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プロフェッションジャーナル No.338が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年10月3日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.338を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/10/03

monthly TAX views -No.81-「消費税の特徴と今後の日本にとっての存在意義」-増税を機に改めて考える-

monthly TAX views -No.81- 「消費税の特徴と今後の日本にとっての存在意義」 -増税を機に改めて考える-   東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授 森信 茂樹   二度の延期を経て、当初の予定から4年遅れて消費税率が10%に引き上げられた。消費税率の引上げについては、未だエコノミストたちからの評判は芳しくない。 しかし増税は、社会保障制度を持続可能なものにするため、あるいは後世にその代金の付けまわしをしないために行うのであって、「リーマンショック級の危機」がない限り粛々と行われるべきだ。その意味で、安倍政権の今回の決断は評価すべきと考える。 その上で、中長期的に考えて、消費税が経済社会にもたらす影響も見極める必要がある。以下では消費税の意義やメリットを、所得税や相続税などと比較しながら考えてみたい。 *  *  * 最初に指摘したいのは、消費税の哲学的な意義である。 「所得」は、自ら労働をして稼得することから得られる。そこに課税することは、社会にとって有用な勤労をパニッシュする(勤労意欲をくじく)効果を持つ。一方で「消費」は、美味しいものを食べたい、ブランド品のバッグを持ちたいという自らの欲望を満たす行為である。したがって、そこに課税することについては、社会的な公平性があるといってもよい。 筆者がかつて駐在した英国では、当時のサッチャー首相が、消費税のメリットについてたびたび演説していたが、「消費税を負担するのが嫌なら、消費を我慢すればいい。消費税は、皆さんが選択できる税だ。」と発言していたことを思い出す。 *  *  * 次に、消費税の課税ベースは消費、つまり所得から貯蓄を差し引いたものである。貯蓄が課税ベースから外れるので、貯蓄には優しい税となる。所得税は、貯蓄後の金融所得・収益にも課税するので二重課税という批判もあるが、消費税にはそのようなことは生じない。 高齢化社会では、経済成長の原資となる貯蓄・資本は大変貴重である。税制でこれを優遇することは、経済成長を促すともいえよう。もっともその反面、消費に負荷がかかるというマイナス面がある。消費税が嫌われる最大の原因はここにある。 *  *  * 3つめのメリットは、消費税の仕向け地課税(国境調整)という性格から来る。付加価値税を導入した欧州諸国は、共通して仕向け地主義を採用している。その結果、消費税は輸出免税となり、増税しても国の輸出競争力に悪影響を及ぼさない。 米国トランプ政権は、ボーダータックスや仕向け地主義法人税など、国境調整できる税制を導入しようとしたが、国民や議会から理解が得られず、うまくいかなかった、彼らが消費税を「垂涎の的」とするのは、仕向け地課税主義にある。 *  *  * 最後に、執行面の公平性・コンプライアンスの高さである。インボイスを使って点々流通する取引について、仕入税額控除という制度で最終消費者に負担を送っていく制度は、事業者間相互にけん制効果が働くので、脱税は極めて困難になる。所得税の導入されていないアフリカの国でも消費税(VAT)が導入されているのは、この理由からだ。 消費税が抱える問題は逆進性だ。しかし人間の一生をとれば、生涯所得=生涯消費である。つまり生涯をとれば逆進性は平準化され、なくなるのである。さらにいえば、勤労時代にだけ累進税で課税する所得税より、一生かけて消費する際にフラットな税率で課税する消費税の方が、個人にとって負荷が少ない。世代間の公平性にも資するのである。 *  *  * 今後のわが国の社会保障ニーズの増加とひっ迫した財政状況を見ると、団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年には、介護・医療を中心に、消費税率に換算して数%程度の追加的な財政需要が予想されている。これは、相続税の引上げで対応できるような規模ではない。 社会保障費の肥大化を抑える歳出削減を行うとともに、消費税率の引上げについても議論を開始しておくことが必要ではないか。 そのためにも、消費税の税制としてのメリットをきちんと整理しておくことが必要である。 (了)

