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企業結合会計を学ぶ 【第33回】「結合当事企業の株主に係る会計処理」

企業結合会計を学ぶ 【第33回】 「結合当事企業の株主に係る会計処理」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回は、結合当事企業の株主に係る会計処理を解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 被結合企業の株主に係る会計処理 1 基本的な考え方 事業分離等会計基準は、一般に事業の成果をとらえる際の投資の継続・清算という概念に基づいて、実現損益を認識するかどうかという観点から、分離元企業の会計処理(事業分離等会計基準74項)と同様に、被結合企業の株主に係る会計処理を規定している(事業分離等会計基準115項)。 このため、企業結合により、保有していた被結合企業の株式が、結合企業の株式などの財と引き換えられた場合に、その投資が継続しているとみるか清算されたとみるかによって、被結合企業の株主に係る会計処理でも、一般的な売却や交換に伴う損益認識と同様に、交換損益が認識されない場合と認識される場合が考えられている(事業分離等会計基準115項)。 金融商品会計基準では、金融資産の交換について直接には規定していないが、金融資産の譲渡に係る消滅の認識は財務構成要素アプローチによること(金融商品会計基準58項)とされており、株式は金融資産であることから、金融商品会計基準との関係も考慮する必要がある(事業分離等会計基準115項)。 2 会計処理 投資が継続しているとみるか清算されたとみるかによって、被結合企業の株主は、企業結合日に、次のように会計処理する(事業分離等会計基準32項)。 (1) 被結合企業に関する投資が清算されたとみる場合 ① 被結合企業の株式と引き換えに受け取った対価となる財の時価と、被結合企業の株式に係る企業結合直前の適正な帳簿価額との差額を交換損益として認識するとともに、改めて当該受取対価の時価にて投資を行ったものとして会計処理する。 ② 現金など、被結合企業の株式と明らかに異なる資産を対価として受け取る場合には、投資が清算されたとみなされる(事業分離等会計基準35項~37項、41項)。 ③ ただし、企業結合後においても、被結合企業の株主の継続的関与(被結合企業の株主が、結合後企業に対して、企業結合後も引き続き関与すること)があり、それが重要であることによって、交換した株式に係る成果の変動性を従来と同様に負っている場合には、投資が清算されたとみなされず、交換損益は認識されない。 (2) 被結合企業に関する投資がそのまま継続しているとみる場合 ① 交換損益を認識せず、被結合企業の株式と引き換えに受け取る資産の取得原価は、被結合企業の株式に係る適正な帳簿価額に基づいて算定する。 ② 被結合企業が子会社や関連会社の場合において、当該被結合企業の株主が、子会社株式や関連会社株式となる結合企業の株式のみを対価として受け取る場合には、当該引き換えられた結合企業の株式を通じて、被結合企業(子会社や関連会社)に関する事業投資を引き続き行っていると考えられ、当該被結合企業に関する投資が継続しているとみなされる(事業分離等会計基準38項~40項、42項~44項)。   Ⅲ 結合企業の株主に係る会計処理 1 基本的な考え方 結合当事企業の株主のうち、結合企業の株式を保有している株主は、企業結合によっても当該結合企業の株式を直接引き換えないが、当該企業結合に伴い、当該結合企業に対する持分比率が変動する。 この場合、結合企業の株主に係る会計処理は、連結会計基準や金融商品会計基準等に従って次のように整理することができる(事業分離等会計基準139項)。 (1) 結合企業の株主の個別財務諸表 ① 結合企業の株主が結合企業を子会社としていたが、企業結合により当該株主(親会社)の持分比率が減少し子会社に該当しなくなった場合には、結合企業の株主の個別財務諸表上、子会社株式から関連会社株式やその他有価証券に取得原価で振り替え、損益を認識しない。 ② 結合企業の株主が結合企業を関連会社としていたが、企業結合により当該株主(投資会社)の持分比率が減少し関連会社に該当しなくなった場合には、関連会社株式からその他有価証券に取得原価で振り替え、損益を認識しない。 (2) 結合企業の株主の連結財務諸表 ① 結合企業の株主が結合企業を子会社としており、企業結合により当該株主(親会社)の持分比率が減少した場合、親会社の持分の一部が非支配株主持分に振り替わることから生じる差額は、親会社の持分変動により生じた差額として、資本剰余金として処理する。 ② 結合企業の株主が結合企業を関連会社としており、企業結合により当該株主(投資会社)の持分比率が減少した場合、投資会社の持分の一部が他の持分に振り替わることから生じる差額は、原則として、持分変動差額として処理する。 上記の事業分離等会計基準139項の整理に対して、個々の株主にとっては、企業結合により、被結合企業の株主が新たに結合企業の株主となっても、引き続き結合企業の株主であっても、同様の経済的効果を有する場合があると考えられる(事業分離等会計基準140項)。 例えば、子会社であった被合併会社が合併により消滅し、被合併会社の株主は新たに合併会社を関連会社とする場合と、子会社であった合併会社が、合併により持分比率が減少し関連会社となった場合とは、結合当事企業の株主にとって、それぞれの合併による経済的効果は実質的に同じであるものと考えられる。 このような場合には、被結合企業の株主に係る会計処理と結合企業の株主に係る会計処理とは、同様になるべきであると考えられ、結合企業の株主に係る会計処理は、被結合企業の株主に係る会計処理に準じて行うものとされている(事業分離等会計基準48項、140項)。 2 会計処理 結合企業の株主は、次の処理を行う(事業分離等会計基準48項)。 (1) 企業結合により結合企業の株主の持分比率が減少する場合 ① 子会社を結合企業とする企業結合により、当該結合企業の株主の持分比率が減少する場合、子会社を被結合企業とする企業結合における被結合企業の株主の会計処理(事業分離等会計基準38項)に準じて処理する。 ② 関連会社を結合企業とする企業結合により、当該結合企業の株主の持分比率が減少する場合、関連会社を被結合企業とする企業結合における被結合企業の株主の会計処理(事業分離等会計基準40項、41項)に準じて処理する(結合企業の株主が被結合企業の株式も有しており、結合後企業は当該株主の子会社又は関連会社となる場合については、事業分離等会計基準39項、42項、44項)。 ③ 子会社や関連会社以外の投資先を結合企業とする企業結合により、当該結合企業の株主の持分比率が減少する場合(その他有価証券からその他有価証券)、結合企業の株主は何も会計処理しない。 (2) 企業結合により結合企業の株主の持分比率が増加する場合 ① 企業結合前に、結合企業の株主が結合企業の株式に加え被結合企業の株式(子会社株式又は関連会社株式)も有していることから、当該結合企業の株主としての持分比率が増加(被結合企業の株主としての持分比率は減少)し、結合後企業は当該株主の子会社又は関連会社となる場合、有している被結合企業の株式が子会社株式であるときには事業分離等会計基準38項により会計処理し、有している被結合企業の株式が関連会社株式であるときには事業分離等会計基準40項により会計処理する。 ② 企業結合前に、結合企業の株主が結合企業の株式に加え被結合企業の株式(その他有価証券)も有していることから、当該結合企業の株主としての持分比率が増加(被結合企業の株主としての持分比率は減少)するが、結合後企業が引き続き子会社や関連会社以外の投資先である場合(その他有価証券からその他有価証券)、結合企業の株主は何も会計処理しない。 (了)

