-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2016年下半期(7月~12月)掲載分の目次をアップしました。 2016年下半期(7月~12月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] ★ 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]
《速報解説》 金融庁、財務諸表等規則等を改正し「リスク分担型企業年金」へ対応 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月27日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成28年12月27日内閣府第66号)が公布され、次のものが改正された。 これにより、平成28年11月7日から意見募集されていたものが確定することになる。 これは、平成28年12月16日に、企業会計基準委員会が公表した「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)の改正、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第33号)などに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 財務諸表等規則及び連結財務諸表規則 2 財務諸表等規則ガイドライン及び連結財務諸表規則ガイドライン 財務諸表等規則ガイドライン8の13の2において次のように規定する。 連結財務諸表規則ガイドライン15の8の2は、「財務諸表等規則ガイドライン8の13の2の取扱いは、規則第15条の8の2に規定する確定拠出制度に関する注記について準用する。」とする。 3 パブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方 「金融庁の考え方」において、今回の改正は、企業会計基準委員会が、「確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金」に関する注記事項を実務対応報告等で規定したことを受けて行うものであり、実務対応報告等に規定されていない注記事項であっても、各企業が重要と判断した事項については、適切に記載されるべきものと考えられると述べられている。 また、次のコメントとそれに対する金融庁の考え方も述べられている。 Ⅲ 適用時期等 平成29年1月1日から施行する。 (了)
《速報解説》 金融庁 金融審議会、「市場ワーキング・グループ」報告書を公表 ~フィデューシャリー・デューティーの確立やFinTech活用への取組み等を明記~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日(ホームページ掲載日)、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(座長 神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は、「市場ワーキング・グループ報告~国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について~」(平成28年12月22日。以下「報告書」という)を公表した。 報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されることとなる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 人口減少や高齢化等が進む中、国民の厚生の増大を図っていくためには、国民の安定的な資産形成を促進していくことが重要な課題となっており、顧客本位の業務運営に関する原則の策定及びその定着を通じ、顧客と金融事業者との間で信頼関係が構築されていくことが不可欠な前提と考えられている(報告書の「おわりに」)。 報告書の構成は次のとおりである。 以下では、報告書における主な内容に焦点をあてて解説を行う。 1 顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の確立 従来型のルールベースでの対応を重ねるのではなく、プリンシプルベースのアプローチを用いることが有効であるとして、当局において、「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、金融事業者に受け入れを呼びかけ、金融事業者が、原則を踏まえて何が顧客のためになるかを真剣に考え、横並びに陥ることなく、より良い金融商品・サービスの提供を競い合うよう促していくことが適当であるとしている(第1章、1、(1))。 顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むべき事項として、次のものが述べられている(第1章、1、(2))。 「当局の役割」として、顧客本位の業務運営を実現するためには、検査・監督においても、原則の受入れ状況、策定した取組方針、当該方針に係る取組状況について、適切にモニタリングを行い、ベスト・プラクティスの実現を目指して対話していくことが重要であるとしている(第1章、2、(4))。 2 国民の安定的な資産形成におけるETFの活用と課題 ETF(上場投資信託)は国民の安定的な資産形成に向けて本来有用な投資商品と考えられるとしつつ、現状、国民の安定的な資産形成のためにETFが十分に活用されているとは言い難い状況にあるとして、取引所等の関係者における検討を求めている。 