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プロフェッションジャーナル No.234が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年9月7日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.234を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/09/07

monthly TAX views -No.56-「教育・保育の財源問題-「こども保険」議論の行方-」

monthly TAX views -No.56- 「教育・保育の財源問題-「こども保険」議論の行方-」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   少子化の流れを食い止めることは、「社会保障の崩壊を防ぐ」だけでなく、「わが国の潜在成長力を引き上げる」という効果もある。また、教育の機会均等を確保することは、格差是正につながり、ひいてはわが国の経済成長の底上げにもつながる。 そこで、教育国債による大学無償化や、幼児教育・保育の充実のための「こども保険」の創設という議論が自民を中心に行われてきた。 *  *  * 「こども保険」については本年3月に、小泉進次郎氏ら自民党若手議員が作る「2020年以降の経済財政構想小委員会」による具体的提言(「こども保険」の導入~世代間公平のための新たなフレームワークの構築~)がなされた。 それらを受けて、骨太方針2017には、幼児教育・保育の早期無償化などの財源として、「財政の効率化、税、新たな社会保険方式(筆者注:こども保険)の活用を含め、安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得」ることが明記された(p9)。一方、教育国債については記載がなかった。 こども保険の内容は、「保険料率0.2%(事業主0.1%、勤労者0.1%)の保険料を、事業者と勤労者から、厚生年金保険料に付加して徴収する。自営業者等の国民年金加入者には月160円の負担を求める。財源規模は約3,400億円となり、小学校就学前の児童全員(約600万人)に、現行の児童手当に加え、こども保険給付金として、月5,000円(年間で6万円)を上乗せ支給し、子どもが必要な保育・教育等を受けられないリスクに対処する」というものである。 「将来的には、保険料率を1%(事業主0.5%、勤労者0.5%)まで引き上げ、自営業者等の国民年金加入者には月830円の負担を求めれば、財源規模は約1.7兆円となる」としている。 *  *  * こども保険はそのメリットとして、 が挙げられている。 これに対し、筆者は次のような問題があると考える。 しかし、消費増税で財源を求めることについては、安倍政権は二度も引上げを先延ばししており、現実的ではない。また引き上げたとしても、その使途は決まっており、こども保険の財源にまわる余地はない。 そこで、筆者は、保険方式に、富裕高齢者をターゲットにした所得増税を組み合わせれば、最も適切な負担が可能になるのではないかと考えている。 富裕高齢層に対する所得増税の方法は、公的年金等控除の縮減である。給与所得のある年金受給者は、給与所得控除と公的年金等控除の二重控除が適用され負担が低くなっているのでこれを一本化する。また、国民年金や厚生年金といった公的年金だけでなく、3階建ての企業年金にも公的年金「等」控除が適用されるが、これは適用範囲が広すぎるので、公的年金に限定してはどうか。 *  *  * 今後年末の予算編成に向けて、負担の議論が久しぶりに始まる。 どのような展開になるのか、目が離せない。 (了)

