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プロフェッションジャーナル No.212が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年3月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.212を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/03/30

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第14回】「別表6(17) 認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第14回】 「別表6(17) 認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第14回目は、平成28年度税制改正で創設されたばかりで、まだ書籍等で解説される機会が少ない「認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表は、いわゆる地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を適用する場合に記載する。 本制度は、青色申告書を提出する法人が地域再生法の一部を改正する法律(平成28年法律第30号)の施行の日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの期間内に、地域再生法の認定地方公共団体が行った同法のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金という)を支出した場合に、以下の税額控除を認めるものである。 (注) 法人住民税額から控除される金額=調整前法人税額×1.4%又は2.58% (平成29年3月31日までに開始した事業年度においては2.58%、平成29年4月1日以後に開始した事業年度においては1.4%) 以上のとおり、特定寄附金の額の1割を法人事業税から、2割を法人住民税から控除し、法人税については、課税所得が少なく法人住民税から控除しきれない場合に、特定寄附金の額の1割を限度としてその分を控除することになる。 したがって、地方公共団体に対する寄附金は、もともと全額損金算入によって約30%の税額軽減が図られており、それに加えて本制度の適用により特定寄附金の額の3割が地方税及び国税から控除されることになるため、合わせて特定寄附金の額の約6割の税額軽減の効果が期待できることになる。 なお、この企業版ふるさと納税制度の概要や対象事業などの詳細については、内閣府地方創生推進事務局のホームページを参照のこと。   Ⅲ 「別表6(17)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月20日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 参考までに、東京都の様式をもとに地方税の記載例(該当部分のみ記載)を以下に示す。 記載例では、都民税の控除額133,592円(第6号様式の⑧欄及び第7号の3様式の⑳欄)と事業税の控除額100,000円(第6号様式の[47]欄及び第7号の3様式の⑪欄)に、法人税の控除額66,408円(別表6(17)の「10」欄)を足すと300,000円となり、特定寄附金額1,000,000円の30%となっていることがわかる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (了)

#No. 212(掲載号)
#菊地 康夫
2017/03/30

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第8回】「買換えする土地の取得に伴いその宅地の造成等をした場合」-買換資産の範囲-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第8回】 「買換えする土地の取得に伴いその宅地の造成等をした場合」 -買換資産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、居住用の土地家屋(所有期間が10年超で居住期間は10年以上)を売却しました。 新たに購入した土地に、居住用家屋の敷地として利用するための地盛り、地ならし、防壁工事を行いました。 また、その土地の上水道と下水道の工事にも費用を要しました。 この土地の造成費用や上下水道工事に要した費用の額についても、買換資産の取得に要した金額として、「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用を受けることができるでしょうか。 A 土地の取得に伴って買換資産の取得期間(譲渡する日の属する年の前年1月1日からその譲渡の日の属する年の翌年12月31日までの間)内に行われた土地の造成等の額は、買換資産の土地に含めることができます。 ●○●○解説○●○● 埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額は、その土地の取得費に算入することができます。 また、上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても同様です(所基通38-10(土地についてした防壁、石垣積み等の費用))。 したがって、「買換えの特例」の適用を受ける場合に、買換資産として土地を取得し、その土地に造成等を行った後、居住用家屋を建築するようなときは、その造成等の費用の額は、買換資産として取得した土地の取得価額に算入することができます(措通36の2-12(買換資産の改良、改造等))。 (了)

#No. 212(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/03/30

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第47回】「継続的取引の基本となる契約書⑥(取扱数量を定める契約書)」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第47回】 「継続的取引の基本となる契約書⑥(取扱数量を定める契約書)」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   当社は物品製造業者です。 今回、取引先との間で当社が製造委託を受けている商品の予定数量を定め、覚書を交わすこととしました。 この場合の、印紙税の取扱いはどうなりますか。   製造委託に係る商品の取扱数量を定める文書であり、第2号文書(請負に関する契約書)と第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当し、記載金額の計算ができないことから第7号文書に該当する。   [検討1] 請負の意義 第2号文書の請負に関する契約書の請負とは、民法に規定する請負をいう。 事例の文書は甲が乙に商品の製造委託を行うことを定めたものであることから、請負に関する契約に該当する。 [検討2] 第7号文書の要件は 第7号文書である継続的取引の基本となる契約書に該当する要件は、令第26条第1号に規定されており、下記の要件すべてに該当した場合、第7号文書に該当する。 1 営業者の間の契約である。 2 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する契約である。 3 2以上の取引を継続して行う契約である。 4 取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の項目を定めるもの。 5 電気又はガスの供給に関する契約ではないもの。 (※) なお、契約期間が3ヶ月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれる。 [検討3] 取扱数量とは 令第26条第1号に規定する取扱数量とは取扱量として具体性を有するものをいい、例えば「1ヶ月の最低取扱数量は100台とする。」というように、1取引当たり、1ヶ月当たり等の取引数量を具体的に取り決めるものがこれに該当する。 また、取扱数量には、数量だけではなく、金額により取扱目標を定める場合もこれに含まれる。したがって、「1ヶ月の最低取引金額は100万円とする。」という場合も取引数量に該当する。   ▷ まとめ   (了)

