組織再編時に必要な労務基礎知識 Q&A 【Q12】 企業が合併した場合、雇用保険に関してどのような手続きが必要か 特定社会保険労務士 岩楯 めぐみ 【A】 雇用保険に関しては、消滅会社の適用事業所を管轄するハローワークにおいて、同一事業主としての認定を受けた上で、適用事業所を廃止する手続き又は適用事業所の名称を変更する手続きを行う。 ここでは、A社を消滅会社、B社を存続会社とする吸収合併の前提で、必要な雇用保険の手続きを確認する。なお、適用事業所は、A社、B社ともに1事業所の前提とする。 同一事業主の認定手続き A社の適用事業所を管轄するハローワークにおいて、A社とB社が同一の事業主であることの認定を受ける手続きを行う。 この同一事業主の認定手続きは、同一事業主であることを確認する一定の資料を提出するものとなるが、ハローワークにより「新旧事業実態証明書」や「同一事業主認定申請書」等の任意様式の提出が必要になるため、管轄のハローワークに事前に提出書類の確認が必要となる。 なお、任意様式以外では概ね次のような書類の提出が求められる。 適用事業所廃止又は事業所等変更手続き 同一事業主の認定手続きを行ったうえで、合併後の適用事業所の状況により、A社の適用事業所を管轄するハローワークにおいて次の手続きを行う。この手続きは、合併後10日以内に実施することとされているため、同一事業主の認定手続きも含めて対応が必要となる。 ①は、A社の適用事業所を廃止する手続きとなる。合わせて、会社で所有している雇用保険適用事業所台帳を返却する。 ②は、B社において2つの適用事業所を持つ形となり、A社の適用事業所の名称を合併後の事業所の名称に変更する手続きとなる。合わせて、会社で所有している雇用保険適用事業所台帳を返却する。 なお、②の手続きを行う場合は、労働保険において名称を変更する手続きを行った控えの提示が求められるため、雇用保険の手続きの前に、労働保険において名称を変更する手続きを行う必要がある。 (〔合併編〕終了)
事例で検証する 最新コンプライアンス問題 【第11回】 「非鉄金属メーカーにおける不適合品の出荷と「非公式の内規」」 弁護士 原 正雄 2018年3月28日、非鉄金属メーカーであるMマテリアルは、子会社の不正についての特別調査委員会の「最終報告書」を公表した。 本件における不正とは、顧客が求めた品質基準を満たさないのに、基準を満たしているかのように検査データをごまかし、不適合品を出荷していた、というものであった。 本件は、複数の子会社にわたって不正が行われていたこと、発覚から公表までにかなりの時間を要したことや、調査開始後も新たな不正が続々と判明したことなど、複雑な経緯を辿っており、論点は多い。 ただ、本件では、不適合品の出荷について、現場に「非公式の内規」が作成されていたことが注目される。そこで、本稿では、「非公式の内規」の内容を踏まえて、なぜそのような内規が作成されたのか、どのようにすれば、そうした内規の作成を防ぐことができるのか、分析していきたい。 なお、検査データの改ざん問題として、前回取り上げた事案も併せて参照されたい。 1 「特採処置実施規定」の内容 Mマテリアルの子会社であるMアルミは、アルミ板製品の不適合品の取扱いについて、非公式の内規として「特採処置実施規定」を定めていた。同規定は、規格外れの板製品であっても、逸脱の程度が一定範囲内であれば「特採処置」として許容する、というものであった。 2 「特採処置実施規定」が策定された経緯 同規定は、2002年11月に策定され、以後、約15年間にわたって運用されてきた。 2002年以前、Mアルミでは、製造部の下に「品質技術室」を置いていた。不適合品が発生した場合、品質技術室の担当者が、過去の実績に照らして顧客の使用上問題があるかを判断する。その結果、問題ないと判断すれば、試験データの書き換えを行っていた。 品質保証部は、こうした書き換えを問題と捉え、製造部に対して、不適合品の出荷を止めるよう申し入れた。これに対して、製造部内の品質技術室は、「不適合品の出荷停止は影響が大きいので、今すぐの出荷停止は無理である」と考えた。 ただし、当時の試験データの書き換えの運用は基準が不明確であり、担当者ごとに判断がばらつく懸念があった。そこで、試験データの書き換えに歯止めをかけるため、「特採処置実施規定」を新たに定めた。 つまり、試験データの書き換えを認める場合を限定することで、それ以外の書き換えを禁止したのである。 