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平成26年度税制改正における前年度への遡及適用(経過措置)について

平成26年度税制改正における 前年度への遡及適用(経過措置)について   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 平成25年12月12日、与党(自由民主党及び公明党)より「平成26年度税制改正大綱」が公表され、同24日に閣議決定された。これに先立ち、平成25年10月1日には「民間投資活性化等のための税制改正大綱」(以下「秋の大綱」という)が公表されており、これも合わせて平成26年度税制改正大綱として取り扱われる。 秋の大綱に盛り込まれている改正項目については、本誌においてもそれぞれ詳細な解説が行われており、具体的な内容についてはそれらを参照していただきたいが、一部の項目については、経過措置として適用が前年度(すなわち平成25年度)に遡及するものがあるので留意が必要である。 すなわち、改正項目のうち「産業競争力強化法の施行の日」から適用されるものについては、結果的に平成26年度を待たずして適用されるものがあるということである。 なお、「産業競争力強化法」は平成25年12月2日に成立し、現在はその施行令(案)についてe-GOVにて「パブリックコメントの募集」が行われているところである。 この施行令(案)によれば、平成26年1月中旬ないし下旬からの施行が予定されている(こちらを参照)。 そこで以下では、前年度に遡及適用される制度の取扱いについて取りまとめておきたい。   2 秋の大綱に盛り込まれた改正項目 秋の大綱は、企業等の投資行動を加速化させる等の観点から、日本再興戦略(平成26年6月14日閣議決定)に盛り込まれている民間投資を活性化させるための税制措置等について、通常の年度改正から切り離して前倒しで決定されたものである。 この中で決定された改正項目は、以下の通りである(詳細は論末の【参考記事】を参照されたい)。   3 遡及適用の概要 (1) 生産性向上設備投資促進税制 平成26年4月1日前に終了する事業年度において、産業競争力強化法施行日から平成26年3月31日までの間に、対象資産の取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却相当額又は税額控除相当額の償却又は控除ができる。 すなわち、事業年度が平成26年3月31日以前に終了する法人であっても、適用期間中に対象資産の取得等をした場合には、その事業年度では特別償却又は税額控除の適用を受けることはできないが、翌事業年度(平成26年4月1日を含む事業年度)において特別償却又は税額控除の適用を受けることができるということである。 (2) 中小企業投資促進税制(中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度) 平成26年4月1日前に終了する事業年度において、産業競争力強化法施行日から平成26年3月31日までの間に、特定機械装置等のうち生産性向上設備等に該当するものの取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却相当額又は税額控除相当額の償却又は控除ができる。 内容的には生産性向上設備投資促進税制の取扱いと類似しており、特別償却に関してはいずれの税制の適用を受けても取得価額相当額までの特別償却が可能であるが、税額控除を適用する場合には、税額控除限度超過額の1年間の繰越しが認められる分、当税制のほうが有利であると考えられる。 (3) 事業再編促進税制 平成26年4月1日前に終了する事業年度において、産業競争力強化法施行日から平成26年3月31日までの間に、特定株式等の取得をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、その準備金積立相当額の損金算入ができる。 (4) 所得拡大促進税制 改正後の制度は平成26年4月1日以後に終了する適用年度について適用されるが、平成25年4月1日以後に開始し、平成26年4月1日前に終了する事業年度で改正前の所得拡大促進税制の適用を受けていない事業年度(経過事業年度)において、改正後の要件のすべてを満たすときは、その経過事業年度について改正後の規定を適用して算出される税額控除相当額を、改正後税制の適用年度において、その税額控除額に上乗せして法人税額から控除できることとされた。 例えば、平成26年3月期決算法人が【改正前の】所得拡大促進税制の適用要件を満たしておらず、当税制の適用を受けていない場合であっても、【改正後の】所得拡大促進税制の適用要件を満たしている場合には、【改正後の】規定により算出された税額控除相当額を翌事業年度(平成27年3月期)にて追加的に控除できるというものである。 (了)