#No. 338(掲載号)
#森信 茂樹
2019/10/03

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例10】「賃貸用マンションのリフォーム費用の損金性」

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例10】 「賃貸用マンションのリフォーム費用の損金性」   国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦   【Q】 私は都内で父親から引き継いだ賃貸マンションを経営しております。当該賃貸マンションは、現在、顧問税理士の勧めで、私が代表を務める不動産管理会社が所有しております。 さて、当該賃貸マンションは築年数が既に20年を経過しており、近隣の同規模のマンションと比較すると、内部の設備の陳腐化が目立っておりました。そこで、今般居室内の台所及び浴室を全面リフォームし、新たに最新鋭のシステムキッチン及びユニットバスに交換いたしました。これは、当該マンションの居住用機能を回復させるために必要不可欠な工事であると認識しており、不動産管理会社の法人税の申告においては、その際要した工事費を全額修繕費として損金に算入しております。 ところが、先日管理会社において受けた税務調査で、調査官から「今回のリフォームは既存の台所及び浴室を解体し、新たにシステムキッチン及びユニットバスに交換したもので、当該取替費用は、通常必要と考えられる修繕に係る費用とは認められず、賃貸マンションの建物自体の価値を高めるものであるから、資本的支出に該当する。したがって、修繕費としての損金算入は認められない」と言い渡されました。 顧問税理士は税務署の主張に沿って修正申告を提出すべきと主張するのですが、私は納得できません。今般のリフォーム費用を修繕費として損金算入するのは誤った経理処理なのでしょうか、教えてください。   【A】 ある支出が修繕費に該当するのか、それとも資本的支出に該当するのかは、法人税に関する税務調査で最も問題となる事項の1つですが、その判断基準は、当該支出により建物の価値を高めたり(資産の価値増加)、耐久性を増すといった効果(使用可能期間の延長)があった(資本的支出)のか、それとも単なる維持補修費ないし原状回復費用というべきもの(修繕費)なのか、という点になります。 本件の場合、今回のリフォームは既存の台所及び浴室を解体し、新たにシステムキッチン及びユニットバスに交換したもので、マンションの価値を高め、耐久性を増すという効果が認められることから、修繕費ではなく資本的支出であると考えられます。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■ (1) 修繕費か資本的支出かの判断基準 周知のとおり、法人におけるある支出が修繕費に該当するのか、それとも資本的支出に該当するのか(「修繕費 or 資本的支出」)は、法人税に関する税務調査で最も問題となる事項の1つである。法人税法では、その原則的な判断基準として、以下の規定を置いている。 内国法人が、修理、改良その他いずれの名義をもってするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するもの(そのいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額)は、その内国法人のその支出する日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない(法令132)。 上記のような固定資産の取得原価に組み入れられる支出を一般に「資本的支出」といい、法人税法上、その金額を取得価額とする新たな減価償却資産を取得したものと取り扱われる(法令55)(※1)。 (※1) 平成19年度税制改正前の従前の取扱いでは、資本的支出があった場合には、その金額をその資本的支出の対象となった減価償却資産の取得価額に加算することされていた。 一方、「修繕費(期間費用)」は、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の通常の維持管理のためや、毀損した固定資産につきその原状を回復するために要した認められる部分の金額をいうものとされている(法基通7-8-2)。修繕費に該当すると、支出時において直ちに損金算入される。 修繕費か資本的支出かの一般的な判断基準を図で示すと、以下の通りとなる。 〇修繕費か資本的支出かの一般的な判断基準   (2) 通達による修繕費か資本的支出かの判断基準 法人税法の上記規定は、一般的な判断基準を示しているが、実務上の指針としてはやや概括的である。そのため、日々の経理に携わる経理担当者や税理士のための実務指針として、法人税基本通達が以下のようなやや細かい事例を「例示」として挙げている。 ① 資本的支出の例示(法基通7-8-1) (ア) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額 (イ) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用 (ウ) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額 (注) 建物の増築、構築物の拡張・延長等は、建物等の取得(※2)に該当する。 (※2) 税法上の資本的支出は、収益的支出に対応する概念と捉えられている会計上の資本的支出(資産の取得を含む)よりも狭い概念と考えられている。 ② 修繕費の例示(法基通7-8-2) (ア) 建物の移曳(曳家)又は解体移築をした場合におけるその移曳又は移築に要した費用の額(移築費用) (イ) 機械装置の移設に要した費用(解体費を含む) (ウ) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額 (エ) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額 (オ) 現に使用している土地の水はけをよくする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額 ③ 数値基準 法人にとって修繕費関連の支出は極めてありふれており、その判断をある程度画一的に行うことが実務上要請されていることから、国税庁は更に「修繕費 or 資本的支出」に係る金額ないし年数の基準(数値基準)を通達で示しており、多くの企業で実際に活用されている。 (ア) 20万円基準(法基通7-8-3(1)) (イ) 概ね3年周期の費用(法基通7-8-3(2)) (ウ) 60万円基準(法基通7-8-4(1)) (エ) 前期末取得価額の概ね10%相当額以下(法基通7-8-4(2)) (オ) 継続して7(資本的支出):3(修繕費)の基準で経理しているか(法基通7-8-5)   (3) 賃貸用マンションの台所・浴室をリフォームしたときの支出について争われた裁決事例 次に、所得税の事例(※3)ではあるが、賃貸用マンションの台所・浴室をシステムキッチン及びユニットバスにリフォームしたときの支出に関し、修繕費か資本的支出かについて争われた裁決事例があるので、以下でみていきたい(国税不服審判所平成26年4月21日裁決・裁事95集・TAINSコード:J95-2-06)。 (※3) 所得税と法人税とでは資本的支出と修繕費の区分につき基本的に同じ考え方を採っており、例えば、所基通37-10は法基通7-8-1に、所基通37-11は法基通7-8-2に対応する規定である。 この事案は、不動産貸付業を営む納税者(請求人)が、賃貸用マンションの流し台等の取替工事に係る費用の全額を修繕費として不動産所得の必要経費に算入し申告したところ、原処分庁は、当該費用のうち、減価償却資産の新規取得に係る減価償却費の額及び修繕費となるもの以外の部分の金額は必要経費に算入できないなどとして更正処分等を行ったのに対し、請求人は、当該費用は居住用機能を回復させるため劣化した流し台等を取り替えたものであり、全額修繕費に該当するなどとして、その全部の取消しを求めたものである。 争点はズバリ、本件各取替工事に係る費用は、修繕費又は資本的支出のいずれに該当するかである。 審判所は以下の通り判示し、納税者・請求人の主張を斥けている。   (4) 本件への当てはめ 上記事案で納税者が主張したもののうち、「当該各工事の施工は、本件建物の基礎及び柱等の「建物の躯体」に影響を与えることがなく」という点については、若干検討が必要であると考えられる。すなわち、リフォームによって台所や風呂の取替を行っても、「建物の躯体」に影響を与えることがないことから、建物本体の使用可能期間を延長させるものではなく、そうなると裁決事例に係る各取替費用は、資本的支出の1つの要件(使用可能期間の延長)を満たさないこととなる。 しかし、裁決事例に係る各工事により各住宅に設置されたシステムキッチン及びユニットバスは、建物と物理的・機能的に一体不可分なものと認められるから、当該取替によりそのマンションの価値の増加及び建物全体の使用可能期間の延長をもたらすものと考えられる。したがって、裁決事例に係る各取替費用は資本的支出に該当することとなる。 本件の場合も、今回のリフォームは既存の台所及び浴室を解体し、新たにシステムキッチン及びユニットバスに交換したもので、マンションの価値を高め(資産の価値増加)、耐久性を増す(使用可能期間の延長)という効果が認められることから、修繕費ではなく資本的支出であると考えられる。 (了)