3 アルゴリズムを用いた高速取引 アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する証券会社の関与が薄まるとともに、当局や取引所も、アルゴリズム高速取引の全体像やその取引戦略等を十分に把握できているとは言えない状況にあるとし、欧米の状況も踏まえながら、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課した上で、当局がその取引実態・戦略等を確認することを可能とする枠組みを整備することが適当であるとしている。 4 取引所の業務範囲 FinTechを活用した革新的な金融サービス事業が急速に拡大しつつあり、人工知能やブロックチェーン技術等は、今後の取引所の業務にも大きな影響を与えることが考えられるとして、日本の取引所グループにおいても、そのような技術の活用等に関する先駆的な取組みが求められ、例えば、そのような技術を有する企業等への出資等も想定しておく必要があるとしている。 そのほか、国際化への対応、取引所持株会社の経営管理機能の明確化などについても述べられている。 (了)
《速報解説》 フェア・ディスクロージャー・ルール導入に向け、 金融審議会「市場ワーキング・グループ」よりタスクフォース報告書が公表 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日(ホームページ掲載日)、金融審議会「市場ワーキング・グループ」に設置された「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」(座長 黒沼悦郎早稲田大学法学学術院教授)において、「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告~投資家への公平・適時な情報開示の確保のために~」(平成28年12月7日。以下「報告書」という)がとりまとめられ、「市場ワーキング・グループ」に報告・了承されたと公表された。 報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されることとなる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 フェア・ディスクロージャー・ルール フェア・ディスクロージャー・ルールとは、公表前の内部情報を発行者が第三者に提供する場合に、当該情報が他の投資家にも提供されることを確保するルールである(報告書1)。 報告書では、各国の導入状況を踏まえ、我が国市場において、個人投資家や海外投資家を含めた投資家に対する公平かつ適時な情報開示を確保し、すべての投資家が安心して取引できるようにするため、フェア・ディスクロージャー・ルールを導入すべきであるとしている(報告書2)。 2 具体的内容 報告書では、上記のほか、公表を必要としない情報提供(第三者に伝達しない義務・投資判断に利用しない義務)、情報の公表方法(EDINET、TDnet、発行者のホームページ)などについても記載されている。 (了)
2016年12月28日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.200を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
〈平成29年1月1日施行〉 加算税見直しの再確認と留意点 【後編】 税理士 佐藤 善恵 〈2〉 短期間で繰り返された無申告又は仮装・隠ぺいに対する 加重措置の創設 (1) 改正の趣旨と改正内容 改正前の加算税の税率は、過去の「無申告や仮装・隠ぺい」行為の回数に関わらず一律とされていたので、意図的に「無申告や仮装・隠ぺい」を繰り返す者に対する牽制効果は限定的であった。 そこで、悪質な行為を防止する観点から、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたものが、再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正申告書の提出等を行った場合について、通常の加算税の税率に10%を加重する措置が導入された。 (※) 期限後申告等とは、①期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、②更正又は決定の処分、③納税の告知又は告知を受けることなくされた納付をいう。 〈まとめ〉 (※) ( )は一定額を超える無申告についての無申告加算税の割合。 (2) 改正法施行後の留意点 〈3〉 条文からみた改正ポイント 各加算税の条文について、今回の改正の影響を整理すると次のとおりである。 以下、2つの改正項目が含まれている無申告加算税(通法66)の条文構成を概観する。 (1) 国税通則法66条1項 この項は、無申告加算税の課税要件と基本税率を規定している。改正後の条文は次のとおりであり、下線部分(括弧書)が新たに加えられた。 (※) 「次の各号」とは無申告加算税が課される要件であり、2つの場合がある。1つは、期限後申告書の提出又は決定(以下「期限後申告書の提出等」という)があった場合(1号)、そして、期限後申告書の提出等があった後に修正申告書の提出又は更正があった場合(2号)である。 改正で加えられた括弧書は、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定である。すなわち、改正前は更正等を予知する前までは加算税が減免されていたが(通法66⑤)、改正後は、調査の事前通知という形式を満たせば更正等を予知する前であっても通常の加算税よりも一段階低い税率で加算税が課されることとなった。この一段階低い税率の規定が、括弧書として加えられたのである。 (2) 国税通則法66条2項・3項 2項は、無申告税額が大きい場合における加重に関する規定、3項は、2項で用いられている用語(累積納付税額)の意義について規定している。改正による直接的な影響はない。 (3) 国税通則法66条4項 改正前の旧4項は5項に繰り下がり、新設された4項は以下のとおりである。 内容は、改正で加わった〈2〉短期間で繰り返された無申告に対する加重措置である。 (4) 国税通則法66条5項 改正前の旧4項である。 (5) 国税通則法66条6項 改正前の旧5項をベースに〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定のうち、更正予知に当たらず、かつ、調査の事前通知以前であれば、改正前と同様の加算税の減額規定が適用されることの定め(下線部分)が加えられた。 (6) 国税通則法66条7項 改正前の旧6項(期限内申告をする意思があったと認められる場合の不適用)が繰り下がった上で、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置の影響が織り込まれた。 (連載了)
〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第11回】 「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」 〈その2〉 公認会計士・税理士 菊地 康夫 Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第11回目は、前回採り上げた「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」のうち、平成27年度の税制改正において創設された地方拠点強化税制による特例措置についての内容と書き方について解説することにする。 Ⅱ 概要 この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項から第3項まで(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)又は平成28年度改正前の措置法第42条の12の2第1項から第3項まで(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定(いわゆる「雇用促進税制」)の適用を受ける場合に作成する。 このうち、いわゆる本体部分については前回解説したところであるが、地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する法人は、特例措置として以下の税制優遇が受けられる。 ① 【拡充型】 地方活力向上地域で特定業務施設を整備し雇用者を増加させた場合には、特定業務施設における当期増加雇用者数1人当たり以下を税額控除(ただし法人全体の増加雇用者数が上限)。 法人全体の雇用者増加率が10%以上:50万円 法人全体の雇用者増加率が10%未満:20万円 (※) 適用年度に雇用保険一般被保険者の数を5人以上(中小企業の場合には2人以上)増加させることが必要。 ② 【移転型】 東京23区から地方活力向上地域に特定業務施設を移転して整備する場合には、拡充型の税額控除額に加え、当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり30万円の税額控除(①と併せて、1人当たり最大80万円の税額控除)。 (※) 雇用を維持していれば最大3年間継続。 [適用にあたっての注意点] 1 上記①(拡充型)による控除税額は、適用事業年度の法人税額の30%相当額から、〈その1〉で解説した本体部分の控除税額と、地方拠点建物等を取得した場合の税額控除制度(措法42の11の2、旧措法42の12)による控除税額との合計額(上記②(移転型)による控除税額は、これらと上記①(拡充型)による控除税額との合計額)を控除した残額が上限となる。 2 本拡充措置を適用するためには、確定申告書等に次の書類の添付が必要。 (1) 適用事業年度開始後2ヶ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、適用事業年度終了後2ヶ月以内に都道府県労働局又は公共職業安定所で計画の達成状況についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写し (2) 控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類 なお、以下の解説では前回の〈その1〉で解説した内容と重複する部分については極力その解説を省略しているので、必要に応じて〈その1〉も併せてお読みいただきたい。 Ⅲ 「別表6(16)」「別表6(16)付表」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 別表6(16) 〔認定地方活力向上地域特定業務施設整備計画に関する事項〕 別表6(16)付表 (了)
