中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第17回】「2つ以上の年金が受給できるときの調整」
年金は、一人につき、一つの年金を受給することが基本である。したがって2つ以上の年金が受給できるときは、どちらか一方を選択することになる。
ただし、支給事由が同じものは、両方の年金が受給できる。たとえば、国民年金から支給される老齢基礎年金と厚生年金保険から支給される老齢厚生年金は、「老齢」という同じ事由で支給されるものなので、両方の年金が受給できる。
しかし、遺族厚生年金等の遺族の年金と老齢厚生年金等の老齢の年金は、「遺族」と「老齢」という異なる事由で支給されるため、どちらか一方しか受給できない。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第12回】「離縁の無効・取消し」
協議離縁が有効に成立するためには、当事者間に離縁の意思の合致がなければならない。「離縁意思」とは、無条件・無期限に養親子関係を解消する意思、すなわち社会通念上、法定の親子と認められている関係を、以後永久に消滅させようとする意思をいう。
常識としてのビジネス法律 【第29回】「知的財産権入門(その2)」
権利侵害の成立要件(侵害ワンツースリー)は、次の3要件である。
[要件1] 有効な特許権の存在
[要件2] 無権限の実施行為
[要件3] 実施行為が特許権の権利範囲に入ること
企業の不正を明らかにする『デジタルフォレンジックス』 【第2回】「デジタルフォレンジックスの効果と限界」~何ができて何ができないのか?~
依頼者側にはほとんど認識されていないデジタルフォレンジックスを難しくする要因の筆頭に挙げられるのが、ハードディスクの暗号化に代表されるセキュリティ対策である。
妙な話に聞こえるかもしれないが、デジタルフォレンジックスによって得られる情報の量は、セキュリティの高さに反比例している。
これは、主に2つの観点からの議論となる。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第4回】「免震ゴムのデータ偽装事件」
2015年10月14日、ゴム会社T社が、防振ゴムでのデータ偽装を公表した。同年3月15日に公表された免震ゴムでのデータ偽装を受けて、全製品の緊急監査を行い、同年8月10日に「正規品が出荷されていることを確認」と発表した後のことであった。T社は、2007年にも、断熱パネルのデータ偽装で社長が引責辞任している。
今回は、2007年の断熱パネル事案、2015年3月の免震ゴム事案、2015年10月の防振ゴム事案をそれぞれ比較して、なぜ、異なるタイミングで問題が発覚したのか、コンプライアンス上の問題点を分析したい。
社外取締役の教科書 【第11回】「社外取締役としての法的責任(その3)」
上記の最高裁判決は、会社の業務執行に関する取締役の監視・監督義務を広く認めたリーディング・ケースであり、現在でも、広く引用される判例である。
事案を見れば、C・Dの義務違反は明白であろう。取締役でありながら、取締役会も株主総会も開かれない状態のまま放置し、Bの独断的な業務執行につき何らの監視・監督も行っていなかったからである。
同じく「株式会社」と名乗る会社であっても、一部上場企業から街場の家族的な中小企業まで、その実態は千差万別である。
税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第7回】「具体的な資金調達支援の流れ(その4)」~社長の理解を助けて存在感を出す~
金融機関側に提出する書類は、事業計画書、資金繰り表、決算書、定款、その他登記簿謄本等である。このうち計数関係の資料作成について、税理士は支援できると前回説明した。その次に行う支援は、書類全体の整合性チェックである。作成者である会社、社長とは別の者によるチェックの方が、矛盾点等を発見しやすい。そこで、税理士がチェックを行う。今回はこの点を解説していく。
パフォーマンス・シェア(Performance Share)とリストリクテッド・ストック(Restricted Stock)~経済産業省報告書で示された「2つの新しい株式報酬」~ 【第3回】「導入への課題と今後の動向」
パフォーマンス・シェアやリストリクテッド・ストックは、株式取得目的のために役員に対して金銭報酬を支給し、当該金銭を原資として株式を取得する形式をとる。したがって、仮に法的問題をひとまず置いたとしても、法人税法上は役員報酬であるため、法人税法上の損金算入規制を受ける。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第16回】「遺族給付(2)」-遺族厚生年金-
厚生年金保険に加入していた人やすでに老齢厚生年金を受給している人が死亡したときには、一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。したがって、厚生年金保険に加入していた法人の役員等もその対象になる。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第11回】「養子縁組の取消し」
養子縁組が取り消される原因としては、
① 養親が未成年者である縁組の場合(民804)
② 養子が尊属または年長者である縁組の場合(民805)
③ 後見人、被後見人間の無許可縁組の場合(民806)
④ 配偶者の同意のない縁組の場合(民806の2)
⑤ 子の監護をすべき者の同意のない縁組の場合(民806の3)
⑥ 養子が未成年者である場合の無許可縁組の場合(民807)
⑦ 詐欺または脅迫による縁組の場合(民808・747)
が法定されており、養子縁組が取り消されるのは、これらの場合に限られる(民803)。