#No. 338(掲載号)
#安部 和彦
2019/10/03

《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第6回】「相続税申告における複眼的視点をもったリスク管理」~取引相場のない株式評価に関する税務・会社法からのアプローチ~

《相続専門税理士 木下勇人が教える》 一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第6回】 「相続税申告における複眼的視点をもったリスク管理」 ~取引相場のない株式評価に関する税務・会社法からのアプローチ~   公認会計士・税理士 木下 勇人   優良企業の取引相場のない株式については、かねてより事業承継対策の中心であり、未だ課題も多い。また、「特例事業承継税制(法人版)」が平成30年度税制改正により導入されたことで、相続税・贈与税の納税猶予制度適用における相続税評価額が多大な影響を及ぼすことになった。 そこで本稿では、相続税申告実務において自己株式の取得等に関する誤りやすい箇所を税務・法務の視点から複眼的に検証することとする。   1 自己株式 (1) 議決権停止による直接的な影響 自己株式は取得した段階で議決権が停止する(会社法308②)。そのため、取引相場のない株式(出資)の評価明細書において、以下の直接的影響を受ける。 (2) 自己株式取得による間接的な影響 ◆会計仕訳 ◆税務仕訳 自己株式取得の際、上記の税務調整を行うことにより、以下の間接的な影響を受ける。 ここで、上記仕訳の結果、仮に資本金等がマイナスになった場合であっても、マイナスの値を計算基礎とすることが必要である(なぜなら結果的に、マイナスにマイナス(1株あたり株価)を乗じることにより、正の値になるため)。 また、第4表(類似株価)の算定上、課税時期が直後期末に極端に近い場合であっても直前期末の数値を基に計算するため、直前期末から課税時期までに自己株式の取得があっても、第4表に反映されることはない。 さらに、自己株式の取得により議決権割合が増加することから、場合によっては原則的評価・特例的評価の判断に影響を及ぼすとともに、会社経営の根幹たる会社支配権そのものに影響を及ぼす可能性もあるため、注意を要する。 (※) A家とB家は非同族の別親族   2 相互保有株式 (1) 議決権停止による直接的な影響 相互保有株式は議決権が停止する(会社法308①)。つまり、総株主の議決権の4分の1以上の株式を保有すると相手が保有する株式については議決権が停止することになる。ただし、自己株式と異なり、議決権停止の判断を自ら行う必要があるため注意を要する。 例えば、評価対象会社(X社:普通株式)がY社の株式を30%保有しており、Y社(普通株式)がX社株式を15%保有している場合、Y社が保有するX社株式15%の議決権は停止する。 以上より、取引相場のない株式(出資)の評価明細書において、以下が直接的に影響を受ける。 (2) 相互保有株式による間接的な影響 相互保有株式により、その他の株主の議決権割合が増加することから、自己株式と同様、場合によっては原則的評価・特例的評価の判断に影響を及ぼすとともに、会社経営の根幹たる会社支配権そのものに影響を及ぼす可能性もあるため、注意を要する。 (了)