#No. 212(掲載号)
#山端 美德
2017/03/30

被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第6回】「過去の大規模災害時における特例措置」

被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(所得税)のアドバイス〕 【第6回】 「過去の大規模災害時における特例措置」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   災害による被害が甚大である場合には、従来、災害ごとに特例法や国税庁の個別通達による特例措置が設けられてきた。過去と同様の特例措置が、今後の大規模災害時にも設けられるとは限らないが、近い内容の措置が講じられる可能性は高いと考えられる。 そこで、東日本大震災の際の所得税に関する特例措置の概要を「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下、震災特例法という)に基づいて解説する。 なお、平成29年度税制改正では、災害に関する税制上の措置の常設化が図られている。本稿の最後に常設化された措置の項目を挙げる。   【1】 震災特例法による特別措置 東日本大震災の際の所得税に関する主な特例措置は、次の通りである。   【2】 雑損控除の特例 東日本大震災は、平成23年3月11日に発生した。当該震災により被害を受けた場合、所得税法の規定によると、平成23年分の所得税計算において雑損控除の適用を受けることになる(所法72①)。 この原則的な取扱いによると、被害を受けたときから1年近く経過しないと雑損控除の適用を受けることができない。そこで、震災特例法では、納税者が選択すれば平成22年に損失が生じたものとして、平成22年分の所得税で雑損控除を適用できるよう措置された(震災特例法4)。 また、震災特例法の施行日前に平成22年分の所得税の確定申告書を提出している場合には、同法の施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求ができるものとされた(震災特例法附則2)。 なお、この特例は、「東日本大震災により生じた損失」について適用される。したがって、特例の対象は、申告期限を延長された地域(平成23年3月15日付国税庁告示)内に住所がある個人に限られず、また、同地域内の資産について生じた損失に限られることもない(震災特例法4、所得税の取扱い(情報)「Ⅱ 質疑応答編」第5-2)。   【3】 雑損失の繰越控除の特例 震災特例法により、東日本大震災による雑損失の金額は、繰越控除の期間が5年(所得税法では3年)とされた(震災特例法5)。   【4】 災害減免法に基づく所得税の軽減免除の特例 【2】雑損控除の特例と同様、東日本大震災により被害を受けた場合には、納税者の選択により、平成22年にその被害を受けたものとして、災害減免法に基づく所得税の軽減免除の適用を受けることができるよう措置された(震災特例法53)。 また、震災特例法の施行日前に平成22年分の所得税の確定申告書を提出している場合には、同法の施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求をすることができるものとされた(震災特例法附則2)。 なお、この特例は、「東日本大震災により住宅又は家屋について甚大な被害を受けた場合」に適用がある。したがって、特例の対象は、申告期限を延長された地域(平成23年3月15日付国税庁告示)内に住所がある個人に限られず、また、同地域内の資産についての被害に限られることもない(震災特例法53、所得税の取扱い(情報)「Ⅱ 質疑応答編」第5-2)。   【5】 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の適用期間等に係る特例 (1) 適用期間の特例 住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、控除を受ける年の12月31日まで引き続き対象家屋に居住していることが要件とされる。しかし、災害等によりその家屋に居住することができなくなった場合には、居住することができなくなった日まで引き続き居住の用に供していれば、その年分について控除を受けることができる(措法41①)。 この原則的な取扱いによると、被災した翌年からは、たとえ年末に住宅借入金の金額を有していたとしても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできなくなる。 そこで、震災特例法では、東日本大震災により被害を受けた場合には、居住の用に供することができなくなった日の属する翌年以後においても引き続き住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるよう措置された(震災特例法13①②)。 (2) 重複適用の特例 東日本大震災によりそれまで住んでいた家屋(以下、従前家屋という)に居住できなくなり、新たな居住用家屋(以下、再取得家屋という)を借入金等により取得した場合で、従前家屋の借入金等も残っているときには、いわゆる二重ローンの問題が生ずる。 税制上の原則的な取扱いによると、再取得家屋に係る住宅借入金等については住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるが、従前家屋に係る住宅借入金等については同制度の適用を受けることができないこととなる(措法41①)。 そこで、震災特例法により、従前家屋に係る住宅借入金等と、再取得家屋(平成33年12月31日までに居住の用に供したものに限られる)に係る住宅借入金等について、住宅借入金等特別控除を重複して適用できることとされた(震災特例法13③④⑤)。この場合の控除額は、従前家屋に係る控除額と再取得家屋に係る控除額の合計額となる。 (3) 控除額に係る特例 東日本大震災により自己の居住の用に供する家屋に被害を受け、同家屋を居住の用に供することができなくなった者が、平成33年12月31日までの間に、一定の住宅の取得等をして住宅借入金等特別控除の適用要件を満たす場合には、通常の住宅借入金等特別控除の適用に代えて、以下の控除額に係る特例を適用することができる(震災特例法13の2)。 〈控除額に係る特例〉   【6】 財産形成住宅貯蓄の利子等の非課税 勤労者財産形成住宅貯蓄又は勤労者財産形成年金貯蓄について、住宅の取得等以外の目的で払出しを受けるときには、利子等について課税が行われる。 震災特例法では、東日本大震災により被害を受けたことによって、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に同貯蓄を払い出す場合であれば、目的外の払出しであっても利子等に課税しないこととされた(震災特例法9の2)。   【7】 震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除 (1) 震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除の特例 平成23年3月11日から平成25年12月31日までに、震災関連寄附金(※1)を支出した場合には、寄附金控除の限度額が総所得金額等の80%(所得税法では40%)相当額とされた(震災特例法8①)。 (※1) 震災関連寄附金:国又は著しい被害の発生した地方公共団体に対する寄附金及び大震災に関連する指定寄附金 (2) 特定震災指定寄附金を支出した場合の所得税額の特別控除 平成23年3月11日から平成25年12月31日までに、2,000円を超える特定震災指定寄附金(※2)を支出した場合には、その年の所得税の額から特定震災指定寄附金の額(2,000円を超える部分)の40%相当額を控除できることとされた(震災特例法8②)。 (※2) 特定震災指定寄附金:震災関連寄附金(※1)のうち、被災者の救援又は生活再建の支援を行う活動に必要な資金に充てられる寄附金(一定の認定NPO法人又は社会福祉法人中央共同募金会に対するもの)   【8】 災害税制措置の常設化(平成29年度税制改正) 平成29年度税制改正により、災害に関する税制上の措置のうち次のものが常設化される。   (了)

