租税争訟レポート 【第8回】クレディ・スイス元部長脱税事件第一審判決〔無罪〕(所得税法違反事件第一審判決)
本件は、被告人が、クレディ・スイス証券株式会社等から、平成18年分及び平成19年分の収入として、①源泉徴収の上で現金で国内口座に支給された基本給、賞与等の給与収入合計約2億8,000万円以外に、②源泉徴収されずに海外口座に入れられた株式賞与(いわゆるインセンティブ報酬)合計約3億4,000万円の給与収入、③同株式等を売却したことによる譲渡収入約7億2,000万円、④その他の収入を得たが、①以外の収入を除外して、現金で支給された①の金額が記載された源泉徴収票のみに基づいた確定申告書を作成提出し、もって、所得合計約3億5,000万円を秘匿、所得税合計1億3,000万円余りを免れたとして起訴された事案である。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載16〕 連結納税と青色申告
連結納税制度においては、青色申告、白色申告の区別はない。このため、連結納税の適用を受けている子法人が、青色申告の承認を受けていない場合において、その子法人が連結納税の適用を受けないこととなるときは、青色申告の承認申請について、特例が設けられている。
林總の管理会計[超]入門講座 【第1回】「管理会計と原価計算」
会計は大きく財務会計と管理会計に分類されます。
財務会計は会社の実態を外部に報告するための会計、管理会計は経営(マネジメント)を上手に行って、会社の業績を良くするための会計です。
したがって、会社にとって、管理会計の方が財務会計よりも大切です。
ところが現実は、管理会計がうまく機能している会社は少なく、また、苦手意識を持つ実務家や受験生は意外に多いようです。
このような事態を引き起こしている原因は何かというと、どうやら管理会計教育に課題がありそうです。
税効果会計を学ぶ 【第8回】「繰延税金資産の回収可能性に関する監査上の基本的考え方」
監査委員会報告第66号に限らず、会計基準・実務指針等を読む際には、本文の記載だけでなく、結論の背景などについても読み、理解する必要がある。
最近は、データベース化された会計基準等を用いて、検索機能を活用することが多いと考えられる。
検索機能は便利であるが、実務において、検索機能によりヒットした箇所のみを読み、実務に適用する傾向が一部においてみられる。
会計基準・実務指針等を理解するためには、本文の記載を読む際にも全体の流れを読み、また、なぜその規定を採用したのかについては結論の背景に記載されていることが多いので、これらを含めて会計基準・実務指針等を全体として理解することが必要と思われる。
《速報解説》 「特別目的会社の連結範囲等に関する検討の中間取りまとめ」の解説
平成25年3月29日、企業会計基準委員会は「特別目的会社の連結範囲等に関する検討の中間取りまとめ」(以下「中間整理」という)を公表した。
中間整理は、特別目的会社に関する連結の取扱いに関する現在までの検討状況について中間的に取りまとめを行ったものであり、論点整理や公開草案のようなコメントの募集は行われていない。
中間整理は大きく分けて、次の論点から構成されている。
《速報解説》 産業経理協会 「わが国企業における予算制度の実態に関するアンケート調査」の結果を公表~収益性重視がより鮮明に
一般財団法人 産業経理協会は4月12日、2012年11月~12月にかけて実施した「わが国企業における予算制度の実態に関するアンケート調査」の集計結果を公表した。
本調査は、1992年、2002年と10年毎に定期的に実施されてきた調査の3回目にあたるもので、今回のアンケート対象企業は産業経理協会賛助会員企業469社、東証一部・二部上場の協会非賛助会員企業470社の合計939社、回収企業は185社・回収率は19.7%であった。
なお、報告は明治大学・﨑章浩教授、流通経済大学・吉村聡教授、明治大学・大槻晴海准教授が行った。
本調査の目的は、1992年調査、2002年調査と時系列的に比較することにより、わが国企業の予算制度がどのように変化してきているのかを明らかにすることを目的としている。
詳細な分析は今後行われることとなるが、アンケートの集計結果からは、次のような傾向が見られたとされる。
小規模宅地等の課税特例の改正とワンポイント
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(被相続人等)の事業(注1)の用若しくは居住の用に供されていた宅地等(注2)で一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているもので一定のもの(注3)がある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての特例対象宅地等のうち、当該個人が取得した特例対象宅地等又はその一部でこの特例の規定の適用を受けるものとして選択したもの(選択特例対象宅地等)については、限度面積要件を満たす場合の当該選択特例対象宅地等(小規模宅地等)について、相続税の課税価格に算入すべき価額は、当該小規模宅地等の価額に下記に掲げる図表-1に掲げる小規模宅地等の区分に応じて、それぞれに定める割合を乗じて計算した金額とされている。
所有権移転外リース取引に係る会計と税務の取扱い
当社は、製造業を行っている3月決算法人であり、平成24年4月1日に、事務用に使用するコピー機1台を、リース料総額300万円(税抜)で取得しました。これはリース期間が5年で、企業会計上の「所有権移転外ファイナンス・リース取引」、税務上の「所有権移転外リース取引」に該当するものです。
当社は企業会計基準に則り、次のように賃貸借処理を行っていますが、税務上の取扱い等について、会計と異なる点があれば教えて下さい。
企業不正と税務調査 【第6回】「経営者による不正」 (3)不正防止・発見のための手法と防止策
ここまで2回にわたり、経営者による典型的な脱税・裏金作りスキームとして、売上の一部を除外する事例と、架空(水増し)人件費の計上する事例を、これらの手口と税務調査により発覚するプロセスを中心に見てきた。ここでは、こうした経営者・組織トップが主導する不正について、
1 従業員である管理部門の社員が経営者の不正を発見した場合
2 税理士・公認会計士のような外部の職業会計人が、顧問先の不正を発見する手法
3 内部監査部門が業務監査を通じて、経営者(子会社経営者を含む)の不正を発見する手法
の3つのパターンで、税務調査により不正が発覚する前に、こうした行為を止めさせるためにはどうすべきかを検討したい。