#No. 234(掲載号)
#森信 茂樹
2017/09/07

法人税における当初申告要件等と平成29年度税制改正 【第2回】

法人税における当初申告要件等と 平成29年度税制改正 【第2回】   税理士 谷口 勝司   (3) 具体的な取扱い 前回説明した平成23年12月改正後における当初申告要件等の取扱いについて、試験研究費の特別税額控除制度を例に、その規定振りとともに、具体例で説明してみよう。 試験研究費の特別税額控除制度は、措置法で と規定されていた(平29改正前の措置法42の4⑧)。 確定申告書(当該申告書に係る修正申告書及び更正請求書を含む)の記載事項及びこれに添付すべき書類の記載事項のうち法人税申告書別表に定めがあるものは、その申告書別表の書式によることとされているので(規34②)、前述の規定前段部分の明細書の記載・添付をより具体的に説明すれば、この税額控除の適用を受けるためには、法人税申告書別表6(6)~別表6(8)に、各金額及び計算明細を記載し(控除金額は別表1(1)等にも記載し)、これを確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に添付する必要がある。そしてこれらの申告書別表の記載・添付がない場合は、この税額控除の適用は受けられない、ということである。 また、前述の規定後段部分が、適用額に関する規定である。 試験研究費の特別税額控除制度の中のいわゆる総額型を例にとると、この制度は、試験研究費の総額に、その増減割合に応じた控除率6%~14%を乗じた金額を法人税額から控除するというものであり、その控除限度額は法人税額の25%相当額とされている(ただし、中小法人の場合等は上乗せ措置がある。平29改正後の措置法42の4①②)。 確定申告の際に、対象となる試験研究費の額の全部又は一部について控除対象とすることを失念していた場合、その後、試験研究費の増額(これによる税額控除額の増額)ができるかどうかという問題があるが、この点については、控除額は、確定申告書等に記載された試験研究費の額を基礎として計算した金額に限る、と規定されており(適用額の制限)、この確定申告書等とは確定申告書及び仮決算をした場合の中間申告書をいうから(措置法2②二十七)、結局、確定申告書に記載した試験研究費の額を増額することはできないことになる。 ▷設例1 確定申告における特別税額控除の適用 試験研究費の額  800 控除率      10% 法人税額     400 税額控除額     80(800×10% < 400×25%) 設例1で、本来は試験研究費の額を900とすべきであった(100の控除対象漏れがあった)場合、その後においても、試験研究費の額は800として計算し、税額控除額80は変更できないことになる。 前述の規定前段部分では、規定上、確定申告書等のほか、修正申告書又は更正請求書が並列で規定されていることから特に誤解されやすいが、税額控除額の計算では、その基礎となる試験研究費の額は、当初申告である確定申告書等に記載された試験研究費の額に限られており、修正申告書や更正請求書に試験研究費を増額して記載したとしても、認められないのである。 また、確定申告書等で特別税額控除の適用を忘れた場合、すなわち確定申告書等に記載された試験研究費の額が存在しない場合には、その後修正申告書や更正請求書を提出したとしても、試験研究費の額は0として計算するから、結局、税額控除そのものの適用が受けられないことになる。措置法の規定は読みにくいところがあるが、この点は後述の裁判例でも判示されている。 このように、当初申告(確定申告書等)で適用を受けておかなければその後新たに制度の適用が受けられない、という意味で、措置法においては当初申告要件が存続されていることになる。 他方、この制度は、法人税額の25%という上限があり、法人税額の増減によって税額控除額が増減する計算構造となっているが、前述の規定後段部分の適用額に関する規定は、税額控除額は確定申告書等に記載した試験研究費の額を基礎として計算する、とされていることから、法人税額の増額による税額控除額の増額については認められる、ということになる。 ▷設例2 確定申告における特別税額控除の適用 試験研究費の額  800 控除率      10% 法人税額     300 税額控除額     75(800×10% > 300×25%) 設例2で、税務調査等で売上計上漏れ等が判明して法人税額が400に増額した場合には、税額控除額は80(800×10% < 400×25%)となり、確定申告との差額5は、修正申告において税額控除額を増額できることになる(なお、平成23年12月改正前は、差額5の増額は認められなかった)。 実務上留意しておきたい。   2 裁判例 当初申告要件等に関する裁判例(平28.7.8東京地裁判決)を紹介しよう。 この裁判は、平成23年12月改正後の当初申告要件等について争われた数少ない事案であって、最近話題になったものである。 この裁判は、法人が、平成26年3月期の法人税確定申告で、所得拡大促進税制(措置法42の12の4(現42の12の5)の雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除)の適用を失念していたとして、明細書の記載・添付をして更正請求を行ったところ、税務署長が請求を認めなかった(請求に理由がない旨の通知処分)ので、その取消しを求めた事案である。 東京地裁は、概要次の理由により、原告の請求を棄却した。 上記裁判における判示事項は、同制度の規定振りのほか、平成23年12月の改正趣旨等からすると妥当なもの考えられる。 なお、この事案は控訴されているので、控訴審の判断も注目しておきたい。 (了)