#No. 51(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2014/01/09

まだある!消費税率引上げをめぐる実務のギモン 【第1回】「前払費用の取扱いについて(その1)」

まだある!消費税率引上げをめぐる実務のギモン 【第1回】 「前払費用の取扱いについて(その1)」   アースタックス税理士法人 税理士 島添  浩 (監修) 税理士 小嶋 敏夫(執筆)   いよいよ平成26年4月1日より、消費税率が8%に引き上げられるが、税率引上げに伴う実務上の問題点については国税庁ホームページやその他の情報でも未だフォローしきれていない問題も残されているため、本連載では税率引上げ後の誤りやすい点又はあらためて注意喚起したい点について、Q&A形式で確認していくこととする。 第1回及び第2回は、消費税率引上げと短期前払費用の特例の適用関係について、以下の具体的な事例を交えて解説することとする。 消費税の計算上、前払費用については、その役務の提供を受けていないことから、原則としてその支出した課税期間において仕入税額控除を行うことはできないが、一定の要件を満たした短期前払費用につき所得税法又は法人税法の規定により必要経費又は損金としている場合には、その支出した課税期間において仕入税額控除を行うことを認めている。 この短期前払費用の特例を適用している場合において、当該前払費用の支出をした日が施行日前でその対象期間が施行日以後にかかる場合に、どのように取り扱うかが問題となる。 【解 説】 それぞれのケースにおける処理方法は、以下のとおりである。 ◆ケース①(消費税においても短期前払費用の特例の適用を受ける場合) 《平成26年3月期》 支払対価12,870,000円のうち5%分を仮払消費税として処理する。 (*1) 12,870,000 × (100/105) 《平成27年3月期》 仕訳なし 新税率(8%)は平成26年4月1日以後に行う課税仕入れについて適用されるため、平成26年3月31日までに新税率を適用した税込対価を支払った場合において、当該対価につき短期前払費用の特例の適用を受けるときは、支払対価の5%相当額である612,857円が平成26年3月期における仕入税額控除の対象となる。 ◆ケース②(新税率対応分について仮払処理する方法) 《平成26年3月期》 法人税については1年分の家賃全額につき短期前払費用の特例を適用する。一方消費税については平成26年1月から3月までの3ヶ月分につき、平成26年3月期において仕入税額控除をする。なお、新税率適用分である4月から12月分に係る消費税については仮払金として処理し、翌期に仕入税額控除を行う。 《平成27年3月期》 前期において仮払金処理した消費税額については、平成27年3月期において仕入税額控除を行う。 ◆ケース③(新税率対応分について、翌期に仕入れに係る対価の返還等を受けたものとして処理する方法) 《平成26年3月期》 ケース①と同様に、課税仕入12,870,000円のうち5%分612,857円を仮払消費税として処理し、平成26年3月期の仕入税額控除の対象とする。 《平成27年3月期》 (*2) 9,720,000 × (100/108) (*3) 9,720,000 × (100/105) 前期において旧税率5%で仕入税額控除の適用を受けた平成26年4月から12月分の税込賃料9,720,000円について、当期において仕入れに係る対価の返還等を受けたものとして処理し、当該賃料について改めて新税率8%で仕入税額控除の適用を受ける。 *   *   * ケース①及びケース③のように、施行日前に支払った新税率対応分について、施行日前の課税期間である平成26年3月期において仕入税額控除の適用を受けるときは、当該課税期間が施行日前の課税期間であるため、新税率での仕入税額控除は行えないことに留意されたい。 (了)

#No. 51(掲載号)
#島添 浩、小嶋 敏夫
2014/01/09

提出前に確認したい「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第1回】「調書の提出対象者」

提出前に確認したい 「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第1回】 「調書の提出対象者」   公認会計士・税理士 前原 啓二   Q 国外財産調書の提出の対象者とは、どのような者ですか。所得税法上の『居住者』と同じですか。また、所得税の課税所得の範囲がどのような者ですか。 A (1) 国外財産調書の提出の対象者 国外財産調書の提出の対象者は、次の①②いずれも満たす者である(調書法5①)。 ただし、上記①②のいずれも満たす者であっても、その年の翌年3月15日までの間に当該国外財産調書を提出しないで死亡し、又は出国をしたときは、提出する必要はない(調書法5①但書)。 ここでの「出国」とは、居住者については、納税管理人(通法117②)の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう(所法2①四十二)。   (2) 所得税法上の個人の区分における『居住者』 所得税法では、個人を居住者と非居住者に区分し、さらに居住者を非永住者と非永住者以外の居住者(ここでは「永住者」とする)に細分して、次のようにそれぞれを定義している。   (3) 国外財産調書提出対象の「居住者」とは 国外財産調書提出対象の「居住者」とは、所得税法第2条第1項第3号に規定する『居住者』(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人。以下「所得税法上の『居住者』」とする)をいい、同項第4号に規定する非永住者(所得税法上の『居住者』のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人)を除く(調書法5①)。 所得税法上の『居住者』にはその非永住者を含むが、国外財産調書提出対象の「居住者」は、非永住者を含まない。国外財産調書提出対象の「居住者」は、所得税法上の永住者(非永住者以外の個人)に該当する。 なお、国外財産調書提出対象の「居住者」であるかどうかの判定は、その年の12月31日の現況によることとされている(調書通5-1)。   (4) 国外財産調書の提出の対象者に対する所得税の課税所得の範囲 所得税法の個人の区分に応じて、所得税の課税所得の範囲が、次のように異なる。 国外財産調書提出対象の「居住者」は、所得税法上の永住者に該当するので、国内源泉所得と国外源泉所得すべてに対して、日本の所得税が課される。 (了)