金融・投資商品の税務Q&A 【Q26】 「外国籍会社型投資法人の投資口について 資本の払戻しがあった場合の取扱い」 PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子 ●○ 検 討 ○● 1 資本の払戻しの取扱い 株主が法人から金銭の分配を受け取る場合、それがどういった事象によるものなのか、原資は何か等により、課税関係が異なります。 税務上、資本剰余金の減少を伴う剰余金の配当は「資本の払戻し」として取り扱われます。その場合、一部がみなし配当として取り扱われる可能性があります。 本件の資本の払戻しを伴う分配金(return of capital)が、発行会社の資本剰余金の減少を伴う場合、以下の通りみなし配当及びみなし譲渡損益が発生する可能性があります。 2 みなし配当の計算 みなし配当は、資本の払戻しにより交付を受ける金銭及び金銭以外の資産の価額の合計額のうち、資本の払戻しを行った法人(以下、「払戻法人」)の当該払戻し直前の対応資本金等の額を超える部分の金額、とされています。 すなわち、みなし配当の金額は、簡易な式にすると以下のように計算されます。 (注) 前期末から当該資本の払戻しの直前の時までの間に税務上の資本金等の増減がある場合にはその金額を加減算した金額 なお、資本の払戻しを行う法人は、投資家に対して上記割合を通知する義務を負います。 3 みなし譲渡損益の計算 資本の払戻し金額のうち、みなし配当とされる金額以外は、株式に係る譲渡収入として取り扱われます。 投資家は譲渡損益を計算するために譲渡原価を計算しなければなりません。資本の払戻しの際の譲渡原価は以下の通り計算されます。 4 みなし配当及びみなし譲渡損益の課税関係 本件の投資口は上場投資法人の投資口であり、上場株式等に該当します。 ① みなし配当 みなし配当については配当所得として取り扱われます。国外発行の上場株式の配当を国内における支払の取扱者経由で受け取る場合、配当について支払の取扱者による源泉徴収がなされます。税率は、配当の20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。配当の金額にかかわらず、源泉徴収で課税関係を完結することができます。その場合、上場株式等に係る一定の譲渡損との損益通算の適用を行うことはできません。 また、申告をすることも可能です。申告する場合は、選択により、上場株式等の配当所得等として申告分離課税20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)、又は総合課税が適用されます。申告分離課税を選択した場合、上場株式等に係る一定の譲渡損との損益通算等が可能です。 ② 譲渡損益 上場株式等の譲渡所得等の金額とされる金額については、他の所得と区分し、申告分離課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。上場株式等の配当所得との損益通算や3年間の損失繰越の適用も可能です。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第43回】 「継続的取引の基本となる契約書⑤(産業廃棄物処理に係る契約書)」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は産業廃棄物処理業者です。産業廃棄物処理の場合、収集、運搬から処分に関する契約の形態によって印紙税の該当する所属が違うとのことですが、どのような取扱いになりますか。 産業廃棄物処理の場合、契約の形態により、第1号の4文書(運送に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に分類される。 1 産業廃棄物収集・運搬委託契約(個別契約) 産業廃棄物の処理依頼者と収集・運搬業者との間で、産業廃棄物を排出場所から収集し処分場所へ運搬することを約する契約は、第1号の4文書に該当する(産業廃棄物の収集は運搬に付随するものであり、請負契約ではなく、全体が運送契約に該当する)。 2 産業廃棄物処分委託契約(個別契約) 産業廃棄物の処理依頼者と処分業者との間で、産業廃棄物を処分することを約する契約は、第2号文書に該当する。 3 産業廃棄物収集・運搬及び処分委託契約(個別契約) ① 収集・運搬及び処分業者が同一の場合 産業廃棄物の収集・運搬及び処分までの一連の作業を請け負う契約の場合は、原則として第2号文書に該当する。 ただし、収集・運搬と処分に係る金額が明確に区分されている場合には、収集・運搬と処分に係る契約は別の契約として、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、第1号の4文書か第2号文書のいずれか一方に該当する。 〈通則3のロによる所属の決定〉 ② 収集・運搬と処分業者が別の場合 産業廃棄物を収集し、処分場所へ運搬する契約と処分をする契約が併せて記載されている三者契約は、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、契約金額の大きい方の号に該当する。 4 産業廃棄物収集・運搬及び処分に関する契約(基本契約) 産業廃棄物に係る契約は上記1から3のとおり、収集・運搬及び処分等の内容によって、第1号の4文書又は第2号文書に該当することとなるが、収集・運搬及び処分に関する2以上の取引を継続して行うために作成される契約書で、2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法等を定める文書は、第7号文書にも該当する(ただし、上記の場合であっても、営業者間以外の契約である場合、契約期間が3ヶ月以内で、更新の定めがあるものは第7号文書からは除かれる)。 この場合、通則3のイの規定により、記載金額があるかないかで、所属が判断される。 〈通則3のイによる所属の決定〉 [検討] 契約金額(記載金額) 記載金額については、契約書に記載されている排出予定数量に収集・運搬及び処分契約単価を乗じて算出した金額が記載金額となる。なお、予定数量等が記載されている文書の記載金額の計算は以下のとおり。 (例1) 記載された契約金額等が予定である場合 排出予定(概算)数量・・・100㎡ 処分契約単価・・・ごみガラ1㎡あたり25,000円 100㎥×25,000円=250万円 ⇒ 予定(概算数量)が記載金額となる。 (例2) 記載された契約金額が最低数量又は最高金額の場合 最低排出金額50万円 ⇒ 記載金額50万円 最高排出金額100万円 ⇒ 記載金額100万円 ▷ まとめ (了)
