値上げの「理屈」
~管理会計で正解を探る~
《延長戦》
-値上げ交渉編-
【第1回】
「すぐに値上げ交渉をするべき取引はどれ?」
公認会計士 石王丸 香菜子
日銀の発表によると、2022年11月の国内企業物価指数(企業間で売買される物品の価格変動を示す指標)の速報値は前年同月と比べて9.3%上昇しています。2020年の平均値を100とした場合、2022年11月の指数は118.5であり、企業間で取引される商品の価格は急上昇していることがわかります(※1)。一方で、2022年5月~6月に中小企業庁が中小企業等を対象に実施したアンケート調査によれば、コスト上昇分の販売価格への転嫁は進んでいないことが明らかになっています(※2)。
一般消費者を対象とする取引(BtoC)では、値上げをすることにより販売量が減少する可能性はあるものの、そのリスクを企業が取れば値上げに踏み切ることが可能です。一方、企業間の取引(BtoB)については、値上げ交渉が難しい場合が多いことが想定されます。
そこで、「値上げの理屈」の延長戦として、管理会計の視点から、企業間取引における値上げ交渉に役立つ内容を取り上げます。PNガーデン社のリミちゃんたちと一緒に、値上げ交渉に取り組みましょう!
(※1) 日本銀行「企業物価指数(2022年11月速報)」
(※2) 中小企業庁「価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果について」
* * *
登場人物
PNガーデン社は、園芸資材やガーデニング用品の製造・販売などを手がける会社です。PNガーデン社の経営企画室では、入社2年目のリミちゃんがパソコンに向かっています。
〈リミちゃん〉
法人事業部門は今月も赤字だわ。
〈ノハラ社長〉
やあ、リミちゃん!
先月の月次データはもうできているかな?
〈リミちゃん〉
はい。法人事業部門はまた赤字なんです。
私が入社した直後はそんなことなかったのに・・・。
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