#No. 51(掲載号)
#前原 啓二
2014/01/09

平成25年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「平成25年分の申告から適用される改正事項①」

平成25年分 確定申告実務の留意点 【第1回】 「平成25年分の申告から適用される改正事項①」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成25年分の確定申告の受付は、平成26年2月17日(月)から3月17日(月)まで行われる。還付申告については、2月16日以前であっても行うことができる。 これから4回にわたり、平成25年分の確定申告における実務上の留意点を解説する。第1回目は、今回の確定申告から適用される改正事項の中から、給与所得に関係するものを取り上げる。 なお、給与所得者の確定申告に関する基本的事項については、拙稿「平成24年分 確定申告実務の留意点【第1回】『確定申告の種類と給与所得者の申告』」をご参照いただきたい。   (1) 給与所得控除の上限設定 給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額は、一律245万円となった(所法28③)。 改正内容の詳細については、拙稿「〈平成25年分〉おさえておきたい年末調整のポイント【第1回】『給与所得控除の上限設定』」をご覧いただきたい。 改正前は、給与等の収入金額が増加すると比例的に給与所得控除額も増加する仕組みとなっていたが、今回の改正により給与等の収入金額が1,500万円を超える場合には、給与所得控除額が245万円で固定される。 したがって、給与等の収入金額が1,500万円を超える者については、下記の通り給与等の収入金額が増加するにつれ、改正前に比べ所得税額が増加することとなる。 *所得控除額の合計額を340万円と仮定し試算している。復興特別所得税は考慮していない。   (2) 特定支出控除の見直し 給与所得者の特定支出控除について、適用の判定基準及び適用対象となる支出の範囲に見直しが行われた。 ① 制度の概要 給与所得者が一定の支出(以下「特定支出」という)をし、1年間の特定支出の合計額が一定金額(以下「判定基準額」という)を超える場合には、その超える部分の金額を給与所得控除後の給与等の金額から差し引くことができる(所法57の2①)。 つまり、特定支出控除を適用した場合の給与所得の金額は、次のように計算される。 特定支出控除の適用を受けるためには、確定申告をする必要がある。申告書には、「給与所得者の特定支出に関する明細書(平成25年分以降用)」及び給与等の支払者の証明書を添付し、特定支出について支出の事実及び金額を証明する書類(領収証等)を添付又は提示しなければならない(所法57の2③、④、所令167の5、所規36の5)。 ② 改正点:その1(判定基準額の引下げ) 改正前は、特定支出の合計額が給与所得控除額を上回った場合に限り、その超過額を追加で控除することができた。 改正後は、特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額(給与等の収入金額が1,500万円を超える場合は125万円)を上回れば、その超過分を追加で控除できることとなり、改正前に比べ制度を利用できる機会が拡大した。 〈改正前と改正後の判定基準額の比較〉   例えば、給与等の収入金額500万円、特定支出の合計額100万円の場合、改正前と改正後の給与所得を比べると次の通りとなる。 ③ 改正点:その2(特定支出の範囲の拡大) 特定支出の範囲は、次の6つに限定されている(所法57の2②)。 このうち、平成25年分の申告から、(エ)資格取得費の範囲が拡大され、(カ)勤務必要経費が新たに追加された。 【資格取得費の範囲の拡大】 平成25年分以後は、資格取得費の範囲に、人の資格を取得するための支出(弁護士、公認会計士、税理士等の資格を取得するために専門学校に通った場合の支出等)が含まれることとなった(所法57の2②四)。 【勤務必要経費の新規追加】 平成25年分以後は、職務と関連のある書籍や新聞、雑誌等の購入費(図書費)、制服や事務服、作業服の購入費(衣服費)、交際費や接待費(交際費等)が新たに特定支出として扱われることとなった(所法57の2②六、所令167の3⑤⑥)。 ただし、勤務必要経費については65万円が限度となる。 なお、特定支出については、次の点にも注意が必要である。 *   *   * 次回は、給与所得以外の所得に関係する改正事項を取り上げる予定である。 (了)

