《速報解説》 交際費等の損金不算入制度の特例等、2年延長へ ~平成30年度税制改正大綱~ 税理士 小谷 羊太 12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱(与党大綱)において、「交際費等の損金不算入制度の特例」、「接待飲食費に係る損金算入の特例」及び「中小法人に係る損金算入の特例」の適用がそれぞれ2年延長されることとなった。 Ⅰ 概要 法人が支出する交際費等の額は、その全額が損金不算入となる。しかし、中小法人の支出する交際費等の額のうち一定額、接待飲食費の50%に相当する金額などについては、租税特別措置法により一定の損金算入が認められている。 今回の改正案によって、これらの租税特別措置法による「交際費等の損金不算入制度の特例」などの適用事業年度が平成32年3月31日まで2年延長されることとなった(大綱p85)。 Ⅱ 支出交際費等の範囲と損金不算入額の計算 1 交際費等の範囲 「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいう。交際費等は、行為のために支出する費用を含むので、直接費用だけでなく、接待の際に利用したタクシー代などの間接費用も含まれる。 ただし、次の①から③に掲げる費用は交際費等から除かれる。 2 損金不算入額の計算 1の交際費等の額は、原則としてその全額が損金不算入となる。 しかし、損金不算入額の計算にあたっては、次の(1)及び(2)の区分に応じ、一定の措置が設けられている。 (1) 期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である等(※3)の法人 (2) 上記(1)以外の法人 (※3) 法人税法第66条第6項第2号(平成23年4月1日以後に開始する事業年度(平成23年6月30日前に終了する事業年度を除く)にあっては、法人税法第66条第6項第2号又は第3号)に規定する法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等)は、平成22年4月1日以後に開始する事業年度からは、上記(1)ではなく、上記(2)に従って損金不算入額を計算する。 なお、平成29年度税制改正において、平成31年4月1日以後に開始する事業年度から、平均所得金額年15億円超の中小企業について、その事業年度は中小企業向けの各租税特別措置の適用から除外されることとなるが、財務省の「平成29年度税制改正の解説」(p534)によると、交際費等の損金不算入の中小企業特例(800万円控除)については、適用期限の延長等があった場合であっても、本制度の対象にはならない予定とされている。 (了)
《速報解説》 所得拡大促進税制、改組により要件を大幅見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎 1 はじめに 平成29年12月14日、与党(自由民主党・公明党)より平成30年度税制改正大綱が公表された。現在の政権与党はこれまで一貫して、デフレ脱却と経済再生の達成を主軸とした税制改正を進めており、今回の税制改正大綱も大きな流れとしては従来の考え方を踏襲したものといえる。 そのなかで、デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、平成25年度税制改正によって創設された「所得拡大促進税制」が大幅に改組され、設備投資と賃上げの双方を同時に促進する税制として措置されることとなった。 本稿では、平成30年度税制改正大綱により示された、所得拡大促進税制の改組について、関連の改正事項と合わせて概観する。なお文中、意見にわたる部分は筆者の私見である。 2 現行の所得拡大促進税制の概要(措法42の12の5①) 青色申告法人が平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときは、雇用者給与等支給増加額に基づき計算される一定額を法人税額から控除する。ただし、控除税額は法人税額の10%(中小企業者については20%)を上限とする。 【適用要件(中小企業者たる法人とそれ以外の法人で異なる)】 3 中小企業者以外の法人における平成30年度税制改正の内容 (1) 適用要件の改正 ① 従来の適用要件(基準雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額)の廃止 従来の所得拡大促進税制で定められていた適用要件のうち2つ(基準雇用者給与等支給額からの増加要件及び前年度からの増加要件)が廃止され、平均給与等支給額に係る要件のみが残されることとなった。 ② 平均給与等支給額に関する要件の改正 本税制の適用を受けるために必要な平均給与等支給額の増加割合が「2%以上」から「3%以上」に引き上げられた。 また、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定基礎となる「継続雇用者」の範囲について、従来は当期及び前期において一度でも給与等の支給がある国内雇用者が対象とされていたが、当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のものとすることとされた。この改正により、継続雇用者として集計すべき範囲が絞り込まれたといえる。 なお、計算の基礎となる継続雇用者がない場合には、平均給与等支給額に係る要件は満たさないものとされ、本税制の適用を受けられない。 ③ 設備投資額に関する要件の追加 新たに「国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること」という要件が追加され、本税制の適用を受けるためには、賃上げだけではなく、一定規模以上の国内設備投資が求められることとなった。 ここで「国内設備投資額」とは、法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産となる資産で当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、「減価償却費の総額」とは、その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む)をいう。 ④ 設立事業年度の取扱いの廃止 従来、設立事業年度の雇用者給与等支給額の70%相当額を基準雇用者給与等支給額とみなして本税制を適用するという特例が定められていたが、今回の改正によって本税制は設立事業年度には適用されないこととされた(対象外とされた)。 (2) 控除税額の計算方法の改正 ① 給与等支給増加額の算定方法の改正 従来の所得拡大促進税制では、控除税額の算定基礎となる「給与等支給増加額」は、基準雇用者給与等支給額からの増加額とされていたが、今回の改正によって、「給与等支給増加額」を前年度の雇用者給与等支給額(比較雇用者給与等支給額)からの増加額として算定することとされた。 ② 控除率の改正 従来は「基準雇用者給与等支給額からの増加額×10%+比較雇用者給与等支給額からの増加額×上乗せ控除率」として計算されていた控除税額について、「給与等支給増加額」(比較雇用者給与等支給額からの増加額)の15%を控除することとされた。 ③ 教育訓練費を増加させた法人に対する控除率の上乗せ措置の創設 今回の改正により、新たに、教育訓練費の額が比較教育訓練費(前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額)の額から20%以上増加している法人については、給与等支給増加額の20%の税額控除ができることとされた。また、控除税額の上限も当期の法人税額の20%に引き上げられた(改正前:10%)。 このような取扱いは、賃上げに加えて、人材育成にも積極的な法人に対してさらなる減税メリットを付与する措置といえよう。ここで教育訓練費とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用で次のものをいう。 (3) 賃上げ・設備投資に消極的な大企業に対する税額控除の適用停止 大企業(租税特別措置法に規定する中小企業者等で適用除外事業者に該当するものを含む)については、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において次の要件のいずれにも該当しない場合には、その事業年度については、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないこととされた。ただし、その所得の金額が前期の所得の金額以下の一定の事業年度にあっては対象外とされる。 これらの要件は、賃上げ又は設備投資に関連して定められているものの、もとより改正後の所得拡大促進税制の適用要件を満たすものではないが、所得拡大促進税制の適用を受けられないだけではなく、その他の税額控除の適用も受けられなくなる。 この取扱いにより適用が停止されるのは、以下の税額控除である。 一定の要件を満たさなければ減税措置を停止するという取扱いは過去の税制改正項目にはない異例なものであり、大企業に対しては積極的な賃上げ及び設備投資を強く促すという現政権の強いメッセージが込められた内容であろう。 4 中小企業者における平成30年度税制改正の内容 中小企業者については、設備投資額に関する要件はなく、一定の賃上げについての要件を満たせば税額控除を受けることができる。 (1) 適用要件の改正 ① 従来の適用要件(基準雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額)の廃止 上記3(1)①と同様である。 ② 平均給与等支給額に関する要件の改正 本税制の適用を受けるために必要な平均給与等支給額の増加割合が「1.5%以上」とされた(従来は1円でも超えていればよかった)。 継続雇用者に関する取扱いは、上記3(1)②と同様である。 ③ 設立事業年度の取扱いの廃止〔2017/12/20追記〕 上記3(1)④と同様である。つまり、今回の改正によって、本税制は設立事業年度には適用されないこととされた(対象外とされた)。 (2) 控除税額の計算方法の改正 ① 給与等支給増加額の算定方法の改正 上記3(2)①と同様である。 ② 控除率の改正 上記3(2)②と同様である。 ③ 教育訓練費を増加させた法人に対する控除率の上乗せ措置の創設 中小法人については、以下の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとされた。ただし控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(改正なし)。 大法人の要件とは異なるが、賃上げ及び人材育成に積極的な中小法人に対してさらなる減税メリットを付与する措置である。 5 まとめ 【適用要件】 【控除税額】 6 地方税の改正 付加価値割の所得拡大促進税制に係る適用要件についても、上記3(1)と同様の改正が行われている。 また、中小企業者等については、本税制の適用による税額控除の効果が法人住民税(法人税割)にも及ぶ。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 所有者不明土地対策として 「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」を創設 ~平成30年度税制改正大綱~ 弁護士 羽柴 研吾 1 はじめに 平成29年12月14日に公表された与党の平成30年度税制改正大綱(以下「与党税制改正大綱」という)において、相続登記(相続を起因とする所有権に関する登記)を促進するための登録免許税の特例を新設することが明記された。 2 改正の背景 近年、いわゆる所有者不明土地の問題(例えば、地方公共団体における公共事業用地の取得の支障等)が生じており、このような問題の要因の1つとして、数次にわたる相続を経ても相続登記が放置されていることが指摘されていた。 このような指摘を受け、政府は、相続登記を促進することを掲げた「経済財政運営と改革の基本方針2016」に続く、「経済財政運営と改革の基本方針2017」において、長期間相続登記が未了の土地の解消を図るための方策を、関係省庁が一体となって取り組み、必要となる法案の時期通常国会への提出を目指すこととした。 また、国土交通省においても、「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会」が、平成28年3月に、「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策 最終とりまとめ」を公表しており、相続登記に係る登録免許税の免除・減免措置について引き続き検討を行うことを指摘していた。 さらに、自由民主党の所有者不明土地等に関する特命委員会も、平成29年6月に中間とりまとめを行い、必要な税制上の措置を講ずることを指摘していた。 今回の特例は、以上のような経緯を踏まえ、新設されることになったものである。 3 新設制度の概要 与党税制改正大綱によれば、次のような要件を満たす場合に、登録免許税を免税にすることが想定されている。 (1) 数次にわたる相続を経ても相続登記が放置されている土地の登録免許税 相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記(相続登記)に対する登録免許税を免税とする。 (2) 相続登記を促進すべき地域における少額土地の登録免許税 個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称・後記〔注〕参照)の施行の日から平成33年3月31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の時における当該土地の価額が10万円以下であるときは、当該移転登記に対する登録免許税を免税とする。 (了)
《速報解説》 事業承継税制(非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予)に 要件緩和の特例制度を創設 ~平成30年度税制改正大綱~ 太陽グラントソントン税理士法人 パートナー 税理士 梶本 岳 1 はじめに 平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱(自由民主党及び公明党)において、非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予(事業承継税制)の特例制度が盛り込まれた。 中小企業経営者の高齢化が急速に進む中、経営者の世代交代を集中的に進めるための対策として、10年間の特例措置という形で事業承継税制の抜本的な拡充が行われている。 2 改正の背景 平成21年度改正により創設された本制度は、平成25年度、平成27年度、平成29年度改正において随時要件緩和が行われたことで認定件数が増加傾向にあるものの、平成27年分の認定件数が517件(出所:自民党税制調査会平成29年11月29日「資料(事業承継税制)」)に留まっており、さらなる利便性の向上が望まれていた。 現行制度は、納税猶予の対象となる株式が発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分に限られており、また、相続税については課税価格の80%に対応する部分の税額しか猶予の対象とならないことから、実質的に法人が発行する株式の53%(贈与税については66%部分)部分しか納税猶予を受けることができない。 さらに、贈与税・相続税の申告期限後5年間の平均で、贈与の時・相続開始の時の8割の雇用確保が必要とされる雇用確保要件や、承継した会社の株式の譲渡や解散ができないなどの株式継続保有要件が存在し、その要件を満たさなくなった場合には、猶予されていた贈与税・相続税とそれに対応する利子税を納付しなければならないことが、事業承継税制の利用を躊躇させる大きな要因となっている。 そこで、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの10年間の特例措置として、施行日後5年以内に承継計画を作成して贈与・相続による事業承継を行う場合、①猶予対象株式の制限(発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合を80%から100%に引き上げることにより、贈与・相続時の納税負担が生じない制度とする。