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《速報解説》 「中小企業の会計に関する指針」が改正(2017.3.9)~資産除去債務を今後の検討課題から削除し敷金に関する会計処理を規定~

《速報解説》 「中小企業の会計に関する指針」が改正(2017.3.9) ~資産除去債務を今後の検討課題から削除し敷金に関する会計処理を規定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29 年3月9日付けで(公表日は平成29年3月17日)、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会は、「中小企業の会計に関する指針」の改正を公表した。これにより、平成28年10月28日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 公開草案対してのコメントの提出はなかったことから、公開草案から軽微な字句修正だけを行っているとのことである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 敷金(39項) 次のように、敷金に関する会計処理を規定している。 2 税効果会計 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)が公表されているので、従来の「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第66号)」から改正している。 3 資産除去債務 従来、資産除去債務は、「今後の検討事項」として掲げ、今後の我が国における企業会計慣行の成熟を踏まえつつ、引き続き検討すると述べられていたが、今回、当該記述を削除している。 これについては、中小企業へのアンケートを実施し、中小企業における資産除去債務の適用状況の把握を行ったところ、中小企業では、賃貸借契約に基づく原状回復義務について約半数の企業から該当がある旨の回答を得ており、敷金に関する会計処理を明らかにするニーズが高いことが判明したが、そのケースを除くと、資産除去債務による影響を受ける企業の範囲が限定的であることも明らかになったとのことである。 このため、資産除去債務の全面的な適用は馴染まないものと判断し、前述のように、資産除去債務を「各論」の見出し項目としては取り扱わないこととし、また、賃貸借契約における原状回復義務については、中小企業に過大な事務負担をかけないことを前提として、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号)9項に規定される敷金の簡便法を参考に、中小企業の実態に合った取扱いを固定資産の項目に新たに設ける修正(39 項)を行っている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 210(掲載号)
#阿部 光成
2017/03/21

《速報解説》 経済産業省、「CGS(コーポレート・ガバナンス・システム)研究会報告書」を公表~取締役会の役割・機能の明確化や社外取締役の活用等、「稼ぐ力」強化に向けた具体的行動を提言~

《速報解説》 経済産業省、「CGS(コーポレート・ガバナンス・システム)研究会報告書」を公表 ~取締役会の役割・機能の明確化や社外取締役の活用等、 「稼ぐ力」強化に向けた具体的行動を提言~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年3月10日、経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システム研究会」(座長 神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は、「CGS研究会報告書-実効的なガバナンス体制の構築・運用の手引-」(CGSレポート)を公表した。 これは、会社がコーポレートガバナンス・コード等の原則を実践するに当たって考えるべき内容を、コーポレートガバナンス・コードと整合性を保ちつつ示すことでこれを補完するとともに、「稼ぐ力」を強化するために有意義と考える具体的な行動を取りまとめたものである。 表紙などを含めて95ページのものであり、また、「コーポレートガバナンスに関する企業アンケート調査結果」も公表されている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 CGSレポートの前半(本文)では、社長・CEO ら経営陣を主な対象にして、全体に関わる内容についての提言を行い、また、後半(CGSレポートの別紙1から3まで)では、コーポレートガバナンスを担当する企業幹部などを主な対象に、より具体的な指針として、数々の提言が行われている。 以下では主な内容について述べるが、CGSレポートは多岐にわたる事項を取り上げているので、詳細な理解のためには同レポートをお読みいただきたい。 1 取締役会の在り方 取締役会の機能である監督機能と意思決定機能について触れ、それらの前提となる基本的な経営戦略や経営計画を決定することが重要であるとし、その対応のためには、取締役会への付議事項を見直し、取締役会で議論されてきた事項のうち重要性が高くない業務執行案件を縮小するとともに、経営戦略に関する議論や監督機能に関する議論を充実させることが考えられるとしている。 取締役会の運営に関して、社外取締役にも十分な情報を提供する必要性や、取締役会とは別の会議体の活用について述べている。 2 社外取締役の活用の在り方 今後は、経営の仕組みを、社外取締役の知見・経験を活用しやすいものへと変えていく必要があるとする。 ただし、そもそも社外取締役に期待すべき役割は、企業の経営を行わせることではなく、経営を行うのは従前どおり社長・CEO を中心とする社内の経営陣であり、社外者は、特に社外者としての属性に基づいて社内者では適正に判断・評価しにくい事項について関与する際に真価を発揮するものであるとしている。 社外取締役の人材市場の拡充のために、実際に経営に携わっていた経営経験者が社外取締役の有力候補であり、積極的に他社の社外取締役になることにより、社外取締役の人材市場の拡充が期待されるとしている。 3 経営陣の指名・報酬の在り方 社外取締役を中心とする社外者には、社長・CEOの評価や後継者計画について、社内者とは別に客観的な立場から検証する役割が求められるとし、取締役会の意思決定に際して、社外者が独立的・客観的な視点で監督を行うことが期待されている。 業績連動報酬や自社株報酬は業績や株価の変動に応じて経営陣が得られる経済的利益が変化するため、中長期的な企業価値向上への動機付けとなること、また、自社株報酬は経営陣と株主の価値共有に資するというメリットもあることが述べられている。 また、取締役会の在り方を問わず、いずれの企業にとってもコーポレートガバナンスの実効性を高める上で有効と考えられる方策として、法定又は任意の指名委員会を活用することを検討すべきであるとしている。 4 経営陣のリーダーシップ強化の在り方 退任した自社の社長・CEOが相談役・顧問等として存在する場合や、取締役会長の在り方について述べている。 取締役会長については、取締役会議長として監督に集中し、取締役会評価に力を入れることなどにより、現社長・CEOとの役割分担が明確になり、現社長・CEOが迅速・果断な意思決定を行う上で有益である場合もあると考えられると述べている。 ◆ ◆ ◆ 以上の議論を踏まえ、CGSレポートの概要では、「報告書の提言」として、各企業は以下の事項について検討すべきとしている。 (了)

