する継続会の開催に当たっての留意事項を示すものである。 継続会の開催にあたり、関係者の間において、個別の事情を踏まえた本指針と異なる対応は許容され得るとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 会社法317条では、株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、会社法298条及び299条の規定は適用しないとしている。 本指針は、この継続会の開催に関して次のことを述べている。 下記のほか、事務遂行の在り方として、決算や監査実務の遂行に当たって書面への押印を求めるなどの慣行は見直されるべきであると述べている。 1 継続会開催の決定 2 取締役及び監査役の選任 3 剰余金の配当 4 当初の定時株主総会と継続会の間の合理的期間 (了)

#No. 367(掲載号)
#阿部 光成
2020/05/01

《速報解説》 会計士協会、「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」を改正~3月公表の監基報800等改正を受け監査報告書の文例を見直し~

《速報解説》 会計士協会、「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」を改正 ~3月公表の監基報800等改正を受け監査報告書の文例を見直し~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年4月9日付けで(ホームページ掲載日は2020年4月28日)、日本公認会計士協会は、「業種別委員会実務指針第53号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」の改正について」を公表した。 これは、監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」の改正(2020年3月17日)などを受けて、監査報告書の文例を中心に改正するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 監査報告書の文例について、次の改正が行われている。 上記のほか、理事者確認書の記載例における継続企業の前提に関する記載も改正されている。   Ⅲ 適用時期等 「業種別委員会実務指針第53号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」の改正について」(2020年4月9日)は、2020年3月31 日以後終了する事業年度に係る年金基金の財務諸表に対する監査から適用する。 (了)

#No. 367(掲載号)
#阿部 光成
2020/05/01

《速報解説》 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策税制が4月30日に公布、同日施行される~設備投資減税に係る経産省所管の改正省令も施行~

《速報解説》 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策税制が4月30日に公布、同日施行される ~設備投資減税に係る経産省所管の改正省令も施行~   Profession Journal編集部   既報のとおり4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」に基づく改正税法が、国税・地方税ともに、4月30日付の官報特別号外第55号にて公布、同日に施行された。 今回施行された法令は国税に関する「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(法律第25号)」及び地方税に関する「地方税法等の一部を改正する法律(法律第26号)」並びに関連する政省令となる。 また、「固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長措置」及び「テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(中小企業経営強化税制の拡充措置)」に伴い、「経済産業省関係生産性向上特別措置法施行規則の一部を改正する省令」及び「中小企業等経営強化法施行規則の一部を改正する省令」も官報同号にて公布・施行されている。 なお、今回の特例措置の1つとして、新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少があった事業者が、令和2年2月1日から同3年1月31日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目(印紙で納めるもの等を除く)について、1年間、無担保・延滞税なしで納税が猶予されるが、上記臨時特例法によると災害時に適用される国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》を読み替えて規定されるものとなっている。 なお、上記納税猶予の特例は、以下①②のいずれも満たす個人・法人が対象となり、規模は問われない。 (※) 「一時に納税を行うことが困難」かどうかの判断については、少なくとも向こう半年間の事業資金を考慮に入れるなど、申請者の置かれた状況に配慮し適切に対応するとされている。 関連する省庁のページは以下のとおり。 (了)

#No. 367(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2020/05/01

プロフェッションジャーナル No.367が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年4月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.367を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/04/30

