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AIで士業は変わるか? 【第11回】「AIが企業の情報開示に与える影響」

AIで 士業は変わるか? 【第11回】 「AIが企業の情報開示に与える影響」   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 AIブーム 最近仲間同士集まった際に必ず話題に上がる言葉といえば、仮想通貨とAIです(仮想通貨の方は、いろいろあって若干沈静化していますが)。これらは明らかに「ブーム」と言っていいでしょう(仮想通貨の方は「バブル」?)。 新聞でAIという言葉を目にしない日はおそらくないかと思いますし、「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」といった経済誌から「週刊ポスト」や「週刊現代」といった大衆誌まで、多くの特集が組まれ、AIの専門家や、専門家なのかどうかよく分からない評論家やコンサルタントまでが、「AIに仕事が奪われる」といった、こちらの不安を煽るようなことを言っています。 とうとうまったく門外漢の私のところに、このようなAIに関連した執筆の依頼が来るぐらいですから、特にAIはものすごいブームなのだと思います。   2 人間は単純? この執筆依頼を受けて困った私は、とりあえず近所のジュンク堂へ行き、タイトルにAIが入っている書籍を片っ端から手に取ってみました。しかし、目を通してみて、なかなかしっくりとくる書籍が見つかりませんでした。そんな中、唯一、私にとってしっくりときたのが、新井紀子著『AIvs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)でした。あくまで私個人の感想ですが、新井氏の言説には唯一説得力が感じられました。 たまにですが、いわゆる理系エリートの方の言説に対して違和感を抱いてしまうことがあります。すべての方ではありませんが、そうした方の中には、日頃複雑な数式等と向き合っているからでしょうか、少し人間を単純視し過ぎている方がいるようです(あくまで私個人がこれまで接してきた方々の傾向です)。AIについて論じている方の言説に対して抱いた違和感も同様のものです。 しかし、新井氏も理系エリートの方ですが、同氏の言説に対しては、そうした違和感を抱くことがありませんでした(同氏の言説に対しては、当然、賛否両論あるかと思いますが)。   3 会計士・税理士が消滅する? AIに取って代わられる仕事としてよく取り上げられるのが、この「プロフェッションジャーナル」の主たる読者である公認会計士や税理士の仕事です。しかし、ここで私が言うまでもなく、そうした言説は、公認会計士や税理士の仕事を単純視し過ぎています。監査や税務の仕事をまったく分かっておらず、単なる数字チェックや機械的な代行だと思っているようです。 新井氏によれば、AIには読解力と常識において限界があるとのことです。監査や税務においては、状況に応じて様々な解釈や判断が求められます。そうしたことはAIには無理なのです。AIは、公認会計士や税理士を助けてくれる存在にはなっても、仕事を奪う存在にはならないはずです(もちろん、解釈や判断を伴わない単純な仕事しか行っていない公認会計士や税理士がいるとしたら、彼らの仕事は奪われるかもしれません)。 最近、AIによって公認会計士や税理士の仕事がなくなるという言説を信じて、それらの資格取得を目指すのを止める方がいると聞いたことがありますが、それは、ノストラダムスの予言を信じて、努力するのを止めるようなものですね(それらの試験は実際には相対評価なので、賢明でない受験者が減ることにより質が上昇するといえるかもしれませんが)。   4 会計バカ・税法バカでは 高度な読解力が求められる公認会計士試験や税理士試験を突破した公認会計士や税理士なら、高度な読解力を有しているはずであり(おそらく)、読解力がAIに負けることはないでしょう。 しかし、常識はどうでしょうか。 的確な解釈や判断を行うには、会計や税法の知識だけでなく、常識が必要となるはずです。ここでの常識には、経済や経営の知識のほか、様々な知識が含まれますし(それは「教養」と呼ばれるものかもしれません)、経験知も含まれます。 AIに取って代わられることはないといっても、これまでと同じでいいわけではありません。AIにできない仕事の能力を高めていく必要があり、そのためには幅広く様々な知識を学び続ける姿勢を持ちながら、経験を積み重ねていかなければならないかと思います。   5 AIと開示 この「プロフェッションジャーナル」で「〔検証〕適時開示からみた企業実態」という連載を執筆しているため、やはり「開示」に関連させてと思い、本稿のタイトルを「AIが企業の情報開示に与える影響」としました。 ここまで開示に触れておらず、前置きが長くなったようですが、ここまでの内容から、AIが企業の情報開示に与える影響についての私の考えは、おおよそ想像していただけるのではないかと思います。 AIは企業の情報開示に影響を与えるかもしれませんが、すべての問題を解決してくれるわけではないはずです。 平成30年3月20日付の日本経済新聞に、「適時開示の質問・自動応答-日本取引所、AI導入拡大」という記事が掲載されていました。日本取引所グループが、企業からの適時開示システムに関する問い合わせに対してAIが応答する仕組みを導入するとのことです。 一瞬、「そんなこと可能なのか?」と思ったのですが、記事をよく読むと、AIが応答するのは、適時開示「システム」に関する問い合わせに対してであり、開示の内容に関わる問い合わせに対してではありません。   6 開示資料を作成するAI 今後、企業の側でも、情報開示にAIを導入する動きが出てくるかもしれません。企業の情報をデータベースに集め、AIがそれをもとに開示の要否を判断して、開示資料を作成するといったようなことは、不可能ではないかもしれません(法定開示資料を作成するAIを宝印刷やプロネクサスといった企業が、あるいは適時開示資料を作成するAIを東証が開発?)。 ただ、もしも本当にそうしたAIが現れたら、私の連載「〔検証〕適時開示からみた企業実態」で取り上げたくなるような開示を連発してくれるだろうと思います。 すなわち、AIは、定量的な情報に基づく開示資料の作成は容易にできても、定性的な情報に基づく開示資料の作成は困難なはずです。AIによる説明はパターン化したものとなり、真実からずれたものとなるでしょう。また、開示の要否の判断も、困難な場合があるでしょう。特にバスケット情報の開示の要否については、AIでは判断できないでしょう。 やはり企業の情報開示業務も、AIが代わってくれる部分は出てくるかもしれませんが、すべてを代わってくれるようにはならないでしょう(AIにすべて任せてしまった方がましだという企業も中にはあるかもしれませんが・・・)。 (了)