#No. 338(掲載号)
#木下 勇人
2019/10/03

相続空き家の特例 [一問一答] 【第32回】「「相続空き家の特例」を受けることができる家屋⑤(老人ホーム等に入居中であった場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-(平成31年(2019年)4月1日以後の譲渡に係る取扱い)

相続空き家の特例 [一問一答] 【第32回】 「「相続空き家の特例」を受けることができる家屋⑤ (老人ホーム等に入居中であった場合)」 -相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲- (平成31年(2019年)4月1日以後の譲渡に係る取扱い)   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、昨年2月に死亡した母親の家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得した後、耐震リフォームをした上で、本年12月に5,400万円で売却しました。 母親は、その家屋で一人暮らしをしていましたが、相続の開始数年前から老人ホームに入居し、相続の開始直前その家屋は既に空き家となっていました。 なお、老人ホーム入居後から相続の開始前まで、その家は母親の物品の保管場所として使用され、また、相続の開始から譲渡の時までも空き家の状態でした。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用を受けることができるでしょうか。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 A 平成31年(2019年)4月1日以後に行う譲渡であれば、「相続空き家の特例」を受けることができます。 ●○●○解説○●○● 「平成31年度税制改正」前においては、「相続空き家の特例」の適用対象となる家屋は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋でなければならないこととされ(旧措法35④)、老人ホーム等入居中の死亡については、「その被相続人がその相続の開始の直前において老人ホーム等に入居していて、既にその家屋を居住の用に供していなかった場合には、本特例の対象となる被相続人居住用家屋には該当しないこととなります(財務省「平成28年度税制改正の解説」152頁抜粋)」と示され、その対象から除外されていました。 しかし、被相続人となる親が相続開始の数年前から老人ホーム等に入居している場合も多く、年々増加している空き家対策の推進を図る観点等から、「平成31年度税制改正」において、そのハードルが下げられ、老人ホーム等に入居していた場合も対象に加えられました(措法35④)。 老人ホーム等に入居していた場合でも、次に掲げる要件その他一定要件を満たす場合に限り(措令23⑥⑦)、相続の開始の直前において、その被相続人の居住の用に供されていたものとされます。 なお、本特例の適用を受けるためには、被相続人居住用家屋所在地の市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける必要があります。 同確認書の申請を市区町村へ行う際の、老人ホーム等に入居していた場合の上記の要件に係る提出書類は、次のようなものとされています(国土交通省HPを参照)。 (了)

