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海外勤務の適任者を選ぶ“ヒント” 【第1回】「遠慮のない質問をする人は強い」

海外勤務の適任者を選ぶ“ヒント” 【第1回】 「遠慮のない質問をする人は強い」   中小企業診断士 西田 純   ● ○ ● はじめに ● ○ ● プラザ合意以降の円高から30年を経て、今や中小企業であっても、ごく普通に海外へと進出する時代になりました。 他方で、限られた経営資源しか持たない中小企業経営者・人事担当者にとっては「海外勤務者として誰を派遣すればよいか?」という、その人選が悩みのタネです。 なぜなら必ずしも「国内で仕事ができる人=海外で活躍できる人」とはいえず、文化やお作法など、ビジネス的な土壌の差が大きく影響するからです。 私はこれまで、中小企業向けの海外支援を通じて、現地で伸び伸び活躍する人や、逆に、思ったように活躍できず苦しんでいる人を見てきました。 この連載ではその経験を通じて、実際にどのような人材が海外勤務に適任といえるのか、ヒントとなるお話をさせていただきたいと思います。   1 尋ねたいことはそのまま尋ねよ イスラム教徒は酒を飲まない、あるいは豚肉を食べないということは、日本でもすでによく知られたところだと思います。 とはいえ東南アジア諸国では、国や地方によって戒律の厳しさも違い、会食などでイスラム教徒と非イスラム教徒が同席する場合など、どのような饗応がふさわしいのか?という問題に直面することがよくあります。 間違いのない答えを得るには、当事者に聞いてみるのが最も確かです。 果たして酒は出して良いものか? 豚肉は食べられるのか? このような場合の質問として、ちょっと考えればわかることですが、 何か食べられないものはありますか? という尋ね方の落とし穴については、理解しておく必要があります。 すなわち、イスラム教徒からすると豚肉は食べ物のうちに入っていないので、そう聞かれて「何でも食べますよ」と答える人が、実はけっこういるのです。 「あれ、不思議だなぁ」と思ったあなた、あなたはまだ日本人の目線でモノを考えている、ということですね。 この場合、決して失礼には当たらないので、豚肉についてなら「ポークは食べられますか?」と直接的に聞くべきなのです。同様に、「何か飲めないものはありますか?」ではなく、「アルコールは飲めますか?」と聞くのが正しいと言えます。 日本では表現をぼかして尋ねるほうが一般的なのかもしれませんが、宗教に関して食べられないものを聞くときの「婉曲な聞き方」は、誤解の元だと認識してください。   2 みておくべき点 ① 譲りすぎるのはダメ 日本人同士でも、何らかの上下関係があると、下が上に気を使った会話しか成り立たない、というような場面に出くわすことがありますが、そのせいか「気を遣う人」は、生理的に直接的な質問ができないというような事例をしばしば目にします。 ② 「ピンポイント」の重要性 一時期ビジネス社会でもてはやされた「ロジカル・シンキング」は、物事の見方が包括的・網羅的であることを評価する考え方でした。そこから導き出される質問は、常に漏れ・ダブりのない網掛け型の言い方になりがちです。 質問の場面が全体像を確かめる段階なら有効に働く考え方ですが、上の事例のように問題が特定されている段階に至ってもまだ同じような物言いをしてしまうと、今度は焦点がボケることにつながります。 問題が絞り込まれているならば、その段階で包括性・網羅性へのこだわりを捨て、ピンポイントで質問を絞り込むべきである、という判断が求められるのです。 ③ 変化への耐性 宗教や文化の差は、時にこちら側の想像力をはるかに超えた変化を引き起こします。 21世紀の今でも、国によっては、王様や大統領の一声でいきなり翌日が祝日になったり、突然ある地域で携帯電話が全面的に規制され、連絡したくても電話がつながらなくなったり、さまざまな“ビックリ”が、仕事にも影響する形で現れることがあります。 うまく説明しづらいのですが、そういう場面で普通にしていられるほうが、トラブルに遭遇するリスクが小さいように思います。 環境変化によって喜怒哀楽を左右される要素が大きいと、質問する能力もまたそれに影響されるということではないかと思います。   3 人材育成上のポイント 「遠慮せず、ピンポイントで質問できる人材が優れていることは分かった。でも遠慮のない人材が社内にいない場合はどうすればよいか?」という疑問に対しては、「人材育成の努力を続けること」という答えしかありません。 ヒントを申し上げると、以下の2点です。 ① 事例を使って「トラブルのタネ」がどこにあるか理解させる 上で触れた豚肉についての質問は、文化的な均質社会である日本ではまず経験できない事例だと思います。これら直接的な事例を素材として、海外勤務で発生しうるトラブルのタネがどこにあるのか、派遣候補者となる人材に理解させることが重要です。 今回を含め、この連載では「事例として使えるさまざまなエピソード」をお届けしますので、それらを社内の人材育成にそのままお使いいただければと思います。 ② 判断は「ロジックとスピードの組み合わせ」であることを理解させる 自らが対応すべき環境の変化が起こったとき、それについて「環境が〇〇〇なので、自分は〇〇〇しよう」というふうに理由をつけて(ロジック化)自らの行動指針を決めることを「判断」といいます。 海外勤務先という現場で判断業務を任される人にとって、最大のポイントは、『正しい判断を適切なスピードで行えるか』ということです。 このプロセスを理解し実践できれば、結果として「遠慮のない質問」ができる人を育てることも可能となります。 *  *  * 限られた経営資源の中、なんとか海外進出に使える人材を確保することは、経営者・人事担当者にとって焦眉の急だと思います。 この連載から少しでもヒントをくみ取っていただければ幸いです。 (了)

