検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10857 件 / 4951 ~ 4960 件目を表示

M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務 「むすびに代えて」~「財務・税務と法務との対話と協働」再び~(後編:「『損害』とは何か」を弁護士と会計士が考える)

M&Aに必要な デューデリジェンスの基本と実務 (最終回)   弁護士法人ほくと総合法律事務所 パートナー 弁護士 石毛 和夫   ◆むすびに代えて◆ ~「財務・税務と法務との対話と協働」再び~ 【後編】 「「『損害』とは何か」を弁護士と会計士が考える」   (※1) 「純資産法」とは、資産から負債を差し引いた額である純資産を用いて株価を計算する方法。 (※2) 「DCF法」については財務・税務編【第3回】を参照。 *  *  * (連載了)

#No. 340(掲載号)
#石毛 和夫
2019/10/17

中小企業経営者の[老後資金]を構築するポイント 【第18回】「M&Aによる第三者への承継」

中小企業経営者の [老後資金]を構築するポイント 【第18回】 「M&Aによる第三者への承継」   税理士法人トゥモローズ   中小企業経営者の事業承継の手法として、前回まで、①親族内承継(自社株の贈与や譲渡)、②親族外承継(自社株を自社の役員・従業員が購入(MBOやEBO))について、老後資金確保の観点から見てきた。今回は全くの第三者への事業承継であるM&A(Mergers and Acquisitions)について確認したい。 M&Aとは「企業の合併・買収」を意味し、具体的には経営者が持つ自社株を第三者に売却し経営権を引き渡すことである。つい先日も、アパレルのオンラインショップ大手の有名経営者がIT企業に自社の株式を譲渡したが、まさにM&Aの一形態といえる。 昨今の少子高齢化・人材難の時代にあって、特に中小企業経営者にとって後継者不足は頭の痛い問題である。その点、M&Aによって買収企業を見つけることができれば、自社株の売却による老後資金の確保及び会社の事業承継問題を一気に解決させることができる。   1 M&Aのメリット・デメリット まずはM&Aを実施した場合のメリットとデメリットを見ていきたい。ここでの登場人物は、中小企業(対象企業)、中小企業経営者(売り手)、買収企業(買い手)、FA(フィナンシャルアドバイザー)の4者となる。   2 M&A実行時に係る税制 次に、M&Aを行った際に関係する税制について見ていきたい。M&A実行時の中小企業経営者(売り手)にとっての税負担は注視する必要がある。 (1) 株の売却益 自己が保有する株式を買収企業に売却した場合、その他の所得と区分して(申告分離課税)(※)、売却益に対する税率は20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)となる。 (※) その他の非上場株式との損益通算は可能。上場株式との損益通算は認められない。 (2) 退職金 1の①のとおり、経営から退くことにより役員退職金を受給する場合の税負担(所得税額)は下記のとおりである。 (図1)退職所得控除 (図2)退職所得の源泉徴収税額の速算表 (注)Aは千円未満切捨て (了)

#No. 340(掲載号)
#税理士法人トゥモローズ
2019/10/17

令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第7回】「マネジメントの醍醐味は人材育成にあり」~社員が辞めない、人が育つ組織作りとは~(組織論③:人材育成編)

令和時代の幕開けに思い馳せる 会計事務所経営 【第7回】 「マネジメントの醍醐味は人材育成にあり」 ~社員が辞めない、人が育つ組織作りとは~ (組織論③:人材育成編)   株式会社アーヌエヌエ 代表取締役 杉山 豊   未曽有の人材不足に直面し、そもそも採用の本来の目的を忘れていることはないでしょうか。 「面接時に見込んだ能力で、最高のパフォーマンスを仕事で発揮してもらうこと」 これが採用の本来の目的のはずなのに、どうも採用ばかりに躍起になってしまって、本末転倒の状態になってしまってはいませんか? さらに、採用した社員がただ単に個のパフォーマンスのみを追求するような組織風土では、そもそも組織である必要すらありません。 組織とは様々な個性のある人達が、たった1つの目的を達成するために力を合わせるから「組織」というのではないでしょうか。 「一人社長」、「一人事務所」ならまだしも、2人以上いればそれは「組織」です。 一人一人にそれぞれ人格があり、一人一人に価値観があり、一人一人に得手不得手があります。 先生は経営者として、その「人」の個性を大切に育んでいますか? 仮にチームがまとまらないと悩みを持っているのであれば、それはその「個」を尊重していないことに原因があるのかもしれません。   ➤「押しつけ」から「引き出す」育成へ 「教育」を英訳すると「education」ですが、その語源はどこからきているかご存知でしょうか? 実は、ラテン語の「educare」から来ていると言われています。そもそも「educare」は「引き出す」という意味です。 だから育成とはすなわち、能力を「発揮させる」「引き出す」ことにあるのです。 さて、先生方の育成で社員の能力を「引き出せ」ていますか? 「教える」ならまだしも「押しつけ」になってはいませんか? 私も20年近くマネジメントを経験してきました。 その中で人材育成には大いに悩み苦しみ、そして大いに喜び楽しみを味わってきました。 そんな中で転機となった、ある「事件」がありました。 「事件」の話はここでは触れませんが、これが今の私に大きく影響を及ぼしたと言ってよいと思います。 それはまさに、育成が「押しつけ」から「引き出し」に変わった瞬間でもありました。   ➤自身のモノサシだけで人を図るという愚かさ サラリーマン時代の私は幸いにも営業マンとして輝かしい成果を挙げました。 そして、拠点長としても社史に残るほどの実績を残すことができました。 しかし、その「事件」が起こるまでは、これらの成果はすべて私の力だけで成し得たものだと思っていたのです。 まだ40歳手前の頃で、ずいぶん鼻息も荒かったと記憶しています。 しかしながらその「事件」があって、自身の愚かさを痛感しました。 大いに部下に気づかされ、猛省し、自身の生き方、そしてマネジメント方法、育成方法にも大きな変化が起こりました。 それまでの私は、自身のモノサシでしか人を図ることができなかったのです。 私は営業マン、そして拠点長としての実績から、まさに自身を成功の教本だと思い込み、「自分を真似れば全員が成功する」という大きな勘違いをしていたのです。 それは前述した「押しつけ」そのものだったと思います。 そんな私が、そのあと80名もの部下を持つまでに至ったのは、恐らく人を育てる上での基本方針が180度変わったからに他なりません。 「押しつけ」から「引き出し」へ、本当の教育である「個」を育てるということに気がついたからです。   ➤人材育成のための5つのポイント 今回はこの「educare」、つまり「人材育成」について、ポイントを5つに絞ってお伝えします。多少なりとも参考になれば幸いです。 以上、5つのポイントはいかがだったでしょうか。 これらを十分に押さえられていると思う先生は、どうぞ根気よく続けてください。 できていなかったと気づいた先生は、どうぞこのような「引き出す」人材育成に挑戦してみてください。 このたった5つのポイントをしっかりとオペレーションできれば、人材は育ち、強い組織になると思います。 *  *  * 「組織力」とは個の力を存分に発揮させることで生まれます。 その個の力を余すことなく発揮させる環境を作るのが、リーダーである先生方の仕事です。 マネジメントと聞くと「管理」と言う言葉が頭に浮かびますが、人は「管理」では決して育ちません。 先生の強いリーダーシップを感じるからこそ、人は育つのです。 (了)

