公開日: 2016/01/14 (掲載号:No.152)
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[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第7回】「グループ企業への具体的な関与(その1)」~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~

筆者: 遠藤 元一

[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第7回】

「グループ企業への具体的な関与(その1)」
~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~

 

弁護士 遠藤 元一

 

1 最優先で取り組むべき法令遵守態勢の整備

【第4回】で紹介したリスクベース・アプローチによる対応、すなわち

  • 【リスクの影響の大きさ】・・・リスクが発生した場合に会社その他に及ぼす損害の深刻さ・程度
  • 【発生頻度】・・・リスクが実際に発生する確率・頻度

を考慮して優先順位を付け、優先順位の高いリスクに重点を置いてメリハリをきかせたリスクのコントロール(リスクの発生の防止・低減等)対応策を検討する場合に、『法令遵守態勢の整備』を最優先で取り組むべきであるという点に、読者諸氏も異論はないところであろう。

法令違反を犯すと、所轄官庁によるエンフォースメント、(上場企業の場合は)取引所による制裁措置、さらに株主や取引先から損害賠償請求訴訟を提起されるリスクもある等、企業価値を著しく毀損する可能性があるからである。

そこで今回は、グループ企業における法令遵守態勢の整備について解説する。

 

2 親会社による統一的な社内ポリシーや規定類の策定・導入及び更新

法令遵守態勢を整備するには、法令遵守に関連する社内ポリシーや規定類の策定・導入がその出発点となる。

社内ポリシーや規定類の策定・導入については、基本的に親会社が統一的なフォーマットを策定・準備し、それをグループ企業に属する子会社に適用・展開させることが原則である。

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[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第7回】

「グループ企業への具体的な関与(その1)」
~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~

 

弁護士 遠藤 元一

 

1 最優先で取り組むべき法令遵守態勢の整備

【第4回】で紹介したリスクベース・アプローチによる対応、すなわち

  • 【リスクの影響の大きさ】・・・リスクが発生した場合に会社その他に及ぼす損害の深刻さ・程度
  • 【発生頻度】・・・リスクが実際に発生する確率・頻度

を考慮して優先順位を付け、優先順位の高いリスクに重点を置いてメリハリをきかせたリスクのコントロール(リスクの発生の防止・低減等)対応策を検討する場合に、『法令遵守態勢の整備』を最優先で取り組むべきであるという点に、読者諸氏も異論はないところであろう。

法令違反を犯すと、所轄官庁によるエンフォースメント、(上場企業の場合は)取引所による制裁措置、さらに株主や取引先から損害賠償請求訴訟を提起されるリスクもある等、企業価値を著しく毀損する可能性があるからである。

そこで今回は、グループ企業における法令遵守態勢の整備について解説する。

 

2 親会社による統一的な社内ポリシーや規定類の策定・導入及び更新

法令遵守態勢を整備するには、法令遵守に関連する社内ポリシーや規定類の策定・導入がその出発点となる。

社内ポリシーや規定類の策定・導入については、基本的に親会社が統一的なフォーマットを策定・準備し、それをグループ企業に属する子会社に適用・展開させることが原則である。

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連載目次

「[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ」(全12回)

  • 【第1回】
    子会社の不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト
    ~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~
    (遠藤元一)
  • 【第2回】
    周辺エリアで生じやすい不祥事
    ~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
    (松澤公貴)
  • 【第3回】
    子会社管理についての判例・裁判例と平成26年改正会社法の影響
    ~グループ企業経営が会社法の本体に格上げされたことで親会社の責任はどのように変わるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第4回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)
    ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第5回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その2)
    ~リスクベースドアプローチの重要性~
    (遠藤元一)
  • 【第6回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)
    ~早期不正対処の重要性~
    (松澤公貴)
  • 【第7回】
    グループ企業への具体的な関与(その1)
    ~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第8回】
    グループ企業への具体的な関与(その2)
    ~リスク管理に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第9回】
    グループ企業への具体的な関与(その3)
    ~監査機能の課題と重要性①~
    (松藤 斉)
  • 【第10回】
    グループ企業への具体的な関与(その4)
    ~監査機能の課題と重要性②~
    (松藤 斉)
  • 【第11回】
    グループ企業への具体的な関与(その5)
    ~グループ内部通報が親会社を救う~
    (遠藤元一)
  • 【第12回】
    海外子会社の内部統制システムとコンプライアンス強化
    ~親会社視点での国内子会社との相違点・留意点等~
    (遠藤元一)

筆者紹介

遠藤 元一

(えんどう・もとかず)

弁護士
東京霞ヶ関法律事務所 パートナー弁護士(第二東京弁護士会)
立教大学法科大学院講師

東京大学法学部卒。

指定住宅紛争処理機関紛争処理委員、社団法人グローバルビジネスロー研究会理事を務める。
日本私法学会、日本内部統制研究学会、著作権法学会等所属。

主な取扱分野は、倒産法、危機管理対応、コーポレート・ガバナンス関連、監査・会計と法律との業際問題、国内訴訟事件、企業法務全般、講演活動等。

【主な著作】
・『循環取引の実務対応』(民事法研究会、2012)
・『倒産と担保・保証』(共著・商事法務、2014)
・『会計不正 平時における監査役の対応』(共著・LABO、2015)
・「『監査における不正リスク対応基準』が取締役に及ぼし得る影響(上)(下)」旬刊商事法務2023、2024号(2014)

関連書籍

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

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