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外国人労働者に関する労務管理の疑問点 【第5回】「外国人留学生(専門学校生)を社員として雇うとき(「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更)」~「専門士」の社員採用について、大学生との違いは~

外国人労働者に関する 労務管理の疑問点 【第5回】 「外国人留学生(専門学校生)を社員として雇うとき (「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更)」 ~「専門士」の社員採用について、大学生との違いは~   社会保険労務士・行政書士 永井 弘行     1 留学生の採用について、大学生と専門学校生の違いは 「留学」の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へ変更する手続きは、大学生と同じです。留学生本人と会社がそれぞれ申請書類を準備して、入国管理局に申請します。 「技術・人文知識・国際業務」許可の基準については、繰り返しになりますが下図のとおりです。 〈入管法第7条第1項第2号(入国審査官の審査)の基準を定める省令(基準省令)の要旨〉 (注) それぞれの職種は、あくまでも例示です。会社で従事する業務内容と、大学・専修学校等で履修した科目等の専門的知識、技術との関連性があること、入管法の定める基準を満たすことが必要です。  入国管理局の審査は、個別の内容により判断されます。詳細は申請先の入国管理局に確認することが重要です。 大学生に比べて、専門学校の卒業生(「専門士」の資格を持つ外国人)は、専門学校で学んだ内容と、会社で従事する業務の関連性が、より厳密に審査されます。 例えば、経理専門学校の留学生なら、会社での従事業務は、経理業務・事務業務に従事することが前提です。また、留学生が大学生の場合は学部・学科を問わずに「翻訳・通訳」業務の申請が可能ですが、専門学校の留学生の場合は、学校で翻訳・通訳に関することを学んでいなければ、「翻訳・通訳」業務の申請ができません。 こうした点が、大学生に比べて大きく異なりますので、注意が必要です。 さらに次に説明するように、現在の法令では就労可能な在留資格がないケースにも注意しなければなりません。   2 専門学校の学科・専攻内容により「就労可能な在留資格がない」ケースも 現在の法令では、専門学校の留学生が日本で就職するためには、会社での従事業務が、「技術・人文知識・国際業務」、「医療」、「介護」(後述)の在留資格に当てはまることが必要です。これらに該当しない業務に従事することを希望しても、就労の在留資格は許可されません。 例えば、ヘアメイクとして美容店での就職が決まっていても、就労の在留資格は許可されません。入国管理局に相談すると、次のように回答されるでしょう。 つまり、現在の入管法で定められた在留資格には、ヘアメイク、美容師の業務に該当するものがないので、就労の在留資格を出すことができない、ということです。 〈現行の法令では、美容師・ヘアメイクに該当する就労の在留資格はない〉 ヘアメイク、美容師の他にも、保育士、救急救命士、調理師、パティシエなどの業務は、「該当する在留資格なし」という理由で、就労の在留資格が許可されません。 なお、後述しますが、入管法改正により、今年9月から「介護」の在留資格が新設されます。これにより社会福祉分野の専門学校を卒業し「介護福祉士」の資格を持つ外国人は、「介護」の在留資格を得て日本で働くことが可能になります。 専門学校の分野・学科と就労可能な在留資格の関係をまとめると下図のとおりです。 〈外国人留学生 :「専門士」の就職と在留資格〉 (注) 入管法改正により、「介護」の在留資格が平成29年(2017年)9月1日から新設されます。   3 多くの場合、「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事することが前提です 現在の入国管理局の許可基準は、専門学校の専攻内容と就職先の従事業務に関連性があり、業務内容が「技術・人文知識・国際業務」、「医療」、「介護」(本年9月~)に該当する場合に限って在留資格を許可する、というものです。 