#No. 340(掲載号)
#杉山 豊
2019/10/17

《編集部レポート》 第46回日税連公開研究討論会が札幌で開催

《編集部レポート》 第46回日税連公開研究討論会が札幌で開催 Profession Journal 編集部   日本税理士会連合会(神津信一会長)は、第46回日税連公開研究討論会を札幌で開催した。 札幌での公開研究討論会の開催は15年ぶり。 公開研究討論会は、税理士による研究成果の発表、討論の過程を通じて、税制・税務行政及び税理士業務の改善・進歩並びに税理士の資質の向上を図るとともに、本会が行う研修事業に資することを目的として実施する、との理念の下、毎年開催されているもの。 今回の担当は、第1グループ =北海道税理士会、東北税理士会の2税理士会が担当し、それぞれ次のテーマで発表を行った。 当日はおよそ1,000名の税理士が全国から集い、研究発表の成果に耳を傾け、来賓として灘野正規札幌国税局長と鈴木直道北海道知事が来場し、花を添えた。 (北海道会の発表の様子) 東北会は、QRコードを活用した会場内アンケートを実施し、瞬時に結果を公開するなど新たな試みもみられた。 (東北会の発表の様子) 当日の北海道会と東北会の研究発表の模様は、日税連HP(会員専用ページ)から視聴できる。 次回第47回は第6グループ(四国税理士会、中国税理士会)が担当し松山で開催される。 (了)

#No. 340(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/10/17

《速報解説》 監査役協会、「監査役(会)の視点から見たコーポレートガバナンス改革」を公表~監査役会の機能強化等を提言~

《速報解説》 監査役協会、「監査役(会)の視点から見たコーポレートガバナンス改革」を公表 ~監査役会の機能強化等を提言~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年8月7日付で、(公社)日本監査役協会関西支部 監査実務研究会は、「『監査役(会)の視点から見たコーポレートガバナンス改革』~現状の課題とより機能するためへの提言~」を公表した。 これは、コーポレートガバナンスの取組みが進む中、東証上場会社のうち約7割に当たる監査役(会)設置会社に期待される役割・機能に関する議論があまり聞こえてこないとの問題意識から、コーポレートガバナンス改革の中で、監査役がその真価を発揮するために何がなされるべきかを議論したものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 表紙を含めて23ページある。 以下では、報告書の「Ⅲ.監査役の視点から見たガバナンス改革」で述べられている主な内容について解説する。 ガバナンスの強化が行われた一方で、長年にわたり行われてきた監査役制度改革の効果が十分な効果をあげられなかったのか、もしそうだとするとその要因は何かについて、未だ明確なコンセンサスが得られたとはいえない中で、ただ国際競争力強化を旗頭に、英米型の企業統治の導入が促進されようとしている感は否めないのではなかろうかとし、従来型の監査役会設置会社は、依然として我が国の主流であり、その監査役から見た基本的な課題を述べている(9ページ)。 1 モニタリング化する取締役会との機能の未整合 非業務執行者である監査役の監査は、基本的に執行者たる取締役に対する監査を基本としており、「監督」者たる非業務執行取締役の職務妥当性をどのような観点から監査するのかについて、十分な整理ができているとはいえない(10ページ)。 議案をチェックするのは、第一義的には社外取締役か、監査役なのか、また、社外取締役も取締役として監査対象であるなら、「社外取締役との連携を確保すべき」(CGコード「補充原則4-4①」)についてどのように整理されるのかなどである。 2 「守り」の機能と取締役化への懸念 コーポレートガバナンス・コードでは、社外取締役の役目としては「攻めのガバナンス」に焦点が当てられる一方、監査役は、「守り」を中心にこれを担うという対比した文脈に置かれている(10ページ)。 しかしながら、経営を競技に例えるならば「攻め」と「守り」は不可分であり、取締役は両面でのガバナンス構築に責任があるとし、監査役は競技を離れた立場から、その双方が機能しているかを監視する職務がある。 我が国において、企業の公正さを外部へ保証するには監査役への信頼をベースに、監査報告に包括的に委ねるものであったが、これも英米型の、より詳細を開示することを通しての保証へと急速に変化しつつあるとの認識を示し、監査役が経営執行の片輪としての「守り」にとらわれれば、会社法の想定する客観性・独立性を放棄し、その信頼を自ら損なう危険性があるのではないかと述べている(11ページ)。 3 監査役の独立性の脆弱性 監査役の人事に関する例を示し、報酬や教育とともに、監査役(会)の独立性をいかに担保するかは依然として大きな課題であると述べている(11ページ)。 4 監査役がより機能するための提言 次の提言を行っている。 (了)

