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《速報解説》 有料老人ホームの入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等特例の適用に関し東京国税局より文書回答事例が公表される~入居直前に居住の用に供していれば所有の有無は問わず~

《速報解説》 有料老人ホームの入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等特例の適用に関し東京国税局より文書回答事例が公表される ~入居直前に居住の用に供していれば所有の有無は問わず~   Profession Journal編集部   東京国税局は平成30年12月7日付け(ホームページ公表は平成31年1月7日)で、有料老人ホーム入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等特例の適用に関する文書回答事例を公表した。 事例で照会された内容は、平成29年4月に老人福祉法第29条第1項規定の有料老人ホームに入居した甲が、同年6月に別の有料法人ホームに入居していた配偶者乙から、入居前まで甲乙共に居住していた自宅(家屋及び宅地等)を相続し、その後、甲がこの家屋に戻ることなく平成30年2月に死亡して甲の長男丙がこの家屋及び宅地等を相続により取得した場合に、特定居住用宅地等として小規模宅地等特例(措法69の4)の適用を受けられるかというもの。なお、本件の家屋は甲が有料老人ホームに入居した後は空き家となっており、甲は死亡する前に介護保険法第19条第1項の要介護認定を受けている。 【相続関係図】 【時系列】 特定居住用宅地等に係る小規模宅地等特例の適用を受けるためには、その宅地等が相続開始の直前まで被相続人の居住の用に供されている必要がある。ただし、被相続人が要介護認定又は要支援認定等を受け有料老人ホームに入居していた場合には、その入居の直前まで居住の用に供されていた宅地等は、特例の適用を受けることができる(措令40の2②)。 上記「有料老人ホーム入居の直前まで居住の用に供されていた」かという要件に関し、本事例の場合、被相続人甲が入居の直前においてその宅地等の所有者であれば特例の対象となることは明らかであるものの、甲は有料老人ホームの入居中に配偶者乙からこの宅地等を相続により取得しており、さらに取得後は居住の用に供しないまま(つまり入居した有料老人ホームから自宅へ戻らないまま)死亡したことから、適用要件を充たすのかという疑問が生じる。 この点、照会者からは、上記の居住要件は被相続人が有料老人ホーム等に入居して居住の用に供されなくなった直前の利用状況により判定することとされているが、その時において被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていないことから、本事例の宅地等は、被相続人甲が有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していたものであるため、その時において所有していなかったとしても、特例の対象となる宅地等に該当するとの見解を示し、当局もその見解で差し支えないとの回答を行っている。 (了)

#No. 301(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/01/11

《速報解説》 名古屋国税局、「合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ、当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定」について文書回答事例を公表

《速報解説》 名古屋国税局、「合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ、当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定」について文書回答事例を公表   税理士 長谷川 太郎   名古屋国税局は、平成30年11月15日付(ホームページ公表は平成30年12月25日)で、「合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ、当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定」の事前照会に対し、文書回答を公表した。 本稿では以下のとおり、その内容について解説する。   事前照会の前提及び照会内容 〇事前照会の前提 〇事前照会の照会内容 グループ外の法人間における適格合併(共同事業を行うための適格合併)の要件の1つである「従業者引継要件」について、上記前提の場合において要件を充足するという理解で問題ないかどうか。   事前照会の結論及び見解 吸収合併が行われた場合、その合併により消滅する法人(被合併法人)の権利義務の全部は合併後存続する法人(合併法人)に承継され、当該合併に際し特段の合意がない限り、被合併法人の従業者の地位も合併法人に承継されることになる。 一方で、このような雇用契約の承継による方法ではなく、合併の日の前日に被合併法人の従業者全員が退職し、合併の日に被合併法人の従業者であった者のおおむね80%以上に相当する者が合併法人と新たな雇用契約を締結し、同日から合併法人の従業者として合併法人の業務に従事した場合においても、従業者引継要件を充足することができるという理解でよいかどうかを確認することが照会の目的であり、結論として従業者引継要件は充足できるものとして差し支えないとされている。 グループ外の法人間における適格合併の要件である共同事業要件の1つである従業者引継要件については、条文上 と規定されており、雇用契約の承継という形式に限定するようなことまでは要件として規定されていない。また、従業者引継要件は単なる資産の移転ではなく、「事業単位の移転であること」を担保するための要件の1つとして設けられていると考えられるが、合併直前である合併の日の前日に被合併法人を退職し、合併の日に合併法人に雇用されるという形式だとしても、被合併法人の従業者の大部分が合併の日において合併法人において従事している限り、「事業単位の移転であること」が否定されるものではないと考えられる。 よって、このような形式であっても従業者引継要件は充足されるものとして問題ないと判断されたものと考えられる。 (了)