#No. 215(掲載号)
#西田 純
2017/04/20

《速報解説》 中小企業経営強化税制、設備取得後に計画認定を受ける「例外」にも留意が必要~固定資産税軽減特例とは認定期限に差異あるケースも

《速報解説》 中小企業経営強化税制、設備取得後に計画認定を受ける 「例外」にも留意が必要 ~固定資産税軽減特例とは認定期限に差異あるケースも   Profession Journal編集部   既報の通り4月1日から適用がスタートした中小企業経営強化税制だが、固定資産税の軽減特例と同様、中小企業等経営強化法の制度下に置かれ、対象となる設備を取得・事業供用する前に、対象設備に係る経営力向上計画の認定を受ける必要がある。 中小企業庁のホームページでは、平成29年度税制改正に合わせて経営強化法に関するパンフレットや手引き、Q&A、申請書の様式・記載例等が順次アップデートされており、認定を受けるまでの手順や、例外として「設備取得後に経営力向上計画を申請する場合」が紹介されている。 以下、それらもとに、中小企業経営強化法の適用を受けるまでの手順と留意点を確認していきたい。 認定を受けるまでの原則的な手続としては、A類型・B類型ごとに次の通り。 より詳しい手順を図示すると、次のようになる。 〈A類型の手続スキーム図〉 (※) 中小企業庁「工業会証明書の取得の手引き」より 次に、収益力強化設備(B類型)の手続は以下の通り。 こちらも詳しい手順を図示すると次のようになる。 〈B類型の手続スキーム図〉 (※) 中小企業庁「経済産業局による確認書の取得の手引き」より 上記の手続を時系列にまとめると下図のようになる。 【原則】 経営力向上計画の認定を受けてから設備を取得 (※) 中小企業庁ホームページ「経営力向上設備等の取得時期・税制の特例適用等について」より このようにA類型、B類型共に、経営力向上設備等は、経営力向上計画認定後に取得することが【原則】となるが、【例外】として、設備取得後に経営力向上計画を申請する場合においても、一定の条件で中小企業経営強化税制を適用することができる。 この場合の「一定の条件」とは、まず1つ目が「設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要がある」というもの。こちらは昨年の固定資産税軽減特例と同じ取扱いとなる。 2つ目の条件が、中小企業経営強化法は制度の適用を年度単位で見ることから、「対象となる設備を事業供用した年度内に計画の認定を受ける必要がある」というもの。例えば3月決算法人の場合、事業年度末である3月31日までに認定を受ける必要があり、供用年度を超えて認定を受けた場合、税制の適用を受けることはできない。経営力向上計画の申請(受理)から認定までには1ヶ月程度を要するとされていることから、この期間を加味した上で手続を進めなければならない。 【例外】 設備取得後に経営力向上計画を申請する場合 (中小企業経営強化税制(国税)の場合) (※) 中小企業庁ホームページ「経営力向上設備等の取得時期・税制の特例適用等について」より ここで注意したいのが、A類型の場合は、同じ手続(工業会証明書(※1)、経営力向上計画(※2))で固定資産税の軽減特例も合わせて適用できるが、固定資産税の賦課期日は毎年1月1日であるため、「対象となる設備を取得した年の12月31日までに認定を受ける必要がある」という点だ。 (※1) 1枚の工業会証明書で中小企業経営強化税制及び固定資産税の軽減特例の利用が可能(ただし医療機器等、対象設備の際に留意)(Q&A集 A-15)。 (※2) 同一の「経営力向上計画に係る認定申請書」内で両制度の適用を申請可能(申請書記載例の「8 経営力向上設備等の種類」欄を参照)。 【例外】 設備取得後に経営力向上計画を申請する場合 (固定資産税特例(地方税)の場合) (※) 中小企業庁ホームページ「経営力向上設備等の取得時期・税制の特例適用等について」より つまり3月決算法人が本年度中に、対象設備を取得した後に計画の認定を受ける【例外】のケースで、平成29年12月31日を過ぎ平成30年(2018年)1月1日~3月31日の間に認定を受けた場合、中小企業経営強化税制の適用は受けられるものの、固定資産税の軽減特例は、軽減の期間が3年ではなく2年になってしまう。 このように、法人の決算月によって計画の認定を受ける期限に差異が生じることから、A類型の設備投資を計画する場合は平成29年中に計画の認定を受けることを前提としてスケジュールを立案するほうが、各制度をフルに活用できるといえよう。 (了)

