〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例55】株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス「大原孝治前代表取締役の逮捕について」(2020.12.3)
今回取り上げる開示は、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが2020年12月3日に開示した「大原孝治前代表取締役の逮捕について」である。タイトルどおり、同社の前代表取締役である大原孝治氏が逮捕されたという内容である。
なお、「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」という社名は馴染みが薄いかもしれないが、ディスカウントストアのドン・キホーテの運営を主たる事業としている会社である。2019年に「株式会社ドンキホーテホールディングス」から現在の社名に商号を変更している(2018年10月11日に「商号の変更のための定款の一部変更及び役員の異動に関するお知らせ」を開示)。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第13回】「争いが生じやすい中古建物の評価」~鑑定評価で重視される市場性の観点~
前回、貸宅地(鑑定評価でいえば底地)の評価をめぐる税務の常識と鑑定評価の常識の相違について取り上げましたが、建物に関してもそれぞれの常識との間に隔たりが存在するケースがあります。それは中古建物の評価に係る場合です。
〈知識ゼロからでもわかる〉ブロックチェーン技術とその活用事例 【第2回】「ブロックチェーンの技術と特徴」
ブロックチェーンは、取引記録が全てブロックの中に入っており、それらがチェーンによって繋がって今までの全ての取引が記録されていることになる。ブロックチェーンをより理解するために、ブロックチェーンに活用されている技術や使用される専門用語を今回は概説する。
ハラスメント発覚から紛争解決までの企業対応 【第10回】「ハラスメントの事前防止策と再発防止策」
拙稿第2回から第9回においては、ハラスメント事案が発生した後に会社がとるべき対応策や手続の流れについて説明した。本稿においては、そもそもハラスメントを発生させないための事前防止策と再発防止策について述べる。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第13回】「退職した税理士との業務委託契約」
当事務所で勤務していた税理士が都合により退職することとなりました。長年勤務していたこともあって、担当していた顧客からの信頼も厚く、新たな担当者への引き継ぎができるまで、当面の間、一部の顧客を引き続き担当してもらいたいと考えています。
業務を委託する契約を締結しようと思いますが、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例30】「借家人が行方不明の空き家の残置物件の処理」
私は、Ⅹ氏に所有物件を賃貸していましたが、ある時期からⅩ氏の行方が分からなくなり、連絡もつかなくなりました。その後、賃料の支払いも滞るようになり、半年以上が経過しました。窓ガラスから室内をのぞき見ると、ガラクタのような物件が散乱していました。いつまでも空き家の状態にしておくと賃料収入が得られないので、契約を解除して室内を掃除したいのですが、どのような方法があるでしょうか。
〈知識ゼロからでもわかる〉ブロックチェーン技術とその活用事例 【第1回】「ブロックチェーンの基礎知識」
ブロックチェーンは、全ての取引履歴を信頼性のある形で保存し続けるための技術であり、透明性が高く、データの改ざんが極めて難しく、かつ仕組みが停止する可能性が極めて低い等の利点があることが実証されている。
株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、世界のブロックチェーン市場規模は、2020年の30億米ドルから、2025年までに397億米ドルまで拡大し、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は67.3%との予測がされている。予測からもわかるように、ブロックチェーン技術は、暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが生まれてから実際に活用され、その利便性から暗号資産(仮想通貨)以外においても、徐々に我々の日常に浸透してきており、今後も必要な技術であることがうかがえる。
本連載では、「ブロックチェーン」技術の特徴などを簡潔に説明し、暗号資産(仮想通貨)以外のあらゆる業界への応用が始まっているブロックチェーンの活用事例を紹介しながら、概説を行うこととする。
社外取締役と〇〇 【第9回】「社外取締役と役員報酬」
取締役の報酬の決定においては、株主との利益相反が生じる。そこで、会社法上、指名委員会等設置会社においては、取締役の個人別の報酬の決定は、社外取締役が過半数を占める報酬委員会において行うことが義務付けられている(会社法404条3項、400条3項)。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例54】株式会社島忠「株式会社ニトリホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及び同社との間の経営統合契約の締結に関するお知らせ」(2020.11.13)
今回取り上げる開示は、株式会社島忠(以下「島忠」という)が2020年11月13日に開示した「株式会社ニトリホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及び同社との間の経営統合契約の締結に関するお知らせ」である。
株式会社ニトリホールディングス(以下「ニトリ」という)による島忠に対するTOB(株式公開買付け)に賛同するという内容である(ニトリも同日「株式会社島忠(証券コード:8184)の株券等に対する公開買付けの開始及び同社との間の経営統合契約の締結に関するお知らせ」を開示)。そのTOBは、島忠を完全子会社とすることが目的である。
法務局における「自筆証書遺言書保管制度」利用上のポイント
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下、「保管法」という)が令和2年7月10日から施行され、法務局における自筆証書遺言書の保管制度(以下、「本制度」という)が開始した。
本制度は、これからの相続・遺言実務に影響を与えるものであり、実務に携わる方にとっては必須の知識といえる。本稿では、筆者が実際に本制度を利用した経験を踏まえて、制度の概要と実務的なポイントを紹介するものとする。