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〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第43回】「継続的取引の基本となる契約書⑤(産業廃棄物処理に係る契約書)」

筆者:山端 美德

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〈Q&A〉
印紙税の取扱いをめぐる事例解説

【第43回】

「継続的取引の基本となる契約書⑤(産業廃棄物処理に係る契約書)」

 

税理士・行政書士・AFP
山端 美德

 

【問】

当社は産業廃棄物処理業者です。産業廃棄物処理の場合、収集、運搬から処分に関する契約の形態によって印紙税の該当する所属が違うとのことですが、どのような取扱いになりますか。

 

【解答】

産業廃棄物処理の場合、契約の形態により、第1号の4文書(運送に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に分類される。

1 産業廃棄物収集・運搬委託契約(個別契約)

産業廃棄物の処理依頼者と収集・運搬業者との間で、産業廃棄物を排出場所から収集し処分場所へ運搬することを約する契約は、第1号の4文書に該当する(産業廃棄物の収集は運搬に付随するものであり、請負契約ではなく、全体が運送契約に該当する)。

2 産業廃棄物処分委託契約(個別契約)

産業廃棄物の処理依頼者と処分業者との間で、産業廃棄物を処分することを約する契約は、第2号文書に該当する。

3 産業廃棄物収集・運搬及び処分委託契約(個別契約)

①  収集・運搬及び処分業者が同一の場合

産業廃棄物の収集・運搬及び処分までの一連の作業を請け負う契約の場合は、原則として第2号文書に該当する。

ただし、収集・運搬と処分に係る金額が明確に区分されている場合には、収集・運搬と処分に係る契約は別の契約として、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、第1号の4文書か第2号文書のいずれか一方に該当する。

〈通則3のロによる所属の決定〉

② 収集・運搬と処分業者が別の場合

産業廃棄物を収集し、処分場所へ運搬する契約と処分をする契約が併せて記載されている三者契約は、第1号の4文書と第2号文書に該当し、通則3のロの規定により、契約金額の大きい方の号に該当する。

4 産業廃棄物収集・運搬及び処分に関する契約(基本契約)

産業廃棄物に係る契約は上記からのとおり、収集・運搬及び処分等の内容によって、第1号の4文書又は第2号文書に該当することとなるが、収集・運搬及び処分に関する2以上の取引を継続して行うために作成される契約書で、2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法等を定める文書は、第7号文書にも該当する(ただし、上記の場合であっても、営業者間以外の契約である場合、契約期間が3ヶ月以内で、更新の定めがあるものは第7号文書からは除かれる)。

この場合、通則3のイの規定により、記載金額があるかないかで、所属が判断される。

〈通則3のイによる所属の決定〉

 

[検討] 契約金額(記載金額)

記載金額については、契約書に記載されている排出予定数量に収集・運搬及び処分契約単価を乗じて算出した金額が記載金額となる。なお、予定数量等が記載されている文書の記載金額の計算は以下のとおり。

(例1) 記載された契約金額等が予定である場合

  • 排出予定(概算)数量・・・100㎡
  • 処分契約単価・・・ごみガラ1㎡あたり25,000円
    100㎥×25,000円=250万円

⇒ 予定(概算数量)が記載金額となる。

(例2) 記載された契約金額が最低数量又は最高金額の場合

  • 最低排出金額50万円
    ⇒ 記載金額50万円
  • 最高排出金額100万円
    ⇒ 記載金額100万円

 

▷ まとめ

産業廃棄物処理に関しては、収集・運搬及び処分の契約形態により、印紙税における文書の所属が異なる。関係団体等のひな形書式を使用した場合においても、排出数量や単価等が記入もれ等により所属が変わり税額が多くなってしまう場合もあるため、作成の際には留意願いたい。

(例)

◆産業廃棄物処分契約 1年契約

  • 排出予定数量:20㎥
  • 単価:20,000円
    ⇒ 第2号文書 記載金額:400,000円、印紙税額:200円

のところ、

  • 排出予定数量:空欄
  • 単価:20,000円

と記載

⇒ 契約金額が計算できないため、
第7号文書 記載金額:なし、印紙税額:4,000円

となる。

事例のような場合、契約時にある程度の排出予定数量がわかっているのであれば、予定数量を記載することによって、税額が少なくなることもある。

 

《参 考》

通則3(課税物件表の通則に関する通則)

イ 第1号又は第2号に掲げる文書と第3号から第17号までに掲げる文書とに該当する文書は、第1号又は第2号に掲げる文書とする。ただし。第1号又は第2号に掲げる文書で契約金額の記載のないものと第7号に掲げる文書とに該当する文書は、同号に掲げる文書とし、第1号又は第2号に掲げる文書と第17号に掲げる文書とに該当する文書のうち、当該文書に売上代金に係る受取金額(100万円を超えるものに限る。)の記載があるもので、当該受取金額が当該文書に記載された契約金額(当該金額が2以上ある場合には、その合計額)を超えるもの又は契約金額の記載のないものは、同号に掲げる文書とする。

ロ 第1号に掲げる文書と第2号に掲げる文書とに該当する文書は、第1号に掲げる文書とする。ただし、当該文書に契約金額の記載があり、かつ、当該契約金額を第1号及び第2号に掲げる文書のそれぞれにより証されるべき事項ごとに区分することができる場合において、第1号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額(当該金額が2以上ある場合には、その合計額。以下このロにおいて同じ。)が第2号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額に満たないときは、同号に掲げる文書とする。

通則4

ホ 次の(1)から(3)までの規定に該当する文書の記載金額については、それぞれ(1)から(3)までに定めるところによる。

(1) 当該文書に記載されている単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるときは、その計算により算出した金額を当該文書の記載金額とする。

【凡例】

  • 通則・・・印紙税法別表第1課税物件表の適用に関する通則

(了)

「印紙税の取扱いをめぐる事例解説」は、隔週で掲載されます。

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筆者紹介

  • 山端 美德

    (やまはた・よしのり)

    税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)

    国税庁事務管理課、東京国税局消費税課等を経て
    2008年 税理士登録
    2010年 行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)登録

    【著書等】
    ・『文書類型でわかる 印紙税の課否判断ガイドブック』(清文社) 本誌連載を単行本化!!
    ・『徹底ガイド 国税 税務申請・届出手続のすべて』共著(清文社)
    ・『間違うと痛い!! 印紙税の実務Q&A』共著(大蔵財務協会)
    ・『税制改正経過一覧ハンドブック』 共著(大蔵財務協会)
    ・『経営に活かす税務の数的基準』 共著(大蔵財務協会)
     

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