#No. 212(掲載号)
#篠藤 敦子
2017/03/30

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《リース取引》編 【第1回】「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領 《リース取引》編 【第1回】 「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理と 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 ~所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)」   公認会計士・税理士 前原 啓二   はじめに 所有権移転外ファイナンス・リース取引の借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされています。一方で、未経過リース料を注記することを条件として通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理することもできます。今回は、これら2つの方法を対比してご紹介します。   1 一連のリース取引に係る仕訳 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 〈×0年4月1日:リース取引開始日〉 〈×0年4月30日:第1回目リース料支払日〉 〈×1年3月31日:第12回目リース料支払日、決算日〉 リース取引とは、特定の物件の所有者である貸手が、その物件の借手に対し、リース期間にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、リース料を貸手に支払う取引をいいます。リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引とに区分されます。 ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、契約に基づきリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいいます。ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に区分されます(中小企業会計指針74-2)。 所有権移転ファイナンス・リース取引は、このうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるものをいいます。 具体的には、所有権移転ファイナンス・リース取引は、次のいずれかに該当するもの又は準ずるものです(法令48の2⑤)。 所有権移転外ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引以外のファイナンス・リース取引をいいます。 中小企業会計指針では、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされていますが、未経過リース料を注記することを条件に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うこともできるとされています(中小企業会計指針要点)。 この設例では、リース物件が特別仕様でもなく、また、リース契約上、所有権移転条項や割安購入選択権がいずれもないことから、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当します。 したがって、中小企業会計指針によると、このリース物件については、(1)売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う方法と、(2)通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、未経過リース料を注記する方法のいずれかを選択適用します。 (1) 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 この設例では、リース料総額から利息相当額を控除しない方法によるので、リース取引開始日(×0年4月1日)において、リース料総額6,000,000円(税抜)を資産計上します。同時に、そのリース料総額の税込額6,480,000円をリース債務という科目にて未払計上します。 法人税法上、リース資産の貸手から借手への引渡時にそのリース資産の売買があったものとして取り扱われる(法法64の2①)ため、この引渡時に、480,000円(=6,000,000円×8%)全額を仮払消費税として計上し、消費税申告上、この引渡時を含む課税期間において仕入税額控除の規定適用を受けます。 リース料の支払時に、毎回の支払額108,000円を普通預金から支払い、同額のリース債務を減額していきます。期末において、リース未払金をワン・イヤー・ルールにより流動負債(1年以内返済予定リース債務、108,000×12回=1,296,000)と固定負債(リース債務108,000×36回=3,888,000)に分けて表示します。 リース資産については、法人税法上、リース期間定額法が適用されます。リース期間定額法によると、耐用年数をリース期間5年に、残存価額をゼロとして、減価償却費を計算(×1年3月31日決算期:6,000,000円×12月/60月=1,200,000円)します。 (2) 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 リース料の支払時に、毎回の支払額108,000円を普通預金から支払い、その税抜額100,000円をリース料(賃借料)計上していきます。この方法は、旧来の会計処理と同じです。 法人税法上、リース資産につき借手が賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれるものとされる(法令131の2③)ため、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 消費税についても、原則は、上記(1)のとおりですが、特例として、所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、借手が賃貸借取引として会計処理している場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間において課税仕入れとして消費税を申告しているときは、これによって差し支えないこととされます。 したがって、この設例では、この特例を適用して、リース料の支払時ごとに、毎回の支払額108,000円のうち消費税部分8,000円を仮払消費税として計上していき、消費税申告上、その支払うべき日の属する課税期間において仕入税額控除の規定適用を受けます。 なお、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理は、未経過リース料を注記することが条件なので、×1年3月31日決算期においては、その時点の未経過リース料総額(毎月末100,000円/月×48回(残り4年)×1.08=5,184,000円)を注記します。   2 決算書の金額 ケース1 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×1年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 ケース2 通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理 ▷ ×1年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 〈個別注記表〉   3 損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整 この設例のケースは、会計処理と法人税法上の取扱いに差異がないので、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 (了)