#No. 351(掲載号)
#阿部 光成
2020/01/09

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第12回】「『同一労働同一賃金』導入前に確認しておきたい基礎知識(その2)」

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第12回】 (最終回) 「『同一労働同一賃金』導入前に確認しておきたい基礎知識(その2)」   Be Ambitious社会保険労務士法人 代表社員 特定社会保険労務士 飯野 正明   前回は「同一労働同一賃金」の制度について、概要にはじまり、「同一労働」であることをどう判断するか、また、それを踏まえた待遇是正までの流れなどを解説しました。 続きとなる今回は、厚生労働省から公表されている「同一労働同一賃金ガイドライン」の内容を中心にみていきます。   ▷「同一労働同一賃金ガイドライン」で示されている目的 このガイドラインで示されている同一労働同一賃金の目的は、主に次のようになっています。 つまり、同じ企業で働く、通常の労働者、いわゆる正社員(無期フルタイム社員)と非正規労働者(短時間労働者又は有期雇用労働者)との間にある「不合理な待遇の相違」を解消することで、労働者がどんな働き方を選択しても「納得できる待遇」を受けられる労働環境を実現しよう、といった感じでしょうか。 その目的の実現のために「いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方及び具体例を示したもの」が、このガイドラインです。なお、原則的な考え方とともに具体例として「問題となる例」「問題とならない例」も示されています。 しかし、そうは言っても、例えば「正社員の70%以上が同様の待遇であれば不合理な差ではない」などと明確な数値を示しているわけではなく、「違いがある場合には、その違いに応じた支給をしなければならない」といった書き方に留まっています。 したがって、「納得できる待遇」を実現するためには、「相違」について企業としての考えを明確に示し、労働者の納得感を得るような環境の整備が必要となると考えます。 なお、待遇については、基本給、諸手当、賞与などの賃金に関するものだけではなく、教育訓練や福利厚生施設の利用についても示されています。   ▷待遇に関する原則的な考え方 ガイドラインで示されている待遇に関する原則的な考え方を、以下ではいくつかご紹介します。 なお、家族手当、住宅手当、退職手当はガイドラインには示されていませんが、均衡、均等待遇の対象となっていることから、各社の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望まれます。   ▷まとめ これまで、多くの企業が「非正規労働者を雇用する理由」を問われると、「期間の定めがあるので雇用調整がしやすい」「賃金等のコストが安い」といった理由を挙げていました。 前者は、「通算5年超の有期雇用者に対する無期転換義務」(いわゆる「無期転換ルール」)によってある程度解消されました。また、今回の法改正に伴い、後者の解消が図られることとなります。つまり、非正規労働者に働いてもらうためには「安定した雇用」と「それなりの待遇」が必要となるのです。 昨今の人材不足を支えているのは、女性の労働者です。おそらく、その中にはパートタイマー等の「多様な働き方」で働く方が多く存在しているはずです。今後の企業における働き方は、「フルタイム、残業もいとわない」といった働き方だけではなく、短い時間や少ない日数でも働いてもらうといった「多様な働き方」を企業として提供できるかどうかがポイントになってくることでしょう。そういった意味で今回の同一労働同一賃金の改正を1つのきっかけに、非正規労働者の働き方を会社として見直すべきです。 それには、前回説明したように、まずは自社の労働者である正社員と非正規労働者との間に待遇差があるかどうかの確認が必要です。実際、中小企業では、非正規労働者を対象とする就業規則や給与規程が整っていないケースも見受けられます。法改正まで、「まだ1年以上ある」ではなく「もう1年しかない」といった状況です。まずは、自社の実態の把握・整理から始めることをおすすめします。 なお、ガイドラインには、 と記載されています。 非正規労働者にも「納得できる待遇」で働いてもらうことが、これからの企業の生産性を高めるうえで重要なことであるといえるでしょう。 (連載了)