#No. 339(掲載号)
#阿部 光成
2019/10/16

《速報解説》 会計士協会、法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点をまとめた研究報告を公表~各社の有報・プレスリリース等公表資料を抜粋した参考事例も~

《速報解説》 会計士協会、法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる 実務上の論点をまとめた研究報告を公表 ~各社の有報・プレスリリース等公表資料を抜粋した参考事例も~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年10月7日、日本公認会計士協会は、「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」(租税調査会研究報告第35号)を公表した。 これは、上場企業における役員報酬制度改革の更なる推進の一助となるため、また、日本公認会計士協会の会員の実務に資することを目的として、役員給与に関する税務上の論点を検討したものである。導入例や実務上の留意点、裁判例なども具体的に記載されており、実務に資するものと思われる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 研究報告は表紙を含めて93ページあり、また、「参考事例資料」として80ページある。 検討している主な内容は次のとおりである。 以下では、主な内容について解説する。 1 金銭報酬(業績連動の金銭報酬)(P11) コーポレート・ガバナンスの強化のためには、短期だけではなく、中長期的な企業価値の向上が求められ、株式報酬のほか、次のような金銭報酬について、概要、導入例、税務上(法人税法、所得税法)の取扱いが述べられている。 2 株式報酬(事前交付)(P19) 事前交付型の株式報酬は、インセンティブとして機能するように、職務執行の開始時に譲渡制限付株式を交付し、一定の条件を満たした場合に譲渡制限を解除する設計が一般的に利用される。 法人税法上、事前交付型の株式報酬については、業績連動給与に該当するものについては、一定の要件を充足しない限り、その全額を損金算入することはできない。 他方、業績連動給与に該当するもの以外の株式報酬については、①特定譲渡制限付株式であり、かつ②事前確定届出給与の要件を満たした場合に、損金算入が可能である。 事前交付型の株式報酬の場合は、事前確定届出給与に当たるものとして設計されることが多いと思われるとのことである。 損金算入要件、損金算入時期、損金算入額などについて詳細に述べられている。 3 株式報酬(事後交付)(P25) 在任時の事後交付型株式報酬は、現物株式を事後(一定期間経過後又は業績評価期間終了後)に役員に交付されるものである。 初年度(スキーム導入時)に対象となる役員等への金銭報酬債権付与の決議を行い、一定の業績等連動期間後に、当該金銭報酬債権が現物出資財産として払い込まれ、株式が発行される。 次のものがある。 また、報酬相当額を信託に拠出し、信託が当該資金を原資に市場等から株式を取得した上で、一定期間経過後に役員に株式を交付する、いわゆる株式交付信託の仕組みによる設計もある。 パフォーマンス・シェア・ユニット、株式交付信託、リストリクテッド・ストック・ユニットについて、制度の概要、導入例、税務上の取扱いなどが述べられている。 4 インセンティブ報酬に関する退職給与(P39) 平成29年度税制改正前においては、役員退職給与は法人税法34条1項の規制対象外であり、退職した役員に対する退職給与の額のうち、不相当に高額な部分の金額を除いて(法人税法34条1項本文括弧内及び2項)、全額が損金算入対象であったが、平成29年度税制改正以後は、役員退職給与であっても、「業績連動給与」に該当するものは法人税法34条1項の規制対象とされ、同項3号に定める要件を充足しない限り、損金不算入となっている(法人税法34条1項本文)。 研究報告では、①インセンティブ報酬に関する退職給与に係る税務と②その他の退職給与に係る税務に区分してその概要、論点(裁判例を含む)について述べている。 5 役員給与の減額・返還-クローバック-(P64) 「クローバック」(clawback)とは、一般に、財務諸表の修正再表示や不祥事などの、あらかじめ定められたトリガーとなる事由が生じた場合に行われる、すでに支給された報酬の取戻しをいう。 クローバックの法的性質、税務上の論点などについて述べられている。 (了)

#No. 339(掲載号)
#阿部 光成
2019/10/11

プロフェッションジャーナル No.339が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年10月10日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.339を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/10/10

