検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10721 件 / 6211 ~ 6220 件目を表示

《速報解説》 企業のIoT投資促進を目的とした「コネクテッド・インダストリーズ税制」の創設~平成30年度税制改正大綱~

《速報解説》 企業のIoT投資促進を目的とした 「コネクテッド・インダストリーズ税制」の創設 ~平成30年度税制改正大綱~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   1 はじめに 本稿では、12月22日に閣議決定された平成30年度税制改正大綱において新たに創設されることが決まった情報連携投資等の促進に係る税制、いわゆる「コネクテッド・インダストリーズ税制」について、その概要をまとめておきたい。   2 法人税改正の観点について 同月14日公表の与党大綱冒頭では、「一億総活躍社会」を税制面から支える方策について、税制改正の観点が以下のように説明されている。 また、経済産業省から公表されている「平成30年度税制改正(租税特別措置)要望事項」では、「Connected Industriesに向けたIT投資の抜本強化」として、以下のような記述があり、コネクテッド・インダストリーズ税制のもととなった要望であると思われる。   3 情報連携投資等の促進に係る税制の創設 (1) 制度概要 12月22日に公表された経済産業省の資料によると、本税制の概要は次の通り。 (2) 適用要件 新たな法律である「生産性向上の実現ための臨時措置法(仮称、以下「臨時措置法」と略称する)」の成立を前提に、以下の要件を充足した投資について、特別償却又は税額控除が認められる。 ① 対象となる法人 青色申告書を提出す法人で、臨時措置法に規定する「革新的データ活用計画(仮称)」(後述)の認定を受けたもの。 ② 適用期間 臨時措置法施行の日から平成33年3月31日まで。 ③ 具体的要件 当該計画に従って、5,000万円以上のソフトウエア(ソフトウエアとともに取得又は製作をした機械装置又は器具備品の取得価額を含む)を新設し、又は増設をした場合において、情報連携利活用設備の取得等をして、事業の用に供したとき。 (注) 情報連携利活用設備とは、ソフトウエア、機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産を除く。なお、機械装置は、データ連携・利活用の対象となるデータの継続的かつ自動的な収集を行うもの又はデータ連携・利活用による分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示を受けるものに限る。 なお、経済産業省資料(p11-12)では、データ利活用等による生産性向上の2事例が紹介されている。 ④ 大企業の適用除外要件 大企業については、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において、以下の全ての要件に該当する場合、その事業年度において本制度は適用できない。 (3) 特別償却又は税額控除 取得価額の30%の特別償却又は取得価額の5%の税額控除(当期の法人税額の20%を限度とする)のいずれかを選択適用できる。 ただし、所得拡大促進税制に規定する「平均給与等支給額から比較給与等支給額を控除した金額の比較給与等支給額に対する割合が3%以上である」という要件を満たさない法人にあっては、税額控除は取得価額の3%までとし、かつ、当期の法人税額の15%を上限とする。 (4) 革新的データ活用計画(仮称)について 経済産業省資料によると、革新的データ活用計画(仮称)の認定要件は次の通り。 上記②のセキュリティ面については、前出の経済産業省による「平成30年度税制改正(租税特別措置)要望事項」について、さらに踏み込んだ要望が記述されている。 2017年5月、ランサムウェア「ワナクライ」が猛威を振るったことは記憶に新しいが、データ連携により増大する可能性のあるサイバー攻撃リスクについて、セキュリティ対策を講じることを義務づけることが予想される。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 249(掲載号)
#米澤 勝
2017/12/26

《速報解説》 会計士協会、「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」を確定~Q&A等も同時公表~