#No. 351(掲載号)
#飯野 正明
2020/01/09

空き家をめぐる法律問題 【事例20】「民泊施設として空き家の管理を委託する場合の留意点」

空き家をめぐる法律問題 【事例20】 「民泊施設として空き家の管理を委託する場合の留意点」   弁護士 羽柴 研吾   - 事 例 - 私(A)は、現在、東京で生活をしていますが、数年前に四国の実家(空き家)を相続しました。四国の実家には、盆暮れに立ち寄って掃除等をしておりますが、しばらくは四国に戻って生活する意思もありません。 近年、四国にも訪日外国人の方が多数訪れているらしく、実家を民泊施設として利用できないか考えています。ただ、私は東京で生活しているため、民泊施設の管理を業者に任せたいと考えています。管理を委託する場合には、どのようなことに留意するべきですか。 (※) 本事例では、当該地域で住宅宿泊事業法の民泊が実施できることを前提とする。 1 はじめに 訪日外国人観光客の増加に伴い、宿泊施設が不足し、既存の建物を宿泊施設(民泊施設)として利用することが期待されている。このような期待に対応するため、平成29年6月9日に住宅宿泊事業法が成立した。同法は、内外の観光客の需要に応えるだけでなく、空き家を有効活用する選択肢を提供するものである。 そこで今回は、空き家を住宅宿泊事業法に基づいて民泊施設として利用する際の留意点について検討することとしたい。   2 民泊の類型と対象となる施設 民泊には、①旅館業法の許可に基づくもの、②国家戦略特別区域法に基づいて行うもの、③住宅宿泊事業法に基づいて行うものの3類型がある。その中でも、今後普及が期待されているのが、③住宅宿泊事業法に基づく民泊である。 住宅宿泊事業法の対象とする「住宅」は、①設備要件(当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要な設備があること)及び、②次の居住要件のいずれかを満たす必要がある。 上記居住要件のうち、(3)の「随時その所有者・・・の居住の用に供されている家屋」とは、純然たる生活の本拠としては使用していないものの、これに準ずるものとして、その所有者等によって随時居住の用に供されている家屋をいい、当該家屋は少なくとも年1回以上使用しているものの、生活の本拠としては使用していない家屋のことをいう(住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)(以下「民泊ガイドライン」という)1-1の(1)の②)。 具体的には、相続により所有しているが、現在は相続人等が常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定しているような空き家等が想定されている。例えば、相続した空き家から遠方で居住している相続人が、盆暮れのような時期に清掃や管理等の目的で訪れているような場合は、これに含まれると考えられる。 なお、将来的な居住の用に供するかどうかは、未確定なことであることから、厳格に解するべきでなく、当該要件は、「居住する意思があれば居住できる状態の家屋」という程度の意味に理解するべきであろう。したがって、本件の場合、Aが相続した四国の建物も、住宅宿泊事業法の対象となる「住宅」に含まれると解される。   3 民泊施設の管理を委託する場合のいくつかの留意点 (1) 住宅宿泊管理業者への委託 住宅宿泊事業者は、次の場合には、住宅宿泊管理業務を1つの住宅宿泊管理業者に委託しなければならない(住宅宿泊事業法第11条第1項)。 空き家を相続した者が、当該空き家を民泊施設として利用する場合、(1)の②に該当することが通常である(「一時的な不在」とは、具体的には原則として1時間程度が想定されている)。また、当該相続人が、当該空き家から離れた地に生活の本拠があるような場合には、(2)の例外要件をいずれも満たさないであろう。そのため、本件の場合、Aが相続した建物を民泊施設として利用する場合には、住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。 (2) 管理委託契約の締結 住宅管理業務の委託に関しては、国土交通省から「住宅宿泊管理受託標準契約書」(以下「標準契約書」という)が公表されているため、実務上、これを参考にした管理委託契約が締結されることになると考えられる。 住宅宿泊事業者が委託する業務内容は、住宅宿泊事業法第5条から同法第10条に規定されており、その中でも、住宅宿泊管理業者による宿泊者に対する騒音や周辺環境への悪影響の防止に関して必要な事項の説明や、周辺地域住民からの苦情等への対応については、近隣とのトラブル防止に関係する事項でもあるため、委託契約書にどのような条項を定めておくかが重要となる。 標準契約書の別表第1の(5)では、苦情発生時の住宅宿泊管理業者による現場急行や、苦情の対象となる行為の中止要請が具体的な委託内容として定められている。もっとも、標準契約書によれば、迷惑行為が行われた場合に、住宅宿泊事業者と民泊施設利用者との宿泊契約の解除権限までは委託されていないため、住宅宿泊事業者は、住宅宿泊管理業者からの報告に基づいて対応しなければならない。 このような負担を軽減するための方策として、委託事項の中に、住宅宿泊管理業者による解除権限まで定めておくことが好ましい(民泊ガイドライン2-2の(2)の⑥)。もっとも、住宅宿泊事業者に最終的な判断権を確保しておくために、委託契約書には、住宅宿泊管理事業者が解除を行う場合、事前に住宅宿泊事業者との協議を義務付けるなどの条項を設けることが考えられる。 (3) 監督官庁からの行政処分に係るリスク 次に、個人が相続をした空き家を民泊施設として利用する場合、各種行政法令に適合させるための改装費等を支出するために、金融機関から融資を受けることもありうる。通常、金融機関は、融資をする際の契約書に、監督官庁からの行政処分(許認可の取消しや営業停止処分)を期限の利益喪失事由として定めていることが多いため、業務停止命令等を受けた場合には、借入金の一括返済を行わねばならないリスクがあることに留意すべきである。 この点、住宅宿泊事業法では、都道府県知事は、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、受託宿泊事業者に対する業務改善命令(同法第15条)を発令し、これに従わない場合には、業務停止命令等(同法第16条)をも発令することができる。また、民泊ガイドライン2-3の(1)の③によれば、「住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるとき」は、同法に違反している場合だけでなく、同法の目的等を踏まえて適正な運営がなされていない場合も含まれている。 そこで、住宅宿泊事業者としては、①金融機関との融資契約書の期限の利益喪失条項の内容を確認するとともに、②行政処分を受けるリスクを低減するために、住宅宿泊管理業者の業務内容を的確に把握することが重要になってくる。標準契約書第9条第3項では次の報告徴求権を定めており、住宅宿泊事業者にとって、このような条項を設けるべきであろう。 なお、個人の住宅宿泊事業者と法人の住宅宿泊管理業者との間の契約では、交渉力に差があるため現実的には難しいであろうが、住宅宿泊事業者としては、単に報告を求めるだけでなく、必要に応じて業務改善要求をすることができるように、第4項として、「甲は、前項の報告の結果、必要があると甲が判断した場合には、乙に対し、必要な改善を求めることができる。」などの改善措置要求条項を追加することも考えられる。 (4) 住宅宿泊管理業者の責任の範囲 標準契約書に付された解説コメントによれば、住宅宿泊事業法上、住宅宿泊管理業者が管理義務を負う事項について、責任を免除するような契約条項は無効になる旨指摘されている。そこで、住宅宿泊事業者としては、損害賠償条項において不当に住宅宿泊管理業者の責任が限定されていないかについて留意しておく必要がある。 (了)