#No. 301(掲載号)
#長谷川 太郎
2019/01/10

プロフェッションジャーナル No.301が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年1月10日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.301を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/01/10

monthly TAX views -No.72-「デジタル課税は今年が正念場」

monthly TAX views -No.72- 「デジタル課税は今年が正念場」   東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授 森信 茂樹   GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が昨年暮れの流行語大賞にノミネートされるなど、デジタル経済の発達の下で、プラットフォーマーの影響・プレゼンスが限りなく大きくなっている。 彼らは、巨額の収益をあげながら、タックスヘイブンや低税率国に留保させる行動が国際的租税回避として、税収不足に悩む先進諸国・新興国から大きな非難を浴びてきた。 また欧州をはじめとして、彼らと伝統的企業の税負担の格差が、競争条件の公平性を害していることが大きな問題となっている。欧州委員会の調べでは、デジタルビジネス企業の税負担率は9.5%で、伝統的ビジネスモデル(23.2%)の半分以下である。 背景には、GAFAに代表されるIT企業が、国境を越え、PEを置くことなくビジネスの展開ができることや、彼らの収益の根源が無形資産・ビジネスモデルなので、容易にタックスヘイブンや低税率国の関連会社に所有権を移すことによって税逃れができるという「デジタル経済の新たな現実」がある。 *  *  * このような苦境に立たされた欧州諸国が考えだした(発明した)のが、GAFAモデルでは、サービスの提供を受けている「消費者」も、彼らの価値創造に参加しているのではないか、そうであるならば、応分の税の負担を「消費者」の居住する国が求めてもよいのではないか、という論理である。 しかし「消費者」の居住する国に安易に課税権を認めると、通常の国際ビジネスにおいて大変な障害が生じてしまう。先進諸国が通常の貿易を通じて(PEなく)新興国にモノを輸出するだけで、新興国の事業所得だ、ということになり、課税されてしまいかねない。 そこで考え出されたのが、「消費者(コンシューマー)」に代えて「利用者(ユーザー)」という概念である。 グーグルは、無料検索サービスで顧客基盤を獲得し、検索行為を分析してターゲティング広告に活用したり、ビッグデータを販売したりプラットフォームを提供したりすることで収益を上げている。 フェイスブックは、SNSという場で、ユーザー自らが自己情報を提供し、それがフェイスブックの広告販売などにつながっている。 つまり、GAFAモデルにおいてサービスを享受する者は、単なる「消費者」ではなく、自ら広告収入等基幹所得の重要な要素となっている個人データを提供することでビジネスモデルに組み込まれ、価値創造に参加・貢献している「ユーザー」と捉えるのである(ユーザー・パーティシペーション)。 こうすれば、「ユーザー」の居住する場所でも一定の事業活動が行われており、「ユーザー」居住国にも課税権があるといえる(正当化される)とともに、他方で、単純な貿易売買において「消費者」が居住することのみをもって、居住国から課税されるという事態も回避できる。 具体的には、国際課税の原則であるPEの概念をデジタル時代にふさわしく、「ユーザー」に着目したものに変えていくということである。 *  *  * 問題は、この論理で、GAFAや米国政府を納得させ、その利益の一部を納税させることができるであろうか、という点である。どこまで説得力のある理論なのだろうか。そもそも「ユーザー」の貢献度など数値化できるのだろうか。 この問題は、G20の後援の下で、OECD・BEPSプロジェクトとして2012年から3年間議論してきたが結論が出ず、ポストBEPSとして未だ議論が続いている。合意に待ちきれない欧州諸国は、デジタル取引の売上(グロス)に課税するという、独自のデジタル課税の導入に踏み切る。これを放置すると、国際課税協力にひびが入るだけでなく、IT企業の新たなビジネスの芽を摘みかねない。 BEPSの報告書の期限は2020年となっており、本年G20の議長を務めるわが国の知恵と政治手腕が問われている。6月上旬、福岡で開催されるG20蔵相会議が正念場だ。 (了)

