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《速報解説》 令和6年分所得税の定額減税(特別控除)ついて源泉徴収義務者に向けた実施要領案が公表される

 《速報解説》 令和6年分所得税の定額減税(特別控除)ついて 源泉徴収義務者に向けた実施要領案が公表される   Profession Journal 編集部   令和6年度税制改正大綱では、定額減税(所得税3万円・個人住民税1万円)の実施が織り込まれ、今週末に召集される通常国会で改正法案が審議されるが、給与所得者に対する所得税の減税措置は本年6月1日以降の源泉徴収時から実施されるため、大綱に「源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるよう法案の国会提出前であっても制度の詳細についてできる限り早急に公表」するとしていた通り、1月19日付けで財務省及び国税庁は各ホームページにおいて、源泉徴収義務者に向けた、定額減税の実施要領案を公表した。 実施要領案では、次の1~5の項目を掲げており、それぞれについて大綱では不透明だった実務に係る事項等について言及している。 例えば、「1.令和6年分所得税の定額減税の概要(対象者等)」では、居住者の所得税額から、定額減税に係る額(特別控除の額)を控除する際にはその者の令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限るとしているが、源泉徴収税額からの特別控除に際しては、年末調整を除き、合計所得金額に関わらず実施し、年末調整時において合計所得金額が 1,805万円超になると見込まれる場合(ただし年末調整の対象となる者に限る)には控除実施済額について調整するとしているほか、「2.源泉徴収税額からの控除の実施者」では、主たる給与等の支払者のみが特別控除を実施することとし、従たる給与等の支払者は行わないことが示されている。 また、「3.源泉徴収税額からの控除の実施方法」では、この減税の実施のために改めて扶養控除等申告書の提出を求める必要はなく、源泉徴収義務者はその時点で現に把握している情報に基づき計算することが示されたが、15歳以下の扶養親族については令和6年6月1日以後最初の給与支払日までに新たに「源泉徴収に係る申告書」の提出を求める必要がある(ただし当該申告書の記載情報に代えて、一定の確認の下、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」を参照して計算することも可能)とされている。 その他「4.源泉徴収票等の記載事項」では「令和6年6月1日以後に年末調整をして作成する源泉徴収票の摘要欄の記載事項」や「令和6年6月1日以後に交付する給与明細等の記載事項」の記載例が示され、「5.その他」では源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を納付する場合、所得税徴収高計算書には定額減税の控除後の源泉徴収税額を記載する(本定額減税の実施のための源泉徴収票様式・所得税徴収高計算書様式の改訂は予定していない)ことなどが明らかとなった。 なお財務省ホームページでは今回公表された要領案について、「あくまでも源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるようあらかじめ周知・広報するものであり、令和6年度税制改正のための税制改正法案については、今後国会に法案を提出し、国会審議を経ることが前提となることにご留意いただきたい」としている。 また、減税を受ける納税者向けの情報については今後、概要資料等を順次公表することとしている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2024/01/22

《速報解説》 令和6年能登半島地震により被害を受けた土地及び家屋に係る令和6基準年度向け評価等に関する情報を総務省が公表~賦課期日に家屋が滅失した場合の取扱い~

 《速報解説》 令和6年能登半島地震により被害を受けた土地及び家屋に係る 令和6基準年度向け評価等に関する情報を総務省が公表 ~賦課期日に家屋が滅失した場合の取扱い~   税理士 菅野 真美   令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被害を受けた土地及び家屋に係る令和6年基準年度の固定資産税評価額の取扱いに関する情報が、令和6年1月16日に総務省から公表された。 以下において、この情報に基づいて説明する。 *   *   * 土地、家屋の固定資産税は 土地又は家屋の価格で課税台帳に登録されたものが課税標準で、毎年1月1日(賦課期日)に所有者として登記簿や課税台帳に登記又は登録された者が納税義務者となり、所在する市町村(東京都特別区は東京都)に納付する市町村民税である。市町村長は、天災等で固定資産税の減免を必要と認められる者については、条例により固定資産税を減免することができる。 今回の情報においては、土地や家屋の評価は、被災の状況に基づくが、土地や家屋の被害の状況によっては、「東日本大震災により被害を受けた地方団体等における平成24年度の固定資産の評価替えについて」による簡易評価も可能として提示している。 能登半島地震は、令和6年1月1日の16時過ぎに発生した。固定資産税の賦課期日は1月1日であるが、1月1日0時の時点と1月1日17時の時点では、固定資産の評価額は大きく異なることになる。今回の地震による評価減等は、すべて減免等を通じて行われるのではないかと思うかもしれない。しかし、情報によると、「固定資産税においては1月1日中に生じた事情を同日を賦課期日とする年度の税額等に反映させることが基本です。このため、1月1日中に滅失した家屋に対しては課税されないものと解されますので、ご留意願います。また、例えば、1月2日以後に滅失した家屋については、1月1日の現況に基づき課税することになりますが、納税者の置かれた状況に十分配意して減免等を行うなど、適切に対応するようお願いします。」と述べられている。 この賦課期日の取扱いは、能登半島地震以外の家屋の滅失に関してもあてはまるのだろうか。たとえば、1月1日に所有していた家屋を取り壊した場合の家屋についての評価はどのようになるのか。1月1日は、滅失登記の申請をしたくとも、法務局は開局されていない。この件に関して、東京都主税局に電話で確認したところ、1月1日付の解体証明書等を入手し、滅失登記を行った場合は、家屋に係るその年の固定資産税は課税されないと回答を得た。 このように家屋の滅失に関しては、災害に限らず、滅失が1月1日に行われたならば、登記は後日行われたとしてもその年の家屋に係る固定資産税は課されないと考える。 (了)