3 「特採処置実施規定」の問題 上記規定は、顧客の了承なしに試験データを書き換えることを認めるものであった。品質技術室の担当者らは、「特採処置実施規定があること自体も問題であり、将来的には解消しなければならない」ということは認識していた。 そこで、上記規定においては、特定の顧客のみ、特定の製品のみを対象とすると定め、他の顧客や製品には適用できないようにしていた。また、対象顧客や対象製品の追加は禁止されていた。 当初、対象顧客数は数十社以上あった。しかし、その後、製造工程が改善されて不適合品の発生率が下がると、Mアルミは、その都度「特採処置実施規定」を改訂して、対象顧客数を減少させていった。その結果、2016年11月には、対象顧客数は残り2社にまで減少していた。 もっとも、「試験データの書き換えに歯止めをかけるため」という「特採処置実施規定」の当初の目的は、約15年という年月が経過するうちに希薄化され、忘れられていった。その結果、同規定に定めがない顧客や製品についても、試験データの書き換えを許容する企業風土を作出してしまった。 4 背景事情 本件で、「非公式の内規」が策定された背景事情として、受注優先、納期優先の企業風土を挙げることができる。 Mアルミは、既に同業他社が先行している中で、事業を拡大していった。そのため、新規顧客との取引においては、既に同業他社に発注済みの顧客から乗り換えてもらう場面も多々あった。そうした場合、顧客は、同業他社と同じ規格を実現するよう、求めてくる。Mアルミの営業担当者は、自社の製造能力を顧みることなく、売上を優先して、そのままの規格で受注してしまった。 また、Mアルミでは、納期優先の考え方が重要視されており、品質の検査が重要なものであるとの共通理解が構築されていなかった。製造部門において、品質の検査を担う部署の立場が弱かったことも指摘されている。 こうした中で、品質の検査を担う品質技術部は、品質保証部から、不適合品の出荷を止めるよう申入れを受けた。品質技術部は、その申入れを尊重しつつ、出荷停止による影響を最小化すべく、「特採処置実施規定」を策定したのである。 5 防止策 ここで重要なのは、品質保証部が、不適合品の出荷を問題であると把握したにもかかわらず、経営層に伝達された形跡がないことである。 本来、出荷を停止するというのは、高度な経営マターである。品質技術室のような一部署が判断できないのは、当然である。 ところが、本件では、経営層に不適合品の問題が伝達されず、その結果、出荷停止の意思決定もなされなかった。品質技術室が「特採処置実施規定」を策定したのは、出荷停止という選択肢が許されない中での窮余の策であった。 このことから、本件のような事象を防止するための方策として、特に3つのことを指摘することができる。 第一に、品質保証部が把握した問題は、大小を問わず、自動的に経営層に伝達される仕組みを作ることである。品質保証が問題になる案件は、短期的には売上や納期、コストに影響を与えることが多い。経営層による意思決定がなければ、改善を期待できないのが通常である。そのため、経営層は、品質保証に係る問題を常に把握し、改善に向けて意思決定をしなければならない。 第二に、品質の検査を担う部署を製造部門から独立させることである。本件では、「特採処置実施規定」を策定した「品質技術室」は、上述したように製造部の下に置かれていた。一般に、製造部は、どうしても納期を優先してしまう傾向がある。検査を行う部署が製造部の下に置かれていたのでは、納期遵守に反するような行動ができないのは当然である。 第三に、品質保証を担う部署の人員数を充実させることである。Mアルミでは、今回の問題が発覚した後に至っても、品質統括部の人員は、僅か2名であった。人数が少なくては、充実した品質保証業務は行えない。また、人数が少ないということは、経営層から社内に対して「品質は重視していない」というメッセージを送ることに等しい。そのような状況では、品質保証を担う部署が何を言おうとも、製造部門が耳を貸さないのは当然である。 もちろん、本件では、品質を重視しない、契約を軽視しているなど、より本質的な問題として、企業風土の存在を指摘することができる。確かに、企業風土の改善は、欠かすことができない。ただ、企業風土の改善は、単に研修等を行うだけでなく、品質重視の組織に変更していくなど、経営層が行動で示すことが、より重要である。 6 従業員の「真面目さ」を正しく活用しなければならない 本件以外でも、現場において、経営層が関知しない非公式の内規が作成されていたという企業不祥事の事例はある。 