#No. 210(掲載号)
#阿部 光成
2017/03/17

プロフェッションジャーナル No.210が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年3月16日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.210を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/03/16

日本の企業税制 【第41回】「100%子会社化に係る税制(スクイーズアウト関連税制)の見直し」

日本の企業税制 【第41回】 「100%子会社化に係る税制(スクイーズアウト関連税制)の見直し」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   ある会社を100%子会社にする場合、その対価として現金、株式が考えられ、方法としては、株式譲渡、株式交換、全部取得条項付種類株式、株式併合などがある。 100%子会社化の中でも、すでに買収対象の発行済株式のマジョリティを確保している場合に、少数株主をいなくすることを称して「スクイーズアウト」という。 少数株主との個別交渉で全ての株式の譲渡を受けることはなかなか容易ではないことから、一定の法制度に基づいて、強制的に少数株主の退出を図る手法として、株式交換、全部取得条項付種類株式や株式併合の活用、平成26年改正会社法(平成27年5月1日施行)により創設された株式等売渡請求がある。   1 平成29年度税制改正前の組織再編税制 現行税制(平成29年度税制改正前)では、これらの手法のうち、組織再編税制が適用されるのは株式交換のみであった。すなわち、株式交換にあっては、適格要件を満たせば、株式交換完全子法人の株式を帳簿価格で譲渡したものとして、株式交換完全子法人の株主において株式譲渡益課税が行われない。 一方、非適格の場合には、株式交換完全子法人の株主において株式譲渡損益に対する課税が生じるとともに、株式交換完全子法人が有する一定の資産につき時価評価課税が行われることとされていた(改正前法法62の9①)。 株式交換以外の手法にあっては、少数株主の株式譲渡損益に対する課税が生じる場合があるが、買収対象会社の資産の時価評価が行われることはなかった(ただし、買収により、連結納税グループに加入することになる場合は、一定の資産につき時価評価課税が行われる)。   2 株式交換以外の手法の組織再編税制への取り込み 今回の改正では、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求によるスクイーズアウトについて、株式交換と同様に組織再編税制の一環として位置づけることとされた。なお、スクイーズアウト関連の改正は、平成29年10月1日以後に行われる組織再編成について適用される。 法案を確認すると、まず定義規定に「株式交換等」(法法2十二の十六)が設けられ、株式交換及び、①全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等以外の全ての株主等に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合、②株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等以外の全ての株主等の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの、③株式売渡請求に係る承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等の全部が一の株主等に取得されることとなる場合が、「株式交換等」に該当することとされている。 その上で、改正前の「適格株式交換」(改正前法法2十二の十六)が「適格株式交換等」(法法2十二の十七)に置き換えられ、しかも、「株式以外の資産が交付されないもの」という要件に例外を設けている。すなわち、①株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式の総数の3分の2以上に相当する数の株式を有する場合における、少数株主に対して交付される金銭その他の資産、②全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、③株式売渡請求の取得の対価として交付される金銭その他の資産は、「株式以外の資産」から除外されている。 つまり、すでに3分の2以上のマジョリティを獲得している場合にあっては、少数株主に対する現金対価の株式交換が適格要件を満たす道が開かれる。また、全部取得条項付種類株式による取得について反対する株主は取得価格決定の申立を裁判所に対して行うことができるが、その決定に基づき支払う金銭等は対価要件に抵触しないこととなる。なお、反対株主以外の株主に対する端数処理の金銭については、従来の合併や株式交換に関する法人税基本通達1-4-2のような取扱いになるのか、今後の通達の改正内容についても確認が必要である。 一方、「適格株式交換等」に該当しない「株式交換等」を行った場合には、改正前の適格株式交換以外の株式交換と同様に、完全子法人となった法人において、その有する一定の資産につき時価評価課税が行われる(法法62の9①)。 なお、平成29年度与党税制改正大綱では、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度(法法62の9①)及び連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度(法法61の11①、61の12①)における時価評価対象資産から帳簿価額が1,000万円未満の資産が除かれることとされている。 時価評価対象資産の定義は政令事項であり、今後確認が必要であるが、この改正がなされれば、帳簿価額がない、いわゆる自己創設のれんの時価評価は今後、不要となるものと考えられる。 (了)

