〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第46回】「別表6(24) 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(24)付表一 給与等支給額、比較教育訓練費の額及び翌期繰越税額控除限度超過額の計算に関する明細書」
実務でも適用する企業が多いと思われる、いわゆる「賃上げ促進税制」のうち中小企業向けの記載の仕方を取り上げる。
令和6年度税制改正では、新たに対象法人の区分が設けられ、控除率や中小企業向けの措置では控除できなかった金額を翌期以後5年間繰り越すことが可能となるなど、制度内容が大幅に改正されている。
また、別表番号が、それぞれ「6(26)、6(26)付表一」から「6(24)、6(24)付表一」に変更となり、税制改正にあわせて改訂されている。
〔令和6年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長 【第1回】
本稿は、令和6年度税制改正大綱公表時に速報解説として寄稿した「中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充・延長」について、改正法令を踏まえ、改めて解説する内容である。
なお、中小企業事業再編投資損失準備金制度(以下、「本制度」という)の拡充・延長内容の把握に有用と思われる範囲で補足しているが、これらはあくまで現時点で公表済みの情報によるものであり、今後の更新情報に留意されたい。また、文中の意見に関する部分は、所属する団体や組織の公式見解ではなく筆者の私見であることを申し添える。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例138(法人税)】 「賃上げ促進税制において、雇用者給与等支給額につき決算賞与を含めずに集計したため、特別控除額が過少となってしまった事例」
令和Y年3月期の法人税につき、「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下「賃上げ促進税制」という)の適用において、雇用者給与等支給額に決算賞与を含めずに集計したため、特別控除額が過少となってしまった。これにより、法人税等につき過大納付税額が発生し、賠償請求を受けたものである。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第9回】「学術集会の参加料(法人税)」
本学会は、毎年総会のタイミングに合わせて、学術集会を開催していますが、学術集会の参加料は、法人税法上の収益事業に該当するのでしょうか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第41回】「不動産売却時に未経過固定資産税を売主が負担したことから買主に経済的利益は生じず、売主から交付を受けた商品券は買主の一時所得であり、所得計上時期は不動産の引渡しを受け商品券の交付を受けた日とされた事例」
固定資産税は、賦課期日である1月1日に土地や家屋及び償却資産を所有している者に課する税金である(地法341一、343①、359)。よって、年中において土地や家屋が売却されたとしても、納税義務があるのは1月1日時点で所有していた売主であり、買主ではない。しかし実務的には、買主が土地や家屋の引渡しを受けた日以後の固定資産税や都市計画税(以下「未経過固定資産税等」という)については、買主が売主に未経過固定資産税等として支払うことがしばしば行われている。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第55回】「シンガポール居住者該当性訴訟(地判令1.5.30、高判令1.11.27)(その2)」~旧所得税法2条1項5号、5条1項、2項、同法施行令14条1項2号~
本判決が示した「住所」の解釈について借用概念論を基に検討を行う。なお、本判決は一審判決を全面的に引用したため、一審二審の両判決内容から検討を行う(以下、一審二審の両判決をもって「本件」という)。
日本の企業税制 【第131回】「各府省庁の令和7年度税制改正要望が公表」
8月末に、各府省庁からの令和7年度税制改正要望が公表された。
今回の要望項目数は、単純合計で、国税163項目、地方税187項目、重複排除ベースで、国税110項目、地方税130項目であった。項目数では、国税は過去10年間で最少、地方税でも令和4年度改正に次ぐ少なさとなっている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第65回】「役員のホームリーブ」
海外親会社から赴任してきた当社の役員が、いわゆるホームリーブ休暇により帰国します。このような場合に考えられる論点を教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第68回】「非適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱い」
今回は、非適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱いについて解説します。
相続税の実務問答 【第99回】「更正の請求における小規模宅地等の選択の同意」
父が、昨年1月に亡くなりました。相続人は兄と私の2名です。相続税の申告書の提出期限までに遺産分割協議が調わなかったので、相続税の申告期限である昨年11月には、法定相続分の割合に従って父の遺産を取得したものとして相続税の計算を行い、期限内申告をしました。
その後、兄と私の間で協議を重ね、今年の8月10日に私と兄がほぼ法定相続分の割合で父の遺産を取得する内容の遺産分割協議が成立しました。
父は、N市とK市にアパートを所有していましたが、遺産分割協議の結果、N市のアパートは私が、K市のアパートは兄がそれぞれ取得することとなりました。いずれのアパートの敷地についても貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用することが可能ですが、私が取得したN市のアパートの敷地300㎡のうち200㎡について小規模宅地等の特例を適用することについて兄も同意していますので、私の相続税について同特例を適用したいと考えています。小規模宅地等の特例を適用するにはどのようにすればよいでしょうか。