例えば、1999年、茨城県の東海村にある原子力施設で、核物質が臨界に至り、大量の放射線や熱が発生し、死亡者が出るという重大な事故が発生した。 同施設では、本来、臨界事故が起きないよう、多数の作業工程を定めた詳細なマニュアルが策定されていた。ただ、会社側は、現場に対して、なぜ多数の作業工程が必要なのか、臨界がいかに危険なのかを伝えていなかった。 そこで、現場が独自の「創意工夫」を行い、より簡易な工程でもかまわないとする「裏マニュアル」を作成してしまった。現場は、何か不正の利益を得ようとしたのではなく、より効率的な手続を目指しただけであった。 この臨界事故の事例は、既に存在する不正を解消しようとした本件とは、前提が異なる。ただ、現場が何か不正の利益を得ようとしたわけではない、という点では一致する。あくまで、現場として最善を尽くした結果、現場が「ベストプラクティスである」と判断した結果をまとめて、それを「非公式の内規」としただけなのである。 そもそも、わざわざ「内規」や「マニュアル」を作成するというのは、手間のかかる作業である。現場の従業員は、本質的に、非常に真面目であることが見て取れる。ただし、その「真面目さ」の向かう方向が間違ってしまったのが、今回のMアルミの事件であり、東海村の臨界事故である。 従業員の「真面目さ」が向かう方向を指示するのは、本来、経営層の仕事である。コンプライアンス体制とは、従業員が向うべき方向を知るための枠組みである。 全ての企業は、従業員の「真面目さ」を正しく活用しなければならず、コンプライアンス体制の構築を怠るようなことがあってはならない。 (了)
AIで 士業は変わるか? 【第11回】 「AIが企業の情報開示に与える影響」 事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹 1 AIブーム 最近仲間同士集まった際に必ず話題に上がる言葉といえば、仮想通貨とAIです(仮想通貨の方は、いろいろあって若干沈静化していますが)。これらは明らかに「ブーム」と言っていいでしょう(仮想通貨の方は「バブル」?)。 新聞でAIという言葉を目にしない日はおそらくないかと思いますし、「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」といった経済誌から「週刊ポスト」や「週刊現代」といった大衆誌まで、多くの特集が組まれ、AIの専門家や、専門家なのかどうかよく分からない評論家やコンサルタントまでが、「AIに仕事が奪われる」といった、こちらの不安を煽るようなことを言っています。 とうとうまったく門外漢の私のところに、このようなAIに関連した執筆の依頼が来るぐらいですから、特にAIはものすごいブームなのだと思います。 2 人間は単純? この執筆依頼を受けて困った私は、とりあえず近所のジュンク堂へ行き、タイトルにAIが入っている書籍を片っ端から手に取ってみました。しかし、目を通してみて、なかなかしっくりとくる書籍が見つかりませんでした。そんな中、唯一、私にとってしっくりときたのが、新井紀子著『AIvs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)でした。あくまで私個人の感想ですが、新井氏の言説には唯一説得力が感じられました。 たまにですが、いわゆる理系エリートの方の言説に対して違和感を抱いてしまうことがあります。すべての方ではありませんが、そうした方の中には、日頃複雑な数式等と向き合っているからでしょうか、少し人間を単純視し過ぎている方がいるようです(あくまで私個人がこれまで接してきた方々の傾向です)。AIについて論じている方の言説に対して抱いた違和感も同様のものです。 しかし、新井氏も理系エリートの方ですが、同氏の言説に対しては、そうした違和感を抱くことがありませんでした(同氏の言説に対しては、当然、賛否両論あるかと思いますが)。 3 会計士・税理士が消滅する? AIに取って代わられる仕事としてよく取り上げられるのが、この「プロフェッションジャーナル」の主たる読者である公認会計士や税理士の仕事です。しかし、ここで私が言うまでもなく、そうした言説は、公認会計士や税理士の仕事を単純視し過ぎています。監査や税務の仕事をまったく分かっておらず、単なる数字チェックや機械的な代行だと思っているようです。 新井氏によれば、AIには読解力と常識において限界があるとのことです。