#No. 210(掲載号)
#小畑 良晴
2017/03/16

相続税の実務問答 【第9回】「代償分割により取得した財産への課税」

相続税の実務問答 【第9回】 「代償分割により取得した財産への課税」   税理士 梶野 研二   [答] 遺産分割協議により、あなたがお兄様から支払いを受けることとなった現金は、相続により取得したものであり、相続税の課税対象となりますから、贈与税や所得税(譲渡所得)の課税対象とはなりません。   ● ● ● ● ●  説 明 ● ● ● ● ● 1 代償分割 被相続人の財産は、相続開始とともに、共同相続人の共有財産となります。この共有となった相続財産は遺産分割の手続を経て、個別具体的に各相続人に帰属することとなります。 遺産分割は、通常は、被相続人に帰属していた個々の財産そのものを共同相続人のうち特定の者に分属させる方法により行われます。このような方法を『現物分割』といいます。 しかし、現物分割をすることが困難である場合や、現物分割をすることにより相続財産の価値が低下してしまうような場合には、相続財産の全部又は一部を売却して、その売却代金を各相続人に分配する方法により遺産分割が行われることがあります。これを『換価分割』といいます。 また、相続財産の全部又は一部を共同相続人のうちの1人又は数人に相続させるとともに、その者から他の共同相続人に対して一定の金銭等の支払いをさせる方法により遺産の分割を行うこともあります。このような方法を『代償分割』といいます。 例えば、唯一の遺産が被相続人や相続人のうちの一部の者の居住の用に供されていた土地建物であり、被相続人と同居していたその相続人が、その土地建物を単独で相続したいと希望する場合に、その相続人が希望どおりに当該土地建物を単独で相続するのと引き換えに、その相続人から他の相続人に対して一定の金銭を支払うことで、相続人全員の合意が得られることがあるでしょう。 また、事業用の資産や被相続人が経営していた会社の株式を事業の後継者が相続し、他の相続人には、その後継者から金銭の支払いをすることにより相続人全員の納得が得られるようなこともあるでしょう。 このように、代償分割によって、財産の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を勘案した柔軟な遺産分割が可能になります。   2 代償分割が行われた場合の課税関係 (1) 贈与税 代償分割が合意されると、共同相続人の1人又は数人から、代償債務の履行として、相続財産を構成しない現金やその他の財産を取得することとなります。代償財産として取得する財産は、代償債務者が従来から保有している固有の財産であったり、金融機関からの借入れ等により自ら調達した金銭等であって、被相続人の有していた財産そのものではありません。 つまり、共同相続人間で、相続財産以外の財産が受け渡しされることとなりますので、これが贈与税の課税対象となるのではないかとの疑問が生じます。 しかし、代償分割により共同相続人のうちの1人又は数人から受ける財産は、被相続人に帰属していた財産の価値の一部を取得するものといえますから、被相続人から相続により取得したものであって、これを贈与と認識する必要はありません。 (2) 所得税(譲渡所得) 代償分割により、土地や建物など譲渡所得の基因となる財産を一部の相続人が取得し、その相続人から他の相続人が現金などの代償財産を取得したとしても、当該土地や建物などの財産はそれを取得した相続人が、遺産分割により被相続人から直接取得するものであって、いったん共同相続人に法定相続分により帰属した財産を対価を支払って取得するものではありません。 