[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第8回】「グループ企業への具体的な関与(その2)」~リスク管理に係る基本的・具体的アプローチ~
今回は、グループ企業の一社に、アパレルメーカーとの間で衣料品の販売を受託する繊維製品の流通商社がある場合を例に、リスクベース・アプローチによるリスク管理の手法を具体的に検討してみよう。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第7回】「グループ企業への具体的な関与(その1)」~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~
法令遵守態勢を整備するには、法令遵守に関連する社内ポリシーや規定類の策定・導入がその出発点となる。
社内ポリシーや規定類の策定・導入については、基本的に親会社が統一的なフォーマットを策定・準備し、それをグループ企業に属する子会社に適用・展開させることが原則である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第41回】株式会社マツモトキヨシホールディングス「調査委員会調査報告書(平成27年11月11日付)」
イタヤマ・メディコ元社長の供述によると、最初に改竄データを作成して棚卸資産の架空計上を行ったのは平成15年3月期であり、調査委員会の入手した資料でも、同期において104百万円の差が発生していることを確認できたため、不正の開始時期は平成15年3月期であり、その後、発覚するまで12年以上、続けられていたことになる。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第6回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)」~早期不正対処の重要性~
会社組織を人間の身体に例えるならば、不祥事は身体に侵入した新種の「ウイルス」と言っても過言ではない。すなわち、子会社で不祥事が発覚した場合には、ウイルスの感染活動は本当に収まったのか、ウイルスの活動の痕跡の確認を行って、早期の点検と被害低減に取り組む必要がある。
本稿では、筆者の経験上、子会社の不祥事の発生につき、どのように早期の対処を実施するのかをご紹介したい。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第5回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その2)」~親会社はグループ会社のリスク管理にどのように関与するのか?~
事業活動は多様なリスクを伴う。市場リスク(為替リスク、金利変動その他、企業が保有する資産価値、原材料・資金の調達コスト等に影響を与えるリスク)、信用リスク(企業、業種、地域、国)、流動性リスク、プロダクトマーケット・リスク、コンプライアンスリスク(法令等が遵守されないリスク)、自然災害・天候災害(地震、台風、津波、大雪、長雨等)、インシデント(事故、情報漏洩、大規模テロ)等、企業の事業活動はこれらの多様なリスクに晒されている。
今回は、親会社によるグループ会社のリスク管理を検討してみよう。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第4回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」 ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~
親会社は、親会社の企業理念・価値観に基づいて経営を行う必要から、コード・オブ・コンダクト(行動規範)を策定し、グループ会社にも親会社の企業理念・価値観を共有してもらうことがグループ会社経営の出発点となる。
そしてその次に問題となるのは、「どのようにグループ会社を管理すべきか」である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第40回】株式会社東芝「役員責任調査委員会調査報告書(平成27年11月9日付)」
株式会社東芝(以下「東芝」という)は、平成27年11月7日「役員責任調査委員会の調査報告書の受領及び当社元役員に対する損害賠償訴訟の提起並びに米国における訴訟等に関するお知らせ」と題するリリースを公表、週が明けた9日には役員責任調査委員会の調査報告書を公表した。
本稿では、東芝が、平成27年9月7日に過年度決算の修正を発表した後、元取締役5名に対する損害賠償請求に至った経緯を確認したうえで、報告書における役員の責任追及について検討することとしたい。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第3回】「子会社管理についての判例・裁判例と平成26年改正会社法の影響」~グループ会社が会社法本体に格上げされたことが子会社管理責任にどう影響するのか~
親会社の子会社管理責任に関して判例・裁判例はどのような判断枠組みを採っているのか。次のとおり整理することができる。
親会社取締役の責任を認めたのは完全親会社が完全子会社の自己株式を所得させた事案(最判平5・9・9民集47巻7号481頁、東京高判平6・8・29)などに限られ、それ以外にこれを肯定した判例・裁判例は存在しないとされる。しかし、このほかにも、親会社および親会社取締役の子会社管理が争点となった裁判例としていくつかの裁判例がある。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第39回】株式会社SJI「社外委員会検証報告書(平成27年8月7日付)」
株式会社東芝の会計不正事件は、役員の責任をどう追及するかという局面を迎えているところであるが、昨年10月、元代表取締役による資金流用問題が表面化した株式会社SJIにおいては、社外委員会による役員の法的責任の認定、元取締役との間の和解が公表されている。
今回は、SJI第三者委員会による事実認定、東京証券取引所・証券取引等監視委員会の処分、SJI社外委員会による責任認定といった一連の流れを検証したい。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第2回】「周辺エリアで生じやすい不祥事」~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
企業不祥事は、会社資産の横領・背任といった財産犯罪、財務報告の虚偽記載(粉飾決算、脱税や違法な租税回避行為)、贈賄やカルテル・談合等の違法行為、ハラスメント行為や残業代不払い等の労働問題、知的財産や会社情報の漏えい問題、安全・環境に関する問題等様々存在する。本稿では、筆者の経験上子会社の不祥事の発生につき、特に親会社の不祥事とは異なる発生要因をご紹介したい。