監査や税務においては、状況に応じて様々な解釈や判断が求められます。そうしたことはAIには無理なのです。AIは、公認会計士や税理士を助けてくれる存在にはなっても、仕事を奪う存在にはならないはずです(もちろん、解釈や判断を伴わない単純な仕事しか行っていない公認会計士や税理士がいるとしたら、彼らの仕事は奪われるかもしれません)。 最近、AIによって公認会計士や税理士の仕事がなくなるという言説を信じて、それらの資格取得を目指すのを止める方がいると聞いたことがありますが、それは、ノストラダムスの予言を信じて、努力するのを止めるようなものですね(それらの試験は実際には相対評価なので、賢明でない受験者が減ることにより質が上昇するといえるかもしれませんが)。 4 会計バカ・税法バカでは 高度な読解力が求められる公認会計士試験や税理士試験を突破した公認会計士や税理士なら、高度な読解力を有しているはずであり(おそらく)、読解力がAIに負けることはないでしょう。 しかし、常識はどうでしょうか。 的確な解釈や判断を行うには、会計や税法の知識だけでなく、常識が必要となるはずです。ここでの常識には、経済や経営の知識のほか、様々な知識が含まれますし(それは「教養」と呼ばれるものかもしれません)、経験知も含まれます。 AIに取って代わられることはないといっても、これまでと同じでいいわけではありません。AIにできない仕事の能力を高めていく必要があり、そのためには幅広く様々な知識を学び続ける姿勢を持ちながら、経験を積み重ねていかなければならないかと思います。 5 AIと開示 この「プロフェッションジャーナル」で「〔検証〕適時開示からみた企業実態」という連載を執筆しているため、やはり「開示」に関連させてと思い、本稿のタイトルを「AIが企業の情報開示に与える影響」としました。 ここまで開示に触れておらず、前置きが長くなったようですが、ここまでの内容から、AIが企業の情報開示に与える影響についての私の考えは、おおよそ想像していただけるのではないかと思います。 AIは企業の情報開示に影響を与えるかもしれませんが、すべての問題を解決してくれるわけではないはずです。 平成30年3月20日付の日本経済新聞に、「適時開示の質問・自動応答-日本取引所、AI導入拡大」という記事が掲載されていました。日本取引所グループが、企業からの適時開示システムに関する問い合わせに対してAIが応答する仕組みを導入するとのことです。 一瞬、「そんなこと可能なのか?」と思ったのですが、記事をよく読むと、AIが応答するのは、適時開示「システム」に関する問い合わせに対してであり、開示の内容に関わる問い合わせに対してではありません。 6 開示資料を作成するAI 今後、企業の側でも、情報開示にAIを導入する動きが出てくるかもしれません。企業の情報をデータベースに集め、AIがそれをもとに開示の要否を判断して、開示資料を作成するといったようなことは、不可能ではないかもしれません(法定開示資料を作成するAIを宝印刷やプロネクサスといった企業が、あるいは適時開示資料を作成するAIを東証が開発?)。 ただ、もしも本当にそうしたAIが現れたら、私の連載「〔検証〕適時開示からみた企業実態」で取り上げたくなるような開示を連発してくれるだろうと思います。 すなわち、AIは、定量的な情報に基づく開示資料の作成は容易にできても、定性的な情報に基づく開示資料の作成は困難なはずです。AIによる説明はパターン化したものとなり、真実からずれたものとなるでしょう。また、開示の要否の判断も、困難な場合があるでしょう。特にバスケット情報の開示の要否については、AIでは判断できないでしょう。 やはり企業の情報開示業務も、AIが代わってくれる部分は出てくるかもしれませんが、すべてを代わってくれるようにはならないでしょう(AIにすべて任せてしまった方がましだという企業も中にはあるかもしれませんが・・・)。 (了)