#No. 212(掲載号)
#前原 啓二
2017/03/30

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第21回】「連結と個別で不統一となっている言い回し」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第21回】 (最終回) 「連結と個別で不統一となっている言い回し」   公認会計士 石王丸 周夫   今年の連載のラストとなるうっかりミスをご紹介しましょう。 1 今回の事例 計算書類のドラフトにはうっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例21-1】 連結株主資本等変動計算書と株主資本等変動計算書で、不統一な表現がある。 【事例21-1】は、同じ会社・同じ年度の連結株主資本等変動計算書と株主資本等変動計算書です。 この中に2ヶ所、違和感のある箇所があります。 どこだかわかりますか? ヒントを出しましょう。 同じことを言っているにもかかわらず、連結と個別で表現が違っているところがあります。 探してみてください。   2 表現はそろえたほうがよい 正解を見てみましょう。 正しく修正したところを赤字にしてあります。 【事例21-1】では、表中の期首残高と期末残高を表す言いまわしが、以下のように連結と個別で異なっていました。 連結:平成28年4月1日残高 ⇔ 個別:当期首残高 連結:平成29年3月31日残高 ⇔ 個別:当期末残高 「年月日」を記載することでも、「期首、期末」と記載することでも、どちらでも構わないのですが、同じ会社・同じ年度の連結計算書類と計算書類であれば、表現をそろえた方がよいです。 上に掲載した正解では、「期首、期末」に統一した形で修正しています。   3 起こるべくして起こるコーディネート・ミス このミスは、分類でいうと「コーディネート・ミス」になります。この連載の【第10回】で解説したとおり、コーディネート・ミスは「分業が招くミス」です。 【事例21-1】では、連結株主資本等変動計算書をAさん、株主資本等変動計算書をBさんが作成したところ、Aさんは期首と期末の表現を「年月日」で、Bさんは「期首、期末」と記載しました。 どちらも単品で見る分には問題ないのですが、それらを合わせたときに、調和を欠く結果となってしまったのです。 分業は仕事の効率化につながりますが、各担当者は、自分の担当作業にしか注意を向けなくなるという欠点があります。細分化されバラバラに進んだ各作業は、最終的に1つにまとめられなければならず、そこに新たな作業が生まれます。『全体としての統一感を確認する』という作業です。 それが誰の仕事になるのかというと、誰も自分の仕事だとは思わないのです。 誰もチェックしないのですから、そこでミスが起こるのは当然と言えば当然ですね。   4 類似事例の紹介 期首残高、期末残高の表現についてのコーディネート・ミスには、類似の事例があります。 【事例21-2】 連結株主資本等変動計算書の上段と下段で表現が不統一となっているものがある。 【事例21-2】は、連結株主資本等変動計算書の上段で「当連結会計年度期首残高」、下段で「当期首残高」としている例です。 どちらでも構いませんが、同じ表の上段と下段は同じ表現でなければおかしいです。 株主資本等変動計算書の上段と下段の相違については【第17回】でも取り上げていますので、ご参照ください。 連結と個別のコーディネート・ミスの事例としては、貸借対照表の例も紹介しておきしょう。 【事例21-3】 「1年内」と「1年以内」のどちらかに統一すべきもの 同じ会社・同じ年度の連結貸借対照表と貸借対照表です。 長期借入金のうち、1年内返済予定分の科目名が微妙に違っていますね。 「1年内」「1年以内」のどちらでもよいのですが、これもやはり統一しておくべきところでしょう。   〈今回のまとめ〉 連結計算書類・計算書類は、「不統一な表現がないかどうか」という観点から、通し読みすることも大事です。 (連載了)