したがって、代償分割により代償財産を取得した者に譲渡が発生したとして所得税(譲渡所得)が課税されることはありません。 (3) 相続税の課税 上記(1)及び(2)のとおり、代償財産は、被相続人に帰属していた経済的価値を代償分割という分割の手法を通じて、共同相続人のうちの一部の者に承継させたものです。つまり、代償財産の有する経済的価値は、まさに相続により取得したものとなりますので、代償財産を取得した者については、当該代償財産に相続税が課されることとなります(相基通11の2-9)。 一方、代償財産を交付した相続人については、相続により取得した土地や建物などの現物財産の価額から代償財産の価額を控除した価額を基に相続税を計算することとなります(相基通11の2-9)。   3 ご質問の場合 お父様の主要な遺産が、ご両親がお住まいだったご自宅及びその敷地で、今後はお兄様のご家族がここでお母様と同居されるとのことです。この土地建物以外にまとまった財産がないとのことですが、将来のことを考えると、この自宅建物及び敷地を相続人全員の共有とすることは、権利関係が複雑になってしまうことなどが懸念されることから、現物分割を避けて、相続人全員の合意を得て代償分割の方法がとられたことと思います。 このような遺産分割により、あなたがお兄様から支払いを受けることとなった現金は、代償財産として相続税の課税対象となり、贈与税や所得税(譲渡所得)の課税対象とはなりません。 なお、お兄様の相続税の課税価格の計算においては、あなたに支払うこととなった代償債務の額を控除することとなります。   (了)

#No. 210(掲載号)
#梶野 研二
2017/03/16

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第6回】「買換資産の取得の日の判定(請負契約によるもの)」-買換資産の取得期間・取得の日-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第6回】 「買換資産の取得の日の判定(請負契約によるもの)」 -買換資産の取得期間・取得の日-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、買換資産である居住用家屋の建築を建築業者に請け負わせました。 この場合、「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用を受けるにあたり、Xの買換資産の取得の日は、その請負契約を締結した日と判定してよいでしょうか。 A 請負契約の締結日を買換資産の取得の日とすることはできません。 建築業者から建物の引渡しを受けた日が買換資産の取得の日となります。 ●○●○解説○●○● 他に請け負わせて建設、製作又は製造した資産の取得の日は、その建設等が完了して、その資産の引渡しを受けた日により判定することとされています。 また、完成前の売買契約によるもの、例えば、新築に係る分譲マンションを取得する場合も同様に、契約締結日には存在しない資産をもって資産の取得の日とはできないことから、マンションの引渡しを受けた日が買換資産の取得の日となります(所基通33-9(資産の取得の日)、措通36の2-16(やむを得ない事情により買換資産の取得が遅れた場合)(注))。 (了)