#No. 301(掲載号)
#森信 茂樹
2019/01/10

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例1】「即時償却と損金経理」

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例1】 「即時償却と損金経理」   国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦   【Q】 わが社は電気設備工事を主たる業務とする青色申告を行っている株式会社(3月決算)ですが、平成25年度の税制改正で導入された環境関連投資促進税制の適用を受ける目的で、平成27年3月中にエネルギー環境負荷低減推進設備等(旧措法42の5①)に該当する太陽光発電設備(法定耐用年数17年)を設置しました。わが社は平成27年3月中に当該設備を取得しかつ事業の用に供したと認識し、環境関連投資促進税制(即時償却制度)の適用を受け、その取得価額の全額を損金算入しました(旧措法42の5⑥)。 ところがその後平成30年10月に、わが社は課税庁の税務調査を受け、当該設備を実際に取得し事業の用に供したのは平成27年4月以降であることから、即時償却の適用は受けられないという指摘を受けました。そればかりか、平成28年3月期から平成30年3月期の各事業年度についても、「損金経理」を行っていないため、減価償却費の計上は認められないと言い渡されました。 太陽光発電設備を取得しかつ事業の用に供したタイミングが平成27年4月にずれ込んだという指摘はやむを得ず認めますので、即時償却の適用が受けられないというのは致し方がないと思いますが、平成27年4月以降現在まで毎月売電収入を計上しているにもかかわらず、その後の減価償却費の計上を認めないとする課税庁の指摘は全く納得がいきません。この場合、課税庁の指摘に従うべきなのでしょうか、教えてください。 〇太陽光発電設備への投資と減価償却費の計上   【A】 法人が平成27年3月期に取得しかつ事業の用に供していたと考え、同事業年度において損金経理により即時償却を行っていた場合、その後税務調査で課税庁から取得・事業の用に供していたタイミングが翌期にずれこんでいたと指摘されたとしても、指摘されるまでの時期について損金経理を行うことは物理的に不可能といえます。その場合、指摘されるまでの時期について収益は計上していても、費用は計上できないという不合理が生じますが、これは法人税法の所得計算の基本原則である費用収益対応の原則に反しており、妥当ではないと考えられます。 そのため、仮に取得・事業の用に供していたタイミングが翌期にずれこんでいたという課税庁の指摘が正しい場合であっても、平成27年3月期に損金経理により全額償却費を計上しているという事実を重視し、費用収益対応の原則から、平成28年3月期~平成30年3月期についても毎期減価償却費相当額を損金に算入できると解する余地があるものと考えられます。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■ (1) 環境関連投資促進税制 本件で問題となっている環境関連投資促進税制の即時償却制度とは何か、まず簡単に確認しておきたい。 当該制度はもともと、エネルギー需要構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(エネルギー需給構造改革推進投資促進税制)の一環として、平成21年度の税制改正で導入された措置がその前身となっている。それによれば、太陽光発電設備などのエネルギー需給構造改革推進設備等については、普通償却限度額に加え、取得価額まで特別償却ができることとされ、つまりはその事業の用に供した事業年度において即時償却が認められるという制度(旧措法42の5⑥、平成24年3月31日まで)となっている。 その後上記制度は、平成24年度税制改正で、エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(環境関連投資促進税制)に改組され、太陽光又は風力の利用に資する機械その他の減価償却資産のうち、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定発電設備に該当するもので一定規模以上のものについて、その取得等した日から1年以内に事業の用に供した場合における特別償却限度額は、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされた(即時償却措置、旧措法42の5①、平成25年3月31日まで)。 また、当該環境関連投資促進税制は翌年度の税制改正で、上記即時償却措置の適用が一部見直しの上2年間延長された(旧措法42の5⑥)。更に、平成27年度税制改正で、即時償却措置の対象となる特定エネルギー環境負荷低減推進設備等の範囲から、太陽光発電設備が除外されたことから、即時償却を行うためには、太陽光発電設備を平成27年3月31日までに取得等をし、その取得等した日から1年以内に事業の用に供する必要があった。   (2) 本件への適用 それでは、本件の場合、環境関連投資促進税制の即時償却制度の適用は受けられるのであろうか。まず当該制度の適用要件のうち、太陽光発電設備を平成27年3月31日までに取得等をし、その取得等した日から1年以内に事業の用に供するというものを満たす必要があるが、その取得及び事業の用に供した日が平成27年4月にずれ込んでいる場合には、当該要件を満たせなかったことになる(※1)。 (※1) 太陽光発電設備を事業の用に供した日について、「系統連系工事を了して電力の供給を開始したかどうかによって判断するのが相当であ」るとした裁決事例がある(国税不服審判所平成29年12月21日裁決・TAINS:F0-2-768参照)。 仮にその通りである場合には、平成27年3月期における即時償却はできないこととなり、代わりに、太陽光発電設備を取得・事業の用に供した事業年度以降において通常の減価償却を行うこととなる。太陽光発電設備の法定耐用年数は17年であるため、平成28年3月期以降17年にわたって減価償却費(通常定率法)を計上していくこととなるが、本件の場合、平成27年3月期において損金経理により即時償却を行っており、課税庁の税務調査を受ける平成28年3月期から平成30年3月期の3事業年度については、帳簿価額が備忘価格の1円となっているため(法令61①二イ)、当該期間において損金経理により減価償却費を計上するということは論理的にあり得ず、物理的にも不可能な状況となっている。 そもそも法人税法において減価償却費の計上に「損金経理」を要求しているのは、一般に、それが「内部取引」であり、費用化された金額がいくらであるのか企業外部の課税庁等が外形的に判断することは困難であることから、当該費用を計上した企業の意思決定を尊重し、その表れとしての「確定した決算」において費用として経理することを要件とするのが合理的であるからと解されている(総論【第5回】参照)。 そのため、法人税法上減価償却費として計上できる金額は、その法人が当該事業年度において償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額とされている(法法31①)。そうなると、文理解釈上は、損金経理を行っていない平成28年3月期~平成30年3月期については、減価償却費の計上は一切認められないということになるだろう。 また、法人税法上、事業の用に供していない有形固定資産は、そもそも減価償却の対象となる減価償却資産ではないとも解される(※2)。