フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第33回】 「退職給付引当金(複数事業主制度)」 仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋 【はじめに】 今回は、退職給付引当金(複数事業主制度)の会計処理について解説する。 連合設立型厚生年金基金、総合設立型厚生年金基金及び共同で設立された確定給付企業年金制度などが複数事業主制度に該当する(企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という)」118)。 なお、本フロー・チャートでは、複数事業主制度からの脱退、移行、解散については解説していない。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 複数事業主制度の場合、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができるか、できないかにより会計処理が異なる(企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準(以下、「基準」という)」33)ため、まず、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができるか、できないかを検討する。 複数事業主制度において、「自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない」場合とは、複数事業主制度において、事業主ごとに未償却過去勤務債務に係る掛金率(※)や掛金負担割合等の定めがなく、掛金が一律に決められている場合(適用指針64)をいう。 これは、年金基金の規程等で確認することができる。 (※) 未償却過去勤務債務に係る掛金率の定めがあるかどうかとは、事業所脱退時の未償却過去勤務債務の清算を指しているのではなく、過去勤務債務の償却のために必要な掛金(厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度では特別掛金という)に負担区分等がなく、一律的に適用されている掛金率であるかどうかということである(適用指針120)。 上記に該当する場合であっても、親会社等の特定の事業主に属する従業員に係る給付等が制度全体の中で著しく大きな割合を占めているときは、当該親会社等の財務諸表上、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合にはあたらない(適用指針64)。 なお、総合設立型の場合には、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合が多い(適用指針120)。 上記の検討の結果、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができる場合、【STEP2】を検討する。できない場合は、【STEP3】を検討する。 自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できる場合、自社に帰属する年金資産を計算する。 自社の負担に属する年金資産等の計算を行うときの合理的な基準としては、以下に例示する額について、制度全体に占める各事業主に係る比率によって計算することができる(適用指針63)。 上記以外については、退職給付引当金(原則法)と同様である。退職給付引当金(原則法)については、本連載【第14回】「退職給付引当金(原則法)」を参照されたい。 また、下記の検討は不要である。 自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合、要拠出額を退職給付費用として計上する(基準33(2)、31、32)。また、未拠出の額がある場合、未払金として計上する(基準33(2)、32)。 【会計処理】 上記の会計処理のとおり、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合、退職給付引当金は計上されない。 以下の注記が必要となる(基準33(2)、32、30、適用指針65)。 なお、(3)については、重要性が乏しい場合には当該注記を省略できる(適用指針65)。 (上記の注記は、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない複数事業主制度に関する注記のみ記載している。) (3)の「年金制度全体の直近の積立状況等」とは、年金制度全体の直近の積立状況等(年金資産の額、年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額及びその差引額)及び年金制度全体の掛金等に占める自社の割合並びにこれらに関する補足説明をいう(適用指針65)。 「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」とは、厚生年金基金の場合は両者の合計額であり、確定給付企業年金の場合は代行部分の給付がないことから、年金財政計算上の数理債務の額のみとなる。また、年金財政計算上の数理債務の額は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表には表示されず、欄外に注記されているため、注記の額を計算するにあたっては、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている「数理債務」の額と貸借対照表に表示されている「最低責任準備金」(負債)の額に基づき注記する。