#No. 210(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/03/16

金融・投資商品の税務Q&A 【Q36】「個人が匿名組合契約に基づき太陽光発電事業に投資を行い利益の分配を受ける場合の課税関係」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q36】 「個人が匿名組合契約に基づき太陽光発電事業に投資を行い利益の分配を受ける場合の課税関係」   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 1 太陽光発電事業 太陽光発電事業は、一般的に、特別目的会社(SPC)が太陽光パネルを取得し、当該太陽光パネルを使用して売電収入を得ることにより、収益を獲得するスキームです。太陽光パネルの購入には多額の資金を必要とするため、金融機関等から借入れを行うほか、出資者から出資を募ります。一般的な出資形態の一つとして匿名組合型があります。 匿名組合型の場合、営業者は一般的に、匿名組合事業に係る利益の計算上、太陽光パネルについて税務上の限度額まで減価償却を行い、減価償却費計上後の損益を匿名組合員に分配します。   2 匿名組合員の所得税課税 匿名組合の損益は、匿名組合の営業者及び匿名組合員の損益として法人税又は所得税の課税対象となります。匿名組合の税務上の取扱い概要については【Q27】のとおりです。 匿名組合員たる個人(居住者)が匿名組合契約に基づき営業者から受ける利益の分配は、20.42%の源泉税が課された上で、所得税課税の対象となります。所得分類は、原則として雑所得とされます(ただし、匿名組合員が匿名組合契約に基づいて営業者の営む組合事業に係る重要な業務執行の決定を行っているなど組合事業を営業者と共に経営していると認められる場合には、営業者から受ける利益の分配は、当該営業者の事業の内容に従って事業所得又はその他の各種所得に所得分類されます)。 雑所得として取り扱われる匿名組合に基づく利益の分配は、所得税法上、総合課税の対象とされます。匿名組合に基づく利益の分配に源泉税が課される場合における当該源泉税額は、所得税額から控除することができます。 損失の分配については、雑所得のマイナスとして取り扱われるため、他の所得との損益通算はできません。また、匿名組合契約において、投資家に対し、各計算期間に損失の負担を求めず、匿名組合契約の終了時に損失分担義務を負うこととしている場合は、当該損失は各計算期間において未だ確定していないことから、当該計算期間の各種所得の計算上匿名組合員たる個人の雑所得の必要経費に算入することはできないとされています(翌営業年度以降に当該匿名組合事業に利益が生じた場合については、出資の欠損額を填補した後に分配を受ける利益が、各種所得の金額の計算上総収入金額に算入されることになります)(【Q27】参照)。   3 本件へのあてはめ 匿名組合員たる個人が匿名組合契約に基づき営業者から受けるべき利益の分配は、原則として雑所得として総合課税の対象となります。確定申告により、利益の分配に課された源泉税を控除することができます。 損失の分配は、他の所得との損益通算はできません。   (了)