被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(法人税・消費税)のアドバイス〕 【第7回】 「大規模災害時の特例措置(その2)」 ~固定資産に関連する特例~ 公認会計士・税理士 新名 貴則 【第6回】においては、災害損失特別勘定について解説した。【第7回】においては、その他の固定資産に関連する特例について解説する。ここで解説する各項目は、以下の法令又は通達に基づいて解説していく。 これらの特例は、あくまで過去の熊本地震や東日本大震災のときに設定されたものであって、今後の災害発生時に設定される特例も全く同じ内容になるとは限らない。しかし、同様の内容となることが予想されるため、参考にしていただきたい。 1 損壊した賃借資産等の修繕費の損金算入 通常、賃貸資産の修繕は賃貸人の負担で行うことになる。しかし、大規模災害時には賃貸人による修繕がすぐには行われず、やむを得ず賃借人が修繕を行い、その費用を賃貸人から回収できるかわからないような場合も考えられる。 そこで、法人が次のような費用を修繕費として経理した場合、損金算入を認めることとされている。ただし、災害損失特別勘定の繰入対象にはならず、実際に修繕を行った事業年度の損金に算入される。 賃借資産(賃借している土地、建物、機械装置等)が被災し、補修義務はないが当該資産の原状回復のための補修を行ったその費用 販売した資産又は賃貸している資産が被災し、補修義務はないが当該資産の原状回復のための補修を行ったその費用 賃貸人から上記の費用に相当する支払を受けた場合は、その支払を受けた事業年度の益金に算入する。 2 被災者用仮設住宅の設置費用の損金算入 被災した役員や従業員のために、法人が仮設住宅用資材を取得又は賃借して仮設住宅を設置した場合、その組立・設置に要した金額を、居住の用に供した事業年度等の費用として経理した場合、損金算入を認めることとされている。 法人が設置した仮設住宅の一部を、自己の従業員等以外の被災者の居住の用に供した場合も、同様の取扱いとなる。 取得した仮設住宅資材を反復使用する場合は、通常の償却を行うことになる。しかし、仮設住宅のためにのみ使用する場合は、その見積使用期間を基礎として償却することができる。ただし、取得価額から処分見込価額を控除した金額を基礎として償却を行う。 3 被災により代替取得した資産の特別償却 大規模災害により固定資産が被害を受け事業の用に供することができなくなり、一定の期間内に代替資産等を取得して事業の用に供した場合、当該資産について通常の減価償却に加えて特別償却を行うことができる。この適用を受けるためには、確定申告書等に特別償却の償却限度額の計算に関する明細書の添付が必要となる。 この制度の対象となる代替資産等には、次の資産が含まれるが、いずれも中古ではなく新品であることが必要である。 (※1) 東日本大震災に係る震災特例法の成立当初は航空機も対象に含まれていた。 (※2) 被災区域とは次の区域のことをいう。 災害に起因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物又は構築物の敷地 上記の建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設(工場の守衛所や駐車場等)の用に供されていた土地の区域 (※3) 付随区域とは被災区域である土地と一団をなす土地で、当該被災区域である土地の使用に伴って一体的に使用されるものをいう。例えば、建物を建築する場合において、当該被災区域である土地とともにその建物の敷地の用に供される土地などである。 4 特定資産の買換えの場合の課税の特例 ① 特例の概要 大規模災害の発生に際して固定資産の買換えを行う場合、一定の要件を満たす場合は圧縮記帳が認められる。具体的には、次の買換えに該当する場合である。 (※) 東日本大震災に係る震災特例法の成立当初は「国内にある土地又は国内にある事業の用に供される減価償却資産」とされていた。 特例制度の対象期間内に上記に該当する資産の譲渡を行い、その譲渡日を含む事業年度において上記に該当する買換資産の取得を行い、その取得日から1年以内に事業の用に供した場合、下記の圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳ができる。 ▷ 圧縮基礎取得価額(次の(ⅰ)(ⅱ)のうちいずれか少ない金額) (ⅰ) 買換資産の取得価額 (ⅱ) 譲渡資産の対価の額 ▷ 差益割合 この特例制度の適用を受けるためには、確定申告書等に損金算入に関する申告の記載をし、かつ、その損金算入額の計算に関する明細書等を添付する必要がある。 ② 先行取得の場合 資産の譲渡に先立って買換資産を取得した場合でも、一定の場合にはこの特例の適用が認められる。このとき、資産を取得した事業年度の末日の翌日から2ヶ月以内に、所轄税務署長へ「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を提出する必要がある。 ③ 特別勘定を設けた場合の期限 特別勘定を設ける方法により経理した場合は、譲渡をした事業年度の末日の翌日から1年を経過するまでの期間(やむを得ない事情がある場合に、所轄税務署長の承認を受けた場合は、同日後2年以内において当該税務署長が認定した日までの期間)内の取得であっても、特例の適用を受けることができる。 5 圧縮記帳における代替資産等の取得期間の延長 収用等や特定資産の買換えの場合の圧縮記帳において、災害発生前に特別勘定を設定しており、期間内に買換資産等を取得する予定であったが、大規模災害の発生により期間内での取得が困難になった場合、一定の要件を満たせば2年以内の範囲で期間を延長できる。 (了)