《速報解説》 平成30年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた 法人税法施行規則等が公布される ~大企業の措置法適用可否を判定する別表6(29)が新設~ Profession Journal編集部 平成30年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた改正法人税法施行規則が4月13日付官報号外第84号で公布された。これら改正後の様式は原則として平成30年4月1日以後終了事業年度から適用される(改正法規附則2)。 (※) 官報同号にて地方法人税及び租税特別措置の適用額明細書の様式改正も行われている。 以下、主な様式の変更内容を紹介する。 まず、制度が改組された所得拡大促進税制(措法42の12の5:給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)は、次の通り大企業(中小企業者等以外)と中小企業者等ごとに様式が分かれ、共に拡充要件である教育訓練費増加割合の計算欄(大企業の場合は国内設備投資に係る計算欄含む)等が設けられた。 (※1) 雇用促進税制との重複適用時に使用。 (※2) 改正後の新制度は平成30年4月1日以後開始事業年度から適用されるため、同日をまたぐ事業年度の場合は旧制度の適用により中小企業者等も別表6(23)を使用する。 〈別表6(23) 雇用者給与等支給額が増加した場合又は給与の引上げ及び設備投資を行った場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 〈別表6(23)付表1 給与等支給額、当期償却費総額及び比較教育訓練費の額の計算に関する明細書〉 〈別表6(24) 中小企業者等が給与等の引上げを行った場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 次に、本年度改正で創設された特例措置のうち、高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の5②)に係る別表6(12)、革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)に係る別表6(25)が新設された。 〈別表6(12) 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 〈別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 なお、上記別表6(25)の冒頭にある 特定税額控除規定の適用可否 │ 可 欄に注目していただきたい。 これは本年度改正において租税特別措置の適用要件の見直しがあり、大企業が次の要件のいずれにも該当しない場合、一定の税額控除の規定を適用しないこととされた(措法42の13⑥)ことによるもの。 このため、この規定を受ける制度として上記の別表6(25)の他、研究開発税制(中小企業者向けのものを除く)に係る別表6(6)等、地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に係る別表6(17)の冒頭にも同様に、適用可否の欄が設けられている。 なお、この適用可否を判定するための明細書は次の別表6(29)であり、大企業にとっては重要な様式といえるだろう。 〈別表6(29) 特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書〉 その他、代表者及び経理責任者等の自署押印制度の廃止により別表1(1)等における「経理責任者自著押印」欄がなくなり「代表者自著押印」欄は「代表者記名押印」欄とされた。また、昨年度改正における新たなCFC税制に対応した別表17関係の様式(12表)が新設されている。 国税庁では今回の改正省令に対応した申告書様式のページを公表しているが、本稿公開時点では様式(PDFファイル)は公表されておらず、今後順次公表されることになる。 (了) ↓お薦め連載記事↓
《速報解説》 「国際観光旅客税法」が4月18日付で公布、 平成31年1月7日以後の出国旅客に適用 ~同法の政省令も同日公布~ Profession Journal 編集部 平成30年度税制改正関連法の公布後も国会での審議が続いていた国際観光旅客税法案が、4月11日に参議院本会議で可決・成立し、このたび4月18日の官報号外第87号にて公布された(法律第16号)。 これに合わせて同法の政令及び省令も同日に公布され、当初の予定通り原則平成31年1月7日の施行、施行日以後の出国旅客に定額・一律1,000円の負担が求められることとなる。 なお、その他本制度の概要については、本誌掲載の下記《速報解説》をご覧いただきたい。 なお、今回明らかになった同法の政省令ではより細かな定義規定や国外事業者の納税地の特例に係る承認申請等の手続が定められており、例えば同政令3条1項では、本税制が課税されない乗継旅客のうち日本への入国直前と出国直後の空港が同一の場合(いわゆる往復利用の場合)は除外される(課税対象となる)旨の規定が設けられている。 その他、日本に派遣された外交官等の一定の出国については国際観光旅客税を課さないこととされているが、この免除規定については、国際観光旅客税法の附則第9条において租税特別措置法の一部改正が織り込まれ、同法第90条の16(国際観光旅客税の特例)が新設されている(政省令も同様)。 (了)