#No. 338(掲載号)
#大久保 昭佳
2019/10/03

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第13回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第13回】   千葉商科大学商経学部講師 泉 絢也   〈更なる検討〉 ~「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの意義(法人税法22条の2第1項との関係)~ 法人税法22条の2第1項は、「資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供」に係る収益の額の計上時期に係る定めである。法人税法22条2項と異なり、「無償による資産の譲受けその他の取引」については規定していない。このことの意義をどのように解すべきか。《①法人税法22条2項が規律し、22条の2第1項が規律していないもの》(前回参照)の1つとして捉えることのできる論点である。 少なくとも、立法者が、意識せずに、法人税法22条の2第1項に「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めなかったと解するのは妥当ではない。同項における「資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供」という部分は、直接的には引用していないものの、法人税法22条2項と同じ文言を使用しているからである。よって、意識的に「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めなかったと解することが自然である。 では、なぜ、法人税法22条の2第1項に「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めなかったのか。かかる取引が収益認識会計基準の対象外であることと関係している可能性がある。法人税法22条の2第1項に関して立案担当者から次のような説明がなされていることも考慮すると、同項が「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの直接的な理由として、かかる取引が収益認識会計基準の対象外であるという点を、含めなかった理由の候補として挙げることができる(立案担当者の見解の要旨については、後記(6)(本連載第17回)も併せて参照)。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』273~274頁) 「無償による資産の譲受けその他の取引」は収益認識会計基準の対象外であることを法人税法22条の2第1項がかかる取引を含めていないことの直接的な理由として挙げることは、次のような考え方によって理論的に補強される。すなわち、法人税法22条の2第1項は、収益認識会計基準の導入に伴う税制改正により創設されたものであるから、同項の規律範囲と収益認識会計基準の取扱い範囲が完全に重なるという考え方である。収益認識会計基準が法人税法22条の2第1項の創設に直接的な影響を与えていることを前提として、同項の規律範囲と収益認識会計基準の取扱い範囲が完全に重なるという結論を導き出す考え方であるといってよい。 かような考え方をとると、法人税法22条の2第1項が「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの直接的な理由は、かかる取引が収益認識会計基準の対象外とされているからである、という説明は理解しやすい。 他方、以下に掲げる立案担当者の解説に触れると、法人税法22条の2第1項が「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの直接的な理由は、かかる取引が収益認識会計基準の対象外であることに帰すると論断することは躊躇される(後記「(6)立案担当者の見解の要旨」のキも参照)。 すなわち、立案担当者は、法人税法22条の2第4項等において手当てした収益の額として益金の額に算入する金額に係る改正に関して、次のように説明している。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』270頁) また、立案担当者は、法人税法22条の2第1項等において手当てした収益の額を益金の額に算入する時期に係る改正に関して、次のように説明している。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』271頁) これらによれば、立案担当者は、収益認識に関する会計基準の導入を契機として収益の計上額に係る規定(法人税法22条の2第4項)を定めることの必要性を実感し、かかる規定の整備に伴い、収益の計上時期(認識時期)に係る規定(法人税法22条の2第1項)の制定にまで切り込んだようである。言い換えれば、収益認識会計基準に従った収益の額の計算のうち、法人税の所得の金額の計算として認めるべきでない部分があれば、その部分を明示する必要が生ずるという認識の下で法人税法22条の2第4項の創設を立案し、同項を設けることに合わせて、収益の計上時期についても通則的な規定を設けたようである。 すると、収益認識会計基準が収益の計上時期に関する改正に与えた影響は、間接的なものにとどまるという評価も成り立つであろうか。仮に成り立つとすれば、法人税法22条の2第1項の規律範囲と収益認識会計基準の取扱い範囲は完全に重なるという道筋はブレはじめ、法人税法22条の2第1項が「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの直接的な理由はかかる取引が収益認識会計基準の対象外とされているからである、とは言い切れないのではないかという見方にもつながる。 法人税法22条の2第4項等において手当てした収益の額として益金の額に算入する金額に係る改正に関する上記解説においては、収益認識会計基準に従った収益の額の計算のうち、法人税の所得の金額の計算として認めるべきでない部分があれば、その部分を明示する必要が生ずるという立案担当者の認識が開陳されていた。 立案担当者は、次に示す法人税法22条の2第1項等において手当てした収益の額を益金の額に算入する時期に係る解説においては、収益認識会計基準以外の企業会計原則に従った処理が行われた場合に想起される不都合に対応するためにも、収益の認識時期について通則的な定めを設ける必要が生じたと説明している。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』271~272頁) 上記解説は、全体として、収益認識会計基準が収益の計上時期に関する改正に与えた影響は間接的なものにとどまるという評価を支える一材料になりそうである(もっとも、上記解説の下線部分からすれば、収益の額を益金の額に算入する時期に係る改正についての補足的な説明にすぎないのかもしれない)。 上記解説を図示すると、次のようになる。 上図の①について、改正前の法人税法63条1項は、内国法人が、長期割賦販売等に該当する資産の販売等をした場合において、その資産の販売等に係る収益の額及び費用の額につき、その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の日の属する事業年度以後の各事業年度の確定した決算において延払基準の方法により経理したときは、その経理した収益の額及び費用の額は、その各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額及び損金の額に算入することとされていた。 平成30年度改正において、この法人税法63条が改正され、長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度に関する別段の定めについて、リース取引を除き廃止することとされた。 改正の理由については、次のとおり、収益認識会計基準の導入により、同会計基準を適用した法人は割賦基準(延払基準)により収益費用を経理することができなくなるところ、仮に改正前の法人税法63条を存置すると、収益認識会計基準を適用しなければならない法人とそうでない法人との間で不公平が生ずることとなるため、収益認識会計基準の導入を契機として、改正することとしたと説明されている。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』272~273頁) 上図の①や③に着目すると、収益認識会計基準が収益の計上時期に関する改正に与えた影響は、間接的なものにとどまるという評価に向かいそうである。他の部分を見ても、要するに、法人税法63条が改正され、割賦販売に係る収益の認識時期について別段の定めが存在しないことになったところ、法人税法22条4項との関係で、逆に全ての割賦販売について割賦基準や延払基準により所得の金額の計算をすることが可能であるように解釈されるおそれが生じるため、このような解釈とならないようにするためにも、収益の認識時期について通則的な定めを設ける必要が生じた旨の説明がなされているのであるから、やはり上記と同様の評価に行き着きそうである。 視点を変えて、結果論的に議論を眺めることも可能である。収益認識会計基準は固定資産の譲渡を適用対象外としているのに対して、法人税法22条の2第1項は、その文面上、「資産の譲渡」(棚卸資産以外の資産の譲渡)も規律対象に含めており、固定資産の譲渡にも適用されるものとなっている。固定資産の譲渡が収益認識会計基準の対象外であることを理由に、法人税法22条の2第1項も固定資産の譲渡を対象外としているわけではないのである。結果的に見れば、法人税法22条の2第1項の規律範囲と収益認識会計基準の取扱い範囲が完全に重なっているわけではないことになる。 立案担当者は、このことについて、次のように解説している。 (財務省『平成30年度 税制改正の解説』274頁) 固定資産の譲渡が収益認識会計基準の対象外であることを理由に、法人税法22条の2第1項も固定資産の譲渡を対象外としているわけではないことを踏まえると、同項が「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めていないことの直接的な理由はかかる取引が収益認識会計基準の対象外であることに帰すると直ちに論断することはやはり躊躇される。 このように見てくると、法人税法22条の2の創設と収益認識会計基準との関係はやや判然としないという指摘もできそうである。 なぜ、法人税法22条の2第1項に「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めなかったのかという問いに対しては、次のような理由も候補としてあげておく。 法人税法22条の2第1項は、資産の販売等に係る収益の計上時期のルールを定めるに当たり、当該法人から見てインプットである対価ないし経済的利益に着眼したものというよりも、むしろ、アウトプットである引渡しや役務提供に着眼したものである(上記(2)イ(本連載第10回)参照)。 このような観点から見た場合に、少なくとも「無償による資産の譲受け」の場合は、譲り受けた側の法人においてアウトプットである引渡しや役務提供を観念することはできない。そこで、そのインプットである対価ないし経済的利益に着眼せざるをえない。この点で、資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供の場合とは相違するため、改正の支流から外れた。 いずれにしても、法人税法22条の2第1項は、22条2項と異なり、「その他の取引」という包括的な語も使用していないため、文字どおり、「資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供」に限定して適用される。立法時において意識的に「無償による資産の譲受けその他の取引」を含めなかったのであるとすれば、法人税法22条の2第1項は「無償による資産の譲受けその他の取引」には適用されないという理解はより強固のものとなる。   (了)