#No. 234(掲載号)
#谷口 勝司
2017/09/07

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第3回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第3回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第1章》 平成13年度税制改正前の議論) 2 会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方 (1) 基本的な考え方 平成12年10月に公表された「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」は、「第一 基本的な考え方」「第二 資産等を移転した法人の課税」「第三 株主の課税」「第四 各種引当金の引継ぎ等」「第五 租税回避の防止」「第六 その他」という構成になっている。そして、これらの内容について、平成12年10月11日の租税研究会の会員懇談会にて、当時の大蔵省主税局税制第一課(法人税制企画局)の朝長英樹氏と山田博志氏が講演をされており、その内容は、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』19-48頁(日本租税研究協会、平成13年)に掲載されている(初出は、租税研究614号52-85頁(平成12年))。 【第3回】に当たる本稿では、「第一 基本的な考え方」について解説し、次回以降でそれ以降の解説をしていきたい。具体的に「第一 基本的な考え方」として、4つの内容が記載されている。以下では、その内容につき、解説を行う。 この内容については、組織再編に関連する法制度が整備された時代背景を述べたものと言える。現在においても注目すべきは、「企業組織再編成により資産の移転を行った場合にその取引の実態に合った課税を行う」としている点である。前回でも述べたが、組織再編税制を恩典のように考えるのではなく、あるべき制度として位置づけようとしたということが言える。 この点につき、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』22頁では、「今回、会社分割だけを取り上げてパッチワークのような仕事を行い、現在生じている様々な問題をさらに複雑にしたり、さらに拡大したり、後代に付けを回すようなことをやるわけにはいかないという結論に至ったわけです。」と述べられている。 このうち、前者については、出来上がった組織再編税制を見てみると、合併、会社分割、現物出資及び事後設立について、非常に整合性のある制度に仕上がっており、納得しやすいところであると思われる(このうち、事後設立については、平成22年度税制改正で廃止)。 これに対し、後者については、非適格合併により企業買収を行う場合を想定して書かれた文章であると思われる。しかし、出来上がった組織再編税制を見てみると、被合併法人株式のすべてを購入してから合併する場合に、適格合併に該当することとなっており、上記の基本的な考え方とやや離れた制度になってしまっている。 これは、会社法が施行される前の当時の商法において、合併等対価の柔軟化が導入されていなかったことも原因のひとつであると思われる。もし、平成13年において、当時の商法で合併等対価の柔軟化がすでに導入されていたとすれば、被合併法人株式のすべてを購入してから合併する行為について、非適格合併や事業譲渡と同様に、被合併法人において譲渡損益を認識するということも、立法論としてはあり得る選択肢であったと思われる。この点については、当然のことながら、当時の資料からは読み取ることができない。 このように、移転資産に対する支配の継続、投資の継続といった概念が用いられているという特徴がある。このような考え方は、企業結合会計や事業分離等会計であっても、被合併法人の資産及び負債の移転、被合併法人の株主における譲渡損益の認識を分けて考えていることから、その範囲では整合的であると思われる。 まず、被合併法人等の処理について、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』23頁であるように、ヨーロッパにおける独立事業要件を参考にしていることが分かる。独立事業要件とは、個別資産の移転ではなく、事業を丸ごと移す場合に、課税特例を適用するという考え方である。 この点に対しては、同書23頁において、「資産を個別に売買する場合には課税が繰り延べられないが、資産をまとめて売買すれば課税を繰り延べるということになってしまうおそれがあります。」「パン屋さんと肉屋さんの両方の事業をやっている会社があって、一個のオーブンをパンを焼くのにも、肉を焼くのにも使っているとすれば、オーブンをそれぞれの事業に分けることができないことから、そもそも、課税特例の適用を受ける会社分割ができないということになるわけです。・・・独立事業要件を厳格に考えるということになると、柔軟な組織再編成に対応できない非常に窮屈な制度になる恐れがあるように思われます。」(※1)と批判したうえで、「独立事業要件を中心にして制度を考える考え方には、非常に参考になる部分があるものの、他方で、反面教師になる部分もあるように思います。」とされている。 (※1) 立案段階でこのような指摘があったということは、会社分割において、分割事業とそれ以外の事業の両方のために使用していた資産を移転しない場合であっても、主要資産等引継要件(法法2十二の十一ロ(1))を満たせるようにしようとしていたことが分かる。