《速報解説》 国税庁、「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて(情報)」を公表 ~2019年の制度開始を前に保険料や事務費、積立金の取扱い等を示す~ 税理士 島田 晃一 国税庁は2018年4月6日付けで、農林水産省との協議結果として「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて(情報)」を公表した。 今後はここで公表された取扱いに基づき税務上の処理が行われることになる。 1 農業経営収入保険とは 2017年6月農業災害補償法について、その一部が改正され「農業経営収入保険制度」が創設された(制度開始は2019年1月から)。従来からある農業共済制度は自然災害による収穫量の減少のみが補償対象になっており、需給要因による価格低下や農業者の疾病等による減収は補償の対象にならない。 また、対象品目は収穫量を確認できるものに限定されており、農業経営全体の悪化には対応していないという問題点があった。 今回、創設された「農業経営収入保険制度」は農業経営全体を対象としたもので、自然災害だけでなく前述した価格低下などによる収入悪化が認められた場合、保険金の支払対象になる。 農業経営収入保険の加入要件等の概要は以下のとおりである。 なお、農業共済などの従来の類似制度に加入しているときは、この農業経営収入保険と重複加入はできない。 2 今回公表された税務上の取扱い 今回公表された税務上の取扱いは以下のとおりである。 上記の取扱いによれば、例えば、個人の農業者が2019年を保険期間とする農業経営収入保険の保険料を2018年10月に支払った場合、一旦「前払金」として資産計上し、2019年に「保険料」として必要経費又は損金に振り替えなければならない。 一方、保険期間の収入金額が減少し補填金額を受け取ったときは、「保険金部分」、「国庫補助部分」、「積立金部分」に区分し、「保険金部分」、「国庫補助部分」のみ収入金額として計上する必要がある。また、申告期限までに補填金額が確定しなかったときは概算金額をもって収入(益金)計上しなければならない。 ただし、概算金額と実際の金額が異なった場合、その差額が少額であるときは、修正申告や更正の請求を行うのではなく、その差額を翌年(翌期)において加減算する。 以上、簡単ではあるが農業経営収入保険の概要と税務上の取扱いについて述べてきた。本稿が、農業経営収入保険に関する知識を深める一助になれば幸いである。 (了)
《速報解説》 国税庁、タックスアンサーで「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の取扱いを公表 ~NEM流出事件に係るコインチェックからの補償金は雑所得として課税対象に~ Profession Journal編集部 仮想通貨NEMの流出事件について、取引所運営者のコインチェックは本年1月28日のリリースにおいて、対象となるNEM保有者約26万人に対し総額約460億円の補償金を日本円で支払う方針を示していたが、その補償金の税務上の取扱いについて、損害賠償金として非課税となるのか雑所得とされるのかが争点となっていた。 このほど国税庁は4月16日にタックスアンサー「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合(No.1525)」を公表、後掲のとおり、支払を受けた補償金は非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となることを明らかにした。 この公表を受けコインチェックのホームページにも同日この取扱いに関するリリース(仮想通貨NEM保有者に対する補償金の課税関係について)を行っている。なお、今回の補償についてはすでに3月12日付けのリリースで同日中に補償を行うことが公表されている。 なお、コインチェックのリリースにも示されているが、今回支払われた補償金は平成30年に発生した事実に基づいて支払われたものであるため、この所得については原則として平成30年分の確定申告が必要となる(本誌では4月26日(木)公開のNo.266において、より詳しい解説を掲載する予定)。 また、今後も他の仮想通貨において同様の事件が発生した場合、基本的には今回の取扱いが適用されると考えられるため、投資家にとっては留意すべき点といえよう。 (了)