#No. 212(掲載号)
#石王丸 周夫
2017/03/30

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第34回】「ソフトウェア」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第34回】 「ソフトウェア」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、研究開発費に該当しないソフトウェアの会計処理について解説する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 ソフトウェアの制作費は、その制作目的により、将来の収益との対応関係が異なること等から、ソフトウェア制作費に係る会計基準は、取得形態(自社制作、外部購入)別ではなく、制作目的別に設定されている(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書(以下、「意見書」という)三3(1))。 そのため、購入・委託に要した費用は、制作目的に応じて会計処理することとなるため、制作又は購入したソフトウェアが(1)受注制作のソフトウェア、(2)市場販売目的のソフトウェア、(3)自社利用のソフトウェア(意見書Ⅲ3(3))のいずれに該当するかを判断する。 (1) 受注制作のソフトウェアに該当する場合、【STEP2】を検討する。 (2) 市場販売目的のソフトウェアに該当する場合、【STEP3】を検討する。 (3) 自社利用のソフトウェアの場合、【STEP4】を検討する。 受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて会計処理する(研究開発費等に係る会計基準(以下、「基準」という)四1)。 したがって、受注制作のソフトウェア取引は、「工事完成基準」又は「工事進行基準」により売上及び売上原価を計上する。 この際、以下の点について留意が必要である。 【留意点】 ① 認識の単位 ② 引渡し ③ 買戻し条件付き ④ 分割検収 ⑤ 複合取引 ⑥ 総額表示 ① 認識の単位 受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて会計処理するため、「工事契約に関する会計基準(以下、「工事基準」という)」に従って会計処理する。 工事契約に係る認識の単位は、工事契約において当事者間で合意された実質的な取引の単位に基づく。工事契約に関する契約書は、当事者間で合意された実質的な取引の単位で作成されることが一般的である。ただし、契約書が当事者間で合意された実質的な取引の単位(※)を適切に反映していない場合には、これを反映するように複数の契約書上の取引を結合し、又は契約書上の取引の一部をもって工事契約に係る認識の単位とする必要がある(工事基準7)。 したがって、受注制作のソフトウェア取引は、当事者間において合意された実質的な取引の単位に基づき、売上及び原価を計上する。 ② 引渡し 工事完成基準においては、完成し、引渡した日が収益認識時点となるため、いつ、引渡したかは非常に重要である。また、工事進行基準においても収益認識及び原価計上の最終時点がいつかを決める必要があるため、引渡し日は非常に重要である。 受注制作のソフトウェア取引の場合、基本的にオーダーメイドによるものであり、その仕様(スペック)は確定していないため、通常、顧客(ユーザー)の側で契約内容に応じて、成果物がその一定の機能を有することについての確認が行われることにより成果物の提供が完了すると考えられる(実取2(2)②)。 したがって、契約上の取引相手との間で取り決めた成果物の内容(例えば、顧客との間の取引において、単に制作するだけでなく、契約において定められた機能を有する状態にすること)に応じて、一般的には検収等何らかの形でその成果物の提供の完了を確認することにより、収益を認識する(実取2(2)②) 。 ③ 買戻し条件付き 買戻し条件が付いている場合や、事後に大きな補修が生じることが明らかであることにより成果物の提供の完了について問題が生じている場合には、収益を認識することはできない(実取2(2)②)。 ④ 分割検収 契約が分割された場合においても、一般的には、最終的なプログラムが完成し、その機能が確認されることにより収益を認識する(実取2(3))。 しかし、最終的なプログラムの完成前であっても、例えば、顧客(ユーザー)との取引において、分割された契約の単位(フェーズ)の内容が一定の機能を有する成果物(顧客が使用し得る一定のプログラムや設計書等の関連文書も顧客にとってはそれ自体で使用する価値のあるものと考えられる)の提供であり、かつ、顧客(ユーザー)との間で、納品日、入金条件等について事前の取決めがあり、その上で当該成果物提供の完了が確認され、その見返りとしての対価が成立している場合には、収益認識の考え方に合致しているため、収益認識は可能である(実取2(3))。 したがって、例えば、分割検収において、成果物の提供の完了の確認がなく、単に作業の実施のみに基づく場合や入金条件のみに関連しているだけでは、収益を認識することはできない(実取2(3))。 また、各フェーズ完了後において、売上金額の事後的な修正が行われることがあるため、収益認識にあたっては、各フェーズ完了時の対価の成立、販売代金の回収可能性、返金の可能性等、資金回収のリスクを考慮する必要がある(実取2(3))。 ⑤ 複合取引 受注制作のソフトウェアにおける複合取引とは、例えば、システム開発請負契約に期間的なシステム利用や保守サービスに関する契約が含まれている場合(実取3)が挙げられる。 システム開発と期間的なシステム利用・保守サービスの販売時点が異なっているにもかかわらず、一方の財の販売時に、他方の財の収益を同時に認識してしまうと、収益認識時点に関して問題が生じる場合がある(実取3)。 複合取引の場合、収益認識時点が異なる複数の取引が1つの契約とされていても、管理上の適切な区分に基づき、販売する財又は提供するサービスの内容や各々の金額の内訳が顧客(ユーザー)との間で明らかにされている場合、契約上の対価を適切に分解して、機器(ハードウェア)やソフトウェアといった財については各々の成果物の提供が完了した時点で、また、サービスについては提供期間にわたる契約の履行に応じて収益を認識する(実取3)。 一方、顧客(ユーザー)との間で金額の内訳が明らかにされていない場合でも、管理上の適切な区分に基づき契約上の対価を分解して、各々の販売時点において収益認識することができる(実取注9)。 なお、財とサービスの複合取引であっても、一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される場合には、その主たる取引の収益認識時点に一体として会計処理することができる(実取3)。 ⑥ 総額表示 複数の企業を介する情報サービス産業におけるソフトウェア関連取引において、委託販売で手数料収入のみを得ることを目的とする取引の代理人のように、仕入及び販売に関して通常負担すべき様々なリスク(瑕疵担保、在庫リスク、信用リスクなど)を負っていない場合、収益の「総額」表示は適切でない(実取4)。このような場合、収益を「純額」で表示する。 例えば、以下のようなソフトウェア関連取引については、販売者は、一般的に、通常負担すべき様々なリスクを負っていることが明らかでないと考えられるため、収益の総額表示を行うためには、当該リスクを負っていることを示すことが必要となる(実取4)。 機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアなどの完成度の高いものにソフトウェア開発を行って販売するケースにおいて、ソフトウェア開発の占める割合が小さいなど、付加価値がほとんど加えられていない場合の当該機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアに関する取引 受注制作ソフトウェアにおいて、第三者であるパートナー(協力会社)にそのプロジェクト管理のすべてを委託している場合の当該ソフトウェア開発に関する取引 機器(ハードウェア)にソフトウェアを組み込んだ製品やパッケージ・ソフトウェアの売手が、製品の仕様(スペック)や対価の決定に関与していない場合の当該機器(ハードウェア)やパッケージ・ソフトウェアに関する取引 この後は、【STEP5】を検討する。 