#菅野 真美
2024/01/22

プロフェッションジャーナル No.552が公開されました!~今週のお薦め記事~

2024年1月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.552を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2024/01/18

日本の企業税制 【第123回】「災害に係る主要な税制措置」

日本の企業税制 【第123回】 「災害に係る主要な税制措置」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   年初に発生した能登半島地震の被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げたい。 政府は1月11日の持ち回り閣議で、能登半島地震を激甚災害と特定非常災害に指定した。 地震や津波に加え、台風、豪雨、豪雪等の自然災害が頻発している状況を踏まえ、被災者や被災事業者の不安を早期に解消するとともに、復旧や復興の動きに遅れることなく税制上の対応を手当てする観点から、平成29年度税制改正において、災害への税制上の対応の規定が常設化され、発災後速やかに税制上の措置の実施が可能となっている。 平成29年度税制改正以前においても、災害が発生した際の被災者や事業者への対応については、国税通則法、災害減免法、所得税法をはじめとした各税法において、申告、納付期限の延長や、税の減免措置などが実施されていた。また、平成7年の阪神・淡路大震災、平成23年の東日本大震災の2つの大震災においては、上記の制度に加えて、被災者の救済、生活再建の支援等のため、震災特例法が制定され、雑損控除や災害減免法の適用範囲の拡大等の措置が講じられてきた。 平成29年度税制改正では、阪神・淡路大震災や東日本大震災で制定された震災特例法を踏まえて、①被害の状況や規模などによらず、災害一般に適用することが適当なもの、②被災は生活再建支援法などの下、他の支援施策が講じられている場合に適用することが適当なもの、について、あらかじめ規定を整備する方針の下で、所得税、法人税、相続税、贈与税、酒税、自動車重量税など広範に特例が設けられている。特例の対象となる災害については、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大規模災害に限定されず、後述の住宅ローン減税の特例措置に見られるように、被災者生活再建支援法が適用される災害も対象となるなど、幅広い災害が特例の対象とされている。 以下、主要な税制上の措置について整理したい。   〇申告期限等の延長等 国税通則法により、災害等の理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までに、これらの行為をすることができないと認められる場合には、災害等の理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲において、その期限の延長ができる。 特に、今回の地震のように、都道府県の全部又は一部にわたり、期限までに申告等の行為をすることができないと認められる場合には、国税庁長官が告示により、その地域及び期日を指定して期限を延長することとされている(地域指定)。 1月12日には、富山県及び石川県をその地域として指定する告示が行われた。なお、期限をいつまで延長するかについては、今後、被災者の状況に十分配慮しつつ検討することとされている。   〇住宅ローン減税の特例 災害により家屋を居住の用に供することができなくなった場合において、災害がなければ、その控除を受けることができた期間について、継続して住宅ローン控除の適用を受けることができる。 なお、被災した家屋を他の用途に転用した場合、被災した家屋又はその敷地を譲渡して税制上の特例措置(譲渡損失の損益通算、繰越控除)の適用を受ける場合、新たに住宅の新築取得等をした家屋について住宅ローン減税の適用を受けた場合には、被災した家屋に係る住宅ローン減税の継続適用は打ち切られる。 もっとも、被災者生活再建支援法が適用された市区町村の区域内に所在する住宅用家屋については、その被災した家屋に係る住宅ローン減税と一定期間内に新たに住宅用家屋の再取得等をした場合の住宅ローン減税との重複適用が可能である。   〇住宅取得等資金に係る贈与税の特例 住宅取得等資金に係る贈与税の特例の適用要件の緩和等が措置されている。 具体的には、災害により住宅が滅失した場合の居住要件の免除、贈与税の申告後に被災した場合における居住期限の延長、住宅の取得前に被災した場合の取得期限の延長などが挙げられる。   〇法人税法上の措置 法人税法においては、①災害損失欠損金の繰戻し還付、②仮決算による中間申告における所得税額の還付、③中間申告書の提出不要制度が設けられている。 第一に、災害のあった日以後1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額(棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において災害により生じた損失の額のうち欠損金額に達するまでの金額)がある場合には、その事業年度開始の日前1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができる。 第二に、災害のあった日以後6ヶ月以内に終了する中間期間において、災害損失金額(棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において災害により生じた損失の額)がある場合には、仮決算の中間申告において、控除しきれなかった所得税額の還付を受けることができる。 第三に、国税通則法第11条(災害等による期限の延長)に基づく申告期限の延長により、中間申告書の提出期限とその中間申告書に係る確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合には、その中間申告書の提出を要しない。 また、租税特別措置法においては、被災代替資産等の特別償却制度が設けられている。今回の能登半島地震のように特定非常災害として指定された災害について、その発生日から同日の翌日以後5年を経過する日までの期間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることができる。   〇消費税の届出等に関する特例 特定非常災害の被災者である事業者が、被災したことにより、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は受けることの必要がなくなった場合には、承認申請書(提出期限:災害等のやむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内)を税務署長に提出し、承認を受けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、又はやめることができる。 (了)

#No. 552(掲載号)
#小畑 良晴
2024/01/18

令和5年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「特に注意したい事項Q&A」-NFTに関する税務上の取扱い等-