《速報解説》 会計士協会、「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」を確定 ~Q&A等も同時公表~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年12月19日付で(ホームページ掲載日、12月25日)、日本公認会計士協会は、次のものを公表した。 これにより、平成29年10月10日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 なお、公開草案に対するコメントの概要及び対応についても公表されているので、本実務指針などの理解に資するものと考えられる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 保証業務実務指針3000の主な内容 主な構成は次のとおりである。目次を含めて101ページある。 保証業務実務指針3000は、監査事務所が行う監査及びレビュー業務以外の保証業務について実務上の指針を提供するものであり(1項)、保証業務を次のように分類している。 なお、「保証(assurance)」とは主題情報に信頼性を付与することであり、法律上の保証(guarantee)や保険(insurance)とは意味の異なるものである(12項(35))。 保証業務実務指針3000の要求事項及び適用指針は、主題情報の提示を受ける合理的保証業務及び限定的保証業務に適用されることを主として想定している(2項)。 次のことに注意する(1項)。   Ⅲ 「保証業務実務指針3000「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」に係るQ&A」の主な内容 保証業務実務指針3000「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」に基づき保証業務を実施する際に理解が必要と思われる事項について、Q&A方式によって解説を提供するものである。 保証業務実務指針3000の適用対象となる業務、保証業務に関連する主体など19のQ&Aが述べられている。   Ⅳ 「監査及びレビュー業務以外の保証業務に係る概念的枠組み」の主な内容 監査事務所が行う監査及びレビュー業務以外の保証業務について、その概念的枠組みを取りまとめている。 《付録1 我が国における保証業務の体系及び関連する品質管理の基準及び倫理規則》において、我が国における保証業務の体系及び関連する品質管理の基準及び倫理規則(職業倫理に関する規定)が示されているので参考になる。   Ⅴ 適用時期等 平成32年1月1日以降に発行する保証報告書から適用する。 ただし、保証業務実務指針3000の3項、4項及びすべての要求事項が適用可能である場合には、保証業務実務指針3000の公表日以降に発行する保証報告書から適用できる。 なお、平成29年12月19日付けで「保証業務実務指針3000「監査及びレビュー業務以外の保証業務に関する実務指針」」(監査・保証実務委員会実務指針第93号)が公表されたことから、「公認会計士等が行う保証業務等に関する研究報告」(監査・保証実務委員会研究報告第20号)は同日付けで廃止された。 (了)