#No. 338(掲載号)
#泉 絢也
2019/10/03

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第73回】「印紙税一括納付承認申請書及び納税申告書の書き方」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第73回】 「印紙税一括納付承認申請書及び納税申告書の書き方」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   当社は金融機関です。預貯金通帳等については、その預貯金通帳等を作成しようとする場所の所轄税務署長の承認を受けることにより、預貯金通帳等に係る印紙税について収入印紙を貼り付けることに代えて、金銭で一括して納付することができるとされていますが、その際の承認申請書の記載方法及び納税申告書の記入方法について教えてください。   預貯金通帳等に係る印紙税の申告及び納付の特例を受ける場合には、あらかじめその預貯金通帳等を作成しようとする場所の所轄税務署長の承認を「印紙税一括納付承認申請書」により、承認を受けようとする最初の課税期間の開始の日の属する年の3月15日までに提出しなければならない。 申告については、毎年4月1日現在における預貯金通帳等に係る口座の数を基礎として計算した課税標準数量及び、納付すべき税額などを記載した納税申告書を、4月末日までに提出し、その申告書の提出期限までに印紙税を納付しなければならない。 [記載例] ◎印紙税一括納付承認申請書 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 《申請に当たっての注意点》 ◎印紙税納税申告書(一括納付用) ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 [補足] 印紙税の一括納付の適用を受ける必要がなくなった場合には、「印紙税一括納付承認不適用届出書」を提出する。 なお、申告等については、電子による申告申請及び電子納税による方法も可能である。   一括納付承認申請に係る参考条文(法12①、法令12①、基通91の2) (了)

#No. 338(掲載号)
#山端 美德
2019/10/03

〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第14回】「もし桃太郎がイヌに成功報酬を出すと言ったら~変動対価で収益計上」