②雇用確保要件の弾力化。③2名又は3名の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大。④経営環境の変化に対応した減免制度を創設する等の特例措置が講じられることとなった。 与党大綱の「平成30年度税制改正の基本的考え方」では、「こうした特例措置を講じるに当たっては、租税回避が助長されないよう、制度面・運用面で必要な対応を行う」旨が述べられている。 平成29年中に実施された会計検査院による検査においても、多額の資本剰余金を有している会社や、資産保有型会社の事業実態判定についての指摘がなされている(出所:会計検査院「租税特別措置(相続税関係)の適用状況等について」平成29年11月)ことからも、今後公表される法令や通達等でどのような手当てがなされるかが注目される。 3 改正の概要 (1) 要件の抜本的緩和 平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた特例承継計画を都道府県に提出し、認定を受けた特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者から平成39年12月31日までに贈与又は相続若しくは遺贈(以下「贈与等」という)により特例認定承継会社の株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、納税猶予の適用が受けられることとなった。 また、贈与税・相続税の申告期限後5年間の平均で8割の雇用確保要件を満たさない場合であっても、その満たせない理由を記載(その理由が、経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けて、その内容を記載)した書類を都道府県に提出すれば納税猶予の期限が確定しない(納税猶予が継続される)こととされた。 〈入口の要件の抜本緩和〉 (2) 経営環境の変化に対応した贈与税・相続税の減免制度 現行制度においては、会社を譲渡・解散した場合に、贈与の時・相続開始の時の評価額により算定した贈与税・相続税を全額納付しなければならない。仮に、事業承継税制で株式を承継してから30年後に会社を譲渡あるいは廃業した場合、30年前の評価額による贈与税・相続税と30年分の利子税を負担しなければならず、譲渡時・廃業時の企業価値に見合わない多額の税負担が生じることになる。 改正案では、経営環境の変化を示す一定の要件(注1)を満たす場合において、5年の特例承継期間経過後に株式を譲渡、合併による消滅、解散したときは、その時点の株式価値で贈与税額・相続税額を再計算して差額を免除することとされた。 ① 対価の額が譲渡時の相続税評価額の50%以上である場合 株式の譲渡若しくは合併の対価、又は、解散の時における相続税評価額を基に再計算した贈与税額・相続税額と、譲渡等の前5年間に後継者及びその同族関係者に支払われた配当・過大役員給与等に相当する額(以下「直前配当等の額」という)との合計額を納付することとし、当初の納税猶予税額を下回る場合には、その差額を免除する。 ② 対価の額が譲渡時の相続税評価額の50%未満である場合 株式の譲渡又は合併により消滅する場合において、上記①により再計算した贈与税額・相続税額と直前配当等の額との合計額については、担保の提供を条件にその納税を猶予する。 また、譲渡又は合併後2年を経過する日において事業が継続しており、かつ、従業員の半数以上が雇用されているときは、実際の譲渡対価の額を基に再々計算した贈与税額・相続税額と直前配当等の額との合計額を納付することとし、上記により納税が猶予されている額を下回る場合には、その差額を免除する。 (出所) 「自由民主党税制調査会資料」(平成29年12月12日) (3) 適用対象者の拡大 現行制度においては、原則として、1人の先代経営者から1人の後継者への承継が納税猶予の対象とされている。改正案では、複数人から1人への承継、1人の経営者から複数名(最大3名)への承継についても納税猶予の対象に含めることとされ、より幅広い承継パターンに対応することが可能となった。 ① 複数人からの承継 現行制度においては、贈与の時又は相続開始の直前において、贈与者に筆頭株主要件が存在するため、下記のように母親から贈与等により取得する株式については、納税猶予の適用を受けることはできない。 改正案では、5年の特例承継期間内に当該贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、代表者以外の者から贈与等により取得する株式についても納税猶予の対象とされた。 また、複数名からの贈与等については、現行の事業承継税制の適用を受けている場合も対象となる。 (出所) 「自由民主党税制調査会資料」(平成29年12月12日) ② 複数人への承継 現行制度においては、贈与の時又は相続開始の時において、後継者に筆頭株主要件が存在するため、同一法人の株式について2名以上の後継者が同時に納税猶予の適用を受けることはできない。 改正案では最大3名の者を特例後継者とすることが可能とされ、下記のように発行済株式の80%を保有する父親(先代経営者)が子Aに贈与した50%の株式に加えて、子Bに贈与した30%の株式についても納税猶予の対象とされた。 特例後継者とは、特例承継計画に記載された代表権を有する後継者であり、同族関係者と合わせて総議決権株式総数の過半数を有する者であって、同族関係者のうち議決権を最も多く有する者(後継者が2名又は3名以上の場合、それぞれ上位2名又は3名の者で総議決権数の10%以上を有する者に限る)をいう。 (出所) 「自由民主党税制調査会資料」(平成29年12月12日) ③ 親族外の後継者 平成29年度改正において贈与税の納税猶予と相続時精算課税を併用することが可能となったが、相続時精算課税を適用するには、受贈者たる後継者が、贈与者の推定相続人及び孫であることが必要であるため、親族外の後継者に承継する場合には相続時精算課税を併用することができなかった。 改正案では特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者(その年の1月1日において20歳以上である者に限る)であり、かつ、その贈与者が同日において60歳以上の者である場合においても、相続時精算課税の適用を受けることができることとなり、認定が取り消された場合でも高額の贈与税負担が生じるリスクを軽減することが可能となった。 (了)
《速報解説》 法人税法における収益認識に関する取扱い、 返品調整引当金の廃止等会計基準案を受け見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成29年12月14日、自由民主党と公明党は、「平成30年度税制改正大綱」を公表した。 企業会計基準委員会は、「収益認識に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第61号)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第61号)を公表し、基準化に向けて審議をしているところである。 実務では、法人税法における収益認識に関する取扱いの動向にも関心が高まってきたところである。 そこで、本稿は、「平成30年度税制改正大綱」のうち、収益認識に関する取扱いについて述べるものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 法人税における収益の認識等に関する措置 法人税における収益の認識等に関して、次の措置が講じられる予定である(89~91ページ)。 1 収益の額 2 収益が属する事業年度 資産の販売等に係る収益の額は、原則として目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。 資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って上記の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、上記にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、原則として当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。 