日本の企業税制 【第131回】「各府省庁の令和7年度税制改正要望が公表」
8月末に、各府省庁からの令和7年度税制改正要望が公表された。
今回の要望項目数は、単純合計で、国税163項目、地方税187項目、重複排除ベースで、国税110項目、地方税130項目であった。項目数では、国税は過去10年間で最少、地方税でも令和4年度改正に次ぐ少なさとなっている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第65回】「役員のホームリーブ」
海外親会社から赴任してきた当社の役員が、いわゆるホームリーブ休暇により帰国します。このような場合に考えられる論点を教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第68回】「非適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱い」
今回は、非適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱いについて解説します。
相続税の実務問答 【第99回】「更正の請求における小規模宅地等の選択の同意」
父が、昨年1月に亡くなりました。相続人は兄と私の2名です。相続税の申告書の提出期限までに遺産分割協議が調わなかったので、相続税の申告期限である昨年11月には、法定相続分の割合に従って父の遺産を取得したものとして相続税の計算を行い、期限内申告をしました。
その後、兄と私の間で協議を重ね、今年の8月10日に私と兄がほぼ法定相続分の割合で父の遺産を取得する内容の遺産分割協議が成立しました。
父は、N市とK市にアパートを所有していましたが、遺産分割協議の結果、N市のアパートは私が、K市のアパートは兄がそれぞれ取得することとなりました。いずれのアパートの敷地についても貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用することが可能ですが、私が取得したN市のアパートの敷地300㎡のうち200㎡について小規模宅地等の特例を適用することについて兄も同意していますので、私の相続税について同特例を適用したいと考えています。小規模宅地等の特例を適用するにはどのようにすればよいでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第54回】「シンガポール居住者該当性訴訟(地判令1.5.30、高判令1.11.27)(その1)」~旧所得税法2条1項5号、5条1項、2項、同法施行令14条1項2号~
X(原告・被控訴人)は、所得税法(平成25年法律第5号による改正前のもの)2条1項5号の「非居住者」に該当するとの認識の下、平成21年分から平成24年分までの所得について日本では申告を行わず、シンガポールの居住者として同国で所得税の申告を行っていたところ、所轄税務署長から同項3号の「居住者」に該当するとして、期限後申告を勧奨されたため、期限後申告を行ったうえで平成23年及び平成24年分の所得税につき更正の請求をしたが認められず、本件各年分の所得税の無申告加算税に係る各賦課決定処分を受けたため、その取消しを求めた。
《速報解説》 各省庁の令和7年度税制改正要望は既存制度の延長・拡充が中心~生命保険料控除は前年度与党大綱通りの拡充を共同要望~
8月末から9月頭にかけて各府省庁から令和7年度税制改正要望が公表された。
令和6年度税制改正における戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制など、ここ数年は経済産業省からの要望を中心に新たな税制の創設も見られたが、令和7年度税制改正要望は例年に比べ新税制創設の要望は少なく、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制、中小企業者等の法人税率の特例といった既存制度の延長・拡充の要望が中心となっている。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第135回】「消費税の性質論(その3)」
すなわち、消費税は転嫁が予定されている租税であるということ、そのことと、実際に転嫁がなされるかどうかという点は別問題であることが判然とした。本件判決はその点を指摘したものと位置付けることができよう。
他方で、転嫁が予定されていることの根拠を探ってきたが、それはあくまでも税制改革法であり、消費税転嫁対策特別措置法であった。別言すれば、消費税法そのものに転嫁が規定されているわけではないということも可能であろう。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第30回】「国税通則法74条の11(~74条の13の4)・74条の14」-調査終了の際の手続における信頼保護効果と理由附記「セット論」-
前回は、平成23年度[11月]税制改正による税務調査(質問検査)手続の改正のうち事前通知手続について検討したが、今回は、事前通知手続と並んであるいはこれとの関連において(事前通知事項の事後通知については前回3参照)同改正の重要事項である調査終了の際の手続(税通74条の11)について検討することにする。