2016年12月28日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.200を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
〈平成29年1月1日施行〉 加算税見直しの再確認と留意点 【後編】 税理士 佐藤 善恵 〈2〉 短期間で繰り返された無申告又は仮装・隠ぺいに対する 加重措置の創設 (1) 改正の趣旨と改正内容 改正前の加算税の税率は、過去の「無申告や仮装・隠ぺい」行為の回数に関わらず一律とされていたので、意図的に「無申告や仮装・隠ぺい」を繰り返す者に対する牽制効果は限定的であった。 そこで、悪質な行為を防止する観点から、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたものが、再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正申告書の提出等を行った場合について、通常の加算税の税率に10%を加重する措置が導入された。 (※) 期限後申告等とは、①期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、②更正又は決定の処分、③納税の告知又は告知を受けることなくされた納付をいう。 〈まとめ〉 (※) ( )は一定額を超える無申告についての無申告加算税の割合。 (2) 改正法施行後の留意点 〈3〉 条文からみた改正ポイント 各加算税の条文について、今回の改正の影響を整理すると次のとおりである。 以下、2つの改正項目が含まれている無申告加算税(通法66)の条文構成を概観する。 (1) 国税通則法66条1項 この項は、無申告加算税の課税要件と基本税率を規定している。改正後の条文は次のとおりであり、下線部分(括弧書)が新たに加えられた。 (※) 「次の各号」とは無申告加算税が課される要件であり、2つの場合がある。1つは、期限後申告書の提出又は決定(以下「期限後申告書の提出等」という)があった場合(1号)、そして、期限後申告書の提出等があった後に修正申告書の提出又は更正があった場合(2号)である。 改正で加えられた括弧書は、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定である。すなわち、改正前は更正等を予知する前までは加算税が減免されていたが(通法66⑤)、改正後は、調査の事前通知という形式を満たせば更正等を予知する前であっても通常の加算税よりも一段階低い税率で加算税が課されることとなった。この一段階低い税率の規定が、括弧書として加えられたのである。 (2) 国税通則法66条2項・3項 2項は、無申告税額が大きい場合における加重に関する規定、3項は、2項で用いられている用語(累積納付税額)の意義について規定している。改正による直接的な影響はない。 (3) 国税通則法66条4項 改正前の旧4項は5項に繰り下がり、新設された4項は以下のとおりである。 内容は、改正で加わった〈2〉短期間で繰り返された無申告に対する加重措置である。 (4) 国税通則法66条5項 改正前の旧4項である。 (5) 国税通則法66条6項 改正前の旧5項をベースに〈1〉更正予知に係る加算税減免措置に関する規定のうち、更正予知に当たらず、かつ、調査の事前通知以前であれば、改正前と同様の加算税の減額規定が適用されることの定め(下線部分)が加えられた。 (6) 国税通則法66条7項 改正前の旧6項(期限内申告をする意思があったと認められる場合の不適用)が繰り下がった上で、〈1〉更正予知に係る加算税減免措置の影響が織り込まれた。 (連載了)
〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第11回】 「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」 〈その2〉 公認会計士・税理士 菊地 康夫 Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第11回目は、前回採り上げた「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」のうち、平成27年度の税制改正において創設された地方拠点強化税制による特例措置についての内容と書き方について解説することにする。 Ⅱ 概要 この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項から第3項まで(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)又は平成28年度改正前の措置法第42条の12の2第1項から第3項まで(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定(いわゆる「雇用促進税制」)の適用を受ける場合に作成する。 