なお、注記対象が確定給付企業年金のみの場合には、注記において使用する名称を「年金財政計算上の数理債務の額」とする(適用指針126-2)。 「年金制度全体の直近の積立状況等」は、必ずしも貸借対照表日(期末日)時点の数値を入手することができないため、入手可能な直近時点の数値により注記することになる(適用指針125)。通常、貸借対照表日(期末日)時点よりも1年程度前の時点の数値を注記することになると考えられる。 また、「年金制度全体の掛金等に占める自社の割合」についても入手可能な直近時点の数値により注記することになる。 入手した数値の時点が貸借対照表日と一致しない場合、注記上、これを明示する必要がある(適用指針[開示例3]) 補足説明の例としては、以下が挙げられる(適用指針[開示例3])。 具体的な注記例としては、適用指針[開示例3]を参照されたい。 なお、計算書類では上記のような注記は必ずしも求められていない。 * * * 以上、4つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)
ストック・オプション会計を学ぶ 【第6回】 「公正な評価単価」 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 今回は、「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号。以下「ストック・オプション会計基準」という)及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第11号。以下「ストック・オプション適用指針」という)にしたがって、公正な評価単価について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公正な評価単価 1 概要 【第4回】で解説したように、ストック・オプション会計基準は、権利確定日以前の会計処理として、ストック・オプションの公正な評価額を、対象勤務期間にわたって費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使又は失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に、新株予約権として計上すると規定している(ストック・オプション会計基準4項)。 ストック・オプションの公正な評価額は、公正な評価単価にストック・オプション数を乗じて算定する(ストック・オプション会計基準5項)ことから、公正な評価単価の算定がポイントとなる。 2 公正な評価単価の算定技法 ストック・オプションは、通常、市場価格を観察することができないため、株式オプションの合理的な価額の見積りに広く受け入れられている算定技法を利用することとなる。 利用に際しては、次のことに注意する(ストック・オプション会計基準6項(2)、ストック・オプション適用指針39項)。 ストック・オプション適用指針は、公正な評価単価の算定方法について次のように規定している(ストック・オプション適用指針5項~7項)。 3 株式オプション価格算定モデル 「株式オプション価格算定モデル」とは、ストック・オプションの市場取引において、一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積るためのモデルであり、市場関係者の間で広く受け入れられているものをいう。例えば、ブラック・ショールズ式や二項モデル等が考えられている(ストック・オプション会計基準48項)。 ストック・オプション適用指針は、株式オプション価格算定モデルについて次のように説明している(ストック・オプション適用指針2項)。 4 算定技法の変更 算定技法の変更が認められるのは、原則として、次の場合に限られるとし、以下のような合理的な理由がない場合に、みだりに算定技法の変更を行うことは認められないと考えられている(ストック・オプション適用指針8項、42項)。 (了)
家族信託による 新しい相続・資産承継対策 【第5回】 「家族信託と成年後見制度との違い」 弁護士 荒木 俊和 1 はじめに 財産を保有している本人が、認知症等により意思能力(法律的な判断をする能力)がなくなってしまった場合、本人が財産を売ったり、贈与したり、遺言書を書いたりするなどの法律行為を行うことができなくなってしまう。 このような場合、本人以外が本人のために法律行為を行うことが求められる場合があるが、それを実現するための制度として「家族信託」と「成年後見制度」がある。 本稿ではこの異同を取り上げたい。 2 意思能力がなくなった場合の問題点 まず、本人に意思能力がなくなった場合、以下のような問題が発生する恐れがある。 (1) 不動産の管理・処分の問題 本人が不動産を所有している場合、その不動産の管理を継続したり、売却、贈与等の処分を行ったりすることができなくなってしまうという問題がある。 この問題は、本人が高齢者施設に入所する際に自宅不動産をそのままにしておくことで発生することが多く、空き家の増加問題につながっている部分がある。 また、本人が収益物件を所有している場合には、物件価値が高く、かつ、賃借人管理もできなくなるため、自宅不動産に比べて問題がより大きくなる場合がある。 (2) 会社経営・事業承継の問題 本人が会社のオーナー社長であり、自社株の多くを保有している場合、意思能力がなくなると会社運営が不可能になってしまうという問題がある。 