〈桃太郎で理解する〉 収益認識に関する会計基準 【第14回】 「もし桃太郎がイヌに成功報酬を出すと言ったら ~変動対価で収益計上」 公認会計士 石王丸 周夫   1 成功報酬はどのように会計処理するのか 今回は「桃太郎がイヌに成功報酬を出す」というお話に変えてみましょう。 鬼退治に出発した桃太郎が1人で歩いていると、イヌがワンワンとやってきました。 「桃太郎さん、お腰につけたきびだんごを1つ私にくださいな。」 「鬼退治について来るなら、あげましょう。」 「え~っ!鬼退治ですかァ!」 イヌは鬼退治と聞いてびっくりしました。きびだんご1つのために、命がけの仕事をするのはちょっとどうかと思ったようです。 その様子を見た桃太郎は、迷っているイヌに言いました。 「鬼退治が終わってから3ヶ月たっても、鬼ヶ島が平和であることが確かめられたら、ごほうびにもう1つきびだんごをあげるよ」 「えっ!? 本当ですか? それなら喜んでお供します!」 桃太郎は、鬼退治が完全に成功した場合に、きびだんごを追加することを提案しました。いわゆる「成功報酬」です。 この成功報酬は、イヌにとっては収益です。収益認識会計基準では、これをどのように会計処理するのでしょうか。   2 変動対価という考え方 収益認識会計基準では、「変動対価」という考え方が導入されました。これまで日本の会計にはなかった概念です。 サービスの売り手であるイヌが、サービスの買い手である桃太郎と約束した対価のうち、変動する可能性のある部分を「変動対価」といいます。イヌが鬼退治同行サービスの提供と引き換えに桃太郎からもらうきびだんごは、「必ずもらえる最初の1つ」と、「もしかしたらもらえる3ヶ月後のもう1つ」です。 1つめにもらうきびだんごは基本報酬のようなもので、固定対価と呼ばれます。これに対して、3ヶ月後にもらえるかもしれない「もう1つ」は、「変動対価」と呼ばれます。 イヌが桃太郎に鬼退治同行サービスを提供した時点では、もらえるかどうか確定していないので、変動する可能性を含んでいるという意味です。 取引の対価に変動対価が含まれている場合、収益を計上するにあたって、変動部分の金額を見積もります。今回のお話のように、生じ得る結果が2つ(完全に退治するか、不完全に終わるか)しかない場合、最頻値をもって見積額とします。 「最頻値」とは、発生し得ると考えられる対価の額における最も可能性の高い単一の金額のことで、桃太郎がイヌに約束したごほうび(成功報酬)については、以下のように見積もります。 これらのうち可能性が高いのはどちらなのか、ということを判断するわけです。   3 計上した金額がリバースされない見通しならよい 変動対価部分について見積金額で収益計上するに際しては、次のような条件があります。 分かりにくい文章なので、今回の桃太郎のお話に置き換えてみましょう。 イヌの運動能力の高さを根拠に、上図のシナリオ1の可能性が高いと見込んだ場合、イヌはごほうびのきびだんご1つ(成功報酬分)を収益計上するわけですが、あとになってそれを取り消すようなことにはならない可能性が高くなければいけない、という意味です。 ここでいう「可能性が高い」の意味するところですが、例えば、著しい減額が発生しない可能性が51%、著しい減額が発生する可能性が49%といった程度では、「可能性が高い」とはいえません。「可能性が高い」とは、著しい減額が発生しない可能性が 非常に高い状況を示すとされています。 この判定を行うにあたっては、例えば以下のような要因を考慮して決定します。   4 成功報酬の計上時期判断は難しい イヌが成功報酬部分を履行義務充足時に収益計上できるかどうかを考えてみます。 先ほど示した諸要因のうち、今回のお話で実際に当てはまりそうなのは(3)でしょうか。「イヌの鬼退治の経験が浅く、結果を予測することが困難であること」という要因です。鬼退治同行サービスでは、この要因がクリアできるかどうかは重要です。 イヌ・サル・キジたちに鬼退治の経験があるなどという話は、聞いたことがありません。経験のないメンバーで戦ったので、一部の鬼を取り逃がした可能性は排除できません。こうした点を踏まえると、成功報酬を収益計上することはできないということになります。 一方で、次のような考え方もあります。 イヌがお供することになった時点では、この先どうなるかはまだ予測不可能でした。しかし、サルとキジが加わったことで、鬼退治における役割分担が確定し、鬼に勝利する見通しが立ちました。過去に鬼退治の経験はありませんが、勝利への明確な道筋が描けたことで(3)の要因への懸念は消えたと判断するのです。 そう判断できるのであれば、桃太郎一行が鬼退治から無事に帰ってきた時点で、3ヶ月後の確認を待たずして、イヌは成功報酬を収益計上することになります。 ▷今回のまとめ 収益認識会計基準では、「変動対価」という新しい概念が導入され、見積もりにより収益計上する会計処理方法が示されています。 (了)

#No. 338(掲載号)
#石王丸 周夫
2019/10/03

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《個別注記表》編 【第2回】「個別注記表の記載例」

〔事例で使える〕 中小企業会計指針・会計要領 《個別注記表》編 【第2回】 「個別注記表の記載例」   公認会計士・税理士 前原 啓二   はじめに 前回は、中小企業に多い株式譲渡制限規定を定款に設けている株式会社において、個別注記表にどのような項目が必要であるかをご紹介しました。 今回は、そのような会社における個別注記表の1つの記載例を、サンプルとして例示します。 【設例2】 当社は、当年度から個別注記表を作成するつもりですが、記載のサンプル例を示してください。 当社は、定款に「当社の発行する株式の譲渡による取得については取締役会の承認を受けなければならない。」と定められています(株式譲渡制限規定を定款に設けている株式会社)。また、大会社ではなく、会計監査人を設置していません。 当年度において、会計方針の変更や表示方法の変更は行っておらず、また、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準)に基づく会計処理を行っていません。 有形固定資産は直接控除法により貸借対照表に表示しています。 退職給付引当金に係る未償却の適用時差異が残っています。 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行い、未経過リース料があります。 配当は、利益剰余金を原資とします。 個別注記表の記載例はたくさん考えられますが、記載サンプルの1つとして、次のような例が挙げられます。 なお、会計方針やその他の事項について、それぞれの会社が実際に選択適用している方法や実際の具体的内容により記載する必要があります。 (了)