このうち、いわゆる本体部分については前回解説したところであるが、地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する法人は、特例措置として以下の税制優遇が受けられる。 ① 【拡充型】 地方活力向上地域で特定業務施設を整備し雇用者を増加させた場合には、特定業務施設における当期増加雇用者数1人当たり以下を税額控除(ただし法人全体の増加雇用者数が上限)。 法人全体の雇用者増加率が10%以上:50万円 法人全体の雇用者増加率が10%未満:20万円 (※) 適用年度に雇用保険一般被保険者の数を5人以上(中小企業の場合には2人以上)増加させることが必要。 ② 【移転型】 東京23区から地方活力向上地域に特定業務施設を移転して整備する場合には、拡充型の税額控除額に加え、当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり30万円の税額控除(①と併せて、1人当たり最大80万円の税額控除)。 (※) 雇用を維持していれば最大3年間継続。 [適用にあたっての注意点] 1 上記①(拡充型)による控除税額は、適用事業年度の法人税額の30%相当額から、〈その1〉で解説した本体部分の控除税額と、地方拠点建物等を取得した場合の税額控除制度(措法42の11の2、旧措法42の12)による控除税額との合計額(上記②(移転型)による控除税額は、これらと上記①(拡充型)による控除税額との合計額)を控除した残額が上限となる。 2 本拡充措置を適用するためには、確定申告書等に次の書類の添付が必要。 (1) 適用事業年度開始後2ヶ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、適用事業年度終了後2ヶ月以内に都道府県労働局又は公共職業安定所で計画の達成状況についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写し (2) 控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類 なお、以下の解説では前回の〈その1〉で解説した内容と重複する部分については極力その解説を省略しているので、必要に応じて〈その1〉も併せてお読みいただきたい。 Ⅲ 「別表6(16)」「別表6(16)付表」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 別表6(16) 〔認定地方活力向上地域特定業務施設整備計画に関する事項〕 別表6(16)付表 (了)
金融・投資商品の税務Q&A 【Q26】 「外国籍会社型投資法人の投資口について 資本の払戻しがあった場合の取扱い」 PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子 ●○ 検 討 ○● 1 資本の払戻しの取扱い 株主が法人から金銭の分配を受け取る場合、それがどういった事象によるものなのか、原資は何か等により、課税関係が異なります。 税務上、資本剰余金の減少を伴う剰余金の配当は「資本の払戻し」として取り扱われます。その場合、一部がみなし配当として取り扱われる可能性があります。 本件の資本の払戻しを伴う分配金(return of capital)が、発行会社の資本剰余金の減少を伴う場合、以下の通りみなし配当及びみなし譲渡損益が発生する可能性があります。 2 みなし配当の計算 みなし配当は、資本の払戻しにより交付を受ける金銭及び金銭以外の資産の価額の合計額のうち、資本の払戻しを行った法人(以下、「払戻法人」)の当該払戻し直前の対応資本金等の額を超える部分の金額、とされています。 すなわち、みなし配当の金額は、簡易な式にすると以下のように計算されます。 (注) 前期末から当該資本の払戻しの直前の時までの間に税務上の資本金等の増減がある場合にはその金額を加減算した金額 なお、資本の払戻しを行う法人は、投資家に対して上記割合を通知する義務を負います。 3 みなし譲渡損益の計算 資本の払戻し金額のうち、みなし配当とされる金額以外は、株式に係る譲渡収入として取り扱われます。 投資家は譲渡損益を計算するために譲渡原価を計算しなければなりません。資本の払戻しの際の譲渡原価は以下の通り計算されます。 4 みなし配当及びみなし譲渡損益の課税関係 本件の投資口は上場投資法人の投資口であり、上場株式等に該当します。 ① みなし配当 みなし配当については配当所得として取り扱われます。国外発行の上場株式の配当を国内における支払の取扱者経由で受け取る場合、配当について支払の取扱者による源泉徴収がなされます。税率は、配当の20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。