すなわち、本人が会社の代表者として対外的、対内的な法律行為ができなくなるうえ、株主権を行使できなくなることから、役員改選の決議も行えなくなってしまうことになる。 本人が事業承継を進めていた場合であっても、事業承継の完了までは数年単位での時間を要することが通常であり、その途中で意思能力を失うことによって事業承継の計画が頓挫してしまうおそれがある。 (3) 遺産分割協議の問題 本人が相続人となる場合、他の相続人との遺産分割協議に参加することが必要であるが、意思能力を失っている場合であれば遺産分割協議に参加することができない。 これにより、預貯金の解約ができなかったり、不動産の相続登記ができなかったりするなどの問題が発生する。 相続人のうち1人でも意思能力がなければ遺産分割協議が成立しないことから、高齢者が死亡し兄弟が相続人になるような場合には、この問題が起こる可能性が高いといえる。 3 成年後見制度の概要 次に、成年後見制度の概要を紹介する。 (1) 概要 成年後見制度とは、認知症等により意思能力を欠くような状態になった人を保護するための制度であり、本人に代わって後見人が法律行為を行い、また(法定後見の場合は)本人が行った不利益な法律行為を後見人が取り消すことを認める制度である。 成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」がある。 成年後見制度は平成12年から導入されたが、成年後見制度(成年後見、保佐、補助及び任意後見を含む)の利用者数は年々増加しており、平成27年12月末時点で19万人を超えるものとされている。 (2) 法定後見制度 法定後見制度は、本人が意思能力を欠くような状態になった場合に、本人、配偶者又は四親等内の親族等が裁判所に後見開始の審判を申し立てることによって、成年後見人が選任される制度である。 この場合、成年後見人に選任される者としては、親族と第三者(弁護士、司法書士又は社会福祉士等)とに分けられるが、親族が選任される割合は年々低下しており平成27年の実績で全体の約29.9%、第三者の割合が約70.1%にまで高まっている。 これは、昨今、親族成年後見人による横領等の問題行動が多く認められており、裁判所の審査の中で、成年後見人としての資質が厳しく見られるようになったことによるものといえよう。 法定後見の場合、成年後見人には裁判所への本人の財産状況等の定期報告義務がある他、自宅不動産の処分の制限等があるが、基本的には成年後見人の判断で包括的に本人の財産の管理・処分が行われる仕組みである。 ただし、成年後見制度の趣旨は「本人の財産保護」に重きを置いていることから、積極的な財産の運用を行うことは不適当であると解されている。 (3) 任意後見制度 任意後見制度は、本人の意思能力がある間に、本人と任意後見受任者との間で公正証書により任意後見契約を結んでおき、本人の意思能力の低下が認められた場合に、家庭裁判所に対して任意後見監督人選任の申立てを行うことで、任意後見契約の効果を発生させる制度である。 任意後見契約の効果が発生することにより、任意後見受任者が本人の任意後見人となり、任意後見監督人の監督の下で、本人に代わって法律行為を行うことになる。 法定後見と異なる任意後見の特徴としては、任意後見契約を締結する時点において本人に意思能力が必要である点、任意後見契約の内容に本人の財産管理に対する希望を含めることができる点、任意の後見人を選任できる点(ただし、任意後見監督人は必ずしも任意に選任できない)、任意後見人には同意権・取消権が認められていない点が挙げられる。 4 家族信託と成年後見制度との比較 上記を踏まえ、家族信託と成年後見制度を比較すると、次のような異同がある。 (1) 手続の流れ 家族信託の場合、基本的に委託者と受託者との間で信託契約を締結することで手続は完結する(ただし、不動産を対象とする場合には信託の登記を行う必要がある)。 家族信託の場合には信託契約の締結のみという簡素さがある反面、自由度が高いため、信託契約を効果的なものにするためにスキームを作り込む必要がある。 成年後見制度の場合、成年後見人選任の申立て又は成年後見監督人選任の申立てという手続がある。これらの手続は家庭裁判所に対して行うものであるため、家庭裁判所での処理状況次第で数ヶ月単位での時間を要することがある。 また、成年後見人候補者や成年後見監督人候補者を指定して申し立てたとしても、裁判所の判断でそれと異なる者が選任されることがあり、必ずしも本人の希望通りに進まないことがある。 (2) 裁判所の監督 家族信託の場合、委託者と受託者との間の契約関係であるため、裁判所が信託を監督するようなことはない。 また、基本的にはどのような財産でも信託することができ、信託契約においてその管理・処分の方法を指定することができ、公序良俗に反するようなことがない限り制限を受けない。 ただし、裁判所による監督がない反面、受託者に対する監督が不十分となる恐れがあるため、受託者を真に信頼できる者にすることや、受託者を監督する立場に立つ信託監督人を選任しておくなどの対応が必要な場合がある。 一方、成年後見制度の場合、本人の財産保護の要請から、裁判所が成年後見人の行為を監督することとなっている。 裁判所の成年後見人に対する監督処分として、①報告の徴求、②必要な処分の命令、③解任を行うことができるものとされている。 このため、成年後見制度においては、成年後見人による自由裁量によって本人の財産の管理・処分が行えるものではない。 (3) 効果 家族信託の場合、基本的には信託契約の締結時から効果を発生させることとなる。 