〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第71回】「塩野義製薬事件-現物出資による国外への資産移転-(地判令2.3.11、高判令3.4.14)(その1)」~旧法人税法施行令4条の3第9項(平成28年度改正前)~
本稿で取り上げる事例(塩野義製薬事件)は、そのケイマン法上のLPSを用いた事業にまつわるわが国課税上の争訟であるが、法人該当性が直接の争点となったわけではなく(法人に該当しない事業体であることに争いはなく)、そのLPSの持分が国内外のいずれに存する資産であるかが問題となったものである。
相続税の実務問答 【第107回】「未分割についてやむを得ない事由がある旨の承認申請書の提出を失念していた場合の配偶者の税額軽減」
私の夫甲は、令和3年3月に亡くなりました。相続人は、私と甲の先妻の子乙の2名です。相続税の申告書を提出する時には、まだ遺産分割協議中でしたので、法定相続分の割合(それぞれ2分の1)で甲の遺産を取得したものとして相続税の計算を行い、令和4年1月に相続税の期限内申告を済ませました。遺産分割協議が整った際には配偶者に対する相続税額の軽減を適用するため、申告書には「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しました。
その後、私は乙との間で遺産分割の調停手続きを進め、令和7年5月にやっと調停が成立し、私は法定相続分の割合よりも少ない5分の2相当額の遺産を、乙は法定相続分の割合よりも多い5分の3相当額の遺産を取得することとなりました。相続税の申告期限から3年以上が過ぎていますが、配偶者に対する相続税額の軽減の規定を適用することができますか。
国際課税レポート 【第14回】「トランプ大統領令への欧州(EU)の対応と今後の動向」
本稿では、トランプ関税及びトランプ国際課税とデジタルサービス税及び15%グローバルミニマム課税を仕掛けたEUの動きについて、本稿執筆時点(2025年5月14日)の限られた情報によるものとはなるが、今後の展望を予想する参考としてまとめておきたい。
仕入税額控除制度における用途区分の再検討-ADW事件最高裁判決から考える- 【第2回】
法が認めている控除税額の計算方法のうち、「課税売上げに対応する課税仕入れに係る消費税額のみを控除の対象とする」という仕入税額控除の考え方に最も忠実な計算方法は、個別対応方式である。統計等は公表されていないが、大手企業を中心に、本則課税のもとで全額控除の適用を受けられない事業者の場合、一括比例配分方式よりも個別対応方式の方が控除税額が多くなるとして、個別対応方式の適用を選択している事業者が多いのではないかと推測される。
〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A 【第9回】「新リース会計基準適用後のオペレーティング・リースの借手の消費税に関する会計処理」
企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(以下「新リース会計基準」という)では、これまでオフバランスとされていたオペレーティング・リースもオンバランスで処理することになるそうですが、消費税の取扱いについて教えてください。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第54回】「〔第5表〕貸付金債権の評価」-債務者が相続開始前までに解散していた場合-
甲株式会社の株式価額の算定上、乙株式会社の貸付金債権の相続税評価について第5表「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の資産の部に計上する相続税評価額は、上記の相続開始日時点の相続税評価額における資産から負債を控除した差引金額3,282,732円を回収不能額として相続開始時点における貸付金債権の金額(35,282,732円)から控除しても問題ないでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第67回】
以下では、所得税法上、個人が行うDeFi取引の入り口場面ともいうべきトークンの移転、とりわけ暗号資産(トークン)の流動性供給の開始やラップは課税イベント(含み損益に対する課税の契機となる事象)であるか、言い換えれば、含み損益を課税所得に反映させる事象であるかという点を検討する。
《速報解説》 国税庁、所得税の基礎控除の見直し等に係る特設ページを開設~令和7年分及び8年分以後の給与の源泉徴収事務等に関する留意事項を示す~
令和7年度税制改正では、所得税の基礎控除及び給与所得控除に関する見直し、特定親族特別控除の創設が行われた。これらの改正は、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分の所得税から適用される。よって、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じることとなる。
monthly TAX views -No.147-「デジタル民主主義ではポピュリズムは防げない」
AIエンジニアの安野貴博氏は、昨年の東京都知事選で、子育て政策など具体的な政策とそれにかかる財源を示し、AI活用の有用性を説いた。この目新しさが有権者の注目を浴び、候補者中4番目の投票を得た。