《速報解説》 金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表 ~「収益認識に関する会計基準」の適用に対応した規定等の整備を進める~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成30年4月13日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正」(案)、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正」(案)、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)の一部改正(案)などを公表し、意見募集を行っている。 これは、平成30年3月30日に、企業会計基準委員会が公表した「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等に対応するものである。 意見募集期間は平成30年5月12日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の主な内容 1 収益認識に関する注記など 財務諸表等規則8条の32(収益認識に関する注記)として次の規定を設ける。 連結財務諸表規則、中間連結財務諸表規則などの改正は、財務諸表等規則の改正に伴う準用規定の改正である。 上記のほか、たな卸資産及び工事損失引当金の表示の改正(財規54条の4)、売上高の表示方法の改正(財規72条)、割賦販売売上高の表示方法の削除(財規73条)がある。 2 財規ガイドラインの改正 改正後の主な財規ガイドラインは次のとおりである。 《8の2-7》 規則第8条の2第7号に規定する収益及び費用の計上基準には、ファイナンス・リース取引に係る収益及び費用の計上基準等、財務諸表について適正な判断を行うために必要があると認められる事項を記載するものとする。また、財務諸表提出会社が「収益認識に関する会計基準」を適用している場合には、その旨を記載するものとする。 (※) 現行の財規ガイドライン8の2-7では、工事契約に関する工事進捗度を見積るために用いた方法の記載が求められている。 《8の32》 規則第8条の32に規定する注記とは、「収益認識に関する会計基準」が適用される場合の注記とし、同条に規定する顧客、契約及び履行義務とは、「収益認識に関する会計基準」にいう顧客、契約及び履行義務をいうものとする。 《72-1》 規則第72条第1項に規定する売上高については、各企業の実態に応じ、適切な名称を付すことに留意する。 (※) 現行では、作業くず、手持原材料又は貯蔵品の売却に関する取扱いが規定されている。 《72-1-2》 削除する。 (※) 現行では、売上値引、売上割引、売上割戻について規定している。 なお、売上割引については、改正後の財規ガイドライン93において、「売上割引(代金支払期日前の支払に対する売掛金の一部免除等をいう。)」と規定する予定である。 《79》 規則第79条の仕入値引とは、仕入品の量目不足、品質不良、破損等の理由により代価から控除される額をいい、代金支払期日前の支払に対する買掛金の一部免除等の仕入割引と区別するものとする。なお、一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対する仕入代金の返戻額等の仕入割戻は、仕入値引に準じて取扱うものとする。 連結財規ガイドライン、中間連結財規ガイドラインなどの改正は、財規ガイドラインの改正に伴う準用規定の改正である。 Ⅲ 適用時期等 公布の日から施行する予定である。 (了)