#No. 265(掲載号)
#鈴木 広樹
2018/04/19

《速報解説》 平成30年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた法人税法施行規則等が公布される~大企業の措置法適用可否を判定する別表6(29)が新設~

《速報解説》 平成30年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた 法人税法施行規則等が公布される ~大企業の措置法適用可否を判定する別表6(29)が新設~   Profession Journal編集部   平成30年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた改正法人税法施行規則が4月13日付官報号外第84号で公布された。これら改正後の様式は原則として平成30年4月1日以後終了事業年度から適用される(改正法規附則2)。 (※) 官報同号にて地方法人税及び租税特別措置の適用額明細書の様式改正も行われている。 以下、主な様式の変更内容を紹介する。 まず、制度が改組された所得拡大促進税制(措法42の12の5:給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)は、次の通り大企業(中小企業者等以外)と中小企業者等ごとに様式が分かれ、共に拡充要件である教育訓練費増加割合の計算欄(大企業の場合は国内設備投資に係る計算欄含む)等が設けられた。 (※1) 雇用促進税制との重複適用時に使用。 (※2) 改正後の新制度は平成30年4月1日以後開始事業年度から適用されるため、同日をまたぐ事業年度の場合は旧制度の適用により中小企業者等も別表6(23)を使用する。 〈別表6(23) 雇用者給与等支給額が増加した場合又は給与の引上げ及び設備投資を行った場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 〈別表6(23)付表1 給与等支給額、当期償却費総額及び比較教育訓練費の額の計算に関する明細書〉 〈別表6(24) 中小企業者等が給与等の引上げを行った場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉   次に、本年度改正で創設された特例措置のうち、高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の5②)に係る別表6(12)、革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)に係る別表6(25)が新設された。 〈別表6(12) 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 〈別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 なお、上記別表6(25)の冒頭にある   特定税額控除規定の適用可否 │ 可  欄に注目していただきたい。 これは本年度改正において租税特別措置の適用要件の見直しがあり、大企業が次の要件のいずれにも該当しない場合、一定の税額控除の規定を適用しないこととされた(措法42の13⑥)ことによるもの。 このため、この規定を受ける制度として上記の別表6(25)の他、研究開発税制(中小企業者向けのものを除く)に係る別表6(6)等、地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に係る別表6(17)の冒頭にも同様に、適用可否の欄が設けられている。 なお、この適用可否を判定するための明細書は次の別表6(29)であり、大企業にとっては重要な様式といえるだろう。 〈別表6(29) 特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書〉 その他、代表者及び経理責任者等の自署押印制度の廃止により別表1(1)等における「経理責任者自著押印」欄がなくなり「代表者自著押印」欄は「代表者記名押印」欄とされた。また、昨年度改正における新たなCFC税制に対応した別表17関係の様式(12表)が新設されている。 国税庁では今回の改正省令に対応した申告書様式のページを公表しているが、本稿公開時点では様式(PDFファイル)は公表されておらず、今後順次公表されることになる。 (了) ↓お薦め連載記事↓