このことは、阿部泰久「改正の経緯と残された課題」江頭憲治郎ほか編『企業組織と租税法(別冊商事法務252号)』86頁(商事法務、平成14年)でも、ドイツにあったものを借りてきた制度であるものの、ドイツほど厳格なものではないと指定されている。  これに対し、現行法人税基本通達1-4-8では、「分割事業又は現物出資事業に係る資産及び負債が主要なものであるかどうかは、分割法人又は現物出資法人が当該事業を営む上での当該資産及び負債の重要性のほか、当該資産及び負債の種類、規模、事業再編計画の内容等を総合的に勘案して判定するものとする」と規定されている。  すなわち、事業再編計画の一環として、分割承継法人に移転させることができない合理的な理由があれば、主要な資産から除外することができるという解釈に繋がっていくことになる(稲見誠一・佐藤信祐『組織再編・資本等取引の税務Q&A』273-274頁(中央経済社、平成24年))。 そのうえで、同書25頁では、「形式上は他の法人に資産を移転する取引が、実質上も資産を手放す取引なのか、あるいは、実質上はまだその資産を保有していると言える取引なのか、といった点を考え、前者であれば原則どおり移転資産の譲渡損益の計上を求め、後者であれば特例として移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることとされているわけです。」としている。そして、後者に該当するものとして、グループ内の組織再編と共同事業を営むための組織再編とに整備されていったと考えられる。 「移転資産に対する支配の継続」と言うと、かなり曖昧なイメージがあるが、この点については、租税法よりも、財務会計における学問の積み重ねが強かったように思われる。ただし、当然のことながら、財務会計と租税法は目的が異なることから、事業単位の移転といった考え方は、財務会計では採られていない。そうであっても、持分の結合や共同支配企業の形成が行われた場合に、帳簿価額で資産及び負債を移転するという考え方は、租税法と比較しながら分析する余地はあると考えられる(なお、「持分の結合」については、国際会計基準とのコンバージェンスの関係で、現在では廃止されている)。さらに、組織再編税制を制定する際に、外国の租税法が参考になっていることから、ある程度はこれらを参考にすることができるのかもしれない(※2)。 (※2) しかし、組織再編税制は、外国の租税法を参考にしているとはいえ、独自に体系化されていることから、具体的な条文の解釈において、外国法を参考にすることは難しい場面も多いように思われる。 したがって、「移転資産に対する支配の継続」という概念を明らかにしていくためには、財務会計や外国法に対する研究が必要となり、本稿の目的を超えるものである。この点については、本稿での検討を行わないため、予めご了承されたい。本稿では、移転資産に対する支配が継続しているものに対して、適格組織再編として整備し、その具体的な内容として、グループ内の組織再編と共同事業を営むための組織再編の要件が定められたという程度に留めたい。 次に、被合併法人等の株主の処理について、ここでは、株式譲渡損益の認識について述べられており、みなし配当については後述する(4)で述べられている。 法人税法61条の2第2項、4項では、金銭等を交付しない合併及び分割型分割では、適格組織再編であっても、非適格組織再編であっても、株式譲渡損益を認識しないこととされている。この点については、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』23-24頁において、株主が投資を継続していることを中心として、被合併法人等における税制適格要件を定めることができないことが分析されており、同書24頁では、「株主の投資が継続していることをもって、会社の移転資産の譲渡損益を計上すべきか否かを決めることはできない」と結論づけられている。逆に言えば、移転資産に対する支配が継続していない場合であっても、株主の投資が継続していると認められることがあるということが言える。 すなわち、同書24頁で、「株主について見ると、合併の場合でも会社分割の場合でも同様ですが、会社が移転資産の譲渡に対して課税されるか否かということとは関係なく、自分が持つ旧株の価値に相当する新株をもらえればそれで良いわけですし、また、それを当然に要求するわけです。会社において、移転資産の譲渡益に課税されようが、課税されまいが、株主は、常に自分が持つ株式の価値に相当する新株の交付を求めるわけです。」と述べられているように、金銭等を交付しない合併及び分割型分割が行われた場合には、たとえ非適格組織再編に該当したとしても、株主の投資は清算されておらず、継続しているということが言える。 そのため、組織再編が行われた段階では、株式譲渡損益を認識しないという考え方は納得できるものである。 これは、非適格合併、非適格分割型分割を行った場合におけるみなし配当の考え方である。すなわち、前述の株式譲渡損益の計算と異なり、対価として合併法人株式又は分割承継法人株式の交付を受けていたとしても、みなし配当を認識する必要があるということが言える。これに対し、適格合併、適格分割型分割を行った場合には、みなし配当を認識しないが、被合併法人又は分割法人の利益積立金額を合併法人又は分割承継法人に引き継ぐ必要がある。 これらの考え方については、「第三 株主の課税」に記載されているため、いずれ本連載にて解説する予定である。 *   *   * 次回では、「第二 資産等を移転した法人の課税」について解説を行う予定である。 (了)