例えば、次のような場合は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を検討します。 つまり、「専門士」の称号を得ている人が「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事することが前提になります。 なお、「医療」の在留資格のケースは、条件を満たしていれば許可されますが、未だ事例は少ないようです。   4 通訳・翻訳業務の申請ができないケースが大半です 前回、留学生が大学生の場合は、学部学科を問わずに「翻訳・通訳、語学の指導」に従事する申請が可能であることを説明しました。3年以上の実務経験がなくても「学士」の学位を得た外国人なら、「翻訳・通訳または語学の指導」に従事する社員として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の申請が可能です。 しかし、専門学校の留学生(専門士)には、この取扱いがありません。 例えば、中国出身の経理専門学校の留学生(専門士)が、中国語と日本語の翻訳・通訳担当者として勤務する予定で「技術・人文知識・国際業務」への変更を申請しても、3年以上の実務経験がなければ、許可されません。この点も、大学生と大きく異なりますので注意が必要です。 なお、留学生が専門学校で翻訳・通訳に関する分野を学んでいる場合に限り、専門学校で学んだ内容と、会社で従事する業務の関連性があると判断され、翻訳・通訳担当者としての業務が許可されることがあります。   5 「介護」の在留資格新設により、介護福祉士としての就労が可能に 入管法改正により、今年9月から「介護」の在留資格が新設されます。 今後は、社会福祉分野の専門学校を卒業し「介護福祉士」の資格を持つ外国人は、「介護」の在留資格を得て日本で働くことが可能になります。 入国管理局のホームページの「平成28年入管法改正について」の中で、概要が紹介されています。 なお、すでに「介護福祉士」の国家資格を得ている外国人は、今年9月を待たずに「特定活動」の在留資格で介護の業務に従事することが可能です。 法務省のホームページ「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律による在留資格「介護」の新設に係る特例措置の実施について」というサイトを参照ください。   6 専門士の留学生雇用の事例紹介 専門学校の留学生(専門士)が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得て、会社で勤務するケースについて、具体的な事例を紹介します。   7 日本語学校の卒業生を採用できるか 留学生が日本語学校を卒業した時点で、社員としての就職を希望してきた場合はどうでしょうか。 留学生が、すでに本国などで大学を卒業し「学士」の学位を得ている場合は、その大学の卒業証明書を用いて、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更申請が可能です。日本の大学を卒業した留学生と同じ基準で審査され、条件を満たしていれば許可されます。 一方、留学生が本国では高校卒業の学歴で、「学士」の学位を得ていない場合は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は許可されません。日本語学校で学んだ後に、大学または専門学校を卒業して、初めて「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得ることが可能になります。 つまり、日本語学校を卒業しているだけでは不十分で、大学や専門学校を卒業し、学士、短期大学士、専門士のいずれかを得ていなければ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は許可されません。 *  *  * 専門学校の団体が、留学生について紹介しているホームページです。留学生の就職事例の紹介などがあり、参考になります。 【参考】 ▷一般社団法人 大阪府専修学校各種学校連合会 大専各留学生支援サイト ▷公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 (了)

