公開日: 2013/06/06 (掲載号:No.22)
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小説 『法人課税第三部門にて。』 【第9話】「優良法人の税務調査(その3)」

筆者: 八ッ尾 順一

小説 『法人課税第三部門にて。』

【第9話】

 「優良法人の税務調査(その3)」

 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

前回のつづき)

午後からは、睡魔との戦いである。

伝票をめくる渕崎統括官の手が止まる。瞼が重く、ついつい心地よい眠りに誘われる。
渕崎統括官は、眠りから逃れるために、異常な力を込めて伝票をめくった。

田村上席は、源泉徴収簿からパートの氏名とその支給額を写している。
時計の針は、午後2時を示している。

テーブルを挟んで座っている会長は、先ほどから眼をつむっている。吉田税理士は目を開けているが、時々、眠気を払うように、頭を振っている。齋藤課長は、頭を下げて、完全に眠っている。耳を澄ますと、小さなイビキが聞こえる。

「・・・ところで・・・」

渕崎統括官が声を発する。

「平成23年分の領収書の綴りは、どこにありますか?」

急に声をかけられた齋藤課長は、驚いた様子で頭を上げた。

「・・・平成23年分、ですか?」

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【第9話】

 「優良法人の税務調査(その3)」

 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

前回のつづき)

午後からは、睡魔との戦いである。

伝票をめくる渕崎統括官の手が止まる。瞼が重く、ついつい心地よい眠りに誘われる。
渕崎統括官は、眠りから逃れるために、異常な力を込めて伝票をめくった。

田村上席は、源泉徴収簿からパートの氏名とその支給額を写している。
時計の針は、午後2時を示している。

テーブルを挟んで座っている会長は、先ほどから眼をつむっている。吉田税理士は目を開けているが、時々、眠気を払うように、頭を振っている。齋藤課長は、頭を下げて、完全に眠っている。耳を澄ますと、小さなイビキが聞こえる。

「・・・ところで・・・」

渕崎統括官が声を発する。

「平成23年分の領収書の綴りは、どこにありますか?」

急に声をかけられた齋藤課長は、驚いた様子で頭を上げた。

「・・・平成23年分、ですか?」

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連載目次

筆者紹介

八ッ尾 順一

(やつお じゅんいち)

大阪学院大学法学部教授
公認会計士・税理士

昭和26年生まれ
京都大学大学院法学研究科(修士課程)修了

【著書】
・『第7版/事例からみる重加算税の研究』(令和4年)
・『十二訂版/図解 租税法ノート』(令和元年)
・『七訂版/租税回避の事例研究』(平成29年)
・『マンガでわかる税務調査―法人課税第三部門にて』(平成28年) ※Profession Journal掲載記事をマンガ化
・『事例による 資産税の実務研究』(平成28年)
・『法律を学ぶ人の 会計学の基礎知識』共著(平成27年)
・『新装版/入門税務訴訟』(平成22年)
・『マンガでわかる遺産相続』(平成23年)
・『判例・裁決からみる法人税損金経理の判断と実務』(平成23年)以上、清文社
・『入門 税務調査──小説でつかむ改正国税通則法の要点と検証』(平成26年)法律文化社

【論文】
「制度会計における税務会計の位置とその影響」で第9回日税研究奨励賞(昭和61年)受賞
【その他】
平成9~11年度税理士試験委員
平成19~21年度公認会計士試験委員(「租税法」担当)
 
      

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