3 返品調整引当金 返品調整引当金は廃止する。 平成30年4月1日において返品調整引当金制度の対象事業を営む法人について、平成33年3月31日までに開始する各事業年度については現行どおりの損金算入限度額による引当てを認めるとともに、平成33年4月1日から平成42年3月31日までの間に開始する各事業年度については現行法による損金算入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した額の引当てを認める等の経過措置を講ずる。 4 延払基準 長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度は廃止する。 平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、平成35年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額及び費用の額を計算することができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の経過措置を講ずる。 ファイナンス・リース取引並びに関西国際空港及び大阪国際空港に係る公共施設等運営権の設定の対価については、現行どおりとする。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 給与所得控除及び基礎控除の見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 先週14日、与党による平成30年度税制改正大綱が公表された。 個人所得課税については、「働き方改革」を後押しする観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除と公的年金等控除が引き下げられる一方、どのような所得にも適用される基礎控除が引き上げられる。 以下、給与所得控除と基礎控除の見直しについて解説を行う。なお、公的年金等控除の見直しについては他稿をご参照いただきたい。 【1】 給与所得控除の見直し (1) 給与所得控除の概要と現在の制度 給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて求められる(所法28②)。 この算式から明らかなように、給与所得控除は、所得税の課税ベースを自動的に引き下げる性質のものである。 給与所得 = 給与等の収入金額 - 給与所得控除額 平成24年度及び平成26年度の税制改正により、給与所得控除の上限額は、平成25年分の所得税から段階的に引き下げられている(所法28③六)。 〈各年における給与所得控除の上限額の推移〉 (注1) 住民税では、平成29年分に適用 (注2) 住民税では、平成30年分以後に適用 (2) 見直しの概要 給与所得控除について、次の見直しを行うことが示された。 〈給与所得控除の見直し〉・・・平成32年分以後 ① 控除額を一律10万円引き下げる。 ② 上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、上限額を195万円に引き下げる。 見直しの結果、給与所得控除額は次のとおりとなる。 【2】 基礎控除の見直し 基礎控除については、次の見直しを行うことが示された。 〈基礎控除の見直し〉・・・平成32年分以後 ① 控除額を一律10万円引き上げる。 ② 合計所得金額2,400万円超2,500万円以下の個人:控除額が逓減 ③ 合計所得金額2,500万円超の個人:適用なし 見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。 【3】 所得金額調整控除 今回の見直しについては、子育てや介護に対して配慮する観点から、同一世帯内に23歳未満の扶養親族又は特別障害者控除の対象となる扶養親族等がいる者について、負担増を生じさせない措置が講じられる。 具体的には、給与等の収入金額850万円を超える居住者が、以下の(ア)から(ウ)に該当する場合には、総所得金額の計算において給与所得の金額から下記〈調整額〉の金額が控除される。 + 【4】 本改正に伴う調整措置(配偶者控除等の所得基準額の調整) 給与所得控除の引下げ及び基礎控除の引上げに伴い、給与所得控除及び基礎控除の額等を踏まえて設定されている金額基準や控除額等について次の調整が行われる。 (※1) 控除額の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分も10万円ずつ引き上げられる。 (※2) 申告期限内の電子申告等の要件を満たした場合には、控除額が65万円になる特例が設けられる。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 小規模宅地等の計算特例、 家なき子・貸付事業用宅地等に除外要件を追加 ~平成30年度税制改正大綱~ 税理士法人トゥモローズ 代表社員 税理士 角田 壮平 1 はじめに 平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱において、相続税における小規模宅地等の特例の見直しが盛り込まれた。 具体的には、 の3項目である。 2 改正の背景 家なき子については、生前に相続人が親族などに自己の持ち家を売却するなどして適用可能な状態を意図的に作出し、本来の政策目的に沿っていないとの指摘を是正するための改正である。 また貸付事業用宅地等の見直しについては、一時的に現金を不動産に換え、特例を適用して相続税負担を軽減しているケースを封じるために見直されることとなった。 最後の介護医療院とは、平成30年に創設される新しい形態の介護保険施設であり、新たな介護療養病床の医療機能を維持し、生活施設としての機能を兼ね備えた施設である。相続開始前に当該介護医療院に入所した被相続人について、病院や老人ホームに入所した場合等と整合性を担保するための改正と考えられる。 3 改正の内容 (1) 家なき子特例の見直し ① 現行の制度 家なき子特例の現行制度は、被相続人に配偶者又は同居相続人がいない場合において、その宅地等を取得した相続人等が相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住せず、かつ、当該宅地等を相続税の申告期限まで所有していたときは、被相続人の居住する宅地等につき330㎡まで80%の減額が認められている。 現行制度では、例えば、相続開始の5年前に相続人が所有する家屋を親族に売却等することにより、その相続人が家なき子特例の適用対象者に該当させることが可能となる。 ② 改正案 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する。 ③ 今後の留意点 上記②(イ)に該当する者は、今後、引越し等をし、「上記(イ)に掲げる家屋」及び「自己又は自己の配偶者の所有する家屋」以外に居住した場合において、3年経過後に相続が開始したときは、家なき子特例の適用が可能となるであろう。また、上記②(ロ)に該当する者が家なき子特例の適用を受けるためには、相続開始前までに「上記(ロ)に掲げる家屋」以外の家屋に引越し等をする必要があるだろう(ただし、上記②(イ)に該当する者は特例の適用対象外となる)。 (2) 貸付事業用宅地等の見直し ① 現行の制度 貸付事業用宅地等の現行制度は、被相続人等がその宅地等で貸付事業をしていた場合において、その宅地等を取得した相続人が相続税の申告期限までにその貸付事業を継続したときは、当該貸付事業用宅地等につき200㎡まで50%の減額が認められている。 例えば、相続開始の1ヶ月前に購入した貸付事業用宅地等であっても、申告期限まで所有及び事業継続していれば特例の適用は可能となる。 ② 改正案 貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く)を除外する。 ③ 今後の留意点 改正案における事業的規模とは、所基通26-9(いわゆる「5棟10室基準」)が判断基準になるものと想定される。なお、下記4の適用時期にある通り、平成30年4月1日前に購入した貸付事業用宅地等については、被相続人の貸付規模が問われることはないため、駆け込みで賃貸物件等を購入するケースが増えるであろう。これに対し、平成30年4月1日以降に貸付事業に供した宅地等については、3年縛り(貸付期間及び事業的規模期間)が適用されることとなるため注意が必要だ。 (3) 介護医療院 介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。 4 適用時期 上記の改正は、平成30 年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、上記3(2)の改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用しない。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 税理士 菅野 真美 平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱(与党大綱)では、一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し案が明記された。以下では大綱の記載をもとに、改正内容と理由、改正前後の対応について解説する。 (1) 一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し ① 一般社団法人等の特徴 一般社団法人は、平成20年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般社団法人に関する法律」に基づいて設立される法人である。その特徴として、資本金に相当する出資が不要であり、設立時に2人以上の社員がいれば設立が可能である。 同時期に一般財団法人の設立も可能となったが、こちらは300万円以上の財産の拠出が求められ、一般社団法人よりも多くの役員等の確保が必須であることから、設立件数は一般社団法人と比較すると少ない。公益社団法人や公益財団法人は、一般社団法人等のうち公益認定を受けたものである。 一般社団法人等のように出資が存在しない法人のことを「持分の定めのない法人」という。この一般社団法人等に財産を無償で提供した場合、法人側では持分がないことから資本取引となることはなく、受贈益について、法人税課税される。なお、公益法人や、非営利型一般社団法人等の場合は法人税課税がされないことが原則である。 ② 現行の租税回避防止規定 しかし、この一般社団法人等の特徴を利用した過度の贈与税や相続税の節税を防止するために相続税法66条4項で、持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において、その贈与又は遺贈により贈与又は遺贈をした者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときについては、その法人を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課するとされている。法人税との2重課税となった部分については、法人税相当額を控除して調整される。 そして、相続税法施行令33条3項において、次のような要件を満たすときは、不当に減少する結果となると認められないとされた。 相続税法施行令においては、不当に減少する結果と認められない要件(白)を定めており、相続税法においては、不当に減少する結果となる場合(黒)は、法人に贈与税や相続税を課するとされ、白以外がすべて黒と読めず、グレーゾーンが曖昧であることから、実際に66条4項で課税される事案が頻繁に生じたということは確認されていなかった。 ③ 改正案 大綱における改正案を確認するに、おそらく、現行の相続税法施行令33条3項の要件のうち、いずれかを満たさない場合は贈与税等が課税されることになると改正されると考える。そうなった場合、これは、今までグレーゾーンであるような行為を行った一般社団法人等については、一律、黒であるとして贈与税等を課するという非常に厳しい改正である。 なお、この改正は平成30年4月1日以降に贈与又は遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用される。 (2) 特定の一般社団法人等に対する相続税の課税 ① 現行税制での節税策 一般社団法人等は持分のない法人であることから、設立出資時等の財産の贈与について、法人側において原則は、法人課税であり、例外的に贈与税等の課税が行われる制度である。 しかし、いったん一般社団法人等に財産が移転した後、贈与者の相続が生じた場合も持分のない法人であることから一般社団法人等に移転した財産を取り込んで相続税課税することができず、この点を利用した相続税の節税策も散見された。 ② 改正案 大綱の改正案によると、特定一般社団法人等の理事である者(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合には、次の算式(注)で計算した金額に相当する金額の財産について被相続人から遺贈により取得したものとみなして特定一般社団法人等に相続税が課されることになる。ただし、特定一般社団法人等について既に贈与税が課された場合は、その贈与税の額を控除して計算する。 (注) 下記の算式が一部表示されない不具合が生じておりました。深くお詫び申し上げます。 おそらく純資産額は相続時の一般社団法人の財産を相続税評価額で計算することになると考えられるが、時価と簿価の差額に対する法人税額控除が認められるかどうかは疑問である。また、特定一般社団法人等は、被相続人の配偶者や一親等の血族に該当しないことから、相続税の2割加算の対象になると考える。 ここで「特定一般社団法人等」とは、次の要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいう。 また「同族役員」とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)である。3親等であることから曾祖父母、曾孫、おじ・おば、おい・めいは含まれるが、いとこは含まれない。「特殊関係のある者」というのは被相続人が会社役員となっている会社の従業員等であるが、この中に取引先や顧問税理士は原則的には含まれないと考える。 この改正案は、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用するが、平成30年3月31日以前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用し、平成30年3月31日以前の期間は、特定一般社団法人等の要件となる2分の1を超える期間に含められない。 ③ 新制度への対応 改正案による新たな制度への対応としては、特定一般社団法人等になることを前提に同族役員の数を増やして、1人当たりの純資産額を少なくして相続財産に入れるという方法をとることが考えられる。しかし理事を増やすことにより運営が難しくなることも考えられる。 また、同族役員の数を減らして特定一般社団法人等の要件を満たさないようにすることも考えられる。そのために、相続が当分起きないことが予想される若い世代の親族へ理事を交代することも考えられる。 既存の一般社団法人等については、平成33年3月31日までの同族役員の相続については除外されるが、贈与をする日を決めることはできても相続する日を決めることはできない。平成30年3月31日までの期間は2分の1を超える期間に含まれないことから、平成30年3月31日までに同族役員の数を減らすという対応が可能であるならば、手堅い方法である。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 平成30年度税制改正大綱(与党大綱)が公表される ~事業承継税制は2027年末までの特例で要件緩和、 給与所得控除等見直しは他控除にも影響、 賃上げ・設備等投資強力推進の税制措置、 一般社団・小規模宅地特例に係る節税防止策など織り込む~ Profession Journal編集部 自由民主党・公明党は昨日(平成29年12月14日)、「平成30年度税制改正大綱」(与党大綱)を公表した。 