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第81回】「シャウプ勧告から読み解く租税法解釈(その3)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第81回】 「シャウプ勧告から読み解く租税法解釈(その3)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   Ⅳ シャウプ勧告と今日の租税法 1 シャウプ勧告は解釈論に影響を及ぼさないのか これまでの連載では、シャウプ勧告が我が国の今日の税制を構築するに当たって極めて強いインパクトを持って迎えられ、それによって大改革が展開されたにも関わらず、その後の度重なる税制改正によって、その本旨とするところに修正が施されてきた点を確認した。 むしろ、今日的には、シャウプ勧告の理念や思想はさることながら、具体的な条文の解釈論を展開するに当たって、同勧告は直接的な参考となるものではないような事例が散見されており、租税法解釈において、シャウプ勧告は必ずしも重要視すべき参考資料としての意義を有していないようにも思われる。 しかしながら、本当にそうであろうか。 2 墓石・カロート事件 ここに、東京地裁平成24年1月24日判決(判時2147号44頁。以下「東京地裁平成24年判決」という。)を確認しておきたい。 これは、宗教法人が霊園の墓地等の使用者から永代使用料等として収受した金員のうち、墓石及びカロート(墓石の基礎と一体となった骨壺等を収納するための設置物)に係る部分は、法人税法上の収益事業による所得に該当し、また、消費税の課税対象になると判示された事例である。 このように、東京地裁平成24年判決は、宗教法人への収益事業課税の趣旨について、一般の私企業との競争関係や、課税の公平などを掲げている。 このように、たとえその事業がその公益法人等の本来の目的たる事業であるときであっても、「収益事業」に該当する場合には課税対象となる旨を判示している。 この点、原告は、公益法人等について原則として法人税を課さないこととしているのは、公益法人等の公益的活動に課税面で配慮することとしたものでもあり、公益法人等の公益的活動については、非課税とする趣旨であると主張する。 その上で、公益法人等の行う収益事業であっても、公益的活動及びこれと密接不可分な事業については非課税と解すべきであって、一般事業者との競争条件の平等を図るいわゆるイコールフッティングをその論拠に持ち出すのは不当である旨の主張をした。 これに対して、東京地裁平成24年判決は次のように判示する。 ここで引用されている最高裁平成20年9月12日第二小法廷判決とは、いわゆるペット葬祭業事件と呼ばれる事件であるが、宗教法人が死亡したペットの飼い主から依頼を受けて葬儀業を行う事業が法人税法2条13号所定の収益事業に当たるとされ、課税処分が妥当とされた事件である。 東京地裁平成24年判決は、かかる最高裁を引用し、イコールフッティング論を展開しているわけであるが、同地裁の判示を引き続き確認しよう。 ここでは、公益法人等に対する課税制度がシャウプ勧告を受けたものであり、同勧告が公益法人等に対しては一定の優遇を用意するものの、それでも、全ての事業に対して優遇を行おうとしていたのではなく、かかる事業に伴う財貨の移転が役務提供の対価なのかあるいは単なる喜捨等の性質を有するものかという点に勘案した税制として構築されたものであることからすれば、イコールフッティングという考え方が、当時の同制度の趣旨から導出できるというのである。 3 シャウプ勧告の影響を受けた公益法人等課税制度 このように公益法人等課税制度を語る際には、まず、シャウプ勧告における税制創設の趣旨から論じられることが多いように思われる。 例えば、東京地裁平成18年6月2日判決(税資256号順号10416。以下、「東京地裁平成18年判決」という。)も次のように述べて、シャウプ勧告による公益法人等課税制度の趣旨を論じている。 東京地裁平成18年判決は、東京地裁平成24年判決よりも詳細に制度背景を確認しており、シャウプ勧告を確認している。 東京地裁平成18年判決の判示を見るに、上記のような背景をもって設けられた公益法人課税制度について、法が特別になんらかの修正を加えていない以上は、当初の趣旨が生きていると解すべきことになるのであろう。 東京地裁平成18年判決は、結論として上記のように述べ、納税者の主張を排斥しているのである。   結びに代えて シャウプ博士は、「税制は、国民の最も貴重な資源の一つです。もし税制が打撃を受け、うまく機能しなくなったりしたら、国は全体としてインフレに移行し、その他にも何が起こるかわかりません。したがって税制を保護するためには、全体的な不公平感を是正しなければなりません。納税者なしの税制はありえませんし、納税者自身が納得して、全体としても筋が通っていてこそ公平な税制といえるのです。」と述べている(金子宏司会ほか座談会「カール・シャウプ博士を囲んで」税研23号52頁(1989))。 このようにシャウプ勧告は租税の公平を基調として我が国の税制を構築したことが分かる。 もっとも、シャウプ勧告は、所得税中心主義であり、そこでは包括所得課税の理念の下、キャピタルゲイン課税を徹底する旨を論じ、一旦はそれに従った税制が設けられたものの、その後の税制改正において、同勧告の採用するキャピタルゲイン課税に制限を加えるなどの改正が度々なされたことも前述のとおりである(本連載「その2」も参照)。 そのような意味では、所得税中心主義を採用しているとはいえない今日の税制を前提としたとき、また、完全なる包括所得課税や完全なるキャピタルゲイン課税が貫徹されていない今日においては、シャウプ勧告の考え方と一致しているとまではいえないため、個別の条文解釈に直接の影響を及ぼす余地は少ないかもしれない。 (※) 林建久教授は、シャウプ税制が実施後わずか2、3年で税制の核心部分が解体されてしまったことについて、「はじめからそれが当時の日本に適応ないし無理だったことを意味するのであって、はじめはよかったのに、時とともにまずくなっていったということではない。」とされる(林「シャウプ勧告の意味するもの」税研15巻3号24頁(1999))。林教授は、「シャウプ勧告は、戦後日本の租税体系の原点に位置している。それは、戦前・戦時にしだいに形成されてきた日本自身の税制の発展という面をもっていないわけではないが、むしろその税制に対するシャウプ氏の批判から生まれてきた面のほうがはるかに強い。かと思うと、一方ではアメリカでも実行されていないような制度がかなり採り入れられている。それはアメリカ税制についてのシャウプらの意見なり批判なりが、アメリカでは実現できずに日本にその場を見出した結果ではないかとも推測される。とすれば、この勧告は、占領政策の一環、ドッジ・ラインの一環ではあるが、よりつよくシャウプらの租税理念実現の場であったということになりそうである。そして、他ならぬそのことが、シャウプ勧告のその後の運命を大きく左右することにもなったのではないかと想像される。運命というのは、ここでは短命の謂いである。すなわち、勧告にもとづいて日本政府が新たにつくった1950(昭和25)年度の税制は、当初から必ずしも全面的には勧告を採り入れていなかったのであるが、朝鮮戦争というような予想の出来ない影響もあって、翌年からははっきりと勧告の線は崩れはじめ、昭和20年代末にはほぼ完全に崩壊してしまったのである。」とされるのである(林建久「シャウプ勧告と税制改革」東京大学社会科学研究所編『戦後改革〔7〕経済改革』205頁(東京大学出版会1974))。 さりとて、シャウプ勧告あっての今日の我が国税制であることも忘れてはなるまい。 混沌とした社会環境において、対象となる税制がいかなる趣旨目的で構築されたのかという点に思いを致さなければならない解釈局面は少なくない。 その際に、上記の公益法人等課税制度の理解を裁判所が行うのと同様に、原点に返って、シャウプ勧告が求めていた制度の意義や趣旨を改めて検討することが求められるのではなかろうか。 社会が大きく変革をしている現下、税制のあり方を考えるに当たっても、原点に戻って、改めて税制の向かうべき方向の羅針盤を読むという意味においても、シャウプ勧告は参考になるものといえよう。 (了)