これにより委託者は、即座に財産管理の煩から解放されることになる。 また、委託者(又は受益者)の死亡によっても信託を終了させないという選択ができることから、死後の財産管理にも活用することができる。 これに対し、成年後見制度の場合は、効果が発生するのは本人が意思能力を欠く状態になり、かつ、家庭裁判所による審判がなされた時点からであるため、本人の意思能力がある間は、財産を管理する者との間で財産管理委任契約を結んでおかなければならない。 また、成年後見人は本人の死後、相続人に対して財産を引き継ぎ、計算の報告を行った時点で任務が終了するため、死後の財産管理を行うことはできない。 (4) 費用 家族信託の場合には、基本的に費用はかからない。 ただし、信託契約書の作成にあたっては専門家の意見を求め、ドラフト作業を依頼する必要があることから、専門家に対する費用は必要と考えられる(専門家の費用には、統一的な基準は存在しないが、事案の複雑性等により高額になる場合がある)。 また、信託監督人を置く場合で、専門家に依頼する場合には信託監督人報酬を必要とすることがある。 成年後見制度を利用する場合、裁判所への申立て費用は数千円程度であるが、本人の意思能力に関して鑑定が必要とされた場合には、鑑定費用として数万円から10万円程度を要するとされている。 また、成年後見人又は任意後見監督人に専門家が選任された場合、本人の財産から報酬として1ヶ月あたり1万円から3万円程度(事務の内容によってはこれより上がることもある)が支出されることになる(通常は本人の死亡まで継続的に発生する)。 この他、専門家に申立書の作成を依頼する場合の報酬や、任意後見契約に係る公証人の手数料も別途必要となる。 以上のことから、単純比較はできないものの、家族信託では、専門家に依頼した場合の初期費用がある程度かかるが継続費用はあまりかからないのに対し、成年後見制度を利用した場合には、初期費用は安くとも総額では意外と費用がかさむことがある。 (了)
《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成28年4月~6月)」 ~注目事例の紹介(重加算税の賦課決定処分を中心に)~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 国税不服審判所は、平成28年12月15日、「平成28年4月から6月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加されたのは表のとおり、全16件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部が取り消された事例が12件、棄却された事例が4件となっている。税法・税目としては、国税通則法6件、所得税法4件、相続税法及び登録免許税法が各2件、法人税法及び国税徴収法が各1件であった。 【表:公表裁決事例平成28年4月~6月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された16件の裁決事例のうち、重加算税に関する不服審判所の考え方が示された上記②から⑥の5件の裁決事例から、不服審判所が、原処分庁の課税処分の一部又は全部を取り消したポイントを中心に紹介したい。 以下においては、審判所の判断について、「重加算税の賦課決定処分の要件」と「事例への当てはめ」という形で、全体の構成を統一しており、同時に、論点を簡素化するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。 1 重加算税(隠ぺい、仮装の認定 認めた事例)・・・② ◆相続財産である現金を申告しなかった事例 ⇒ 重加算税の賦課決定処分を認める (1) 争点 争点は、現金の申告漏れについて、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」が認められるか否かである。 (2) 審判所の判断 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、以下の理由から、請求人の行為を「隠ぺい」と認め、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を適法であると結論づけた。 なお、前掲表中、本事例は「一部取消し」に分類されているが、これは過少申告加算税計算の基礎となるべき税額について、一部取消しがあったものであり、重加算税の賦課決定処分については、棄却されている。 2 重加算税(隠ぺい、仮装の意図)・・・③ ◆生命保険金、生命保険契約に関する権利の申告漏れ ⇒ 重加算税の賦課決定処分を取り消す (1) 争点 争点は、請求人が、課税要件事実を隠ぺい、仮装し、その隠ぺい、仮装したところに基づき過少申告をしたと認められるか否かである。 (2) 審判所の判断 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、以下の理由から、請求人の行為を「隠ぺい」とは認めず、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を取り消す判断をした。 3 重加算税(隠ぺい、仮装の意図)・・・④ ◆死亡保険金の一部の申告漏れ ⇒ 重加算税の賦課決定処分を取り消す (1) 争点 争点は、請求人が本件各無申告保険金を本件当初申告の対象に含めなかったことは、課税要件事実を隠ぺい、仮装したところに基づく過少申告であるか否かである。 (2) 審判所の判断 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、以下の理由から、請求人の行為を「隠ぺい」とは認めず、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を取り消す判断をした。 4 重加算税(隠ぺい、仮装の認定 認めなかった事例)・・・⑤ ◆太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装 ⇒ 重加算税の賦課決定処分を取り消す (1) 争点 争点は、請求人が、本件太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したか否かである。 (2) 審判所の判断 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、以下の理由から、請求人の行為を「隠ぺい」とは認めず、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を取り消す判断をした。 5 重加算税(隠ぺい、仮装の認定 認めなかった事例)・・・⑥ ◆被相続人名義の預金口座の一部申告漏れ ⇒ 重加算税の賦課決定処分を取り消す (1) 争点 争点は、請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、通則法第68条第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすか否かである。 (2) 審判所の判断 審判所はまず、重加算税を課するための要件として、次のように述べた。 そのうえで、以下の理由から、請求人の行為を「隠ぺい」とは認めず、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を取り消す判断をした。 (了)
《速報解説》 「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」、意見募集を経て正式公表 ~監査証拠がイメージ文書の場合などのリスク・留意点を示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月26日、日本公認会計士協会は、「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」(IT委員会研究報告第50号)を公表した。 IT委員会研究報告第50号は、平成27年及び平成28年の電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(以下「電子帳簿保存法施行規則」という)等の改正によるスキャナ保存制度の緩和の内容を周知し、企業がスキャナ保存制度を採用している場合の監査上の対応について述べている。 これにより、平成28年9月26日から意見募集していた公開草案が確定することになる。なお、公開草案に寄せられた主なコメントの概要及び対応も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 電子保存とは、当初から電磁的記録で作成された文書を電磁的記録で保存すること及び書面で作成された書類をスキャナでイメージ化し、電磁的記録で保存することの両方を含んでいる(Ⅰ、1)。 1 平成27年度税制改正後のスキャナ保存制度 平成27年度税制改正及び平成28年度税制改正の概要について述べている(「付録2:平成27年度・28年度税制改正の詳細」も参照)。 平成28年の電子帳簿保存法施行規則の改正によりスキャナ保存における入力機器は、「原稿台と一体になったものに限る」という要件が外されたことから、ハンディスキャナやデジタルカメラ、スマートフォン搭載の約388万画素以上のカメラによる撮影データによる電子データ化も認められることになった。 2 監査証拠がイメージ文書の場合の留意点 スキャナ保存制度により、企業は当初書面で受け取った証憑についても、電子的イメージとして保存できるようになる。 書面からイメージ文書への媒体の変換は、企業の管理下において実施されるので、会計記録や監査証拠が、オリジナルな形を変えることとなり、そこに種々のリスクが想定される(Ⅲ)。 監査人は、スキャナ保存制度の導入による被監査会社におけるリスクの発生及びそれに対応した内部統制の変化に留意するとともに、監査証拠の質の変化に伴う発見リスクの変動にも留意する(Ⅲ)。 3 経営者による内部統制の構築 書面からイメージ文書への媒体の変換により、紙の文書に比べて保存場所を取らないため保管コストが低減されるなどの利点がある。 その一方で、例えば、改竄やすり替えなどの不正行為の痕跡が残らない可能性、システム障害などにより文書が消失する可能性などのリスクがある(Ⅲ、1(1))。 経営者は、これらのリスクを低減する適切な内部統制を構築することにより対応することが述べられており、全般統制、業務処理統制等の整備・運用について詳細に述べられている(Ⅲ、1(2))。 4 監査人の対応 重要な業務処理に関するプロセスにおいてスキャナ保存手続が採用されている場合、スキャナ保存手続に関する全般統制及び業務処理統制について理解し、その整備・運用状況の有効性を評価することが考えられる(Ⅲ、2)。 被監査会社におけるリスク及びそれに対応して構築された内部統制を前提にして、監査人が実施する監査手続について述べられている(Ⅲ、2)。 IT委員会研究報告第50号では、「データ提供依頼書の例」を示し、監査人は、企業とイメージ文書入手の手続等をあらかじめ決定しておくことが望ましいとしている(Ⅲ、4(3)、【図表2】データ提供依頼書の例)。 