#No. 249(掲載号)
#阿部 光成
2017/12/26

《速報解説》 中小事業者等の先端設備等導入計画に係る固定資産税の軽減措置(ゼロ以上1/2以下)~平成30年度税制改正大綱~

 《速報解説》 中小事業者等の先端設備等導入計画に係る 固定資産税の軽減措置(ゼロ以上1/2以下) ~平成30年度税制改正大綱~     辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健   平成28年度税制改正で導入され平成29年度改正で拡充された、中小事業者等が取得した機械装置等に係る固定資産税の特例措置について、平成30年度税制改正において、さらなる改正が行われる。大綱を一読すると納税者有利となる改正のようであるが、以下に見る通り、必ずしもそうではない点に留意が必要である。   1 概要 一定の中小事業者等が「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮)」の施行日から平成33年3月31日までの間に取得した一定の機械装置等に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間、下記の算式により計算した額とする。   2 対象者 生産性向上の実現のための臨時措置法(仮)の認定を受けた中小事業者等が対象となる。中小事業者等とは、次の法人又は個人をいう(発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人により所有されている法人等を除く)。   3 対象設備 認定を受けた先端設備等導入計画(仮)に記載された一定の機械装置等(※)であって、生産、販売活動等の用に直接供されるもの。 (※) 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもので、下表に掲げるもの (注) 家屋と一体となって効用を果たすものを除く。   4 その他 本制度は、新法の制定が前提であるため、認定手続等の詳細は不明だが、経済産業省から公表された資料によると、以下のことが判明する。 (1) 認定の流れ 生産性向上の実現のための臨時措置法に基づき国が導入促進指針を策定の上、各市町村は導入促進基本計画を作成し、国と協議の上、国から同意を得ることが前提である。そして、申請者である事業者は先端設備等導入計画を策定の上、市町村に申請し、市町村は事業者が作成した設備投資計画が市町村の計画に合致するものについて認定するという流れになる。 (経済産業省「平成30年度経済産業関係税制改正について」より) (2) 現行制度との相違点 本制度は、集中投資期間(平成30年度~32年度)中における中小企業の生産性革命を実現するための臨時・異例の特例措置であり、支援対象となる設備投資は、(ア)真に生産性革命を実現するためのものであり、かつ、(イ)企業の収益向上に直接つながるものであることが要求される。 前者は、導入により労働生産性が年平均3%以上向上する設備投資であることが必要とされる。中小企業等経営強化法に基づく現行制度においても労働生産性の向上は求められているが、計画期間が5年の場合、5年後までの目標伸び率が3%以上(4年の場合は1.5%以上、3年の場合は1%以上)が基本であることを考えると、年平均3%以上というのは既存の制度よりも高い労働生産性の実現が求められているといえる。 また後者は、生産、販売活動等の用に直接供される新たな設備投資であることが必要とされる。これは過去の設備投資減税制度においてもしばしば要求された条件であり、工場や店舗等で使用する設備が対象であり本社で使用する設備投資は対象外となることと思われるが、既存の制度では要求されていない点に留意が必要である。 (3) 留意点 本制度の対象者及び対象設備は、基本的には既存の制度と同じであるが、最大の特徴は、本制度が各市町村の制定する条例に依存している点であろう。 条例の内容によっては、対象者や対象設備が市町村によって異なることもあり、また対象地域は市町村内で地域指定がある場合もあるようである。したがって、課税標準の圧縮率だけでなく、対象者や対象設備、対象地域等の要件についても、市町村の条例の内容を確認することが肝要である。 課税標準の圧縮率が現行制度よりも高くなる可能性がある点は歓迎すべきだが、新制度が全体として現行制度よりも納税者にとって有利になっているわけではない点を十分理解する必要があろう。 なお、本措置の創設に伴い、中小企業等経営強化法に基づく現在の特例措置は、適用期限をもって廃止される予定である。 最後に、25日公表の中小企業庁「平成30年度中小企業・小規模事業者関係税制改正について」より、新制度と現行制度の解説ページを掲載するので参考にされたい。 【新制度】 【現行制度】 (了)

#No. 249(掲載号)
#安積 健
2017/12/25

《速報解説》 農地関連の改正事項の確認~平成30年度税制改正大綱~

 《速報解説》 農地関連の改正事項の確認 ~平成30年度税制改正大綱~   税理士 島田 晃一   平成29年12月14日に公表された「平成30年度税制改正大綱」(22日には閣議決定)の中で、農地に関する改正事項がいくつかある。以下では、その中でも特に重要なものをピックアップして解説を行う。   1 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の改正 (1) 現行制度 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度とは、農地等を相続した相続人が農業を継続する場合、通常の農地等の評価額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税について、一定の要件のもとに、納税猶予期限までの納税が猶予される制度である。そして、納税が猶予された相続税は原則として猶予期限において免除される。ただし、他に貸し付けている農地は原則として適用は受けられない。 猶予期限は次のうちいずれか早い日となる。 ただし、三大都市圏の特定市以外の市街化区域農地等について納税猶予を受けたとき、又は、市街化区域農地等以外の農地等について平成21年12月14日以前から納税猶予を受けているときは、申告期限から20年経過した時点で猶予税額が免除される。 (2) 改正案 大きく区分して次の4つの改正が行われる。 上記①及び②の改正は、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行の日以後の相続について適用される。なお、同日前に相続・遺贈により取得した農地等について相続税の納税猶予を受けているときは、納税者の選択により①の適用が受けることができる。ただし、この場合、②の適用も受ける必要がある。   2 生産緑地の固定資産税・都市計画税に関する改正 土地の固定資産税・都市計画税については、改正後も現行制度が踏襲される。ただし、生産緑地指定を受けている農地で特定生産緑地の申出基準が到来するものについては、特定生産緑地指定を受けた農地のみ現行の「農地評価」になり、特定生産緑地指定を受けなかった生産緑地は「宅地並み評価」になる。 これにより、特定生産緑地指定を受けなかった生産緑地の固定資産税・都市計画税は急激に上昇することになる。この上昇による負担増を緩和するため、市街化区域農地と同様の激変緩和措置が創設される。 激変緩和措置の具体的な内容は今後明らかにされるが、例えば、「宅地並み評価」となった初年度は通常の算式に基づいて計算した税額の20%、2年度目は40%といったように、徐々に税額を上げる形になることが予想される。   3 コンクリート等で覆われた農作物栽培施設の敷地の取扱い 土を使わず作物を育てる水耕栽培やハウス内でのロボットの移動等のため農地をコンクリート化した部分は、従来農地と認められていなかったが、これらの部分も農地として認めるよう農地法が改正される予定である。 それに伴い、コンクリート敷の農地の譲渡を行った際、次の特例を受けることができるようになる(従来は宅地とみなされ適用が受けられなかった)。 また、相続税等に関する法令の適用上、これらの土地は農地と同様の取扱いとされる。 ただし、従来からコンクリート化されていた部分は今回の改正対象にならず、農地法改正後にコンクリート化を行い農業委員会に届け出た部分のみが上記改正の対象になるようである。これについては今後の情報を待ちたい。 (了)