令和5年分 確定申告実務の留意点 【第3回】 (最終回) 「特に注意したい事項Q&A」 -NFTに関する税務上の取扱い等-   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   本連載最終回は、最近注目されているNFTに関する税務上の取扱い等、確定申告において注意が必要と考えられるもののうち、過去に取り上げていない5項目をQ&A形式でまとめることとする。 なお、本稿では、特に指定のない限り令和5年分の確定申告を前提として解説を行う。   〈固定資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却〉 【Q1】 令和2年10月に購入した乗用車(非業務用)を、令和5年1月より個人事業の用に供している。令和5年分の事業所得の計算において、必要経費に算入する減価償却費はどのように計算するのか。 【A1】 非業務用として使用していた期間に係る「減価の額」を計算し、乗用車の取得価額から当該「減価の額」を控除した残額を算出する。この残額を、個人事業の用に供した日における乗用車の未償却残高とする。 次に、個人事業の用に供した後の減価償却費の計算は、この未償却残高又は取得価額を基礎として、一般の減価償却と同様に行う。 -解説- 固定資産を非業務用から業務用に転用した場合、業務の用に供した後における資産の償却費の額は、業務の用に供した日に資産の譲渡があったものとみなして計算した取得費に相当する金額を、業務の用に供した日における資産の未償却残高相当額として計算する。 具体的な計算過程は、次のとおりである(所法38②、所令85、135)。 (1) 業務の用に供した日における資産の未償却残高相当額の計算 業務の用に供した日における資産の未償却残高相当額は、資産の取得価額から、資産を非業務用として使用していた期間に係る「減価の額」を控除することにより求める(所法38②二、所令135)。 資産を非業務用として使用していた期間に係る「減価の額」は、当該資産と同種の減価償却資産に係る耐用年数に1.5を乗じて計算した年数を使って旧定額法に準じて計算した金額に、非業務用として使用していた期間(年数)を乗じて計算する(所令85)。 (注1) 1.5倍を乗じて計算した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる(所令85②一)。 (注2) 非業務用として使用していた期間の年数に1年未満の端数があるときは、6ヶ月以上は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てる(所令85②二)。 (注3) 「減価の額」が取得価額の95%に達している場合には、取得価額の5%から1円を控除した金額を5年間で均等に償却する(所令134②)。 (注4) 昭和27年12月31日以前に取得した資産である場合には、昭和28年1月1日現在の相続税評価額と昭和28年1月1日以後に支出した設備費、改良費などの資本的支出の合計額を基にして、昭和28年1月1日から業務の用に供した日の前日までの期間について減価の額を計算する(所法61③)。 (2) 業務の用に供した後の減価償却費の計算 業務の用に供した後の減価償却費は、(1)で計算した未償却残高相当額又は取得価額を基にして計算する。 資産を業務の用に供した後の減価償却の方法は、資産の取得年月日(業務用への転用日ではない)により、次のとおりとなる(所令120、120の2、125)。 (注) 網掛部分は、法定償却方法 (3) 事例のケース ① 令和5年1月1日現在の未償却残高相当額 ② 令和5年の必要経費に算入する減価償却費     〈年金受給者が老齢給付金の一部を一時金で支給を受けた場合〉 【Q2】 60歳で定年退職し、確定給付企業年金規約(老齢給付金の一部又は全部を一時金として支給することができる)に基づいて、老齢給付金の50%を一時金として受け取り、残りは年金として受給開始年齢(60歳)から受給している。退職時に受け取った一時金は退職所得として課税され、年金として支給を受けている分については公的年金等として課税されている。 65歳となった令和5年に、将来の年金給付額の一部(全体の25%)について一時金として支給を受け、残額は引き続き年金により支給を受けることとした。令和5年に支給を受けた一時金も退職所得になるのか。 【A2】 令和5年に支給を受けた一時金は、退職所得ではなく原則として一時所得となる。 -解説- 確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる一時金で、加入者の退職により支払われるものは退職手当等とみなされる(所法31三)。また、確定給付企業年金規約に基づいて支払われる年金の受給資格者に対し、その年金に代えて支払われる一時金のうち「退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの」及び「年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」も退職手当等とみなされる(所基通31-1(1))。 事例のケースは、年金の受給開始後に、将来の年金給付の一部について一時金による支払いを受けている。これは、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものには該当しないため、退職所得ではなく原則として一時所得となる(所法34、所基通31-1(1))。     〈NFTを第三者に転売した場合の取扱い〉 【Q3】 デジタルアートの制作者から購入したデジタルアートを紐づけたNFTを、マーケットプレイスを通じて第三者に転売した。取引の概要は下記の〈資料〉のとおりである。所得税の取扱いはどのようになるのか。 〈資料〉 【A3】 デジタルアートを紐づけたNFTを転売したことにより得た利益は、所得税の課税対象となり、原則として譲渡所得(総合)に区分される。