#No. 51(掲載号)
#篠藤 敦子
2014/01/09

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第13問】「譲渡前に新たな居住用財産を取得している場合」-居住用財産の範囲-

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第13問】 「譲渡前に新たな居住用財産を取得している場合」 -居住用財産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、12年ほど前から住んでいた家屋Aを買い換えるため不動産仲介業者に売却と購入を依頼していたところ、家屋Aの買い手が見つかる前に希望どおりの物件が見つかったのでその家屋Bを購入し、昨年の11月に家屋Aから家屋Bに転居しました。 転居後、家屋Aは空家となっていましたが、本年3月になって買い手が見つかり、家屋Aを売却しました。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A 家屋Aは、その居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されているので、「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることができる(措法35①)。 〈解説〉 その居住の用に供していた家屋をその居住の用に供されなくなった後に譲渡した場合、その譲渡した家屋がその者の主として居住の用に供していた家屋に該当するかどうかは、売却の時の現況で判定するのではなく、その家屋を居住の用に供されなくなった時の現況により判定する(措通31の3-9(「主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」の判定時期)(2))。 (了)

#No. 51(掲載号)
#大久保 昭佳
2014/01/09

税務判例を読むための税法の学び方【26】 〔第5章〕法令用語(その12)

税務判例を読むための税法の学び方【26】 〔第5章〕法令用語 (その12)   税理士 長島 弘   9 量や金額を示す表現 ① 「以上」と「超」及び「以下」と「未満」 物の量や金額の範囲を示す表現において、「以上」と「超」、そして「以下」と「未満」が使われるが、この「以上」と「超」、そして「以下」と「未満」は明確に使い分けられている。 法令上、基準となる数値を含む場合には「以」の字を含んだ「以上」とか「以下」という表現を用い、基準となる数値を含まない場合には「超える」とか「未満」という表現が用いられる。 所得税法第89条第1項には、以下のようにある。 例えば195万円ちょうどの場合には、税率は100分の5である。そして100分の10の税率を適用されるのは、1,950,001円からということになる。 ② 「達するまで」 なお「未満」という表現ではなく、「満たない」と書かれている場合もあるが、意味は「未満」の場合と同じである。 法令用語の意味として、「満たない」と同様と解されているものに「達するまで」がある。 通常、法令用語として「達するまで」は、「未満」と同様、基準となる数値を含まないとされているが、税法の条文においては、基準となる数値を含んでいるものと解釈せざるを得ないものがある。 以下に「達するまで」の使用例を見てみる。 まず、税法ではないが、児童福祉法で「未満」の意味の使用例を見てみる。 この条文では、18歳未満の中での区分であるから、第3号にある「18歳に達するまで」は当然18歳は含んでいないことになる。 では次に、法人税法第31条第1項を見てみよう。 この条文にある通り、減価償却費の損金算入限度額は 法人税法施行令第48条以下で規定された方法により、そして減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表に基づいて、その表中の償却率等を用いて算定することになる。 そして、この計算の結果算定された損金算入限度額を上限として損金算入することとなるが、その場合、法人税法第31条に「計算した金額に達するまで」とありながら、その計算された算入限度額を含んでいるのであるから、この場合の「達するまで」は、基準となる数値を含んでいることになる。 もし「未満」の意味であるとすれば、1円が損金不算入とされることになってしまう。 もう1つ、国税通則法の例を見てみる。 これは、過誤納金として納付した金額の還付に係る加算金について定めている条文であるから、過誤納金全額を対象とするものである。したがって条文には「その過誤納の金額に達するまで」とあるが「その過誤納の金額」そのものを含んでいる。 このように、税法の条文では、「達するまで」とありながら基準の数値を含んでいる例が多くあるが、以下の相続税法における使用例は、「未満」の意味である。 この条文では前段に「20歳未満の者である場合においては」とあることから、「20歳に達するまでの年数」には当然20歳は含まれない。 このように「達するまで」という用語は、基準となる数値を含む場合と含まない場合があり、いずれの意味で用いているかは、内容から判断せざるを得ない点は、注意しなければならない。 (了)

#No. 51(掲載号)
#長島 弘
2014/01/09

設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる~設備投資における管理会計のポイント~ 【第1回】「平成26年度税制改正と設備投資に潜む落とし穴」