#No. 351(掲載号)
#羽柴 研吾
2020/01/09

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第28話】「税理士への損害賠償請求」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第28話】 「税理士への損害賠償請求」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   中尾統括官は、険しい顔をしながら、新聞を読んでいる。 「これは厳しいな・・・」 そう言いながら、中尾統括官は、ため息をつく。 「・・・何が厳しいのですか?」 傍らで書類を整理していた浅田調査官が尋ねる。 「税理士に対する損害賠償事件だよ。」 新聞の見出しには「税理士ミス、訴え頻発、賠償保険支払い5年で倍増」と書かれている。 浅田調査官は、中尾統括官が見ている新聞をのぞく。 「税理士の仕事も・・・けっこう危険ですね。」 浅田調査官は、含み笑いをする。 「私なんて、所得税しか知らないから・・・とても税理士の仕事などはできないよ・・・」 中尾統括官は自虐的に言う。 「えっ・・・統括官は退職後、税理士にならないのですか?」 浅田調査官は驚く。 「私は再雇用で・・・65歳まで税務署で働かせてもらうよ。」 中尾統括官は、読んでいた新聞を机の上にポンと置く。 「でも・・・せっかく税理士の資格を持っているのですから・・・税理士として開業しなければ、損だと思うのですが・・・」 浅田調査官は、中尾統括官の顔を見る。 「仮に税理士を開業しても、顧問先から仕事のミスで損害賠償の請求を求められ、大事な退職金を失ってしまう・・・なんて、最悪のシナリオになる可能性もあるだろう・・・」 中尾統括官は、真面目な顔で言う。 「そうですねえ・・・私も所得税部門ですから・・・法人税や資産税はほとんど知らないし・・・税理士の資格はあっても、仕事ができないですね。」 浅田調査官は、舌を出して笑う。 「しかし、君なんかまだまだ若いから、所得税以外の税目を勉強して、税理士になることは十分に可能だよ・・・」 中尾統括官は、浅田調査官を励ます。 「そうですかねえ・・・それに、税理士の将来はそんなに明るいとも思えない・・・」 浅田調査官の反応は、ネガティブである。 「・・・ところで、この税理士職業賠償責任保険の中で、支払金額がもっとも多い税目は、消費税らしい。金額・件数とも全体の半分弱(258件で約8億5,000万円)を占めているという・・・やっぱり・・・消費税のミスが多いんだな。」 中尾統括官は、机の上に置かれた新聞を見て言う。 「・・・消費税の仕入税額等の計算には、実額による控除と概算による控除があるが、この課税方式の選択を税理士が間違うことによって、結局、消費税の還付ができなくなったというケースが多いそうだ。」 中尾統括官は、同情的に言う。 「たしか、簡易課税制度選択不適用届出書提出失念による還付不能消費税額が発生した事例があったな。」 そう言いながら、中尾統括官は、コピーをとっておいた資料をファイルから取り出し、事件の概要を説明する。 浅田調査官は、黙って聞いている。 中尾統括官は、言葉を続ける。 「・・・税理士はなぜ、代替資産の資産計上時期を誤ったのか・・・それについて、代替資産は、平成27年3月期に完成引渡しを受けていたが、税理士は、引渡し事業年度の平成27年3月期に資産計上せず、収用対価補償金の入金が完了した平成28年1月に資産計上し、消費税については、平成28年3月期に原則課税により還付を受けたらしい・・・その後、税務調査が入って・・・否認された・・・」 浅田調査官は、中尾統括官の説明に頷く。 「それは・・・明らかに、税理士のミスでしょう・・・過去の届出書を確認し、事前に簡易課税制度選択不適用届出書を提出していれば、有利な原則課税で申告できたわけですし・・・」 浅田調査官は、中尾統括官を見る。 「・・・その通りだ。」 中尾統括官は、頷く。 「このケースは、建物等の引渡し時期等について、書類の確認を怠り・・・税理士の思い込みで申告してしまった。」 中尾統括官は付け加える。 「・・・ところで、この事例では、保険金が支払われたのですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「ああ、過大納付消費税額約1,100万円から税効果による回復額約200万円を差し引いた約900万円を認容損害額として、免責30万円を控除した約870万円が保険金として出たらしい。」 中尾統括官は、支払保険金の具体的な金額について、説明する。 「・・・しかし、このようなミスは・・・誰でもやりそうな気がする・・・もちろん、私もミスしそうだ・・・これに対して税務職員は、調査の結果、誤っていれば、それを是正すればよく、調査で納税者の誤りを発見できなくても、損害賠償の責任を負わない・・・」 2人は、互いに大きくうなずき合う。 (つづく)

#No. 351(掲載号)
#八ッ尾 順一
2020/01/09

2019年下半期(7月~12月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!