#No. 234(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/09/07

平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第9回】「[設備種別]適用税制の選択ポイント⑤(車両)」

平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第9回】 「[設備種別]適用税制の選択ポイント⑤(車両)」   アースタックス税理士法人 代表社員  税理士 島添 浩  シニアマネジャー 税理士 小嶋 敏夫 壽命 正晃 發知 諭志   【第5回】から【第10回】にわたっては、青色申告法人(連結法人を除く)における設備種別の適用税制(中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制)の選択ポイント及び具体的な申告実務上の留意事項を確認する。 なお、各税制の概要や適用手続き等については、【第1回】から【第3回】までを参照願いたい。 それでは今回【第9回】は、車両について紹介する。   1 選択ポイント 中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制の主なポイントは下記のとおりである。 【車両における適用税制一覧表】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 車両においては、商業・サービス業・農林水産業活性化税制及び中小企業経営強化税制は対象外となるため、中小企業投資促進税制のみ適用を考える。 なお、上記税制以外に、【第4回】で確認した「地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制)」が平成29年7月31日から適用開始されているが、車両については対象資産(特定事業用機械等)に含まれていないため、当該税制の適用もないことに留意する。 中小企業投資促進税制の適用にあたっては、車両の要件の1つに「貨物の運送の用に供されるもの」とあることから、適用を受けることができる業種(例: 道路貨物運送業等)が限定されるので注意が必要である。 また、中小企業投資促進税制における車両の要件は、以下のすべてを満たすものとなる。 【中小企業投資促進税制における車両要件】   2 具体例(特別償却準備金、税額控除) 今回は、以下の2点について確認する。 - 前 提 - 道路貨物運送業を営む青色申告法人である内国法人甲社(資本金3,000万円、発行済株式の総数1,000株、従業員の数30人、大規模法人に株式を所有されていない)は、当期(平成29年4月1日から平成30年3月31日)において、貨物運送用車両(運送業用の車両・運搬具/自動車/その他/大型乗用車(総排気量が3リットル以上))を取得し、事業の用に供した。なお、償却方法については、定率法を選定し届け出ている。 また、翌期の事業年度は、平成30年4月1日から平成31年3月31日までである。 【貨物運送用車両の詳細】 取得価額:20,000,000円 法定耐用年数:5年 (定率法償却率:0.400、改定償却率:0.500、保証率:0.10800) 取得日:平成29年10月1日 事業供用日:平成29年10月1日 普通償却費:4,000,000円 普通償却限度額:4,000,000円 (1) 当期に特別償却準備金を選択し、翌期に特別償却準備金を取り崩す場合(税効果会計を適用するケース) (※) 法定実効税率は、当期及び翌期ともに34%とする。 ① 中小企業投資促進税制 (イ) 当期末において剰余金の処分により特別償却準備金として3,960,000円を積み立てるとともに、繰延税金負債に2,040,000円を計上している。 〈別表4 所得の金額の計算に関する明細書〉 〈別表5(1) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期末において特別償却準備金792,000円を取り崩すとともに、繰延税金負債408,000円を取り崩している。 〈別表4 所得の金額の計算に関する明細書〉 〈別表5(1) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ② 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 車両については、適用できない。 ③ 中小企業経営強化税制 車両については、適用できない。 (2) 当期に税額控除を選択し、翌期に繰越税額控除限度超過額の税額控除を受ける場合 ① 中小企業投資促進税制 (イ) 当期の調整前法人税額は6,450,000円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (ロ) 翌期の調整前法人税額は6,405,100円であるものとする。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ② 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 車両については、適用できない。 ③ 中小企業経営強化税制 車両については、適用できない。 *  *  * 次回【第10回】では、建物・構築物についての選択ポイント及びその具体例を確認していく。 (了)

#No. 234(掲載号)
#アースタックス税理士法人
2017/09/07

相続空き家の特例 [一問一答] 【第10回】「母屋と離れ等の複数の建築物がある場合の計算例②(部分相続の場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第10回】 「母屋と離れ等の複数の建築物がある場合の計算例② (部分相続の場合)」 -相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q XとYは、昨年2月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得しました。 相続の開始の直前において、父親は一人暮らしをし、父親が所有していたA土地(160㎡)とB土地(40㎡)は、用途上不可分の関係にある2以上の建築物(父親が所有していた母屋:140㎡、離れ:40㎡、倉庫:20㎡)のある一団の土地でした。 A土地はXが、B土地はYが、これらの建築物はXのみが相続し、耐震リフォームした上で、XとYが共にその全てを売却しました。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用にあたって、XとYのそれぞれにおける被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積はいくらでしょうか。 (1) XがA土地、母屋、離れ、倉庫を相続 (2) YがB土地を相続 A 被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積は、Xが112㎡となりますが、Yについては被相続人居住用家屋を相続において取得していないため、「相続空き家の特例」の適用を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 措通35-13(被相続人居住用家屋の敷地等の判定等)の〔設例2〕に基づき計算すると、次のようになります((算式)は【第8回】の解説を参照)。 (1) Xが譲渡したA土地(160㎡)のうち、被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積 (2) Yは、父親からの相続によりB土地(40㎡)は取得しましたが、父親の居住用家屋を取得していないため、「相続空き家の特例」の適用を受けることができません(【第2回】の解説を参照)。 (了)