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第34回】「租税法律主義の厳格さ【補論】」

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第34回】 「租税法律主義の厳格さ【補論】」   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 今回は、「租税法律主義と租税回避との相克と調和」を1回休んで、第3回で検討した「租税法律主義の厳格さ」について、最近の研究を踏まえその成果を【補論】として述べておくことにする。 公益財団法人日本税務研究センターでは、「憲法と租税法」共同研究会(金子宏東京大学名誉教授が顧問格で研究員は13名)が昨年3月から12月まで14回にわたって開催され(以下「税研センター共同研究」という)、筆者は「租税法律主義(憲法84条)」を担当し、先月その研究成果を論文にまとめた(「日税研論集」第77号(近刊)で公表予定)。その過程で、第3回での検討に十分でないところがあったことに気がついたので、脱稿を機会に今回、補うことにしたのである。もっとも、今回も、検討の枠組みの点では、第3回と同様、租税法律主義の厳格さを「自律的」厳格さ(Ⅱ)と「他律的」厳格さ(Ⅲ)に分けて検討を行うこととする。   Ⅱ 租税法律主義の「自律的」厳格さ 1 判例の立場 第3回では、まずⅡで、旭川市国民健康保険条例事件・最大判平成18年3月1日民集60巻2号587頁の次の判示(下線筆者)から、法治主義すなわち法律による行政の原理のうち法律の留保の原則が租税について民主主義的租税観(第1回Ⅲ2参照)に基づき厳格化されるという意味における租税法律主義の「自律的」厳格さを明らかにし、行政裁量(行政立法裁量・要件裁量・効果裁量)に対する統制を論じた。 2 明治憲法下での租税法律主義の意義 税研センター共同研究で筆者は、わが国における租税法律主義の展開を概観しながら租税法律主義の法的性格・法的構造を検討することとし、まず、明治憲法における租税法律主義について若干の検討を加えた。明治憲法では、現行憲法84条に相当する規定は62条1項であり、30条に相当する規定は21条であったが、それぞれ次のとおり定めていた(旧漢字は改めた)。 明治憲法62条1項について、明治憲法の「半官的な逐条説明書」(岩波文庫の伊藤博文(宮沢俊義校註)『憲法義解』(岩波書店・2019年)7頁の校註者はしがき)といわれる伊藤博文『憲法義解』は、次のように解説している(同55頁)。 この解説からすると、租税法律主義が租税の賦課・徴収に関する法治主義を意味するものとして捉えられていたことは、明らかである。このことは、「租税の賦課が政府の専断に依ることを得ず必ず議会の協賛を要することは、一般の法治主義の原則から生ずる当然の事理で、敢て本条の規定を待たない。」(美濃部達吉『逐条憲法精義』(有斐閣・1927年)622頁)として述べられていたところである。 法治主義は、明治憲法下では、次のとおり、「法治行政の原則」すなわち法律による行政の原理として捉えられ、その内容のうち特に法律の留保の原則が重視されていた(美濃部達吉『日本行政法 上巻』(有斐閣・1936年/復刻版1986年)68-70頁。下線筆者)。 3 財政民主主義の具体化としての租税法律主義の厳格化 租税法律主義は、今日でも、基本的には、「近代法治主義の、租税の賦課・徴収の面における現われ」(金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)79頁。【11】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号。以下同じ)であると考えられているが、では、旭川市国民保険条例事件・前掲最大判において法律の留保の原則の「厳格化」が説示されたのはなぜであろうか。 この点については、現行憲法における憲法原理(天皇主権の外見的立憲主義から国民主権の立憲主義へ)の転換の、財政の面での現れとして、現行憲法が「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」(83条)と定め財政民主主義を宣明したこと(最大判昭和52年5月4日刑集31巻3号182頁参照)が、重要な意味をもつものと考えられる。 財政民主主義は「財政立憲主義」という用語と互換的に用いられることもあるが(大石眞『憲法講義Ⅰ〔第3版〕』(有斐閣・2014年)271頁参照)、財政立憲主義が、もし財政議会主義として「単純に、国会が定めた一般的基準に依つてのみ財政が行われるということを意味するのであれば、それは近代法治国の行政原理の一適用に過ぎないもので、それ以上に何ら特別な意味はない。・・・・・・。租税その他の権力的課徴金の場合には、基準はむしろ一般的抽象的であることによつて平等性が保障せられる。それはまさに法律による行政の原理の適用せられる場合である。」(法学協会編『註解日本国憲法 上巻』(有斐閣・1953年)1259頁)しかしながら、現行憲法上の財政立憲主義は、「単に形式的な財政国会議決主義ではなく、財政民主主義を意味するもの」(樋口陽一ほか『注釈 日本国憲法 下巻』(青林書院新社・1984年)1303頁[浦部法穂執筆])である。 そうすると、現行憲法上の財政立憲主義すなわち財政民主主義の「収入面における具体化」(樋口ほか・前掲書1311頁[浦部執筆])としての租税法律主義も、民主主義の要素を内包するものでなければならない。この点について、大嶋訴訟・最大判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁は「およそ民主主義国家にあつては、国家の維持及び活動に必要な経費は、主権者たる国民が共同の費用として代表者を通じて定めるところにより自ら負担すべきものであり、我が国の憲法も、かかる見地の下に」租税法律主義を定めている旨を判示するところである。ここでいう「見地」が「民主主義的租税観」である(【14】)。 