#No. 339(掲載号)
#酒井 克彦
2019/10/10

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第21回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避の意義-

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第21回】 「租税法律主義と租税回避との相克と調和」 -租税回避の意義-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 「『租税あるいは税法のあるところ必ず租税回避あり。』といってもよいほど、租税回避は税法の宿命的課題である。」(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)はしがきⅰ)が、「租税回避とは何か」(今村隆『租税回避と濫用法理-租税回避の基礎的研究-』(大蔵財務協会・2015年)10頁[初出・2008年])という問いかけについては、「租税回避の意義については、実定法上の定義規定はない。学説においても、必ずしも一致したものはない。」(田中治「租税回避否認の意義と要件」岡村忠生編『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)39頁)というようなことがしばしばいわれる。 ただ、「税法の宿命的課題」である租税回避について、租税法律主義との関係を論ずるに当たっては、やはり、その意義を明らかにしておく必要があろう。租税法律主義が税法に関する憲法上の基本原則であり、かつ、その意義が学説・判例で確立されている以上、租税法律主義との関係で租税回避を検討する場合には、租税回避の意義を明らかにし、もって検討に当たっての「変数」をなくしておく必要があると考えるところである。 今回は、拙稿「租税回避の法的意義・評価とその否認」税法学577号(2017年)245頁をベースにして、その後の研究の成果も取り入れながら、租税回避の意義について述べることにする。この論文は、日本税法学会第107回大会(2017年6月・大阪大学)でのシンポジウム「租税回避をめぐる法的諸問題」に関する基調報告のために、租税回避に関する筆者のそれまでの研究をまとめたものである。   Ⅱ 租税回避の定義アプローチ 1 課税要件アプローチと行為態様アプローチ わが国の学説における租税回避の定義をみると、確かに、その表現は様々である。しかし、定義の基本的要素に着眼すると、次の2つの点を指摘することができる。1つには、租税回避の定義のすべてについて、租税負担の軽減・排除が共通の要素であるという点である。もう1つには、学説にみられる定義アプローチは、①課税要件の充足回避を基本的要素として租税回避を定義する、課税要件アプローチともいうべきアプローチと、②私人の行為態様(異常性・人為性・濫用等)を基本的要素として租税回避を定義する、行為態様アプローチともいうべきアプローチとに大別できるという点である(課税要件アプローチと行為態様アプローチについては【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ]、学説の整理については前掲拙稿247頁脚注(6)(7)参照)。 課税要件アプローチによる定義の代表的なものとして、租税回避を「課税要件の充足を避けることによる租税負担の不当な軽減又は排除」とする清永敬次教授の定義(同『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)42頁)を挙げることができる。他方、行為態様アプローチによる定義の代表的なものとして、租税回避を「納税者が、①通常行われない異常な行為形式を選択し、②それによって通常の行為形式を選択したときと同一の経済的目的を達成し、③その結果、多額の租税を軽減する。この場合のこの納税者の『異常な行為』」とする北野弘久教授の定義(同『税法学原論〔第6版〕』(青林書院・2007年)132頁。下線筆者)を挙げることができる。 2 課税要件論と両アプローチの相互補完性 上記の2つの定義を一見すると、両アプローチは、租税回避の定義に関する「異質な」アプローチであるかのように思われるかもしれない。しかし、清永教授が上記の定義の直後に「多くの場合」で続けて、次のとおり述べておられる(下線筆者)ことからすると、そうではないと考えられる。 この一連の叙述のうち「多くの場合」以下は、行為態様アプローチによる定義を示していると解される。そうすると、清永教授は、租税回避について、課税要件アプローチと行為態様アプローチによりそれぞれ定義を行っておられることになるが、このことは、課税要件の内容に鑑みると、矛盾なく理解することができる。 課税要件(Steuertatbestand)は、これを納税義務の成立要件として措定すること(課税要件論)にその根本的意義があるが、内容的にみると、立法者が課税適状と判断した経済的な行為・事実(経済的成果の獲得・経済的成果そのもの等)に相応する法形式(取引形式)として、取引通念・社会通念等の考慮により、想定した法形式(「通常の」法形式)を、要件要素(Tatbestandsmerkmale)として、その内容を形成して定めた法律要件である。