《速報解説》 改正省令により「相続税の申告書の添付書類」の見直し内容が明らかに ~戸籍謄本はコピーも可に、「法定相続情報一覧図」は図形式かつ 実子・養子の区別が記載されたものに限る~ Profession Journal 編集部 3月31日に公布された相続税法施行規則の一部を改正する省令により、大綱で示されていた相続税の申告書の添付書類に関する改正内容が明らかとなった。 平成30年度税制改正大綱では相続税の申告書の添付書類の見直しについて、次のように示されていた。 上記大綱の記述からは、新たに戸籍謄本の複写による提出が認められることが確認できていたが、申告書の添付書類について規定した相続税法施行規則第16条第3項は次のように改正されている。 改正省令のポイント及び留意点は次の通り。 ① 戸籍謄本はコピー機による複写も可に まず、改正後の第一号のイは改正前の第一号と同じ記述内容だが、第一号の「(当該書類を複写機により複写したものを含む。)」との規定により、戸籍謄本をコピー機で複写したもの(改正前は原本による)が添付書類として認められることとなる。なお、改正前と同様、原本による提出も可。 ② 法定相続情報一覧図は図形式のみ、列挙形式は認められない 次に、第一号のロにより、昨年5月に制度が始まった法定相続情報証明制度における「法定相続情報一覧図の写し」(コピー機で複写したものを含む)が戸籍謄本に代わる添付書類として認められることになった。 法定相続情報証明制度は、土地の未登記問題を解決するため利用者の負担を減らすべく創設された制度で、一定の手続により作成・入手可能な法務局の認証文が付された法定相続情報一覧図の写しを戸籍謄本に代わり各相続手続に利用できるようにしたもの。ただし今回の改正前は、相続税の申告書の添付書類としては認められていなかった。 本制度については本誌掲載の下記解説記事を参照されたい。 ここで確認したいのが、上記第一号ロの「被相続人と相続人との関係を系統的に図示したもの」という規定だ。 4月11日に国税庁ホームページで公表された本改正に関するパンフレットでは、『図形式の「法定相続情報一覧図の写し」』が添付書類として認められるとしたうえで、「列挙形式では相続人の法定相続分が確認できない場合もあるため、相続税の申告書の添付書類として利用するときには、図形式のものであることが必要となります」と説明されている。 法定相続情報一覧図の列挙形式とは次のように、被相続人及び相続人を単に列挙したもので、一般的な図形式の一覧図と異なり被相続人と相続人との関係を系統的に図示していないことから、添付書類として認められないことになる。 〈列挙形式の「法定相続情報一覧図」の記載例〉 (※) 法務局ホームページにてエクセルデータによるダウンロードが可能。 列挙形式の方が作成の手間がかからず法務局への申出・交付を受けることは可能であり他の相続手続にも使用できるものの、相続税の申告手続を考えた場合は図形式による作成が望ましいところだ。 ③ 「子」とのみの記載は添付書類として不可 次に注意したいのが、同じく第一号ロの「当該被相続人の子が実子又は養子のいずれであるかの別が記載されたもの」という規定だ。 制度開始後の法定相続情報一覧図は上記【関連記事】①にあるとおり、相続人は「(子)」とのみの記載であって実子・養子の区別がされておらず、この規定に該当しないこととなる。 この点、本年2月から「法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に係る法定相続情報一覧図の記載内容等の見直しについて」と題するパブコメが行われており、「長男」、「長女」、「養子」など、原則として戸籍に記載される続柄を記載することとする見直しが行われ、改正省令の施行に合わせ平成30年4月1日から取扱いが変更されている。 ここで注意したいのが、今回の制度の見直し後も、見直し前と同様に「子」として記載する方法も選択することができるという点だ。 プライバシーの観点から選択が認められているものと考えられるが、この場合は相続税の申告書の添付書類としては認められないため、上記②とともに、作成に当たってはクライアント(もしくは作成を委託する司法書士や弁護士等)へ十分に確認する必要がある。 〈図形式の「法定相続情報一覧図の写し」のイメージ〉 (※) 国税庁ホームページより なお、法定相続情報証明制度の利用拡大により、他に次の点も見直しが行われているのでおさえておきたい。 (了)
2018年4月12日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.264を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。