-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2019年下半期(7月~12月)掲載分の目次をアップしました。 2019年下半期(7月~12月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2019年 1月~6月(No.301~324)⇒[こちら] 7月~12月(No.325~350)⇒[こちら] ★ 2018年 1月~6月(No.251~274)⇒[こちら] 7月~12月(No.275~300)⇒[こちら] 2017年 1月~6月(No.201~224)⇒[こちら] 7月~12月(No.225~250)⇒[こちら] 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]

#Profession Journal 編集部
2020/01/07

《速報解説》 改正会社法を受けた取締役の報酬に関する法規の見直し~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 改正会社法を受けた取締役の報酬に関する法規の見直し ~令和2年度税制改正大綱~   税理士 中尾 隼大   はじめに 令和元年12月20日、令和2年度税制改正大綱が閣議決定された。その中には、先般公布された「会社法の一部を改正する法律」及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」を踏まえた改正も含まれているため、以下に概観したい。   1 会社法の改正(役員報酬に関連する部分) 役員報酬は、取締役にとっては適切な職務執行のインセンティブを付与する手段となり得るものであるため、手続きの透明化を担保する必要性があった。したがって、会社法の改正により以下の措置がなされた。 【会社法361条7項(新設)】 監査役設置会社(公開会社かつ大会社に限る)及び監査等委員会設置会社に該当する株式会社の取締役会は、取締役の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として、法務省令で定める事項を決定しなければならないとされた。 すなわち、取締役会にて各取締役の報酬を決定する場合、その決定方針等を定めなければならない。 ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。 【会社法361条1項3号~5号(新設)、6号(追加)】 取締役の報酬として株式等を付与する場合の株主総会の決議事項に、株式等の数の上限等が加えられた。例えば、以下の項目を決議しなければならない。 (これらの詳細は、会社法の一部を改正する法律該当箇所を参照) 【会社法202条の2(新設)】 当該条項の新設により、上場企業は定款又は株主総会で決議することによって、株式又は新株予約権を無償で交付することができるようになる。 これにより、会社は純然たる報酬として譲渡制限付株式を交付することが可能となり、これまでのように金銭債権として報酬を付与し、当該金銭債権の現物出資を受ける形をとる必要が無くなったと考えられる。   2 令和2年度税制改正大綱の内容 上記の会社法の改正に伴い、令和2年度税制改正において以下の対応がなされることとされた。 (1) 個人課税(税制改正大綱閣議決定版24-25頁、30頁) 平成28年度税制改正で整備された譲渡制限付株式の取扱い、すなわち、譲渡制限付株式は交付時点ではなく、譲渡制限が解除された時点で役員に収入が発生するとした措置について、以下の措置が講じられることとされた。 (注) 上記①の改正は、会社法の一部を改正する法律の施行の日以後に交付の決議がされる譲渡制限付株式について適用される。 上記の会社法の改正に合わせ、今後は無償で交付する譲渡制限株式もその対象に含まれるとされる。また、これまでは譲渡制限期間中に当該役員が死亡した場合の取扱いについて実務上見解が分かれていたが、その取扱いが示された形である。 (2) 法人課税(税制改正大綱閣議決定版62頁) 上記に合わせ、法人税法54条の譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例についても、会社関係制度の見直しを前提に、以下の措置が講じられることとされた。 法人課税における費用の帰属についても、無償にて交付する譲渡制限付株式が、費用の帰属年度特例に含まれることとなる。 その他、過大役員給与の形式基準についても、会社法の改正に合わせ、上限数を反映させること等が盛り込まれた。 (了)