設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる ~設備投資における管理会計のポイント~ 【第1回】 「平成26年度税制改正と設備投資に潜む落とし穴」   公認会計士・税理士 若松 弘之   以下は、ある企業の社長と顧問税理士の会話の1コマである。 かなり大げさな感じにしてあるが、筆者が聞き及ぶところ、決算が近づくと、このような状況に似た会話が行われることもあるようだ。 この2人の話には、大きな誤りがあるが、賢明な読者であれば気が付いているであろう。 本連載では、設備投資やその回収における経営管理の留意点を管理会計の基本を交えながら解説していく。 この時期に、設備投資に関する経営管理手法や管理会計の基本的枠組みを再確認しておくべき意味は、平成26年度税制改正による設備投資の拡大増加が予想される点にある。 設備投資の促進自体は経済の底上げに必要なことであるが、その趣旨を十分理解し、落とし穴にはまらないことが大事である。   〈設備投資に関連する平成26年度税制改正の概要〉 「民間投資活性化等のための税制改正大綱」(平成25年10月1日与党発表)において、中小企業・小規模事業者の設備投資を応援する中小企業投資促進税制が延長・拡充されることが予定されている。 また、これに加えて今回の大綱では、企業の設備投資をさらに促進させるべく「生産性向上設備投資促進税制」が新規創設されることとなった。この税制の概要は以下のとおりである。 これは、平成25年12月11日に公布され、早ければ平成26年1月下旬に施行されるとされている「産業競争力強化法」の制定に伴い、青色申告書を提出する法人が、同法施行日から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアなどの「生産性向上設備等」に該当する一定規模以上の資産を取得して事業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物及び構築物については25%)の特別償却、または、その取得価額の4%(建物及び構築物については2%)の税額控除(当期法人税額の20%を上限)、を選択適用できるものである。 さらに、同法施行日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたものについては、普通償却限度額との合計でその取得価額(全額)までの特別償却、またはその取得価額の5%(建物及び構築物については3%)の税額控除のどちらかを選択適用できる。 なお、例えば、3月決算法人が同法施行日から平成26年3月末までに、対象資産を取得した場合においても、翌事業年度において、特別償却相当額の償却、または税額控除相当額の控除ができることになっている(下記図表参照)。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます 【留意ポイント】 ■「生産等設備」とは、その法人の事業の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいう。本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は該当しない。 ■「生産性向上設備等」とは、「先端設備」及び「生産ラインやオペレーションの改善に資する」設備として産業競争力強化法に規定するものをいう。 ■本措置の適用対象となる「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいう。 平成26年4月からの消費増税も相まって、平成26年3月までに、いわゆる「駆け込み設備投資」が行われることも想像に難くない。 しかしながら、この税制はあくまでも、設備の老朽化や陳腐化が生産性の伸び悩みの要因となっている企業に対して、本制度を利用することにより、「生産性の向上につながる」新型の設備や生産ライン改善のための設備投資を促す趣旨であることを十分に理解しておく必要がある。 くれぐれも「節税ありき」で本末転倒になることだけは避けなければならない。   〈その「節税」は「課税の先送り」ではないか?〉 一般的に「節税」とは、納税額が減少することを意味するが、厳密にいうと次の2つのパターンに分けられる。 先の会話にあった「減価償却の前倒し」をはじめとして、世の中の多くの「節税」が、②に該当する。 もちろん、現状十分な資金が手許になく、納税のために銀行借入れをしなければならないようなケースでは、とにかく目前の納税額を減らすことは意味のあることであろう。 しかしながら、長い期間を通して見れば、課税所得や支払うべき税額は基本的に同じになるのである(現在のように、復興特別法人税の廃止により将来の法定実効税率の引き下げが予定されている状況では僅かであるが、永久節税効果はある)。 *   *   * 次回は、①と②の違いについて正確に理解するため、設例も使って詳細に解説していきたい。 (了)

