組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第10回】「資産調整勘定の計上(東京地裁平成26年3月18日判決)②」
前回で解説したように、本事件における争点は以下の2点である。
① 法人税法132条の2の意義【争点1】
(ⅰ) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈について
(ⅱ) 「その法人の行為又は計算」の意義について
② 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】
【争点1】については、第1回目から第8回目に解説した内容と変わらないため、本稿においては【争点2】についてのみ解説を行う。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第10回】「匿名組合の配当金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」
当社は、匿名組合を組成し、不動産ファンドを運営しています。匿名組合の組成にあたり、A社から5,000万円、B社から3,000万円を出資してもらい、不動産を購入しました。匿名組合の営業者は当社、匿名組合員はA社とB社の2社です。当社、A社、B社は、いずれも内国法人です。不動産ファンドの業績は好調で、匿名組合契約に基づき、9月30日にA社に50万円、B社に30万円の配当金を支払う予定です。
匿名組合の配当金から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。
〈条文解説〉地方法人税の実務 【第8回】「これまでのまとめ」
地方法人税額について、「(1)外国税額控除の規定の適用を受ける場合」、「(2)仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の控除の規定の適用を受ける場合」には、「(1)外国税額控除」「(2)仮装経理に基づく控除」の順に、それぞれ地方法人税から控除する。
税務判例を読むための税法の学び方【44】 〔第6章〕判例の見方(その2)
よく「判例は〇〇説をとっている」というような表現を耳にすることがある。こういう場合の「〇〇説」は抽象的な概念のはずである。しかしながら「判例」とは本来は具体的なものであって、抽象的なものではない。
経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第19回】「特定同族会社の特別税率」
Q 当社は資本金額1億5,000万円の内国法人(3月決算)で、特定同族会社に該当します。当事業年度(平成26年3月期)における所得等の金額は次のとおりです。
特定同族会社に該当した場合、所得の金額に対する法人税のほかに、留保した所得等の金額に対して、特別税率による法人税が課税されると聞きました。
特定同族会社の特別税率について教えてください。
なお、留保金額は63,384,300円、留保控除額は30,020,000円です。
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第9回】「連結キャッシュ・フロー」
今回は、連結キャッシュ・フローを解説する。
貸借対照表は企業の財政状態を表す。損益計算書は企業の経営成績を表す。一方、キャッシュ・フロー計算書は企業の資金の流れの状況を表す。
キャッシュ・フロー計算書を作成することで、資金の流れの状況を把握する以外にも、黒字倒産(利益は出ているが、売掛金等の回収がされず、資金繰りに窮して倒産すること)の兆候を把握することができる。
連結財務諸表作成会社では、キャッシュ・フロー計算書は連結のみで作成するため、本フロー・チャートでは、「連結」キャッシュ・フロー計算書について解説する。
減損会計を学ぶ 【第17回】「減損損失の測定」~正味売却価額と使用価値~
減損会計における次のステップとして、減損損失の測定があり、減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とすることとされている(減損会計基準、二3)。
減損損失の測定のポイントは、回収可能価額の算定、すなわち正味売却価額の算定と使用価値の算定にあると解される。
日本の企業税制 【第11回】「法人税改革は2段階で」
問題は、数年で20%台の具体化であるが、経団連では、平成27年度から平成29年度までの3年間で20%台を確保し、さらに25%を目指すことを提言している。いわば『2段階方式』であるが、なぜ、このような主張であるのかを解説しておきたい。
マンション保有者のための相続税対策とその留意点 【第1回】「既存のマンション保有者が検討すべき対策」
特に近年では、購入代金のうち建物部分の比率の占める割合の高い都心の高層マンションを取得することで、評価の低い建物に組み替えて財産の評価額を減らし節税をはかることを検討しているケースもあるようだ。
このような背景を踏まえ、本稿では相続税対策を中心に居住用・投資用を目的とした区分所有によるマンション保有者または購入検討者に焦点を当てた税金対策について、①既存のマンション保有者と②購入検討者に分け、全2回にわたり解説する。