#No. 249(掲載号)
#島田 晃一
2017/12/25

《速報解説》 中小企業者等以外の欠損金の繰戻し還付不適用措置及び設備廃棄等欠損金額の特例がそれぞれ適用期限を2年延長(平成32年3月31日まで)~平成30年度税制改正大綱~

 《速報解説》 中小企業者等以外の欠損金の繰戻し還付不適用措置及び 設備廃棄等欠損金額の特例が それぞれ適用期限を2年延長(平成32年3月31日まで) ~平成30年度税制改正大綱~   税理士 小谷 羊太   12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱(与党大綱)において、中小企業者等のみ認められている現行の「欠損金の繰戻し還付制度」、「設備廃棄等欠損金額の特例」の適用期限が2年延長されることとなった。   Ⅰ 「欠損金の繰戻し還付制度」の概要 この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(欠損事業年度)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができる制度である。 ただし、次の欠損金額については、その適用が停止されている。 なお、今回の改正により、上記①及び②に該当する法人にあっては、平成4年4月1日から平成32年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額について、その適用が停止される。   Ⅱ 中小企業者等以外の欠損金の繰戻し還付不適用措置の適用 中小企業者等以外の欠損金の繰戻し還付不適用措置の適用にあたっての留意点(①適用対象となる法人、②還付金額の計算、③適用の要件)については、過去の記事を留意されたい。   Ⅲ 「災害損失欠損金を有する法人」の欠損金の繰戻し還付制度 災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度又は中間期間(災害欠損事業年度)開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度(還付所得事業年度)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができる。   Ⅳ 「設備廃棄等欠損金額の特例」による欠損金の繰戻し還付制度 認定事業再編計画に基づき設備廃棄等を行ったことにより欠損金が生じた場合には、還付所得事業年度の法人税額のうち設備廃棄等欠損金額(廃棄した設備等の廃棄直前の帳簿価額及び設備廃棄等に要した費用の合計額)に対応する部分の金額について、還付を請求することができる。 (了)