したがって、課税要件に該当する事実すなわち課税要件事実(ここでは、「通常の」法形式に相当する具体的事実)の発生により当該課税要件が充足され、納税義務が成立することになる。 このことを「逆」からいえば、立法者が課税要件を定めるに当たって想定していなかった法形式(「異常な」法形式)を納税者が選択すれば、当該課税要件が充足されず、納税義務が成立しないことになる。 課税要件の内容を以上のように考えると、「課税要件の充足回避」を基本的要素として租税回避を定義する課税要件アプローチは、それが前提とする課税要件論から租税負担の軽減・排除を「論理的帰結」として導き出す「課税要件の充足回避」それ自体に着眼するアプローチであり、他方、私人の行為態様(異常性・人為性・濫用等)を基本的要素として租税回避を定義する行為態様アプローチは、課税要件論を前提にして「課税要件の充足回避」の「手段」としての「異常な」法形式の選択に着眼するアプローチである、といってよかろう。 課税要件アプローチと行為態様アプローチは、このように、租税回避の定義に関して課税要件論を前提にしつつ着眼点を異にするアプローチであるといえるから、異質で相互排他的なアプローチではない。むしろ、清永教授の先の一連の叙述にみられるように、着眼点を異にする相互補完的なアプローチであるといってよいように思われる。 このことは、金子宏教授による租税回避の定義についてもいえることである。金子教授は、同『租税法』(弘文堂)の第21版(2016年)までは、「課税要件アプローチと行為態様アプローチとの相互補完による定義」ともいうべき次のような定義を示しておられた(第21版125頁。下線筆者)。 ところが、金子教授は、同書の第22版(2017年)以後は、上記の定義をアプローチ別にいわば「分節」し、次のように、租税回避の意義について、行為態様アプローチ(下記①③)、課税要件アプローチ(下記②)を別々の箇所で解説しておられる(①は第22版では126-127頁、第23版(2019年)では133-134頁、②③は第22版では127頁、第23版では135頁)。 上記②に関して若干補足しておくと、「[課税]減免規定の適用要件」は、通常の課税要件規定(納税義務の成立を根拠づける課税根拠規定)の適用を排除するものであり、通常の課税要件が積極的課税要件と呼ばれるのに対して、消極的課税要件と呼ばれる。消極的課税要件の充足は積極的課税要件と、税法上の効果(租税負担の軽減・排除)の点では、同じ意味をもつので、②は「課税要件の充足回避」を基本的要素として租税回避の定義を述べるものといえるのである。 なお、以上の叙述は、わが国における租税回避論の「淵源」ともいうべきヘンゼル(Albert Hensel)の租税回避論(Hensel, Zur Dogmatik des Begriffs "Steuerumgehung", in Bonner Festgabe für Zitelmann, 1923, 217)を筆者なりに理解したところに基づくものである。ヘンゼルの租税回避論については、租税回避の沿革(第25回)に関して改めて取り上げることにして、ここでは、少し長くなるが、租税回避の定義に関する叙述部分(223f. 文中のイタリック体部分の原文は活字間の間隔が広い強調部分。下線筆者)を以下に邦訳し引用しておこう。   Ⅲ 課税要件アプローチの意義 1 基礎理論的意義 筆者も、租税回避について、基本的には清永教授と同じく、課税要件アプローチにより、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(清永敬次教授の定義とは異なり「適法」という法的評価を概念要素とする点については、第24回で述べることにする)と定義するが、これを「租税回避の包括的定義」と呼ぶことにし、清永教授が前記の囲み内引用部分の「多くの場合」以下で述べておられる定義を(前記のヘンゼルの叙述中の「経験的事実」という表現を拝借して)「経験的事実を前提とする租税回避の定義」と呼ぶことにしている(【66】)。 筆者が租税回避の定義について基本的に課税要件アプローチを採用するのは、以上で述べてきた定義上の意義に加えて、以下で述べるように、課税要件アプローチが租税回避と実定税法との関係を明らかにする上でも意義があると考えるからである。 Ⅰの冒頭で述べたように、租税回避が実定税法上の概念でないことはしばしば指摘されるが、その指摘が、租税回避という概念が実定税法上用いられていないこと、あるいはその概念について定義規定が実定税法上定められていないことを意味するのであれば、確かに、そのとおりである。しかし、納税義務の成立要件とされる課税要件も、そのような意味においては、同じく実定税法上の概念ではない。 課税要件は、講学上、納税義務の成立要件とされるが、わが国には、課税要件の充足をもって納税義務の成立を定める明文の規定は実定税法上存在しない。この点において、「租税債務関係に基づく請求権は、法律が給付義務を結びつける要件[=課税要件]が実現[=充足]されると同時に、発生する。」と定める租税基本法(Abgabenordnung)38条が存在するドイツとは、事情が異なる。 もっとも、国税通則法15条1項は「国税を納付する義務(・・・・・・)が成立する場合」を所与の前提として納税義務の確定について定めていることからすると、課税要件の充足をもって納税義務の成立を観念していると解される(【88】)という意味では、課税要件は実定税法の基礎にある基礎理論上の概念である、ということができる。