#No. 214(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/04/19

プロフェッションジャーナル No.214が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年4月13日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.214を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/04/13

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第52回】「国会審議から租税法条文を読み解く(その1)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第52回】 「国会審議から租税法条文を読み解く(その1)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   はじめに 租税法の解釈は文理解釈を第一として行われなければならないといわれることが多く(酒井克彦『レクチャー租税法解釈入門』6頁(弘文堂2015))、また、文理解釈は租税法律主義の考え方に最も合致しているともいえよう。 租税は、国民の財産権を侵害するものであるから、租税法の解釈において恣意性や揺らぎができるだけ排除されなければならないことはいうまでもない。 もっとも、租税法には侵害規範的性質を有するものと、そうではない非課税や減免、控除などの規定もあることからすれば、財産権の侵害規範という性質論のみで、文理解釈を導き出すことには無理があるともいい得るが、他方で、特定の納税者に有利に働く租税特別措置といった減免規定こそ、例外的取扱いであるから文理に忠実な厳格な解釈がなされなければならないという考え方もある。 いずれにせよ、租税法においては文理解釈が第一義的に優先されるべき解釈姿勢であるとしても、さりとて、租税法が法である限り、その法の趣旨や目的を無視した解釈が許されないことも当然である。 文理解釈によって導出された結論の妥当性を判断するに当たって、法の趣旨や目的を確認することもまた重要である。そのような意味では、ただ単に「法律解釈は文理解釈によるべき」と強調しすぎることにも問題があるように思われる。 もっとも、文理解釈においても、法条に用いられている用語(概念)や文章の意義を明らかにするためには、さまざまなリーガルリサーチに基づいたアシストを必要とするのが常である。 すなわち、例えば、学説や判例の確認はもとより、通達や文書回答手続の回答結果等によって政府の見解を調査することも重要であろう。そのほか、立法当時の国会における審議や法条の解釈を巡る答弁なども極めて重要なリーガルアシストを提供するといえよう。 本稿においては、「国会審議を確認することによって租税法条文を読み解く」方法を検討してみたい。その一つの例として、実際の国会審議を参照し、所得税法72条《雑損控除》の規定の解釈に係るヒントを得てみたい。   Ⅰ 雑損控除の意義 所得税法72条1項は、次のように雑損控除を規定している。 このように、所得税法は、居住者らの有する資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合に、当該損失の金額のうちの一定額をその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除することとしている。なお、損失が生じた場合とは、その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が「政令で定めるやむを得ない支出」をした場合を含むとされている。 