#No. 249(掲載号)
#小谷 羊太
2017/12/22

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成29年4月~6月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成29年4月~6月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成29年12月18日、「平成29年4月から6月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加された裁決は表のとおり、全10件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等の一部が取り消された裁決が4件、棄却された裁決が6件となっている。税法・税目としては、国税通則法が3件、所得税法、相続税法及び消費税法が各2件、法人税法が1件であった。 【表:公表裁決事例平成29年4月~6月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された7件の裁決事例のうち、国税通則法に規定する加算税に対する審判所の判断が示された2件の裁決①②と、消費税法における納税義務の免除が争われた裁決⑩について紹介したい。いつものお断りであるが、論点を整理するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 相続税の申告における無申告加算税と正当な理由・・・① (1) 争点 争点は、「請求人らには、期限内申告書を提出しなかったことについて、通則法第66条第1項ただし書に規定する『正当な理由』があるか否か」である。 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、無申告加算税について、その趣旨を次のように説明した。 そのうえで、無申告加算税が課されない正当な理由について、次のように解釈した。 そして、本件のように、相続財産のすべてが判明していないような場合について、「正当な理由が」成立するかどうかについては、次のように述べた。 以上の解釈から、国税不服審判所は、本件では、請求人らは、法定申告期限より早い段階で、税理士から申告が必要であるとの説明を受け、国税庁のホームページなどで調べた結果、土地の価額のみで基礎控除額を超えることを認識していたと判断した。 したがって、法定申告期限において損害賠償金の額が確定していなかったとしても相続税の申告書を提出しなければならないと認識していたにもかかわらず、相続税の申告書を法定申告期限までに提出しなかったのであるから、請求人らが期限内申告書を提出しなかったことについて、「正当な理由」があるとは認められないとし、賦課決定処分は適法であるとして、請求人らの請求を棄却する裁決を言い渡した。   2 収入金額の一部が計上されていない試算表の作成が隠ぺい又は仮装にあたるか・・・② (1) 争点 争点は、「請求人の無申告は、課税要件事実を隠ぺい又は仮装したことに基づくものか」である。 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、無申告の場合に課す重加算税の制度について、次のように解釈した(下線は引用者による)。 そのうえで、原処分庁が重加算税を賦課した根拠について、審判所は、「原処分庁は、要するに、本件試算表の作成が、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当する」という主張に基づくものであるから、試算表の作成経緯に関する事実認定を行い、以下の事実を認定した。 こうした事実関係から、審判所は、請求人が本件試算表に基づき申告するつもりがあったと考えることについて疑問が残るとしたうえで、請求人が、確定申告義務の生じないことの説明資料として本件試算表を税理士に作成させたとは認められないことから、本件試算表の作成が、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないと判断した。 そして、重加算税の負荷決定処分を取消し、無申告加算税相当額を超える部分の金額は違法であると結論づけた。   3 消費税等の納税義務の免除(事業を開始した日はいつか)・・・⑩ (1) 争点 争点は、「同課税期間は、消費税法施行令第20条第1号に規定する『課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間』に該当するか否か」である。 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、新たに事業を開始した者による「消費税課税事業者選択届出書」の提出について、以下のようにその趣旨を説明した。 そのうえで、消費税法施行令第20条第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」について、次のように解釈した。 こうした解釈のもと、審判所は、請求人が平成25年課税期間において、発電設備を建設する契約を締結して契約金を支払った後、再生可能エネルギー発電設備の認定申請などの手続を順次行っていることから、これらの行為は、請求人が再生エネルギー措置法に基づく太陽光発電事業を行うために必要な準備行為であると認定し、平成25年課税期間が課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間であると判断した。 したがって、請求人が提出した消費税課税事業者選択届出書に係る課税事業者選択の効力は、平成26年課税期間の翌課税期間から生じることとなり、平成26年課税期間について請求人は、免税事業者となることから、原処分庁の賦課決定処分は適法であると結論づけた。 (了)

