税務ピンポイント解説 【第6回】 「特例で異なる“居住の判定”に要注意!」 Profession Journal 編集部 「リタイアしたら、老人ホームにでも入居してのんびりしたい・・・」と考える方が増えているそうです。日本には「子どもは親の面倒をみるもの」という価値観が根強くある一方、最近では「家族に迷惑をかけたくない」と老人ホームへの入居を検討される方が多いそう。ちなみに、一口に「老人ホーム」と言っても、介護施設型・住宅型の2類型、全部で9タイプのものがありますが、介護を必要としない方の入居の際には多額の資金が必要となる場合がほとんどです。 このように、最期の時を迎えるまでお金の問題はついて回りますが、実は、亡くなったときに住んでいた場所で各種税額にも影響が出ることをご存じですか? 相続税申告でミスが許されない「小規模宅地の特例」の“特定居住用宅地”の適用にあたって問題となっていたのが、相続開始直前に被相続人が老人ホームに入所していた場合の居住要件の判定。周知のように、平成25年度税制改正で、一定の要件を満たす場合には、老人ホームに入所していた場合でも居住要件を満たす旨が法律に規定されました。 一方、平成28年度税制改正で創設された「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」では、特例の適用対象は「相続の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋」です。この場合、被相続人が相続開始直前に老人ホームに入所していれば、実際に被相続人が住んでいた場所が「生活の本拠」と判定されるため、本特例制度の適用はできないのです。 つまり、被相続人が老人ホームに入所しているという実態は同じなのに、税制上の特例によって「生活の本拠」の判定が異なるため、現状では2つの特例の恩恵を受けることはできないことになります。 小規模宅地の特例と、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の被相続人の居住要件の相違は、両者を規定する税法が異なることから致し方ないとの見方もありますが、なにか判然としません。今後に、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用要件の改正が待たれます。 ちなみに、生前であれば、老人ホームへの入居から一定期間内にその居住用家屋を親族等以外の者に譲渡すれば、通常通り譲渡所得の3,000万円控除の適用を受けることは可能です。また、相続開始後では取得費加算の特例の適用も可能となるため、これらの特例の適用に際しては、税額軽減についての効果測定も必須となります。 (了)
《速報解説》 役員給与税制、各給与類型の対象範囲を拡大 ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 仲宗根 宗聡 1 はじめに 12月8日公表の「平成29年度税制改正大綱」では、「攻めの経営」を促すべく、経営陣に中長期インセンティブを付与するための多様な業績連動報酬や自社株式報酬の導入を促進するよう、損金算入の対象範囲が拡大されることが明記された(大綱p67)。 主な改正事項をまとめると次の通りである。なお、大綱の記載内容では未確定の部分も多いため、今後公表予定の改正法令等の規定内容を十分に確認する必要があると考える。 2 利益連動給与の見直し (1) 算定指標の範囲 従来、算定指標の範囲は「利益の状況を示す指標」のみが対象であったが、『株式の市場価格の状況を示す指標』及び『売上高の状況を示す指標』(利益又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるものに限る)が追加される。 (2) 指標の計測期間 従来、計測期間は単年度の指標のみが対象であったが、複数年度等の指標を用いることができるようにされる。 (3) 株式報酬 上記(1)の算定指標を基礎として算定される数の市場価格のある株式を交付する給与で確定した数を限度とする株式の交付が対象に追加される。 (4) 対象法人 同族会社のうち非同族法人との間に完全支配関係がある法人の支給する給与が対象に追加される。 3 事前確定届出給与の見直し 従来、事前確定届出給与の対象範囲は、「金銭」及び「譲渡制限付株式」が対象であったが、『株式の交付』及び『新株予約権の交付』が追加される。 これらの株式及び新株予約権は、市場価格のある株式又は市場価格のある株式の取得の基因となる新株予約権で、役務提供を受ける法人又はその法人の発行済株式の50%超を直接若しくは間接に保有する法人が発行したものに限る。 4 定期同額給与の見直し 定期同額給与の範囲に、税及び社会保険料の源泉徴収等の控除後の金額が同額である定期給与が追加される。 5 譲渡制限付株式の見直し (1) 譲渡制限付株式の範囲 従来、自社の株式が付与の対象であったが、役務提供を受けた法人以外の法人が交付する株式も対象に追加される。 (2) 損金算入時期 従来、譲渡制限付株式を対価とする費用については、譲渡制限が解除された日が給与等の課税時期になり、法人の損金算入時期も譲渡制限が「解除された日」の属する事業年度とされていたが、譲渡制限が解除されることが『確定した日』の属する事業年度の損金の額に算入することとされた。 (了)