配当の金額にかかわらず、源泉徴収で課税関係を完結することができます。その場合、上場株式等に係る一定の譲渡損との損益通算の適用を行うことはできません。 また、申告をすることも可能です。申告する場合は、選択により、上場株式等の配当所得等として申告分離課税20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)、又は総合課税が適用されます。申告分離課税を選択した場合、上場株式等に係る一定の譲渡損との損益通算等が可能です。 ② 譲渡損益 上場株式等の譲渡所得等の金額とされる金額については、他の所得と区分し、申告分離課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。上場株式等の配当所得との損益通算や3年間の損失繰越の適用も可能です。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第43回】 「継続的取引の基本となる契約書⑤(産業廃棄物処理に係る契約書)」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は産業廃棄物処理業者です。産業廃棄物処理の場合、収集、運搬から処分に関する契約の形態によって印紙税の該当する所属が違うとのことですが、どのような取扱いになりますか。 産業廃棄物処理の場合、契約の形態により、第1号の4文書(運送に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に分類される。 1 産業廃棄物収集・運搬委託契約(個別契約) 産業廃棄物の処理依頼者と収集・運搬業者との間で、産業廃棄物を排出場所から収集し処分場所へ運搬することを約する契約は、第1号の4文書に該当する(産業廃棄物の収集は運搬に付随するものであり、請負契約ではなく、全体が運送契約に該当する)。 2 産業廃棄物処分委託契約(個別契約) 産業廃棄物の処理依頼者と処分業者との間で、産業廃棄物を処分することを約する契約は、第2号文書に該当する。 3 産業廃棄物収集・運搬及び処分委託契約(個別契約) ① 収集・運搬及び処分業者が同一の場合 産業廃棄物の収集・運搬及び処分までの一連の作業を請け負う契約の場合は、原則として第2号文書に該当する。 ただし、収集・運搬と処分に係る金額が明確に区分されている場合には、収集・運搬と処分に係る契約は別の契約として、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、第1号の4文書か第2号文書のいずれか一方に該当する。 〈通則3のロによる所属の決定〉 ② 収集・運搬と処分業者が別の場合 産業廃棄物を収集し、処分場所へ運搬する契約と処分をする契約が併せて記載されている三者契約は、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、契約金額の大きい方の号に該当する。 4 産業廃棄物収集・運搬及び処分に関する契約(基本契約) 産業廃棄物に係る契約は上記1から3のとおり、収集・運搬及び処分等の内容によって、第1号の4文書又は第2号文書に該当することとなるが、収集・運搬及び処分に関する2以上の取引を継続して行うために作成される契約書で、2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法等を定める文書は、第7号文書にも該当する(ただし、上記の場合であっても、営業者間以外の契約である場合、契約期間が3ヶ月以内で、更新の定めがあるものは第7号文書からは除かれる)。 この場合、通則3のイの規定により、記載金額があるかないかで、所属が判断される。 〈通則3のイによる所属の決定〉 [検討] 契約金額(記載金額) 記載金額については、契約書に記載されている排出予定数量に収集・運搬及び処分契約単価を乗じて算出した金額が記載金額となる。なお、予定数量等が記載されている文書の記載金額の計算は以下のとおり。 (例1) 記載された契約金額等が予定である場合 排出予定(概算)数量・・・100㎡ 処分契約単価・・・ごみガラ1㎡あたり25,000円 100㎥×25,000円=250万円 ⇒ 予定(概算数量)が記載金額となる。 (例2) 記載された契約金額が最低数量又は最高金額の場合 最低排出金額50万円 ⇒ 記載金額50万円 最高排出金額100万円 ⇒ 記載金額100万円 ▷ まとめ (了)