この点につき最近出された裁決事例においても、「事業年度終了の時において事業の用に供していない資産は、その事業年度における法人税法上の減価償却資産に該当しないこととな」り、事業の用に供する前の事業年度において計上した償却費については、当該事業年度「において償却費として損金経理していたとしても、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであるから、法人税法第31条第1項に規定する減価償却資産に係る損金経理額に該当しない。(下線部筆者)」とされている(国税不服審判所平成30年3月27日裁決・TAINS:J110-3-12)。 (※2) 最高裁平成18年1月24日判決・民集60巻1号252頁(フィルムリース・パラツィーナ事件)参照。 しかも、環境関連投資促進税制の即時償却制度というのは税制優遇措置であるので、その適用を受けるためには要件を厳格に守ることが求められるのであり、それが納税者間の公平にもつながるという考え方もあるだろう。   (3) 即時償却と損金経理要件の解釈 本件については、上記(2)で見てきた解釈が常識的なものであると思われるが、それをすんなりと受け入れることにも若干の躊躇を覚える。その理由は、以下の2点にあるといえるだろう。 まず①についてみていくと、納税者側に減価償却資産の事業の用に供した日の解釈の誤りがあるにしても、申告時点においては正しいと解しており、それに基づき損金経理により即時償却を行うという明確な意思表示を行っているのであるから、当該意思表示は尊重されるべきではないだろうか。 損金経理を行った事業年度以降の事業年度において、損金経理を行っていない(行うことができない)のは、本件が即時償却という減価償却制度の例外的な措置に基づく案件だからであり、即時償却以外の償却制度(耐用年数が2年以上の減価償却資産に係るもの)の案件であれば、当然、翌事業年度以降も損金経理により償却費の計上を行うこととなる。そうなると、償却費の計上額はともかくとして、そもそも損金経理要件が問題となることはないのである。 即時償却を行った時点において損金経理を行ったという納税者の明確な意思表示を無視し、翌事業年度以降物理的に実行不可能な損金経理要件を満たしていないという「不備」を殊更にあげつらって、償却費の計上を認めないというのは、法人税法の解釈としての妥当性を欠くばかりでなく、租税政策としても問題があると思われる。 要するに、法人税法は果たして実行不可能な要件を課しているのか、仮にそのような要件を課しているという結論に至る場合、それはそもそもその解釈に誤りがあるからではないか、ということである。 次に②についてみていくと、減価償却費については、収益(益金)を計上した事業年度において、それに対応する費用(損金)を計上するという費用収益対応の原則の適用があるべきではないかという論点である。この点に関して問題となるのは、費用収益対応の原則の法人税法上の位置付けである。 費用収益対応の原則は、本連載の総論【第4回】において既に説明したとおり、もともと会計学において形成された概念であり、法人税法は公正処理基準を通じてそれを取り込み(※3)、受容したのである。仮に費用収益対応の原則を採用しなかったとしたならば、法人税法には減価償却費という概念も取り入れられず、むしろキャッシュフロー法人税のように、収益の計上のタイミングにかかわらず、取得時において即時損金化する(事実上即時償却と同じ経済的効果がある)ものと思われる。そう考えると、減価償却費の計上は、費用収益対応の原則を基に認識するのが妥当ということになるであろう。 (※3) 岡村忠生『法人税法講義』(成文堂・2004年)38頁。 それでは、上記①②を合わせて本件の取扱いを考えるとどうなるのか。 法人が平成27年3月期に取得しかつ事業の用に供していたと考え、同事業年度に損金経理により即時償却を行っていた場合、その後税務調査において課税庁から取得・事業の用に供していたタイミングが翌期にずれこんでいたと指摘されても、指摘されるまでの期間について損金経理を行うことは物理的に不可能といえる。その場合、指摘されるまでの期間(事業年度)について収益は計上していても、費用は計上できないという不合理が生じるが、これは法人税法の所得計算の基本原則であり減価償却を行う根拠と考えられる費用収益対応の原則に反しており、妥当ではない。また、少なくとも平成28年3月期~平成30年3月期については、太陽光発電設備を事業の用に供していることも明らかである。 そのため、仮に取得・事業の用に供していたタイミングが翌期にずれこんでいたという課税庁の指摘が正しい場合であっても、平成27年3月期に損金経理により全額償却費を計上しているという事実を重視し、費用収益対応の原則から、平成28年3月期~平成30年3月期についても毎期減価償却費相当額(耐用年数17年で再計算)を損金に算入できると解する余地があるものと考えられる。   (4) 即時償却制度の政策的意義と限界 実務家による損金経理の解釈論としては、上記で議論はほぼ尽きていると思われるが、本連載の事例研究のパートに関し、最初に当該事例を取り上げた意図を最後に述べておきたい。 まずここで強調しておきたいのは、即時償却制度の例外性と不合理性である。 ここでいう「例外性」とは、即時償却制度は法人税法上、減価償却の一類型と位置付けられているが、減価償却はあくまで2年以上の耐用年数にわたって少しずつ費用計上するものであり、取得時に全額費用化する即時償却は、費用計上のタイミングという観点からは、減価償却費というよりも減価償却費以外の費用項目に近い性格を持つといえる、ということを指す。また「不合理性」とは、本件のように取得・事業の用に供したタイミングにつき、納税者の主張と課税庁の認定とがズレてしまうと、損金経理の要件を満たしていないとされ、償却費の計上ができなくなるリスクがあるということである。 次に、現行の法人税法上、即時償却制度を減価償却の一類型と捉えることは、必ずしも適切ではないと考えられる。なぜなら、減価償却というのは費用収益対応の原則に基づき、有形固定資産が耐用年数にわたり使用されることで生じる減価とそれによる収益の獲得とを対応させることで、適切な期間損益計算を行う趣旨により法人税法に採用された、費用化(固定資産の原価配分)の仕組みだからである。 即時償却制度を減価償却の一類型と捉えると、仮に即時償却が認められない場合には、通常の減価償却による費用化に自動的に切り替えられることになるが、その場合これまで何度も指摘しているように、物理的に要件を満たすことのできない「損金経理」要件の壁にぶち当たることとなる。即時償却の対象となる資産の取得そのものは「外部取引」であり、仮に即時償却制度を減価償却の一類型と捉えるのでなければ、損金経理要件は不要となり、通常の資産と同様に、取得により一時の損金となる。 即時償却制度を減価償却の一類型と捉えることにより生じるこのような不合理は、上記で指摘した「例外性」とも通ずるが、特に本件のように耐用年数が17年と比較的長い有形固定資産の場合、とりわけ顕著かつ歪に表れるといえる。 〇即時償却制度と減価償却との関係 即時償却制度というのは、現行の法人税法の枠組みとはやや距離を置いた制度で、むしろキャッシュフロー法人税の枠組みに接近したものではないかといえる。また、設備投資を取得時に全額控除するという意味で、消費税法における仕入税額控除とも親近性がある。そうなると、減価償却による費用化の概念とは乖離している即時償却制度は、現行法人税法を前提とするのであれば、その導入については慎重であるべきということが言えるだろう。仮に導入した場合には、その損金経理要件に関し、これまで説明してきたような不合理が生じ、それに伴う混乱を招来し得ることを覚悟しなければならない。 環境関連投資促進税制の即時償却制度は既に廃止されたが、今後、経済産業省等の要求により、即時償却制度を導入して景気浮揚を図ろうとする政策が採用されることも、可能性としてあるだろう。その際にわれわれは、本件で問題となったような、即時償却制度の負の側面というものを十分理解して、それでも導入するのか否かを冷静に検討する姿勢というものが求められるといえよう。 (了)