#No. 229(掲載号)
#永井 弘行
2017/08/03

これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務 【第6回】「役員の任期到来の時期の特定」-実践編-

これからの会社に必要な 『登記管理』の基礎実務 【第6回】 「役員の任期到来の時期の特定」 -実践編-   司法書士法人F&Partners 司法書士 本橋 寛樹   はじめに 本稿では、任期管理とその役員変更の登記手続に携わる実務担当者が、本連載【第2回】で紹介した「会社主導で中長期的に管理し続けられる体制づくり」を実現するための実際の手順を解説する。 まず、役員の任期到来の時期を特定し、役員変更の登記手続をするための前段階として、自社について役員の任期管理の状態を認識しよう。 【〈パターン別〉役員の任期管理の状態】 役員の任期管理の状態として次の①~③のうち、自社はどれにあてはまるだろうか。 上記①~③について、それぞれの任期管理の状態と今後の検討事項をまとめると次の表のとおりとなる。 上記①~③の今後の検討事項をふまえると、役員の任期到来の時期を特定するルールの確立が重要であるといえる。 【ルール確立のメリット】 ルールが確立されていれば、上記①②の場合、実務担当者が交代する場合であっても、引継ぎが容易となる。 また、上記①②で仮に引継ぎがうまくなされない場合や、上記③の場合、ルールに沿ってすぐに任期を特定する作業に取りかかることができる。 それでは、確立されたルール(例)を用いて、実際に取締役の任期到来の時期を特定する作業に取り組もう。   任期到来の時期を特定する作業の実践 【活用資料の準備】 まず、任期特定に活用する資料をそろえる。資料で参照する項目は以下のとおりである。 (※) ①の役員の就任年月日と一致していることが多い。 【活用資料の見方】 ① 登記記録、② 取締役の選任に関する株主総会議事録 登記記録は「就任年月日」、取締役の選任に関する株主総会議事録は「選任年月日」を確認する資料となる。選任年月日と就任年月日は同一日であることが多いことから、登記記録上の「就任年月日」を参照し、直近の取締役の選任時期を確認することになる。 【登記記録例】 取締役Aは、平成26年6月30日に就任し、平成28年6月28日に重任(就任)している。登記記録だけ参照すると、取締役Aの任期は一見2年にみえる。 ただし、この段階で取締役Aの任期が2年と判断してはいけない。 取締役の任期は定款に規定されているため、登記記録や株主総会議事録の内容だけでは取締役の任期を判断しきれないからである。 そこで次に、最新の定款の各規定を参照する。 ③ 最新の定款 本連載【第4回】では最新の定款、【第5回】では取締役の任期の年数や事業年度といった、役員の任期到来の時期を特定するために必要な定款の各規定について解説している。 「取締役の規定」は以下のように規定されることが多いが、年数の箇所については、会社の実情によって異なる。 ここで、“選任後2年”という年数の箇所で読み終わっていないだろうか。 厳密には、選任後2年「以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会」であり、そこまで読みきってはじめて役員の任期到来の時期を正確に特定することができる。 「以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会」については、取締役の任期規定だけでは十分ではないため、「事業年度」と「招集」に関する規定もあわせて参照する必要がある。 「事業年度」と「招集」に関する規定は、定款で以下のように規定されることが多い。 【任期規定の算定式】 ここで、「取締役の任期」「事業年度」「招集」の各規定を参照することにより、「取締役の任期」を判断できる情報がそろった。 それでは、本連載【第5回】で解説した任期規定の方程式に本事例を当てはめて、取締役Aの任期到来の時期を特定してみよう。 【事例の当てはめ】 図に表すと、次のとおりとなる。 したがって、仮に平成30年6月25日に定時株主総会が開かれ、当日中に終結する場合、取締役Aの任期は、平成30年6月25日の定時株主総会の終結時に到来することになる。 *  *  * 以上をふまえて、自社について取締役の任期到来の時期を、ルールに当てはめて特定してみよう。 手順に沿って取締役の任期到来の時期を特定できるようになれば、会社主導で中長期的に管理し続けられる体制づくりに向けた大きな一歩を踏み出すことになる。 (了)

#No. 229(掲載号)
#本橋 寛樹
2017/08/03

家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第18回】「信託契約作成上の留意点⑤」-受託者の地位-