被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(法人税・消費税)のアドバイス〕 【第7回】 「大規模災害時の特例措置(その2)」 ~固定資産に関連する特例~ 公認会計士・税理士 新名 貴則 【第6回】においては、災害損失特別勘定について解説した。【第7回】においては、その他の固定資産に関連する特例について解説する。ここで解説する各項目は、以下の法令又は通達に基づいて解説していく。 これらの特例は、あくまで過去の熊本地震や東日本大震災のときに設定されたものであって、今後の災害発生時に設定される特例も全く同じ内容になるとは限らない。しかし、同様の内容となることが予想されるため、参考にしていただきたい。 1 損壊した賃借資産等の修繕費の損金算入 通常、賃貸資産の修繕は賃貸人の負担で行うことになる。しかし、大規模災害時には賃貸人による修繕がすぐには行われず、やむを得ず賃借人が修繕を行い、その費用を賃貸人から回収できるかわからないような場合も考えられる。 そこで、法人が次のような費用を修繕費として経理した場合、損金算入を認めることとされている。ただし、災害損失特別勘定の繰入対象にはならず、実際に修繕を行った事業年度の損金に算入される。 賃借資産(賃借している土地、建物、機械装置等)が被災し、補修義務はないが当該資産の原状回復のための補修を行ったその費用 販売した資産又は賃貸している資産が被災し、補修義務はないが当該資産の原状回復のための補修を行ったその費用 賃貸人から上記の費用に相当する支払を受けた場合は、その支払を受けた事業年度の益金に算入する。 2 被災者用仮設住宅の設置費用の損金算入 被災した役員や従業員のために、法人が仮設住宅用資材を取得又は賃借して仮設住宅を設置した場合、その組立・設置に要した金額を、居住の用に供した事業年度等の費用として経理した場合、損金算入を認めることとされている。 法人が設置した仮設住宅の一部を、自己の従業員等以外の被災者の居住の用に供した場合も、同様の取扱いとなる。 取得した仮設住宅資材を反復使用する場合は、通常の償却を行うことになる。しかし、仮設住宅のためにのみ使用する場合は、その見積使用期間を基礎として償却することができる。ただし、取得価額から処分見込価額を控除した金額を基礎として償却を行う。 3 被災により代替取得した資産の特別償却 大規模災害により固定資産が被害を受け事業の用に供することができなくなり、一定の期間内に代替資産等を取得して事業の用に供した場合、当該資産について通常の減価償却に加えて特別償却を行うことができる。この適用を受けるためには、確定申告書等に特別償却の償却限度額の計算に関する明細書の添付が必要となる。 この制度の対象となる代替資産等には、次の資産が含まれるが、いずれも中古ではなく新品であることが必要である。 (※1) 東日本大震災に係る震災特例法の成立当初は航空機も対象に含まれていた。 (※2) 被災区域とは次の区域のことをいう。 災害に起因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物又は構築物の敷地 上記の建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設(工場の守衛所や駐車場等)の用に供されていた土地の区域 (※3) 付随区域とは被災区域である土地と一団をなす土地で、当該被災区域である土地の使用に伴って一体的に使用されるものをいう。例えば、建物を建築する場合において、当該被災区域である土地とともにその建物の敷地の用に供される土地などである。 4 特定資産の買換えの場合の課税の特例 ① 特例の概要 大規模災害の発生に際して固定資産の買換えを行う場合、一定の要件を満たす場合は圧縮記帳が認められる。具体的には、次の買換えに該当する場合である。 (※) 東日本大震災に係る震災特例法の成立当初は「国内にある土地又は国内にある事業の用に供される減価償却資産」とされていた。 特例制度の対象期間内に上記に該当する資産の譲渡を行い、その譲渡日を含む事業年度において上記に該当する買換資産の取得を行い、その取得日から1年以内に事業の用に供した場合、下記の圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳ができる。 ▷ 圧縮基礎取得価額(次の(ⅰ)(ⅱ)のうちいずれか少ない金額) (ⅰ) 買換資産の取得価額 (ⅱ) 譲渡資産の対価の額 ▷ 差益割合 この特例制度の適用を受けるためには、確定申告書等に損金算入に関する申告の記載をし、かつ、その損金算入額の計算に関する明細書等を添付する必要がある。 ② 先行取得の場合 資産の譲渡に先立って買換資産を取得した場合でも、一定の場合にはこの特例の適用が認められる。このとき、資産を取得した事業年度の末日の翌日から2ヶ月以内に、所轄税務署長へ「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を提出する必要がある。 ③ 特別勘定を設けた場合の期限 特別勘定を設ける方法により経理した場合は、譲渡をした事業年度の末日の翌日から1年を経過するまでの期間(やむを得ない事情がある場合に、所轄税務署長の承認を受けた場合は、同日後2年以内において当該税務署長が認定した日までの期間)内の取得であっても、特例の適用を受けることができる。 5 圧縮記帳における代替資産等の取得期間の延長 収用等や特定資産の買換えの場合の圧縮記帳において、災害発生前に特別勘定を設定しており、期間内に買換資産等を取得する予定であったが、大規模災害の発生により期間内での取得が困難になった場合、一定の要件を満たせば2年以内の範囲で期間を延長できる。 (了)
さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第24回】 「養老保険事件」 ~最判平成24年1月13日(民集66巻1号1頁)~ 弁護士 菊田 雅裕 (了)
包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第30回】 「租税回避と実務上の問題点①」 公認会計士 佐藤 信祐 前回までは、租税回避に対する裁判例や過去の学説を見ることにより、租税回避の射程を探っていった。しかし、我々は実務家であることから、やはり実務に当てはめて考える必要がある。 本稿では、①株式譲渡損益とみなし配当、②税制適格要件について検討を行う。 1 はじめに ここでは、拙著『組織再編における包括的租税回避防止規定(中央経済社、平成21年)』(以下、今回以降において「包括否認本」という)に挙げられている事例を参考に、どのような場合に租税回避に該当するか否かの検討を行う予定である。 なお、当時から述べていた点であるが、経済合理性の有無だけでなく、制度趣旨も理解する必要がある。ヤフー・IDCF事件では、租税回避の範囲が広まったかのように言われているが、制度趣旨に反するような否認を受ける可能性があり得ないため、実務上は、ヤフー・IDCF事件前の対応でも問題ないと思われる。 2 株式譲渡損益とみなし配当 包括否認本の第2章では、①法人株主における受取配当金の認識、②みなし配当と株式譲渡損の両建て、③所得税額控除の3つについて解説を行った。 当時、解説を行わなかったのは、個人株主における株式譲渡益の認識である。すなわち、オーナー株主が自分の会社を売却する際には、配当所得ではなく、譲渡所得の方が有利である。このような譲渡所得により節税を図ることについて租税回避に該当するかどうかの解説は行わなかった。この点につき、本連載の【第17回】で解説したように、「会社ぐるみ譲渡ということが、もっとも簡便、合理的な方法ということができる」と判断されていることから、事業譲渡や会社分割よりも簡便、合理的な方法である株式譲渡の手法を租税回避と認定することはできないと考えられる。 さらに、①法人株主における受取配当金の認識については、二重課税の排除という受取配当等の益金不算入の制度趣旨の範囲内であれば、租税回避と認定することは困難であると解説した。また、③所得税額控除については、当時とほとんど税制が変わっていない。 これに対し、当時と税制が大きく変わったのは、②みなし配当と株式譲渡損の両建てである。グループ法人税制の導入により、自己株式の買取り、清算、現金交付型合併によりみなし配当と株式譲渡損の両建てを行うことが困難になった。そのため、現行法上、想定される租税回避はグループ法人税制の対象から外したうえで、自己株式の買取り、その他資本剰余金の配当、清算などを行う方法である。この点については、平成22年から現在に至るまでほとんど相談を受けていない。どうしても、グループ法人税制の対象から除外するという行為が不自然になり、事実認定により名義株として否認を受けてしまう可能性が残ってしまうからであると考えられる。 3 税制適格要件 包括否認本の第3章では、①意図的な非適格組織再編成の選択、②意図的な適格組織再編成の選択について解説を行った。このうち、①については、グループ法人税制の導入によりほとんど使えなくなってしまった。そのため、実務で受ける相談は、(ⅰ)完全支配関係のない内国法人に譲渡する、(ⅱ)自然人に譲渡する、の2つである。 このうち、前者については、グループ法人税制の対象から除外することができるかという論点がある。当初から完全支配関係が外れていればよいのであるが、含み損の実現のために完全支配関係を外した後に資産を譲渡するという方法は、かなり不自然な行為となってしまい、多くの場合において、真実の事実関係は完全支配関係が継続していると認定されてしまう可能性が高い。この点については、法的実質主義の範疇である。 これに対し、自然人への譲渡は当該自然人の資金調達能力の問題がある。法人税の実効税率が40%くらいであった頃は、オーナーの給料を引き上げたりすることで、なんとか売買代金を支払えるようにしていたが、法人税の実効税率が引き下げられてしまうと、オーナーの所得税が高く感じてしまい、あまり現実的ではなくなっているのかもしれない。 なお、IDCF事件は意図的な非適格組織再編成の選択に該当する事例である。IDCF事件は、通常であれば適格組織再編成に該当するものの、迂回取引により非適格組織再編成に該当させた事件である。