今回の大綱では安倍内閣が「新しい経済政策パッケージ」で示した「生産性革命」と「人づくり革命」の断行を前提に、企業に対しては生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しし、中小企業の代替わりを促進するための税制上の措置が講じられた。また昨年の配偶者控除等の見直しに続き「働き方改革」を後押しする観点から、基礎控除や給与所得控除等の個人所得課税を見直し、さらに経済社会のICT化の急速な進展を受け、税務手続電子化の一層の促進に向けた措置等が示されている。 以下、特に実務への影響の大きい改正事項を紹介する。なお、例年同様、重要な改正事項については個別に速報解説を順次公開していくので、そちらも合わせて参照されたい。 また、こちらの資料リンク集ページも今後更新を重ねていくので、ログインの上、ブックマークボタンを押すなどして確認できるようにしていただきたい。 〇事業承継税制、10年限定の特例で要件緩和へ 平成21年の制度創設以降、これまで何度も適用要件等が見直されてきた「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予制度」、いわゆる事業承継税制は、平成30年1月1日から平成39年(2027年)12月31日までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税又は相続税について、次の特例措置が講じられる(大綱p45)。 つまり以下で紹介する事項は、承継時までの経営見通し等を示した「特例承継計画(仮称)」を都道府県に提出し認定を受けた特例認定承継会社(仮称)のみ適用できる納税猶予の特例制度という位置づけである(この計画作成に当たっては税理士等の認定経営革新等支援機関の助言・指導が必要)。 まず入口の要件の抜本緩和として、特例認定承継会社において事業承継税制を適用する場合、後継者が取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その後継者の死亡の日等まで納税が猶予される。 雇用確保要件(5年間平均8割維持)については、「現行の事業承継税制における雇用確保要件を満たさない場合であっても、納税猶予の期限は確定しない」と明記。この場合、その満たせない理由を記載した書類の提出を要し、当該理由が正当なものと認められない場合は認定経営革新等支援機関からの助言・指導を受けることとされている。 また、複数の承継パターンにも対応する。後継者が代表者以外の者から贈与等により取得する特例認定承継会社の非上場株式についても、特例承継期間(仮称)(5年)内に申告期限が到来するものに限り特例の対象となる(この点、現行の事業承継税制についても複数の贈与者からの贈与等が対象とされる)。さらに後継者が贈与者の推定相続人以外の者(20歳以上)であり、贈与者が60歳以上の場合には相続時精算課税制度の適用を受けることができる。 次に、承継後の負担の抜本軽減として、特例認定承継会社が特定承継期間(5年)経過後に、赤字や売上減少が続く等一定の経済環境の変化を理由に、その非上場株式を譲渡したり、合併による消滅や解散する場合には、譲渡等時点における株式価値で税額を再計算し、差額については免除される措置が手当てされる。 これまで事業承継税制はその要件の厳しさから適用を躊躇する企業も多かったが、今回の改正案は適用後の経営等環境変化にも配慮するものとなっており、また複数のパターンによる承継策にも対応していることから、特例制度の適用を一考する価値はあると思われる。この場合、特例承継計画の作成などの場面で税理士の活躍する場が出てくるだろう。 〇所得控除の適正化は平成32年から いわゆるフリーランスや起業、在宅で仕事を請け負う子育て中の女性等、働き方の多様化を支援する観点から、平成32年分以後の所得税(及び平成33年度分以後の個人住民税)より、基礎控除、給与所得控除及び公的年金等控除の見直しが行われる。 まず、上記のフリーランス等による収入には給与所得控除・公的年金等控除が適用されないことから、給与所得控除・公的年金等控除の一部をすべての納税者に適用される基礎控除に振り替えるという考えにより、基礎控除の控除額を一律10万円引き上げ、合計所得金額2,400万円超より控除額を次のように段階的に逓減、2,500万円超で適用不可とする(大綱p19)。 ・合計所得金額が2,400万円以下である個人・・・48万円 ・合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下である個人・・・32万円 ・合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下である個人・・・16万円 ・合計所得金額が2,500万円超である個人・・・適用なし 給与所得控除については、上記の基礎控除引上げと連動して控除額を一律10万円引き下げ、控除の上限が適用される給与等の収入金額を850万円(現行1,000万円)とし、その上限額を195万円(現行220万円)に引き下げる(大綱p17)。 給与収入850万円以下の世帯は基礎控除額との合計が103万円で改正による変動はなく、850万円超の世帯においても子育て世帯(※1)及び介護世帯(※2)に対しては負担増が生じないよう「所得金額調整控除」が適用される(大綱p20)。 (※1) 23歳未満の扶養親族が同一生計内にいる者 (※2) 特別障害者控除の対象者が同一生計内にいる者 なお、上記の給与所得控除の見直しに合わせ、特定支出控除において、その範囲に「直接必要な旅費等で通常必要と認められるもの」が追加され、単身赴任者の帰宅旅費について限度回数(月4往復)を撤廃する等の見直しが行われる。 また、かねてより指摘のあった高所得の年金受給者に対する課税の見直しとして、公的年金等控除は次の点が見直される。 ① 控除額を一律10万円引き下げる。 ② 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額に195万5,000円の上限を設ける(現行は上限なし)。 ③ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が (イ) 1,000万円超2,000万円以下の場合・・・①②の見直し後の控除額から一律10万円引下げ (ロ) 2,000万円超の場合・・・①②の見直し後の控除額から一律20万円引下げ 今回の基礎控除及び給与所得控除の見直しにより、これらの控除額等を踏まえて設定されている他の控除等においては、制度上、調整が必要となる。 例えば、青色申告特別控除(現行65万円)は、給与所得者とのバランスに配慮し給与所得控除の最低保障額に設定されていることから、控除額が55万円に引き下げられる(基礎控除との合計は103万円で改正による変動なし)。なお、後述するように、電子申告等を行った場合には特別控除額が10万円上乗せされる措置が設けられる(大綱p21)。 他にも同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を48万円以下(現行38万円以下)とするなどの調整も行われることから(大綱p21)、本改正の施行時には企業の源泉等実務への影響も大きくなることが予想される。 〇過度な相続税節税策への防止措置 今回の税制改正に向けた税制調査会における審議の中で、一般社団法人や小規模宅地等特例を使った租税回避が問題視され、それぞれ次のような対応がとられることとなった。 一般社団法人は株式会社等に比べ設立の手続が簡易で、かつ、企業の株式に当たる持ち分の概念がないことから、一族で支配する一般社団法人へ財産を移転させ、相続人となる親族が理事等になることで実質的に代々財産を受け継ぎ課税の機会を逃れるケースが広がっていた。 大綱では、現行規定の明確化を図るとともに、相続開始直前に同族役員が総役員数の2分の1超を占める等の特定の一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く。