#No. 210(掲載号)
#箱田 晶子
2017/03/16

被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第4回】「個人が支援を受けた場合、支援を行った場合」

被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第4回】 「個人が支援を受けた場合、支援を行った場合」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   企業の事業所がある地域で大規模災害が発生した場合、多くの役員や従業員(以下、従業員等という)が災害の影響を受けると考えられる。企業の総務、経理担当者は、災害時における個人の税務上の取扱いを理解し、従業員等への情報発信や従業員等からの相談に適切な対応ができるようにしておきたい。 以下、災害時の税務上の取扱いについて、被災した個人が「支援を受けた」場合と、個人が被災者に「支援をした」場合に分けて解説を行う。   【1】 被災した個人が支援を受けた場合 個人が被災した場合、勤務先企業や日本赤十字社等から災害見舞金や義援金等を受け取ったり、各種の支援を受けることがある。災害見舞金や義援金等を受け取ったり、各種の支援を受けても、それが社会通念上相当と認められる範囲のものであれば、所得税は課されない(所法9①十七他)。 課税されない災害見舞金等には、次のようなものがある。 (1) 勤務先から支給を受ける災害見舞金や支援等 上表(1)の(ア)から(エ)については、所得税は課税されない(詳細は前回参照)。 (2) 勤務先以外から受ける災害見舞金等 ① 配分や支給を受けた場合の課税関係 (ア) 災害義援金の配分 心身又は資産に加えられた損害について個人が支払を受ける相当の見舞金に、所得税は課されない(所法9①十七、所令30三)。 したがって、配分を受けた義援金に所得税が課されることはない(所令30三)。 (イ) 災害見舞金 知人や友人から見舞金を受け取った場合、その見舞金がその受取人の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、所得税は課されない(所法9十七、所令30三、所基通9-23)。 また、このような見舞金は、贈与税の課税対象にもならない(相基通21の3-9)。 (ウ) 災害弔慰金 一定の自然災害が発生した場合には、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいて、死亡した人の遺族に対して「災害弔慰金」が、精神又は身体に著しい障害を受けた人には「災害障害見舞金」が市町村から支給される。 「災害弔慰金」及び「災害傷害見舞金」は、同法により非課税とされている(災害弔慰金の支給等に関する法律6)。 (エ) 被災者生活再建支援金 自然災害によって住宅に被害を受けたときには、「被災者生活再建支援法」に基づいて、被災世帯の世帯主の申請により、都道府県から被害の割合に応じた「被災者生活再建支援金」が支給される。 「被災者生活再建支援金」は、同法により非課税とされている(被災者生活再建支援法21)。 ② 雑損控除との関係 配分を受けた義援金や支給を受けた災害見舞金等と、本シリーズ【第5回】で取り上げる予定の雑損控除との関係をまとめると次の通りである(国税庁「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)(個人課税課情報第3号、資産課税情報第6号)」の「第Ⅱ 質疑応答編」第8、3-2)。 ◆災害義援金 ◆災害見舞金 ◆災害弔慰金 ・・・資産の損害の補てんを目的として配分又は支給されるものではない。 ⇒雑損控除の損失額の計算において控除する必要はない。 ◆被災者生活再建支援金 ・・・住宅の被害の程度と再建方法に応じて支給される。 ⇒雑損控除の損失額の計算において控除しない。   【2】 被災した個人が金融機関等から債権放棄を受けた場合 個人が債務免除を受けた場合の債務免除益は、原則として所得金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入する(所基通36-15(5))。ただし、資力を喪失して債務を返済することが著しく困難である場合に受けた債務免除益は、課税の対象とならない(所法44の2①)。 住宅ローンや事業性ローンを借りている個人が、金融機関等から「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づいて債務免除を受けた場合は、上記「資力を喪失して債務を返済することが著しく困難である場合に受けた債務免除益」に該当するものとして課税されない。 詳細は本誌掲載の下記拙稿をご参照いただきたい。   【3】 個人が被災地域や被災者に対して支援を行った場合 (1) 個人が寄附金を支出した場合の取扱い 個人が特定寄附金を支出したときは、寄附金控除を受けることができる(所法78①)。 寄附金控除の額は、次の算式により計算する。 なお、東日本大震災に関連する寄附金については、震災特例法により特別な取扱いが規定されている。その内容については、本シリーズ【第6回】において、過去の大規模災害時における特例措置としてまとめて解説する予定である。 (2) 特定寄附金とは  特定寄附金には、次のようなものが該当する(所法78①、措法41の18の3)。 なお、災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のために、日本赤十字社や新聞・放送等の報道機関等の募金団体が募集する義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募集趣意書等において明らかにされているものであるときは、地方公共団体に対する寄附金として扱われる(所基通78-5)。 (了)