本事件についての評釈は省略するが、迂回取引を行ったり、個別の要件に無理矢理当てはめることにより、税制適格要件を満たすようにしたり、満たさないようにしたりすることは、典型的な租税回避行為と言われている。 ここで留意が必要なのは、経済合理性の判断を組織再編成の目的で行わずに、目的を達成するための手段で行うべきであるという点である。すなわち、ヤフー事件でも、IDCF事件でも、組織再編成の目的そのものは存在したものの、それを達成するための手法が問題視されていることから、組織再編成全体に経済合理性があればよいという話ではないという点に留意が必要である。 そして、②意図的な適格組織再編成の選択については、当時とあまり変わっておらず、相対取引で100%子会社化を行ってから合併をしたとしても、そのような行為が行われることを前提として繰越欠損金の引継制限、特定資産譲渡等損失の損金不算入が規定されていることから、租税回避には該当しない旨の解説を行った。このことは、他の組織再編成についても同様のことが言える。 さらに、当時は、端株株式交換、全部取得条項付種類株式による少数株主の締出しについて解説を行った。当時と異なり、平成26年改正会社法により、株式併合や株式等売渡請求による少数株主の締出しが可能になったため、これらの手法を用いて少数株主を締め出したとしても、株式交換の脱法行為と認定される可能性はなくなったと言える。 そのため、迂回取引を行ったり、個別の要件に無理矢理当てはめることにより、税制適格要件を満たすようにしたり、満たさないようにしたりする場合を除き、税制適格要件に対する租税回避の議論は生じないと考えて差し支えないと思われる。 次回では、①欠損等法人、②適格合併による繰越欠損金の利用、③損失の二重利用について解説を行う予定である。 (了)
税務判例を読むための税法の学び方【99】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その27:「政令委任と租税法律主義④」) 立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘 ⑥ ネット通販商品保管等アパート・倉庫のPE認定事件 第一審 東京地裁平成27年5月28日(TAINS:Z888-1928) 控訴審 東京高裁平成28年1月28日(TAINS:Z888-2014) この事案は、裁判所HPで紹介されている。是非、入手の上、ご一読頂きたい。また、控訴審はこの命令への委任に関する点について判断を示していないため、ここに紹介するに留める。 原告は、所得税法上の非居住者として、アメリカ合衆国(以下「米国」という)から本邦に輸入した自動車用品を、インターネットを通じて専ら日本国内の顧客に販売する事業(以下「本件販売事業」という)を営んでいた。そして原告は、処分行政庁から、本件販売事業の用に供していた日本国内にあるアパート及び倉庫(以下、併せて「本件アパート等」という)は、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約(平成16年条約第2号。以下「日米租税条約」という)5条の規定する「恒久的施設」に該当し、原告は本邦において所得税を納税すべき義務があるとして、原告の平成17年分ないし平成20年分の所得税についての各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分を受けた。そこで、本件アパート等は恒久的施設に該当せず、原告が本邦において所得税を納税すべき義務はないとして、本件各処分の取消しを求めた事案である。 関係法令は以下のとおりである。 (A) 第一審の判断 このように、租税法律主義の点から実特法による白紙委任規定に基づく省令の課した事前届出書について、手続要件である点を否定した。しかし次に実体的要件の存否により判断すべきとして、以下の判示をする。 このように実体的要件からの判断により、恒久的施設に当たるとされて原告の主張は排斥されたのであるが、省令の付加した手続要件を無効と判断した重要な裁判例と評価し得よう。 (続く)
〈業種別〉 会計不正の傾向と防止策 【第5回】 「銀行業」 公認会計士・税理士 中谷 敏久 どのような業種業態か? 銀行業は法人あるいは個人からの預金を集め、その集めた資金を事業者に対しては事業用資金として、また個人に対しては住宅取得用資金として貸し付けて貸付金利息を得る一方、株式や債券などの有価証券に投資し運用利益を得ることを主たる業務としている。 貸付金利息及び有価証券運用益が一般事業会社の売上高に該当し、預金者に支払う利息が売上原価に相当する。そしてその差益から人件費、設備費などを負担している。したがって企業の設備投資などの資金需要が旺盛で株式市場が活況であれば必然的に収益は増えるものの、低経済成長期にあっては、経済情勢に比較してどの地域でも都市銀行、地方銀行、信用金庫などが飽和状態であり、銀行間の競争は激しい。 