かかる「政令で定めるやむを得ない支出」は、所得税法施行令206条《雑損控除の対象となる雑損失の範囲等》において、次に掲げる支出が明定されている。 なお、雑損控除の趣旨は、「災害、盗難、横領という異常な損失により減少した担税力に即応して課税すること」にあるといわれている(前橋地裁昭和53年7月13日判決・訟月24巻9号1857頁)。   Ⅱ 雪下ろし費用に係る雑損控除の適用-国会答弁で国税庁の取扱いが決定 ところで、豪雪地域などでは家屋の倒壊を防ぐため屋根の雪下ろしは欠かせないと思われるが、かかる雪下ろしに要した費用(以下「雪下ろし費用」という)は雑損控除の適用対象となるのであろうか。この点について考えてみたい。 雪下ろし費用は、「災害による損失」とはいえないのではないかという疑問である。 雪下ろし費用が「災害による損失」に当たるといえるか否かについては疑問の余地があるところであるが、実は、すでに、昭和49年2月22日付け第72回国会衆議院・災害対策特別委員会において、国税庁の水口昭所得税課長(当時)が、雪下ろし費用の雑損控除の適用を認める趣旨の答弁を行っている。 そして、その翌日、同年2月23日付け国税庁直税部所得税課情報第309号「豪雪の場合の除雪費についての雑損控除の適用について」が連絡されていることは興味深い。 また、昭和52年3月31日付け第80回国会参議院・地方行政委員会においても、国税庁の高橋俊雄企画官(当時)が、豪雪の場合の雪おろし費用を雑損控除の対象としていたと説明している。 その際の答弁を確認してみたい。 豪雪の場合の雑損控除の適用対象をさらに拡大すべきとの意見に対して、「できるだけ弾力的な取り扱いをする」と答弁していることからも明らかなように、かかる国会審議が所得税法72条の解釈に極めて大きな影響を及ぼしていることが判然とする。 なるほど、国会は立法府であるから租税法律主義の下で法律の制定に専権を有するものの、そのことは必ずしも、法解釈における影響という意味ではない。 しかし、かかる国会でのやり取りを無視しては、その後の国税庁の法解釈を理解することはできないといっても過言ではない。 現に、その後、昭和52年10月27日に、国税庁長官通達(直所3-21)「豪雪の場合における雪下ろし費用等に係る雑損控除の取扱いについて」が発遣され、前掲した昭和52年3月31日付け第80回国会参議院・地方行政委員会における国税庁企画官の答弁のとおり、雑損控除の範囲が拡大されている。 すなわち、雪下ろし費用、家屋の外回りの雪の取除き費用、雪捨て費用について雑損控除が適用できる旨通達されたのである。 ここでは、国会での議論が雑損控除の拡張的取扱いに係る解釈を主導した点を確認することができよう。 前述のとおり、そもそも「雪下ろし費用」が雑損控除の対象となるかについては疑問を挟む余地があると思われるところ、国会での議論を受けて、雪下ろし費用はおろか関連費用にまで、さらにその範囲を拡大した取扱いがなされてきたのである。 この解釈による取扱いが先行する形で、雪下ろし費用とそれに関連する費用について雑損控除が適用される運営がなされてきたのである。 国会議員の意見や発言を受けて、政府が参考人答弁の形で雑損控除の範囲を答弁し、それが契機となって通達が発遣されて全国に取扱いが命令されるという構図があるといえようか。 なお、その後、昭和56年度税制改正において、「まさに被害が生じるおそれ」がある場合の緊急必要措置を講ずるための支出についても雑損控除が適用されることとなり(所令206①三)、これを受けて、昭和56年1月29日付け国税庁長官通達(直所3-2)「豪雪の場合における雪下ろし費用等に係る雑損控除の取扱いについて」が発遣されているのである。 (続く)

