組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第5回】「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)⑤」
前回解説したように、裁判所の判断としては、「組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」については、包括的租税回避防止規定を適用することができるとしたうえで、本事件における特定役員引継要件の形式的な充足を制度趣旨に反するということを理由として、包括的租税回避防止規定の適用を認めている。
しかしながら、その理論構成については、【争点1】はともかくとして、【争点2】についてはかなり問題があると感じている。
第5回目以降においては、判決文についての具体的な評釈を行っていく予定である。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第5回】「非居住者へ支払う利子から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」
Q 当社は、平成25年8月1日に社長の知人のニューヨーク在住のアメリカ人から運転資金として1,000万円を借り入れました。このアメリカ人は、所得税法上の非居住者です。また、金銭消費貸借契約において、借入期間は1年、借入利率は2%、平成26年7月31日に元本と利子を一括で返済することになっています。
非居住者へ支払う利子から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。
〈条文解説〉地方法人税の実務 【第3回】「課税標準・税額の計算(第9条~第11条)」
「基準法人税額」とは、確定申告書を提出すべき内国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法令により計算した法人税の額(附帯税を除く)をいう。
つまり、法人税法により計算した法人税額が地方税法による課税標準となる。
税務判例を読むための税法の学び方【39】 〔第5章〕法令用語(その25)
表題の一つに「不適当」を挙げておいたが、実は「適当」「不適当」は、法令用語とはされていない。
とはいえ前々回に挙げた所得税法第18条のように、「不適当」とされた場合には所轄国税局長により別の納税地を指定されるため、何をもって不適当とされるかについて明確であるべきであるが、制定当時の立法趣旨が記された「所得税、法人税制度史草稿(昭和30年大蔵省主税局調査課)」によっても「適当でない」とする限りである。
monthly TAX views -No.18-「軽減税率・インボイス導入と共に必要となる『マージン課税』」
今後年末に向けて、軽減税率導入の是非、範囲、時期、代替財源、インボイスの具体案などが議論され、何らかの決定がなされる。
今回で取り上げるのは、これらの案に加えて公表された、「マージン課税制度について」と題する一枚紙(以下、「一枚紙」)の話である。
《編集部レポート》 税賠保険に「事前税務相談業務担保特約」が登場
税理士業務にはリスクが付きまとうが、税理士の税務判断ミスにより顧問先に損失を生じさせた場合の賠償を考えると、やはり加入しておきたいのが税理士職業賠償責任保険(いわゆる「税賠保険」)だ。
この税賠保険に新たなラインナップ「事前税務相談業務担保特約」(事前相談特約)が加わった。商品の詳細を確認して、業務のリスクに合致する場合は加入を検討されたい。
生産性向上設備投資促進税制の実務 【第5回】「事前確認書(手続実施結果報告書)〔記載例〕」
「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備の要件確認スキーム」においては、公認会計士や税理士が対象設備を確認し、投資利益率要件を満たしていることを確認することが要件となっている。
今回は公認会計士や税理士が記載する「事前確認書(手続実施結果報告書)」の記載例を紹介する。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第21回】「判例分析⑦」
第20回目においては、法人税基本通達9-6-1(3)についての検討を行った。
第21回目にあたる本稿においては、法人税基本通達9-6-1(4)についての検討を行う前に、大阪地裁昭和33年7月31日判決(行集9巻7号1403頁、税資26号773頁)を紹介したい。本判決は、法人税基本通達9-6-1(4)が定められる前の判決であるため、本通達の判断を示すものではないが、放棄した債権が回収可能であったか否かという点について触れられている判決であり、貸倒損失の取扱いを理解するうえで、知っておくべき重要な判決であると言える。
〔大法人のための〕交際費課税の改正ポイント 【第2回】「改正後の取扱いに関するQ&A」
今回は、本改正によって生じる交際費等の取扱いの変更点について、大法人の現場で起こりそうな疑問点を想定し、Q&A形式で解説する(なお、本連載で取り扱う大法人の判定については、前回のフローチャートを参照)。
本稿で取り上げるQ&Aは、以下のとおりである。