#No. 234(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/09/07

~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第16回】「決定を予知したものとして無申告加算税が軽減されなかった事例」

~税務争訟における判断の分水嶺~ 課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第16回】 「決定を予知したものとして無申告加算税が軽減されなかった事例」   税理士 佐藤 善恵     (※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。 〔概要等〕 本件は、弁護士である原告(納税者)Xが期限後申告書を提出し、無申告加算税の賦課決定処分(税率15%)を受けたことについて、「(本件の期限後申告書の提出は、)その申告に係る国税の調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでない」ことを理由に無申告加算税は5%であると主張し、賦課決定処分の一部の取消しを求めた事案である。 主な事実認定等は次のとおり。   〔当事者の主張(要旨)〕 ▷原告X 平成22年9月17日(④)に、調査担当者がXと電話で話したことは、国税通則法66条の「調査」ではなかったというべきである。Xは、その後、過去の申告書等を確認して消費税の申告義務があることを認識し、課税庁から何の行為もないうちに自発的に本件期限後申告書を提出したものである。 したがって、国税通則法66条5項の要件に該当するから無申告加算税の税率は5%である。 ▷被告税務署長 本件では、処分庁は、平成22年5月上旬頃、Xについて平成21課税期間の消費税の確定申告書が法定申告期限を過ぎても提出されておらず、調査が必要であると認めて、その頃からXの申告状況等の確認を始めており、申告義務の要否等を認定するに至る一連の判断過程の一切であるところの「調査」(国税通則法66条5項)に着手したということができる。 そして、処分行政庁は、内部資料の調査等により把握した事実により、原告が平成21課税期間の消費税等の確定申告書を処分行政庁に提出する義務を負っており、原告に平成21課税期間の消費税等について納付すべき税額があることを客観的に相当程度の確実性をもって認定することができたということができる。 Xは、平成22年9月17日に調査担当者から平成21課税期間の納税義務について指摘を受けていることなどから、やがて課税庁が決定に至るべきことを予知して平成21課税期間の消費税等の確定申告書を提出した。よって、本件期限後申告書の提出は、国税通則法66条5項(注)の要件には該当しない(無申告加算税の税率は15%である)。 (注) 現行法では、66条6項。なお【参考】「〈平成29年1月1日施行〉加算税見直しの再確認と留意点【前編】」。   〔裁判所の判断〕 裁判所の法解釈は次のとおり。 そして、本件の事実関係については、おおよそ原処分庁主張どおりの事実を認めて、職員の内部資料調査やXに対する確認の促し(平成22年9月17日の電話)は、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一部分にほかならないから「調査」に当たるとし、調査担当者は、遅くとも平成22年9月17日までには、本件期限後申告書による申告に係る平成21課税期間の消費税等についての調査に着手して無申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見していたと認めた。 その上で、Xは、その後の調査が進行すればやがて決定がされるであろうということを認識した上で期限後申告することを決意して、平成22年11月4日に至り本件期限後申告書を提出したものであると認められた。 結論は、本件期限後申告書の提出は国税通則法66条5項の要件には該当しないというものであった。   〔判断の分水嶺〕 裁判所は、調査担当者がXの回答書を受けて、本課税期間についても「Xには納付すべき税額があることを見込まれると判断した」という事実を認定している。「判断した」という認定はすなわち「調査」があったという認定である。この点が本件の判断の分水嶺である。   〔本判決が示唆するもの〕 法解釈(判断基準)によれば、①既に「調査」が始まっており、②税務署職員が無申告を発見するに足る資料を発見し、③納税者が、このままだと決定されるだろうと認識して申告を決意して申告をしたといった事実の有無が結論を左右する。 本件では、①については、遅くとも平成22年9月17日(電話での会話時)に、調査担当者が既に「調査」に着手していたという事実が認定されている。そして、③Xは電話による指摘を契機として、申告義務を認識するに至ったと認められている。 ①②については、税務署職員の認識(税務署内部)の問題であり、③についてはXの認識の問題であるから、どのような具体的事実をもって①②③に当たると判断されたのかは定かではない。税務署からの「お尋ね」は通常は行政指導であるとの一般的な理解によれば、電話があった日よりも前に調査が始まっていたというのは難しいのではないだろうか。 平成22年9月17日の電話が「調査」なのか「行政指導」であったのかについて、職員がXに告げたかどうかは明らかにされていないが、おそらくその説明はなかったと思われる(あれば、重要な点であるから事実として記載されているはずである)。 実務的には、税務署職員からの電話等による接触があった場合には、まず「調査」か「行政指導」なのかを確認することが重要である。本判決を踏まえて、この点を忘れないようにすべきである。 なお、課税庁の判決情報(地裁判決の段階のもの)のコメントを一部紹介する。 (了)