#No. 265(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/04/19

《速報解説》「国際観光旅客税法」が4月18日付で公布、平成31年1月7日以後の出国旅客に適用~同法の政省令も同日公布~

 《速報解説》 「国際観光旅客税法」が4月18日付で公布、 平成31年1月7日以後の出国旅客に適用 ~同法の政省令も同日公布~   Profession Journal 編集部 平成30年度税制改正関連法の公布後も国会での審議が続いていた国際観光旅客税法案が、4月11日に参議院本会議で可決・成立し、このたび4月18日の官報号外第87号にて公布された(法律第16号)。 これに合わせて同法の政令及び省令も同日に公布され、当初の予定通り原則平成31年1月7日の施行、施行日以後の出国旅客に定額・一律1,000円の負担が求められることとなる。 なお、その他本制度の概要については、本誌掲載の下記《速報解説》をご覧いただきたい。 なお、今回明らかになった同法の政省令ではより細かな定義規定や国外事業者の納税地の特例に係る承認申請等の手続が定められており、例えば同政令3条1項では、本税制が課税されない乗継旅客のうち日本への入国直前と出国直後の空港が同一の場合(いわゆる往復利用の場合)は除外される(課税対象となる)旨の規定が設けられている。 その他、日本に派遣された外交官等の一定の出国については国際観光旅客税を課さないこととされているが、この免除規定については、国際観光旅客税法の附則第9条において租税特別措置法の一部改正が織り込まれ、同法第90条の16(国際観光旅客税の特例)が新設されている(政省令も同様)。 (了)

#No. 264(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/04/18

《速報解説》国税庁、「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて(情報)」を公表~2019年の制度開始を前に保険料や事務費、積立金の取扱い等を示す~

 《速報解説》 国税庁、「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて(情報)」を公表 ~2019年の制度開始を前に保険料や事務費、積立金の取扱い等を示す~   税理士 島田 晃一   国税庁は2018年4月6日付けで、農林水産省との協議結果として「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて(情報)」を公表した。 今後はここで公表された取扱いに基づき税務上の処理が行われることになる。   1 農業経営収入保険とは 2017年6月農業災害補償法について、その一部が改正され「農業経営収入保険制度」が創設された(制度開始は2019年1月から)。従来からある農業共済制度は自然災害による収穫量の減少のみが補償対象になっており、需給要因による価格低下や農業者の疾病等による減収は補償の対象にならない。 また、対象品目は収穫量を確認できるものに限定されており、農業経営全体の悪化には対応していないという問題点があった。 今回、創設された「農業経営収入保険制度」は農業経営全体を対象としたもので、自然災害だけでなく前述した価格低下などによる収入悪化が認められた場合、保険金の支払対象になる。 農業経営収入保険の加入要件等の概要は以下のとおりである。 なお、農業共済などの従来の類似制度に加入しているときは、この農業経営収入保険と重複加入はできない。   2 今回公表された税務上の取扱い 今回公表された税務上の取扱いは以下のとおりである。 上記の取扱いによれば、例えば、個人の農業者が2019年を保険期間とする農業経営収入保険の保険料を2018年10月に支払った場合、一旦「前払金」として資産計上し、2019年に「保険料」として必要経費又は損金に振り替えなければならない。 一方、保険期間の収入金額が減少し補填金額を受け取ったときは、「保険金部分」、「国庫補助部分」、「積立金部分」に区分し、「保険金部分」、「国庫補助部分」のみ収入金額として計上する必要がある。また、申告期限までに補填金額が確定しなかったときは概算金額をもって収入(益金)計上しなければならない。 ただし、概算金額と実際の金額が異なった場合、その差額が少額であるときは、修正申告や更正の請求を行うのではなく、その差額を翌年(翌期)において加減算する。 以上、簡単ではあるが農業経営収入保険の概要と税務上の取扱いについて述べてきた。本稿が、農業経営収入保険に関する知識を深める一助になれば幸いである。 (了)