#No. 301(掲載号)
#安部 和彦
2019/01/10

~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第23回】「課税処分取消訴訟の勝訴に係る還付加算金を雑所得として申告するにあたり、その訴訟に要した弁護士費用は必要経費に算入できないとした事例」

~税務争訟における判断の分水嶺~ 課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第23回】 「課税処分取消訴訟の勝訴に係る還付加算金を雑所得として申告するにあたり、その訴訟に要した弁護士費用は必要経費に算入できないとした事例」   税理士 佐藤 善恵     〔概要等〕 原告X(納税者)は、課税処分取消訴訟に勝訴して所得税及び住民税の過納金(計約7,321万円)及び還付加算金(計約1,661万円)を受領した。Xは、その還付加算金を雑所得として申告した後、前記訴訟に要した弁護士費用の按分額(過納金と還付加算金の金額に応じて按分して還付加算金に対応する金額)を雑所得の必要経費に算入すべきとの更正の請求を行った。これについて、税務署長は、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたために争いとなった。 本件の争点は、弁護士費用がXの雑所得に係る必要経費に当たるか否かである。   〔納税者の主張〕 違法な課税処分に係る取消訴訟の提起は、単に課税処分の取消しを求めるものにとどまらず、課税処分の取消しの結果として当然に生ずる納付税額相当額の還付及び納付から還付までの期間に応じた還付加算金の支払をも求めるものというべきである。 原告は、弁護士との委任契約において還付加算金を含む勝訴分の20%を上限とする成功報酬を支払う旨の取決めをし、過納金だけでなく還付加算金の支払を受けることをも目的として訴訟を提起したものである。   〔原処分庁の主張〕 還付加算金は、課税処分の取消判決の確定によって生じた形成力を端緒として発生する場合があるものの、その処分に係る税金が納付されていることが前提となっており、必ず発生するものではない。また、過納金がどのような事情で生じたかに関わらず、還付加算の要件を満たせば当然に発生するものである。 課税処分の取消訴訟に要した弁護士費用は、客観的には、更正処分等の取消判決を求めて提起した訴訟の遂行上生じた費用というほかなく、還付加算金という収入と直接の対応関係を有するものではない。   〔裁判所の判断〕 処分取消の判決により納税者が受ける直接の経済的利益は、当該判決により取消しの対象とされた納付すべき税額に相当する金額である。 取消訴訟について弁護士に委任する場合、納税者が処分により確定した国税の納付を既にしているか否かによって弁護士に委任する事務内容や弁護士費用の性質が異なるものではない。 本件弁護士費用は、Xが訴訟追行に係る事務を弁護士に委任し、その事務が遂行されたことに対する報酬として支払われたものとみるのが相当である。 Xが前訴判決に基づいて受けた直接の利益は本件過納金の還付による経済的利益というべきであるから、弁護士費用との対応関係を有するのも過納金の還付による経済的利益である。 したがって、弁護士費用按分額は、本件還付加算金と直接の対応関係を有するものではなく、雑所得に係る「総収入金額を得るため直接要した費用」には該当するとはいえない。   〔判断の分水嶺〕 本件の判断の分水嶺は、弁護士費用との対応関係を有するのは過納金(つまり本税)の還付による経済的利益のみであると解された点である。還付加算金は要件を満たせば自動的に確定して受領することになるため、還付加算金の有無及びその金額については争う余地がないのである。 この解釈は、 などからも説明されている。   (了)