家族信託による 新しい相続・資産承継対策 【第18回】 「信託契約作成上の留意点⑤」 -受託者の地位-   弁護士 荒木 俊和   前回は信託契約作成上の留意点として、信託契約における委託者の地位について述べたが、今回は受託者の地位について解説する。   1 受託者の信託契約における位置付け 受託者は、信託契約上の当事者となり、委託者から信託財産を受託し、信託財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う(信託法第2条第5項)。 すなわち、家族信託においては、受託者は家族信託の対象となる財産を高齢者である委託者から信託され、委託者に代わって管理を行い、必要に応じて売却するような立場となる。 家族信託の目的にもよるが、受託者は、委託者兼受益者の生活の維持等を目的とする場合には信託開始から委託者兼受益者の死亡時までの信託財産の管理を行うとともに、委託者兼受益者が死亡した場合には信託の清算を行い、帰属権利者に対して残余財産を引き渡す役割を担う。   2 受託者になる資格 受託者になるためには、一般的に法律行為ができることが必要であり、権利義務の主体となる権利能力、法律行為を行う行為能力が必要であるとされるため、未成年者又は成年被後見人若しくは被保佐人は、受託者となることができない(信託法第7条)。 また、「家族信託」という名称から、「家族しか受託者になれないのではないか?」という質問を受けることもあるが、個人の財産管理等を目的とする「家族信託」といわれるものであっても、家族以外を受託者とすることを妨げるものではない。 さらに、個人(自然人)でなくとも受託者になることができ、株式会社や一般社団法人等を受託者とすることもできる。 以上の他、受託者となるべき法律上の要件ではないが、委託者と受託者との信頼関係が非常に重視される家族信託の性質上、受託者は財産管理に関して十分な信頼のおける人物を選ぶ必要があろう。   3 受託者の権限 信託法第26条では、受託者の権限の範囲に関し と定められており、特に信託契約上の制約を設けなければ、受託者は、信託の目的達成の範囲において、信託財産の処分を含むあらゆる行為を行うことができることとなる。 一方で、受託者にあらゆる権限を認めることが不安であるという場合には、重大な行為に関しては信託監督人の同意を要することとする等、信託契約において制限を加えることを検討すべきであろう。 また、実務上、不動産を信託財産とする場合には、登記の関係により、信託目録において受託者の権限として処分ができることを明示する必要があるとの見解があるため、信託契約の文言上も、受託者が処分できることを明示的に記載しておくことが望ましいものと思われる。 なお、受託者が権限の範囲外の行為を行った場合、受益者は、①行為の相手方が信託財産のためになされたことを知っており、かつ、②行為の相手方が受託者の権限の範囲外であることを知っていた又は知らないことに重過失があった場合に限って、当該行為を取り消すことができる(信託法第27条第1項)。   4 受託者の義務 受託者は信託事務を行うにあたって、主要な部分では以下のような義務を負う。 以上のような義務を負うことから、受託者としては、「まずは受益者の利益を最優先する」という意識を持つべきであり、そのことについては信託契約上も明示的に記載すべきである。 なお、上記⑤の分別管理義務との関係では、金銭に関する信託口口座の開設と上場株式に関する信託口口座の開設が問題になりやすい。ただしこの点については、金融機関や証券会社においても徐々に整備が進みつつあり、信託財産の分別が受け入れられる機関も増加傾向にある。   5 二次受託者の必要性 受託者を個人(自然人)とする場合、受益者よりも年下であり、健康上問題のない者を選任することが多いと思われるが、それでも不慮の事故等により信託事務が継続できなくなるリスクを考慮しておく必要がある。 このように、当初受託者が信託事務を継続できなくなる場合に備えて、信託契約上、当初受託者を引き継いで信託事務を行う「二次受託者」を指定しておくことが有効な場合がある。 この場合、指名された二次受託者は必ずしも受託者にならなければならないわけではないが、委託者の意向を明らかにしておくという点で有効であろう。 なお、その他、受託者の死亡による問題と対応については【第6回】を参照されたい。   6 信託報酬について 信託契約においては、信託報酬を規定することができる(信託法第54条第1項)。 ただし、受託者として信託報酬を受ける場合、「業として」受託業務を行っているとみられる場合がある。 この場合、信託業法上、免許を取得しなければならないとされており(信託業法第3条)、免許を取得せずに受託業務を行っているとなると、信託業法違反として処罰の対象となる。 この点、家族信託では「業として」とはいえないとの見解もあるようであるが、「業として」に該当するかどうかは解釈に委ねられているため、家族信託の受託者は無報酬とすることが無難であろう。 また、弁護士であれば一般法律事務として信託報酬を受領し受託者となることができるとする見解もあるようであるが(弁護士法第3条第1項)、必ずしも有力な見解ではなく、業として弁護士を受託者とすることは避けるべきと考える。 (了)