なお、NFTを売買する場合、決済手段としてイーサリアム等の暗号資産を利用することが多いが、暗号資産の譲渡による所得とNFTの譲渡による所得は別々に計算することになる。 -解説- (1) NFTの譲渡による所得 転売取引により、収入等の形で新たに経済的価値を取得したと認められることから、当該転売取引は所得税の課税対象となる。具体的には「デジタルアートの閲覧に関する権利」の譲渡に該当し、当該転売取引から生じた所得は、原則として譲渡所得(総合)に区分される(所法33①)。なお、NFTの譲渡が、棚卸資産若しくは準棚卸資産の譲渡又は営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡に該当する場合には、事業所得又は雑所得に区分される(所法27、35①②)。 総合課税の譲渡所得に区分される場合、NFTの譲渡に係る所得金額は次の算式で計算する(所法33③)。 転売収入をマーケットプレイス内の通貨として流通するトークンで受け取った場合には、そのトークンの時価が転売収入となる。そのトークンの時価の算定が困難な場合には、転売したNFTの市場価額(市場価額がない場合には、転売したNFTの取得費等)をそのトークンの時価と取り扱って差し支えない。 なお、総合課税の譲渡所得の金額の計算上損失が生じた場合には、他の所得との損益通算が可能であるが、NFTが主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有していたものである場合には、他の所得との損益通算はできない(総合課税の譲渡所得内での通算は可能)(所法69、所令178①)。 (2) 暗号資産の譲渡による所得 暗号資産から生じた所得は、原則として、雑所得(その他雑所得)に区分される。 暗号資産の所得区分及び譲渡原価の計算方法については、下記拙稿をご参照いただきたい。 (3) 事例のケース ① NFTの譲渡による所得(総合課税の譲渡所得(短期)) ② 暗号資産の譲渡による所得(雑所得(その他雑所得))     〈ゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合の取扱い〉 【Q4】 ブロックチェーンゲームのプレイにより、ゲーム内通貨(トークン)を取得した。所得税の取扱いはどのようになるのか。 【A4】 ブロックチェーンゲームで得た報酬は、原則として、所得税の課税対象(雑所得(その他雑所得))となる。 -解説- ブロックチェーンゲームで得た報酬は、収入等の形で新たに経済的価値を取得したと認められることから、当該報酬は所得税の課税対象となる。 ただし、取得したゲーム内通貨(トークン)が、ゲーム内でしか使用できない場合(ゲーム内の資産以外の資産と交換できない場合)には、所得税の課税対象とはならない(※)。 (※) ゲーム内通貨(トークン)の時価が算定困難な場合には、時価を0円として差し支えない。この場合、ゲーム内通貨(トークン)を暗号資産と交換できる他のトークンに交換した時に所得税が課税される。 ブロックチェーンゲームの報酬に係る雑所得の金額は、次の算式で計算する(所法35②二)。 〈収入金額〉 収入金額は、ブロックチェーンゲームで得たゲーム内通貨(トークン)の総額となる。なお、ゲーム内通貨(トークン)の評価は、通貨の取得の都度行うことになるが、ゲーム内通貨(トークン)ベースで増減額を管理し、月末又は年末に一括で評価することもできる。 〈必要経費〉 必要経費は、ブロックチェーンゲームの報酬を得るために使用したゲーム内通貨(トークン)の取得価額の総額となる。取得価額とは、購入したゲーム内通貨(トークン)については購入価額、ブロックチェーンゲームで取得したゲーム内通貨(トークン)については、収入金額として計算された金額となる。 〈簡便法〉 ゲーム内通貨(トークン)の取得や使用が頻繁に行われ、取引の都度の評価は煩雑と考えられることから、ゲーム内通貨(トークン)ベースで所得金額を計算し、年末に一括で評価する簡便法によって雑所得の金額を計算することもできる。     〈NFTの財産債務調書への記載〉 【Q5】 マーケットプレイスで購入したNFTを12月31日現在保有している場合、保有しているNFTは財産債務調書へ記載するのか。 【A5】 保有しているNFTが、12月31日において暗号資産等の財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、財産債務調書へ記載する必要がある。 -解説- 財産債務調書とは、12月31日現在において保有する財産の種類、数量、価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載して、その年の翌年6月30日までに、所得税の納税地の所轄税務署長に提出することが求められている調書である(国外送金等調書法6の2①)。 財産債務調書は、次のいずれかに該当する者が提出する(国外送金等調書法6の2①③)。 (※1) 申告分離課税の所得がある場合には、特別控除後の所得金額の合計額を加算する(純損失や雑損失の繰越控除を受けている場合等には、その適用後の金額) 上記①②のいずれかに該当する者が12月31日においてNFTを保有しており、そのNFTが暗号資産等の財産的価値を有する資産と交換できるものである場合には、財産債務調書への記載が必要になる(※2)。 (※2) NFTを購入したマーケットプレイスの所在が国内か国外かに関わらず、財産債務調書へ記載する。 なお、財産債務調書には、NFTの種類別(アート、音楽、スポーツ、ゲーム等)、用途別及び所在別に記載する。 また、財産債務調書合計表においては、「財産の区分」欄の「その他の財産(上記以外)」欄に記載する。 以上の他、NFTに関する税務上の取扱いについては、国税庁の「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を参考にされたい。   (連載了)