《速報解説》 配当・利益・簿価純資産価額の比重を1:1:1へ変更等、 H29.1.1以後の類似業種比準方式を見直し、評価額への影響大のケースも ~平成29年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 八代醍 和也 去る平成28年12月8日、与党より「平成29年度税制改正大綱」が公表され、その中に「類似業種比準方式の見直し」が盛り込まれ注目を集めている。 以下、今般の見直しの具体的な内容について解説を行う。なお、文中における意見の部分については、筆者の私見であることを申し添える。 1 改正の概要 今般の見直しのポイントは以下の3点であり、平成29年1月1日以後の相続等により取得した取引相場のない株式の評価に適用される。 2 類似業種の上場株式の株価に2年間の平均株価を追加 類似業種の上場会社の株価について変更点をまとめると、【表1】のようになる。 【表1】 類似業種の上場株式の株価についての改正点 現行では、類似業種の上場株式の株価が直近1年以内に上昇しているような場合に、評価対象会社の株式が実態よりも高く評価されてしまうことが懸念されるが、表中の⑤の方法を用いることで、その影響を一定程度排除できるものと考えられる。 3 類似業種の上場株式の配当、利益及び簿価純資産価額に連結決算上の数値を反映 改正案では、類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額は、連結決算上の数値が使用されることに変更される。現代の我が国の上場会社は多角化・国際化が高度に進んでおり、そうした状況下において類似業種比準方式に用いる配当金額、利益金額及び簿価純資産価額についても連結決算上の数値を使用することがより適切な評価方法であると考えられるようになったためと思われる。 4 配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重の変更 類似業種比準方式の比準割合の算定式において、配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重が現行「1:3:1」であるところ、これが「1:1:1」に変更される。 改正案による比準割合及び評価額の算定式を示すと、以下のとおりである。 結果として、変更後は現行よりも評価対象会社の利益金額の影響が小さくなるように設計されていることになる。この点今般公表された大綱上は「相続税法の時価主義の下、実態を踏まえて」行われるものと説明されているが、実際上は、意図的な多額の損失計上により評価額を低く抑えることを防止する狙いがあるのではないかと考えることもできる。 また、この比重の変更に関しては、平成29年1月1日以後という適用開始時期も実務家にとって非常に大きなインパクトを持つものと考えられる。 すなわち、今般の改正内容は評価額自体の変更であり、贈与等の時期如何では、納税額に相当程度影響を及ぼす可能性があることを意味する。 したがって、平成28年中に譲渡を行うべきかどうか、至急シミュレーションを行う必要があるケースも想定されよう。 5 会社規模の判定基準の見直し 上述した類似業種比準方式の見直し①~③に加え、大綱では、純資産価額方式との併用方式を用いる際の類似業種の割合に関し、「評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する」としている。 経済産業省資料によると、併用方式の類似業種の割合(L)が高まることで、時価純資産(含み益)が重い中会社の株価を抑える効果があるとしており、こちらも事業承継の促進を目的とした改正となる。なお、具体的な見直し後の数値は記載されていない。 (了)
《速報解説》 「監査法人のガバナンス・コード(案)」がパブコメへ ~意見募集は平成29年1月31日まで~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月15日、金融庁の「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(座長 関哲夫(株)みずほフィナンシャルグループ取締役)は、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言において、監査法人の組織的な運営において確保されるべき原則を規定した「監査法人のガバナンス・コード」の策定が述べられたことによる。 意見募集期間は平成29年1月31日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の主な内容 1 主な内容 コード(案)は、5つの原則とそれを適切に履行するための指針によって構成されており、次のことなどが述べられている。 コード(案)は、コンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明する)の手法が想定されている。 2 その他 コード(案)の指針では次のことも述べられている。 (了)
《速報解説》 公益法人等への不可欠特定財産の現物寄附は みなし譲渡課税の対象外に(特例対象に追加) ~平成29年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香 個人が、現金以外の土地・建物などの財産を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される。 ただし、これらの財産を公益法人等に寄附した場合において、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税とする制度が設けられている。 このたび公表された平成29年度税制改正大綱(p34)において、この承認に係る特例の対象の範囲に、 が追加された(下線筆者)。 これにより、従来からの下記の要件3つを満たした上で、更に公益社団法人又は公益財団法人の役員等以外からの現物寄附については、その財産が法人の公益目的事業にとって不可欠特定財産であれば、みなし譲渡課税が課されないことになる申請書の提出後1月以内に承認又は不承認の決定がなかったとき当該申請の承認があったものとみなされる特例対象になる。 「公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産」は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」という)第5条第16号において、公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めなければならないと規定されており、公益認定の要件の一つとなっている。 