消費税に関するシステム構築思想と税率引上げへの対応 【上】「消費税に関するシステム構築の基本的考え方」
今回の消費税増税に関するシステム対応の話をする前に、まずはこれまでの消費税に関するシステム構築の基本思想について、いくつか述べることにする。
基本思想としては、例えば以下のような点があげられる。
「1 消費税に関する情報は商品毎ではなく各商品に共通の消費税マスタとして保持する。」
「2 消費税マスタは税率の適用開始日を設定できるようにする。」
「3 同時期に複数の税率を設定できるようにする。」
「4 消費税は商品1個1個ではなく決済単位(レシート単位など)でも計算できるようにする。」
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第2回】「適用にあたっての基本要件」
従来の投資優遇税制と大きく異なるのは、投資する固定資産1単位当たりの取得価額要件が全くなく、「国内における生産等設備への年間総投資額」に対しての要件として規定されている点である。
ただし、「国内における生産等設備への年間総投資額」に対する要件は前提条件に過ぎない。実際に特別償却や税額控除の対象になるのは、「生産等設備」ではなく、「機械・装置」となる。
このあたりの要件が持つ意味をしっかり理解しておくことが、この税制を活用する上での大きなポイントとなるであろう。
中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第3回】「ケース・スタディ(中小企業の買収)」
第3回では、前回までに解説した各買収形態における税務上の取扱い、及び税務デューデリジェンスの具体的内容を、実際の買収時にどのように当てはめ活用するかについて、事例を用いて解説する。
1 前提
買い手B社が、オーナー株主(個人)が所有する中小企業A社に対して、株式交換の手法による買収を申し出たとする。
A社とB社は買収以前において資本関係が全く存在しない、競合他社同士であるとする。
他の者を介して金銭の支出をした場合の使途秘匿金課税
企業の違法又は不当な支出を抑制するという目的の下、平成6年度税制改正において使途秘匿金課税制度が創設されたことは、周知のとおりである。
本稿では、法人が他の者を介して金銭の支出をした場合の使途秘匿金課税制度の適用関係について解説することとする。
金銭の支出が他の者を介して行われた場合には、その支出をした法人の帳簿書類には他の者の氏名等が記載されており、他方、他の者の帳簿書類にはその金銭を受け取った者の氏名等が記載されていないことが考えられる。
このようなケースにおいては、その金銭の支出が使途秘匿金の支出に該当するとされるのか否か、また、使途秘匿金の支出に該当するとされる場合には、いずれの者に対して追加課税がなされるのかといった疑問が生ずることとなる。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第1回】
減価償却をめぐっては、もとより、税務調査等において、資本的支出と修繕費の区分が問題となることが非常に多いといえるが、そのほか、減価償却資産とその他の資産との区分(減価償却資産の範囲)、固定資産の取得価額、少額の減価償却資産等の判定、耐用年数表の適用、除却損失の計上など、その論点は多岐にわたっている。
また近年、減価償却に関する重要な税制改正が相次いでなされており、償却限度額を計算するに当たっても、留意すべき事項は多いといえる。
そこで、本稿では、減価償却をめぐる主要な論点について整理し、6回にわたって解説することとしたい。取り上げる予定のテーマは、以下のとおりである。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第2回】「交際費に該当しない支出」
税務上の交際費等は範囲が明確ではなく、交際費等に該当するか否かの判断が難しい支出が多く存在する。
そこで本連載の第1回においては、曖昧な支出のうち交際費等に該当する支出について、例を挙げて解説した。
第2回はそれとは逆に、税務上の「交際費等に該当しない支出」について、例を挙げて解説する。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第9話】「優良法人の税務調査(その3)」
午後からは、睡魔との戦いである。
伝票をめくる渕崎統括官の手が止まる。瞼が重く、ついつい心地よい眠りに誘われる。
渕崎統括官は、眠りから逃れるために、異常な力を込めて伝票をめくった。
田村上席は、源泉徴収簿からパートの氏名とその支給額を写している。
時計の針は、午後2時を示している。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載22〕 会社分割によりヘッジ対象資産・ヘッジ手段を移転する場合の税務処理
当社は、分社型分割により完全子会社(S社)を新設したいと思っています。
S社には、税制上、繰延ヘッジ処理を行っているヘッジ対象資産とヘッジ手段である未決済のデリバティブ取引とを含む資産及び負債を移転する予定ですが、税務処理上、気を付けるべき点をご教授下さい。
なお、当社は、ヘッジが有効でない部分(超過差額)に関しては、益金の額又は損金の額に算入することとしています(法令121の3①括弧書)。
租税争訟レポート 【第10回】勝馬投票券の払戻金に係る所得を雑所得と判断した事例
判決は、「被告人の本件馬券購入行為は、一般的な馬券購入行為と異なり、その回数、金額が極めて多数、多額に達しており、その態様も機械的、網羅的なものであり」、かつ、「利益を得ることに特化したものであって、実際にも多額の利益を生じさせている」ことから、被告人の馬券購入による所得は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」には該当しないから、一時所得に当たらず、雑所得に分類される」とした。
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について 【第2回】「制度の主な内容(手続規定を除く)とその留意点」
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に、金融機関と「教育資金管理契約」を締結する日に30歳未満の個人(受贈者である子・孫。以下「受贈者」)が、教育資金に充てるために、その直系尊属(贈与者である両親・祖父母等)から教育資金管理契約に基づき以下①~③により金融資産を取得した場合には、その金融資産のうち1,500万円までの金額(既に本制度を利用して贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その金額を控除した残額)は、贈与税の非課税とされている。