5 原本の保存に関する被監査会社との協議 自主規制・業務本部 平成27年審理通達第3号「平成27年度税制改正における国税関係書類に係るスキャナ保存制度見直しに伴う監査人の留意事項」(平成27年9月30日)では、「監査上必要と判断される金額以上の契約書など、重要な監査証拠となり得る書類の原本を、監査に必要な期間、保存することの必要性に関して、被監査会社と事前に十分協議することが適切と考えられる。」とされている。 被監査会社との事前の協議事項のポイントとして、次の事項が挙げられている(Ⅲ、3)。 6 IT委員会研究報告第30号の廃止 前述のとおり、平成28年12月26日付けで「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」(IT委員会研究報告第50号)が公表されたことから、「e-文書法への対応と監査上の留意点」(IT委員会研究報告第30号)は、同日付けで廃止されている。 (了)
《速報解説》 会計士協会、改正「公益法人会計基準に関する実務指針」を公表 ~過年度遡及や資産除去債務会計基準等適用にあたり留意事項を示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日、日本公認会計士協会は「公益法人会計基準に関する実務指針」(非営利法人委員会実務指針第38号)の改正を公表した。 これは、内閣府公益認定等委員会の下に設置された公益法人の会計に関する研究会から公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日)及び内閣府公益認定等委員会から公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(平成28年3月23日)に対応するものであり、Q&A方式により記載されている。 これにより、平成28年10月13日から意見募集していた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表されており、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号。「過年度遡及会計基準」という)に関連するコメントが多く寄せられている。 なお、監査上の取扱いについては、平成28年9月27日に、「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」(非営利法人委員会実務指針第34号)が公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 過年度遡及会計基準関係 「過年度遡及会計基準」の適用について、Q5及びQ6に記載されている。 公益法人では、原則として、過年度遡及会計基準に準拠することになるが、未適用の会計基準等に関する注記は、会社計算規則98条「注記表の区分」で特に記載が求められていないことから、当該注記を行うかどうかは各法人の任意と考えられている(Q5)。 また、Q6において、設例を用いて、会計方針の変更、表示方法の変更、会計上の見積りの変更、減価償却方法の変更、過去の誤謬の訂正が説明されている。 2 金融商品会計関係(開示) 「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。「金融商品会計基準」という)40-2項における時価の開示について、Q29及びQ30に記載されている。 Q29では、「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(平成28年3月23日)の記載を用いて、開示すべき金融商品の範囲を金融商品会計基準で規定するすべての金融商品を対象とするのではなく、株式その他の出資証券及び公社債等の有価証券並びにデリバティブ取引(先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引)等の法人の資産運用を図る手段として用いられる金融商品に限定していることが述べられている。 また、当該金融資産の運用次第では、公益目的事業の安定的な持続可能性に影響を与えるなど、法人運営に相当のリスクをもたらすおそれがあると法人が判断した場合に注記することとすべきであるとされているが、それ以外の場合であっても法人が自主的に注記を行うことは妨げられないことについて述べられている。 Q30では、「金融商品の状況に関する事項」の財務諸表における開示例が示されている。 3 資産除去債務関係 Q49では、公益法人における資産除去債務の会計処理上の留意点が述べられている。 資産計上された資産除去債務に対応する除去費用に係る費用配分額及び時の経過による資産除去債務の調整額は、当該資産除去債務に関連する有形固定資産の減価償却費と同じ区分に含めて事業費又は管理費に計上することになる。 資産除去債務の発生時に当該債務を合理的に見積もることができない場合についても述べられているが、例えばとして、建物を期限の定めなく公益目的事業に使用してほしいということで寄付を受けているが、当該保有に関する制約が寄付者等からいつ解除されるか明確ではない、すなわち資産除去債務の履行時期が寄付者等から明示されていないことだけをもって、ただちにその金額を見積もれない理由となるものではないことに留意するとし、このような場合には、当該資産に適用している耐用年数等から撤去時期を合理的に見積もることができないか慎重に検討する必要があるとしている。 4 賃貸等不動産関係 Q50からQ53までにおいて、公益法人における賃貸等不動産について述べられている。 基本的に「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第20号)等に従って記載されているが、公益法人に関する留意点についても述べられている。 Ⅲ 適用時期等 平成28年4月1日から開始する事業年度から適用する。 ただし、同日前に開始する事業年度から適用することを妨げない。 (了)