最近ではマイナス金利政策の影響もあり、営業店の統廃合や人員削減に取り組んでいる銀行も少なくない。以前は護送船団方式で国家に守られていたため銀行が倒産するなど考えもしなかったが、バブル崩壊後の金融危機を経て、金融自由化の中で生き残る銀行が選別されている状況である。 どのような不正が起こりやすいか? 銀行業務は国の経済政策に密接に関係しているため、他の業種に比べ公共性が非常に高い。したがって、健全な経営がなされるよう自己資本比率の規制が設けられている。国内業務のみを行う銀行は4%以上、国際業務も行う銀行は8%以上の自己資本比率を維持しなければならない。 この規制が不正を行う動機になる。なぜなら、この比率が未達の場合には、規制当局から業務改善命令などの早期是正措置を受けることになるからである。 1 貸倒引当金の過少計上 不正としてまず挙げられるのは、不適切な自己査定による貸倒引当金の過少計上である。 銀行は年に一度、保有する資産を自ら制定した自己査定マニュアルに基づいて評価しなければならない。保有する資産のうち、株式や債券などの有価証券は取引市場が確立しているために時価評価は比較的容易であるが、事業者等に対する貸付金の評価は個別事情を考慮しなければならないため非常に難しい。 具体的には、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により債務者を「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に区分する。また貸付金自体を「非(Ⅰ)分類」「Ⅱ分類」「Ⅲ分類」「Ⅳ分類」に分類する。この債務者区分と債権分類に基づいて、貸付金に対して設定すべき貸倒引当金を算出するのであるが、この中で特に「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」の区分に恣意性が入る余地が残されているのである。 確かに自己査定マニュアルは金融庁が検査時に用いる「金融検査マニュアル」を参考にして作成されており、「金融検査マニュアル」には判断基準がより具体的に示されてはいるものの、最終的に「要注意先」なのか「破綻懸念先」なのか「実質破綻先」なのかを決定する場合に、実務上微妙なケースが存在するのである。 貸倒引当金の引当率は各銀行によってまちまちであるが、仮に以下のような引当率になっている場合、要注意先と破綻懸念先とでは引当額に50%の差が生じ、破綻懸念先と実質破綻先では30%の差が生じることになる。 自己資本比率が4%ないし8%すれすれの場合、貸倒引当金の繰入額を抑えるために何とかして上位ランクの債務者区分にできないかと考え、甘い自己査定が行われるケースがある。 2 繰延税金資産の過大計上 もう一つの不正として、繰延税金資産の過大計上がある。 繰延税金資産とは、会計上で計上した費用が税務上はその会計期間の損金として認められない場合に、会計上と税務上の税額の差異を貸借対照表に計上するために設けられる科目である。先に説明した貸倒引当金も繰延税金資産の計上根拠の一つになる場合がある。 ただし、この資産は固定資産のように実体がある資産ではなく、あくまで税金費用の期間按分のために計上される一種の擬制資産である。したがって、将来的に利益(課税所得)が発生することが見込まれない場合には、繰延税金資産を計上することができない。さらに言えば、誰も断定することができない将来の利益(課税所得)予測額に、その計上根拠をもつのである。 当然この繰延税金資産も自己資本を構成するが、4%ないし8%の自己資本比率を維持するために、甘い将来利益予測に基づいて繰延税金資産を過大に計上したとすれば、それはまさしく会計不正であり粉飾といえる。 事例検証 貸倒引当金の過少計上については、1998年に経営破綻した日本長期信用銀行の事例がある。関連ノンバンクなどに対する不良債権を独自の基準で甘く査定し、貸倒引当金を約3,130億円過少に計上した。 また、繰延税金資産の過大計上については、2003年に実質国有化されたりそな銀行の事例がある。銀行は将来5年分の利益に対応する繰延税金資産の計上を主張したが、監査法人が3年分の利益に対応する繰延税金資産の計上しか認めなかったため、自己資本比率が2%台になり、国による公的資本注入並びに早期是正措置、業務改善命令が発動された。 不正の防止策 貸倒引当金の過少計上を防止するためには、マニュアルに基づいた適切な自己査定が必要であり、そのためには銀行自体による債務者の正しい経営実態の把握が欠かせない。 また、繰延税金資産の過大計上を防止するためには、楽観的な将来利益予測ではなく、ストレスを加味した慎重な利益計画の策定が必要である。 同様の不正が起こりうる業種業態は? 保険会社、JA、信用金庫、信用組合などの銀行以外の金融機関も自己資本比率の規制が設けられているため、同様の不正が起こりうると考えられる。 (了)