〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第40回】「売り手がM&Aの必要性・有用性に気づくには」~第三者の声に耳を傾ける~
大半の中小企業(本稿では将来M&Aの売り手になる場合を想定します)にとって、そもそもM&Aは企業経営の将来の選択肢として認識されていません。また、中小企業の経営者の多くは、事業の売却を積極的に検討、活用しようという意識も強くないようです。その背景には、中小企業経営者のM&Aに対する認識が関係していると思われます。
《速報解説》 監査役協会より「主要監査業務のポイントと事例研究(中間報告)」が公表される~監査の実効性と効率性の向上を目指し、実務上の課題に対応した工夫事例にも言及~
2023年7月20日付で(ホームページ掲載日は2023年8月1日)、日本監査役協会 本部監査役スタッフ研究会は、「主要監査業務のポイントと事例研究-監査の実効性と効率性の向上を目指して-(中間報告)」を公表した。
《速報解説》 会計士協会、「上場会社等における会計不正の動向」の2023年版を公表~スタンダード及びグロース市場の会社において会計不正の発覚が増加傾向~
日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2023年7月28日付けで経営研究調査会研究資料第10号「上場会社等における会計不正の動向(2023年版)」を公表した。
「上場会社等における会計不正の動向」(以下「研究資料」と略称する)は、2018年から毎年公表されているものであり、研究資料における分類項目を当初から変化させることなく、比較可能性が維持されている。
本稿では、公表された研究資料の概要を紹介するとともに、2018年3月期以降の会計不正の動向の変化について検討をしたい。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第28回】「課税要件としての「帰属」の意義」-冒用登記事件・最判昭和48年4月26日民集27巻3号629頁-
今回は、前掲拙著第2編第1章(租税実体法)においていわゆる課税要件総論として検討した課税要件としての「帰属」の意義(前掲拙著【92】参照)に関して、冒用登記事件・最判昭和48年4月26日民集27巻3号629頁(以下「本判決」という)を検討することにする。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第45回】「別表6(26) 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(26)付表一 給与等支給額及び比較教育訓練費の額の計算に関する明細書」
今回は、実務でも適用する企業が多いと思われる、いわゆる「賃上げ促進税制」のうち中小企業向けの記載の仕方を取り上げる。
令和5年度税制改正では、当該制度内容の改正は行われていないが、別表番号がそれぞれ「6(31)、6(31)付表一」から「6(26)、6(26)付表一」に変更され、「連結事業年度」の文言が削除されている。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第27回】「〔第1表の1〕自己株式を取得及び処分した場合の株主判定と所得税基本通達59-6の適用の留意点」
乙はA社の株式を配当還元価額(1株25,000円)で取得しており、同額で売却していますので、課税関係は生じないと考えていいでしょうか。なお、1株当たりの資本金等の額は25,000円となります。
また、自己株式の処分は、資本等取引に該当するため、丙についても課税関係は生じないと考えていいでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例124(所得税)】 「代替資産の取得価額が見積額を超えたため、4ヶ月以内に更正の請求をしなければならないところこれを失念したため、見積超過額部分につき「収用等の圧縮記帳の特例」の適用ができなくなってしまった事例」
令和X年分の所得税につき、T県S市土地開発公社に土地建物を収用され、取得価額の見積額で「買換(代替)資産の明細書」を記載して「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(以下「収用等の圧縮記帳の特例」という)を適用して申告したが、代替資産の取得価額が見積額を超えたため、代替資産を取得した日から4ヶ月以内に更正の請求をしなければならないところこれを失念してしまった。これにより、代替資産の見積超過額部分につき「収用等の圧縮記帳の特例」の適用ができなくなってしまい、還付不可となった金額につき損害が発生したとして、賠償請求を受けた。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第21回】「今治造船移転価格事件(地判平16.4.14、高判平18.10.13、最判平19.4.10)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項、2項~
本判決は、本件国外関連取引が個別性の強いものであったとしても、国際的な船舶請負建造取引には取引相場が存在しており、一定の価格水準なるものを観念することができることから、本件国外関連取引に係る船価を他の取引と比較することによって独立企業間価格を算定することが一般的に不合理であるということはできないとした。
リース会計基準(案)を学ぶ 【第2回】「リースの定義」
今回は、リースの定義について解説する。
定義については、次のように規定されている(リース会計基準(案)BC18項)。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第144回】株式会社レイ「第三者調査委員会調査報告書(公表版)(2023年6月9日付)」
株式会社レイ(以下「レイ」と略称する)は、1981年6月に株式会社スタジオ・レイとして設立。1991年10月、現商号に変更。広告・映像関連の企画制作を主たる事業とする。売上高12,450百万円、経常利益1,401百万円、資本金471百万円。従業員数399名(2023年2月期連結実績)。2017年12月、株式会社テレビ朝日との間で資本業務提携契約を締結し、同社が発行済株式の20%を保有する筆頭株主となる。本店所在地は東京都港区。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は城南監査法人。