《速報解説》 株式保有特定会社の判定基準に新株予約権付社債を追加、 保有状況如何では評価額が高くなるケースも ~平成29年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 八代醍 和也 平成28年12月8日に与党から公表され22日に閣議決定された「平成29年度税制改正大綱」では、資産税に関する種々の改正案が示されているが、その中でも取引相場のない株式の評価に関しては、既報の「類似業種比準方式の見直し」(下記拙稿を参照)に加え、株式保有特定会社の判定基準にも見直しが行われており、こちらも会社によっては不利な影響及ぼす可能性がある見直しとなっている。 以下、その内容について解説を行う。 なお、文中の意見に関する部分については筆者の私見であることを申し添える。 1 概要 今般の見直しのポイントを整理すると、以下のとおりとなる。 2 見直しの影響 株式保有特定会社(いわゆる「株特」)は株式等の価額の割合が全資産の50%以上である会社で、会社の規模に関係なく純資産価額方式で評価され、類似業種比準方式の場合と比べて、一般的には高い金額で評価されることとなる。 この判定にあたり、新株予約権付社債はこれまで除外されてきたのであるが、改正案では、新株予約権付社債は株価と連動して価額が形成されるものであることから、これを含めて判定を行うこととされた。 しかしながら、新株予約権付社債を判定対象に加えることにより、株式に代えて他の資産を保有することにより、株式保有特定会社と判定されることを免れ、類似業種比準方式で評価しようとする「株特はずし」に一定の歯止めをかけたというところが実際の本音のようである。 いずれにせよ、株式とその性質が共通する新株予約権付社債についても同様の取扱いをするというのは、納税者不利とはいえ、ある程度納得感のある改正案であると筆者は評価している。 現行と改正案におけるそれぞれの判定式は下表のとおりとなる。 (表1) 株式保有特定会社の判定式 この結果、新株予約権付社債を保有している会社においては、「株式」に「新株予約権付社債」を加えた割合が全資産の50%を超えた場合には、株式保有特定会社と判定されることになる。 上記を例示すると、下図のとおりとなる。 (図1) 株式保有特定会社の判定の見直し(数値は仮のもの) 3 改正案への対応 今般の見直しはとりもなおさず、株式保有特定会社と判定される会社の範囲を広げるものであり、納税者にとっては不利影響を及ぼすものである。 改正案への対応策としては、短期的なものと中長期的なものとの2つに整理できると考える。 ① 向こう2年程度での株式譲渡を検討している場合 新株予約権付社債を保有しており、かつ、全資産に占める株式の割合が相当程度高い評価会社の株式について向こう2年程度での譲渡を検討している場合、まずは改正案における判定結果において、その評価会社が株式保有特定会社に該当するかどうかの検討を行う必要がある。 その上で該当する場合には、適用開始前の株式譲渡についても検討する必要が生じよう。 改正案が「平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用」されることになるため、なるべく早い時期での検討を行いたいところである。 ② 中長期的に資産構成を見直す必要も また、短期的には株式譲渡の予定がない場合であっても、新株予約権付社債を保有している評価会社については、その他の株式割合が相当に低い場合を除いては、合理的な範囲で他の資産への組替えを行っていき、会社のバランスシート上の資産の部の構成を段階的に見直していくことを検討すべきである。 こちらも株式譲渡の直前になってしまってから慌てて対策を講じたり、「株特はずし」を行って株式保有特定会社でなくなった後、直ちに評価会社の株式を譲渡するなどした場合には、評価会社の資産構成の変動に合理的な説明がつかず、課税庁から不当な税負担の軽減を図ったものと認定される可能性もあり、少しずつ早めに対応しておくことが肝要であろう。 (了)
《速報解説》 「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等の改正(公開草案)が公表 ~指定国際会計基準等準拠の国内子会社・国内関連会社を対象範囲に~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月22日、企業会計基準委員会は、次のものを公表し、意見募集を行っている。 意見募集期間は平成29年2月22日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の主な内容 現行の「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号)は、「当面の取扱い」として、次のケースを規定している。 