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相続税の実務問答 【第98回】「各相続人が単独で相続税の申告書を提出する場合の小規模宅地等の選択の同意」

父が、3月に亡くなりました。相続人は姉と私の2名です。父は、東京都S区と出身地のM県T市にアパートを所有していましたが、S区のアパートは私が、T市のアパートは姉がそれぞれ遺贈により取得しました。
現在、相続税の申告の準備をしているところですが、私の名義となっている定期預金500万円について2人の認識が異なっています。すなわち、私はこの預金を10年前に父から贈与されたものと認識していますが、姉は、父が私名義で預金したに過ぎず私に贈与されたものではないとの認識であり、この預金は父の遺産として相続税の申告に含めるべきであると主張して譲りません。そこで、私は、相続税の申告書を姉とは別に作成し、提出したいと考えています。
なお、S区のアパートの敷地250平方メートル及びT市のアパートの敷地300平方メートルは、いずれとも20年以上前から父の貸付事業の用に供されてきたもので、いずれも父の貸付事業を承継し、しばらく保有を継続することとしていますので、限度面積200平方メートルまでの範囲内で小規模宅地等の特例を適用することができます。
この特例は、地価の高いS区のアパートの敷地について適用した方が相続税の総額が小さくなりますので、私が取得したS区のアパートの敷地に適用することについて、姉も異存はないと言っています。S区のアパートについて、小規模宅地等の特例を適用するにはどのようにすればよいでしょうか。

#No. 582(掲載号)
# 梶野 研二
2024/08/22

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第49回】

以下では、暗号資産現物ETFが分離課税の議論に影響を与える可能性について、前回見た2つのものとは異なる第3のルートからの考察を行う。すなわち、日本の居住者(所法2①三)が米国のビットコインETFを米国の市場で購入し、譲渡した場合の所得について、日本において分離課税の適用があるかという点を取り上げる。

#No. 582(掲載号)
# 泉 絢也
2024/08/22

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第52回】「サンリオ事件-外国子会社合算税制における適用除外規定の適用-(地判令3.2.26、高判令3.11.24)(その1)」~法人税法69条15項、(旧)租税特別措置法66条の6第3項(現行2項)、7項~

原告Xは、自社キャラクターを使用した商品の企画・販売、著作権の許諾・管理等を行っている内国法人かつ連結法人である。Xが、平成25年度3月期から平成28年度3月期までの各事業年度に係る法人税等の確定申告において、香港に設立されたXの子会社A社(発行済株式の95%をC社を通じて保有)、及びB社(発行済株式の100%をD社を通じて保有)の課税対象金額又は個別課税対象金額が、Xの各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、処分行政庁より法人税等に係る更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を受けた。このことから、Xは被告Y(国)に対し、更正処分等のうちXが主張する金額を超える部分の取消しを求めた事案である。

#No. 582(掲載号)
# 吉村 優
2024/08/22

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第134回】「消費税の性質論(その2)」

本件判決が、「仕入れ税額控除制度等は、運用如何によっては、消費者に対する実質的な過剰転嫁ないし実質的なピンハネを許す余地を含んだ制度であることは否定できない。しかし、税制改革法はむしろ適正な転嫁を要求しているのであるから、右制度が、事業者に対して、消費者に対する実質的な過剰転嫁ないしピンハネを法的に保障しているということはできない。したがって、消費税法それ自体が財産権を侵害するものとはいえない。」としている点は注目すべきである。

#No. 581(掲載号)
# 酒井 克彦
2024/08/08

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第29回】「国税通則法74条の9・74条の10」-事前通知の意義と例外-

事前通知制度について、その導入の背景・経緯を含め、次のとおり、簡にして要を得た解説がされている(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)1001頁)。

#No. 581(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2024/08/08

国際課税レポート 【第5回】「利益A・DSTと国内税制改革」

国際課税においては、ここ1,2ヶ月の間、注目したいいくつかの展開があった。①OECDは、デジタル企業課税の核心である利益Aの多国間条約の署名について今後のスケジュールを示すことができないでいる。一方、②多国間条約の発効を条件に廃止されるデジタルサービス税について、インドは条約とは無関係に廃止することを決めた。また、③OECD加盟国でないブラジルのイニシアチブで、国際租税協力に関してこれからも長く参照されるであろう「閣僚宣言」が採択され、富裕層課税に焦点が当てられた。

#No. 581(掲載号)
# 岡 直樹
2024/08/08

〔令和6年度税制改正〕中小企業倒産防止共済掛金の損金算入特例の見直し

中小企業倒産防止共済(以下「倒産防止共済」という)は、取引事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)までの共済金を無利子で借入れができ、掛金は法人の場合には損金の額に、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できる。

#No. 581(掲載号)
# 坂井 晴行
2024/08/08

令和6年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第5回】

戦略分野国内生産促進税制については、次の❶~❸の要件のいずれにも該当しない事業年度は適用することができない(繰越控除を除く。新措法42の12の7⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑰⑱)。

#No. 581(掲載号)
# 足立 好幸
2024/08/08

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第45回】「〔第5表〕直前期末の直前に土地の売買契約を締結した場合の売主法人における資産の部及び負債の部の計上金額の留意点」

経営者甲(令和6年8月1日相続開始)が100%所有している甲株式会社の株式を長男が相続していますが、甲株式会社の資産の中に駐車場として賃貸していたA土地があります。A土地は令和6年3月1日に売買契約を締結し、同日に10,000千円の手付金を受領し、令和6年6月1日に引渡しを行っています。

#No. 581(掲載号)
# 柴田 健次
2024/08/08

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第64回】「合同会社の事業承継における留意点」

私は、電子部品の製造・販売を行っているX社(上場会社)の社長です。X社の株式については、資産管理会社所有分を含めて4%(内訳:個人2%、資産管理会社2%)所有しています。
10年ほど前に、X社が株主還元を目的に自己株式取得を進め、その自己株式を消却したことをきっかけに、私のX社株式の所有比率が3%以上となりました。そのため、X社からの配当金が総合課税になることを避けるため、私個人で所有しているX社株式の一部を資産管理会社へ現物出資しました。
現物出資財産であるX社株式の時価が10億円でしたので、設立時の登録免許税を節約するため、資産管理会社の会社形態を合同会社とし、現在も私1人が社員である合同会社の運営を行っています。
私には2人の子供がいるため、合同会社の持分を2人の子供に承継させたいと考えていますが、承継にあたり、合同会社のままでよいのか、株式会社へ組織変更した方がよいのか悩んでいます。その選択にあたっての留意点をご教示ください。

#No. 581(掲載号)
# 太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2024/08/08
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