〔大法人のための〕交際費課税の改正ポイント 【第1回】「大法人の交際費等損金算入(平成26年度税制改正)に至る経緯」
平成26年度税制改正において交際費課税制度が見直され、大法人の交際費支出の一部を損金に計上することができるようになった。
そこで本連載では、大法人の交際費課税制度に焦点を当て、解説をしていく。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第20回】「判例分析⑥」
第19回目においては貸倒損失についての法人税法上の根拠を解説した。
第20回目以降においては、日本興業銀行事件に係る第1審判決において、被告及び原告のいずれとも論拠として主張している法人税基本通達9-6-1(3)(4)、9-6-2、9-4-1に当てはめを行う形でそれぞれ検討を行うこととする。本稿においては、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)について検討を行うこととする。
租税争訟レポート 【第18回】「勝馬投票券の払戻金に係る所得を雑所得と判断した事例(控訴審判決)」
被告人の元会社員は、3年間で28億7,000万円分の馬券を購入し、30億円余りの的中配当を得たが、競馬の払戻金を一切申告せず、約5億7,000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪で大阪地検に告発され、起訴された。
第1審の大阪地方裁判所は、被告人の勝ち馬投票券の払戻しによる所得は雑所得であると認定し、外れ馬券の購入費用等を必要経費として認めて、所得税額を約5,200万円と認定し、執行猶予付きの判決を言い渡した(本連載【第10回】を参照)。
これを不服とする検察が、控訴したものである。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第24回】 「小規模宅地特例の要件のうち特に注意すべき事項」
前回に引き続き、小規模宅地特例(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(租税特別措置法69条の4))について、特に適用要件における検討を行う。
なお前回と同様に、企業オーナーや個人事業主以外の、一般の方の相続税申告業務という観点から、本稿では「特定居住用宅地等及」び「貸付事業用宅地等」に限定して検討を行う。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第18回】「建替え建築は『新築』か『改築』か? (その3)」~住宅借入金等特別控除と借用概念~
建替え建築が住宅ローン控除の対象となる「改築」に該当するか、あるいは対象とならない「新築」に該当するかが争点とされた事例において、静岡地裁平成13年4月27日判決は、「措置法41条にいう『改築』の意義については建築基準法上の『改築』と同一の意義に解すべきである。」とする。すなわち、措置法41条にいう「改築」とは、建築基準法にいうところの「改築」と同様に「用途、規模、構造において著しく異ならない建築物を造ること」と理解した上で、本件建築にこの「改築」概念を当てはめたところ、「改築」とはいえないと断じたのである。すなわち、これはYが主張する見解と同様であり、課税処分は適法と判示されたのである。
これに対して、Xは控訴した。
〈条文解説〉地方法人税の実務 【第1回】「法人税割の税率変更と地方法人税の創設」
平成26年度税制改正の一環として、地域間の偏差性を是正し、財政力格差の縮小を図ることを目的として、法人住民税法人税割の税率が引き下げられ、地方交付税の財源確保のための地方法人税が創設されることになった。
この改正は、平成26年10月1日以後に開始される事業年度から適用される。
本連載では、地方法人税法の条文構成に準じ、その取扱いを解説する。
中小法人の〈交際費課税〉平成26年度改正のポイント 【第3回】「新しい申告書別表15の書き方と計算例」
本連載の第1回ではこの改正のあらましについて、第2回ではこの改正によって生じた実務上の疑問点についてそれぞれ解説した。
最終回となる第3回は、交際費の損金算入額の計算例と、この改正に対応した新様式の別表15の書き方について解説する。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第3回】「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)③」
法人税法132条の2の意義【争点1】についての当事者の主張については前回解説した通りであるが、本事件においては、施行令112条7項5号の要件を充足する本件副社長就任について、法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】という論点についても、被告の主張と原告の主張が真っ向から対立しており、非常に興味深い。
第3回目に当たる本稿においては、【争点2】についての当事者の主張についてそれぞれ検討を行うこととする。
[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第8回】「課税売上割合に準ずる割合を検討すべきケース① 事業部ごとに独立採算制を採用しているケース」
課税売上割合の計算単位は原則として事業者全体であり、支店ごとや事業部ごとにそれぞれ異なる課税売上割合を適用することはできないこととされている(消基通11-5-1)。
しかし、企業によっては、事業部ごとに独立採算制を採用しているケースがあるが、その場合には事業部ごとに課税売上割合を計算しそれを「課税売上割合に準ずる割合」とした方が事業の実態に即し、かつ事業者にとっても有利となる(仕入控除税額が多くなる)ことがある。