#No. 264(掲載号)
#島田 晃一
2018/04/17

《速報解説》 国税庁、タックスアンサーで「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の取扱いを公表~NEM流出事件に係るコインチェックからの補償金は雑所得として課税対象に~

《速報解説》 国税庁、タックスアンサーで「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の取扱いを公表 ~NEM流出事件に係るコインチェックからの補償金は雑所得として課税対象に~   Profession Journal編集部   仮想通貨NEMの流出事件について、取引所運営者のコインチェックは本年1月28日のリリースにおいて、対象となるNEM保有者約26万人に対し総額約460億円の補償金を日本円で支払う方針を示していたが、その補償金の税務上の取扱いについて、損害賠償金として非課税となるのか雑所得とされるのかが争点となっていた。 このほど国税庁は4月16日にタックスアンサー「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合(No.1525)」を公表、後掲のとおり、支払を受けた補償金は非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となることを明らかにした。 この公表を受けコインチェックのホームページにも同日この取扱いに関するリリース(仮想通貨NEM保有者に対する補償金の課税関係について)を行っている。なお、今回の補償についてはすでに3月12日付けのリリースで同日中に補償を行うことが公表されている。 なお、コインチェックのリリースにも示されているが、今回支払われた補償金は平成30年に発生した事実に基づいて支払われたものであるため、この所得については原則として平成30年分の確定申告が必要となる(本誌では4月26日(木)公開のNo.266において、より詳しい解説を掲載する予定)。 また、今後も他の仮想通貨において同様の事件が発生した場合、基本的には今回の取扱いが適用されると考えられるため、投資家にとっては留意すべき点といえよう。 (了)

#No. 264(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/04/17

《速報解説》 金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表~「収益認識に関する会計基準」の適用に対応した規定等の整備を進める~

《速報解説》 金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表 ~「収益認識に関する会計基準」の適用に対応した規定等の整備を進める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年4月13日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正」(案)、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正」(案)、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)の一部改正(案)などを公表し、意見募集を行っている。 これは、平成30年3月30日に、企業会計基準委員会が公表した「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等に対応するものである。 意見募集期間は平成30年5月12日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の主な内容 1 収益認識に関する注記など 財務諸表等規則8条の32(収益認識に関する注記)として次の規定を設ける。 連結財務諸表規則、中間連結財務諸表規則などの改正は、財務諸表等規則の改正に伴う準用規定の改正である。 上記のほか、たな卸資産及び工事損失引当金の表示の改正(財規54条の4)、売上高の表示方法の改正(財規72条)、割賦販売売上高の表示方法の削除(財規73条)がある。 2 財規ガイドラインの改正 改正後の主な財規ガイドラインは次のとおりである。 《8の2-7》 規則第8条の2第7号に規定する収益及び費用の計上基準には、ファイナンス・リース取引に係る収益及び費用の計上基準等、財務諸表について適正な判断を行うために必要があると認められる事項を記載するものとする。また、財務諸表提出会社が「収益認識に関する会計基準」を適用している場合には、その旨を記載するものとする。 (※) 現行の財規ガイドライン8の2-7では、工事契約に関する工事進捗度を見積るために用いた方法の記載が求められている。 《8の32》 規則第8条の32に規定する注記とは、「収益認識に関する会計基準」が適用される場合の注記とし、同条に規定する顧客、契約及び履行義務とは、「収益認識に関する会計基準」にいう顧客、契約及び履行義務をいうものとする。 《72-1》 規則第72条第1項に規定する売上高については、各企業の実態に応じ、適切な名称を付すことに留意する。 (※) 現行では、作業くず、手持原材料又は貯蔵品の売却に関する取扱いが規定されている。 《72-1-2》 削除する。 (※) 現行では、売上値引、売上割引、売上割戻について規定している。  なお、売上割引については、改正後の財規ガイドライン93において、「売上割引(代金支払期日前の支払に対する売掛金の一部免除等をいう。)」と規定する予定である。 《79》 規則第79条の仕入値引とは、仕入品の量目不足、品質不良、破損等の理由により代価から控除される額をいい、代金支払期日前の支払に対する買掛金の一部免除等の仕入割引と区別するものとする。なお、一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対する仕入代金の返戻額等の仕入割戻は、仕入値引に準じて取扱うものとする。 連結財規ガイドライン、中間連結財規ガイドラインなどの改正は、財規ガイドラインの改正に伴う準用規定の改正である。   Ⅲ 適用時期等 公布の日から施行する予定である。 (了)