#No. 350(掲載号)
#中尾 隼大
2020/01/07

《速報解説》 措置法40条特例、認定NPO法人等に対する寄附も適用対象に~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 措置法40条特例、認定NPO法人等に対する寄附も適用対象に ~令和2年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   1 特定買換資産の特例の制度 通常、個人が法人に現物財産を寄附した場合、その寄附時の時価で譲渡したとみなされ、譲渡所得税が課される。ただし、(1)その寄附が公益の増進に著しく寄与すること、(2)寄附した財産が、寄附があった日から2年以内に公益目的事業の用に直接供される、又は供される見込みであること、(3)その寄附により、寄附をした者の所得税又は寄附をした者の親族等の相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること、の要件を満たす場合には、当該譲渡所得税を非課税とする制度がある。 この特例措置を適用して受領した現物財産については、(ⅰ)そのまま継続して保有し、公益目的事業に利用するか、(ⅱ)公益目的事業の用に2年以上直接供した後、同種の資産等に買換えをして引き続き公益目的事業に利用するか、いずれかしか認められていなかった。 しかし、平成30年度の税制改正において、上記の非課税承認を受けた後、その寄附を受けた一定の公益法人等がその寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合で、一定の要件を満たすときは、同種の資産への買換でなくても非課税承認を継続することができるという特例が創設された。 上記一定の要件とは、次の4つの要件をいう。   2 承認特例の制度 1で紹介した譲渡所得税非課税制度の特例は、国税庁長官の承認が出るまで通常2年以上の期間がかかるとされているが、次の3つの要件を満たす寄附であることを証する一定の書類を添付した申請書を、寄附をした日から4ヶ月以内に 納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に提出した場合で、その提出した日から1ヶ月以内(寄附財産が株式等である場合には、3ヶ月以内)に、その申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認をしないことの決定がなかったときは、その申請について承認があったものとみなされ、現物寄附を行った個人に対し、譲渡所得税が非課税とされる、承認特例という制度も設けられている。 この特例の対象となる法人は、国立大学法人等(国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構若しくは国立研究開発法人をいう)、公益社団法人、公益財団法人、学校法人又は社会福祉法人となっている。   3 令和2年度税制改正の内容 従来、認定及び特例認定NPO法人に対する寄附財産に関しては、1の特定買換資産の特例及び2の承認特例の制度は認められていなかった。 しかし、令和2年度税制改正により、2で示した3つの要件をすべて満たす場合には、他の承認特例対象法人(国立大学法人等、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人)と同様の承認特例を適用し、国税庁長官の承認手続きがを簡素化されることとなる。 また、寄附された財産を公益目的事業の用に供する別の資産に買い換える場合についても、一定の手続きの下で特定非営利活動に充てるための基金に、寄附された財産を組み入れて管理し、当該財産の譲渡収入の全部をもって取得した資産を、継続して基金において管理する場合には、公益目的事業の用に直接供した日から2年以内に買い換える場合であっても、非課税の措置を継続することとされた。 なお、本改正の施行時期については、大綱に記載されていない。 【参考図】 (※) 内閣府ホームページより (了)

#No. 350(掲載号)
#中村 友理香
2020/01/07

《速報解説》 監査基準改訂に対応した監査証明府令・会社計算規則等の改正が確定~会計監査報告におけるKAMの記載について法務省が考え方を示す~

《速報解説》 監査基準改訂に対応した監査証明府令・会社計算規則等の改正が確定 ~会計監査報告におけるKAMの記載について法務省が考え方を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年12月27日、官報号外第195号にて「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第53号)及び「会社計算規則の一部を改正する省令」(法務省令第54号)が公布された。「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」の取扱いに関する留意事項について(監査証明府令ガイドライン)も改正されている。 これにより、令和元年10月30日及び10月31日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これらは、「監査基準」の改訂に対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」等 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」等の公開草案に対してコメントはなかったとのことである。 1 監査報告書に関する記載 監査証明府令4条1項1号ロに掲げる意見の根拠は、次に掲げる事項について記載する(監査証明府令4条4項3号)。 2 四半期レビュー報告書に関する記載 監査報告書等の記載事項(監査証明府令4条)の四半期レビュー報告書について、次の記載に改正する(中間監査報告書も同様に改正する)。 3 企業内容等の開示に関する内閣府令の一部改正 監査証明府令の改正に合わせて、臨時報告書の記載内容等(「企業内容等の開示に関する内閣府令」19条)における公認会計士等の意見又は結論に関する記載を改正する。 4 適用時期等 公布の日(令和元年12月27日)から施行する。   Ⅲ 会社計算規則の一部を改正する省令 企業会計審議会において、「監査上の主要な検討事項」の導入等に関する「監査基準」の改訂(平成30年7月5日)及び監査報告書における意見の根拠の記載等に関する「監査基準」の改訂(令和元年9月3日)を行ったことを受けたものである。 1 会計監査人の会計監査報告(監査報告書)に関する記載 次の改正を行う(会社計算規則126条)。 2 コメントに対する法務省の考え方 公開草案に対する意見の概要とそれに対する法務省の考え方が次のように示されている。 (1) 会社計算規則上の会計監査報告の記載事項と監査基準上の監査報告書の記載事項の不一致 (2) 会社法の会計監査報告における監査上の主要な検討事項の記載 3 適用時期等 公布の日(令和元年12月27日)から施行する。 改正後の会社計算規則の規定は、令和2年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算関係書類についての会計監査報告について適用し、同日前に終了する事業年度に係る計算関係書類の会計監査報告については、なお従前の例による。 (了)