#No. 552(掲載号)
#篠藤 敦子
2024/01/18

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第34回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第34回】   東洋大学法学部准教授 泉 絢也   6 異なる種類の暗号資産同士の交換は課税イベントか 所得税法は、肝心の所得の概念について詳しい説明をしていないが、包括的な所得区分である雑所得を設けるとともに、一時所得や譲渡所得などの臨時的・偶発的な所得についても所得区分を設けていることなどから、包括的な所得概念を採用していると解されている。 そうすると、保有する資産の含み益(値上がり益、評価益)も所得に含まれることになるが、時価評価が難しい場合があるし、単に値上がりしたにすぎず、いまだ譲渡して換金していない段階で課税すると納税資金の問題が出てくることになる。そこで、実際の所得税法は、所得が実現して初めて課税するという実現主義を採用している。 つまり、未実現の利得には課税しないことになるが、その所得税法上の根拠として、同法が外部からの経済的価値の流入を表す「収入」を所得計算の出発点に据えている点を挙げることができる(所法23~35、36)。 資産について含み益が発生した時点では、いまだ外部からの経済的価値の流入はないため、未実現であるということになる。 「実現」の意義については様々な見解がある。 例えば、アメリカ法を前提として、実現について、次のように述べる見解がある(渡辺徹也「実現主義の再考」税研147号70頁)。 上記見解は、ここから、いまだ実現に至らない未実現の状態として、次の3つを提示している。 上記の見解を踏まえて、資産の含み益と実現の関係等について整理すると下図のようになる。 実定税法上の条文の根拠との関係では、上記の実現の意義のうち、例えば、資産を手放すという点は所得税法33条の「譲渡」、その代わりに別の資産をもらうというのは同法36条の「収入」を想起させる。 所得税法36条の収入との関係について、同条の収入は、金銭のみならず、「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」でもよいとされている(所法36①)。そして、「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」をもって収入する場合の収入すべき金額は、「当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額」となる(所法36②)。 かくして、一定の場合を除き(※)、資産の交換(基本的には、「当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転すること」(民586)をいうものと考えて構わない)も課税イベントになると考えられている。課税イベントとは、含み損益に対する課税の契機となる事象(含み損益を課税所得に反映させる事象)を意味する。 (※) 例えば、納税資金の問題や同一資産の保有が継続しているといえるような一定の固定資産の交換の場合については、含み損益を「認識」しない(譲渡がなかったものとみなす)などの規定が用意されている(所法58等)。 以上から、異なる種類の暗号資産同士の交換も課税イベントになる。 この点について、国税不服審判所令和4年3月23日裁決(裁決事例集未登載:TAINSコードF0-1-1362)において、納税者は、要旨次のとおり、暗号資産同士を交換しても権利が確定したとはいえない旨主張した。 しかしながら、本裁決は、次のとおり判断し、納税者の上記主張を採用していない。 上記の判断は、譲渡所得課税の趣旨を説明する清算課税説と親和性を有するように見える。よって、暗号資産の譲渡による所得の所得区分について、暗号資産の譲渡益は資産の値上がりによる増加益とは性質を異にするため、譲渡所得には該当せず、原則として雑所得に該当するという国税庁の見解(本連載第26回)と整合するのか、という疑問が生じる。   (了)

#No. 552(掲載号)
#泉 絢也
2024/01/18

相続税の実務問答 【第91回】「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の第二次相続の小規模宅地等の特例の適用」

相続税の実務問答 【第91回】 「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の第二次相続の小規模宅地等の特例の適用」   税理士 梶野 研二   [答] お父様及びお母様の相続人はあなた1人となってしまいましたから、もはやお父様の遺産について分割協議をすることはできません。しかしながら、お父様の遺産について分割協議ができないということは、お父様の遺産である各財産は、法定相続分の割合であなたとお母様の共有財産であることが確定したということです。このため、お母様はA建物及びその敷地についてその法定相続分どおりの2分の1の共有持分として有していたこととなります。そうしますと、相続税の申告期限までA建物に居住し、かつ、この敷地の保有を継続すれば、小規模宅地等の特例を適用することができます。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 第一次相続に係る相続人と第二次相続に係る相続人が同一の1人の者である場合の遺産分割 はじめの相続(第一次相続)の遺産の分割が未了のまま第一次相続の相続人(第一次相続人)が亡くなってしまい(第二次相続)、第一次相続人のうち第二次相続の開始時において生存している者と第二次相続に係る相続人(第二次相続人)が同一の者で、その者以外に第一次相続及び第二次相続に係る相続人がおらず、かつ、両相続に係る包括受遺者がいない場合には、【第89回】「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の遺産分割と相続税」で説明したように、その1人の者によっては第一次相続の被相続人の遺産を自由に分割することはできず、その遺産は第一次相続人に法定相続分の割合で確定的に帰属することとなります。   2 小規模宅地等の特例の適用 租税特別措置法第69条の4第1項に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下、この特例を「小規模宅地等の特例」といいます)は、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等を相続又は遺贈により取得した個人が一定の要件を満たす場合に、当該事業の用又は居住の用に供されていた宅地等について相続税の課税価格に算入する価額を減額する特例制度です(措法69の4①②③)。 この小規模宅地等の特例は、相続税の申告書の提出期限までに、遺産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない場合には、その分割されていない財産については、適用することができません(措法69の4④)。ただし、分割されていない宅地等が相続税の申告期限から3年以内(この期間が経過するまでの間に遺産が分割されなかったことについて、相続又は遺贈に関して訴えの提起がされたことその他の一定のやむを得ない事情がある場合において、税務署長の承認を受けたときは、財産の分割ができることとなった日の翌日から4ヶ月以内)に分割された場合には、その分割された宅地等について更正の請求等によりこの特例を適用することができます(措法69の4④ただし書き)。 この「分割されていない宅地等」には、そもそも分割をするまでもなく、特定の相続人又は受遺者が相続又は遺贈により取得した宅地等は含まれません。これには次のような場合が該当します。   3 第一次相続人と第二次相続人が同一の1人である場合の第二次相続における小規模宅地等の特例の適用 上記2のとおり、相続人及び包括受遺者の間で遺産分割がされていない財産については、小規模宅地等の特例を適用することはできません。この特例規定を適用した後に、遺産分割が行われ、その結果、この規定を適用した者以外の者が被相続人の財産を取得することによってこの規定の趣旨に反した適用が行われることを防止するためです。 しかしながら、上記2の枠内に掲げる場合のようにそもそも遺産分割をすることなく、確定的に特定の相続人や受遺者に帰属することとなる財産については、この規定を適用することができると解されます。 ところで、第一次相続の遺産である宅地等が未分割のまま第二次相続が開始した場合において、第二次相続に上記2の枠内に掲げるようなケースがあったとしても、第二次相続に係る相続税について、当該宅地等に小規模宅地等の特例を適用することはできないと考えられます。 しかしながら、第二次相続開始時に生存している第一次相続人と第二次相続人が同一の者で、その者以外に第一次相続人及び第二次相続人や包括受遺者がいない場合には、たとえ第二次相続の開始の直前において第一次相続に係る遺産が未分割であったとしても、その1人の者のみによっては、第一次相続に係る被相続人の遺産を分割することはできず、第一次相続に係る被相続人の遺言がない限り、第一次相続に係る遺産は、確定的に、法定相続分の割合により第一次相続人に帰属することとなります。そうしますと、もはや小規模宅地等の特例の趣旨に反した適用も起こりえないこととなります。 したがって、このような場合には、第二次相続に係る相続税の申告において、第二次相続の開始の直前において未分割であった宅地等についても、租税特別措置法第69条の4第1項から第3項までの要件を満たせば、小規模宅地等の特例を適用することができると考えられます。   4 ご質問の場合 お母様の相続開始の直前において、お父様の遺産であるA建物の敷地は未分割財産でしたので、あなたが未分割財産であるA建物の敷地を取得したとすると、この敷地については小規模宅地等の特例を適用することができないのではないかとの疑義が生じます。 しかしながら、あなたとお母様の間でお父様の遺産の分割が行われる前に、お母様がお亡くなりになり、お父様の相続人で生存している者はあなた1人となり、お父様の相続人であったお母様の相続人もあなた1人となりました。また、お父様の相続にも、お母様の相続にも包括受遺者はいないとのことです。そうしますとお父様の遺産である各財産は、お母様の相続開始により、あなたとお母様に法定相続分の割合での共有が確定するとともに、お母様が取得したお父様の遺産はあなたが相続することとなります。この場合、A建物の敷地は「分割されていない宅地等」には該当しないこととなります。 そうしますと、A建物の敷地にはお母様の相続開始時にお母様とあなたが同居しており、お母様の相続開始後も引き続きあなたが居住しているとのことですから、このA建物の敷地は、被相続人をお母様とする相続税の申告書の提出期限まで引き続きあなたが居住を継続し、かつ、保有し続けている限り、租税特別措置法第69条の4第3項第2号に規定する特定居住用宅地等に該当することとなりますので、限度面積の範囲内で、同居親族であるあなたが小規模宅地等の特例の規定を適用することができます。 (了)