#No. 229(掲載号)
#荒木 俊和
2017/08/03

〈小説〉『資産課税第三部門にて。』 【第23話】「共有物の放棄」

〈小説〉 『資産課税第三部門にて。』 【第23話】 「共有物の放棄」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「統括官、共有物を放棄したケース・・・なんですけど。」 谷垣調査官が尋ねる。 「・・・共有物?」 田中統括官は、谷垣調査官の顔を覗く。 「例えば、兄弟で共有していた土地について、一方がその持分を放棄した場合の課税関係なのですが・・・」 谷垣調査官は、手に持っている罫紙を見ながら言う。 「谷垣君・・・君は確か法学部の出身だったよね・・・」 田中統括官は、突然、谷垣調査官の出身学部を尋ねる。 「ええ、法学部でしたが・・・大学の授業にはほとんど出席しませんでしたから・・・法学部出身といわれても・・・しかし、それが何か?」 谷垣調査官は苦笑いをする。 「いや・・・ところで、共有物の放棄は民法のどこに規定されているか・・・君は知っているかい?」 田中統括官は、立っている谷垣調査官の前に小六法をポンと置いた。 「・・・共有ですから・・・確か・・・第三章の所有権のところに・・・」 そう言いながら、谷垣調査官は小六法をめくる。 「民法255条(持分の放棄及び共有者の死亡)ですね。」 谷垣調査官は、条文を読む。 「これは『共有の弾力性』と言われるもので・・・例えば、箱の中に、2つの風船が膨らんで入っている場合、1つの風船が破裂すると、もう1つの風船が箱の中をすべて占めてしまう。これと同じように、相続財産が国庫に帰属すべき場合にも、便宜上国庫に帰属させずに、他の共有者に持分に応じて帰属させるという理屈なんだ。」 田中統括官が説明する。 「そうすると、先ほどのケースですが、事業の失敗が原因で、兄が債務超過の状態に陥り、債務の支払が不能な状態になった・・・そこで、弟は自分の土地の持分を放棄しました・・・」 谷垣調査官は、事例の話を続ける。 「・・・そして、共有していた土地の時価は1億円(取得価額は5,000万円)で、弟の持分放棄によって、弟の持分を取得した兄は、直ちにその土地を1億円で譲渡して、その金員を債務の一部に弁済した・・・この場合の兄の課税関係なのですが・・・」 谷垣調査官は、腕を組んで考え込んでいる田中統括官の顔を見る。 「・・・私は、弟は自分の持分を放棄し、兄がその持分を取得したので、相続税法9条(みなし贈与)が適用されると思うのですが、その但書きに該当し、結局、贈与税は課税されないということになる・・・」 谷垣調査官は、相続税法9条を確認する。 「・・・兄が資力を喪失して・・・扶養義務者である弟が土地の持分放棄をし、債務の弁済に充てれば、贈与税は課せられないということか・・・」 田中統括官が確認する。 「ええ、それは分かるのですが・・・問題は、その兄が弟の放棄によって取得した土地を譲渡した場合、譲渡所得はいくらになるかということなんです・・・」 谷垣調査官が言葉を続ける。 「私は、兄が弟の放棄によって取得した土地については、所得税法60条(贈与等により取得した資産の取得費等)1項は適用できないと思うのです。すなわち、同条には『贈与』となっていますから、『みなし贈与』は含まれない。そうすると、その放棄によって取得した土地の取得価額は、時価と考えるのが妥当ではないでしょうか。その根拠は、所得税法施行令126条1項5号です。もっとも、これは、減価償却資産についての規定ですが・・・」 そう言って、谷垣調査官は該当条文を見せる。 「そうすると、弟の放棄によって取得した土地(2分の1)については、取得価額が時価、つまり5,000万円となり、それを時価で譲渡すると、所得金額はゼロになるということか・・・」 田中統括官が腕を組んで、思案顔になる。 「取得価額については、法人税法施行令54条1項6号にも同じような規定があり、さらに、法人税基本通達7-3-16の2では、減価償却資産以外の固定資産の取得価額についても同施行令を適用すると書かれています・・・所得税法もこの法人税の通達と同様に考えたら良いと思うのですが・・・」 谷垣調査官がコメントする。 「なるほど・・・さすが・・・谷垣君は法学部出身だね。」 田中統括官は、満足そうに大きく頷いた。 (つづく)

#No. 229(掲載号)
#八ッ尾 順一
2017/08/03

《編集部レポート》 日税連が第61回定期総会を開催、神津信一氏が会長を続投(2期目)

