税務判例を読むための税法の学び方【37】 〔第5章〕法令用語(その23)
税法における「宥恕規定」とは、課税額が減額される場合に一定の行為が法律上の要件とされているときに、その要件を充足していないにもかかわらず、一定の場合に、その要件を充たしたと同様の法律効果を認める規定である。
monthly TAX views -No.17-「OECD自動的情報交換とマイナンバーの既存口座付番」
OECDの場で、各国の所得情報を当局間で自動的に交換するという話が急ピッチで進んでいる。
税務当局間の情報交換というのは、納税者の取引などの税に関する情報を異なる国の税務当局間で互いに提供する仕組みのことである。租税条約に基づくものとしては、①要請に基づく情報交換、②自発的情報交換、③自動的情報交換の3形態があり、①②についてはこれまで拡充が図られてきたが、今回話が進んでいるのは、③のケースである。
所得拡大促進税制・雇用促進税制の対象となる「従業者」に関する要件整理~雇用形態による適用関係の差異を検討する~ 【第2回】「雇用形態ごとの適用可否を検討」
前回の説明により、所得拡大促進税制における「国内雇用者」は賃金台帳に記載のある者が対象となり、雇用促進税制における「雇用者」は雇用保険の一般被保険者が対象となることをご理解いただけたと思う。
それを踏まえた上で、今回は以下の雇用形態について、所得拡大促進税制及び雇用促進税制の適用可否を検討していくこととする(なお説明の都合上、60歳定年制を前提とする)。
生産性向上設備投資促進税制の実務 【第3回】「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画の確認申請書〔記載例〕」
前回は、生産性向上設備投資促進税制(措法42の12の5)のうち「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」について解説した。
その中で、経済産業大臣確認までの手続を説明したが、今回は設備ユーザーが作成する「産業競争力強化法の生産性向上設備等のうち生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画の確認申請書」の具体的な記載例を紹介する。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第19回】「判例分析⑤」
日本興業銀行事件にかかわる第1審判決、控訴審判決及び上告審判決の内容は、第15回から第18回までで解説した通りである。
第19回目以降においては、これらの判決の内容について分析を行い、貸倒損失についての法人税法上の考え方について考察を行うこととする。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第23回】 「小規模宅地特例の適用をめぐる判断」
企業オーナーや大規模な土地所有者ではない、一般の方の相続税申告業務を行う場合で、東京のような都市部に自宅を所有しているケースでは、自宅土地の評価、及びその小規模宅地特例の適用が、非常に重要となる。
所得拡大促進税制・雇用促進税制の対象となる「従業者」に関する要件整理~雇用形態による適用関係の差異を検討する~ 【第1回】「雇用者等の用語定義を整理」
今回は少し切り口を変え、それぞれの税制の適用対象となる「従業者」の雇用形態に着目し、いかなる雇用形態の従業者がそれぞれの税制の適用対象に含まれるのかを整理することとした。
本稿は原則として、平成26年3月31日に公布された平成26年度改正税法に基づいているが、必要に応じ、改正前の制度にも言及することとする。
中小法人の〈交際費課税〉平成26年度改正のポイント 【第2回】「改正により生じた実務の疑問点」
前回は平成26年度改正のあらましについて解説したが、第2回はこの改正を受けて新たに生じた中小法人の交際費課税実務の疑問点について解説したい。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第2回】「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)②」
第1回目で解説したように、本事件の争点は下記の3点である。
① 法人税法132条の2の意義【争点1】
(ⅰ) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈について
(ⅱ) 「その法人の行為又は計算」の意義について
② 法人税法施行令112条7項5号の要件を充足する本件副社長就任について、法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】
③ 本件更正処分に理由付記の不備があるか否か【争点3】
原告には7名の著名な学者の鑑定書、被告には今村教授のほか財務省主税局のOBである朝長税理士が鑑定書を出されており、裁判所の判断を分析する前に、それぞれ原告、被告の主張に触れてみるのも意義のあることと考えている。
原告、被告の主張は、判決文の別紙4に記載されており、争点ごとにまとめられているため、第2回目以降は、それぞれの争点ごとにおける原告、被告の主張について検討したい。