#No. 552(掲載号)
#梶野 研二
2024/01/18

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第57回】「信託型ストックオプションの課税関係」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第57回】 「信託型ストックオプションの課税関係」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 信託型ストックオプションの仕組みと従来の理解 近年、IPOを目指すスタートアップ等が優秀な人材を確保するための手段として、信託型ストックオプションが浸透してきている。その要因は、税制面において税制適格ストックオプションの制度が従来から存在してはいたものの、これには厳格な要件があったことにある。具体的には、税制適格ストックオプションが、その時点で在職の者のみにストックオプションの付与が可能であるものであるため、初期メンバーであればあるほどメリットを享受できる傾向にあり、翻せば加入が遅い役職員の能力や貢献度に報いづらいと評価されてきたことにあると思われる。これに対し、信託型ストックオプションが評価されたのは、税制適格ストックオプションよりも自由度が高いままに、税負担を抑えることができるという点にあるといえる。 このような信託型ストックオプションの具体的な導入の流れを図示したものが以下である。 (出典) 国税庁「ストックオプションに対する課税(Q&A)(最終改訂令和5年7月)」問3より筆者一部加工 この図の番号順に解説すると、信託型ストックオプションは、①創業者や発行会社が信託銀行等に金銭を信託することから始まる。この時点では、受益者を設定しないため、受益者なき信託として、法人課税信託の取扱いとなる(法法4の2他)。 その後、②受託者である信託銀行が委託者からストックオプションを購入することで、③対象企業の役職員を受益者とし、その評価や貢献度に応じてストックオプションを付与することができるようになる。なお、この時点で受益者が現れたことにより、信託財産に属する資産等は受益者に簿価で引き継がれ(法法64の3②)、受益者自身には課税関係が生じない(法法64の3③、所法67の3②)。 受益者である役職員は、④権利行使ができるようになってから権利行使を行って、株式を取得する。この際、信託銀行等が有償で取得したストックオプションを付与されており、役務提供の対価として株式を付与したわけではないため、課税関係が生じないと認識されていた。これは、以下(2)で触れる国税庁次長発言の一部にも現れている。 【第211回衆議院国会予算委員会第三分科会第1号(令和5年2月20日)星屋和彦国税庁次長発言】 そして、⑤株式を譲渡した時に分離課税によって株式の譲渡所得を認識するという理解が一般的であった。つまり、信託型ストックオプションのメリットとして、以下のものが認識されていたと思われる。   (2) 国税庁が示した内容 これに対し、昨年一部報道がなされ、その後国税庁から示された「ストックオプションに対する課税(Q&A)(最終改訂令和5年7月)」(以下、「Q&A」という)では、従来と異なる見解が示された。これにより、スタートアップや上場企業が大きく混乱したのは記憶に新しい。このうち、Q&A問3【税制非適格ストックオプション(信託型)の課税関係】の(注3)では、 と示されており、受託者が②でストックオプションを購入し、それを付与しているために労働の対価ではないという認識を否定し、権利行使時において給与課税される旨が示された。これは、取引の一連の流れに鑑みると、役職員は実質的に対象会社からストックオプションの交付を受けているために、給与課税がなされるという理解であると思われる。このような考え方は、国税庁次長発言でも見て取れる。 【第211回衆議院国会予算委員会第三分科会第1号(令和5年2月20日)星屋和彦国税庁次長発言】 これらを図示したものが以下である。 《税制非適格ストックオプション(信託型)のイメージ》 (出典) Q&A問3より抜粋 この点、権利行使時に所得が生じる根拠が示されておらず、条文から給与課税されるという解釈にも疑問が残るという指摘があるように(※1)、信託型ストックオプションの課税上の取扱いについて、本来は立法によって解決すべきであったように思われる。以下では、Q&Aの考え方を前提として、これに対応する場合について検討する。 (※1) 瀧谷耕二「信託型ストックオプションに関する国税庁の見解に対する疑問点」鳥飼総合法律事務所メールマガジン(2023年7月19日)。   (3) 国税庁の見解が示されたことへの対応 Q&Aでは、信託型ストックオプションの行使によって得た株式に係る経済的利益が給与所得として課税されるため、対象会社にとっては源泉徴収義務が生じる。この点、ストックオプションを行使した役職員にその負担を求償することができるが、当該役職員の事情等によっては求償を断念することも考えられる。その場合には、債務免除としての経済的利益を与えることとなり(Q&A問4)、役職員のためにグロスアップ計算等が必要となるだろう。 現に、従業員が権利を行使して株式を取得した時点で給与所得となる取扱いをしていなかったとして、源泉徴収は行っていなかったところ、国税庁の見解を受けて遡及して源泉徴収を行い、従業員等に対する補填や代替的な給与の支払いを行う旨や(※2)、特別損失を計上した上で求償権の一部を放棄する旨のニュースリリースがみられる(※3)。 (※2) Sansan株式会社「当社が導入している信託型ストックオプションに関するお知らせ」(2023年7月13日) (※3) リックソフト株式会社「信託型ストックオプションへの対応と関連損失(特別損失)の計上に関するお知らせ」(2023年10月12日) このように、既に信託型ストックオプションを導入し、役職員がその権利を行使済みである場合において、Q&Aの考え方に拠るのであれば、源泉所得税を一時に納められない場合に1年以内に限り納税猶予を認める旨の救済措置を念頭に置きながら対応する必要がある(Q&A問4)。 これに対して、役職員が権利行使をしていないならば、導入した信託型ストックオプション自体を検討する必要があるだろう。Q&A問12では、次のような場合には、税制適格ストックオプションに該当する旨が示されている。 【信託型ストックオプションが税制適格ストックオプションとなる要件(抜粋)】 これらの要件に加えて、下記拙稿で解説したように、令和6年度税制改正大綱では税制適格ストックオプションの要件拡充が図られることが示されている。 したがって、税制適格型へ移行することも踏まえて、役職員への代替的なインセンティブを付与する方法を検討する必要があるだろう。   (了)