#No. 264(掲載号)
#阿部 光成
2018/04/16

《速報解説》 改正省令により「相続税の申告書の添付書類」の見直し内容が明らかに~戸籍謄本はコピーも可に、「法定相続情報一覧図」は図形式かつ実子・養子の区別が記載されたものに限る~

 《速報解説》 改正省令により「相続税の申告書の添付書類」の見直し内容が明らかに ~戸籍謄本はコピーも可に、「法定相続情報一覧図」は図形式かつ 実子・養子の区別が記載されたものに限る~   Profession Journal 編集部   3月31日に公布された相続税法施行規則の一部を改正する省令により、大綱で示されていた相続税の申告書の添付書類に関する改正内容が明らかとなった。 平成30年度税制改正大綱では相続税の申告書の添付書類の見直しについて、次のように示されていた。 上記大綱の記述からは、新たに戸籍謄本の複写による提出が認められることが確認できていたが、申告書の添付書類について規定した相続税法施行規則第16条第3項は次のように改正されている。 改正省令のポイント及び留意点は次の通り。 ① 戸籍謄本はコピー機による複写も可に まず、改正後の第一号のイは改正前の第一号と同じ記述内容だが、第一号の「(当該書類を複写機により複写したものを含む。)」との規定により、戸籍謄本をコピー機で複写したもの(改正前は原本による)が添付書類として認められることとなる。なお、改正前と同様、原本による提出も可。 ② 法定相続情報一覧図は図形式のみ、列挙形式は認められない 次に、第一号のロにより、昨年5月に制度が始まった法定相続情報証明制度における「法定相続情報一覧図の写し」(コピー機で複写したものを含む)が戸籍謄本に代わる添付書類として認められることになった。 法定相続情報証明制度は、土地の未登記問題を解決するため利用者の負担を減らすべく創設された制度で、一定の手続により作成・入手可能な法務局の認証文が付された法定相続情報一覧図の写しを戸籍謄本に代わり各相続手続に利用できるようにしたもの。ただし今回の改正前は、相続税の申告書の添付書類としては認められていなかった。 本制度については本誌掲載の下記解説記事を参照されたい。 ここで確認したいのが、上記第一号ロの「被相続人と相続人との関係を系統的に図示したもの」という規定だ。 4月11日に国税庁ホームページで公表された本改正に関するパンフレットでは、『図形式の「法定相続情報一覧図の写し」』が添付書類として認められるとしたうえで、「列挙形式では相続人の法定相続分が確認できない場合もあるため、相続税の申告書の添付書類として利用するときには、図形式のものであることが必要となります」と説明されている。 法定相続情報一覧図の列挙形式とは次のように、被相続人及び相続人を単に列挙したもので、一般的な図形式の一覧図と異なり被相続人と相続人との関係を系統的に図示していないことから、添付書類として認められないことになる。 〈列挙形式の「法定相続情報一覧図」の記載例〉 (※) 法務局ホームページにてエクセルデータによるダウンロードが可能。 列挙形式の方が作成の手間がかからず法務局への申出・交付を受けることは可能であり他の相続手続にも使用できるものの、相続税の申告手続を考えた場合は図形式による作成が望ましいところだ。 ③ 「子」とのみの記載は添付書類として不可 次に注意したいのが、同じく第一号ロの「当該被相続人の子が実子又は養子のいずれであるかの別が記載されたもの」という規定だ。 制度開始後の法定相続情報一覧図は上記【関連記事】①にあるとおり、相続人は「(子)」とのみの記載であって実子・養子の区別がされておらず、この規定に該当しないこととなる。 この点、本年2月から「法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に係る法定相続情報一覧図の記載内容等の見直しについて」と題するパブコメが行われており、「長男」、「長女」、「養子」など、原則として戸籍に記載される続柄を記載することとする見直しが行われ、改正省令の施行に合わせ平成30年4月1日から取扱いが変更されている。 ここで注意したいのが、今回の制度の見直し後も、見直し前と同様に「子」として記載する方法も選択することができるという点だ。 プライバシーの観点から選択が認められているものと考えられるが、この場合は相続税の申告書の添付書類としては認められないため、上記②とともに、作成に当たってはクライアント(もしくは作成を委託する司法書士や弁護士等)へ十分に確認する必要がある。 〈図形式の「法定相続情報一覧図の写し」のイメージ〉 (※) 国税庁ホームページより なお、法定相続情報証明制度の利用拡大により、他に次の点も見直しが行われているのでおさえておきたい。 (了)