#No. 51(掲載号)
#若松 弘之
2014/01/09

減損会計を学ぶ 【第6回】「減損の兆候の例示①」~営業活動から生ずる損益等が継続的なマイナス~

減損会計を学ぶ 【第6回】 「減損の兆候の例示①」 ~営業活動から生ずる損益等が継続的なマイナス~   公認会計士 阿部 光成   「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という)では、減損の兆候を例示している。 今回は、例示されている減損の兆候のうち、資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益等が継続的なマイナスのケースについて解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 減損の兆候の例示 減損会計基準及び減損適用指針では、減損の兆候として、資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益等が継続的なマイナスのケースを例示している。 以下では、上記の減損の兆候を識別する際の留意点を解説する。 1 営業活動から生ずる損益 「営業活動から生ずる損益」とは、次のような項目であるので、おおむね損益計算書の営業損益に相当するものと解される(減損適用指針12項(1))。 実務上、「営業活動から生ずる損益」の把握は、基本的に企業が行う管理会計上の損益区分に基づいて行われると規定されている(減損適用指針12項、78項)。 このため、管理会計がどのように行われているのかについても、減損会計の適用に際してはポイントになるものと解される。 2 継続してマイナス 「継続してマイナス」とは、おおむね過去2期がマイナスであったことを指すと規定されている(減損適用指針12項(2))。 次のことに注意する。 減損適用指針は、当期以降についての具体的な年数を示していないので、例えば、翌期はマイナスとなる見込みだが、翌々期はプラスになるなど、いくつかのケースが考えられる。このため、減損の兆候について、経理規程に定める場合でも、前々期、前期、当期、翌期、翌々期などについて、それぞれプラス・マイナスの組み合わせを考慮し、複雑な組み合わせとして規定してしまうことが考えられる。 しかしながら、本連載【第5回】で述べたように、減損の兆候の識別は、実務上、幅広く行うようにし、減損会計基準及び減損適用指針の例示に限らず、その趣旨を踏まえて判定することになると解される。 したがって、実務においては、減損会計基準及び減損適用指針の趣旨を斟酌し、画一的な運用にならないように注意する必要がある。例えば、翌期はマイナスの見込みだが、翌々期はプラスとなる見込みとなるような場合でも、他の減損の兆候がある可能性を考慮する必要があるので、画一的に2期にわたるかどうかだけに着目して減損の兆候の識別を行わないように留意する。 3 営業活動から生ずるキャッシュ・フロー 減損の兆候の把握には「営業活動から生ずる損益」によることが適切である(減損適用指針12項(3))。 次のことに注意する。 このため、管理会計がどのように行われているのかについても、減損会計の適用に際してはポイントになるものと解される。 なお、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」によって、減損の兆候を識別する場合、設備の大規模な増強のための支出は、減損の兆候があるかどうかを判断するための「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」に含める必要はないと考えられると述べられている(減損適用指針80項)。 4 事業の立上げ時 事業の立上げ時など予め合理的な事業計画が策定されており、当該計画にて当初より継続してマイナスとなることが予定されている場合、実際のマイナスの額が当該計画にて予定されていたマイナスの額よりも著しく下方に乖離していないときには、減損の兆候には該当しない(減損適用指針12項(4)、81項)。 固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損損失は当初投資の失敗を意味していると解される(本連載【第4回】を参照)。 したがって、事業の立上げ時などあらかじめ合理的な事業計画が策定されている場合に、当初の投資時点から「営業活動から生ずる損益」又は「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」が継続してマイナスとなることが予定されている場合には、当初投資の失敗という考え方にはなじまず、投資後の収益性の低下により減損が生じている可能性を示す事象ではないと解される。 (了)

#No. 51(掲載号)
#阿部 光成
2014/01/09

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第29回】企業結合会計①「合併の会計」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第29回】 企業結合会計① 「合併の会計」   仰星監査法人 公認会計士 許 仁九   〈事例による解説〉   〈X2年3月期の連結修正仕訳〉 ○開始仕訳 ○当期純利益の振替   〈会計処理〉 P社の会計処理 (1) 親会社(P社)持分(80%)に係る会計処理 (2) 少数株主(A社)持分(20%)に係る会計処理   〈会計処理の解説〉 親会社が子会社を吸収合併する場合、当該取引は「共通支配下の取引」に該当することになります(企業結合に関する会計基準(以下、「基準」)16項)。 1 諸資産 親会社P社が子会社S社から受け入れる諸資産は、合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上します(「指針」206項(1))。 2 株主資本及びのれんの会計処理 合併期日直前の持分比率に基づき、親会社持分相当額と少数株主持分相当額に按分し、会計処理を行います。 (1) 親会社持分相当額の会計処理 諸資産の親会社持分相当額960と親会社が合併直前に保有していた子会社株式(抱合せ株式)の適正な帳簿価額800との差額を抱合せ株式消滅差益として、特別利益に計上します(「指針」206項(2)①ア)。 (2) 少数株主持分相当額の会計処理 諸資産の少数株主持分相当額240と、取得の対価(少数株主に交付した親会社株式の時価)300との差額をのれん(注)とします(「指針」206項(2)①イ)。 のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します(「基準」32項)。 合併により増加する親会社の株主資本の額は、払込資本(資本金又は資本剰余金)とします(「指針」206項(2)イ、79項)。 (注) 平成25年9月13日に公表されました、改正後の「企業結合に関する会計基準」等(原則、平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用)においては、資本剰余金として計上することとなりましたが、現行の基準に基づき記載しています。 合併後のP社個別貸借対照表上、のれんが60計上され、総資産が同額増加しています。 (了)