#No. 210(掲載号)
#篠藤 敦子
2017/03/16

包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第35回】「租税回避の定義」

包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第35回】 (最終回) 「租税回避の定義」   公認会計士 佐藤 信祐   前回までで、我が国における租税回避に対する論点の多くは解説できたと思う。最終回に当たる本稿では、租税回避の定義についてまとめるとともに、今後の動きについて予測したい。   1 租税回避の定義 かつて、金子宏教授は、 を租税回避であると位置づけ(※1)、この定義が通説であったと思われる。 (※1) 金子宏『租税法』121-122頁(弘文堂、第19版、平成26年) これに対し、今村隆教授は、 を租税回避の定義として位置づけた(※2)。 (※2) 今村隆「租税回避とは何か」税務大学校論叢40周年記念論文集57頁(平成20年) 【第33回】で解説したヤフー・IDCF事件は、包括的租税回避防止規定の射程を、組織再編税制の各規定を「租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるもの」とした。そして、濫用の有無の判断について、①経済合理性がないかどうか、②事業目的がないかどうか等を考慮したうえで、「当該行為又は計算が、組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって、組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断する」としている。 今村教授が、事業目的がほとんどなく、租税法規の趣旨・目的に反することから経済的実質を欠く場合を租税回避と位置付けているのとはやや異なるものの、租税法規の趣旨・目的からの逸脱を租税回避と位置付けていることには変わりはない。このように、ヤフー・IDCF事件最高裁判決と同様の判断を同族会社等の行為計算の否認に及ぼすことは、理論的には不可能なことではない。そして、制度の濫用や制度趣旨からの逸脱としたほうが、より租税回避の定義が明確となるだけでなく、①経済合理性がないかどうか、②事業目的がないかどうかにより判断するということになれば、実務家からの立場としても、それほど違和感はない。 【第33回】では、①②は例示であるとしたが、例示として想定できないようなものを根拠として、租税回避の範囲を拡大することは許されるべきではない。そのため、基本的には、ヤフー・IDCF事件最高裁判決を基礎に、租税回避の一般的な定義が定められていくべきではないかと考えられる。   2 立法論としての租税回避否認 このように、租税回避の定義は、理論上は濫用論に移るべきであると考えられるが、現行法上、実際の運用は、経済合理性や事業目的を基礎に判断せざるを得ないと考えられる。そうなると、経済合理性の有無や事業目的の有無を判断することが容易ではないという問題が挙げられる。さらに、制度の趣旨・目的に反するかどうかという点も、ヤフー事件東京地裁判決にあるように、みなし共同事業要件を「移転資産に対する支配の継続」という、本事件の前には公表されていなかったような制度趣旨を持ち出し、東京高裁判決で修正されるということは、あまりにお粗末であると言わざるを得ない。 ヤフー・IDCF事件、日本IBM事件のみならず、それ以前の武富士事件を振り返ってみても、租税回避の射程範囲はそれぞれの事件によって異なり、租税回避の射程は混沌とし始めたと言える。租税回避に対する対応を、従前の解釈論の延長線上で行うのはもはや限界にきていると言わざるを得ない。 ましてや日本IBM事件では、税務調査において十分な資料が開示されなかったことが納税者の勝訴の要因となっており、ヤフー・IDCF事件最高裁判決にあるような「組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したもの」かどうかの立証責任を国側に負わせることは、納税者の遵法精神を著しく害する結果となる。租税回避に該当するかどうかの限界値を定める必要はないし、そのようなことは不可能であるが、納税者の予測可能性を高めるとともに、課税庁としても租税回避に対応しやすい制度が望まれる。 そのため、租税法律主義を基本とする我が国の租税法の法体系からすれば、解釈論ではもはや限界であり、一般的否認規定を整備する必要があると考えられる。このような中で、財務省財務総合政策研究所が公表した「フィナンシャルレビュー(平成28年第1号)」では、BEPSと租税回避への対応についてまとめられている。立法論としての租税回避への対応が検討されている証左と言えよう。近いうちに、一般的否認規定が導入される可能性があると思われるが、その際には、解説を行いたいと考えている。   3 まとめ 本連載では、ヤフー・IDCF事件東京地裁判決、東京高裁判決をきっかけとして、実務家の立場から、包括的租税回避防止規定の射程範囲を探っていった。当初の想定よりも早く最高裁判決が公表されたことと、立法論への議論が高まっていったこともあり、やや軌道修正を行ったが、現段階の実務対応という意味では、可能な限りの解説をさせていただいたと思う。 今回で本連載は終了するが、租税回避についての研究は、学術的な分析と実務的な分析を融合させたうえで検討を行う必要がある。そのため、さらに研究を重ねたうえで、研究成果を公表できるようにしたい。 本連載が、皆さまのお役に立つことができれば幸いである。 (連載了)