#No. 301(掲載号)
#佐藤 善恵
2019/01/10

海外移住者のための資産管理・処分の税務Q&A 【第10回】「移住後に公的年金以外の年金等(生命保険契約に基づく年金など)を受け取る場合」

海外移住者のための 資産管理・処分の税務Q&A 【第10回】 「移住後に公的年金以外の年金等(生命保険契約に基づく年金など)を受け取る場合」   税理士・行政書士 島田 弘大   Question 私は来年、海外へ移住することを検討しています。夫婦で移住することを検討していますが、移住後に公的年金以外の年金(生命保険契約に基づく年金など)を受け取ることになった場合の課税関係はどうなるのでしょうか。   Answer 1 はじめに リタイア後に海外へ移住してゆっくりと過ごしたいと考える方も多い。前回は移住後の公的年金の取扱いについて検討したが、今回は移住後に生命保険契約に基づく年金などの公的年金以外の年金(以下、「私的年金」)を受領する場合、日本側ではどのような課税関係になるのか解説したい。   2 非居住者が私的年金を受け取る場合の課税関係 今回も非居住者の国内源泉所得の課税関係であるため、まずは国内法によりその年金収入が国内源泉所得に含まれるのかを確認し、さらに日本と居住地国との間の租税条約を確認した上で、日本側の課税関係を整理する流れになる。 (1) 日本の所得税法 ① 非居住者の課税所得の範囲 非居住者は日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされる(所法161)。 ② 国内源泉所得の範囲 上記①の通り、非居住者は「国内源泉所得」のみが課税対象になるが、平成29年分以降の「国内源泉所得」の範囲は下記の通りである(所法161①~⑰)。下記の通り、所得税法第161条1項14号に「保険契約等に基づく年金等(いわゆる、私的年金)」が含まれている。つまり、非居住者が受領する私的年金も公的年金と同様に国内源泉所得に該当する。 ③ 私的年金の範囲と注意点 私的年金のうち、国内源泉所得に該当する範囲をもう少し細かく見ていきたい。 (イ) 日本国内で加入したものに限られる 所得税法161条1項14号では「国内にある営業所又は国内において契約の締結の代理をする者を通じて」と限定されているため、日本国内で加入した私的年金等に限られる。つまり、海外で加入した私的年金等は含まれないことになる。 (ロ) 一時金 所得税法161条1項14号の括弧書きに規定されている通り、年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金又は割戻しを受ける割戻金及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金も国内源泉所得に含まれるため注意が必要である。 (ハ) 私的年金の範囲 私的年金の範囲の詳細については、さらに所得税法施行令287条に規定されているが、具体的には次に掲げるもので年金を給付する定めのあるものが国内源泉所得の範囲に含まれていることになる。 (ニ) 平成25年1月1日以降に支払いを受ける一定の保険年金 所得税法161条1項14号の括弧書きに「第209条第2号(源泉徴収を要しない年金)に掲げる年金に該当するものを除く。」と規定されている。 これは、平成25年1月1日以降に支払を受ける保険年金については、年金受取人と保険契約者が異なる契約のうち、保険金の支払事由(死亡)が生じた日以後において、その保険金を年金として支給することとされた契約以外の年金の支払は、国内源泉所得からは除かれることを意味している。一定の源泉徴収の対象とならない保険年金については国内源泉所得からは除かれ、つまり源泉徴収も申告も不要という取扱いとなる。 例えば、相続等により生命保険契約に基づく年金受給権を取得して、年金を受領する場合などは一般的にこの規定に該当すると考えられる。この場合、相続税の課税対象とはなるが、所得税の課税対象にはならない可能性が考えられるため、個別に検討が必要である。 ④ 課税方法と税率 上述の通り、非居住者が受領する一定の私的年金はその全額が国内源泉所得に該当する。契約等に基づき支払われる年金等の額から、その契約等に基づいて払い込まれた保険料等の額のうち、その支払われる年金の額に対応するものの額を控除した残額に対して20.42%の税率により源泉徴収する必要がある。源泉分離課税であるため、20.42%の源泉徴収により課税関係は完結し、所得税の確定申告を行う必要はない。   (2) 租税条約の取扱い 租税条約において、保険年金について「居住地国課税」と規定されている場合には、日本での源泉所得税が免除される場合がある。 確認の方法であるが、多くの租税条約では保険年金の個別規定が置かれておらず、その場合には租税条約の「その他所得」の条項において、個別に源泉所得税が免除されるかどうかを検討することになる。 一方で、租税条約において保険年金の規定が置かれている場合には、OECDモデル条約の規定と同様に、原則として「居住地国課税」が採られているため、その場合は日本での源泉所得税が免除される。シンガポールやフィリピンなどがこれに該当する。 なお、租税条約により源泉徴収の免除の適用を受けるために届出を行う必要がある。具体的には、最初の年金の支払いを受ける日の前日までに「租税条約に関する届出書 様式9(退職年金・保険年金に対する所得税及び復興特別所得税の免除)」をその生命保険会社等を経由して税務署に提出する必要がある。 (連載了)

#No. 301(掲載号)
#島田 弘大
2019/01/10

〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第4回】「鬼ヶ島渡航から宝物輸送までの一連の業務は1つの履行義務か」