既にみたように、明治憲法下では、租税法律主義は法律による行政の原理として捉えられ、その内容のうち法律の留保の原則が重視されてきたが、この原則は、元来は「自由主義的イデオロギーに奉仕するもの」で「行政権に対する民主的コントロールという、民主主義の理念からするアプローチは希薄であった」(塩野宏『行政法Ⅰ〔第6版〕行政法総論』(有斐閣・2015年)81頁)ものの、現行憲法における財政民主主義・租税法律主義の下では、民主主義の要素を内包する原理として再構成されなければならないことになる。ここに、旭川市国民保険条例事件・前掲最大判で述べられている租税法律主義の厳格化の意義があると考えられる。 もっとも、そうであるとしても、この判決が法律による行政の原理を「国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則」として義務の賦課や権利の制限という納税者に不利な取扱いについてのみ法律の根拠を要するとしていること(いわゆる侵害留保の原則ないし侵害留保原理)は、租税法律主義の厳格化の射程を狭く捉えすぎているように思われる。というのも、税務官庁が租税負担を軽減・排除する効果をもつ経費控除・所得控除・税額控除等を認めたり課税要件の充足により成立し又は確定した納税義務を免除したりするなど納税者にとって有利な取扱いをする場合についても、財政民主主義の具体化としての租税法律主義は、法律の根拠を要求すると考えられるからである。 4 租税法律主義の厳格化としての課税要件法定主義 財政民主主義の具体化としての租税法律主義の厳格化は、憲法解釈論上、憲法84条から「狭義の租税法律主義即ち租税の種類及び課税の根拠だけでなく、課税物件・課税標準・税率・納税義務者などもすべて法律の定めを要すること」(法学協会編・前掲書1268頁)という原則を導き出すことに帰結した。この原則(「狭義の租税法律主義」)は今日では「課税要件法定主義」(【29】)と呼ばれ、判例においても「日本国憲法の下では、租税を創設し、改廃するのはもとより、納税義務者、課税標準、徴税の手続はすべて前示のとおり法律に基いて定められなければならないと同時に法律に基いて定めるところに委せられていると解すべきである。」(最大判昭和30年3月23日民集9巻3号336頁。大嶋訴訟・前掲最大判も同旨)として確立されている。 明治憲法下の租税法律主義(法律による行政の原理)が、前述のとおり、租税について原則として必ず法律で定めること(法律の留保)を要し命令で定めてはならないという、いわば「形式的・消極的意味での法定(法律の留保)」を要請していたのに対して、現行憲法は、その要請を、これに法律の法規創造力の原則(41条参照)を加味して、堅持しつつ、租税法律の留保事項すなわち規律事項にまで踏み込んでいわば「実質的・積極的意味での法定(法律の留保)」を要請していると解される。その要請が課税要件法定主義である。   Ⅲ 租税法律主義の「他律的」厳格さ 第3回では、租税法律主義の「自律的」厳格さと「他律的」厳格さとの関係について、明確な理解を示すことができていなかったが、税研センター共同研究を通じて、その関係についても理解を深めることができた。 前記Ⅱの4では、課税要件法定主義を財政民主主義の具体化としての租税法律主義の厳格化の観点から検討したが、実は、わが国では、課税要件法定主義は、別の観点からも説かれてきたところである。すなわち、明治憲法下では、既にみたように、租税法律主義は租税の分野における法律による行政の原理と性格づけられていたところ、1930年代以降になると、おそらくはドイツの租税債務関係説の研究・紹介(杉村章三郞「『独逸連邦租税法』の研究(2・完)」法学協会雑誌48巻6号(1930年)899頁、アルベルト・ヘンゼル著/杉村章三郞訳『独逸租税法論』(有斐閣・1931年)第2編参照)の影響を受けたものと思われるが、次のような見解(美濃部達吉『日本行政法 下巻』(有斐閣・1940年/復刻版1986年)1124頁。下線筆者)がみられるようになった。 この見解は納税義務の成立を租税債務関係説に基づいて観念していると解されるが、そうすると、そこでは、法律の「内容」が着目され、租税法律主義は、少なくとも租税実体法に関しては、租税立法者に対して、「租税債務法では私法に於ける意思の要素に代る」(ヘンゼル著/杉村訳・前掲書87頁。金子・前掲書156頁、【88】も参照)ものとされる課税要件(納税義務の成立要件)の各構成要素を法律で定めることを、要請する考え方(課税要件法定主義)として、再構成されることになると考えられるのである。 ここで注目されるのが、課税要件法定主義に関する金子宏教授の見解である。金子教授は、夙に、租税法律主義を「罪刑法定主義になぞらえて」(初期において同「租税法律主義について」税経通信20巻5号(1965年)21頁、最近において同・前掲書81頁)、その(最も重要な)内容として課税要件法定主義を構成してこられたが、この点については、次のような理解が示されている(南博方「租税法と行政法」租税法研究11号(1983年)1頁、8頁)。 この理解は、租税実体法における課税要件と刑法における構成要件が、それぞれの充足による法律効果の発生に関して同じ法律構成を採ることに、着目するものであると解される。 以上で検討してきたように、租税債務関係説は、租税法律主義の内容として課税要件法定主義を構成するための理論的基礎を(も)提供したと考えられる(要件裁量否定論の理論的基礎を提供したことについては第3回Ⅲ参照)。   Ⅳ おわりに 今回は、第3回で検討した租税法律主義の「厳格さ」について、現行憲法下では、租税法律主義は、財政民主主義の具体化のために、明治憲法下における法律による行政の原理としての性格に加えて、民主主義の要素を内包する課税要件法定主義として厳格化されていること(Ⅱ)、及び租税債務関係説は、租税法律主義と結び付いて、第3回Ⅲ2で述べた要件裁量否定論に理論的基礎を提供しただけでなく、課税要件法定主義にも理論的基礎を提供したこと(Ⅲ)、という2つの点を補った。 (了)

