平成26年1月から施行される 「国外財産調書制度」の実務と留意点 【第7回】 税理士法人トーマツ パートナー 税理士 小林 正彦 (第2章 制度の詳細な内容) 2-6 修正申告等があった場合の加算税の計算方法 調査により修正申告等(更正・決定を含む)が行われた場合の「加算税の計算の基礎となる所得税額又は相続税額」の計算方法は、次のとおりである(送金等法6①②)。 【計算例1】 国外財産に係るもののみの場合 (想定) ・当初申告税額:1,000,000円 ・修正申告により追加納付すべき税額:800,000円 (計算) 通常の過少申告加算税の額=以下のA+B=80,000円 A・・・追徴本税額のうち50万円と当初申告税額のいずれか多い額を超える部分×15%=(800,000-1,000,000)×15%=負の数→ 0円 B・・・上記以外の部分=800,000×10%=80,000 ●加重する場合の加算税額=80,000+800,000×5%=120,000円 ○軽減する場合の加算税額=80,000-800,000×5%= 40,000円 【計算例2】 国外財産部分、それ以外の部分、 及び隠ぺい・仮装部分がある場合 (想定) ・当初申告税額:1,000,000円 ・修正申告等により追加納付すべき金額:800,000円 ・(イ)国外財産に係る事実以外の事実のみと仮定した場合の税額(隠ぺい・仮装部分は除く):300,000円 ・(ロ)隠ぺい・仮装部分の税額:100,000円 (計算) 800,000-隠ぺい・仮装部分(100,000)=過少対象部分(700,000) 通常の加算税の額 ・重加算税:100,000×35%=35,000 ・過少申告加算税:以下のA+B=60,000 A・・・700,000のうち、50万円と当初申告税額のいずれか多い額を超える部分×15%=(700,000-1,000,000)×15%=負の数→ 0 B・・・上記以外の部分=(700,000-100,000)×10%=60,000 ∴通常の加算税の額=35,000+60,000=95,000 国外財産に係る追徴本税額=800,000-100,000-300,000=400,000 ●加重する場合の加算税額=95,000+400,000×5%=115,000円 ○軽減する場合の加算税額=95,000-400,000×5%= 75,000円 【計算例3】 加重部分と減額部分の両方がある場合で、 重加算税対象がない場合 (想定) ・当初申告税額:1,000,000円 ・修正申告等により追加納付すべき金額:800,000円 ・(イ)追徴本税額中、国外財産を記載していなかった部分:200,000円 ・(ロ)同上中記載していた部分:600,000円 (計算) 通常の加算税の額 A・・・800,000のうち、50万円と当初申告税額のいずれか多い額を超える部分×15%=(800,000-1,000,000)×15%=負の数→ 0円 B・・・上記以外の部分=(800,000-0)×10%=80,000 ∴通常の加算税の額=A+B=80,000 ●加重部分の加算額=200,000×5%=10,000円 ○軽減部分の減算額=600,000×5%=30,000円 ∴合計加算税額=80,000+10,000-30,000=60,000円 【計算例4】 加重部分と減額部分が両方あり、 かつ、重加算税対象がある場合 (想定) ・当初申告税額:1,000,000円 ・修正申告等により追加納付すべき金額:800,000円 ① 加重措置が適用される国外財産に係る事実、及び国外財産に係る事実以外の事実のみに基づいて修正申告等があったものと仮定して計算した場合に算出される所得税額:300,000円 ② 加重措置が適用される国外財産に係る事実(重加算税対象を除く)のみに基づいて修正申告等があったものと仮定して計算した場合に算出される所得税額:100,000円 ③ 国外財産に係る事実以外の事実のみに基づいて修正申告等があったものと仮定計算した場合に算出される所得税額:100,000円 ④ 隠ぺい・仮装による重加算税対象本税:100,000円 (注)*は結果として算出される金額 (計算) 通常の加算税の額:95,000円 ←【計算例2】と同じ 【手順1】 加重措置対象の計算 ①(300,000)-②(100,000)=200,000・・・X 【手順2】 減額措置対象の計算 800,000-(X(200,000)+③(100,000)+④(100,000))=400,000円→ ⑤ ●加重部分の加算額=200,000×5%=10,000円 ○軽減部分の減算額=400,000×5%=20,000円 ∴合計加算税額=95,000+10,000-20,000=85,000円 ※次ページ(参考資料)へ 参考資料 【本法】(下線は筆者) 【施行令】(下線・緑色字による強調は筆者) 【施行規則】 (了)