公開草案は、「在外子会社の財務諸表(国際財務報告基準又は米国会計基準)」だけでなく、「国内子会社」が指定国際会計基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書を開示している場合も、「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号)の対象範囲に含めようとするものであり、表題を「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(案)」と改正することを提案している。 なお、「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」を国内子会社が適用する場合に関しても、同様に本実務対応報告の対象範囲に含めるとしている。 改正により、「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号の改正案)は、「当面の取扱い」として、次の2つのケースを規定することになる。 持分法適用関連会社については、「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告第24号の改正案)をお読みいただきたい。 Ⅲ 適用時期等 (了)
平成27年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「平成27年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
《速報解説》 相続時精算課税との併用を認める等、事業承継税制の要件緩和 ~平成29年度税制改正大綱~ エアーズ税理士法人 税理士 瀧尻 将都 1 はじめに 平成28年12月8日に与党(自由民主党及び公明党)より平成29年度税制改正大綱が公表され、22日に閣議決定された。以下では、大綱で示された事業承継税制の要件緩和について解説を行う。 2 改正の背景 与党大綱の冒頭「第一 平成29年度税制改正の基本的な考え方」では、事業承継税制の見直しについて、次のように説明されている。 同制度は、平成25年度の税制改正の要件緩和に伴い、平成27年度の認定件数は増加したものの、平成27年度の認定件数の推計は456件(平成28年8月 経済産業省「平成29年度税制改正に関する経済産業省要望」より)程度であり、同制度のさらなる利用促進と利便性の向上を図る必要があった。 そこで、具体的には、相続時精算課税制度との併用、人手不足の中での雇用要件の見直し及び、災害による被害を受けた場合や、主要取引先の倒産により売上が減少した場合には、雇用確保要件等の緩和を行うこととなった。 この改正は、平成29年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用するとともに、所要の経過措置を講ずることになっている。 3 改正の概要 〈改正点①〉 相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加える。 贈与税の納税猶予の適用を受けても、認定が取り消された場合、高額の贈与税負担が発生するリスクが存在し、これにより同制度の利用は敬遠されていた経緯があるが、この改正により相続時精算課税制度との併用を認めることにより、認定が取り消された場合でも、税負担は相続税と同額になるため、同制度の利用促進につながるものと考えられる。 (※) 「平成29年度 経済産業関係 税制改正について」P30より 〈改正点②〉 納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に100分の80を乗じて計算した数に1人に満たない端数があるときは、これを切り捨てる(現行は「切り上げる」)こととする。ただし、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数が1人の場合には、1人とする。 事業承継税制の雇用要件について、維持すべき従業員数(5年平均8割)を計算する際、改正前は端数を切り上げていたところを、改正により切り捨てることになった。従来、5名未満の企業の従業員数が1名減った場合、改正前は要件を満たさないこととなっていたが、改正により5名未満の企業の従業員数が1名減った場合でも、雇用要件を満たすことが可能となる。 (※) 「平成29年度 経済産業関係 税制改正について」P28より 〈改正点③〉 災害等の被災者等が納税猶予制度の適用を受ける場合について、次の措置を講ずる。 ① 災害等の発生前に相続若しくは遺贈又は贈与により非上場株式等を取得し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「経営承継円滑化法」)の認定を受けている、又はその認定を受けようとしている会社が、その後に一定の災害等により被災した場合は、受けた被害の態様に応じ、その認定承継会社の雇用確保要件の免除又は緩和等をする。また、その被害を受けた会社が破産等した場合は、経営承継期間内であっても猶予税額を免除する。 ② 災害等の発生後に相続又は遺贈により非上場株式等を取得し、経営承継円滑化法の認定を受けようとしている会社は、上記①の措置に加え、事前役員就任要件を緩和する。 災害や取引先の倒産等が生じた場合、事業継続のため、やむを得ず、雇用調整を行うことがあるが、その場合、雇用確保要件に抵触し、認定を取り消される可能性があった。そのため、リスクを恐れ、同制度の利用を敬遠されていた経緯があるが、この改正により災害等が生じた場合でも、雇用要件の緩和(免除)により、災害等が生じても同制度の認定が取り消される可能性が低下するため、同制度の利用促進につながるものと考えられる。 (※) 「平成29年度 経済産業関係 税制改正について」P29より (了)