以下「特定一般社団法人等」という)の「同族役員」が死亡した場合、その特定一般社団法人等の純資産額を死亡時の同族役員(被相続人を含む)の数で除して計算した金額に相当する額を被相続人から遺贈により取得したとみなして、その特定一般社団法人等に相続税を課税するとした(大綱p49)。 この場合の「同族役員」とは、一般社団法人等の理事のうち被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が役員となっている会社の従業員等)をいう。この改正は平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用される。 次に小規模宅地等特例においては、まず、「相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者」がその他要件を満たす場合に特定居住用宅地等として課税価格が80%減額される(限度面積300㎡)、いわゆる「家なき子」の特例(措法69の4③二ロ)について、相続人が親族等に自己の持ち家を売却する等して意図的にこの状況を作出するケースがあるという指摘があった。 このため「相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者」及び「相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者」が、対象から除外される。 また、50%減額となる貸付事業用宅地等においても、この適用をねらい一時的に現金を不動産に換え貸付事業を行うケースを防止するため、「相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等」が対象から除外される(ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者がその貸付事業の用に供しているものを除く)。 これらの改正は平成30年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する相続税より適用される(大綱p55)。 なお、貸付事業用宅地等をめぐっては、既報のとおり、相続税の申告期限後1年以内に宅地等を譲渡するケースがあること等について会計検査院からの指摘があったものの、今回の改正案ではその対応は見送られている。 相続税関係では他に、相続税申告書の添付書類として提出できる書類の範囲に、戸籍謄本を複写したもの等、被相続人のすべての相続人等を明らかにする書類が加わり、これにより本年5月に制度が開始された法定相続情報証明制度における法定相続情報一覧図の写しによる提出も可能となる(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)(大綱p67)。 また農地に係る納税猶予制度について、一定の貸付けがされた生産緑地の適用を可能とし、三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について営農継続要件を終身(現行20年)とするなどの見直しが行われる(大綱p53)。 さらに、空き家対策として法務省が要望していた「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」、文部科学省が要望していた「特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度」の創設がそれぞれ明記された(大綱p50)。 〇「賃上げ及び生産性向上のための税制パッケージ」を存置 企業税制においては、生産性向上のための設備投資と持続可能な賃上げを強力に後押しする観点から、これらの取組みに積極的な企業の負担は軽減する一方、取組みに消極的な企業に対しては適用要件の見直しが行われる。 この方策の肝となる所得拡大促進税制は、大企業と中小企業それぞれに適応した税制へと改組され、設備投資や人材投資の要件が絡む構造となる。 まず大企業に向けては、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において、①平均給与等支給額が前年度比3%以上増加し、②国内設備投資額が当期の減価償却費の90%以上である場合において、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる。また「当期の教育訓練費の額」の「前期・前々期の教育訓練費の平均額」に対する増加割合が20%以上であるときは控除率が5%上乗せされ20%の税額控除が可能となる(当期の法人税額の20%を限度)(大綱p70)。 (※) 教育訓練費の定義については大綱p70-71を参照されたい。 中小企業に向けては、上記と同じ事業年度(H30.4.1~H33.3.31)において、平均給与等支給額が前年度比1.5%以上増加した場合に、給与等支給増加額の15%の税額控除が認められ、平均給与等支給額が対前年度比2.5%以上増加し、かつ、教育訓練費の対前年比10%増又は中小企業等経営強化法の経営力向上計画に係る要件をクリアした場合には控除額が10%上乗せされ25%となる(当期の法人税額の20%を限度)(大綱p73)。このように中小企業にも1.5%増という賃上げの数値要件が設けられた。 さらに大企業に対しては、賃上げ・設備投資を推進するため、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において、以下のいずれの要件にも該当しない場合は、その事業年度については、一部の税額控除の適用対象から除外される(ただし所得金額が前事業年度以下の場合を除く)(大綱p72)。 ① 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること ② 国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること 適用除外となる税額控除は次の特別措置。 ① 研究開発税制 ② 地域未来投資促進税制 ※平成29年度改正で創設 ③ 情報連携投資等の促進に係る税制【新設】 ③の「情報連携投資等の促進に係る税制」は30年度改正で創設される特別措置であり、生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、認定を受けた革新的データ活用計画(仮称)に従い同法の施行日から平成33年3月31日までに間に一定の情報連携利活用設備の取得等を行った場合に30%の特別償却又は3%の税額控除が認められる。なお、この部分においても賃上げ要件が関係し、平均給与等支給額の対前年度増加率が3%以上の場合に5%の税額控除が認められる。この特別措置は、いわゆるIoTやAIシステム等を導入し、データの連携・高度利活用することで生産性やセキュリティの向上を図ることを目的とする(大綱p71)。 このように、大企業が上記の特例適用を検討する際は、賃上げ及び国内への設備投資に関しこれまで以上の積極性が求められることになるが、適用した場合の恩恵も大きい。措置ごとに検討するのではなく、パッケージとしての税制措置全体による企業への効果という判断が求められよう。 なお中小企業の設備投資を促進する施策として、先端設備等導入計画(仮称)に基づき行った対象設備投資への固定資産税の軽減措置(最初の3年間、課税標準のゼロ以上2分の1以下の範囲で自治体の条例で規定)が講じられる(大綱p57)。 法人税関連では他に、経済産業省が要望していた「特定事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例」が創設(大綱p75)。一方で、環境関連投資促進税制、次世代育成支援対策資産の割増償却(いわゆる「くるみん税制」)、雇用促進税制のうち同意雇用開発促進地域に係る措置は、それぞれ適用期限(H30.3.31)の到来をもって廃止となる(所得税も同様)。 なお、平成30年3月までに最終基準化することが予定とされている「収益認識に関する会計基準」への対応により、法人税における収益の認識等について、返品調整引当金制度の廃止などを含む措置が講じられている(大綱p90)。 