《編集部レポート》 日税連が第61回定期総会を開催、神津信一氏が会長を続投(2期目)   Profession Journal 編集部   日本税理士会連合会は2017年7月27日(木)、帝国ホテルにおいて第61回定期総会を開催し、現会長の神津信一氏の続投が決定された。 総会後に行われた記者会見の席において、神津氏は2期目に向けた抱負、展望を明らかにした。 重点的な施策としてまず、減少を続ける中小企業を支援したい。特に事業承継の面においてM&Aも含めた支援を行いたい。また、会社をリタイアした世代が自分の経験を生かして新たな事業を立ち上げる支援も行っていきたい。これにより、我々のフィールドである中小企業の地盤を強化していきたい旨の説明があった。 また、2年後に控える消費税率の10%への引上げについては予定通り実行していただきたいが、一方で、適格請求書等保存方式等の問題に対しては、中小事業者に負担のかからない税制として様々な施策を提言していきたいとした。 (2期目に向けた抱負を語る神津信一日本税理士会連合会会長) その後、記者からは、事業承継や新規事業の立ち上げに際し、税理士がカバーできない部分を連合会としてどのようにフォローしていくかとの質問に対し、各単位会においてマッチングサイトなどもやっていきたいとの回答があった。また、税理士試験の受験者数減少の問題への対応を問われ、まずは税理士制度の魅力を伝えることだとし、税理士の仕事について、租税教育の場だけでなく、大学生へも浸透させる活動や、さらに広く国民に向けた租税リテラシーの啓蒙活動についても施策を講じていきたいと語った。 (同日に行われた「第40回 日税研究賞 贈呈式」の様子) (了)

#No. 229(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/08/03

連載「〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説」が書籍になりました!

本誌連載 「〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説」 が書籍になりました!!

#Profession Journal 編集部
2017/08/02

《速報解説》 日本証券業協会、10月の口座開設手続スタートを前に「つみたてNISAに関するQ&A」を公表~つみたてNISAの概要から開設手続等に関する全39問を紹介~

 《速報解説》 日本証券業協会、10月の口座開設手続スタートを前に 「つみたてNISAに関するQ&A」を公表 ~つみたてNISAの概要から開設手続等に関する全39問を紹介~   Profession Journal 編集部   平成29年7月25日、日本証券業協会より「つみたてNISAに関するQ&A」が公表された。 政府は家計の安定的な資産形成を支援することを目的として、個人の投資を促す税制改正をここ数年積極的に行っている。 平成25年度制改正では「NISA」(非課税上場株式等管理契約に係る非課税措置)が創設され、平成27年度税制改正では、若年層への投資のすそ野の拡大等を図るため、「ジュニアNISA」(未成年者口座内の少額上限株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が創設された。 そして、平成29年度税制改正では長期投資に適応した「つみたてNISA(積立NISA)」(非課税累積投資契約に係る非課税措置)が創設され、平成30年1月1日から制度がスタートする。 下図の通り、つみたてNISAは現行のNISAと比較して、年間の投資上限額の縮小や投資対象商品の限定といった制限がある代わりに非課税期間が20年と長期間になっており、より安定的な資産形成を支援する制度となっている。 (参考) 非課税累積投資契約に係る非課税措置の概要 (※) 財務省ホームページ「平成29年度税制改正の解説」p104 なお、現行のNISAとつみたてNISAは併用することができないため、どちらか一方を各個人の資産形成のプランと照らし合わせて選択する必要がある。 *  *  * 今回公表されたQ&A全39問の質問事項のうちQ1~Q23は「つみたてNISAの概要について」、Q24~Q39は「NISA口座の開設手続及びつみたてNISA勘定の設定について」となっており、前者がつみたてNISAの基礎的事項に関する質問事項、後者が口座開設、NISA勘定の設定といった具体的な手続に関する質問事項となっている。 例えばQ20では、 という問いに対し、 と説明されている。 上述の通り、つみたてNISAの開始は平成30年1月1日からだが、口座の開設手続は平成29年10月1日から行うことができる。今回のQ&Aの公表は、この開設時期が近づくにつれて寄せられることが予測される質問事項をまとめたものと思われる。 また、7月25日公表時点で、このQ&Aは「初版」とされているため、今後、制度の導入に伴い改定されていくことが予想される。 (了)