#No. 552(掲載号)
#中尾 隼大
2024/01/18

基礎から身につく組織再編税制 【第60回】「適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱い」

基礎から身につく組織再編税制 【第60回】 「適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱い」   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   今回は、適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱いについて解説します。   1 適格株式交換があった場合の株式交換完全親法人の取扱い (1) 株式交換完全子法人株式の取得価額 適格株式交換により株式交換完全親法人が取得する株式交換完全子法人株式の取得価額は次のとおりです(法令119①十)。 ① 株式交換の直前において株式交換完全子法人の株主が50人未満の場合 株式交換完全子法人の株主が有していた株式交換完全子法人株式の株式交換直前の帳簿価額相当額の合計額(取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額) ② 株式交換の直前において株式交換完全子法人の株主が50人以上の場合 株式交換完全子法人の前期末の簿価純資産価額相当額(取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額) (2) 適格株式交換により増加する資本金等の額 株式交換完全親法人において株式交換により増加する資本金等の額は、次のとおりです(法令8①十)。 (3) 適格株式交換により増加する利益積立金額 適格株式交換の場合には、株式交換完全親法人の利益積立金額は増加しません。 (4) 具体例①(株式交換の直前において株式交換完全子法人の株主が50人未満の場合) ① 前提 【B社の株式交換直前のBS】 ② 株式交換完全親法人の仕訳 (5) 具体例②(株式交換の直前において株式交換完全子法人の株主が50人以上の場合) ① 前提 ② 株式交換完全親法人の仕訳   2 適格株式交換を行った場合の株式交換完全子法人の取扱い 適格株式交換を行った場合には、株式交換完全子法人が有する資産について時価評価を行う必要はなく、特段の課税関係は生じません。   3 適格株式交換を行った場合の株式交換完全子法人の株主の取扱い (1) 旧株の譲渡損益 株主については、投資が継続していると認められる場合には、譲渡損益の計上を繰り延べることとされています(法法61の2⑨)。 「投資の継続」とは、株主が金銭等の交付(株式以外の交付)を受けていないことをいいます。 (2) みなし配当 利益積立金額が株主に交付されるときは、みなし配当を計上する必要があります(法法24)。 適格株式交換が行われた場合には、株式交換完全子法人の利益積立金額は、株式交換完全子法人の株主に交付されないため、株式交換完全子法人の株主においてみなし配当を計上する必要はありません。 (3) 少数株主への金銭等交付 株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を保有している場合には、少数株主に対して対価が金銭等で交付された場合でも適格株式交換になります。この場合の少数株主については、金銭等の交付を受けているため、旧株の譲渡損益が計上されますが、みなし配当は生じないとされています(法法24①、法法61の2①)。 (4) 株式交換完全親法人株式の取得価額 株式交換完全子法人の株主が対価として株式交換完全親法人株式のみを交付された場合のその株式交換完全親法人株式の取得価額は、株式交換完全子法人株式の帳簿価額に付随費用を加算した金額とされています(法令119①九)。 (5) 具体例①(株式交換完全親法人株式のみ交付) ① 前提 ② 株式交換完全子法人の株主の仕訳 (6) 具体例②(現金のみ交付) ① 前提 ② 株式交換完全子法人の株主(少数株主)の仕訳   ◆適格株式交換を行った場合の株式交換完全親法人、株式交換完全子法人、株式交換完全子法人の株主の取扱いのポイント◆ 適格株式交換があった場合に株式交換完全親法人が取得する株式交換完全子法人株式の取得価額は、株主が50人未満か50人以上かで異なります。 適格株式交換があった場合には、株式交換完全親法人において資本金等の額が増加しますが、利益積立金額は増加しません。 適格株式交換があった場合には、株式交換完全子法人において時価評価を行う必要はありません。 株式交換完全子法人株式の譲渡損益を認識するかどうかは、適格株式交換か非適格株式交換かにかかわらず投資の継続で判定します。 適格株式交換があった場合でも株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を保有しており、少数株主である株式交換完全子法人の株主が金銭等の交付を受けるときは、旧株の譲渡損益を計上します。   (了)