#No. 367(掲載号)
#谷口 勢津夫
2020/04/30

法人版事業承継税制・個人版事業承継税制の相違点比較

法人版事業承継税制・個人版事業承継税制の相違点比較   税理士・社会保険労務士 赤津 光宏   非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度(法人版事業承継税制)が創設されて10年以上が経過し、当初は使いにくいと言われていた同税制も数次の改正を経ることで適用要件が緩和され、年間400件程度であった申請件数も平成30年においては年間6,000件程度に迫るものとなった(平成31年2月5日中小企業庁「事業承継・創業政策について」参考)。 また、令和元年度税制改正により、個人の事業用資産についての相続税・贈与税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)が創設された。 両税制の立法趣旨・根本思想は同じものであると考えられるが、事業体が法人組織か個人事業かという違いにより、適用要件などに相違点がある。その相違点を把握することで両制度についての理解を深めていきたい。以下、主な相違点を列挙しながらその内容を解説する。 ① 適用期限 ② 経営承継期間 ③ 継続届出書提出・都道府県知事への年次報告書提出 ④ 青色申告要件 ⑤ 雇用確保要件 ⑥ 小規模宅地等特例との併用 ⑦ 担保提供 ⑧ 代表者が重度障害を負った場合の取扱い (了)

#No. 367(掲載号)
#赤津 光宏
2020/04/30

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第21回】「認定NPO法人及び特例認定NPO法人の承認特例等対象法人への追加」-令和2年度税制改正-

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の 譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第21回】 「認定NPO法人及び特例認定NPO法人の承認特例等対象法人への追加」 -令和2年度税制改正-   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   - 質 問 - 令和2年度の税制改正で、承認特例制度等の対象法人に認定NPO法人及び特例認定NPO法人が新たに追加されたと聞きました。従来とどのように変わったのですか。   - 回 答 - 通常、無償で財産を寄附した場合、寄附者の個人に対しては時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が課税されます。ただし、寄附の相手が公益法人等であり、その寄附が一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときには、当該所得税について非課税とする制度(以下「非課税措置」という)が設けられています(措法40)。 また、上記の非課税措置に関し、手続きが簡素化された承認特例制度(以下「承認特例」という)があり、こちらの制度では、承認申請書を国税庁長官に提出した場合で、その提出した日から1ヶ月以内(寄附財産が株式の場合は3ヶ月以内)に、その申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認しないことの決定がなかったときは、その申請について承認があったものとみなされることになっています(措令25の17⑦)。 従来、非課税承認特例の対象法人に、認定NPO法人及び特例認定NPO法人は入っていなかったのですが、令和2年度税制改正により新たに対象法人に追加されました。 また、非課税承認を受けた後、その寄附を受けた一定の公益法人等がその寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合で、一定の要件を満たすときは、同種の資産への買換でなくても非課税承認を継続することができるという特例(特定買換資産の特例)が平成30年度税制改正で創設されていましたが(措法40⑤)、この適用対象に認定NPO法人及び特例認定NPO法人は入っていませんでした。ところが、こちらも同様に令和2年度税制改正により対象法人として、追加されることとなりました。 ○●○◆ 解 説 ◆○●○ 1 承認特例の制度 次の3つの要件を満たす寄附であることを証する一定の書類を添付した申請書を、寄附をした日から4ヶ月以内に納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に提出した場合で、その提出した日から1ヶ月以内(寄附財産が株式等である場合には3ヶ月以内)に、その申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認をしないことの決定がなかったときは、その申請について承認があったものとみなされ、現物寄附を行った個人の譲渡所得税が非課税とされます(措令25の17⑦)。 この特例の対象となる法人は、国立大学法人等(国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構若しくは国立研究開発法人をいいます)、公益社団法人、公益財団法人、学校法人又は社会福祉法人であり、令和2年度税制改正により認定NPO法人及び特例認定NPO法人が追加されました。 この改正は、令和2年4月1日以後にされる財産の贈与又は遺贈について適用されます。   2 特定買換資産の特例の制度 非課税承認を受けた後、その寄附を受けた一定の公益法人等がその寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合で、以下の一定の要件を満たすときは、同種の資産への買換でなくても非課税承認を継続することができるという特例(特定買換資産の特例)があります(措法40⑤)。この対象法人として、令和2年度税制改正により認定NPO法人及び特例認定NPO法人が追加されました。 この改正は、令和2年4月1日以後にされる財産の譲渡について適用されます。   (了)