#No. 350(掲載号)
#阿部 光成
2020/01/07

《速報解説》 経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)」を公表~インターネット等を用いた株主総会の実施に関する法的・実務的論点について言及~

《速報解説》 経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)」を公表 ~インターネット等を用いた株主総会の実施に関する法的・実務的論点について言及~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年12月26日、経済産業省は、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)」を公表し、意見募集を行っている。 これは、ハイブリッド型バーチャル株主総会を実施する際の法的・実務的論点、及び具体的取扱いを明らかにするためのものである。 ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会のことである。 意見募集期間は2020年2月7日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 本ガイド(案)では、上場会社をはじめとする、株主が地理的広範に分散している株主総会を念頭に、株主総会へのIT活用の第一歩として、ハイブリッド型バーチャル株主総会における法的・実務的論点について述べている。 ハイブリッド型バーチャル株主総会には、①ハイブリッド参加型バーチャル株主総会と②ハイブリッド出席型バーチャル株主総会がある(2ページ)。 下記におけるリアル株主総会とは、基本的に、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所において開催される株主総会のことである(2ページ)。 本ガイド(案)は、会社の株主総会の在り方として、必ずしもハイブリッド型バーチャル株主総会が望ましいという方向性を提示するものではなく、会社が自社の株主総会の在り方を検討するときの追加的な選択肢を提供することを目的とするものである(5ページ)。 1 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に在所しない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる株主総会をいう(2ページ)。 遠方株主の株主総会参加・傍聴機会の拡大などのメリットが期待される一方、円滑なインターネット等の手段による参加に向けた環境整備の必要性などに留意が必要である(7ページ)。 議決権行使、参加方法、コメント等の受付と対応について記載されている。 2 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をすることができる株主総会をいう(3ページ)。 遠方株主の出席機会の拡大などのメリットが期待される一方、質問の選別による議事の恣意的な運用につながる可能性などに留意が必要である(7ページ)。 前提となる環境整備、株主総会の運営に際しての法的・実務的論点(株主の本人確認、株主総会の出席と事前の議決権行使の効力の関係、株主からの質問・動議の取扱いなど)について記載されている。 (了)

#No. 350(掲載号)
#阿部 光成
2020/01/07

《速報解説》 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設~令和2年度税制改正大綱~

《速報解説》 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設 ~令和2年度税制改正大綱~   税理士 齋藤 和助   本稿では、昨年12月20日に閣議決定された「令和2年度税制改正大綱」に示された、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除について概説する。   1 特別控除の創設の主旨 人口減少が進展し利用ニーズが低下する土地が増加する中で、取引価額が低額の土地については、取引コスト等が相対的に高いことがネックになり取引が進まず、利活用されないまま所有されている場合がある。そこで、当該土地の譲渡を促進し、当該土地に新たな価値を見出す者による適切な利用・管理を確保することで、更なる所有者不明土地の発生を防止し、地域の価値向上を支援するために創設されるものである。   2 特別控除の内容 (1) 内容 個人が都市計画区域内にある低未利用土地又はその土地の上に存する権利(以下「低未利用土地等」という)を譲渡した場合において、下記(2)の要件を満たすときは、その年中の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円を控除するこができる。ただし、低未利用土地等とその上にある建物等を一括譲渡した場合であっても、建物等の譲渡に係る譲渡所得の金額については、この特別控除の適用はない。なお、この特別控除は住民税についても同様の適用がある。 (2) 適用要件 次の①から③の要件のすべてを満たす必要がある。 ① 市区町村長の確認 低未利用土地等であること及び譲渡後の低未利用土地等の利用について市区町村長の確認がされていること。 ② 所有期間 譲渡する年の1月1日において、所有期間が5年を超えていること。 ③ 譲渡対価 譲渡対価が500万円以下(低未利用土地等の上にある建物等の対価の額を含む)であること。 (3) 適用除外 次のいずれかに該当する場合には、この特例の適用は受けられない。 ① 特殊関係者への譲渡 譲渡者の配偶者その他、その譲渡者と一定の特別の関係がある者に対する譲渡である場合。 ② 前年以前の適用の有無 適用を受けようとする低未利用土地等と一筆の土地から分筆された土地等について、その年の前年又前々年に既にこの特別控除の適用を受けている場合。   3 適用時期 次の①又②のいずれか遅い日から令和4年(2022年)12月31日までの間の譲渡について適用する。   4 今後の動向を注視 上記特別控除の内容について、次の事項については詳細が不明であることから、今後の動向を注視する必要がある。 (了)

#No. 350(掲載号)
#齋藤 和助
2020/01/07
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