#No. 234(掲載号)
#佐藤 善恵
2017/09/07

収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第3回】「収益の認識基準①」-契約の識別-

収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第3回】 「収益の認識基準①」 -契約の識別-   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 前回、「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識会計基準(案)」という)における収益認識のためのステップとして、次の5つがあることを解説した。 今回は、ステップ1の「顧客との契約を識別する」のうち「契約の識別」を解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 契約の識別 1 契約の定義 契約の定義は、法的な強制力のある権利及び義務を生じさせる複数の当事者間における取決めである(収益認識会計基準(案)4項)。 契約における権利及び義務の強制力は法的な概念に基づくものであり、契約は書面、口頭、取引慣行等により成立するものである(収益認識会計基準(案)17項)。 契約の識別は「5つのステップ」の入り口になるものであり、また、次のように規定されていることから(収益認識会計基準(案)17項、18項)、収益認識を適切に行うためには、法令上の取扱いに注意する必要があると考えられる。 2 契約の識別の要件 収益認識会計基準(案)の適用にあたっては、次の①から⑤の要件のすべてを満たす顧客との契約を識別する(収益認識会計基準(案)16項)。 今後の収益認識会計基準(案)の適用に備えて、現在使用している契約(書)が当該契約の識別の要件を充足するかどうかについて検討しておくことが考えられる。 契約の識別の要件を適用する際には、次のことに注意する。 3 完全に未履行の契約 契約の当事者のそれぞれが、他の当事者に補償することなく完全に未履行の契約を解約する一方的で強制力のある権利を有している場合には、当該契約に本会計基準を適用しないとされている(収益認識会計基準(案)19項)。 「完全に未履行の契約」とは、次の①及び②のいずれも満たす契約である。 (了)

#No. 234(掲載号)
#阿部 光成
2017/09/07

〔経営上の発生事象で考える〕会計実務のポイント 【第16回】「親会社が子会社を吸収合併する場合」

〔経営上の発生事象で考える〕 会計実務のポイント 【第16回】 「親会社が子会社を吸収合併する場合」   仰星監査法人 公認会計士 竹本 泰明   1 親会社が子会社を吸収合併する場合の会計処理 《解説》 (1) 親会社の受入資産及び負債の会計処理 今回の親会社による子会社の吸収合併は、共通支配下の取引に該当する(企業結合に関する会計基準(以下、「会計基準」)第16項)。そのため、親会社では原則として子会社から受け入れる資産及び負債は、合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上する(適用指針第206項(1))。 ただし、親会社が作成する連結財務諸表において、当該子会社の資産及び負債の帳簿価額を修正しているときには、個別財務諸表上も、連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む)により計上する(適用指針第207項)。 例えば、資本連結にあたり子会社の資産及び負債を時価評価している場合には、親会社の個別財務諸表上で時価評価後の資産及び負債の金額で受け入れる。また、連結財務諸表上で、当該子会社株式の取得に係るのれんが計上されている場合には、親会社の個別財務諸表上で当該のれんを計上することになる。さらに、連結財務諸表の作成にあたり、親会社から子会社に売却した資産に係る未実現損益を消去している場合には、親会社の個別財務諸表上も、当該未実現損益消去後の金額で受け入れる。 【親会社の受入資産及び負債の会計処理】 (2) 親会社の純資産の会計処理 株主資本と株主資本以外の項目で取扱いが異なる(適用指針第206項(2))。 株主資本は非支配株主(改正前の少数株主)の有無によって会計処理が異なる。 子会社の株主資本のうち親会社持分相当額については、親会社持分相当額と親会社が合併直前に保有していた子会社株式(抱合せ株式という)の適正な帳簿価額との差額を特別損益に計上する。 一方、子会社の株主資本のうち非支配株主持分相当額については、非支配株主持分相当額と、非支配株主に交付した親会社株式の時価との差額をその他資本剰余金に計上する。新株発行により増加する親会社の株主資本の額は、払込資本とし、会社法の規定に基づき資本金、資本準備金又はその他資本剰余金に計上する。 株主資本以外の項目(評価・換算差額等及び新株予約権)は合併期日の前日の子会社の適正な帳簿価額によって引き継がれるが、親会社が作成する連結財務諸表において投資と資本の消去の対象とされたものがあれば、これを除いた帳簿価額、つまり支配獲得後に子会社で計上した金額で引き継ぐことになる。 【親会社の純資産の会計処理】 (3) 仕訳例 ① 前提条件 親会社(P社)は子会社(S社)をX2年4月1日に吸収合併した(存続会社はP社)。 P社は新株をS社の非支配株主に20株(合併期日の時価300)発行した。また、P社は新株発行に伴う増加すべき株主資本の全額をその他資本剰余金とした。 P社のS社株式の取得価額は1,480であり、過去減損処理は行っていない。 P社のX1年3月31日の連結財務諸表には、S社株式取得時に発生したのれんが200計上されており、当該のれんのX1年4月1日~X2年3月31日の償却額は100である。 S社の合併期日前日(X2 年3月31日)の貸借対照表は次のとおりである。 (*1) P社は資本連結にあたりS社の土地を600に時価評価している。 (*2) P社による支配獲得時の金額はいずれもゼロであった。 ② P社の合併時の個別財務諸表上の仕訳 (*1) 時価評価後の金額600×80%=480 (*2) のれんの未償却残高100は、親会社持分に相当するものであるため、合併時にも親会社持分相当額にのみ含める。 (*3) (S社個別貸借対照表上の株主資本1,700+土地時価評価差額100)×80%+のれん100-S社株式1,480=60 (*4) 時価評価後の金額600×20%=120 (*5) S社の非支配株主に発行した新株20株の合併期日の時価300 (*6) (S社個別貸借対照表上の株主資本1,700+土地時価評価差額100)×20%-S社非支配株主に交付したP社株式300=60 (参考)親会社持分相当と非支配株主持分相当の仕訳を合算した仕訳   2 子会社が親会社に事業譲渡する場合の会計処理 《解説》 (1) 親会社(事業譲受会社)の会計処理 今回の子会社の親会社への事業譲渡は、1の吸収合併と同様に、共通支配下の取引に該当する。そのため、親会社(事業譲受会社)では、子会社(事業譲渡会社)から受け入れる資産及び負債は、子会社における移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額により計上する。 移転事業に係る株主資本相当額と対価として交付した現金等の財産の適正な帳簿価額との差額は、のれん(又は負ののれん)として処理する。 純資産については、株主資本は今回は対価が現金のため増加せず、評価・換算差額等は移転直前の適正な帳簿価額により引き継ぐことになる(適用指針第224項)。 なお、1の吸収合併の場合は、連結財務諸表でのみ計上していた子会社株式の取得に係るのれん残高や資産・負債の時価評価差額の反映等を個別財務諸表上で行ったが、今回の事業譲渡ではこれらの個別財務諸表上での処理はない。これは、1の吸収合併の場合は合併によって子会社が消滅するため、個別財務諸表上でのれん等を反映させておかなければ、連結グループ内の取引にもかかわらず合併前後で連結財務諸表の金額が異なってしまう可能性がある一方、今回の事業譲渡では、事業譲渡を行ったとしても子会社は消滅せず、資本連結等の連結修正仕訳が事業譲渡前後で変わらないためだと考えられる。 (2) 子会社(事業譲渡会社)の会計処理 子会社(事業譲渡会社)では、親会社(事業譲受会社)から受け取った現金等の財産を移転前に付された適正な帳簿価額により計上し、当該価額と移転事業に係る株主資本相当額との差額を、原則として、移転損益として認識する(適用指針第223項)。 (3) 仕訳例 ① 前提条件 子会社(S社)は親会社(P社)にX2年4月1日にa事業を譲渡した。 P社はS社に当該事業譲渡の対価として現金1,500を交付した。 P 社は、S 社の設立時から S 社の株式を保有している。 事業譲渡前日(X2 年3月31日)の各貸借対照表は次のとおりである。 ② P社の事業譲受時の個別財務諸表上の仕訳 (*1) 子会社から受け入れる資産及び負債は、子会社における移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額により計上。 (*2) 移転事業に係る株主資本相当額1,400と対価として交付した現金等の財産の適正な帳簿価額1,500との差額100は、のれん(又は負ののれん)として処理。 ③ S社の事業譲渡時の個別財務諸表上の仕訳 (*1) 親会社から受け取った現金等の財産を移転前に付された適正な帳簿価額により計上。 (*2) (*1)の価額1,500と移転事業に係る株主資本相当額1,400との差額を、移転損益として認識。 ④ P社の連結財務諸表上の仕訳 (*1) 当該事業譲渡は連結グループ内の資産の移動に過ぎないため、個別財務諸表上で発生したのれん及び移転損益を連結財務諸表上で消去。   3 吸収合併と事業譲渡の異同点   【検討事項のチェックリスト】 ~親会社が子会社を吸収合併する場合~ ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (了)