#No. 249(掲載号)
#米澤 勝
2017/12/22

《速報解説》 公的年金等控除の所得金額による控除額引下げ等~平成30年度税制改正大綱~

 《速報解説》 公的年金等控除の所得金額による控除額引下げ等 ~平成30年度税制改正大綱~   税理士 内山 隆一   平成29年12月14日、平成30年度税制改正大綱が公表された。 デフレ脱却と少子高齢化の克服に向けた政策として、生産性向上による賃金上昇と、人生100年時代を見据えた働き方改革の1つとして、平成32年(住民税は平成33年度)から、公的年金等控除の制度を次のとおり見直すこととしている。 (※) 基礎控除及び給与所得控除の見直しについては他稿を参照されたい。   1 見直し前の公的年金等控除額 (※) 最低保障額 65歳未満:70万円 65歳以上:120万円   2 見直し後の公的年金等控除額 (1) 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下である場合 (※) 最低保障額 65歳未満:60万円 65歳以上:110万円 (2) 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合 (※) 最低保障額 65歳未満:50万円 65歳以上:100万円 (3) 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円を超える場合 (※) 最低保障額 65歳未満:40万円 65歳以上:90万円   3 公的年金等に係る雑所得の速算表 実務上使用している公的年金等に係る雑所得の速算表は、次のとおりである。   ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (了)

#No. 249(掲載号)
#内山 隆一
2017/12/22

《速報解説》 少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入特例、適用期限2年延長~平成30年度税制改正大綱~

 《速報解説》 少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入特例、 適用期限2年延長 ~平成30年度税制改正大綱~   税理士 小谷 羊太   12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱(与党大綱)において、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例について適用期限の2年延長が決まった(所得税についても同様)。   Ⅰ 概要 この制度は、青色申告法人である中小企業者等が30万円未満である減価償却資産を取得した場合に、その取得価額相当額をその事業年度の損金の額に算入することができる制度である。 通常の減価償却であれば、取得価額相当額を耐用年数に応じた率で按分した金額を当期の減価償却費として損金算入するが、この制度では、取得事業年度での即時償却が認められる。 この制度の適用を受けるためには、事業供用日の属する事業年度において取得価額相当額を全額損金経理し、明細書を確定申告書に添付することが必要である。   Ⅱ 沿革 少額な減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、昭和22年に「少額の減価償却資産の特例」が創設されたことから始まり、現在までに損金算入できる限度額の変更、「一括償却資産の損金算入」の創設、「青色申告法人である中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の創設などがされてきた経緯がある。 その後、平成10年度の税制改正により「少額の減価償却資産の特例」による取得価額の上限額が20万円未満から10万円未満に引き下げられるとともに、「一括償却資産の損金算入」の制度が創設された。さらに、平成15年度の税制改正において、青色申告書を提出する中小企業者等に限り、租税特別措置法により創設された制度が、「青色申告法人である中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の特例」となる。 なお、この特例の適用を受けるにあたり、取得額の合計額について年300万円までの上限額が設定されたのは、平成18年度の税制改正以降である。 今回の税制改正においては、この租税特別措置法の「青色申告法人である中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の特例」の適用期限(現在は平成30年3月31日まで)が、平成32年3月31日まで2年間延長された。 〈少額な減価償却資産の損金算入特例の取得価額等の経緯〉   Ⅲ 適用対象法人 青色申告法人である中小企業者のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人又は農業共同組合等に限られる。 「中小企業者」とは、次の法人をいう。 (※) 増資や減資により資本金の額が事業年度中に増減した場合には、事業供用日の現況により判定する。 なお、適用対象法人については、平成28年度の税制改正により、「青色申告法人である中小企業者又は農業共同組合等」から「青色申告法人である中小企業者のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人又は農業共同組合等」に限られることとなったので、そちらも併せて留意されたい。 (了)

#No. 249(掲載号)
#小谷 羊太
2017/12/21

プロフェッションジャーナル No.249が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年12月21日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.249を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/12/21