#No. 264(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/04/12

プロフェッションジャーナル No.264が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年4月12日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.264を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/04/12

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第63回】「条文の『見出し』から租税法条文を読み解く(その3)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第63回】 「条文の『見出し』から租税法条文を読み解く(その3)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦     Ⅲ 租税条約の解釈と見出し 法律の解釈に当たって、見出しが1つの参考情報になり得ることは上記のとおりである。 裁判所の判断や、訴訟における当事者の主張の中でもそうした点が散見される。 次に、租税条約の解釈に見出しが与える影響について、東京地裁平成22年12月3日判決(訟月57巻6号1972頁)を基に確認しておこう。 本件は、原告が、米国法人であるB社に対して平成16年7月23日に支払った同年1月ないし5月分の特許等使用料について、支払の際に所得税の源泉徴収義務があるとして、処分行政庁から源泉所得税に係る納税告知処分等を受けたことに対し、本件特許等使用料については「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」(平成16年条約第2号。同年3月20日発効。以下「新日米租税条約」という。)12条1項が適用され、原告は源泉徴収義務を負わないにもかかわらず本件各処分がされたのは違法であるとして、その取消しを求める事案である。 ここで、前提として、簡潔に当時の日米租税条約の要約を確認しておきたい。 本件の争点は、新日米租税条約30条2項(以下「本件規定」という。)にいう「7月1日以後に租税を課される額」の意義である。 かかる意義について、課税庁側は、外国法人の課税要件が充足される時点、すなわち、所得税法178条《外国法人に係る所得税の課税標準》の「支払を受けるべき」時点が7月1日以後である金額をいうと主張したのに対し、原告は、「現実の支払時」が7月1日以後である金額をいうと反論した。 これら両者の主張について、東京地裁は次のように述べ、原告の主張を排斥し、本件各処分を適法なものと判断した。 つまり、東京地裁は、本件規定の「租税を課される」とは、源泉徴収義務を負担することではなく、所得税の納税義務を負担させられることを意味するものというべきとし、「7月1日以後に租税を課される額」の意義について次のように示す。 要するに、東京地裁は、実際の特許権等使用料の支払時を基準にして、「7月1日以後に租税を課される額」を判断するのは妥当でないとして、納税者の主張を排斥したのである。 ところで、このような原告の主張の根拠は、所得税法212条《源泉徴収義務》が、非居住者又は外国法人に対し国内源泉所得の支払をする者に対し、その「支払の際」に、源泉徴収義務を課しているところにある。 これに対して、課税庁側の主張の根拠は、所得税法178条が、外国法人に対して課する所得税の課税標準について、その外国法人が「支払を受けるべき」国内源泉所得の金額としているところにある。 この両者の主張の対立について、東京地裁は次のように述べている。 このように、被告が主張の根拠とする所得税法178条の「外国法人に係る所得税の課税標準」という見出しや、原告主張の根拠である同法212条の置かれた章が「非居住者及び外国法人の所得に係る源泉徴収」であることなども勘案し判断が下されていることに着目しておきたい。   Ⅳ 通達の解釈と通達見出し 続いて、法律の見出しではないが、通達の見出しも確認しておこう。 東京地裁平成29年1月19日判決(裁判所ウェブサイト)は、通達の見出しに関心を寄せている。 