〈桃太郎で理解する〉 収益認識に関する会計基準 【第4回】 「鬼ヶ島渡航から宝物輸送までの一連の業務は1つの履行義務か」 公認会計士 石王丸 周夫   1 4つの業務は別個のものか、1つのものか イヌが桃太郎に提供すべきサービスは以下のとおりでした。 3種類のサービスのうち、戦闘については「宣戦布告」と「すねに噛みつく」の2つがあるので、それらを別の業務と捉えると、イヌには合計4つの業務がありますね。 収益認識の手続きでは、これら4つの業務が、それぞれ別個の履行義務なのか、あるいは1つの履行義務なのかを判別する必要があります。 それによって、次のような違いが出るからです。 この判別をするにあたっては、ポイントが2つあります。この2つのポイントを両方満たす場合に、これらの業務は別々の履行義務だと判定されます。   2 第1のポイント 第1のポイントは、イヌが提供する4つの業務が、『個々の業務ごとに桃太郎の役に立つかどうか』です。 イヌが桃太郎に提供する4つの業務は、「漕ぎ手」「宣戦布告」「すねに噛みつく」「車を引く」です。これらはいずれも、それ自体単独で桃太郎の鬼退治に役立ちます。したがって、第1のポイントは満たすと考えられます。 この第1のポイントを考える場合、判定対象の業務単独ではなく、このイヌ以外の別の者が普通に提供する他の業務と組み合わせて桃太郎の役に立つ、ということでもかまいません。ここでは単独で第1のポイントを満たすため、それを考える必要はありません。   3 第2のポイント 第2のポイントは、契約単位で見たときの各業務の相互関連性の話で、『判定対象の業務について、契約に含まれる他の業務と区分して識別できるかどうか』です。第1のポイントは満たしていたので、この第2のポイントも満たせば、4つの業務は別々の履行義務と捉えることになります。 まず、イヌが提供する4つの業務のうち、「漕ぎ手」について考えてみましょう。 鬼ヶ島に渡る船の漕ぎ手をイヌが務めるというのが、その内容ですが、船を漕いで鬼ヶ島に到着したら、鬼との戦いが始まることは自明です。桃太郎としては、漕ぎ手が鬼ヶ島に到着したら、そのまま戦闘に参加することを期待して、イヌを雇っていますよね。 つまり、「漕ぎ手」の業務は、その後の「宣戦布告」「すねに噛みつく」と相互関連性が高いと判断できます。 したがって、第2のポイントは満たされず、その結果、「漕ぎ手」、そしてそのあとの「宣戦布告」「すねに噛みつく」は、いずれも単独の履行義務とはなりません。 イヌの4つの業務のうち、最後の「車を引く」についても考えてみましょう。鬼退治が終わったあとに、分捕り品の宝物を輸送する業務なので、「渡航」や「戦闘」とは関連性が低そうです。これについては、そこに至るまでの3つの業務とは別であるようにも見えます。 しかし、よく考えると、これも「渡航」や「戦闘」と一体をなしていることがわかります。鬼との戦いが終わった後に、宝物の輸送をイヌ・サル・キジ以外の別の者に依頼したとします。 宝物を手に入れた桃太郎は、イヌ・サル・キジにこう言いました。 「このあと宝物を運ぶのは、輸送が得意なクロネコに頼んだよ。だから君たちは、ここでもう帰っていいよ。」 桃太郎に捕まえられていた鬼は、そばでこれを聞いていて、しめしめと思いました。 (イヌ・サル・キジが行ってしまえば、こっちのもんだ。宝物を運ぶのがクロネコなら、取り返すチャンスだぞ!) という具合に、話がおかしな方向に向かってしまいます。 要するに、「輸送」はやはり、イヌ・サル・キジが担当しなければならないのです。鬼に勝ったイヌ・サル・キジが宝物を運ぶからこそ、無事に持って帰れるのです。結局、「輸送」は「戦闘」と一体の履行義務ということになります。 以上から、イヌが桃太郎に提供する4つの業務は、4つでもって1つの履行義務であるということになります。   4 取引価格について イヌが桃太郎に提供するサービスと引き換えに得る対価の額についても考えておきましょう。つまり、「取引価格」のことです。 イヌが「渡航」「戦闘」「輸送」のサービスと引き換えに得るのは、きびだんご1つです。取引価格が現金以外の場合は、それを時価により測定することになるのですが、ここではその考察を省略し、取引価格はきびだんご1つとして、そのまま把握しておきます。 仮に履行義務が複数識別され、それに対して取引価格が1つの場合は、取引価格を履行義務に配分する必要が生じます。しかし、前述のとおり、「渡航」から「輸送」までの一連の業務は1つの履行義務と捉えましたので、きびだんごを配分する必要はありません。 このようにして、鬼退治同行サービス全体の取引価格がきびだんご1つと決まります。 ▷今回のまとめ 履行義務が1つなのか複数なのかを判定し、その判定結果に取引価格を対応させることにより、収益計上の準備をします。 (了)