#No. 338(掲載号)
#前原 啓二
2019/10/03

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第9回】「『女性』と『シニア層』が生き生きと働ける職場づくり」

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第9回】 「『女性』と『シニア層』が生き生きと働ける職場づくり」   Be Ambitious社会保険労務士法人 代表社員 特定社会保険労務士 飯野 正明   ▷人口の減少は始まっている ご存知の通り、わが国の人口はすでに減少し始めています。総務省統計局によれば、2010年10月1日現在の日本の人口は1億2,805万人でしたが、2019年9月1日現在(概算値)では1億2,615万人となっており、190万人も減少しています。 一方、総人口は減少している中で、増えているのが「高齢者(65歳以上)人口」と「労働力人口」です。 「高齢者人口」は、2019年9月15日現在、3,588万人と前年(3,556万人)に比べ32万人増加し、総人口に占める割合は28.4%と、前年(28.1%)に比べ0.3ポイント上昇し、人口、割合ともに過去最高となりました。それに伴って、高齢者の就業者も増加しています。2004年以降、15年連続で増加し、2018年の高齢者の就業者は、862万人と過去最多となっています(総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」)。 また、下記の表からわかるように「労働力人口」は平成25年から継続して増加しており、それを支えているのは女性の労働力といえます。 ◆労働力人口及び労働力人口総数に占める女性割合の推移 (出所) 厚生労働省「平成30年版 働く女性の実情」 今後の人手不足解決のために重要となるのは、「女性」と「高齢者」であり、会社は、そのような方々にとって就労しやすい環境を整える必要があります。   ▷女性の活躍推進に向けて 1 仕事と育児の両立 職場における女性の活躍推進をお話するうえで、重要なこととして「仕事と育児の両立」が挙げられます。 近年、「イクメン」といった言葉もあるように、男性の育児への関与も増えてきていますが、まだまだ女性が中心となって育児を行っているケースが多いのではないでしょうか。そのため、女性に生き生きと働いてもらうためには、会社として、女性が仕事と育児を両立しやすい環境を整える必要があります。 現在、育児休業に関する法律である「育児介護休業法」は、大企業と中小企業の区別なく適用されています。 主な法律の内容は、以下のとおりです。 2 少人数でもできた育児休業の実例 実は、筆者の事務所は安産祈願で有名な「水天宮」からも近いこともあって、子宝に恵まれた事務所となっています。この5年間に3人の職員が子宝に恵まれ、計5回の育児休業が発生しました。 そこで実例として、人数が少ない中でのやりくりについて、以下でお話いたします。 以上のように実例として筆者の事務所を取り上げましたが、いかがだったでしょうか。 「仕事と育児の両立を支えること」は、確かに中小企業にとって負担も大きいことでしょう。しかし、そこを乗り切ることでチームワークが堅固となった実例もあるのです。   ▷シニア層の活躍 シニア層の働くことに対する意欲や体力は個人差も大きく、職場で活躍してもらうには、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務や週3、4日の勤務など、会社としては柔軟な雇用形態を提供できるようにすることが不可欠です。 また、雇用機会を多く確保するためには、「同じ業務を日によって異なる人が担当する」といった「ワークシェアリング」を図ることになります。ワークシェアリングをする場合には、「どこまで業務が終わっているのか」、「どこから始めたらいいのか」、「何が足りなくて仕事が滞っているのか」といった情報を担当者間で伝達・共有する仕組みが必要となります。 なお、シニア層が活躍している事例としては、ある飲食店では早朝勤務にシニア層を就労させることで、正社員の勤務時間の短縮を図ることに成功した事例や、同様の考え方で小売店では早朝の時間帯に「店長」として就労させている事例もあります。また、製造業では技術や経験を若手に伝える存在としてシニア層に就労してもらい活躍している事例があります。 以上のように、それぞれの企業にあったやり方で働き続けたいシニア層に活躍してもらうことで、人手不足の解決も可能であると考えます。 どういった方法で働いてもらうにせよ、シニア層の活躍のためには健康面に配慮しつつ働くことができ、働き方も柔軟に選べるようにする体制を整えることが、会社として必要となります。   ▷まとめ ここまで、女性とシニア層の活躍について、事例を取り上げながらお話をしてきました。多様で柔軟な働き方を提供できる仕組みづくりは、これまで以上に会社にとって重要なことであるといえるでしょう。 人手不足の中、これまで働いていなかった方が「働きたくなる仕組み」、今働いている方が「辞めずにいられる仕組み」を会社ごとに考える必要があるのではないでしょうか。 下記の表は、中小企業における「同僚の離職理由」です。ここに挙げられていることのいくつかは企業努力で改善できることではないでしょうか。 手をつけられそうなところから始めてみませんか。 ◆同僚の離職理由 (出所) 厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書(平成26年5月)」 (了)

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#飯野 正明
2019/10/03
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