日本の企業税制 【第50回】「新経済政策パッケージから平成30年度税制改正へ」

日本の企業税制 【第50回】 「新経済政策パッケージから平成30年度税制改正へ」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   12月14日、平成30年度与党税制改正大綱が取りまとめられた。 今回の改正では、所得税改革、事業承継、3年に1回の土地の評価替えに伴う商業地等の負担調整措置、森林吸収源対策に係る地方財源の確保(森林環境税)、観光財源の確保(国際観光旅客税)、たばこ税、地方消費税の清算基準、などが主要課題となった。 とりわけ、法人税における賃上げ・設備投資促進等に係る税制措置は、12月8日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」を具体化するものとして注目される。 「新しい経済政策パッケージ」策定に向け、11月17日の未来投資会議において、安倍総理は次のような発言をしていた。 この発言から、賃上げ・設備投資に積極的な企業への措置と消極的な企業への措置との2本立ての措置がとられることが予想された。 その後、12月8日には、「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定されたが、その中で、「企業の収益性向上・投資促進による生産性革命」の筆頭の政策として、「賃上げ及び設備・人材投資の加速」が掲げられた。 その内容としては、 と、3つの具体的な措置が盛り込まれた。 このような政策を具体化するのが、平成30年度税制改正大綱に盛り込まれた、生産性革命税制の創設、IoT投資抜本強化税制の創設、租税特別措置の適用要件の見直し、の3点である(いずれも3年間の時限措置)。 (1) 生産性革命税制 生産性革命税制は、大法人向けの従来の所得拡大促進税制を改組したものである。したがって、中小法人向けの所得拡大促進税制は要件等の見直しを行った上で延長される。 生産性革命税制の適用要件は、①平均給与等支給額が前年度比3%以上増加、という賃上げ要件に加え、②当期の国内設備(減価償却資産)投資額が当期減価償却費の9割以上、をクリアする必要がある。従来の基準年度からの給与等支給総額の増額という要件は不要となる。 これらの要件を満たした場合には、給与等支給総額の前年度からの増加分に対して15%の税額控除(現行12%)が適用される。なお、前述の「特に人材投資に真摯に取り組む企業」への対応については、一定の教育訓練費の増加(当期の教育訓練費が前2期の教育訓練費の平均の1.2倍以上)を要件に、控除率を20%に上乗せすることとされている。 なお、税額控除限度額は法人税額の20%(現行10%)であり、この税額控除限度額まで税額控除が適用された場合には、法人税率23.2%が実質的には2割引き下げられた(つまり18.56%)のと同様の効果が生じることとなる。この場合には、法人実効税率に換算すると、ほぼ25%ということとなる。 (2) IoT投資抜本強化税制 IoT投資抜本強化税制は、企業の内外におけるデータの連携・高度利活用による生産性向上等、生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)上の要件を満たすものとして認定された計画に基づく投資(ソフトウェア・器具備品・機械装置)について、特別償却(30%)又は税額控除(3%)を認めるものである。なお、賃上げ要件(平均給与等支給額が前年比3%以上増加)を満たす場合には、税額控除の控除率が5%に引き上げられる。 この措置の税額控除限度額は法人税額の15%(賃上げ要件もクリアすれば20%)であり、生産性革命税制と併用すれば、最大で法人税額の40%を税額控除できるという結果となる。すなわち、法人税率13.92%(法人実効税率換算でほぼ20%)を適用したのと同等の効果が得られるわけである。 (3) 租税特別措置の適用要件の見直し 上述した生産性革命税制やIoT投資抜本強化税制により、賃上げ・設備投資に積極的な企業を後押しする一方、これらに消極的な企業は、一定の租税特別措置(研究開発税制、IoT投資抜本強化税制、地域未来投資促進税制)の適用対象から除外するという措置を講じる。 どのような企業が「消極的」とされるかというと、①平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額以下、かつ、②設備投資額が当期減価償却費の10%以下である企業である。ただし、所得金額が前事業年度の所得金額以下の場合には対象外とする。 (4) その他 賃上げ・設備投資関係のほかにも、前述の新経済政策パッケージで、「企業の事業再編を促進するため、リスクマネーの供給強化や、大胆な事業再編を行う際の株式対価M&Aの促進に必要な措置を講じる。」とされたことを踏まえ、組織再編税制の適格要件の見直しや株式対価M&Aにおける株式譲渡益の繰り延べ措置が講じられる。 (了)

#No. 249(掲載号)
#小畑 良晴
2017/12/21
#