また、内閣府公益認定等委員会から平成20年4月に公表されている「公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)」のⅠ15.では、 と説明している。 なお、不可欠特定財産がある旨の定款の定めについては、財産種別や場所・物量等を列記するなどの方法により、どの財産が不可欠特定財産に該当するのかが分かるように定款に具体的に記載する必要がある。(内閣府「新たな公益法人制度への移行等に関するよくある質問(FAQ)」問Ⅵ‐3‐②) これらは、設立者・寄附者の意思を尊重する観点から、公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産の安易な処分を防止することを目的としている。 金融資産や通常の土地・建物は、処分又は他目的への利用の可能性があり、不可欠特定財産には該当しないため、これらの寄附は今回の改正の対象とはならない。 (了)
《速報解説》 上乗せ措置の中小企業経営強化税制への改組等、 中小企業向け法人税の設備投資促進税制の改正事項 ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 小谷 羊太 平成28年12月8日に公表された「平成29年度税制改正大綱」(与党大綱)において、法人が取得する一定の減価償却資産に係る特別償却及び特別控除制度について、新設・延長・拡充等の整備が明記された。 以下、それぞれの内容を概観する。 1 設備投資促進税制の概要 設備投資促進税制とは、地域における産業活性化等の向上に繋がる設備投資について、特別償却又は特別控除などの優遇措置が受けられる制度である。 ① 特別償却制度 (イ) 又は (ロ) (※) 上記の金額を上限として償却費として損金経理した場合に、損金算入が認められる。 (※) 特別償却制度は課税の繰延制度である。 (※) (ロ)の一定額が「通常の減価償却費」であるときは、結果的に取得価額の全額が償却(即時償却)できる。 ② 特別控除制度 (※) 当期の法人税額の一定額(20%など)を上限として、税額控除が認められる。 (※) 特別控除制度は課税の減免制度である。 2 平成29年度税制改正大綱における改正案 ▷【新設される制度】 地域中核企業向け設備投資促進税制の創設 青色申告書を提出する法人が、特定事業計画に基づき、一定の施設等を新設し、又は増設した場合において、その特定施設等を構成する機械装置、器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物を取得等し、その事業の用に供したときは、特別償却又は特別控除との選択適用ができる。 ① 特定事業計画 特定承認地域中核事業計画 ⇒承認地域中核事業計画(仮称)のうち、地域未来投資促進法による一定の基準に適合することについての国の確認を受けた計画 ② 一定の施設等 ①の事業計画に係る地域未来投資促進法(仮称)の同意地域中核事業促進地域(仮称)内における特定地域中核事業施設等。 取得価額の合計額が2,000万円以上のもの(本制度の対象となる金額は100億円が限度となる)がその対象となる。 ③ 特別償却費 ④ 特別控除額 なお、この改正案は、「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の改正が前提となる。適用期限は同法の改正法の施行の日から平成31年3月31日までの間に新設等された施設を構成する資産に係るものとされる。 ▷【拡充される制度】 「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」の「中小企業経営強化税制」への改組 平成29年3月31日で適用期限を迎える中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)が、サービス業も含めて広く中小企業の生産性の向上に資することを目的に、「中小企業経営強化税制」へ改組されることとなった。 中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業者等で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する「機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェア」で、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載された経営力向上設備等(「特定経営力向上設備等」という)に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、特別償却(即時償却)又は特別控除との選択適用ができる制度となる。 上記の通り改組後は、一定の経営向上設備等を取得等した場合の固定資産税の半減特例と同様に「中小企業等経営強化法」の認定を必要とする制度になる。 ① 生産等設備 指定事業の用に直接供される減価償却資産で構成される設備をいう。なお、事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るもの等は該当しない。 ② 経営力向上設備等 中小企業等経営強化法に規定する次の設備をいう。 なお上述の通りこの特例の適用を受けるのは、経営力向上設備等のうち、認定を受けた経営力向上計画に記載されたもの(特定経営力向上設備等)に限る。 「生産性向上設備」は改組前(上乗せ措置)の「先端設備(A類型)」、「収益力強化設備」は改組前(上乗せ措置)の「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」(B類型)に該当するが、それぞれ改組前の対象設備(機械装置、ソフトウェア等)に、器具備品・建物附属設備等が加わった。