市場販売目的のソフトウェアでは、最初に製品化された製品マスター完成までと完成後の時点別に会計処理を検討する。また、減価償却の検討も必要である。 【留意点】 機器組込みソフトウェアについて、ソフトウェア自体を販売するものではないが、市場販売目的のソフトウェアと同様の価値又は経済効果を有すると考えられる場合には、市場販売目的のソフトウェアの会計処理に準じた会計処理を行う(「研究開発費及びソフトウェアに関する会計処理Q&A」(以下、「Q&A」という)Q18)。   (1) 最初に製品化された製品マスター完成までの会計処理 市場販売目的のソフトウェアの制作に係る研究開発の終了時点は、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」の完成時点である(会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下、「指針」という)8)。 以上をまとめると、以下のようになる(指針32)。 【研究開発の終了時点】 ① 製品マスターについて販売の意思が明らかにされていること ② 最初に製品化された製品マスターが完成すること ① 製品マスターについて販売の意思が明らかにされていること 販売の意思が明らかにされる時点とは、製品マスターの完成の前後にかかわらず、当該製品を市場で販売することを意思決定した時点が考えられる。例えば、製品番号を付す、又はカタログに載せるなどの方法で、市場で販売する意思が明確に確認できるようになった時点などがある(指針32)。 ② 最初に製品化された製品マスターが完成すること 最初に製品化された製品マスターの完成時点は、具体的には以下によって判断する(指針8)。 最初に製品化された製品マスターが完成する時点までの制作活動は研究開発と考えられるため、ここまでに発生した費用は「研究開発費」として発生時に費用処理する(指針8)。 研究開発費は、当期製造費用として処理されたものを除き、一般管理費に表示する(意見書四1)。以下も同様である。   (2) 最初に製品化された製品マスター完成後の会計処理 最初に製品化された製品マスター完成後では、資産計上する項目と、費用処理する項目がある。また、原価計算が必要となる。 ① 資産計上又は費用処理 費用項目により、会計処理(資産計上か、費用計上か)が異なる。 (ⅰ) 製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動(著しい改良を除く)のための費用 製品マスター(下記②参照)又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動(著しい改良を除く)のための費用は、原則として無形固定資産として資産に計上する(指針9、35)。 具体的な会計処理の流れは、以下のとおりである(指針35)。 製品マスターの制作原価を製造原価に含める。 製造原価から製品マスターの仕掛品及び完成品を無形固定資産(※)へ振り替える。 製品マスター(無形固定資産)の減価償却費は売上原価に計上する(下記(3)参照)。 製品としてのソフトウェアで販売されなかったもの及び複写等制作途上のものについては、棚卸資産の仕掛品として計上する(下記(ⅳ)参照)(製品マスター(無形固定資産)の償却費は配分されるべき原価が確定しないため仕掛品の原価には含めない)。 (※) 製品マスターの制作原価は、仕掛品についてはソフトウェア仮勘定(無形固定資産)などの勘定科目を用いる。一方、完成品についてはソフトウェア(無形固定資産)などの勘定科目を用いる(指針10)。 なお、財務諸表上の表示に当たっては製品マスターの制作仕掛品と完成品を区分することなく一括してソフトウェアその他当該資産を示す名称を付した科目で表示する。しかし、仕掛品に重要性がある場合にはこれを区分して表示することが望ましい(指針10)。 (ⅱ) 製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の著しい改良を行うための費用 著しい改良(※)と認められる場合は、著しい改良が終了するまでは上記(1)の研究開発の終了時点に達していないこととなるため、「研究開発費」として発生時に費用処理する(指針9)。 (※) 著しい改良とは、研究及び開発の要素を含む大幅な改良を指しており、完成に向けて相当程度以上の技術的な困難が伴うものである(指針33)。 具体的な例として、機能の改良・強化を行うために主要なプログラムの過半部分を再制作する場合、ソフトウェアが動作する環境(オペレーションシステム、言語、フォームなど)を変更・追加するために大幅な修正が必要になる場合などがある(指針33)。 (ⅲ) ソフトウェアの機能維持に要した費用 バグ取り等、ソフトウェアの機能維持に要した費用は、機能の改良・強化を行う制作活動には該当しないため、発生時に費用処理する(意見書三3(3)②)。 (ⅳ) 製品としてのソフトウェアの制作原価 製品としてのソフトウェアの制作原価(ソフトウェアの保存媒体のコスト、製品マスターの複写に必要なコンピュータ利用等の経費等)については、製造原価(棚卸資産)として計上する(Q&A Q11)。 〈まとめ〉 ② 原価計算 製品マスターについては、適正な原価計算によってその取得原価を算定する(指針10)。 したがって、材料費、労務費、外注費・減価償却費等の経費を集計する必要がある。 《設例》 当期の会計処理は、以下のとおりである。 (1) 無形固定資産の計上 (2) 減価償却費の計上 (3) 仕掛品の計上   (3) 減価償却 ① 減価償却の基本 市場販売目的のソフトウェアに関しては、ソフトウェアの性格に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用する必要がある。合理的な償却方法としては、「見込販売数量に基づく方法」のほか、「見込販売収益に基づく償却方法」も認められる(指針18)。 毎期の減価償却額は、残存有効期間(販売可能期間)に基づく均等配分額を下回ってはならない(指針18)。 したがって、毎期の減価償却額は、見込販売数量(又は見込販売収益(以下、「見込販売数量等」という))に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を計上する。 この場合、当初における残存有効期間の見積りは、原則として3年以内の年数までである。3年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である(指針18)。 ② 見込販売数量(又は見込販売収益)の見直し 無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価を見込販売数量等に基づき減価償却を実施する場合、見込販売数量等は毎期変動する可能性があるため、毎期、翌期以降の見込販売数量等の見直しを行う必要があるか(変更する必要があるか)検討する必要がある(指針19)。 例えば、新たに入手可能となった情報に基づいて当第2四半期会計期間末において見込販売数量等を変更した場合には、以下の計算式により当第2四半期累計期間及び当第3四半期以降の減価償却額を算定する(指針19)。 (計算式) なお、販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売「収益」の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用又は損失として処理する(指針20)。 この後は、【STEP5】を検討する。 市場販売目的のソフトウェアの売上計上(収益認識)において、以下の点について留意が必要である。 【留意点】 ① 複合取引 ② 総額表示 ① 複合取引 市場販売目的のソフトウェアにおける複合取引とは、例えば、ソフトウェア販売に保守サービスやユーザー・トレーニング・サービスが含まれている場合やソフトウェア・ライセンス販売(使用許諾)にアップグレードの実施が含まれている場合(実取3)が挙げられる。 