改めて確認したいJ-SOX 【第5回】「「業務プロセスに係る内部統制の評価」のための6つのステップ」
いよいよ、本稿からJ-SOXの核となる論点に入ります。
今回のテーマは「業務プロセスに係る内部統制の評価」です。
財務報告に係る内部統制の有効性は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえて業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を決定し、業務プロセスに係る内部統制の有効性を評価した結果をもとに、最終的に財務報告に係る内部統制が有効であるかどうかを評価します。したがって、業務プロセスに係る内部統制の評価は、財務報告に係る内部統制の有効性に直結する重要なテーマです。
それでは、詳細をみていきましょう。
改めて確認したいJ-SOX 【第4回】「5W1Hで理解する「全社的な内部統制の評価」」
前回は、内部統制の評価範囲をどのように決定するかについて説明しました。
その中で、内部統制の有効性を評価するにあたっては、まず、全社的な内部統制を評価し、その結果を踏まえて業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を決定し、有効性を評価することに触れました。
これはいわゆる「トップダウン型のリスク・アプローチ」というもので、内部統制の有効性評価の成否は全社的な内部統制の評価にかかっていると言っても過言ではありません。
一方で、全社的な内部統制は、業務プロセスに係る内部統制と比べて抽象的となる上、実務上は「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(以下、「実施基準」という)で例示されている42項目をチェックリストに見立てて確認していく(評価する)ことが業務の中心となるため、“何をやっているのかよくわからない”といった感想を抱いている担当者の方も多いのではないでしょうか。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第88回】ホシザキ株式会社「第三者委員会調査報告書(2019年5月5日付)」
2018(平成30)年9月24日、ホシザキの連結子会社であるホシザキ東海株式会社(以下「ホシザキ東海」と略称する)の代表取締役は、ホシザキ東海エリア営業部の一部の営業担当者が不適切なリース取引や架空発注等の取引行為(本件取引行為)を行っている可能性がある旨の内部通報を受け取った。
ホシザキとホシザキ東海では、約1ヶ月かけて、本件取引行為の実態を調査するためホシザキ東海の従業員及び協力業者にヒアリング調査等を実施したところ、ホシザキ東海において、複数の営業担当者により実態のない工事発注や不適切なリース取引等の不適切な取引行為が行われていたことが判明した。
こうした初動調査を経て、社外有識者を主要メンバーとする社内調査委員会が設置されることとなった。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第87回】株式会社スペースバリューホールディングス「第三者委員会調査報告書(2019年4月11日付)」
SVHは、調査開始から第三者委員会設置までの間に3度、適時開示を行っている。特徴的なことは、特別調査委員会が調査を開始してから約1ヶ月後に、調査の対象範囲が拡大されて、最後は、第三者委員会にほぼフリーハンドの「件外調査」を行うことを認めた点である。
時系列に沿って、問題となった事案を見ておきたい。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第86回】社会福祉法人明照会「第三者調査委員会調査報告書(2019年3月29日付)」
社会福祉法人明照会(以下「明照会」と略称する)は、1992(平成4)年2月設立。介護保険事業、公益事業、委託事業を兵庫県伊丹市、宝塚市及び尼崎市内で営む。現在は、兵庫県により選任された役員(一時理事)のもとで運営されている。法人本部所在地は兵庫県伊丹市。
改めて確認したいJ-SOX 【第3回】「内部統制の評価範囲の決定方法」
上場会社の経営者は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制について評価し、評価結果を公表しなければなりません。財務報告に係る内部統制の有効性は、財務報告そのものの信頼性に影響するため、財務報告に関連する内部統制はすべて評価することが望ましいでしょう。
しかし、現実にはそのような実務は行われておらず、「重要」と考えられる内部統制だけを評価しています。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第85回】テラ株式会社「第三者委員会調査報告書(2018年9月12日付)」
2018(平成30)年8月10日付の「第三者委員会設置及び平成30年12月期第2四半期決算発表延期に関するお知らせ」の中で、テラは、設置の経緯について、以下の2点につき、代表取締役を除く取締役及び監査役会から、深度ある調査の必要性を指摘されたため、と説明している。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第84回】株式会社日住サービス「第三者委員会報告書(平成31年1月31日付)」
日住サービス第三者委員会(以下「委員会」と略称する)による報告書(以下「報告書」と略称する)から、日住サービス前取締役経理部長X氏による不正が発覚するまでの経緯を、2018年9月以降、時系列に沿ってまとめておきたい(報告書p.43以下「X氏の不正発覚に至る具体的な経緯」より抜粋)。
改めて確認したいJ-SOX 【第2回】「「内部統制」を構成する6つの基本的要素」
例えば、読者のあなたが個人商店を営んでいたとしましょう。あなたは社長であり、お店はあなた1人で切り盛りしているという設定です。
この場合、お店の行動と社長の行動が一致し、お店を社長が自在に操れるということになります。