改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第2回】「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」~あえて「再調査の請求」をする意義とは~
以上の改正により、今後(本年4月1日以降)、課税処分等を受けた納税者は、最初から国税不服審判所に審査請求をするべきか、それとも原処分庁(税務署長、国税局長)に再調査の請求を行うべきかの判断を行う必要があることになる。
そうすると、この判断はどのようにして行うのが妥当か、ということが問題となる。
改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第1回】「法改正の経緯、改正概略及び適用時期」
本連載(全5回を予定)では、①法改正の経緯とその概略、②不服申立が従前の二段階の手続から選択的なものとされ、「異議申立て」が「再調査の請求」と名称変更されたこと、及び、改正後において「再調査の請求」を行うか否かの判断要素、③証拠の閲覧、謄写権の新設による実務の変化とこれへの納税者の対応方法、④その他の改正点を述べた上で、⑤現在の審判所における取消裁決の傾向、不服申立段階における効果的な主張、立証の在り方について私見を記したいと考えている。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第10回】「確定的な脱税意思による過少申告事件」~最判平成7年4月28日(民集49巻4号1193頁)~
今回紹介する判例は、Xが、株式等の売買による多額の雑所得を申告すべきことを熟知しながら、A税理士の質問に対して雑所得があることを否定し、A税理士に過少な申告を記載した確定申告書を作成させてこれを提出させたところ、Y税務署長が、Xに対し、重加算税の賦課決定処分をしたという事案である。
改正電子帳簿保存法と企業実務 【第12回】「これからの「帳簿書類の電子化」の検討方法」
これまで11回にわたり、電子帳簿保存法で規定されている帳簿書類等の保存方法等について解説してきた。最終回となる今回は、税法で保存義務のある帳簿書類を電子化するにあたり、その検討方法について解説する。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第6回】「仕入」~架空仕入れと判断した理由は?~
本件更正処分の理由は、仕入れの架空(過大)計上である。したがって、課税庁は、X社が帳簿書類にA社からの仕入として計上していた×××円のうち〇〇〇円については、実際には、仕入取引は存在せず、架空のものであると認定して更正処分を行ったことになる。そうであれば、X社の帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当するものと考える。
改正電子帳簿保存法と企業実務 【第11回】「電子帳簿保存法適用法人の税務調査対応」
電子帳簿保存法に規定された帳簿書類の保存方法の特例の承認を受けた企業等は、承認後の税務調査において、承認を受けた帳簿書類を紙ではなくデータで準備する必要がある。税務調査の現場では一般的な光景であった帳簿の入っている段ボールの山積みや、大量の証憑類の持込みは必要ないのである。
改正電子帳簿保存法と企業実務 【第10回】「電子取引に係る電磁的記録の保存(2)」
規則第8条第1項は電子取引に係る電磁的記録の保存方法について規定しており、「法第10条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を、当該取引情報の授受が書面により行われたとした場合に、当該書面を保存すべきこととなる場所に、保存すべきこととなる期間、保存要件に従って保存しなければならない」としている。
改正電子帳簿保存法と企業実務 【第9回】「電子取引に係る電磁的記録の保存(1)」
電帳法第10条で規定されている電子取引に係る電磁的記録の保存義務について、正しく理解している税理士や納税者は少ない。電子取引の増加により、昨今の税務調査においても電子取引に係る電磁的記録が事実認定を行う上で重要な調査対象となり、その際に電磁的記録の保存がされていないと問題となるケースが多くなっている。
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第6回】「国税通則法の制定に関する答申」
昭和36年7月に「国税通則法の制定に関する答申」が公表されたが、あまりに批判の多かった内容であるため、一部については将来の検討に委ねたうえで、国税通則法が制定されることになった。
この将来の検討に委ねることとされた事項のひとつとして、「実質課税の原則に関する規定、租税回避の禁止に関する規定及び行為計算の否認に関する宣言規定」が存在しており、現在においても、その内容は理解しておく必要がある。