各取引の販売時点が異なっているにもかかわらず、一方の財の販売時に、他方の財の収益を同時に認識してしまうと、収益認識時点に関して問題が生じる場合がある(実取3)。 複合取引の場合、収益認識時点が異なる複数の取引が1つの契約とされていても、管理上の適切な区分に基づき、販売する財又は提供するサービスの内容や各々の金額の内訳が顧客(ユーザー)との間で明らかにされている場合、契約上の対価を適切に分解して、機器(ハードウェア)やソフトウェアといった財については各々の成果物の提供が完了した時点で、また、サービスについては提供期間にわたる契約の履行に応じて収益を認識する(実取3)。 一方、顧客(ユーザー)との間で金額の内訳が明らかにされていない場合でも、管理上の適切な区分に基づき契約上の対価を分解して、各々の販売時点において収益認識することができる(実取注9)。 なお、財とサービスの複合取引であっても、一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される場合には、その主たる取引の収益認識時点に一体として会計処理することができる(実取3)。 ② 総額表示 複数の企業を介する情報サービス産業におけるソフトウェア関連取引において、委託販売で手数料収入のみを得ることを目的とする取引の代理人のように、仕入及び販売に関して通常負担すべき様々なリスク(瑕疵担保、在庫リスク、信用リスクなど)を負っていない場合、収益の「総額」表示は適切でない(実取4)。このような場合、収益を「純額」で表示する。 取引の例示については、【STEP2】⑥を参照されたい。 自社利用のソフトウェアでは、資産計上をするかどうかを判断するため、将来の収益獲得又は費用削減が確実であるかを検討する。また、ソフトウェアの導入費用及び減価償却を検討する。   (1) 将来の収益獲得又は費用削減が確実であるか ソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件が満たされているか否かを判断する。その結果、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合はソフトウェアを無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する(指針11)。 確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、以下の検討は不要である。 資産計上される場合の例としては、以下が挙げられる(指針11)。 通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合 自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合 ソフトウェアを利用することにより、利用する前と比べ間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合、従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合等で、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合 市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合     (2) ソフトウェアの導入費用 ① 購入ソフトウェアの設定等に係る費用 外部から購入したソフトウェアについて、そのソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用は、購入ソフトウェアを取得費用として当該ソフトウェアの取得価額に含める。ただし、これらの費用について重要性が乏しい場合には、費用処理することができる(指針14)。 ② ソフトウェアを大幅に変更して自社仕様にするための費用 自社で過去に制作したソフトウェア又は市場で販売されているパッケージソフトウェアの仕様を大幅に変更して、自社のニーズに合わせた新しいソフトウェアを制作するための費用は、それによる将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合を除き、研究開発目的のための費用と考えられるため、購入ソフトウェアの価額も含めて費用処理する(指針14)。 将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、購入ソフトウェアの価額を含めて当該費用を無形固定資産として計上する(指針14)。 ③ その他の導入費用 ソフトウェアを利用するための環境を整備し有効利用を図るための費用は、原則としてソフトウェアそのものの価値を高める性格の費用ではない。したがって、その費用は原則として発生時の費用として会計処理する(指針40)。 例えば、以下のような費用は、発生した事業年度の費用として会計処理する。 (ⅰ) データをコンバートするための費用 新しいシステムでデータを利用するために旧システムのデータをコンバートするための費用については、発生した事業年度の費用とする(指針16(1))。 (ⅱ) トレーニングのための費用 ソフトウェアの操作をトレーニングするための費用は、発生した事業年度の費用とする(指針16(2))。 なお、ソフトウェアを購入する際に、上記のような導入費用も含めた価額で契約等が締結されている場合には、導入費用は合理的な見積りによって購入の対価とそれ以外の費用とに区分して会計処理を行う(指針40)。 〈まとめ〉   (3) 減価償却 ① 減価償却方法 自社利用のソフトウェアにおいても、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきである。ただし、一般的には、定額法による償却が合理的である(指針21)。 ② 耐用年数 耐用年数は、ソフトウェアの利用可能期間によるが、原則として5年以内の年数とする。5年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である(指針21)。 利用可能期間については、毎期見直しを行う必要がある(指針21)。 例えば、利用可能期間の見直しの結果、新たに入手可能となった情報に基づいて当事業年度末において耐用年数を変更した場合には、以下の計算式により当事業年度及び翌事業年度の減価償却額を算定する(指針21)。 この後は、【STEP5】を検討する。 ソフトウェアでは、以下の注記が必要となる。   (1) 収益認識に関する注記 受注制作のソフトウェアの場合、以下の収益認識に関する注記を行う(工事基準22、会社計算規則101④)。 工事契約に係る認識基準 決算日における工事進捗度を見積るために用いた方法   (2) 研究開発費の注記 研究開発の規模について企業間の比較可能性を担保するため、一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額を財務諸表に注記する(意見書四1)。 なお、計算書類では、当該注記は必ずしも求められていない。   (3) ソフトウェアの減価償却の注記 市場販売目的及び自社利用のソフトウェアの減価償却においては、減価償却の方法及び耐用年数を注記する(指針22、会社計算規則101②)。具体的には、以下の注記を行う。 ① 市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法に関する注記 市場販売目的のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法 見込有効期間(年数) ② 自社利用のソフトウェアの減価償却方法に関する注記 自社利用のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法 見込利用可能期間(年数) *   *   * 以上、5つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 212(掲載号)
#西田 友洋
2017/03/30