#No. 228(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/07/31

《速報解説》 平成29年度改正に係る法人税及び所得税関係の一部改正通達が公表~功績倍率法による退職給与は業績連動給与に該当しないことを明記

《速報解説》 平成29年度改正に係る法人税及び所得税関係の一部改正通達が公表 ~功績倍率法による退職給与は業績連動給与に該当しないことを明記   Profession Journal 編集部   国税庁はこのほど、次の通り、平成29年度税制改正を受けた法人税法及び所得税法(いずれも措置法を含む)に関連する一部改正通達を公表した。   〇法人税関係の改正通達 法人税関係の改正通達(法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達))では、組織再編税制の改正を受け株式交換等の「組織再編の日」を明確化する規定(法基通1-4-1)が織り込まれたほか、役員給与の見直しに関しこれまで法令等において規定されていなかった、いわゆる功績倍率法に基づいて支給される退職給与は業績連動給与に該当しないことを明確化する規定(法基通9-2-27の2)が下記の通り新設されている(倍率の例は示されていない)。 組織再編成に係る法人税基本通達に新設規定はないが、役員給与については次の規定が新設されている。 なお、これらの改正内容については本誌掲載の下記解説を参照されたい。 また租税関係特別措置法関係通達では、今年度改正で創設された地域未来投資促進税制(措置法42の11の2)については42の11の2-1~8、中小企業経営強化税制(措置法42の12の4)については42の12の4-1~10の規定がそれぞれ新設されたほか、既報の通り総額型の控除率の仕組み等の改正が行われた研究開発税制(措置法42の4)について対象となる試験研究の範囲にサービス開発が加えられたことにより次の規定が設けられた。 なお、中小企業経営強化税制等、最新の設備投資減税に関する解説については、現在本誌上で連載中の『平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント』を参照されたい。 その他今年度改正では外国子会社合算税制(タックスヘイブン税制)の総合的な見直しが行われているが、適用が平成30年4月1日以後開始事業年度ということもあってか、今回の改正通達では言及されていない。   〇所得税関係の改正通達 所得税に関係する改正通達(上記(2)~(4))では、既報の通り非永住者の課税所得の範囲が見直されたことに伴う規定が新設されたほか(特定有価証券の意義(所基通7-1))、災害特例措置の常設化に伴い所得税法に織り込まれた災害損失特別勘定に関する規定(所基通36・37共-7の5~10)が設けられている。 なお、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し(所法2、83等)に伴う通達の改正は、今回の一部改正通達では手当てされておらず、今後の動向を注視する必要がある。 (了)

#No. 228(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/07/28

《速報解説》 公認会計士・監査審査会より平成29年版の「監査事務所検査結果事例集」が公表~繰延税金資産、固定資産の減損、のれん評価等で問題となった事例を紹介~

《速報解説》 公認会計士・監査審査会より 平成29年版の「監査事務所検査結果事例集」が公表 ~繰延税金資産、固定資産の減損、のれん評価等で問題となった事例を紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年7月26日、公認会計士・監査審査会は平成29年版の「監査事務所検査結果事例集」を公表した。 今回の事例集の特徴は次のとおりである。 また、グループ監査に係る改善取組を行った監査法人の例など「評価できる取組」を追加しているとのことである。 「平成29年版 モニタリングレポート」も公表されており、監査法人の状況などについて、会計専門家ではない一般の利用者にもわかりやすく説明がなされている。審査会としては、今後もモニタリングレポートの内容を充実させつつ、最新の状況も伝えられるようにすることを考えている。 事例集は、公認会計士・監査審査会が行う監査事務所の検査で確認された指摘事例等を取りまとめたものであり、基本的に、監査事務所に関する内容である。 本稿では、事例集に記載された事項のうち、一般事業会社における会計処理等においても参考になると考えられるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取締役、監査役、投資者等による活用を期待 事例集は、上場会社等の取締役・監査役や投資者等に対する参考情報の提示という観点から、最近の不正会計事案に関するものも含め、審査会検査で確認された指摘事例を記載し、また、監査事務所の改善取組に関する優れた事例にも触れているので、会計監査人の適切な評価のために、是非参考にしていただきたいと考えているとのことである。   Ⅲ 個別業務における「問題となった事例」 事例集は、次のような事例について述べている。 会計上の見積りについては、継続して不備が頻出していると述べている。 (了)

#No. 228(掲載号)
#阿部 光成
2017/07/28

プロフェッションジャーナル No.228が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年7月27日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.228を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/07/27
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