なお、建物・構築物は除外されている。 経済産業省によると、サービス業は器具備品や建物附属設備の設備投資を行うケースが多いとしており、この改正によりサービス業も適用しやすい制度になったと考えられる。一方で後述のように、中小企業投資促進税制の対象設備からは器具備品が除外されている。 ③ 特別償却費(即時償却) ④ 特別控除額 ▷【延長等される制度】 ◆中小企業投資促進税制について、対象資産から器具備品を除外した上、その適用期限を2年間(平成31年3月31日まで)延長する。 ◆特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は特別控除制度(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の適用期限を2年間(平成31年3月31日まで)延長する。 ▷【その他の整備】 上記の特別控除制度(中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制)における控除税額の上限において、控除税額の合計で、当期の法人税額20%を上限とする所要の整備を行う。 * * * 中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制の関係をまとめると、下図のとおりとなる。なお、固定資産税の課税標準の特例措置については[こちらの別稿]を参照されたい。 【参考図】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (※) 経済産業省ホームページより (了)
《速報解説》 経営力向上設備等取得に係る固定資産税の課税標準の特例措置、 地域・業種限定で対象設備を拡充 ~平成29年度税制改正大綱~ 税理士 小谷 羊太 平成28年12月8日に公表された「平成29年度税制改正大綱」(与党大綱)では、中小事業者等が取得する一定の機械・装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、残り2年の適用期限に限り、地域・業種を限定した上で、対象設備が拡充されることが明記された。 1 償却資産に係る固定資産税の計算 償却資産に係る固定資産税の計算方法は下記の通りである。 (※) 課税標準額は、各資産の評価額を資産が所在する区ごとに合算した額(決定価格)。 (※) 課税標準額が150万円未満の場合は、課税されない。 (※) 課税標準の特例の適用を受ける資産がある場合は、その資産の評価額にそれぞれ特例率を乗じて得た額を基に課税標準額を算出する。 2 中小企業等経営強化法に基づく固定資産税の軽減措置の確認(現行制度) ① 概要 経営力向上計画に基づいて新たに導入した機械及び装置について、上記1の算式中にある固定資産税の課税標準額が、3年間半額になる。この措置は固定資産税の軽減措置としては、中小企業の設備投資を促進する目的から、平成28年7月より導入されたものである。 ② 対象者:中小企業者、中小事業者 ③ 対象設備 その他この特例措置の現行制度については、本誌掲載の下記記事を参照されたい。 3 平成29年度税制改正大綱における改正案 上記2の固定資産税の課税標準の特例措置について、地域・業種を限定した上で、その対象に、測定工具及び検査工具、器具・備品並びに建物附属設備(償却資産として課税されるものに限る)のうち、一定のものを加える措置がとられる。 今回の改正により、地域・業種を限定してではあるが、現行制度の機械装置に、「工具」、「器具・備品」、「建物附属設備」が対象資産として加えられることとなった。なお、この拡充措置は、この軽減措置(3年間の時限措置)の残り2年間(※)に限っての適用となる。 (※) 総務省公表資料によると、この措置は「その期限の到来をもって終了するものとし」と記載されている。 「地域・業種の限定」、「対象資産」については、次に掲げるものとなる。 ① 地域・業種 (※) 経済産業省の資料によると、最低賃金が全国平均以上となっている地域は「東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都」の7都府県のみであり、これらの地域については、労働生産性が全国平均未満の業種(小売業、宿泊業、飲食業、理美容、自動車整備業、東京以外の医療業、東京以外の社会保険・福祉・介護業などのサービス業)についてのみ、特例の対象とされる。 ② 対象資産 ③ 取得価額基準 * * * なお、中小企業向け法人税の設備投資に係る特例措置の改正事項については、[こちらの別稿]を参照されたい。 (了)
《速報解説》 増加型の廃止に伴う総額型の控除率見直し、 サービス開発の適用等、研究開発税制の改正事項 ~平成29年度税制改正大綱~ 辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健 以下では、平成29年度税制改正大綱(与党大綱)で示された研究開発税制(及び中小企業技術基盤強化税制)の改正内容についてまとめることとする。増額型の廃止に伴う総額型の控除率の見直しや2年間の拡充措置、試験研究費へのサービス開発の追加などが行われている。 改正の全体像 改正前 改正後 (1) 総額型 (2) 上乗せ措置 (3) 時限措置(2年間) (4) 試験研究費の範囲 (5) オープンイノベーション型(特別試験研究費の額に係る税額控除制度) (了)
本誌連載 「小説 法人課税第三部門にて。」(筆者:八ッ尾順一氏)が マンガになりました!!
2016年12月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.198を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。