そうすると、課税要件の充足回避(による租税負担の軽減・排除=納税義務の一部・全部不成立)を基本的要素とする租税回避という概念も、課税要件と同様、実定税法の基礎にある基礎理論上の概念である、と考えることができる。 以上のように考えると、課税要件も租税回避も、実定税法の基礎にある基礎理論上の概念であり、しかもそのような基礎理論と納税義務の成立又は不成立という実定税法上の効果とを「架橋」する概念である、といってよかろう。その意味で、課税要件アプローチは納税義務の成立に関して基礎理論と実定税法とを「架橋」する方法論である、と考えられるのである。このことは租税回避の法的評価に関して重要な意味をもつが、租税回避の法的評価については第24回で検討することにする。 2 解釈論的意義 前記1の冒頭で述べたように、租税負担の軽減・排除は租税回避概念の共通要素であるが、この要素は、課税要件アプローチによれば、①課税要件が充足された場合における租税負担と、②課税要件の充足が回避された場合における租税負担、との較差を意味する。このことは、実定税法上の租税回避否認規定の解釈において重要な意味をもつ。 例えば、同族会社の行為計算否認規定(法税132条等)については、今日では、これを租税回避の否認規定として性格づけることに異論はない(租税回避論の沿革については第25回参照)。この規定の「法人税の負担を不当に減少させる結果」という文言に含まれる、「不当に」という要件(不当性要件)と「法人税の負担を減少させる結果」という要件(負担減少結果要件)のうち、後者は、同族会社の行為計算で①これを容認しなかった場合における法人税の負担と、②これを容認した場合における法人税の負担、とを比較して、②が①より少ないということを意味する、①と②との比較要件である。 課税要件アプローチと行為態様アプローチとの相互補完性(Ⅱ2参照)に鑑みると、上記①の場合の行為計算を「通常の(立法者の想定内の)」行為計算といい、上記②の場合の行為計算を「異常な(立法者の想定外の)」行為計算ということができるが、負担減少結果要件が①と②との比較要件であるということは、両者の比較の結果、ⓐ法人税の負担が①より②の方が少ないこと(このことは規定上「減少」という文言で明文化されている)のほか、ⓑ行為計算の経済的成果ないし経済的実質が①通常の行為計算と②異常な行為計算とで基本的に同じであることをも意味する。 負担減少結果要件からは、課税庁が行為計算否認規定を適用するには、②異常な行為計算と基本的に同じ経済的成果を達成し、したがって同じ経済的実質を有する①通常の行為計算を想定した上で、②を①に引き直すこと(擬制すること)が命じられることになる。このことが行為計算否認すなわち租税回避の否認の意味するところであるが、これに基づく課税(引き直し課税)は内容的には想定課税・擬制課税である(租税回避の否認については第27回で検討する)。 租税法律主義の下では、そのような想定課税・擬制課税については明文の根拠規定が必要である。同族会社の行為計算否認規定はそのような明文の根拠規定の代表的なものであるが、租税回避一般についてそのような想定課税・擬制課税を定める規定(一般的租税回避否認規定)はわが国の現行法上は存在しない(租税回避否認規定の類型については第29回参照)。 課税要件アプローチによると、租税回避の否認について以上のような解釈論を展開することができることになる。   Ⅳ おわりに 以上において、租税回避の意義について、課税要件アプローチによる定義と行為態様アプローチによる定義を示した上で、両アプローチが着眼点を異にする(すなわち、課税要件論から租税負担の軽減・排除を「論理的帰結」として導き出す「課税要件の充足回避」それ自体に着眼するか又は課税要件論を前提にして「課税要件の充足回避」の「手段」に着眼するか)とはいえ、いずれの定義も課税要件論を前提にした定義であることを明らかにし(以上はⅡ)、課税要件アプローチの意義について、基礎理論的意義と解釈論的意義に分けて、検討した(Ⅲ。行為態様アプローチの意義については次回検討する)。 要するに、租税回避の定義は、課税要件論を前提にして行われているといえるのであるが、課税要件論は、租税債務関係説を理論的基礎として構想された、納税義務の成立に関する基礎理論である。租税債務関係説は、租税法律関係を公法上の債権債務の関係として性格づけ、とりわけ納税義務を、その義務内容を定める法律要件すなわち課税要件の充足によって法律上当然に成立する一種の法定債務として、構成する考え方である(【12】)。 租税債務関係説は、第3回Ⅲで述べたように、納税義務の成立に関する法すなわち課税要件法(成立した納税義務の承継・消滅等に関する法も含めて租税実体法という)の領域から、税務官庁の形成的・裁量的判断の余地を法理論上完全に排除する考え方である(【12】)。その意味で、租税債務関係説は、租税の分野における法治主義の厳格化・徹底を狙いとする租税法律主義と、その狙いの点で親和性をもつ。 そうすると、租税回避は定義の上では、租税債務関係説を理論的基礎とする課税要件論を前提とする以上、租税法律主義と調和し得ると考えられるが、それがどのような意味での「調和」であるのかについては、今後、明らかにしていくことにしたい。ここでは、結論を簡単に先取りして、その「調和」については「自由」が決定的な意味をもつことだけを指摘するにとどめておく。 (了)