#No. 214(掲載号)
#酒井 克彦
2017/04/13

平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認 【第1回】

平成29年度税制改正における 『組織再編税制』改正事項の確認 【第1回】   公認会計士 佐藤 信祐   1 概要 本誌198号で述べたように、平成28年12月8日に公表された与党税制改正大綱では、組織再編税制を大幅に見直すこととされており、具体的には、以下の点を改正することが明記されていた。 このうち、(2)から(5)までの改正は、平成29年10月1日の施行が予定されており、それ以外は、平成29年4月1日に施行されている。そして、平成29年3月31日の官報では、改正法人税法施行令が公表され、改正内容の全貌が明らかになった。 本稿は全5回にわたり、改正組織再編税制の解説を行うこととする。   2 スピンオフ税制 改正前法人税法では、支配株主の存在しない新設分割型分割や子会社株式の現物分配は、グループ内の組織再編にも該当せず、共同事業を営むための組織再編にも該当しないことから、非適格組織再編として取り扱われている。これに対し、改正法人税法では、以下の組織再編を対象としてスピンオフ税制が導入された。 本誌198号で述べたように、これらはいずれも、他の者による支配関係がないことを前提としていることから、非上場会社で適用されることは稀であり、実務上、上場会社がbad事業を切り離す場合にのみ適用される手法であると思われる。 まず、(1)単独新設分割型分割であるが、法人税法2条12号の11ニにおいて、 と規定したうえで、同法施行令4条の3第9項において以下の要件が定められている。 なお、上記①であるが、「他の者」には、親族が保有している株式、組合契約に係る他の組合員が保有している株式を含めて判定することとしている。すなわち、任意組合形式のファンドが支配している会社に対しては、スピンオフ税制を適用することができないこととなる。 次に、(2)100%子会社株式を対象とした現物分配であるが、法人税法2条12号の15の2において、株式分配の定義を と規定している。 なお、完全支配関係のある株主のみに対して現物分配を行うものは、株式分配に該当しないことから、同法2条12号の15に規定する適格現物分配に該当するかどうかを検討することになる。そのため、支配株主が法人である場合には適格現物分配、支配株主が個人である場合には非適格現物分配として処理されることになる。 このように定義された株式分配に対して、同法2条12号の15の3において、適格株式分配の定義を と規定したうえで、同法施行令4条の3第16項において以下の要件が定められている。 なお、①の「他の者」については、(1)と同様に、親族が保有している株式、組合契約に係る他の組合員が保有している株式を含めて判定することとしている。 最後に、(3)であるが、単独新設分社型分割については、法人税法施行令4条の3第6項1号ハにおいて、単独新設現物出資については、同条第13項において、それぞれ、完全支配関係継続要件の特例が定められている。 すなわち、適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、その直前の時まで完全支配関係が継続していればよく、その後の完全支配関係の継続は要求されないこととされた。 (次号(4/20)に続く)

#No. 214(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/04/13

正誤のお詫びとお知らせ

「配偶者控除・配偶者特別控除の見直しによる総務実務の留意点」に関する正誤のお詫びとお知らせ

#Profession Journal 編集部
2017/04/13

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第10回】「居住用家屋の取得に伴って建物附属設備や応接セット等を取得した場合」-買換資産の範囲-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第10回】 「居住用家屋の取得に伴って建物附属設備や応接セット等を取得した場合」 -買換資産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、居住用財産の買換資産として家屋を新築した際に、セントラルヒーティング設備を建物の請負先とは異なる他の業者に注文して取り付けました。 また、新築に際し、応接セットや書斎の家具、台所の電気器具を新調しました。 この場合、Xは、すべてが家屋に係る買換資産として「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用対象とすることができるでしょうか。 A セントラルヒーティング設備は「買換えの特例」の適用対象となる買換資産に該当しますが、応接セット等は適用対象となる買換資産に該当しません。 ●○●○解説○●○● セントラルヒーティング設備は、建物とは別の「建物附属設備」に属するものです。居住用家屋の取得に伴って買換資産の取得期間内に取得されている場合には、その「建物附属設備」も買換資産に該当するものとして取り扱われています(措通36の2-12(買換資産の改良、改造等))。 しかし、応接セットや電気器具のような本来の家屋とは別の、しかも移動可能な家具類は、たとえ居住用家屋の取得に伴って、買換資産の取得期間内に取得したものであっても、買換資産に含めることはできません。 (了)

#No. 214(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/04/13

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第25回】「ペット葬祭業事件」~最判平成20年9月12日(集民228号617頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第25回】 「ペット葬祭業事件」 ~最判平成20年9月12日(集民228号617頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 214(掲載号)
#菊田 雅裕
2017/04/13