債権放棄の寄附金該当性が争点とされた同事件において、東京地裁は、法人税基本通達9-4-1《子会社等を整理する場合の損失負担等》について、次のように説示している。 本件の判断結果の妥当性についてはひとまず措くとして、本件東京地裁が、法人税基本通達9-4-1及び9-4-2を法律のごとく扱っているように見受けられる点については議論のあるところであろう(例えば、東京地裁は、「本件債権放棄額については、基本通達9-4-1の適用を受けるものではなく、同通達9-4-1所定の基準により又はこれに準じて法人税法37条1項所定の寄附金の額に該当しないものとして損金算入を認めることはできないというべきである。〔下線筆者〕」などとしているが、本来、法律に準ずるのが通達であることに鑑みれば、どこかその位置付けが逆転しているように見えなくもない。)。 東京地裁は、法人税基本通達9-4-1がその見出しで「整理」としており、同9-4-2の見出しが「再建」としていることに着目し、既に解散し整理された本件子会社については、法人税基本通達9-4-2の対象たり得ないとする。 このような通達の見出しに着目した判断は果たして妥当といえるであろうか。 最後に、それに対する答えとして法人税基本通達前文「法人税基本通達の制定について」を引用しておきたい。   結びに代えて 条文見出しは、単なる「インデックス」であろうか。 条文見出しの改正も国会審議の対象とされている点を踏まえれば、条文見出しを軽視することは到底できないように思われる。 また、実質所得者課税の原則の改正経緯に照らして検討したように、法律が採用している考え方を端的に表しているものこそ条文見出しであるともいい得るのであって、条文見出しが租税法条文の解釈に与える影響は無視できないものであろう。 それを裏付けるように、多くの裁判例において、判断の1つの材料として条文見出しが用いられていることも本稿で確認したとおりであり、条文見出しを単なる便宜にすぎないインデックスと位置付けることは誤りであるといえよう。 ところで、金子宏教授がその著書の中で、「著者は、本書の古い版では、ストック・オプションの行使益は雑所得にあたる旨を述べたことがあるが、租特第2章第3節のタイトルにかんがみ、現在は給与所得にあたると考えている。」と説明される箇所がある(金子『租税法〔第22版〕』237頁(弘文堂2017))。 ここにいう租税特別措置法第2章第3節の見出しは「給与所得及び退職所得」であるが、金子教授は、こうした見出しなどから、「法の考え方」を探られているのかもしれない。 もっとも、条文見出しを法解釈に利用するに当たって気を付けなければならない点として、その見出しが「正式な見出し」であるか否かの確認が必要なことを最後に指摘しておこう。 六法全書では、利用者の立場や便宜を考えて、正式には見出しの付いていない法令にも出版社(編集者)の方で見出しを付けている例がある。一番分かりやすい例が憲法である(憲法の条文に見出しは無い。)。 条文の解釈においては、このような見出しと、本来法令に付されている見出しとを混同しないようにしなければならない(林修三『法令用語の常識〔第3版〕』157頁(日本評論社2007))。 以下は、憲法第7章「財政」に関する各六法全書の出版社別の見出しの例である(平野敏彦「憲法の条文見出し」広島法科大学院論集10号92頁)。 なお、憲法30条はすべての六法全書において「納税の義務」とされている(平野・前掲稿82頁)。 さて、編集者が条文見出しをすべての収録法令に付け、そのことを当該六法の特色として主張した最初は、有斐閣『六法全書』昭和23年版といわれている(平野・前掲稿71頁)。この六法は戦後初の六法であるが、編集責任者である我妻栄博士らの「はしがき」によると、ここでは検索の便宜が意識されていたという(平野・前掲稿71頁)。 最後に余談ではあるが、有斐閣が現在発行する六法の凡例によると、正式な条文見出しは「(〇〇〇)」とされ、編集者が便宜上付けたものは「【〇〇〇】」で表記されている旨が説明されている。 法令を調べるときには、「正式な条文見出し」と「便宜上の条文見出し」を混同しないように気を付けなければならないが、正式な条文見出は、法令の解釈に当たって重要な参考情報と位置付けるべきであろう。 (了)