#No. 210(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/03/16

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第19回】「復配の翌年度に起きやすい注記ミス」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第19回】 「復配の翌年度に起きやすい注記ミス」   公認会計士 石王丸 周夫   1 今回の事例 計算書類のドラフトにはうっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例19-1】 配当に関する注記で記載事項が不足している。 【事例19-1】は連結計算書類の連結注記表に記載される「連結株主資本等変動計算書に関する注記」の一部で、剰余金の配当に関する情報を抜き出したものです。 これ以外には、配当に関する記載はありませんでしたが、実は「不足している情報」があります。 何が足りないか、わかりますか? この注記を何度も作成したことがある方は、「あれっ?」と感じるところがあると思います。 ただし、連結株主資本等変動計算書を合わせて見なければ、断定はできないでしょう。 そこで、この会社の連結株主資本等変動計算書(一部のみ)を以下に示します。 いかがでしょうか? 注記の不足部分を考えてみてください。   2 足りなかったのはこの情報 さっそく、答えを見てみましょう。 「正解」の赤枠で囲った部分が不足部分でした。 「(1)配当金支払額」という項目です。 一般に、「剰余金の配当に関する事項」の注記には、以下のとおり、2つの事項を記載します。 〈「剰余金の配当に関する事項」の記載事項〉 【事例19-1】では、(2)の情報のみ記載し、(1)をまるまる落としてしまっていたのです。 それにしても、なぜそんなことになってしまったのでしょうか? 前年度の注記を見ながら同じように作成すれば、(1)をまるまる落としてしまうことなどなさそうですが・・・。   3 復配した次の期にミスが起こった 上に示した(1)(2)の記載事項は、どんな会社でも必ず毎期記載されるかというと、そういうわけではありません。計算書類の注記というのは、一般に、該当がなければ記載する必要はありません。配当の注記に関しても、該当がなければ記載の必要はないのです。 この場合、「該当がない」というのは、「配当がなされない」という意味です。 整理すると、以下のようになります。 〈配当の有無と注記の要否の関係(まとめ)〉 毎期継続して配当を実施している会社の場合は、パターンⅠとなります。業績が悪くなって無配になってしまった年度がパターンⅡです。そのまま無配が継続したのがパターンⅢです。その後、業績が回復して配当を再開した年度がパターンⅣです。そして、再び順調に配当を継続していけるようになった年度が、パターンⅤというわけです。 それで【事例19-1】ですが、実はこの会社、パターンⅤの年度だったのです。 したがって、前年度の注記はパターンⅣに該当し、(1)の記載はなく、(2)しか記載されていませんでした。 そのパターンをまねして今期のパターンⅤの注記を作成してしまったため、(1)の記載をまるまる落としてしまったのです。 なお、この連載の【第9回】では、パターンⅣ(復配時)の事例を使ったうっかりミスを紹介しています。そこでは前年度がパターンⅢだったことにより、(2)の注記を落としてしまったという事例でした。 このように、復配時及びその翌年度は、前の年度に記載しなかった事項を記載しなければならないため、うっかりミスが起きやすいのです。 十分に注意しましょう。   4 配当に関する注記のチェック方法 おさらいの意味で、配当に関する注記と連結株主資本等変動計算書の対応箇所を確認しておきましょう。 連結株主資本等変動計算書の「剰余金の配当」と「利益剰余金」が交わる欄に記載されている「△152」は、当連結会計年度中に会社が実施した配当の額を指しています。その金額は、連結注記表の「連結株主資本等変動計算書に関する注記」の中で、「(1)配当金支払額」という項目として記載されています。 この2つが一致すればOKです。 連結注記表の「(1)配当金支払額」の下に記載されている「(2)基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるもの」については、一般に、剰余金の配当議案と一致します。ここでは、たまたま「(1)配当金支払額」と同額の「152百万円」と記載されていますが、これは連結株主資本等変動計算書に表示されている「△152」とは関係がありませんので、注意してください。 なお、配当の議案のイメージについては、【第9回】で紹介しています。   〈今回のまとめ〉 剰余金の配当に関する注記については、連結株主資本等変動計算書と剰余金の配当議案を参照して、整合性を確認しましょう。 (了)

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#石王丸 周夫
2017/03/16
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