連結会計を学ぶ 【第1回】「連結会計の全体像」

連結会計を学ぶ 【第1回】 「連結会計の全体像」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連結財務諸表は、親会社及び子会社によって構成される企業集団に関する財務諸表であり、関連会社については持分法が適用される(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)1項。「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号)4項、6項)。 連結財務諸表に関しては、以下の会計基準等が中心となるものの、「連結財務諸表に関する会計基準」の各規定に関して別途の会計基準等が設定されているものがあり、全体として少々複雑な構成となっている。 このため、実務上、連結財務諸表に関する会計処理及び開示に際しては、どこに規定があるのかを調べることがポイントとなる。 本シリ-ズでは、上記の会計基準等を中心に、連結会計に関する基本的な考え方について解説を行う。 上記以外には、例えば、次の会計基準等があり、本シリーズでは必要に応じて取り上げることとする。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 連結会計の全体像 親会社及び子会社は個別財務諸表を作成しているが、連結財務諸表は、これらの個別財務諸表を基礎として作成される企業集団に関する財務諸表である。 連結財務諸表に関する基本的なイメージは次の図のとおりである。   Ⅲ 連結財務諸表作成における一般原則 次のように、連結会計基準は一般原則を規定している(連結会計基準9項~12項)。 ① 連結財務諸表は、企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関して真実な報告を提供するものでなければならない。 ② 連結財務諸表は、企業集団に属する親会社及び子会社が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基礎として作成しなければならない。 ③ 連結財務諸表は、企業集団の状況に関する判断を誤らせないよう、利害関係者に対し必要な財務情報を明瞭に表示するものでなければならない。 ④ 連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。   Ⅳ 連結財務諸表作成に関する特有の論点 Ⅲの②で述べた一般原則(連結会計基準10項)は、連結財務諸表は親会社及び子会社の個別財務諸表を基礎として作成することを要請する規定であり、「基準性の原則」と呼ばれている(「「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」に関するQ&A」(監査・保証実務委員会実務指針第87号)Q1)。 連結財務諸表の作成には、次の事項のように、個別財務諸表の作成とは異なる連結特有の論点がある。 ① 連結の範囲 ② 連結決算日 ③ 会計方針の統一 ④ 投資と資本の相殺消去 ⑤ 債権と債務の相殺消去 ⑥ 連結会社相互間の取引高の相殺消去 ⑦ 未実現損益の消去 ⑧ 持分法   次回以降では、これらについて取り上げることとする。 (了)

#No. 214(掲載号)
#阿部 光成
2017/04/13

電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる会計処理と税務Q&A 【第2回】「プリペイド方式の電子マネーにより経費決済を行った場合の会計処理」