#No. 51(掲載号)
#許 仁九
2014/01/09

〔会計不正調査報告書を読む〕【第14回】株式会社雑貨屋ブルドッグ・「棚卸資産に係る不適切な会計処理に関する第三者委員会調査報告書」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第14回】 株式会社雑貨屋ブルドッグ・ 「棚卸資産に係る不適切な会計処理に関する 第三者委員会調査報告書」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【概要】   【株式会社雑貨屋ブルドッグの概要】 株式会社雑貨屋ブルドッグ(以下「雑貨屋ブルドッグ」という)は、1976年10月設立。ファッション雑貨の小売店舗を全国チェーン展開する。売上高112億円、従業員数288名(2012年8月期)。本店所在地は静岡県浜松市。JASDAQ上場。   【報告書のポイント】 1 調査結果により判明した事実 (1) 不適切な会計処理が発覚した経緯 会計監査人である監査法人トーマツは、管理本部財務課課長より、平成25年8月期第3四半期決算及びそれ以前において、棚卸資産に関連して不適切な会計処理が行われていたことを示唆する情報提供を受けた。 会計監査人は、直ちに、代表取締役社長に対し、事実関係の調査、法令違反などの事実があれば、是正その他適切な措置をとるよう申し入れた。その結果、棚卸資産に関して、一部、不適切な会計処理が行われていた疑義(以下「本件疑義」という)を認識したため、第三者委員会を設置することを決議した。 (2) 不適切な会計処理の概要 ① 棚卸データの改ざんによる在庫の過大又は過少計上 財務課課長は、取締役管理本部長による個別具体的な指示に基づいて、システム課が集計した各店舗における実地棚卸の各店舗別・ジャンル別の集計金額について、過大又は過少となる金額を直接上書き入力することにより改ざんした。 ② 店舗間の不適切な在庫の移動処理による在庫の過少計上 財務課課長は、取締役管理本部長による個別具体的な指示に基づいて、平成22年8月期末の在庫計算の過程において、実際の商品の移動を伴わないにもかかわらず、エクセルファイル上のシートの数字を操作することにより、閉鎖店舗の在庫は一律にゼロとして処理する方針に従い、在庫の過少計上を行った。 ③ 在庫の計上額算定過程におけるロス率の改ざん 平成22年8月期末の決算に係る実地棚卸に基づく在庫計上額と理論在庫に基づき算定したロス率は13.1%となり、通常2~3%のロス率より高いため、財務課担当者は、会計監査人に在庫計算に関して疑義を抱かれる可能性があると考え、取締役管理本部長の個別具体的な指示に基づき、基準日における理論在庫の金額を改ざんすることにより、ロス率を3.1%に調整した。 ④ 売変データの取込漏れ(月次在庫計算過程) 売価の変更(売変)が行われた商品については、売変による在庫計上額の減算を行うところ、期間限定なしに売価を変更する「売切売変」について、月次の在庫計算に含めないよう取締役管理本部長から財務課担当者に個別具体的な指示があり、月次の理論在庫が過大に計上されていた。 ⑤ 売変データの取込漏れ(期末在庫計算過程) 平成25年8月期の決算監査において、会計監査人が実地棚卸手続の立会いを行ったところ、実地棚卸用ハンディターミナルに表示される売価と店舗における売価との間に差異があるものが検出された(期末在庫は過大計上となる)。 システム課による検証の結果、商品単価に売変データを取り込むクエリが作動しないようになっていたことが判明、実行行為者は不明であるが、上記④のとおり、月次決算においても売変データを意図的に反映していないことに鑑みれば、意図的なものであった可能性は否定できない。 ⑥ 未実現利益の不適切な算定による在庫の過大計上 連結決算手続において、期末棚卸資産のうち100%子会社からの仕入れ分について未実現利益の額を消去すべきところ、これを過少に消去することにより、棚卸資産を過大に計上したものである。 (3) 不適切な会計処理が発覚しなかった原因 雑貨屋ブルドッグにおける期末在庫の計算プロセスは、実地棚卸結果の報告までは複数の部署・人員が関与し、コンピュータシステムによる自動化も進んでいたため、不正が介在しにくい状況であった。 しかし、実地棚卸結果が管理本部財務課に報告された後は、2名程度の人員により、手作業入力を伴う膨大な計算プロセスを必要とする業務が行われていた。 そして、旧経営陣による指示のもと確定した棚卸資産金額については、実地棚卸を行った店舗や人員と共有されることはなく、作業過程や計算結果が確認されることもなかったため、他部署からの牽制は効かず、いわばブラックボックス化していた。 (4) 不適切な会計処理による影響額について 棚卸資産の過大計上額は、直近の2年で大きく膨らんでいる。下表については、正の金額は過大計上を、負の金額(▲表記)は過少計上を表している(単位:千円)。   2 調査報告書の特徴 (1) 小売業における期末在庫をめぐる粉飾決算 本連載第7回でも取り上げたように、小売業者が粉飾決算を行う手口としては、期末在庫の棚卸残高を過大に計上することによって当期の売上原価を過少に、利益を過大にするという手口が一般的である。その際には、実際の在庫数量の水増しよりは、売価還元率の算定にあたり売価を高めに設定する手法が用いられることが多い(本連載第7回参照)。 こうした粉飾を防止し、発見するためには、実地棚卸を現場任せにせず、内部監査部門や会計監査人が立ち会うことが有効である。本件でも、会計監査人が実際の店舗に足を運んで、ハンディターミナルに表示されている売価と店頭価格の相違という「不正の端緒」を発見している(上記1(2)⑤)。 (2) 旧経営陣が醸成した企業風土 報告書は、7月に退任した前代表取締役を中心とする旧経営陣について、業績不振が進む中、利益を確保することに強い執着を有し、各種の経費削減策を継続的に行うほか、平成22年8月期には不採算店舗(62店舗)の閉鎖を伴うリストラを行ったが、業績・利益の回復を実現できない状況にあったと断じ、人事権を含む圧倒的かつ強大な権力を背景に、決算日における棚卸資産確定の主要な実務作業を担当していた管理本部財務課の職員に対して、棚卸資産額の操作指示を行っていたものである、と結論づけた。 (3) 計画性のない粉飾 期末棚卸データの改ざんは、「取締役管理本部長による個別具体的な指示」に基づいて、財務課課長が行ってきたものであったが、平成23年8月期においては、棚卸データが過少に改ざんされていた。 これは、平成22年8月期において不採算店舗の廃止に伴う在庫の移動処理が適切に行われず、一律に不採算店舗の在庫はゼロとしたため、在庫の移動を受け入れた店舗では、理論在庫を実在庫が上回ってしまい粗利率が異常値を示したため、これを通常値になるよう、在庫を過少に改ざんしたものであった。 こうした手口が示すように、本件の不正にはあまり計画性は感じられず、不採算店舗の大規模な閉鎖というリストラ策をもってしても業績が向上しないことに対する旧経営陣の焦りが、安易な期末棚卸残高の調整による不正へと走らせたものと言えよう。 (4) 課長による会計監査人に対する通報 報告書から前後関係は読みとれないが、データを改ざんしていた財務課課長は、前代表取締役が7月10日に退任した後、会計監査人に対して、棚卸資産の不適切な会計処理を示唆する情報を提供したようである。会計監査人から適切な措置をとるように申入れを受けた現代表取締役が社内調査を行わせた結果、本件不正は発覚するに至った。 経営陣が関与する不正は露見しづらいこと、経営トップの交代を機に発覚する不正が少なくないこと、不正実行者がプレッシャーに耐えきれずに情報を洩らすこと、そうした不正発覚のパターンは、本件不正でも読み取れた。 (5) 当事者の責任追及・関係者の処分 本件第三者委員会も、その設置目的の中に「法的責任の追及」「関係者処分案の検討」といった文言は見られない。 7月10日退任した前代表取締役、改ざんを「個別具体的に指示した」とされる取締役管理本部長(11月22日、一身上の都合により辞任)ら旧経営陣の責任追及はどうするのか、会社の情報開示からは不明である。またそれ以外の関係者についても、「関係法令、社内規程等に基づき厳正に処分することを検討」しているとリリースしたにとどまっている。 (6) 再発防止策 雑貨屋ブルドッグは、本年4月にアクサス株式会社と資本業務提携を発表し、その後7月に同社代表取締役社長を代表取締役として迎え入れ、大幅な組織変更の実施、執行役員制度の導入など、経営改善に取り組んでいる。 そうした中、本件不正は発覚したわけであるが、11月14日リリースの再発防止策では、社外取締役の選任、監査役会の活性化など、上場会社としてはきわめて当然の施策とともに、決算関連業務を見直し、「在庫情報を共有化する仕組みを構築」して「互いに常時チェックを行う」としており、こうした地道な取組みは、経営管理本部の解体などすでに実施済みの改善策とともに、再発防止に資するものと考える。 (了)

#No. 51(掲載号)
#米澤 勝
2014/01/09
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