#No. 339(掲載号)
#谷口 勢津夫
2019/10/10

税理士業務からみた「地方税共通納税システム」のポイントと留意事項

税理士業務からみた 「地方税共通納税システム」のポイントと留意事項   税理士 鈴木 涼介   1 導入の背景等 政府は、「日本再興戦略2016」において、「事業者の生産性向上を徹底的に後押しするため、規制改革、行政手続の簡素化、IT化を一体的に進める新たな規制・制度改革手法を導入することとし、事業者目線で規制・行政手続コストの削減への取組を、目標を定めて計画的に実施する」とした。そして、総務省では、「『行政手続コスト』削減のための基本計画」(地方税)を策定し、その中で「『地方公共団体が共同で収納を行う方策』(共同収納)について、制度改正を含め検討を行う」こととした。 その結果、平成30年度税制改正において、地方税ポータルシステム(以下「eLTAX」という)を活用して、すべての地方団体に対して、一度の手続でまとめて電子納税することができる「地方税共通納税システム」の導入のための諸規定が整備された。   2 地方税共通納税システムの概要 (1) 地方税共通納税システムとは 「地方税共通納税システム」とは、納税者がインターネットバンキング等を利用して、すべての都道府県及び市区町村に対して電子納税できる仕組のことをいい、令和元年10月1日から開始されるものである。 具体的な流れとしては、納税者がインターネットバンキング等で納税手続を行うと、納税者の口座からeLTAXの運営主体である「地方税共同機構」(以下「機構」という)の共通口座に資金が移動される。そして、機構はその資金を地方団体の指定金融機関等に振り込むとともに、地方団体にその情報を通知することとなる。 紙の納付書を用いて納税する場合、納税者は金融機関等の窓口に出向かなければならず、また、地方団体毎に納付書の形式や指定金融機関等が異なっている等、納税手続に一定程度の負担がかかっていた。地方団体側においても、領収済通知書の管理が煩雑である等負担が大きかった。この点、地方税共通納税システムが導入されることにより、これらの負担が軽減されることとなる。 (2) 対象税目 地方税共通納税システムを利用して電子納税できる税目は、令和元年10月1日時点で、①法人都道府県民税、②法人事業税、③地方法人特別税、④法人市町村民税、⑤事業所税、⑥個人住民税(給与所得又は退職所得に係る特別徴収分)である。また、これらに係る延滞金や各種加算金等も対象となっている。 なお、電子申告した申告書データや個人住民税の特別徴収税額決定通知書データを地方税共通納税システムに引き継いで納税することができる。 (3) 収納手段 地方税共通納税システムで取り扱う収納手段は、既に電子納税として導入されている、①情報リンク方式(税額等の情報をインターネットバンキングに連携する支払方式)、②オンライン方式(ATMやインターネットバンキングに直接ペイジーのキー情報を入力する支払方式)に加えて、③ダイレクト方式(事前に登録した金融機関口座を指定して、直接納付する支払方式)が導入される。 ダイレクト方式を利用するためには、納税者による金融機関口座の事前登録及び金融機関による審査が必要である。令和元年10月1日からダイレクト方式を利用するためには、「令和元年8月19日から9月13日まで」に事前登録する必要があった。また、9月24日以降に登録することにより、順次、ダイレクト方式が利用可能となる。金融機関の審査は、最大1ヶ月程度要する場合があり、審査結果はeLTAXのメッセージで通知される。 なお、本稿執筆時点では、クレジットカード納付やコンビニ納付には対応していない。また、地方税共通納税システムによる納税は領収証が発行されないため、領収証が必要な場合は、従来どおり、窓口で納税する必要がある(画面上で、納付済みの確認メッセージや納付履歴を確認することはできる)。 (4) 利用時間 各収納手段におけるサービス利用時間は、以下のとおりとされている。 ① 情報リンク方式・ダイレクト方式による電子納税 ② オンライン方式(ATM・インターネットバンキング)による電子納税 (※) 金融機関等の運用時間によって、電子納税の可能時間は異なる。   3 税理士業務からみた留意事項 (1) 利用届出 地方税共通納税システムを利用するためには、eLTAXの利用者IDが必要となる。そのため、eLTAXを利用していない納税者から地方税共通納税システムを利用したい旨の要望があった場合には、eLTAXの利用届出を行う必要がある。 なお、eLTAXの利用届出は、オンラインのみの受付であり、書面での受付は行われていないため注意が必要である。 (2) ダイレクト方式による納税代理 ダイレクト方式はインターネットバンキングのようなID・パスワードが不要であることから、納税者側は税理士に納税代理を依頼しやすくなる。税理士が納税者に代わって納税する場合は、納税に関する代理権限が付与されている必要があるところ、eLTAXでは納税者から代理人に代理権を付与する仕組が導入されており、具体的には、税理士がeLTAX上で納税者に対し、代理行為の承認依頼を行い、納税者がそれを承認するという手順で行う。 国税では既にダイレクト方式による納税が導入されており、国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告から納税まで税理士側で完結させることが可能となっていることから、地方税共通納税システムにおけるダイレクト方式を併せて利用することにより、国税及び地方税の申告及び納税について税理士側で完結させることが可能となる。 (3) クライアントへの周知 昨今においては、ソフトウエアベンダーの税務システムや各地方団体のウェブページから、地方税関係の納付書をプリントアウトできるようになっているものの、依然として、納税手続に関する手間は大きいところである。 地方税共通納税システムを利用すると、各地方団体の納付書や指定金融機関を気にする必要がなくなることから、例えば、事業所が複数の地方団体に存在する事業者にとってみれば、納税手続の効率化に繋がるものと考えられる。また、地方税共通納税システムは、従業員の給与所得に係る個人住民税(特別徴収分)にも利用できることから、従業員数が多い場合や納付先の地方団体が多い場合等にも非常に有用な納税手段であるといえる。 したがって、そのような事業者に対しては、税理士として積極的に周知していくことが望まれる。   4 eLTAX障害発生時の申告等に係る期限延長 政府は行政手続のオンライン化を進めており、地方税共通納税システムをはじめ、地方税の申告・納税手続においても、今後さらなるオンライン化が予想されるところ、システム障害が生じた場合の対応などにも留意する必要がある。 地方団体の長は、災害その他のやむを得ない理由により、申告期限や納期限までに申告・納税できないと認められるときは、条例によりその期限を延長することができる(地法20の5の2①)。この期限延長は、各地方団体が個別に定めるものであるところ、eLTAXにシステム障害等が発生すると、同システムの障害という同一の理由でありながら、各地方団体によって取扱いが異なる可能性がある等、納税者及び地方団体の双方に過度な負担が生ずるおそれがある。 そこで、令和元年度税制改正において、eLTAXに障害が発生した場合に、迅速かつ全国統一的な対応をとることができるような措置が講じられた。具体的には、総務大臣は、eLTAXの故障その他やむを得ない理由により、申告期限や納期限までにeLTAXを使用して申告・納税できないと認める者が多数に上ると認めるときは、対象となる行為、対象者の範囲及び期日を指定して、その期限を延長することができる(地法20の5の2②前段)。 この場合において、延長後の期限は、その理由がなくなった日から2月を超えてはならない(地法20の5の2②後段)。総務大臣は、対象者の範囲等の指定をしたときは、直ちに、その旨を告示するとともに、地方団体の長及び機構に通知しなければならない(地法20の5の2③)。なお、機構は、eLTAXの障害が生じたときは、遅滞なく総務大臣に報告しなければならない(地法790の2)。 (了)

#No. 339(掲載号)
#鈴木 涼介
2019/10/10
#