#No. 264(掲載号)
#酒井 克彦
2018/04/12

平成30年度税制改正における『組織再編税制・M&A税制』改正事項の確認

平成30年度税制改正における 『組織再編税制・M&A税制』改正事項の確認   公認会計士 佐藤 信祐   1 概要 昨年(平成29年)12月14日に公表された与党税制改正大綱で示された組織再編税制及びM&A税制の改正概要は以下の通りである。 税制改正大綱のみから読み取れる内容については、既に本誌掲載の下記拙稿において解説を行った。本稿では、改正後の法律、政令から読み取れる内容を確認したうえで、実務上の留意事項について解説を行う。なお、上記のうち(1)(3)については、税制改正大綱に記載されている以上の情報はなかったため、本稿では、(2)について解説を行うこととする。 また、平成29年度税制改正における組織再編税制の改正事項については、下記拙稿を参照されたい。   2 税制適格要件の見直し 与党税制改正大綱75頁では、組織再編税制の見直しとして、以下のものが列挙されている。 このうち、①については、平成29年度税制改正により、単独新設分社型分割又は単独新設現物出資後に、分割承継法人株式又は被現物出資法人株式の適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、完全支配関係継続要件を当該適格株式分配の直前までとする改正が行われていたが、平成30年度税制改正では、完全支配関係がある法人間で行われる組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合についても、特例が定められた。 例えば、同一の者による完全支配関係がある法人間の合併に対しては、合併後に合併法人株式を対象とする適格現物分配が行われた場合の取扱いが定められている(法令4の3②二)。しかしながら、スピンオフ税制の適用はかなり限定的であり、実務上、利用される事案はほとんどないと思われる。 次に、②については、50%超100%未満グループ内の組織再編成、共同事業を営むための組織再編成を行った場合において、合併法人等に移転した従業者、事業を当該合併法人等の100%グループ内の法人に移転したとしても、従業者引継要件、事業継続要件を満たすこととされた。さらに、改正法人税法、同法施行令を見ていると、二段階組織再編成により合併法人に移転した従業者、事業を当該合併法人の100%グループ内の法人に移転した場合についても同様に取り扱われている。 そして、③については、現行法上、無対価組織再編成は、原則として非適格組織再編成として位置付けながらも、対価の交付を省略した場合として、法人税法施行令に列挙されたもののみを適格組織再編成として認めている。しかしながら、法人税法施行令に列挙されたものは、対価の交付を省略した場合のすべてを想定したものとは言い難く、株式交付型組織再編成を選択しないと非適格組織再編成に該当してしまうものも少なくない。 そのため、合併を例に挙げると、被合併法人の株主と合併法人の株主が等しい場合には、適格合併として認める改正が行われている(法令4の3②二)。なお、法人税法施行令4条の3第2項2号ハ及びニに規定されていた「合併法人及び当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係」「被合併法人及び当該被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係」はそれぞれ文言が削除されたため、適格合併の対象から除外されているようにも思える。しかしながら、同号ロにおける被合併法人の株主と合併法人の株主が等しいかどうかの判定上、被合併法人及び合併法人を除外して判定することとされており、結果的に、上記の2つを包括した内容となっているため、今まで認められていた無対価組織再編成が認められなくなったという不都合はない。 なお、実務上、適用される場面は稀であると思われるが、被合併法人の株主と合併法人の株主が等しい場合において、グループ内の適格合併の要件を満たさないときであっても、事業関連性要件やその他の要件を満たせば、共同事業を営むための適格合併の要件を満たすことができるように改正がなされている(法令4の3④柱書)。 そのほか、対価の交付を省略したと認められる非適格の無対価組織再編成についても、その取扱いが明確化された。以下では、合併を例に挙げたうえで改正事項を列挙することとする。 このように、無対価の非適格組織再編成の計算では、第三者による資産評定に委ねられる部分が多く、やや奇異な印象を受ける。資産評定の結果、株式を交付する非適格組織再編成と異なる数値になり得るからである。この点については、夏頃に公表される『改正税法のすべて』を確認する必要があると思われる。 そのほか、④に記載されている通り、上記以外にも、全部取得条項付種類株式又は株式併合によるスクイーズアウトについて、1株未満の端数の代り金として交付した金銭について、金銭等不交付要件に抵触しないことが明確化されている(法法2十二の十七)。   3 むすび 今回の組織再編税制の改正は、単なる平成29年度税制改正の追加的な修正に留まらず、今までの実務で問題とされていたことを、なるべく解決しようとする財務省主税局の意図が感じられる。 しかし、依然として、現行組織再編税制は問題が多く、修正すべき点も少なくない。そのため、今後も、組織再編税制の見直しが行われることが予想される。例えば、省略型以外の無対価組織再編成についても適格組織再編成として位置付ける余地はあり得るし、二段階組織再編成についても、さらなる整備が必要であると思われる。 本稿が、組織再編税制に携わる方々のお役に立つことができれば幸いである。 (了)

#No. 264(掲載号)
#佐藤 信祐
2018/04/12
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