#No. 552(掲載号)
#川瀬 裕太
2024/01/18

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第35回】「大和鋼管工業代表者事件-特定外国子会社と租税条約-(地判平20.8.28、高判平21.2.26、最判平21.12.4)(その1)」~租税特別措置法40条の4、日星租税条約7条1項~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第35回】 「大和鋼管工業代表者事件 -特定外国子会社と租税条約- (地判平20.8.28、高判平21.2.26、最判平21.12.4)(その1)」 ~租税特別措置法40条の4、日星租税条約7条1項~   公認会計士・税理士 西川 浩史   1 はじめに タックス・ヘイブン対策税制(特定外国子会社利益合算制度、CFC税制、TH税制)が、日本とシンガポールとの間の租税条約(以下「日星租税条約」)に違反しないと最高裁で判断された事例には、グラクソ事件(※1)(法人税事案)と今回のテーマである大和鋼管工業代表者事件(※2)(所得税事案)がある。大和鋼管工業代表者事件の最高裁判決では、グラクソ事件での最高裁判決内容が参照されており、グラクソ事件と同一の論点となるが、法人税法の取扱い(内国法人の収益の額に合算)と所得税法の取扱い(個人の雑所得の総収入金額に合算)の違いがあるため、グラクソ事件判決内容との比較も含めて検討を行う。 (※1) 最高裁平成21年10月29日判決 税務訴訟資料 第259号-189(順号11302)。一角塾では中野洋氏がすでに担当しており、その内容は本連載の【第1回】~【第3回】において解説されている。 (※2) 東京地裁平成20年8月28日判決 税務訴訟資料 第258号-155(順号11013)、東京高裁平成21年2月26日判決 税務訴訟資料 第259号-36(順号11149)、最高裁平成21年12月4日判決 税務訴訟資料 第259号-231(順号11344)。なお、大和鋼管工業代表者事件を取り扱っている論文としては、藤井保憲「タックス・ヘイブン対策税制と租税条約」月刊税務事例(Vol.42 No.4)(2010.4)10-14頁、泉潤慈「タックス・ヘイブン対策税制(特定外国子会社利益合算課税制度)と租税条約第7条について」税法学(565)(2011.5)301-311頁、加藤義幸「個人所得税とタックスヘイブン税制-適用条件について-」税法学(569)(2013.6)305-322頁などがある。   2 事案の概要及び背景 (1) 事案の概要 本件は、課税庁(芦屋税務署、以下「Y」)が、納税者(以下「X」)の平成14年度所得税確定申告について、Xが60%の株式を保有するA社(シンガポールにおいて設立された法人)は、租税特別措置法(以下「措置法」)40条の4第1項(タックス・ヘイブン対策税制)の特定外国子会社等に該当し、同条第3項の適用除外要件を満たさないとして、A社の課税対象留保額(約50億円)をXの雑所得の総収入金額に算入するとの更正処分及び過少申告加算税の賦課決定(約21億円:本税約18億円、過少申告加算税約3億円)をしたため、Xがその取消しを求めた事案である。 裁判での争点は以下の3点である。 最高裁では〔争点1〕についてのみ審議が行われ、「措置法40条の4の規定が、日星租税条約7条1項に違反していると解することはできない。」とした原審の判断を正当として是認した。ただし、最高裁の論旨は原審のものとは異なっている。論旨が異なった背景には、平成21年度税制改正(外国子会社受取配当益金不算入制度の導入)があると思われる。本稿では〔争点1〕に絞って検討を行う。 (2) 取引の経緯と背景 [当時のグループ関係図]   3 地裁・高裁での議論 (1) 納税者Xと課税庁Yの主張 ◆日星租税条約7条1項(青色部分は筆者が追加、の解釈が議論対象) (2) 地裁・高裁の判断(下線は筆者追加)   4 最高裁の判断 以下、各項目名を筆者が追加したうえで最高裁の判決文を要約して記載している。 ((その2)へ続く)

#No. 552(掲載号)
#西川 浩史
2024/01/18
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