#No. 367(掲載号)
#中村 友理香
2020/04/30

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第47回】「債務保証」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第47回】 「債務保証」   RSM清和監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 債務保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人が当該債務を履行する責任を負うことを契約することによって債権者の債権を担保するものである(監査・保証実務委員会実務指針第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い(以下、「監保61」という)」2)。 我が国では、例えば、子会社が行った金融機関の借入に対して、親会社が債務保証を行ったり、子会社の仕入に対して債務保証を行ったりすることがある。今回は、この債務保証について解説する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 債務保証により、損失が発生する場合、引当金を計上する。ただし、引当金は、下記4要件を充たした場合に計上する。そのため、まず、(①及び②は当然に充たしていることを前提に)③及び④のいずれも充たすかどうかを検討する。 《引当金の4要件》 主たる債務者の財政状態の悪化等により、債務不履行となる可能性があり、その結果、保証人が保証債務を履行し、その履行に伴う求償債権が回収不能となる可能性が高い場合で、かつ、これによって生ずる損失額を合理的に見積もることができる(③及び④の要件を両方充たす)場合(※)は、「債務保証損失引当金」を計上するため、【STEP2】を検討する。 一方、③、④のいずれか又は両方を充たさない場合は、「債務保証損失引当金」を計上しないため、【STEP3】を検討する。 (※)具体的には、以下のような状況が挙げられる(監保61.4(1))。 ➤主たる債務者が、法的、形式的な経営破綻の状態にある場合のほか、法的、形式的な経営破綻の事実は発生していないものの深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められる場合 ➤実質的に経営破綻に陥っている場合 ➤経営破綻の状況にはないが経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が高いと認められる場合 債務保証により、損失の発生額可能性が高く、かつ、損失金額を合理的に見積ることができる場合、「債務保証損失引当金」を計上する。 債務保証損失引当金の金額は、以下のとおり、算定する(監保61.4(2))。 (注)債務保証損失引当金繰入額の表示区分は、金額、発生事由等により決定する。 【STEP1】のとおり、引当金の要件③及び④のいずれか、又は両方とも充たさない場合、以下のとおり、注記が必要である(監保61.4(3)、財務諸表等規則58、連結財務諸表規則39の2、会社計算規則103①五)。 【注記における留意点】 ➤原則として、すべての債務保証について保証先ごとに総額で表示する(監保61.3(1))。 ➤根保証(継続的取引に係る債務を保証するために設定した一定の限度額の範囲内で保証する契約)の場合、原則として、期末日の債務額と保証極度額のいずれか少ない金額を注記する。ただし、保証極度額で注記することもできる(監保61.3(1)④)。 ➤保証人が債務者から担保提供を受けている場合や、債務者が債権者に直接、担保提供している場合でも、総額で債務保証の額を記載する。なお、その旨及び当該担保資産の実質的価額を付記することができる(監保61.3(2))。 ➤債務額の元本に加え、遅延未払金利等も債務保証の対象となっている場合には、当該遅延未払金利等も加算して注記する(監保61.3(2))。 ➤債務保証損失引当金を計上している場合、注記する債務保証の金額は、債務保証の総額から債務保証損失引当金を控除した残額とする(監保61.4(4)⑤)。 *  *  * 以上、3のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 367(掲載号)
#西田 友洋
2020/04/30
#