電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる 会計処理と税務Q&A 【第2回】 「プリペイド方式の電子マネーにより経費決済を行った場合の会計処理」   公認会計士・税理士 八代醍 和也   A 1 電子マネーの意義と特徴 まず、「電子マネーとはいかなるものか?」という点について、簡単に説明する。 電子マネーには正式な定義はないものの、一般的には、電子的なデータのやり取りによって行う決済サービスをいう。つまり、通常の決済が実体通貨を媒介として行われるのに対し、電子マネーによる決済は電子データのやり取りで決済が完結するため、決済時に現金としての通貨を要しない。また、クレジットカードのように決済時のサインが不要であることもその特徴である。 また、電子マネーは利用代金の支払方式により大きく2つに分類される。すなわち、利用代金を後払いするタイプの「ポストペイ方式」と、前もって料金を入金(チャージ)しておき、買い物等を行った都度、チャージした金額から使った金額が差し引かれていくタイプの「プリペイド方式」である。 ポストペイ方式の代表としては、iD、QUICPay、Smartplus、Visa Touchのほか、公共交通機関系電子マネーのPiTaPaなどがあり、プリペイド方式の代表的なものとしてはWAON、楽天Edy、nanacoのほか、公共交通機関系電子マネーのSuica、PASMOなどがある。 今回は、後者のプリペイド方式の電子マネーにより経費決済を行った場合の会計処理について解説を行う。なお、税務上の留意点については次回取り上げる。   2 電子マネー使用に伴う会計処理 (1) 電子マネーの有する会計的特性 プリペイド方式の電子マネーの会計処理を検討するに当たっては、この電子マネーがどのような会計的特性を有するかを明確にする必要がある。平たく言えば、「何の勘定科目で計上するか?」という論点である。 まず1つ目として、資金決済法に規定されている「前払式支払手段」としての性格である。 プリペイド方式の電子マネーがその性質上、資金決済法の上記定義を満たすことは明らかである。また、一般社団法人日本資金決済業協会は、この前払式支払手段の具体例として商品券、ギフト券、プリペイドカード、iDなどを挙げている。したがって、プリペイド方式の電子マネーの会計処理を検討するにあたっては、ここに例示されたものについての会計処理を斟酌することが有効であると考えられる。 なお、「電子マネー」という名称のとおり、貨幣的特性にも注目すべきではないかという考え方もあろう。 すなわち、プリペイド方式の電子マネーは日常の買い物から交通機関を利用する場面においてまで、あたかも財布からお金を気軽に取り出すような感覚で決済を行うことができる。これはまさにお金そのものであるといっても、確かにそれほど違和感はないように思える。 しかしながら、感覚的には違和感がなくても、会計理論的に電子マネーを現金そのものと考えるのは少し無理があると筆者は考える。なぜなら、現金と同質のものであると考えるにはやはり、「現金への換金が容易であること」が必要であるからである。 もし、電子マネーが現金に容易に換金可能であれば、小切手のように事業者間での資金決済にも利用されるはずだが、そうはなっていない。また、基本的にはいったんチャージした金額は、特殊な場合を除き、返金は困難なことが多く、購入やサービスの利用により消費することよりほかに使用方法がない。 すなわち、会計的には電子マネーは、お金ではないのである。 (2) プリペイド方式の電子マネーに関する会計処理 では、上記のような会計的特性を前提として、その会計処理を検討してみよう。 ① チャージした際の会計処理 上記でも述べたとおり、プリペイド方式の電子マネーを使用するためには、その前提として、利用料金を前もってチャージしておく必要がある。そこでまず、このチャージを行った際の会計処理から考えてみることにする。 ここからは具体的なイメージをつかんでもらうため、設例を用いて説明したい。 (1)で検討した会計的特性、すなわち、プリペイド方式の電子マネーを「前払式支払手段」と捉えるのであれば、電子マネーにチャージするという行為は、言ってみれば「電子的な商品券を購入した」ことと同じであるという評価が可能となる。 したがって、会計処理も商品券などの「物品切手」を購入した場合と同様の処理を行うこととなり、以下のような仕訳になると考えられる。 言うまでもないが、商品券たる電子マネーの購入(チャージ時点)は、未だモノの納品や役務提供を受けておらず、この時点では経費は計上されない。 ② プリペイド方式の電子マネーを使用した際の会計処理 この場合も、上記と同様、商品券を使用して物品の購入や役務の提供を受けた場合と同様に考えることになり、仕訳は以下のとおりとなる。 「飲食」という役務提供を受けた時点で費用が計上される。 この結果、残高は5,000円となり、この時点で期末を迎えた場合、貸借対照表上、電子マネーに係る貯蔵品が5,000円計上されることになる。 ③ その他の会計処理・論点 枝葉な論点について、以下にまとめて解説する。 ◆デポジットの会計処理について 公共交通機関系の電子マネーは、その申込にあたり、いくらかのデポジットを払うことが多いようである。これは、解約時に返金されることから、支払時には預託金や預け金勘定で資産計上し、解約返金時にこれを消滅させる。 ◆入会手数料の会計処理について デポジットやチャージ以外のもので、入会時に支払うことになる入会手数料は、支払手数料として支払時に費用処理することになる。 ◆仕訳の記帳について 会計処理の論点とは少し外れることになるが、経費精算をはじめとする事務処理の効率化を企図して、プリペイド方式の電子マネーの導入を検討されている会社もあろう。そのような場合であればなおさら、こうした電子マネーを利用した取引が増加することで、記帳事務に膨大な時間を要することになる可能性もある。 このような事態に陥らないよう、事前の環境づくりも必要になろう。前回も少し触れたが、インターネット経由で電子マネー発行会社から利用データを会計システムへ直接取り込んだり、また、CSVファイルで出力したデータから会計仕訳を行えるサービスも存在する。 これらをうまく利用することで、事務処理効率を大きく高めていくことも期待されている。 *  *  * 次回は、同じ「プリペイド方式の電子マネー」により経費決済を行った場合の税務上の留意点について解説する。 (了)

#No. 214(掲載号)
#八代醍 和也
2017/04/13
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