ストック・オプション会計を学ぶ 【第12回】「財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引の会計処理」

ストック・オプション会計を学ぶ 【第12回】 (最終回) 「財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引の会計処理」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連載最終回となる今回は、「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号。以下「ストック・オプション会計基準」という)及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第11号。以下「ストック・オプション適用指針」という)にしたがって、財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ ストック・オプション会計基準の適用範囲 ストック・オプション会計基準は、次の取引に適用すると規定している(ストック・オプション会計基準3項)。 ただし、②又は③に該当する取引であっても、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)等、他の会計基準の範囲に含まれる取引については、ストック・オプション会計基準は適用されない(ストック・オプション会計基準3項なお書き)。   Ⅲ 財貨又はサービスの取得の対価として「自社株式オプション」を付与する取引 ストック・オプション会計基準13項までに規定する会計処理(ストック・オプションに関する会計処理)は、取引の相手方や取得する財貨又はサービスの内容にかかわらず、原則として、取得の対価として「自社株式オプション」を用いる取引一般に適用される(ストック・オプション会計基準14項)。 これは、ストック・オプション会計基準では、一般的に取引の対価として自社株式オプションを用いる取引を適用範囲とし、この場合にも、ストック・オプションに関する会計処理と整合的な会計処理が求められるためである(ストック・オプション会計基準64項)。 ただし、次の事項に注意が必要である。 取得した財貨又はサービスの取得価額は、対価として用いられた自社株式オプションの公正な評価額もしくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する(上記②。ストック・オプション会計基準14項(2))。 これは、取得した財貨又はサービスの公正な評価額で算定する場合にも、等価での交換の前提となっている契約成立の時点の価値で算定するのが合理的であると考えられているためである(ストック・オプション会計基準50項、64項)。   Ⅳ 財貨又はサービスの取得の対価として「自社の株式」を交付する取引 企業が財貨又はサービスの取得の対価として、自社の株式を用いる取引については、次のように会計処理する(ストック・オプション会計基準15項)。 取得した財貨又はサービスの取得価額は、対価として用いられた自社の株式の契約日における公正な評価額もしくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する(上記②。ストック・オプション会計基準15項(2))。 通常、公開企業については、自社の株式の市場価格による信頼性のある測定が可能であり、これに基づいて算定すべきものと考えられており、算定の基準日は、いずれの評価額で算定を行う場合であっても、契約日とすることが合理的であると考えられている(ストック・オプション会計基準50項、66項)。   Ⅴ いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額の判定 いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額の判定は、次のように判断する(ストック・オプション適用指針23項、67項~70項)。   Ⅵ 終わりに 「ストック・オプション会計を学ぶ」は、今回(第12回)で終了となる。 「コーポレートガバナンス・コード」において、経営陣の報酬について現金報酬と自社株報酬との適切な割合の設定などが述べられていることもあり、引き続き、ストック・オプションを利用した報酬制度も選択肢の一つと考えられる。 今回の連載が、少しでも実務に役立てば幸いである。 (連載了)

#No. 212(掲載号)
#阿部 光成
2017/03/30

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第31回:2017年3月改訂】企業結合会計③「株式移転の会計」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第31回:2017年3月改訂】 企業結合会計③ 「株式移転の会計」   仰星監査法人 公認会計士 許 仁九   〈事例による解説〉 〈X2年3月期の連結修正仕訳〉 〇開始仕訳 〇当期純利益の振替 〈会計処理及びその解説〉 株式移転により親会社と子会社が共同で完全親会社を設立する場合、この取引は「共通支配下の取引」に該当することになります(企業結合に関する会計基準16項、「指針」204項(1))。 1 HD社の個別財務諸表上の会計処理 (*1) 株式移転完全子会社株式(旧親会社P社の株式)の取得原価は、P社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額2,000(=資本金1,700+利益剰余金300)に基づいて算定します(「指針」239項(1)①ア)。 (*2) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、旧親会社持分(80%)については、S社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額1,200(=資本金1,000+利益剰余金200)に持分比率80%を乗じて算定します(「指針」239項(1)②ア)。 (*3) 株式移転完全子会社株式(旧子会社S社の株式)の取得原価のうち、非支配株主持分(20%)については、非支配株主A社に交付したHD社株式の時価300に基づいて算定します(「指針」239項(1)②イ)。 2 P社の個別財務諸表上の会計処理 株式移転に際して、P社がS社株式と引き換えに受け入れたHD社株式の取得原価は、S社株式の株式移転直前の適正な帳簿価額により計上します(「指針」239-4項)。 3 HD社の連結財務諸表上の会計処理 (1) P社に係る投資と資本の相殺消去 P社株式の取得原価とP社の株主資本を相殺します(「指針」240項(1)①)。 (2) S社に係る投資と資本の相殺消去 S社株式の取得原価とS社の株主資本を相殺し、消去差額は資本剰余金に計上します(「指針」240項(1)②)。 (3) P社所有HD社株式の自己株式への振替 P社がS社株式と交換により受け入れたHD社株式は、連結財務諸表上、自己株式に振り替えます(「指針」240項(2))。 (4) 資本項目の振替 HD社の株主資本の額は、株式移転直前のP社の連結財務諸表上の株主資本項目に非支配株主との取引により増加した払込資本の額を加算します(「指針」240項(3))。 株式移転前のP社の連結貸借対照表上の株主資本2,160(=資本金1,700+利益剰余金460)に、非支配株主との取引により増加した払込資本240(A社に発行したHD社株式の時価300+A社からS社株式を取得する際に生じた資本剰余金△60)を加算した額が、HD社の株主資本2,400(=資本金1,700+資本剰余金1,040+利益剰余金460-自己株式800)となります。 なお、利益剰余金の額は株式移転により変動しないため、株式移転前後の利益剰余金の額が同額となるよう、HD社個別貸借対照表上の資本剰余金を連結仕訳により利益剰余金に振り替えます。 (了)

#No. 212(掲載号)
#許 仁九
2017/03/30
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