#No. 234(掲載号)
#竹本 泰明
2017/09/07

外国人労働者に関する労務管理の疑問点 【第6回】「外国人社員の入社前後に行う手続き」~雇用保険・国民年金・マイナンバー等はどうなる?~

外国人労働者に関する 労務管理の疑問点 【第6回】 「外国人社員の入社前後に行う手続き」 ~雇用保険・国民年金・マイナンバー等はどうなる?~   社会保険労務士・行政書士 永井 弘行     1 従業員が入社する時の手続き概要 従業員が会社に入社する時は、従業員の国籍を問わず、法律で定められた各種手続きを行います。この法定業務は、どんな会社でも必須の手続きです。 さらに、会社の規則や制度(勤務実績の報告方法、事業所特有のルールなど)を説明することや、給与の振込みに必要な銀行口座の情報を得ることなど、人事部としての手続きも必要です(今回は説明を省略します)。 法律で定められた手続きは、厚生年金保険、健康保険(介護保険を含む)、雇用保険などの労働・社会保険の加入手続きです。さらに所得税、住民税に関する手続きも必要です。なお、会社が労災保険に加入していれば、従業員は当然、労災保険の対象者になります。 これらの手続きは、フルタイム勤務の社員を雇用する場合は、日本人、外国人を問わず、同様に手続きすることが必要です。   2 一般的な社員入社時の手続き(法定業務) (1) 新卒者(学生など)を採用する場合 新卒者(学生など)を採用する場合、従業員から提出・提示してもらう書類等としては、 ・年金手帳 ・マイナンバーカード などがあります。 〈必要な届出等〉 これらの手続きが終了した後には、次の書類を従業員に交付・返却します。 ・健康保険被保険者証 ・雇用保険被保険者証 ・年金手帳 ・マイナンバーカード など なお、雇用保険被保険者証などは従業員に代わり、会社の人事部で保管する場合があります。 (2) 転職者・経験者などを採用する場合 転職者・経験者などを採用する場合は、(1)に加えて、従業員から次の書類を提出してもらいます。 ・雇用保険被保険者証 ・源泉徴収票(ある場合) ・住民税異動届(特別徴収に係る給与所得者異動届出書)(ある場合) 前職の源泉徴収票は、年末調整時に使用します。前の勤務先の給与や社会保険料控除額などを合算して、年末調整の計算をします。特別徴収に係る給与所得者異動届出書がある場合は、新しい勤務先の給与から住民税を源泉徴収することが必要です。   3 雇用保険被保険者資格取得届 従業員採用後に、ハローワークに届け出る「雇用保険被保険者資格取得届」には、次の記入欄があります。 この記入欄(下図(雇用保険被保険者資格取得届)の赤い囲み部分)は、外国人従業員を雇用するときにだけ記入します。これらの情報の届出は、雇用対策法第28条第1項により、厚生労働大臣への届出が義務付けられています。 〈雇用保険被保険者資格取得届(サンプル)〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 なお、雇用保険被保険者資格取得届は、下記のハローワークのホームページから、個人情報の取り扱いに同意して「様式のみ印刷」をクリックすれば、用紙がダウンロードできます。   4 在留カードの確認 会社の人事担当者は、あらかじめ採用内定の時に、外国人の在留カードを見て、就労が可能か、有効期間を経過していないかを確認しましょう。具体的には、在留カードの在留資格、在留期間(満了日)の欄を見て確認します(詳しくは【第2回】を参照)。 留学生など、採用内定時に「留学」の在留資格の場合は、入社するまでに「技術・人文知識・国際業務」など就労可能な在留カードへの変更が必要です。入社日までに、就労可能な在留カードを持っていることを確認してください(詳しくは【第3回】を参照)。 仮に「留学」の在留資格のままであれば、就労可能な在留資格を得るまで、入社日を後ろにずらすといった対応が必要です。   5 入管法上の届出の要否 ときどき人事担当者から、「外国人を採用後に、入国管理局への届出は必要ないのですか?」と尋ねられることがありますが、先に述べた雇用保険の被保険者資格取得届に、在留資格や在留期間などの情報を記して届出すれば、入国管理局への届出は不要です。 入管法第19条の17により、中長期在留の外国人を受け入れている所属機関には、入国管理局への届出の努力義務がありますが、ハローワークへの届出が義務づけられている事業主には、入国管理局への届出が免除されているからです。   6 外国人の住民票と個人番号(マイナンバー) 在留カードを持っている外国人には、住民票が作成されます(住民基本台帳の対象者となります)。そして住民票のある人には、国籍を問わず、個人番号(マイナンバー)が付与されます。つまり、在留カードを持っている外国人には、個人番号が付与されます。一人ひとりの個人番号は「通知カード」により、各人に通知されます。 少し詳しく述べますと、日本に入国し、空港で入国管理局から「住居地(未定)」と書かれた在留カードを付与された外国人が、日本での住居地を定めて、市区役所に転入届を行った時に、住民票が作成されます。同時に市区役所で、在留カードの裏面の住居地(ADDRESS)欄に「住民票の住所」が記されます。 一方、「短期滞在」で来日中の外国人や、在留期間が3月以下の在留資格の外国人には、在留カードが付与されません。このため、これらの外国人には住民票が作成されません。 「留学」の在留資格を持つ留学生にも住民票が作成されます。そして個人番号が付与され、通知カードが発行されます。 留学生などは、顔写真付きの「個人番号カード」を作成せずに、「通知カード」のままで所持している人が多いと思います。「通知カード」は、「個人番号カード」とは異なり、有効期限がないからです(いつまでも「通知カード」のままで所持していてもよい、という取扱いです)。 日本人を対象に発行される「個人番号カード」の有効年数は、原則10年です。10年間は再交付の必要がありません。「永住者」「高度専門職第2号」の在留資格の外国人も日本人と同様に取り扱われます。 しかし、「永住者」「高度専門職第2号」以外の外国人は、その外国人が持っている「在留カード」の在留期間(1年、3年、5年など)が「個人番号カード」の有効期限になります。 「通知カード」から「個人番号カード」への切り替えは、自由にできます。しかし、一度切り替えると「在留カードで決定された在留期間(1年、3年、5年など)」が「個人番号カードの有効期限」になり、その年数が過ぎれば再交付が必要になるため、手続きが煩雑です。 そのため、期限を気にせずに所持できる「通知カード」のまま持っている外国人が少なくないと感じます。 会社の人事部が、入社時や年末調整の手続きで、従業員の個人番号を確認するときは、「通知カード」または「個人番号カード」を見て確認するのが一般的です。もし「通知カード」を紛失して個人番号がすぐにわからないときは、本人が「個人番号が記載された住民票」を入手すれば確認できます。   7 留学生と年金手帳、国民年金への加入 新入社員として採用した外国人に、人事部が「厚生年金保険の手続きに必要なので、年金手帳を提示してください」と言っても、持っていない場合があります。これは、留学生の時に、国民年金の加入手続きを行っていない場合があるからです。 日本に住民票がある20歳以上60歳未満の人は、国籍を問わず、国民年金の加入義務があります。留学生も20歳以上でしたら、当然、対象になります。 留学生が来日し日本語学校に入学した時は、学校事務局がガイダンスで、市区役所の国民健康保険へ加入するよう説明することが多いのですが、その時に国民年金の加入については説明を省略する場合があるようです。そして国民年金に未加入の状態で数年間過ごしている留学生も少なくありません。 一方、国立大学の事務局などは、国民年金への加入手続きと、必要に応じた「保険料納付の免除申請」をアドバイスしているところもあります。 留学生のときにアドバイスを受けているかどうかにより、国民年金の加入の有無、年金手帳の所持の有無に違いがあると感じます。 *  *  * 次回は、「後々、トラブルにならないよう入社時に説明すべきこと」について紹介する予定です。 (了)

#No. 234(掲載号)
#永井 弘行
2017/09/07
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