平成30年3月31日で適用期限を迎える法人税関係の特別措置について、まず、交際費課税制度は損金不算入等の現行制度をすべて2年延長(平成32年3月31日まで)。中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例及び中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置もそれぞれ平成32年3月31日までの2年延長が決まった。 〇大法人は平成32年4月1日以後開始事業年度から電子申告を義務化 国税庁が6月に公表した「税務行政の将来像」や政府税制調査会による「中間報告②」(11月公表)の流れを受け、今回の大綱でも法人・個人共に、税務手続の電子化に向けた改正が示されている。 まず、企業の生産性向上を推進する観点から、申告データの円滑な電子提出に向けた環境整備を進めつつ、大法人のe‐Taxによる電子申告(法人税、地方法人税及び消費税の確定申告、中間申告及び修正申告)が平成32年4月1日以後開始事業年度から義務化される(大綱p79、p100)。 ここでいう大法人とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的法人をいう。ただし、電子通信回線の故障や災害等一定の理由による場合には書面での提出を認める。 上記の開始に向けた環境整備として提出情報等のスリム化やデータ形式の柔軟化、提出先の一元化などが示されているが、企業側も既存システムへの改修等が必要になると推察され、官民ともその影響は小さくない。 次に個人については、上述した所得控除の見直しによる控除額の引下げと合わせ、青色申告者(自営業者や個人事業主)が電子帳簿保存又はe‐Taxによる電子申告を行う等要件を満たした場合に、青色申告特別控除(改正後55万円)に、控除額が10万円上乗せされる措置が講じられる(複式簿記によらない場合の10万円控除については上乗せなし)(大綱p21)。過去、平成19年から24年にかけて、個人が電子申告を行った場合に3,000~5,000円の税額控除が行われていたが、今回の上乗せ措置は、個人の電子申告移行のきっかけとしてインパクトのあるものといえよう。 〇土地住宅関係措置の延長等 本年12月31日が適用期限となる「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の特例」及び「特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の特例」は適用期限を2年延長(平成31年12月31日まで)。また「特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例」は一部要件を見直し平成31年12月31日まで2年延長。「大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例」は廃止となる(大綱p30)。 新築の認定長期優良住宅に係る固定資産税の税額の減額措置は平成32年3月31日まで2年延長(不動産取得税に係る特例措置も同様)、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置は一部床面積要件を見直しこちらも平成32年3月31日まで2年延長となった(大綱p61)。さらに特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置も2年延長(認定低炭素住宅に係る軽減措置も同様)(大綱p54)。 〇その他 上記以外の改正事項としては、消費税の簡易課税制度について、農林水産業のうち軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業を第2種事業としそのみなし仕入率が80%(現行70%)とされる(平成31年10月1日を含む課税期間から)(大綱p107)。また地方消費税の清算基準における統計データ・カバー率等の見直しが行われ(大綱p99)、東京都の小池知事からは「到底容認できない」とのコメントが発表されている。 印紙税関係では、不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置が2年(平成32年3月31日まで)延長され(大綱p55)、預貯金通帳等に係る印紙税の納付特例について、毎年税務署長へ承認申請書を提出し承認を受ける必要があったが、その申請内容に変更がない場合には再度の承認申請書の提出を不要とする措置が講じられる(平成30年4月1日以後に作成する預貯金通帳等に係る承認より適用)(大綱p68)。毎年実務を担当していた方にとっては朗報だ。 国際課税では恒久的施設(PE)の定義について、国際的スタンダード(BEPS報告書・新OECDモデル租税条約)に合わせた見直し案が示された(大綱p108)。 また新設の税制として、森林吸収源対策に係る地方財源として「森林環境税(仮称)」(大綱p32)(年額1,000円)が平成36年(2024年)度から、観光財源の確保を目的とした「国際観光旅客税(仮称)」(大綱p92)(出国1回につき1,000円)が平成31年1月7日以後の出国から、それぞれ施行される。 たばこ税では加熱式たばこの課税区分が新設され、紙巻たばこの税率引上げ時期に合わせ平成30年10月から段階的に実施されることが決まった(大綱p96)。 (了)
《速報解説》 「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」がパブコメに ~開示府令、税効果会計基準の改正案に対応~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成29年12月14日、法務省は、「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」を公表し、意見募集を行っている。 これは、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正案」(平成29年10月24日)と、企業会計基準委員会の「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(案)」(企業会計基準公開草案第60号、平成29年6月6日)及び当該税効果に関する改正案に対応する「財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」(平成29年10月13日)を受けたものである。意見募集期間は平成30年1月19日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 会社法施行規則の改正の内容 金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループによる「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告-建設的な対話の促進に向けて-」(平成28年4月18日)を受け、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正案」(平成29年10月24日)では、株主総会日程の柔軟化のための開示の見直しとして、有価証券報告書における「大株主の状況」の記載時点を、事業年度末から、原則として議決権行使基準日へ変更することを提案している。 会社法施行規則改正案は、次のように会社法施行規則122条2項を新設するとともに、会社法施行規則の附則8条について所要の整備を行う予定である。 ◆会社法施行規則122条2項の新設 Ⅲ 会社計算規則の改正の内容 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(案)」(企業会計基準公開草案第60号、平成29年6月6日)では、繰延税金資産は投資その他の資産として表示し、繰延税金負債は固定負債として表示することとしているので、これに対応し、次のように改正することを提案している。 Ⅳ 適用時期等 施行期日は、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表日程を踏まえ、定める。 次の経過措置が規定される予定である。 (了)