#No. 301(掲載号)
#石王丸 周夫
2019/01/10

税効果会計における「繰延税金資産の回収可能性」の基礎解説 【第11回】「法定実効税率と税効果考慮後の負担率の差異」

税効果会計における 「繰延税金資産の回収可能性」の 基礎解説 【第11回】 「法定実効税率と税効果考慮後の負担率の差異」 (最終回)   仰星監査法人 公認会計士 竹本 泰明   1 はじめに 【第6回】から前回まで、個別の一時差異の取扱いについて説明し、主にどこまで繰延税金資産として計上できるかという、いわば税効果会計における貸借対照表の側面を中心に解説してきた。 今回は、税効果会計における損益計算書の側面、とりわけ、損益計算書上でどのように税引前当期純利益と法人税等の関係が示されているかという点を説明していきたい。   2 税効果会計の目的 この連載の【第1回】で説明しているとおり、税効果会計の目的は、『法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させること』にある。 ここで、【例1】のような会社があったとする。 【例1】 もし、税効果会計がなければ、損益計算書の利用者に【図1】のような疑問を感じさせてしまうであろう。こういった疑問を解消させるために税効果会計がある。 【図1】 税効果会計を適用している場合と適用していない場合の違い   3 「法人税等÷税引前当期純利益」が法定実効税率と一致しない理由 前掲【図1】の「税効果会計を適用している場合」では、法定実効税率と法人税等の金額を税引前当期純利益で除した割合とが概ね一致することを示せた。 この法人税等の金額を税引前当期純利益で除した割合のことを「税効果会計適用後の法人税等の負担率」というが、実務上は、 となるケースが多く、 となるケースはほとんどない。なぜ、税効果会計適用後の法人税等の負担率は法定実効税率と一致しないのか。 それは【図2】のように、税効果会計が適用されない調整項目が存在するためである。 【図2】 申告書上の調整項目とP/L法人税等調整額の関係 もし、すべての調整項目に税効果会計が適用されていたら、【図3】のように、税効果会計適用後の法人税等の負担率は法定実効税率と一致するであろう。 【図3】 交際費等や受取配当等に税効果会計が適用されていた場合   4 法定実効税率と税効果考慮後の負担率の差異の説明 上場会社等の有価証券報告書を提出する会社では、法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率とに大きな差がある場合、主な差異原因を注記として開示しなければならない。 【例2】の会社の法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の主な差異原因を示すと、【図4】のようになる。 【例2】 【図4】 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の主な差異原因 交際費等の損金不算入額は、損益計算書上では費用として処理されるが、法人税申告書(別表四)上、費用(損金)にならず加算され所得金額に含まれるため、最終的に交際費等の損金不算入額に対して「法人税、住民税及び事業税」を負担することになる。したがって、交際費等の損金不算入額1,000×法定実効税率30%を税引前当期純利益15,000で除した割合だけ、「税効果会計適用後の法人税等の負担率」が「法定実効税率」よりも大きくなるため、【図4】のように法定実効税率に加えるように表記する。 受取配当等の益金不算入額は、交際費等の損金不算入額と反対で、損益計算書上では収益として処理されるが、法人税申告書(別表四)上、収益(益金)にならず減算され所得金額に含まれないため、最終的に受取配当等の益金不算入額に対して「法人税、住民税及び事業税」を負担しないことになる。したがって、受取配当等の益金不算入額△500×法定実効税率30%を税引前当期純利益15,000で除した割合だけ、「税効果会計適用後の法人税等の負担率」が「法定実効税率」よりも小さくなるため、【図4】のように法定実効税率から減らすように表記する。   5 まとめ 税効果会計により法人税等調整額を計上することで、税効果会計適用後の法人税等の負担率が法定実効税率と近い値になる(税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させる)ように損益計算書上で表現している(【図1】参照)。 さらに、上場会社等の有価証券報告書の提出会社では、税効果会計適用後の法人税等の負担率と法定実効税率との間に大きな差がある場合には、主な差異要因を注記として開示して、税効果会計によって、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応しているということを示さなければならない(【図4】参照)。 今回は上記2点について、それぞれの仕組みについて理解しておいていただきたい。   (連載了)

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#竹本 泰明
2019/01/10

「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第12回】

「収益認識に関する会計基準」及び 「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第12回】   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   25 税務 平成30年度税制改正において、法人税における収益認識基準等への対応のための改正が行われている。 この改正により、「基本的に」法人税法上も収益認識基準等と同様の処理が認められることになった。 ただし、法人税法上でも収益認識に関する会計基準等と異なる部分はある。また、消費税法上は「収益認識に関する会計基準等」への対応による改正は行われていない。 (1) 会計と法人税法の相違点 会計と法人税法の主な相違点は、以下のとおりである。 ① 貸倒れ及び買戻し 法人税法上、資産の販売、役務の提供を行った際に益金算入する金額は、「通常得べき対価の額(=引渡し等の時における価額)」である(法人税法22の2④)。 「通常得べき対価の額(=引渡し等の時における価額)」とは、原則として資産の販売等につき第三者間で取引されたとした場合に通常付される価額をいう(法人税基本通達2-1-1の10)。 この「通常得べき対価の額(=引渡し等の時における価額)」には、収益認識基準等で処理した収益の認識額は基本的に含まれるが、以下の2つについては含まれないこととなった(法人税法22の2⑤)。 したがって、会計上、金銭債権の貸倒れや資産の買戻しを考慮して売上計上した場合、会計上と法人税法上で収益の認識額が異なることになる。また、税効果も検討する必要がある。 ② ポイント引当金 収益認識基準等では、ポイント部分について収益を契約負債として繰り延べる(第8回14参照)。一方、法人税法上、ポイント部分について収益を繰り延べることができる要件として、以下が設けられている(法人税基本通達2―1-1の7)。 上記(ⅰ)から(ⅲ)の要件により会計上と法人税法上で基本的に処理に差が生じることはないと考えられる。 一方、上記(ⅳ)の要件により会計上と法人税法上で処理に差が生じる可能性がある。 ここで、ポイント制度として1,000ポイントためないと使えず、他のポイント制度にも交換できない場合があるとする。この場合、1ポイント1円で交換することができないため、上記(ⅳ)の要件を満たさない。そのため、会計上は、ポイント部分について契約負債として収益を繰り延べるが、法人税法上はポイント部分について収益を繰り延べることはできない。また、税効果も検討する必要がある。 ③ 返品調整引当金の廃止 従来の返品調整引当金について、収益認識基準等(会計上)では、返品部分について返金負債として収益を繰り延べる。一方、法人税法上は、平成30年4月1日以後に終了する事業年度から返品調整引当金は廃止(返品調整引当金の経過措置については、下記【参考】参照)され、上記①(ⅱ)のとおり返品部分についても益金算入する。当然に会計上で認識した返品資産についても法人税法上は損金算入する必要がある。また、税効果も検討する必要がある。 ④ 長期割賦販売等に係る延払基準の廃止 収益認識基準等では、割賦基準(≒延払基準)は認められない(第6回9(3)②参照)。そのため、法人税法上もリース譲渡を除き平成30年4月1日以後に終了する事業年度から延払基準は廃止される。なお、経過措置が設けられている(以下、【参考】参照)。 (了)

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#西田 友洋
2019/01/10
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