〈事例から学ぶ〉不正を防ぐ社内体制の作り方 【第9回】「会社の有効な仕組み作りとトレードオフの関係」
東京オリンピックは今までにないメダルラッシュとなりました。大きな声援が送られた一方で、新型コロナウイルスによるパンデミックがとどまることはなく、残念なことに感染者の増加もみられました。そうしたなか、経済活動と感染予防策について、オリンピック中も繰り返し報道がされていたのは、みなさんご存じの通りです。オリンピックを円滑に運用して成功に導くために、これ以上感染の広がりを防ごうとすれば、酒類の提供を禁止し、営業活動を制限するなどして経済を犠牲にせざるを得ません。
収益認識会計基準を学ぶ 【第11回】「取引価格に基づく収益の額の算定と取引価格の算定」
収益認識会計基準の5つのステップの3番目は、取引価格を算定することである(収益認識会計基準17項(3))。
今回は、取引価格に基づく収益の額の算定と取引価格の算定について解説する。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第116回】株式会社ショーエイコーポレーション「外部調査委員会調査報告書(要約版)(2021年6月18日付)」
本件は、ショーエイの大阪本社営業部長であるs1氏が、2021年3月29日、執行役員であるs2氏に対し、B社から3月末に入金予定であった売掛金が未回収となる報告を行ったことから発覚したものであり、s1氏の報告により、ショーエイは、A社代表取締役a氏が主導する架空循環取引に巻き込まれていたことが明らかになったものである。
ショーエイは、社内における事実確認の結果、ステークホルダーに対して、正確かつ迅速で透明性がある説明を行い、安心と信頼を得るためには、ショーエイと利害関係のない外部専門家の関与により調査の客観性及び信頼性を確保しつつ、本件循環取引の全容解明を期するとともに、類似取引の有無等を把握することが必要と判断して、2021年4月30日、外部調査委員会の設置を取締役会において決議し、調査を開始した。
収益認識会計基準を学ぶ 【第10回】「履行義務の充足による収益の認識②」
前回に引き続き、今回も、履行義務の充足による収益の認識について解説する。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第17回】「「中小M&A推進計画」を対象企業の見方・見られ方に活かす(後編)」
【第15回】、【第16回】に続いて、今回も中小企業庁が2021年4月28日に取りまとめた「中小M&A推進計画」に関する話題をご紹介します。
会計上の見積り注記の事例分析
企業会計基準第31項「「会計上の見積りの開示に関する会計基準」が、2021年3月決算より適用されている。2021年3月決算の有価証券報告書では、当該基準が適用された上で提出されているため、それらを元に今回は会計上の見積り注記の事例を分析し、解説を行う。今後の注記の記載にあたって参考とされたい。
〈事例から学ぶ〉不正を防ぐ社内体制の作り方 【第8回】「牽制と予防の仕組みの限界を考える」~共謀、非定型的な取引、経営者による内部統制の軽視等への対応~
人は元来、間違う動物です。そのため、日常の業務のなかで起きる判断の誤り、不注意による人為的なミスや不正に対し、牽制や予防をするために、私たちはさまざまな仕組みや手続をデザインして周到に備えています。しかし、あらゆる仕組みや手続には、常に限界が伴います。つまり、本来の機能が有効に働かず、求められている目的を完全に達成できなくなることが起こります。
収益認識会計基準を学ぶ 【第9回】「履行義務の充足による収益の認識①」
今回(第9回)は、履行義務の充足による収益の認識について解説する。
履行義務の充足により収益が認識されるので、どの時点で履行義務が充足されるのかを理解することが重要である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第115回】アジア開発キャピタル株式会社「特別調査委員会調査報告書(2021年6月21日付)」
2021(令和3)年4月9日に公表した「第三者委員会設置のお知らせ」で、ADCは、その設置の経緯について、次のように説明していた。
ADCは、子会社であるT7を通じてADC元取締役2名が関係する複数の会社との間に不可解かつ不適切とも思われる取引が多数実在していることを社内調査によって確認したと同時に、会計処理が不適切に行われていたのではないかという疑義も発覚したため、当該不適切会計処理の事実関係解明及びその原因分析、並びにそれに類似する取引の有無の調査を行い、全容解明のために、第三者委員会の設置について決議したものである。